Kink.com(キンクドットコム)は、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコに拠点を置くインターネットポルノの運営会社である。BDSMと関連フェティシズムを専門にする。Kink.comという名前は、Kink Studios、LLC、Hogtied.com、Behindkink.com とともに、撮影スタジオを運営する親会社 Cybernet Entertainment LLC の商号になっている。屋号が複数あるのは、スタジオとチャンネルと親会社が重なっているためだ。1997年にイギリス出身のピーター・アクワース(Peter Acworth)が始め、のちにサンフランシスコ武器庫(San Francisco Armory)をスタジオにしたことで、フェティッシュポルノの地名としても知られるようになった。Hogtied.com から始まった会社が、武器庫の住所をブランドの一部にした。
コロンビア大学からHogtied.comへ
1997年、アクワースはコロンビア大学で金融の博士号を取っていた。イギリスのタブロイドで、インターネットポルノのサイトを立ち上げ短期間に24万ポンドを稼いだ消防士の話を読み、自分でもポルノサイトを作ると決める。かねてボンデージに関心があったため、方向はBDSMに定めた。最初のサイト名はHogtied.com。当初は他の一次生産者からライセンスされたコンテンツを置いていた。すぐに一日数千ドルの利益を出し、アクワースは大学院を離れて常勤でサイトに入る。金融の博士課程を捨てて、縛る映像のサイトを本業にした。Hogtied.com は、ライセンス映像の寄せ集めから始まった会社の、最初の屋号である。
1998年、会社をニューヨークからサンフランシスコへ移す。他サイトで同じコンテンツが使われ、売上が横ばいになっていることに気づき、独自コンテンツの製作を始める。当初はアクワース自身が、Craigslistや写真家の友人を通して集めたモデルを使っていた。2000年、二番目のサイト Fucking Machines が開設される。それ以来、定額制サイトは26に増えた。傘下のいくつかのサイトは、2005年にアメリカ政府の圧力でInsexが閉鎖されたあと移ってきたディレクターを売りにしている。ただしInsexが知られていた過激さより、合意のうえで行うことに焦点を当てている。ハードボンデージの人材を引き受けつつ、画面の売りを「合意」へずらしたのが、Kink.comの初期の戦略だった。Hogtied の縄、Fucking Machines の機械——スタジオブランドをチャンネルとして積む型は、この時期に固まっている。
1450万ドルの武器庫
2006年、Kink.comは制作スタジオとして使うため、サンフランシスコ武器庫を1450万ドルで購入した。建物の使用に反対する「Mission Armory Community Collective」が結成され、2007年2月初旬には建物の前で抗議が行われた。そのさなか、マンション建設のために建物の一部を取り壊す計画が持ち上がる。この出来事が、歴史的建造物の外観を変えずに地域を経済的に活性化させる、というKink.com側の保存を歓迎する支持者を生んだ。
サンフランシスコ市長ギャビン・ニューサムも購入に懸念を表明し、2007年3月、サンフランシスコ計画委員会の特別会議を開いて建物の利用方法を検討した。支持者と反対者の双方が出席した。反対者の一人、反ポルノ運動家メリッサ・ファーリーは、Kink.comが作った画像をアブグレイブ刑務所の捕虜虐待の画像と比較し、購入に意見を述べた。計画委員会は最終的に、Kink.comは法律や土地区画規制に違反していないと判断した。Kink.comは、活動は周辺から見えないと述べたが、近隣のDVシェルター La Casa de las Madres は、メディアによる精査を受けて移転を発表した。
武器庫は自社コンテンツだけでなく、地元の独立映画製作者にも貸された。ポルノ以外の物語映画やビデオの撮影場所としても使われた。歴史的建造物を壊さずに使う、という側の言い分は、自社のSM撮影だけではなかった。2013年までには、部屋を独立したウェブカメラモデル(カムガール)が借りられるウェブカメラスタジオへ転換している。2017年1月、映像製作のための武器庫使用を中止すると発表。2018年、アクワースは武器庫を6500万ドルで売却した。1450万で買い、スタジオとカム部屋にし、製作を止めて6500万で手放す。武器庫の十年余りが、Kink.comの地名的な記憶になっている。計画委員会が違法なしと判断し、DVシェルターがメディア精査で移り、市長が会議を開き、ファーリーがアブグレイブと比較した建物は、売却のあともサンフランシスコのBDSM史に残る。
専門サイトとKinkMen
2007年、Fucking Machines は米国特許商標庁にサイト名への商標付与を猥褻であるとして拒否され、商標紛争に巻き込まれた。同じ年、著作権侵害への防禦の一環として、定期的なライブショーのストリーミング配信を始める。2008年までに Device Bondage でライブショー配信が始まり、性的レスリング試合のサイト Ultimate Surrender(究極の降伏)も試合のライブ配信を開始した。同年、オンデマンド技術を追加し、厳密な月額制ではないエピソードごとの販売を始める。のちにこのシステムへ、ドイツ誌『Marquis』のコンテンツも加わった。
同じく2008年、ヴァン・ダークホーム(Naked Kombat のディレクターでもある)が監督するゲイのボンデージサイト Bound Gods(縛られた神々)を立ち上げる。Bound Gods は、ゲイ専門の新部門 KinkMen.com の下で出た。男同士のボンデージを、本流ネットワークの横に独立した棚として置いた。2014年、Public Disgrace と Bound in Public の撮影停止を発表する。同時に Hardcore Gangbangs をリニューアルし、女性参加者が架空の設定のうえで参加していることをより明確にした。公開恥辱ものの撮影を止め、架空設定を明示する。合意の見せ方を、チャンネル単位で組み替えた年である。また、「人間の性の謎を解き明かす」教育活動を強化し、一般の人々を武器庫(現場)へ招き入れると発表した。
2022年時点で、メイン・ネットワークは90チャンネルを超える。うち27チャンネルは9つのスタジオによるKink.comへの独占配信で、世界で最も強大なフェティッシュ専門ネットワークの一つになっている。2022年10月、KinkMenについてネットワークのなかで独立した有料サイトを設立した。パフォーマーは変態的な嗜好を持つ男性で固められ、ドミニク・パシフィコやミカ・マルティネスといった監督を揃えた。2013年には同社のドキュメンタリー映画『Kink』も作られている。Hogtied から Fucking Machines、Device Bondage、Ultimate Surrender、Bound Gods、Public Disgrace まで、スタジオブランドをチャンネルとして積んできた会社である。
AVNとXBIZの棚
2008年、AVNアワードの新部門 Best Adult Web Site にノミネート。2010年、XBIZ賞で「革新的な企業」としてノミネートされた。受賞は続く。2009年XBIZのFSC Leadership Award と Original Web Content。2011年AVN Best Alternative Web Site。2012年XBIZ Fetish Studio of the Year。2013年XBIZ Specialty Site of the Year、AVN Best Alternative Website。2014年はAVN Best Alternative Web Site、AVN Best Web Premiere(Public Disgrace 31515)、XBIZ Specialty Site of the Year、XBIZ BDSM Site of the Year(DivineBitches.com)。2015年XBIZ Adult Site of the Year – BDSM、CyberSocket Web Award Best Hardcore/Fetish Site(KinkMen.com)。
2016年もXBIZ Adult Site of the Year – BDSM、CyberSocket の同部門(KinkMen.com)、TEA Award Best Scene(Yasmin Lee と Lucas Knight、TS Seduction)、AVN Best Alternative Website。2017年AVN Best BDSM movie(Deception: A XXX Thriller)、AVN Best Alternative Website、XBIZ Adult Site of the Year – BDSM、TEA Best Scene(Aubrey Kate、Will Havoc、Phoenix Marie の三人、TS Seduction)、StorErotica Fetish Company of the Year(Kink by Doc Johnson)、Adultex Best Fetish/Alternate Product Range(同)。2018年XBIZ BDSM Site of the Year、XBIZ BDSM Release of the Year(Whipped Ass 21: Masochistic MILFs)、XBIZ Fetish Product/Line of the Year(Kink by Doc Johnson)、StorErotica BDSM Product of the Year(Power Banger Sex Machine)、CyberSocket Best Hardcore/Fetish Site(KinkMen)、ナイトムーヴス賞 Best Fetish/Taboo/Specialty Release(Hardcore Gangbang Parodies #3)。
1997年のHogtied.comから、武器庫の購入と売却、KinkMenの独立まで。アクワースがタブロイドの消防士記事を読んで始めたサイトは、合意を前面に出したハードボンデージのネットワークとして、サンフランシスコの地名と賞の棚を同時に持っている。Hogtied、Fucking Machines、Device Bondage、Bound Gods、KinkMen。チャンネル名が、そのまま会社の歴史になっている。











