Insexはアメリカのボンデージ系サイトである。1997年から2005年まで動き、ハードなBDSMで知られた。閉鎖後も、当時の過激さを求める層に根強い人気がある。画面の縛りは日本の緊縛の影響が強く、欧米のレザーやチェーンだけではない縄の文法が入っている。日本のkikouを見て始めた、と公式が書くとおり、Insexのハードさは西洋のダンジョン趣味だけからは説明できない。縄の影響が、サイトの骨格になっている。
PDと、日本のkikou
公式の説明では、PDと呼ばれるマスターが、1997年に日本のサイトkikouに触発されてInsexを立ち上げた。日本の縄を見て、ハードボンデージのサイトを自分で作った、という始まり方である。ビデオの作り方にも、一方通行のスタジオ制作ではない仕組みがあった。フォーラムを通じて利用者の意見が撮影にインタラクティブに反映される。モデルはプロだけではない。ビデオを見た素人が自ら参加することもあった。見る側が縛る側・縛られる側へ滑り込む、当時のネットボンデージらしい循環である。
2005年、オランダへの売却
2005年、Insexはオランダの会社にコンテンツごと売却された。アメリカ政府の圧力で閉じた、という文脈で語られることも多い。コンテンツごと渡った、という点が重要で、サイト名より先に映像の山がオランダへ移った。PDをはじめとするスタッフは場所を変えて活動を続けたが、かつての過激さはトーンダウンした。フォーラムで意見を吸い、素人モデルも入れていた1997–2005年の作り方は、売却後のトーンとは別物として記憶されている。Insexという名前が指すのは、いまの後継スタジオより、そのハードな時期である。チャンタ・ローズやモリー・マシューズといったモデル名が、当時の画面と一緒に語り継がれている。日本のkikouから始まったアメリカのサイトが、オランダへ渡り、過激さのピークを過去形にした。ハードボンデージを探す読者にとって、Insexは現役のブランドというより、閉鎖後も参照される1997–2005年の記録である。












