ポニーガールは、西欧圏で目立つ性的嗜好の呼び方で、ヒューマン・アニマル・ロールプレイのうち、馬に扮する女性を指す。人間を馬として扱うのがポニープレイであり、まれに男性もいる。その場合はポニーボーイと呼ぶ。英語では男女まとめて Human pony と言うが、日本語にぴったりの訳はまだ定着していない。家畜としての扱いに倒錯した欲求を乗せるので、非人間的な扱いが多くなる。もちろん同意のうえでの話である。ポニーガールという言葉が指すのは、まずその役を着る女性の側であり、調教の手順そのものはポニープレイの語に寄せられる。
使役馬、ショーポニー、繁殖牝馬
ポニーとしての役は、大別して三つある。家畜あるいは使役馬として酷使される馬、ショーポニーと呼ばれる観賞用の馬、繁殖牝馬。使役は荷と歩行、ショーは装飾と歩様、繁殖は馬役同士を組ませる被虐。同じ馬具でも、何のための馬かが違う。プレイの形式も、単純に馬として調教するものと、乗馬プレイに分かれる。乗馬は、馬車に見立てて車を引かせる型と、人が直接女性に乗る型の二系統で、前者が一般的だ。後者はさらに、四つん這いに馬乗りになる型、おんぶする型、肩車する型がある。おんぶと肩車は、女性の馬役には肉体的にきつい。詳細はポニープレイの側に譲るが、ポニーガールの現場で多いのは、引かせる馬車と、見せるショーのほうである。
馬具、たてがみ、ひづめのスタイル
馬に見立てるため、馬具を模した道具を着けることが多い。頭部にはおもがいやくつわ。レース馬なら遮眼帯も使う。髪をたてがみに見立て、モヒカン刈りのような髪型にすることもある。胸は露出させることが多いが、黒や茶色のレオタードで馬の毛色を再現する型もある。革の鞍を背負わせ、ウェストベルトやボディハーネスにあぶみをぶら下げる。臀部には尻尾を模した髪の束を下げる。髪色に合わせた馬の尻尾風の毛付きディルドをアナルに入れるか、尾てい骨付近にぶら下げる。モヒカンで切り落とした髪を使うこともある。顔と髪と尻で、馬の前部と後部を同時に作る。
足はひづめの代わりに、厚底やハイヒールのブーツを履かせる。近年は専用のひづめ付きブーツも市販されている。強制的につま先立ちにさせ、かかとを馬の足首の球節に見立てることが多い。四つん這いでは手にもグローブを着け、ひづめ風のパーツをかぶせる。御者役は一輪・二輪・四輪の馬車や荷車に乗り、手綱を握る。調教師になるときは乗馬服に鞭を持ち、馬としての動作を教え込む。見た目の馬具と、歩様の訓練が揃ってはじめて、ポニーガールは「馬」として成立する。くつわだけで終わらせず、ひづめまで揃えるかどうかが、コスプレとポニープレイの差になりやすい。
西欧の馬と、ジョン・ウィリー
背景には、馬が生活に密着していた西欧圏での愛着や親近感がある。野生の馬を調教し馴致する過程が、恋愛の一部に重なって見えることも影響している。手なずけることと、乗ることと、引かせること。それが性的な主従に翻訳されたのがポニーガールだ。BDSMシーンでこの役を一気に有名にしたのはジョン・ウィリーである。彼が主宰した雑誌『ビザール』に載せたボンデージ小説には、しばしばポニーガールが登場する。くつわを噛まされ、たてがみを立て、ひづめで歩かされる女——その画像と言葉が、のちの愛好家の型になった。ウィリー以後、ポニーガールは馬具のカタログと歩様の訓練として読まれるようになった。












