奴隷牧場2 闇の相続人 第1部分 (1/6)
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目录
物語の背景 (奴隷牧場一)
奴隷牧場 二 闇の相続人
【一】二〇〇六年八月 三田村隼人 相続
【二】二〇〇六年八月 三田村隼人 母と娘
【三】二〇〇六年八月 三田村隼人 矯正歯科
【四】二〇〇六年九月 寒河江沙織 奴隷人妻診察【五】二〇〇六年九月 岸谷花純 奴隷奉仕調教【六】二〇〇六年九月 岸谷花純 新幹線こだま東京発名古屋行【七】二〇〇六年九月 岸谷花純 キャンパスパブ「天使牧場・名古屋」
【八】二〇〇六年十月 寒河江沙織 歯科手術
【九】二〇〇六年十月 三田村隼人 ピンクサロン「天使牧場・東京」
【十】二〇〇六年十月 寒河江沙織 饗応
終章
物語の背景
(奴隷牧場一)
米倉
隼人
は、財界人三田村勇輔が作った超高級会員制SMクラブ、正式名「エスタブリッシュメント倶楽部」(通称「奴隷牧場」)にて奴隷調達係をしていた。
高額な会員権と特異なスタイルで国会議員や政府高官などを上級会員にしつつ、様々なマゾの女を奴隷として調達・提供していく。
伝言ダイヤルという当時隆盛を極めていた仕組みを、巧みに利用していた新規奴隷獲得方法は、しかしそのシステムそのものの社会問題化で使用しにくくなり、風俗産業の末端ともいえるピンクサロンに巧妙なシステムと罠を設ける方法などにその獲得方法は変遷していく。
男たちの思惑や欲望とは裏腹に、マゾであることを受け入れ、輝きを増していく女たち。
様々な過激なショーや会員を招いた海外イベント、それら裏の会員たちとの繋がりから組織そのものを拡大している中、隼人はドバイへ研修に出た。
ドバイそしてロシアへと女奴隷をやり取りする海外とのパイプを太くしつつ、そこで出来た人脈と前会長の才覚により、表の企業体である三田村コンツェルンもますます大きくなっていた。
およそ、ドバイでの生活が丸二年が過ぎた頃、隼人は突然日本に帰国するように言われる。
会長、三田村勇輔が急逝したためだった。
奴隷牧場
二 闇の相続人
【一】二〇〇六年八月
三田村隼人
相続
「お浣腸は嫌ぁっ」
女が突然、絶叫した。
煌々
と光が照らされたステージには、六人の女が居たが、その中の一人の手が、女の口を塞いだ。
六人のうち五人が既に全裸である。
「ふたつ折りにして。前のカメラにおまんことお尻の穴がもっとよく映るように、マングリ返しで脚開かせなさい」
ひとりだけ黒のスーツを身に
纏
った女が、そう命じると、女の脚を押さえていた二人が、足首を抱えたまま立ち上がった。
「どう、板に付いたでしょ」
隣に座った
大沢
瑞花
が隼人の耳元で
囁
く。
「や、やめてーー」
口を押さえつけられていた手をふりほどくように左右に首を振り、さらに絶叫に近い声を女があげる。
「お前にせよ、沙織にせよいいM女はみんなSの資質もあるということかね」
「沙織さんと私ではMとしては比べられないわ。私はM、沙織さんは超のつくしかも長年の筋金入りのドMだもの」
「もうMとしての仕事はまったくしていないのか」
「え、私、私はね。でも沙織さんはしてるわよ。全体を統括する立場にはなったけれど、マゾとしての人気は引きも切らず。ゴールド会員限定だけど、乃里子ちゃんとのセットだとひと晩五十万が最低料金で、お店はこの二人の水揚げだけでも成り立つくらいに稼いでたからね。もっとも乃里子ちゃんは今はほとんどお客取ってない筈だけどね」
バニーガールの格好をした七人目の女がステージ袖から、手に大きなバケツを持って現れた。
ステージのこちら側には、かなり本格的なビデオカメラが二台、ステージの上には七人の女の他に、若い男がすこし小さなカメラで撮影をしている。客席のように椅子が並ぶこちら側には、隼人と瑞花、そして今しがた瑞花の口から名前が出た乃里子の三人だけが座っている。
隼人が「組織」の中心スタッフとしてここで采配をしていた頃には、大勢の金持ち客がこの席にくつろいでステージ上で繰り広げられる淫らで残酷なショーを見つめていたものだ。
「実際にリアルタイムで見ているやつってのはどれくらい居るんだ」
隼人の問いに瑞花は首をかしげた。
あまりその辺のことに首を突っ込んでいないのだろう。
女が悲鳴をあげたのは、沙織が目の前にガラス製の浣腸器を差し出して見せたからだ。
それまで、四人の全裸の女にそれぞれ手首、足首を女性にとってこれほどの恥ずかしさはないだろうというポーズで押さえつけられ、巨大な電動マッサージ器を股間にあてられていた。
それはバイヴレーションなんていう生やさしいものではなさそうで、強制される快感責めにそれはそれで絶叫しつつも、押さえつけられた手足をふりほどこうというほどの素振りはなかったのだが、浣腸されると知った瞬間からの女の抵抗とそれに数で対抗する女たちの戦いは、見ているものを充分に楽しませるだけの見世物になっていた。
「や、やめて。お浣腸だけはお浣腸だけはお許しください。な、なんでも言うことききますから。撮らないでお願い、沙織さま」
沙織の目配せで口を押さえていた女がその手を離すと、女は沙織を見つめながら最後の懇願をした。
「どのくらい」
沙織がバケツを持った女に聞いた。
「グリセリン一リットルにお湯一リットルの合計二リットルです」
「や、やめて下さい。そんなにそんなに無理です」
女がそこだけわずかに自由になる顔をあげてこちらを見る。
一台のカメラがすかさずそれをズームして、隼人たちの前にあるモニターに女の顔が映し出された。
少し栗色の髪を複雑な形でアップに結い上げていて、優しい顔立ちをした女は、既に目を真っ赤に泣き腫らしており、その嫌がっていることが演技でもなんでもないことを見ている側に印象づける。
「あら、初めてなわけじゃあるまいし。そうねぇ今日はカメラの前で一時間も苦しんでくれたらさせてあげるわ。そのかわり一滴でもお漏らししたら、唐辛子のチューブを一本丸々浣腸して丸一日栓して苦しめてあげるからね」
恐ろしい宣告に、女はすぐには言葉が出ないようだった。
日本に居た最後の頃、隼人は今、隣に座っている瑞花が女王様役で行ったショーで、ロシア人の少女に唐辛子入りの液体を浣腸したのを見ている。
舌に針金を貫通され、一本鞭でも音をあげなかった娘が、大絶叫して痛がった責めを、すでに沙織もSとして経験済みということなのだろうか。
Mとしてなら経験した、それは充分に有り得ることだった。
その瑞花とロシア娘のショーの少し後から、隼人は二年間日本を離れていた。
組織の総帥の死去という非常事態に急遽、呼び戻されて帰国したのが三日前のことだ。
葬儀は既に密葬という形で済んでいた。
やくざとはまた違った意味での裏社会のドンの死は、公表されぬままに、関係のある業界や組織の上級会員の中でも一握りのトップクラスの人間にだけ、こっそりと知らされた。その選ばれた人間だけが集まった密葬の場でも、その後継者は誰なのか、という当然の疑問が口々に囁かれたことを隼人は瑞花に聞かされた。
三田村勇輔の後継者と目される隼人も、そして寒河江も葬儀には出席していなかった。
双方ともに国内に居なかったからだ。
そして、まだ公式な発表をしていない。
三田村の死も、その後継者が誰かということもだ。
隼人は日本に戻ってきてすぐに顧問弁護士に会うように言われた。弁護士からはすでに時間が指定され、「事務所の方でお待ちしています」という連絡が来ていた。
「お義父さんから少しは話を聞いていたかね」
柔和な面立ちをした君塚というこの弁護士に、隼人は過去に一度だけ会ったことがある。隼人が日本を離れる数日前のことだ。
それがエスタブリッシュメント倶楽部グループ総帥だった三田村勇輔と顔を合わせた最後になった日でもあるのだが、会長室にしていた組織が所有するホテルのスイートルームで、三田村の隣に座っていたのがこの男だった。
その時、隼人はひとつの書類に実印を押している。
実印と印鑑証明を持って会長室に来い、と言われれば、そこにどんな書類があろうと隼人は印鑑をつかねばならなかったし、隼人自身にもそれだけの覚悟が当たり前のようにあった。
そして、それまでにもいくつかの子会社の設立で代表取締役に就任した時など、同じような状況は何回も経験していた。
「ドバイに修行に出すに当たって、お前を俺の義理の息子にしておく。万一何があろうと俺がお前の後見人でかつ身元引受人でもある。どんな責任も義務も負うつもりだ。そして今後お前にとってもそれが権利であり義務でもあるということだ。ハンコ押せ」
法律的に養子縁組をしようというのだ、そんな肝心なことをハンコ押せのひと言で済ませてしまっていいのか、この男に対してそんな疑念を持つようなゆとりは全くない。
ただ、ひとつだけ隼人の頭に浮かんだのは、自分と同様の立場で仕事をし、今ロシアに行っている寒河江という先輩、沙織の法律上の夫でもある男についてである。
三田村という男は、そういう空気を一瞬にして読むことに長けていた。
これまでにもそんなとき、「お前は余計なことを考えなくていい」と一喝されたことが何度もあったが、その時は違っていた。「寒河江や、瑞花、いや、沙織にしても乃里子のことも、私は相応のことを考えているししてやるつもりだ」三田村はそう言ったのだった。
「いえ、詳しいことは何も聞いておりませんが」
隼人は君塚弁護士の問いにそう答えた。
「そうですか。ではかいつまんで私から話しましょう。私と米倉さんがお会いするのはこれで二回目ですが、私のことを何か三田村会長からは」
まっすぐにこちらを見た君塚に対し、隼人は小さく首を横に振った。
「私は会長がなさっていたことのほぼ全てを存じ上げております。弁護士という職業ではありますが、相談相手であったとかそういうことではなく、客観的に知っていた、三田村会長にとってはそういう人間が必要であったと思って下さい。表向きの会社組織や会社以外つまり事業として手を出されていたあらゆることに彼は卓越した知識と人脈を持っておられましたので、私ごときに相談されるような案件はほとんどなかったのですが、全体像を知っていてほしい、そして自分に何かあった場合には、その全体をきちんと次の方に、できるだけ資産の目減りを押さえて、あ、これは相続税とかそういう意味ですが、譲り渡して欲しい、それが彼に課された私の役目だと思っています」
「はあ」
隼人は相槌を打つ以外に挟む言葉がなかった。
「そしてその次の方、というのが米倉さん、いや、養子縁組されて三田村さんになられているわけですが、新しい三田村会長、あなたということになります」
そう言うと、君塚はかばんから書類ケースを出し、中から『遺言書』と書かれたB4を縦にふたつおりにしたくらいのサイズの書状を取り出して、ふたりの間のテーブルに置いた。
目の前では、手にした二百CCの浣腸器を沙織がおもむろに女の肛門に突き立てるところだった。
いやーーーっ、という新たな悲鳴が女から上がる。
女性四人に手足の左右それぞれを、体を真ん中からふたつ折りにしたいわゆるまんぐり返しの姿勢で押さえつけられた上に、その膝の裏側あたりに先程最後にバケツを持って出て来た女がこちら向きにしゃがみ込み、両手でまあるい尻の山を左右にくつろげていた。
ステージ上のハンディカメラがその様子を真上からなめている。女の丸出しの肛門を映しだしているのだろう。
バニー嬢も先程これみよがしに脱いで見せるというシーンがあり、沙織以外の女は全員がすっ裸になっている。そのため黒のスーツ姿の沙織は逆にとても目をひくが、浣腸器を手にして少し前屈みになったときの、ブラウスの胸元を高く隆起させている乳房は、裸でいるどの女よりも大きく目立っていた。
「結局したんだよな」
主語もなく述語も曖昧な隼人の問いにも、瑞花は察して、「そうよ。隼人が行ってる間に、したというかさせられてきたわ」
と答える。
ドバイに豊胸手術の名医が居ると知って、誰かにそれを受けさせる。それが乃里子の母親、沙織だった。それまでも決して小さくはなかった乳房を、さらにわざわざ大きくさせられてしまったのだった。
何故か、その連絡も当のドバイに居た隼人には来ていなかった。
「やめてー、もう入れないで。苦しいっ」
女の悲鳴はさらに高くなった。
「それよりいつ、新社長いえ新三田村会長のお披露目をするの」
瑞花には「お前とは表向きはともかく、今までどおりざっくばらんに行こうよ」と言ってあった。
パートナーを組んでいた頃から、自分との呼吸の取り方を心得た女だった。
その頃にはSとMとしての性行為も何度かしているが、ある意味そういったことを超越した存在といえた。
「まだ、なんともいえんよ。オモテ看板のほうを把握するだけで、今は一杯一杯ってとこさ」
「親父は、三田村会長は、寒河江さんや他の誰か、例えば長年秘書としてそばに置いていた牧野リサとか、ほかの誰かも養子にしていたのではないのですか。確か、自分にはそう言っていたような気がしますが」
「いえ。三田村会長の籍に入っているのは貴方だけ、血縁も含めて、貴方だけがただひとりの相続人です」
確かに、最後に会ったときには、ドバイから戻ったら、組織はお前にやるみたいなことは言われた。
しかしそれが全てとなると途方もないことだ。
「これが正式に法人などになっている会社の登記簿謄本の写しです。全ての会社の代表者になる必要もありませんし、そもそもその大半は、持ち株会社の百パーセント子会社ですから、貴方はとりあえずその持株会社の代表取締役会長兼社長になっています。これは亡くなられた三田村会長の指示で、ひと月ほど前に登記済みです」
三田村は死期をさとっていたようだ。だが、自分にここまでのことをするのならば、何故その間に呼び戻さなかったのだろう、隼人の思いはそこに行き着かざるを得なかった。
「国内の手続きはほとんど終わっておりまして、会社関係については、あとは海外、シンガポールとロンドン、そして香港にもそれぞれ大きい、オモテの会社がございます。また、全てを引き継いでいただけとのご指示ですから、これら海外の会社の株式も全て相続していただきます。これによって発生する相続税についても、何を処分して引き当てろという指示を全ていただいております」
あまりに用意周到だった。
「会長…いや親父は、いつ自分が死ぬと知ったんですか」
君塚は、書類を積む手を休めることなく、顔だけを隼人に向け、穏やかに微笑んだ。
「何をおっしゃいますか、人は皆死ぬもの。ああいう方は、ちゃんと何年も前からその用意をされているものですよ。あなたもじきにそれがおわかりになるのではないでしょうか。あなたが引き継がれる総資産は、そこらの小さな国の国家予算をはるかに上回るものなんですから」
隼人はむしろ頭を抱えたい気持ちだった。
「さて、次にですが。そうそう、先程のあなたの質問に答えておりませんでしたね。確かにあの時、私の立会いで養子縁組をされた際に、会長はあなたに他の方にも相応のことをするとおっしゃってましたね。でも会長の言った相応とは、その人にとって相応のことをすると言ったまでだったようですよ。あの時言った相応とはこれのことだったのではないですか」
ふたたび君塚は別の書類ファイルを鞄から取り出し、先程の遺言書と書かれたものよりは一回りほど小さい書状を、ざっと数えて二十通ほど積み上げた。
遺言書の時には、開いて中を確認しろと言わなかった君塚が、目配せで一番上のものを見てみるように合図を送ってきた。
奴隷譲渡承諾書
寒河江沙織
私、寒河江沙織は、三田村勇輔様の奴隷としての身分が、本日ただいま三田村隼人様へ、譲渡されることを謹んで承諾いたします。
今後、三田村勇輔様が持っておられた、奴隷寒河江沙織への一切の権利は三田村隼人様へと移譲され、奴隷寒河江沙織は、いついかなる時も、どのようなご命令にも絶対的な服従を、三田村隼人様へお誓いし、奴隷として全ての義務に服し、身命を賭してお仕えいたします。
平成十八年
八月十一日
寒河江
沙織
「弁護士である私が言うのもなんですが、この手のものが日本という国の法律的に有効か否か、そんなことは全くもって問題ではありません。現時点であなたが三田村会長に代わるここでの『法』なのです。そしてここ、前会長と私との間では三田村コンツェルンと呼んでいたのですが…、三田村コンツェルンは、既にひとつの国といえるほどの規模になっているからです」
君塚の言葉を耳のはしで聞きつつ、二通目を開いてみた。
一字一句、同じ文言で寒河江乃里子、沙織の娘のものだった。
いや、一箇所だけ違っていた。最後の「
身命
を
賭
して」という文言の前に「喜んで」という文字が手書きの文字で書き加えられていたのだ。
名前の下に押されている印鑑が、沙織は寒河江沙織と名字と名前だが、娘の方は乃里子という名前三文字であるという違いが妙に目立った。
次のものは会長秘書であった牧野リサ。
そこまでは、隼人も知っている女だ。
四通目で知らぬ女の名前が出てきたので、隼人はそれ以降を開いてみることを止めたが、同じ文章のものが残る十数通にも書かれているということなのだろう。
ほかにも日本に居た当時、いわゆるAクラスの女は存在したが、その頃から三田村は隼人と寒河江に対して、そうした女を自分の「専属」にすることを認めていた。
トップのお手つきではない女がそういう意味では存在していたわけで、それでも二十人近くの女奴隷を前会長は持っていたというわけだ。
しかも寒河江の妻でもあった沙織や寒河江にとっては義理の娘とはいえ乃里子が、しっかり三田村の奴隷とされていたという事実と、これからは寒河江の妻や子であるという事実に優先して、会長に就任する自分の奴隷という形になるということを寒河江も了承しているのだろうか。
「寒河江さんはもう日本に戻ってきません。ロシアでの地位を確固たるものにするために、三田村会長は相応のお金をつぎ込みましたし、寒河江さんもその覚悟でそれをお引き受けになりました。彼は彼でロシアという国で、これからあなたのような立場を築いていかれるのです」
君塚が隼人の思いを先取りして答える。
三田村が信頼していただけのことはあり、なかなか切れる男のようだ。
「そのかわり彼はもう、少なくともご自分のパスポートでは日本国に入国することすらできません。確か新会長、あなたもだと伺っていますが、寒河江さんも奥様とは離婚されました。これからはロシアでの地位をますます強くするとともに、あなたのそしてあなたの組織のために、若いロシアや他のヨーロッパの国のお嬢さんを定期的に送り込んでくる、こちらはそれに応じてまた送金するという関係になるのではないかと思います」
「離婚…。それでは、沙織、乃里子のこともこれでいいと承知しているのですか、寒河江さんは」
「私は詳しいことは存じ上げませんが、誰もが同意していると思いますよ。それだけ前会長の権威は絶大だったのではないでしょうか。よかったら沙織さんや牧野さんとお話しになってみられてはいかがでしょうか。ここのところこのおふたりがずっとお側におられましたから、いろいろ聞いてらっしゃると思いますよ」
「いやいや、出させて。オマンコは出してからなら素直に何人にでもやらせますから。お願い、お尻もお腹も辛いの」
女の絶叫で、ステージに全裸の男が四人現れたのに気が付いた。
大量の浣腸液を注入された女は、ストッパーを肛門に入れられると、女たちの手によって顔の向きを隼人たちの座る正面を向くように変えられ、尻を高く掲げた変則の四つんばいにさせられた。
「顔、あげさせなさい」
沙織の命令が女たちに飛ぶと、ふたりの女が左右に立って、髪の毛を両側から鷲づかみにして正面のカメラに顔を向けさせる。片方の女は、そうしながら片足で首の後ろを踏みつけ、顔は正面を向いているが尻だけ高く上げる姿勢が変わらないようにしている。尻だけをあげ足を開く形になって、後方に回ったハンディカメラに性器も肛門も襞のひとつひとつまでをモニターに映しだした。
「やめてー、先に出させてー」
女の声は少し弱々しくなっていた。
「あ、いや入れないで」
女の哀願には耳もくれずに、背後に立った最初の男が勃起したものを女の股間にあてがうと一気に埋め込んだ。
「あ、あっ、うぎゃーーー」
快楽とも苦痛ともつかぬ悲鳴が女の口から漏れる。
「だめ、気持ちいい、出ちゃうやめて、出ちゃうの」
沙織が近寄って行って、いきなりバチーーンと女の頬に右手で強烈なビンタを見舞った。
「大丈夫、ストッパーは強力よ。浣腸液の一滴と
漏
れやしないわ。早く出したければうんとおまんこ締め付けて、早くちんぽ四本ともイカせなさい。ま、もっとも五本目が居て、カレは簡単にはイッてくれないけどね。結局は一時間たっぷり苦しんでお客様を楽しませることになるのかしらね。でも、苦しいより本当は気持ちイイだと思うけど、どうなの」
女のあごに手をかけて、沙織が女の目を覗き込む。
「いい、いいっ。気持ちいいです」
ふたたびバチーンと沙織のビンタが飛ぶ。
「気持ちいい、って言うときはどこがってつけなさいっていつも言っているでしょう」
「あ、あん、お、おまんこが、おまんこの奥が気持ちいいです」
「おまんこだけなの」
「お、お尻も、う、うんち我慢しているお尻も感じます」
「そうでしょう、あんたが浣腸大好きの変態マゾ女だなんてことは、みんなわかっているんだからね。遠慮することないのよ。うんと楽しんで、そして苦しんで素敵な見世物になるのよ。ほら、スイッチも入れてあげるわ」
沙織はポケットから、ピンク色の四角い小さなスイッチボックスを取り出すと、カメラにそれを向けて、何やらスイッチらしきものを操作した。
「あ、あっ」
「お、おっ、すげっ、締まりもすげーが、尻の穴から壁越しに波動が来る…。駄目だイクぞ」
責め立てていた男は、そう言うとピストンのピッチを一気に速めた。
「だめ、止めて。そんなにしたらイッちゃう、苦しい苦しい、あ、あ気持ちいい、感じる、イク、おまんこイキます」
女も歓喜の絶叫をあげる。
「出すぞ」
「き、来て。あ、イッちゃう、お、おまんこイクーーぅ」
根本まで突き込んで、男が射精を果たすと、ゆっくりとそれが抜かれる様をハンディカメラが横から捉えて、隼人たちの前のモニターに映し出す。
すかさずひとりの女が尻に跨り、両手で性器を拡げて、男の放ったザーメンが滴り落ちるのを後ろに回ったカメラに晒け出した。
生々しいまでのピンク色がモニターの画面一杯になる。
「はい、次」
沙織の指示が飛ぶ。
「や、やーーん、もう駄目ぇっ。出させて、おトイレ行かせてください」
ステージ脇で他の女にフェラチオさせていた次の男は、背こそ低いものの、それ故に目立つ持ち物を女の唾液でテラテラさせながら、急角度に勃起させていた。
「お、おーー、きつい」
「と、止めて。せめてお尻のバイヴ止めてください」
女が沙織に哀願する。
もちろん、沙織はその声には耳も傾けず、男の方に、ぐっと入れろと目で合図を送った。
「お、おっきい。壊れる。おまんこもお尻も壊れる。や、破けるよぉ。う、ううぅっ」
「お望みなら後でもう一回やらせてあげるから、手加減せずにガンガン突いてやってね」
「い、も、もう駄目、すぐ、すぐイっちゃう」
女の声が裏返る。
男は自信満々に一度根本まで突き込んだものの、すぐに腰を引いて、抜けてしまうかしまわぬかのギリギリまで引いて、そこからは砲身の半分程度を入れては抜くというストロークで悶絶する女の反応を楽しんでいる。
「い、いや。入れて、奥まで入れて。い、イかせてください」
バチーーン。
正面に立った沙織が再び無言で右手で左頬にビンタを放つ。
「い、イクっ。も、もっと。さ、沙織さま、もっとぶってください」
バチーーン。
反対側の頬にもビンタが飛んだ。
「い、イクぅっ。で、でもおちんぽも、おちんぽさまもお願いします。奥、奥までください」
バチーーン。
再び、左の頬。
「どこに欲しいって」
沙織は厳しい声で言い放つと、再びバチーーンと左頬を打った。
「おまんこ、おまんこの奥にください、お願いします。あんもっともっときつくして。お尻も、お尻もぶってください。あと、あとお口にも一本おちんぽ下さい。おしゃぶりもさせて。喉使ってください、イラマしてぇっ」
女はどんどん貪欲さを露わにしていった。
「今日はお口はダメよ。あんたの口使えるほど、男用意してないしね。それにあなた、これからはもうオマンコして貰えるかなんてわからないんだから、今日はとことんオマンコよ」
次の順番を待つ男が、別の裸の女にフェラチオさせているが、女には我慢しろと沙織が言う。沙織のこの言葉の意味を隼人が知るのは、もう少し後のことだった。
男は三回ほど深く突き入れると、また浅いピストンを、そして一度深くすると、また暫く浅くするというやり方で、女を焦らす。
「お願い、お願いします、イカせてください。深く深く、じゃなきゃお尻に鞭ください、ぶって下さい」
カメラを意識しているのかもしれぬが、なかなかのマゾっぷりで隼人を感心させた。
「鞭よりも、マングリにしてガンガンやらせていただいていいですか」
男が沙織に伺いをたてると、沙織はすぐさまうなずき、まわりの女たちに協力するように合図を送った。
「いゃぁ、抜かないでぇ」
女が絶叫する。
「ほら、反対向きになりなさい、またすぐ貰えるんだから」
「さあお嬢さん、遠慮なくやらせて貰って、思いっ切り中に出させてもらうよ」
女たちに反対向きにされ、性器がこちら側に丸見えになるように体をふたつに畳まれるが、女はすでに全身に力が入らないようだった。
巨根で擦られ引き抜かれた穴は、まあるく内部の充血したピンク色をカメラに晒し、白濁液が溢れ出してくる。
「い、いいーーっ、もう壊れる、壊して壊して、おまんこ壊して」
男が荒腰を使い始めると、女の絶叫はほとんど悲鳴といっていいものに変わった。
「いくぞ」
「ください、ザーメンいっぱいください。おまんこおまんこおまんこいくいくイクーっ」
男も中で果てた様子だ。
四人目の男が終わって時計を見ると、スタートから四十五分が経過していた。
浣腸に慣れている女でも、あれだけの大量注入だとすでに限界を超えているだろう。
しかし、最後の男が離れると、沙織は
「誰かひとりあれ、つけてらっしゃい」
と、まだ排泄を許すつもりはないらしく、キラキラとした目で女の顔を覗き込んでいる。
沙織の言った「あれ」でわかるのか、一番右側の女がすっと立ち上がると、奥へ下がった。
一分もしないうちに、再び登場した女には、腰に男根が生えていた。それも、よくある真っ黒だったり真っ赤だったりというものではない。いかにもリアルな男性器を模したものだ。
「あらあら、あれ」
くすっと、隣の瑞花が笑う。
「あっ、やだー」
ショーが始まって以来、というよりも今夜数年ぶりに再会してから、「先生、お帰りなさい」とペコリと頭を下げて以来、言葉を一度も発しなかった乃里子までもが思わずといった様子で声を出した。
「さて、お尻も一回抜くわよ。一滴でも漏らしたら後でひどいからね。お尻の穴に力入れなさい」
沙織が女に声をかける。
「む、むりですー。漏れちゃう」
「お尻の穴、もっと顔に向けておあげ」
押さえつけている女たちに命じると、男根ベルトを巻いた女を招き寄せる。
「いや、ホントに無理なんじゃないのか。ストッパー付きの栓とただのディルドーではわけが違うだろう」
隼人は思わず瑞花に言う。
「うふふ。そうかもね、漏らしちゃうかも。でもね、今のうちの奴隷たちには今から入れられるあれは神聖なものなのよ。そう教育されているの、全員。ね、あれ、よーく見てみて」
瑞花の言葉に女の腰を見る。それをつけた女は、いかにも大事そうにそしてまるでそれが自分の体の一部であるかのようにその先端を扱きながら恍惚とした顔をしていた。
「女の子の顔じゃなくて、おちんちん。ね、わかんないの」
隼人の様子を見て、瑞花がすかさず言う。
「あれを入れられているときに、うんち漏らして汚したりしたら、最高刑は電気鞭。ものすごく辛いんだから」
そんな責めを受けたことがあるのか、乃里子がふたたび言葉を発した。
「ドバイ行く前に、乃里子ちゃんにせがまれて作ったでしょ」
「あ、ああっ」
隼人はようやく合点がいった。
妙にリアルだと思ったそれは、自分自身のものを模したものだったのだ。
そう言われてみると、確かに自分の勃起時とそれは「等身大」で、色つやから先端の形までうりふたつであった。
「今、うちで使っている張り型はみんなあれよ。というか、きっと後でもっと凄いものが見られると思うわ」
また瑞花がくすりと笑う。
「でも、ママったらひどいのよ。先生に断りもなく、ちっちゃいサイズのも作っちゃったんだから。乃里が最初貰ったものなんだからって乃里は大反対したのに、うちのは全部どの大きさも先生の色形にするんだって言って」
うち解けてきた乃里子の言葉で、瑞花の言わんとしていることもおおよそ想像がついた。
カチリと音がしてストッパーが解かれ、それそのものもバイヴレーターになっている肛門栓が沙織の手でずるずると引き抜かれる。
「う、うーーっ」
すかさず、腰ベルトの女が覆いかぶさって、女が必死になってすぼめている穴に、それをあてがって、上から体重をかけた。
「う、い、痛いぃっ」
「あら、そんなこと言っていいのかしら」
「ご、ごめんなさい。入れて、奥までお尻の穴の奥までおちんぽ様入れてください」
先程まで入っていたアヌス栓の倍の太さのものは、それでもあっさりと根本までねじ込まれた。
「もう一回クリに電マ当てながら、おまんこの穴舐めておあげ」
他の女たちがそれに従う間に、沙織がステージ裏へ一度引っ込む。
沙織が再登場する五分ほどの間に、女はまた数回絶頂の悲鳴をあげた。
とろけきった体に、本来の用途を逸脱したマッサージ器は相当強力に作用しているのだろう。
沙織は、裸になって、黒のTバックショーツ一枚に腰ベルトで出てきたが、それは隼人の想像通りのものだった。
「あれで、上から二番目。一番大きいのはフィストやれる子でも入るか入らないかってくらいで、あれはちょうど倍の大きさのやつ。倍といっても、直径と長さが倍だからすごくおっきいわよね」
瑞花が舌なめずりでもしそうな口調で言う。
「乃里子の言うのも、もっともな話だろうけど、でかいんだったら失礼じゃないってもんじゃないだろう。いや、むしろもっと失礼なんじゃないのか」
隼人は苦笑いしながら言った。
ついそれに目を奪われたが、沙織の見事な身体をじっくり見て隼人は改めて感心をする。
自分がドバイに行っている間に一度妊娠して出産している筈だが、今は既に体型を完璧に元に戻していた。若い頃に乃里子を産み、つい何ヶ月前かにもう一人赤ん坊を産んだとは、とても思えない身体だ。その肢体に乳房だけが一回り以上大きくなっているのだ。
どちらかというと豊胸手術には賛成じゃないし、もともと乳房が小さかったわけでもない沙織に何故にと当時思ったものだが、実際に目にすると、それは本当に見事な出来映えだった。
「乃里子、ママのおっぱい何カップだ」
「Hカップ。おばあさんになってもおっぱいだけあのままなんて惨めだわ、ママ」
さすがに自分の親が豊胸手術をしたことを快くは思っていないようだが、しかし沙織が自ら望んでしたわけでもなく、それも乃里子とてわかってはいることだ。
「さあ、脚もっと思いっきり開きなさい」
「ム、無理ぃ。も、もう苦しいの、先におトイレいかせてください。お願いします」
「駄目よ」
体をふたつ折りにされた状態ですでに肛門に一本入れられているわけであるから、やる側もとても窮屈な体勢になっているが、それでも沙織は、疑似男根を女の性器に何度か擦り付けると、おもむろに極太のカリの部分をめり込ませた。
「い、うっ、あ」
女の口からは悲鳴とも歓喜ともつかぬ声が漏れるが、無事、その体積にすれば隼人の四倍ある亀頭が性器内に没入した。
「い、イクぅ。あ、だ、駄目。お尻は動かさないで。お、おまんこもお尻の穴も壊れちゃう。や、やめて」
メリメリという音がしそうなほどの迫力だが、さすがに沙織は動きにくいらしく、肛門に挿入している女が沙織の後方で腰を動かして女を責めていた。
沙織はその女の手をつかむと、自分の乳に導き、自らの左手は黒Tバックの上からクリトリスを擦っている。
女三人、なんとも卑猥な光景だ。
四方から生贄を押さえつけている全裸の女たちも、空いてる手でオナニーをはじめる。
「ほら、何がどこに入ってるの」
沙織の声も先程よりうわずってきていた。
「か、会長様のおちんぽが、おちんぽ様が美冬のおまんことお尻の穴に入ってます。ま、またイッちゃう。もう駄目、く、苦しい。でも、いく、イクーーっ」
沙織が挿入してから十分、大量浣腸から一時間以上が経過して、女はようやく排泄を許された。
もちろん、カメラの前でである。
【二】二〇〇六年八月
三田村隼人
母と娘
「お帰りなさいませ、長い間お疲れ様でございました、先生、いえ、会長」
薄紫色に大胆な赤い大きな花柄を模した和服姿で、いっそう艶やかな雰囲気を醸した沙織が、三つ指をついて隼人の前に深々と頭を下げた。
斜め後方でやはり正座をしているレモン色のワンピース姿の乃里子も、こうして向き合ってみると、少女時代の面影を色濃く残しつつも、一足飛びに大人の女になったような、そんな印象を隼人に与えた。ほんの数年前、学園を卒業したばかりの頃に、会員向けビデオにセーラー服姿で出ていた時の、子ども子どもしたイメージからは、ひと皮もふた皮もむけている。
ドバイ赴任中に何度か向こうの人間と一緒に見た、ビデオの中の当時の乃里子とは、顔立ち以外は全く別の女がそこに座っているかのような、大人の落ち着きを身につけていた。
「ああ。まさか親父にこんなにあっさり逝かれてしまうとは思いもよらなかったよ」
「はい」
顔をあげた沙織の、着物の襟元を窮屈に押し上げている胸元に目がいく。
「いずれにせよ、向こうに行っている間、瑞花ともども『会社』を守り抜いてくれたことに、改めて礼を言っておく。しかも、すっかりドミナの役も板についていたじゃないか」
「お恥ずかしいです。というよりお席に座っておられるのを見てとってもびっくりしましたわ。すぐにお帰りになられるとは思ってましたけど、いきなりでしたから。会社、と言いましても、わたしたちは『お店』のことだけですし、全体を把握してらっしゃるのはリサさんかと」
隼人は何も答えずに沙織をみつめて、微笑んだ。
「で、やはり美樹さんは」
「ああ。向こうに置いてきたし、籍も抜いた。もう俺の妻という立場ではなくなって、ドバイに残されたわけだ。それでもあいつに才覚があれば、今後またうちの役に立ってくれるのかもしれんし、そうじゃないのであれば、アラブ人たちのセックス奴隷として、あるいはもっと悲惨な立場になって堕ちて行くのだろうな」
隼人は淡々と言った。
沙織はある程度知っていただろうが、乃里子は驚いた顔で隼人をみつめていた。
「あはは。で、乃里子の方はどうだ、変わりはないのか。さっきは随分と俺につんけんしていたようだが」
目線を再び後方の乃里子に移して言うと、乃里子は急に悪戯っぽい目をして、口唇をついっと尖らせた。
「もう乃里子は、先生先生と、明けても暮れても言っておりましたのよ。でも、先生からはなんの便りもないし、メールが使えないわけじゃあるまいし、このインターネットの時代になんてひどいの、と自分のパソコンどころか、私のにまで八つ当たりをしたりして」
乃里子の頬に微かに赤みがさした。
「ほう、それで行く前に作ったあの張り型はお役に立てたのかい」
からかう隼人に、乃里子は今度はぷいっと一度横を向いて、ますますご機嫌斜めを演じてみせる。
随分と雰囲気が変わり、大人になったものだと隼人が感じていることを敏感に察知して、少女っぽさを無意識に演出しているのだろうか。しかしそんな様子にまで、当時にはなかったアンバランスな色気があるのには、隼人も感心せざるをえなかった。
「乃里子、きれいになったなぁ。ママより先に、裸、見せてみるか」
穏やかに尋ねた隼人だが、乃里子はパッと目を輝かせた。
「あ、あ、はい、はい」
「ハイは一回よ、乃里ちゃん」
いくつになっても子供なんだから、と沙織がすかさず嗜める。
「下着は」
「下は、履いています」
ショーとか見てると服汚すので、と乃里子は小声で言った。
「じゃあまずそれ」
隼人が手を差し伸べて、パンティを脱いで手渡すように促す。
乃里子は、一瞬隼人の表情を盗み見ると、ゆっくりと立ち上がった。
もちろん、この場で裸にされることは先刻承知の上であろうし、ここで躊躇する理由もない筈だ。
立ち上がってスカートの中に両手を入れ、一気に脱ぎ降ろす。乃里子が左手に手にしたパンティは、ワンピースのレモン色を少し淡くしたようなきれいなクリーム色だった。
「ご覧下さい」
奴隷の作法に従い、畳んで隼人に差し出してきた。
天井からの光に晒され、つい今しがたまで乃里子の股間を覆っていたそこだけ白い布の部分は、乃里子の言うとおり、ねっとりとした液がたっぷりと付着していた。
「淫らさには、さらに拍車がかかったようだな」
隼人は乃里子にではなく、その母親の沙織に向かって言った。
「先生のアレを使ってするこの子のオナニーショーは、ハードなSMショーに匹敵するくらい人気なんですよ」
母親の暴露に、乃里子は所在がないといったように、「先生、服、もう服も脱いでもいいですか。乃里の体、おっぱいもおまんこもご検分下さい」
こういうところは、二十代前半の頃から変わらないな、と隼人は思った。
「乃里子はもう店には出していないんだって」
とりあえず乃里子の言葉は黙殺して、沙織に問うた。
「はい…、いいえ。今は特殊なケースと、ショーの時だけです」
特殊ケースという言葉に隼人が怪訝な表情をしたのを見て、乃里子が言葉を継ぐ。
「先生がドバイに行ってから、もうわたし他の人となるべくしたくない、先生以外とは嫌って瑞花さんに言ったら、何故か認めてもらえちゃったの。ショーそれもママやリサさんとのレズのショーと、ひとりで裸になっておまんこお見せしてオナニーするのだけ出ればいいから、って。ただ、予約が埋まってたからゴールドの人全員とはママと一緒にしなくちゃいけなくって、でもそれがもうずっと前に終わって。そして先生ドバイ行ってからはゴールドに新しい会員さん入っていないでしょ。特殊ケースっていうのは他の女の子と一緒に行ってその子に命令するとか、それもゴールドの中でも特に偉いひとだけ」
それにしても、この会員制倶楽部を立ち上げた時から、コンピューターやネットワークを駆使していたし、まして今やインターネットの時代である。ドバイという東京との距離だけは遠い地であるとはいえ、熱海や大阪に居るのとなんら変わりのない情報をやり取りできる環境も整っていながら、この手の女たちに関する情報は伝わって来ていなかった。シルバーからゴールドへの会員の昇格などがストップしているというのも初耳だ。
これらのことが、次期会長の座が事実上約束されていた隼人の耳に入ってきていなかったのは、そのような余計な情報はわずらわしいだけだろうと、死んだ三田村が判断していたからなのだろう。
まして本人がどんなに望んだとて、乃里子が会長の奴隷でかつ倶楽部の会員に貸し出されるための存在でもあった以上、それがトップの判断なしに変更される筈もない。
ロシア支部を統括している寒河江の義理の娘にあたる、などということも、乃里子が既に置かれていた立場からすれば、なんの意味も持っていなかったし、寒河江自身が義理の娘の処遇について言及や依頼を前会長に対してしたとも思えない。
ようは、いずれ戻ってくる隼人が、乃里子に特段に目をかけていたことがその理由なのだろう。隼人は自分の想定よりもはるかに早く逝ってしまった男の顔を改めて思い浮かべた。
「全部脱ぐ前に、先に肛門見せろ、お前もだ」
乃里子に言うと同時に、着物姿の沙織にも命じた。
先に乃里子を裸にすると言ったものの、やはりその母親の沙織にも食指が動いたのだった。この大きな娘を産んだ母親とは思えないほど、和装でいてさえも年齢を感じさせず、落ち着いた居住まいをして自分を見ている女が、その娘以上に変化しているのではないかということに気が付き、何故か少し居心地が悪いような思いにとらわれたからだ。
はい、と小声で返事をした乃里子がゆっくりとした動作で後ろ向きになり、手をついて四つんばいになる。
少し後ろに座っていた沙織も、乃里子に並ぶと娘よりも先に着物の裾を捲りあげた。もちろんパンティはおろか和服の下は何も身につけていない素肌だった。
慌てて乃里子もワンピースのスカートを腰の上まで全て捲り、白くて小ぶりな尻を剥き出しにした。
母と娘でこれほど違うかと思うくらい尻の大きさが違っている。
一緒に調教したり、片方を見学させてもう一方を折檻したことは幾度となくあったし、並んで立たせて乳を見たことはあっても、こうして四つんばいで尻を並ばせたことはなかったかもしれないな、と隼人は思った。
元々乳房を見ることは好きだったが、尻への興味は希薄な方だった。
「見せろ」
手を後ろにまわして、自分で尻たぼを拡げて肛門を見せろという命令だ。
「せ、先生、いつからお尻がご趣味に」
乃里子が命令に従いながらも、羞恥を紛らわすかのように疑問を口にする。
特に乃里子に対しては、胸を見せろとか性器を見せろと命じたことはあるが、その分あまり尻を見せろという要求はしてこなかったかもしれない。
「あら、ママはいつもお尻見ていただいていたわ。鞭の傷をお見せしていていたという方が正しいけどね。白いままのお尻を見ていただけるなんて、戻ってこられて早々嬉しいですわ。乃里子より先に、母親のあたしのヒップを鞭責めしてくださいませね、先生」
丸い尻の肌の色はさすがに親子だけあって似ているが、それぞれが拡げて見せた肛門の形状はまるで違っていた。
「乃里子は、結局客にはやらせなかったのか」
「ええ、娘はお店に出ていたときも前…、オマンコだけですわ」
乃里子ではなく沙織が答えた。
「いやっ、ママ」
「ふーん、で、その『前』は何人の客に使わせたんだ」
「えっ」
乃里子が口ごもると、また沙織が横から口を出す。
「ゴールドの会員さん全員。ゴールド会員は今八十人ですけど、ちょうど十八人が入れ替わりましたから九十八。私の知る限りでは、他に娘を使われましたのは、先生と寒河江だけですから、ちょうどぴったり百人でしょうか」
貴女が、私たちに内緒で他の若い男にやらせてなければだけど、と声のトーンを少し変えて娘にも言った。
「ホントに、ぜ、全員にやらせたのか」
知っていたことを敢えて乃里子を煽るために、少し驚いて見せる。
少しは申し訳なさそうにするかと思った乃里子だが、それについてはまるで隼人に責任があると言わんばかりの口調で、「はい、ゴールドの方全員にママとセットで呼ばれましたけど」
と、乃里子が答えた。
「そうなんです。その予約を全員とこなすまでは不公平だからと前会長は思っていたみたいで、ひとり残らず二人で呼ばれました。それで乃里子のことは、あとは先生が帰ってきてからその処遇を決めるということになっていましたので」
母親の方がむしろ申し訳なさそうに付け足した。
そうしてふたりとも会話をしつつも、手の力を緩めるなどという不手際もなく、すみれ色と薄茶色の肛門を並んで剥き出しに見せつけたままである。
会員の入れ替えやゴールドへの昇格なども隼人が戻るまではと、前会長の命令で凍結していたのだ、と沙織は説明した。
「よし、立って全部脱げ」
しばらくの間、離れていたとはいえ、そしてある意味まだまだ女として磨きがかかる年頃とはいえ、服の上から見たところ乃里子の裸体にはさほどの変化があるとは考えにくいが、一方の母親の沙織は、先ほど離れた場所から見た豊胸後のHカップは見事な出来映えで、それをもう一度間近で確かめるのは楽しみであった。
「ところで、赤ん坊はどうしている。というかどっちだったんだ」
「あ、はい、残念ながら女の子でした。寒河江は実は男の子がいいと思っていたらしくて、少しがっかりしたみたいです」
「あはは。さすがの先輩も、女の子だ、さあまた新たな生贄だとまでは思わないってわけか」
「うふふ。まあ今度はご自分の種ですからね」
「ん、先輩の子供だとはっきりしたのか」
「ええ。もちろん私は出来たときからそう思っておりましたけど。女はわかるものなんですわ。でも、産む前はDNA鑑定するか、まあそんなことは気にしなくてもいいとか、近づくにつれて寒河江も電話のたびに色々言ってましたけど、生まれてみたら…」
と、帯を解くなどの余分な手間のある母親よりも、ひと足先に全裸になった乃里子が言葉をそこで継ぐ。
「もう、誰がどうみても、百人の人が見て百人が全員、ああ寒河江さんのお嬢様ですね、って言うってくらいパパにそっくりよ」
乃里子は
躾
けどおり、手を頭の後ろで組んで背筋を伸ばして胸を見せつけるように突き出すポーズを取る。両足は肩幅以上開くというのも、二十代前半から繰り返しさせられていることで、当然のごとくそうしているが、自分の幼い異父妹の顔を思い浮かべたのか、表情は緊張感とはほど遠いものだ。
「で、娘におっぱいは」
ようやく襦袢をはらりと床に落とし、乃里子のすぐ横に並んで同じポーズを取った沙織がくすりと笑う。
奴隷牧場2 闇の相続人 第1部分 (1/6)
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