奴隷牧場2 闇の相続人 第6部分 (6/6)
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沙織の方からそのことに触れないのも何か理由があるのかもしれなかった。隣に居る乃里子も、自分の帰国以来、義父のことは一切口にしていない。ふいに今、そのことに触れたら乃里子はどんな顔をするのだろうか、と思ったが、「会長様、いかがでした、この人」
優菜と花純が席にやってきたのを潮に、一時そのことから頭を切り替えることにする。
優菜はひざまずき、花純は目の前のテーブルへと上がる。
花純は先程同様全裸にネームプレートを首から下げただけ、優菜は薄物のピンクのドレスを身に着けていたが、その下がすでに裸でパンティすら身に着けていないのが、ライトの光に透けてはっきりとわかった。
「もう、一回お逝きになられたそうですね。私で回復して差し上げられますかしら。次は究極の喉フェラ女を愉しんでいただくのだから、私は中継ぎ登板に徹しますので、どうぞゆるりと愉しんでくださいませ。ご指示もなんでもしてくださいね」
優菜がそう言ったのと同時に、曲がガラリと変わって、激しいリズムの一曲目が店内に流れはじめた。
ドバイに行っていた二年間は、いわゆるVIPの客分待遇であったし、研修という名目とはいえ、充実もし、かつサディストとしての欲望渇望も充分に満たされた素晴らしい日々であった。
しかし、その二年の間に確実に衰えたと自分でも認識せざるを得ないのが「回復力」だ。
こういう店に来る客は、三回射精していいと言われたら、大抵きっちり三回していくという。それも女の子達にはギリギリまで楽しませて二十分ギリギリでと申し渡されているという店だし、テクニックを身につける気のない女はどんどん淘汰して入れ替えているのは開店時から変わらないと思われるから、テクニシャン揃いの店だ。体力さえあれば三回というのも実際無理ではないのだろう。
店側にとっても、目的そのものがそこにあるからだ。
どんな状況でも五分もあれば、そして必要な時には確実に射精させられる技術の習得と、その気持ちのある女の獲得。
そして女達もまた、店のルールどおりに客を射精に導くことで手にする給料もきっちり増えるから、それなりに真剣勝負で挑む。
さて、優菜が今現在どんなサービスをするのか。初めて会った当時からその卓越していた技術は、この二年でさらに向上しているのか、そんなことにも興味はあった。
「でも、俺も
流石
に一時間に三回はキツイぞ」
乃里子の耳元で言うと、「そういう意味では、一回目イク気なんて全くなかっただろう先生を、その気にさせたオクサマたいしたもんでしょ」
そう誇らしげに答え、乃里子は、テーブルの上にまっすぐ立って手を頭の後ろにという最初のポーズになっている花純を見た。
斜め下から見上げていることになるが、確か子供は産んでいないはずの人妻の乳は、三二十代前半ときいているのに、二二十代の娘のように充実した形を保っていた。特に左の乳は芸術的なまでに美しい。
優菜の方は、玉袋全体に舌を這わせつつ、右手を微妙なタッチで先端に絡ませ、わずかに擦り、そして少しだけ力を込めてそこを握るといった、ソフトタッチながらこちらの脈動を誘うような動きからスタートしている。
「給料のシステムとかは変えたのか」
それはそれで楽しみつつ、乃里子に質問する。
「いいえ。基本的な決まり事とかは最初の頃からずっと一緒だと聞いてますけど。ただ例のパソコンオタクちゃんのお陰で、入力とか管理とか、それから評価とかはものすごく簡単になって、そのくせルールはいくらでも複雑に出来るようになったみたいですけど」
この店の目的は、既に組織に所属している女達のフェラチオ技術の向上と耐久力の養成、そして新人の発掘だった。特に発掘という意味では、ここの力は決して小さくないのだった。
昔は伝言ダイヤルというシステムがあって、それをうまく利用してM女を発掘していたのだが、それが世の中で規制され、多分先代会長の力を持ってすれば自分たちだけはその規制を逃れて使い続けることも出来た気はするが、目立ちすぎても困るなどの理由もあったのであろう。
内部での通称「奴隷牧場」と呼んでいる高級秘密倶楽部の運営には、どうしたって定期的に新たな女の供給は不可欠である。慣れ親しんだ女と三回楽しんだら、一回は新しい刺激を欲しいと思うのは道理であったし、ショーなどにおいても新しい女は大事なアイテムだ。
この店と寒河江のロシアルート、これが今や新人女奴隷の二大供給源だった。
「と、いうことはこいつが今俺を逝かせると、そこの彼女の倍とか貰えるわけだな」
花純を目で指す。
「システム上はそうですね。奥様にもそして優菜ちゃんにも払わないでしょうけどね」
乃里子は楽しそうにケラケラと声に出して笑ったが、もちろん店内の激しいリズムの音楽にかき消されてしまっていた。
先代会長の考えだったのだと思うが、フェラチオの技術力は女のマゾ性とある程度比例するというのが、今では組織全体のひとつの考え方として浸透していた。
その考え方があるからこそ、この店の存在意義があったし、実際その通りに機能してきたのだった。
よく「奴隷女の穴三つ」という言い方があるが、性器や肛門で男を楽しませるということに対して、技術の向上を本人に求めるというのはなかなか難しいが、口技だけはそうではない。
本人の努力と経験でいくらでも使い勝手の良い穴、奴隷として、より男を楽しませることの出来る性器になるからだ。
そして、ここでの成績がいい女は、組織にとっても使い物になる。
仮にMじゃなかったとしても、フェラチオが上手ければ活かしどころはいくらでもあった。
いざとなればドバイにも売れる。
日本人の女で、特に高いフェラチオの技術を身につけている女は、あちらでも大人気なのだ。
「しゃがまなくていいからずっとそうして立ったままで乳見せてろと言え」
乃里子に命じる。
各テーブルで女達が同じようなポーズで立っている時と、ひとりだけ立たされている状態では後者のほうがMの心をくすぐるだろうと、さっきの翔という女の時に思ったからだった。
性器や肛門は、後でじっくり検分すればいいのだ。
時々こちらに視線を送って様子を確認しつつ、玉舐めと尻舐めを一曲目の間ずっと続けていた優菜が、二曲目に変わってすぐにいよいよ男根を口にする。
まだ力を取り戻していない半勃ちのそれを、根本まで一気に飲み込むと、そのまま舌をぐるぐると口内で回してくる優菜の必殺技のひとつである。なんといっても勃起させないことには、射精はままならないわけだから、まずは男を勃たせることに没頭する。
最初に出会った時から、そのフェラチオの技術は卓越したものがあり、本人たちはその結果どうなるかは知らなかったのだが、香港で組織が会員たちへの余興として行ったフェラチオ早抜き対決も圧勝して日本に凱旋している。負けた女たちは香港からそのままドバイ行きだった。
そんなこともあって、今ではその実力が、組織の上級会員たちにも知れ渡っている。
そして、現実に今目の前の一段高いところで、背筋を伸ばして乳房を見せている、夫に口が小さくてフェラチオがいつまでたってもうまくならないと嘆かせた人妻を、短期間で、自分を二十分で逝かせられる女に育てあげてもいた。
隼人のものが少し力を漲らせてきたとみるや、口唇をすぼめた上下運動に入るが、口内で舌が暴れまわることに変わりはない。こればかりは教えてもなかなか出来るものではなく、またその上下する口唇も亀頭部分まで上がってくる間に九十度以上首を捻らせるローリングを加えたもので、さらには一番奥まで飲み込んだ際に、舌を口から出して玉を刺激するという凄技まで見せる。
まだ二曲目の半ばにもいかないうちに、隼人のものは最大限まで急回復させられていた。久々に味わう彼女のテクニックの一層の磨きのかかりように舌を巻き、このまま任せきって、もう一度逝かせられてしまうならば、それもまた悪くないか、と思わせた程だった。
乃里子も、彼女の動きを食い入るように見ていた。
このところ行動を共にしていることが多いようだし、実際目の前の人妻花純の調教も一緒にしてきた筈であるから、優菜のフェラチオを見る機会は多いと思うが、「職場」での優菜のそれはまた一段と違うのだろうか。
二曲目がフェイドアウトで終わると同時に、店長と思しき男のささやくような声が流れる。
新店長として沙織に抜擢されたという男は、ひと昔前の市役所の出納係のような風貌の、どこか冴えない男に見えた。
「皆様、調子は如何でしょうか。それでは花びら回転二人目の真ん中名物、三分間のダウンタイムに入ります。音も光もない世界をお楽しみ下さい。それでは照明、消させていただきます」
すーーっと、明るかった店内の照明が落ちていき、真っ暗闇になった。
同時に優菜が必要以上に音をたててしゃぶりたててくる。優菜だけではなく店内全体に女達が口でそれぞれの客の男根に奉仕しているであろうペチャペチャという音だけが充満していた。
優菜のフェラチオは、ストロークの深いディープスロートでの上下に入り、一度逝ったばかりとは思えぬ快感が押し寄せてきた。
「先生、ちょっと行ってくるね」
乃里子がほっぺたにチュっとキスをして、ようやく少し暗闇に慣れてきた目に、白いセーラー服が立ち上がるのがわかる。
優菜は三十秒ほど激しく攻め立てたが、すぐに口から一度それを抜き、舌を這わせつつ、玉舐めに移る。ここで取って代わった彼女のどちらかの手は、フェザータッチで亀頭を触ったかと思えば放す、絶妙の触り方をして、隼人を感心させた。
ますますテクニックは磨かれているし、今ここで激しく擦りたてたりした場合に暴発するかもしれない、という計算も出来ている。
そうかと思えば、ふわりと幹の根元を手のひらで包み、スーーッと上まで擦り立てるという動作を、玉から尻へと舌を滑らせながら加えてきたりもする。
まわりからは、しゃぶりたてる濡れた音に混じり、数人の女の小さな「あん」とか、手を口に当てているとしか思えないくぐもった「いいっっ」といった声のようなものが聞こえてきた。
スッ、と優菜の口唇も舌もそして手も遠ざかると、立ち上がる気配がして、闇の中で優菜が膝の上に乗って抱きついてくる。
「先生、わたしにもちょっとだけください」
言うと同時に、濡れた柔らかい部分に一気に呑み込まれる。
キスしようとしがみついてくる優菜の耳元に、「この声はなんだ、暗闇は本番のためか」
と、いいながら、キスは駄目だと人差し指を口元に押し付けて意思表示をしてやる。自分の尻を舐めてきたばかりの口を吸ってやるというのも、組織で役立ってくれている女へのサービスではあろうし、応えてやったっていいのだが、取り敢えず自分の問い掛けへの答えを言わせるためだ。
この店が取り締まられるような心配は百パーセントない筈だが、喜んだ客がネットに書いたりして面倒なことにならぬのだろうかと思ったのだった。
「大丈夫、あたしだけ、そしてあたしだってこんなの会長にだけですから。このエッチな声ですよね。お忘れでしたかしら、暗闇の中には男性にサービスしていない女たちが、おんなじ数だけ居るってこと」
返事をしながらも、味わうように腰を上下させてしっかりと膣で男根をしごきあげてくる。
首に手を回して、抱きつきながら今度は耳元に口を寄せてくる。
「あん、おっきい、おまんこ気持ちいいです。もうおまんこ逝っていいですか」
小さな声への返事のかわりに、ほっぺたにチュッとしてやった。
優菜は、さらに腰を二度ほど上下に深く動かし出し入れしただけで、ピクンと身体を震わせて、軽く逝ったようだった。
スッと抜かれて、今度は優菜の方でほっぺたにキスをして、身体を離してふたたび床に跪く。
それと同時にまたフェラチオがはじまるが、数往復、今自分自身の愛液で濡らしたものを舐めとるような動作だけすると、ふたたび玉から尻穴への舐め奉仕へと下がっていく。
先ほどまではすかさず口の代わりに手が伸びてきたのだが何故か今度はこない。
闇の中で、優菜のすぐ隣に、さらに白い肌の裸の女が跪くのがうっすらとわかった。
「失礼します」
小さな声。もちろん乃里子が制服を脱いで来たわけではなかった。
いきなりの喉までのディープスロート。独特の柔らかい口唇ではない何か。
柔らかさと同時に独特の硬さのある、百戦錬磨の隼人でも、今までドバイ滞在中に一度しか経験したことのない刺激が男根全体を包みつつ上下する。優菜は尻舐めに集中し音をたてながら舌を内部に押し入れるような動きをしてきて、このダブル攻撃ではひとたまりもない、と思ったところで店長の声。
「ダウンタイム、ありがとうございました」
消える時とは反対に、いきなりパッと最大限の明るさの照明が女たちを照らした。
「君は…」
そこで隼人の男根を口一杯に頬張って、歯ぐきと喉を使った奉仕をしている女は、先日瑞花と会話を交わしながら見た、沙織との浣腸性交ショーに生贄として出ていた女だった。
【十】二〇〇六年十月
寒河江沙織
饗応
「先生、改めてニッポンに、そしてあたしたちの元へお帰りなさい。そしてグループ総帥として会長への就任もおめでとうございます。それでは…カンパーーイ」
乃里子の弾んだ声での乾杯の音頭に、テーブルについた全員がグラスを掲げて唱和する。
急逝
した前会長の三田村勇輔の唯一の相続人として、二年前ドバイに旅立つ前に養子縁組をして三田村に姓を改めた隼人を除けば、テーブルについているのは全員が女であるから、実に華やかな乾杯であった。
沙織の向かい側に、大沢瑞花。現在、エスタブリッシュメント倶楽部、何故か内部では組織と呼んでいたが、その「調達担当」の責任者だ。ちなみに沙織は「運営担当」のトップで、顧客管理や組織全体についてくまなく目配りをするように、隼人不在の間前会長に命じられてきた。
左回りで、瑞花の隣に牧野リサ。永年、前会長の秘書的な役割をしてきた。「財務総務担当」いわゆる金庫番の役割を担っている。
水沢夏美。この中では乃里子についで若い。調教側の人間として行った隼人とは逆に、奴隷としてドバイで研修経験があり、教育担当のサブチーフのような役割をしている。また、現在も現役で客を取っていた。
夏美については、瑞花が自分の部下に欲しがっていると聞く。
ただ、その瑞花と同年代で、組織に加わったのはずっと後なのだが、隼人が寵愛していたという背景もあり、また自らの経験から厳しく奴隷指導が出来るということで、「教育担当」のトップに抜擢された夏美の向かい側に立って居る植草加奈が、今のところ手放そうとしないようだ。
その右側に、今野麻美。「管理担当」の責任者で、コンピューターを駆使することで、女の子たちの管理、顧客からの予約管理やそれに伴う配置なども担当している。自身もまだ夏美同様、現役の「奴隷」でもある。
そして、麻美と沙織の間に娘の乃里子。
瑞花とリサ以外は、いずれも真性マゾとして会員の男たちに提供されてきた経歴を持ち、狂乱ともいえるマゾぶりに定評のある女たちばかりである。
沙織自身もそうだし、娘の乃里子もだ。
テーブルには、既に乗り切らんばかりの料理が並べられていた。
「やあ、ありがとう。みんな元気そうでなによりだ。会長が突然こんなことになって俺が三田村コンツェルンを正式に継ぐことになった。世間への正式な発表も遅くなったが明日する。会長の方も密葬は済んでいるが、来週お別れ会だ。それが終わるまでは大変だと思うが、みんな宜しく頼む。まあいずれにしても辛気臭いことを望む親父でもないし、それ以外は通常通りやってくれ。今日はまあ美味いものを食べて、飲んで。余興も楽しみにしているよ」
最後は沙織を見て、テーブルの主席から隼人が簡単な挨拶をした。
食事がはじまると、メインの女達以外の女が部屋に入ってきた。
新会長の元に、最近会員の紹介で預かった代議士の妻の花純と、今は入れ歯を入れているため普通に美人顔で長い髪を後ろに束ねている人妻美冬が、隼人の左右で膝をついた。もちろんふたりとも素っ裸だ。隼人が好みそうな乳房をしていると沙織は改めて思った。
このふたりを除いては、教育担当の加奈の隣についたピンク色のワンピースを着ている優菜だけが日本人で、それ以外六人の裸の女がいるが、すベて外国人だ。
それも美月という上海出身の中国人娘以外は、すべて十代から二十代前半の白人の娘たち、東欧やロシア国内から寒河江が送り込んできた女たちだった。
リサのそばに美月が侍り、他の五人もそれぞれ女たちのそばについた。沙織の処には一番小柄な娘が来て、バレリーナのような挨拶をした。
そして、それとは別にタキシードを着てサングラスをかけた男ふたりに連れられて、黒い布で目隠しをされ口にボールギャグを入れられた女が、こちらは薄いピンク色の「白衣」を着たまま入ってきた。胸の上下にきつく巻かれた紫色の縄が、そのただでさえ目立つ乳房をさらに強調していた。
歯科女医紗友里である。
今宵のショーの主役だ。
紗友里は、隼人の後方の一段高くステージ状になっている場所の中央に立たされ、その左右に男二人が立った。それぞれ彼女の後ろ手に縛られた腕を強く掴んだままである。
「食べながら聞いてくれ。実は今から重大な発表をする」
隼人がシャンパングラスを片手に口を開く。
「突然だが…、結婚…いや再婚することにした」
ガシャーン。隣で乃里子が手を滑らせて、ワイングラスを落とした。幸いちょうど一杯目を飲み干したところのようで、赤ワインを撒き散らすという事態にはならなかったが、隼人を除く全員の視線が一瞬乃里子に向けられた。
それでも隼人には驚いた様子もなく、軽くうなづきながらテーブルを囲む幹部の女たち一人ひとりを見て続ける。
「俺も、会長の後を継いで、これから多少は三田村コンツェルンの表向きの顔もしなければならない。前会長も晩年は独身で通したが、今の俺が独身というのは、少々不恰好でもあるしな」
隼人には元々美樹という妻が居たが、前会長の命で、離婚した上でドバイに置いてきてしまったと、先日聞いたばかりだった。
ひと呼吸置いて、隼人がグラスのシャンパンを飲み干す。
「会長、それでどなたと」
一瞬の静寂の後、そう聞いたのは夏美だった。
乃里子が夏美を見て、そして自分の列のひとり置いた向こう側に立っている加奈を見たのがわかる。沙織もその時、相手は加奈なのだろうと思った。
元人妻で重度のマゾ性を持つ加奈は、奴隷としてもすこぶる完成品だといえたが、しっとりとした雰囲気は服を着ていても新会長夫人としてなんら遜色はないと思えた。会長の奴隷として裸の接待にも最適だ。
しかし、隼人が口にしたのは別の名前だった。
「乃里子、ちょっとこっちへこい」
言われて、キョトンとした表情で人差し指で自分の顔を指さした娘。
沙織も隼人を見つめる。
新しいグラスを手にしたばかりの乃里子がそれをテーブルにそっと置いた。突然のことに、僅かに手が震えていた。
「年齢的には、年の差婚とか言われてしまうのだろうが、とっくに奥さんだったような顔をしていればいいし、そもそもお前の年齢も表立っては公表するつもりもない。ていうか、実際はいくつになったんだっけか、乃里子」
ようやくそばに来た乃里子にシャンパングラスを渡しながら問う。
「二十二…歳です」
「そうか。それはやっぱり若すぎるか」
隼人が苦笑する。
乃里子は俯く。
「まあ、ママと結婚するわけにはいかないしな」
「あら、先生。私も寒河江と離婚して、半年すでに経ってますのよ」
隼人の軽口に答えて、娘の緊張を解こうとして言ったのだったが、その娘のほうが思わぬ強い視線を返してきたので、クスリと笑ってしまった。
可愛い、乃里ちゃん。
まさか先生への思いが実るとは思ってもいなかったでしょうね。ママだって、今聞いてあまりにびっくりするやらうれしいやらですもの。
「そんなわけで今、ここで婚姻届にサインしてもらう」
本人の承諾など当然いや不要とばかりに、隼人はスーツの上着の内側から白い紙を一枚出す。すると、沙織の斜め前に居たリサが椅子に置いてあったハンドバッグの中から何かを出して、隼人のもとへ歩み寄った。
印鑑。
それを見た瞬間に、沙織にある考えが閃く。
隼人の方は予め書いてあったらしく、その場でサインをしたのは乃里子だけだ。
「悪いが、ひとっ走り行って来てくれるか」
紙を受け取ったリサが、全員に記入面を拡げて見せた。既に証人の欄にも名前が入っている。
どうやら瑞花とリサは予め知っていたようだった。
「今すぐ、色んなことが変わるということではない。むしろ何もかも今までどおりかもしれない。それでもいいな」
「はい」
「よし、今日からお前は俺の奥さんで三田村乃里子だ。おめでとう会長夫人」
隼人は少し
戯
けた調子で乃里子を抱き寄せた。
やはり…。
先ほどの
閃
きは沙織の中で、徐々に確信に変わっていく。
三田村コンツェルンという巨大な「財産」の相続人となった隼人は、次に自分に万が一があった場合のことを考えたのではないか。乃里子と入籍しておけば、その瞬間から乃里子がその相続人である。
いざという時には、ロシアに寒河江が居る。万が一の際のことを考えざるを得ない巨大な企業グループと財産なのだ。まして表向きのものだけではなかった。
万一の時に、それを継ぐものが決まっていないのは、確かに不安定で危険だ。
便宜上自分とは離婚しているとはいえ、寒河江を今でも盟友と思ってくれているのだ、と感じて、沙織は改めて目頭が熱くなった。
改めて、ふたりを前にした乾杯が瑞花によって行われた。
先ほど一度前に出たリサは、自分の定位置に戻らずに、乃里子の居た場所、沙織の横に来ていた。
「では、ひとっ走り誰か男の子連れて、これ出してきちゃいますね」
と、沙織に告げたリサは続いて顔を近づけてきて小声で言った。
「会長、最後の最後までどちらにするか迷っていたわ。もちろん加奈さんじゃないわよ、沙織さんとよ。でも最終的には寒河江さんに遠慮したかしらね。もう会長なんだからそんなこと気にしなくていいのにね。もし私だったら沙織さんとするわ。でもこの話、乃里ちゃんには勿論ナイショよ」
一時間もせずにリサが戻って来た。
「役所の正式受理は明日の朝だけどね。出した以上はもう新しい会長夫人よ」
リサが乃里子を抱き締めて言った。
女同士何人もの組織体というものは、イザコザや嫉妬などの感情のぶつかり合いが、得てして絶えないものであるが、乃里子は多くの女達に好かれ可愛がられてきた。今では彼女よりも年下の女の子も数多くなったが、最初の頃はひとりだけ十代で子供っぽいところもあったためだろうが、天真爛漫な部分が今もあって、それが好かれる要因のひとつなのだろう。
そして、今はロシア人や東欧や北欧の子までロシアルート、寒河江のルートを通じて女たちが送り込まれてきているが、彼女たちの面倒見もよかった。義父の影響かいつの間にかロシア語を勉強して少し話せるようになっていたし、英会話ならまったく不自由している様子はない。
加奈が責任者になっている、教育担当のサブチーフを日本人担当と外国人担当に分けて、夏美を日本人専任、乃里子を外国人のサブに正式にできないか、相談しようかと考えていたところだった。
役職をきちんと決めないと、組織内の奴隷という立場にあったのに、いつの間にか特権を持ったような形になっているし、それは寒河江と沙織の娘で、かつ隼人に近い女という意味である程度は仕方がないのかもしれないのだが、本人が負い目に思うことはないかと心配もあった。実際、今日のように序列がはっきり出るテーブルの席で、母親の隣とはいえ、リサが用意したのは自分と瑞花に次ぐ三番目の場所で、リサ自身よりも上席だった。
だが、リサは今日のこのことを知っていてそうしてくれていたのだった。
「では、お待たせいたしました。沙織様、今日の本題に」
ようやく乃里子と離れたリサが沙織に、にっこり笑って言った。
そうねそうねそうだったわね、と沙織は数回首を縦に小さく振ると、「実は、わたくしからも皆さんに重要なお知らせがございます」
と、言って、ゆっくりと隼人や乃里子の背後にあるステージへと歩きはじめた。
宴が始まって二時間近くが経っていたが、ステージの上には、相変わらず直立不動のタキシードの男二人に腕を取られて、ピンク色の「白衣」を着た女が項垂れたまま立たされていた。
沙織はその女の前に立つと、無造作にその黒い目隠しを外した。
紗友里が眩しさのためか、目を瞬かせる。ボールギャグはそのままなので口をきくことはできないが、強い視線で沙織を見て、そして女たちが囲んでいるテーブルの方を見た。
「さて、ゴールド会員の皆様には開業以来大変ご好評をいただいている、当ホテル内に開業した『エスタブリッシュメントホテル歯科』ですが、その設立から本日まで院長としてここに居る宍戸紗友里先生が孤軍奮闘、頑張って来られました」
沙織の小さな合図で、テーブルに居る女六人と隼人が拍手をした。
「お陰様で、最近では折角二階に用意した一般のお客様用の診察室を使うことがないくらい、会員様の予約で一杯のようです」
再び、拍手。
「ひとえに、紗友里先生の治療の手腕と、サービス業であることを踏まえた、まさに身体を張った献身的な仕事ぶりが評価されてのことと、改めて会長並びに幹部の皆さんに報告させていただきます」
紗友里の顔が赤く染まるが、目を見るとそれは羞恥なんてもののためではなく、ならば何故今自分はこのような目にあって拘束されこの場に立たされているのかという怒りによるものだということが、誰の目にも見て取れる。
「そのような盛況ぶりということもありまして、歯科医療事業のさらなる、かつ本格的な発展を目指すこととし、検討を重ねて参りました」
また拍手。
「そんなわけでこの度、ゴールド会員の遠山様からご紹介をいただき、帝都国立歯科大学で教授をされていらっしゃる、向井遼平先生を新たな院長としてお迎えすることになりましたので、ここでご紹介をさせていただきます」
全く聞かされていなかった紗友里が、さらに顔を真っ赤にして、今まで大人しくしていたのが嘘のように暴れようとするが、男ふたりの強い力にねじ伏せられた。
沙織が口の中のギャグを外すように、片方の男に目で指示を出す。
「なによそれ。しかもなんで向井なのよ」
口が自由になった途端、本来の勝気な性格も露わに沙織に食って掛かってくる。それでも縛られた腕を強く掴まれていて、身動きは出来ない。
リサが扉を開け一度退出すると、ダークスーツを着た中年の紳士を伴い、すぐにまた入ってきて、そのままステージまでエスコートした。
「皆様、向井遼平です。何卒今後宜しくお願いいたします。三田村新会長、ご就任おめでとうございます。また内緒事とのことですが本日、新たな伴侶をお迎えになられたとか、そのような日に私のお披露目を重ねていただくこと、まことに恐縮至極にございますが、また高い場所からとなり大変申し訳ございませんが、ひと言お祝いを述べさせていただきます。おめでとうございます」
またテーブルから一段と大きな拍手が起こる。
「聞いてない、じゃあ私は辞めるよ。こんなサドマゾごっこももう終わりよ。今すぐ帰るわ、放しなさい」
ふたりの男が腕を掴んで抑えつけるが、紗友里の方も必死だ。
「因みに、そこの宍戸君もわが帝都国立歯科大の卒業生です。大学では私とはライバルいや正直申して敵対する男のゼミの出身で、まあ彼女が在学時には色々と…面倒もかけてもらったといいますか」
「何言ってんのこの色親父、あんたねぇ…」
途中までいいかけたところで、紗友里は突然ぐったりと項垂れた。
沙織がタキシードの男のポケットに入っていたスタンガンを手に取り、紗友里の首に当てた為だ。
「今回、向井先生には院長への就任と同時に、こちらの前院長宍戸紗友里を助手兼奴隷として差し上げることが決定しています。明日からは煮るなり焼くなりご自由にご使用ください。なお、紹介者により向井先生が当倶楽部のゴールド会員にも充分ふさわしい素養と実力の持ち主であると太鼓判を押していただいております」
紹介だけで、向井は退場した。
実に名残惜しそうに、ぐったりしている紗友里を見ていたが、明日からは自分の所有物。一晩たてば、好きにしていいのだ。今は我慢とでも思ったことだろう。
会釈する女達に貫禄で手を振って出て行った。
そんな男の尊大な態度に、彼が出て行った後で、女達は目を見合わせてクスリと笑いあった。
沙織も一瞬隼人と目を合わせて、苦笑いを送るしかなかった。
「それではお待たせいたしました。今夜のメイン、三田村新会長就任歓迎のショーを始めたいと思います」
椅子が運ばれ、銘々にステージを向いて腰をかけるが、瑞花だけは椅子ではなく、金髪の若い娘を四つん這いにさせて、その背中に足を高く組んで座った。
他の四人の白人娘たちと美月は、それぞれ麻美、加奈、夏美、そしてリサの横でステージを向いて正座をしている。
「さて、皆様御存知の通り、このエスタブリッシュメントホテルは先般、歯科医院の増設やエレベーターまわりの工事をいたしました。その際にセキュリティ関連の工事もいたしまして、私たちも会員の皆様方も特別なフロアーには、IDカードの他に指紋認証が必要になりました。そのおかげでカードの種類を以前ほどたくさん用意しなくて済むようになっています。指紋による本人確認によって、その人が出入り出来る場所を管理してコンピューターで制御出来るようになったからです」
シーンと静まり返って皆が沙織を見ていた。
「ところでこのシステムですが、実はとある東欧の国の、国家情報機関のセキュリティシステムを一括購入したものです。そして実はこれには、我々スタッフやホテルの一般の方も含めたお客様方に対するセキュリティ管理をする一方で、捕虜や逮捕者をこの建物や特定の場所から絶対に出られなくするための特別な仕組みが備わっております」
沙織は言いながら、まだぐったりして男たちに支えられて立たされている紗友里の前に歩いて行く。
「今日は、そのいわゆる捕虜というのか、囚われの身になって、こんな公共のホテルという場所でありながら、この制限エリアからは、自力では一歩も出ることが出来なくなる、栄えある第一号に、昨日まで院長だった紗友里先生になってもらうことにしました」
パシーンパシン、と紗友里の左右の頬を張る音が部屋に響き渡った。
続いて、上下の縄に挟まれた胸の間に両手を入れ、左右に力を籠めると、あっさりとそれは二つに分かれ、下着をつけていない双の乳房が縄間にこぼれ出る。
続いて女医のズボンも下ろした。
「や…やめて」
スタンガンのショックが大きかったのか、正気を取り戻した紗友里はか細い哀願をした。
元々脱がされる覚悟はあったのだろう。紗友里は、白レースの可愛らしいパンティを履いてきていたが、それも沙織は乱暴に引き降ろす。
「これから貴女に、三つのピアスを取り付けます。これは、ある国の軍隊が開発したもので、捕虜を永久に捕虜としておくためのものです。残念だけど、一度これを取り付けられると二度と取り外すことは出来ないそうです。まあそうね。乳首とクリトリスごとバッサリ切り落とせばいいわけだから絶対とは言えないけどね」
沙織はリサがそばに来て差し出した、黒色の箱を受け取ると、ゆっくりとした動作で蓋を取った。
箱のなかには、輪の直径が七ミリほどのリングが二つと、三ミリ程度の細いものがひとつ、まるで指輪のように綺麗な三角形を作って入っていた。
「磔にして」
男たちは沙織に命ぜられると、嫌がる紗友里を力づくで、少し後ろにある壁に埋め込められている、手足を拘束する箇所に、文字通り立ったまま大の字に縛り付けた。
「優菜ちゃん、ちょっと来てくれる」
「先にクリトリスやるから、舐めて少し大きくしてあげて」
「はい」
優菜はにっこり笑うと、紗友里の足元にしゃがみこんだ。
「これを取り付けられた瞬間から、制限区域の出入口のセンサーが反応して、そこを通ろうとするとピアスに電流が流れます。先ほどスタンガンで軽く失神した先生は、おっぱいとおまんこでもっと強い電気ショックを味わうことになるのです」
「はいっ。具体的にどことかが通れなくなるんですか。たいていはエレベーターだけで区切られてるわけですけど」
夏美が制限ゾーンと一般ゾーンを区切る何処に仕掛けがあるのかを訊いた。
「はい、いい質問ね。まずはそのエレベーターですが、建物の中のエレベーターの内、制限区域内だけを行き来するものを除く全てのエレベーターのカゴにセンサーがついています。カゴというのはあの上下に行き来している乗り物そのものですから、エレベーターに一歩でも入ろうとした瞬間に電流が流れます。それから非常階段の扉全て。これは、セキュリティゾーンに限らず、ホテル内全ての非常階段に取り付けられました。あとは、制限区域と一般区域の特別な出入り口である、例えば二階にある紗友里がこれからも行き来するかもしれない歯医者さんの、診療室と待合室の間にある扉とかね」
「もし、我慢して通った場合はどうですか」
また、夏美だった。
「無理ね。通ろうとした瞬間に失神させるレベルだと聞いてるから。さっきも言いましたけど、軍事機密などを扱う国家情報機関のセキュリティシステムそのものなので、そんなに甘くはないのです」
沙織は、夏美を見てさらにほかのひとりひとりを見て続ける。
「もし仮に、火災が起きたりした場合も、紗友里先生だけは非常階段のところで気を失ってしまって逃げられませんので、みなさんくれぐれも火の元には注意して火の用心でお願いしますね」
何しろおめでたい宴の真っ最中でもある。沙織の軽口に殊の外楽しそうな笑い声が起こった。
だが、紗友里の方はそれどころではなく、大きく開いて拘束された足をガタガタと震わせている。
無理もない。さっきまでは、多少内情は聞かされてから承諾して就任したものの、基本的にはお金持ちの変態さんの歯の治療をしつつ、マゾの自分の趣味も満たす事が出来て、なおかつ七千万円もの年収を保証されて院長という地位に居たのだ。
もちろん勤務時間以外は全くの自由だった。
そこでは、一本鞭を使われたり、公開排便などの屈辱を味わったりと、マゾとしては一気に開花させられてしまったものの、決して歯科医としての、そして院長としてのプライドまで捨てたわけではなかった筈なのだ。
いやむしろそのプライドがあってこその、マゾの快楽だったかもしれない。なので今日ここに呼ばれた際も、新会長帰国のちょっとした余興程度にしか考えていなかったのではないか。
それなのに、明日からは院長の座から引きずり降ろされ、しかも大学で一悶着起こしたことのあるらしい大嫌いだった教授がその座を取って代わり、自分にはとんでもないものが取り付けられ、二度とこの建物から出してもらえないと宣告されているわけだ。
「他に、ご質問は」
今度は誰も発言しなかった。
「はい、では…優菜ちゃん、どう」
紗友里の足元にしゃがみこんで、いつの間にか性器に指まで入れつつクリトリス舐めを続けていた優菜が空いてる方の手の指先でOKサインをする。
「紗友里先生の準備は万端ね。それでは会長と乃里子さん。新郎新婦のケーキ入刀…の代わりといってはなんだけど、折角ですので夫婦としての初めての共同作業ってやつをやっていただこうかしら。先生はいま、既にその下でご奉仕され中でしょうけど、大丈夫ですか」
沙織の方からは、ガウンの下に四つん這いで潜り込んでいる花純の裸の尻が見えていて、そこがどんな状況かまでは把握できなかったが、隼人もまた親指と人差指で丸のサインを出してきた。
隼人と乃里子の後ろに、牧野リサが小さなカゴを持ってついてきて、生贄の前でその中の物を見せると、それぞれひとつずつを手渡した。
隼人がラジオペンチで、乃里子が電動ピアシングマシーンだった。
優菜が横にズレると、ふたりが紗友里の足元左右に分かれてしゃがむ。一応、他の女達に見えるようにという配慮だったが、幹部の女達も席を離れ、ステージの上まで来て取り囲むようにしゃがんでその瞬間を待った。
「あなた方もそばに来て見なさい」
沙織が裸で控えている他の女達にもステージに上がるように言う。美月以外はまだ日本語をほとんど解していないだろうが、察したようだった。
瑞花が立ち上がってそばに行き、右手の親指で無造作に紗友里のクリトリスの皮を剥き上げた。
「気が利くな」
と、隼人が言って、ラジオペンチの先端でそのルビー色の尖角を強く摘んで引っ張りだした。
「痛いーーーーイッ」
当然の大きな悲鳴が上がるが、誰ひとり意に介すものは居ない。
「ギョァーーーーーっ」
怪鳥のような悲鳴があがったのは、いとも無造作に乃里子がピアシングマシンでその女の最も敏感な部分に穴を穿ったからだ。ピアスが沙織の手から渡され、リサが手伝いながらその開いたばかりの血まみれの穴に通す。
「はい、あとはコレで接続部分を五分炙ればいいそうよ」
と、ペンライトのようなものを瑞花に渡したリサが、「では、あとは私たちが」
と言って、隼人からラジオペンチを受け取り、今度はそれで通したばかりのピアスを摘んだ。
隼人がクリトリスを解放した瞬間も、一気に血液が傷口に流入したせいで苦痛が増したか、紗友里がまた悲鳴をあげた。実際傷口からはタラタラと出血も続いているが、幹部の女達は笑みさえ浮かべて見ている。
さすがに若い白人の娘たちは目をそらして俯いているが、中国人の美月は手を口に当ててその部分に見入っていた。
瑞花とリサの手によって「溶接」も完了した。
「はい、次おっぱい。やってみたい人」
手が複数上がるのだから大したものである。
なにせこの子たちは全員が本来は責めを受けることが喜びのマゾ、それもそれぞれがかなり強度のマゾなわけだから。
「もう、許してえぇ。おっぱいいやー」
紗友里から悲鳴が何度もあがるが、見学者を喜ばせるだけで、「おまんこにバイヴ入れてあげようか」とか「今刺したばっかりのクリトリス、電マしてもらいながらおっぱいの手術受けたら」などと女達にさんざん嬲られるばかりで、あえなく両方の乳首にも太いピアスが装着された。
「それでは会長のご所望でもあった生意気院長先生の鞭打ショーを始めましょうか。あ、もう院長先生じゃなくなっちゃったけれど」
沙織が一本鞭を手にし、生贄はふたたびステージ中央に連れて来られ、天井高く両手を吊られてつま先立ちにされた。
主賓の隼人のほうは、いつの間にか女達の手で裸にされ、持ち込まれたアクリル製のいわゆるソープランドなどで使われている特殊な椅子に座らされて、花純はその椅子の下に潜り込んで尻舐めを、勃起しきった男根は美冬が義歯を外した性具そのものになった口で弛く激しくといった強弱でピストンを繰り返していた。
沙織の鞭は、ピアスを付けられたばかりの乳房にも容赦なかった。
紗友里の身体には、あっという間に赤い蚯蚓腫れが次々につけられていく。
リサが、クレジットカードくらいのサイズで厚みがその二枚分くらいの黒色のカードを幹部の女達、そして隼人に配って歩いて、そして言った。
「これ、今手渡しした人専用のものです。指紋認証が一致しないと動作しません。裏側のローマ字のネームが自分のものであることを今一度確認してください。表の右側に三つ、指のマークがついていますが、上から強中弱で、電流の強さです。あ、あ、まだ触っちゃダメよ。もういつでも機能しちゃうから」
さっそく押しそうになっている夏美をリサが慌てて諌めた。
それを見て、沙織が紗友里に言う。
「ほら、もうスイッチも配られちゃったわ。セキュリティを通ろうとした時のほかに、このカードの所有者も貴女のおっぱいと性器に電気をいつでも流せます。だから、ここに居る人達よく覚えておいて絶対に逆らわないことよ。それに…。今は鞭で失神したりしないことね。電気は貴女を本来は失神させる為のものなのに、今は逆に気付け薬の代わりに使われることになるからね」
一夜にして院長から籠の中の奴隷に立場を変えられた紗友里は、これまた残念なことに、沙織に二百発の鞭で体中を蚯蚓腫れにされた挙句、女達の「自分のカードが自分の指で本当に作動するかテストしないと」という意見のもとに、計八回もの電流による不快な苦痛を繰り返し受けさせられて悶絶した。
それでもリサの「全員がやるなら、流石に危険だから弱だけで」という指示があったから、まだ少しは救われた方なのである。「強だとどのくらいのショックか見てみたい」という意見は取り敢えず却下され、また次の機会にということになったからだ。
ちなみに、その「強を試したい」と言った夏美が、自分の番の時に、こっそり沙織のスイッチを借りて紗友里の前までわざわざ行って、目の前でその一番上のセンサーに触って見せたことで、それが指紋認証されなければ動作しないということも実際に証明されていた。
隼人の方はと見ると、尻の下に潜り込んでいるのは前から優菜、後ろから夏美がそれぞれ裸になって仰向けに寝そべって玉舐め尻舐めをしていた。花純と美冬が優菜の左右に正座して、今は花純がフェラチオをさせられている。いやフェラチオなんていう生易しいものではなく激しいイラマチオだった。
花純のさらに隣には美月が立ち、花純の髪の毛を鷲掴みにして、男根を咥えさせたまま激しく上下させているからだ。咥えた口を一番深いところで押さえつけられ呼吸が出来なくなって花純が手をばたつかせると美月はようやく花純を解放する。
ゴホゴホと咽る花純に代わって、すぐに美冬の髪を掴んで男根を咥えさせたのはなんとリサだ。
長く一緒に仕事をしてきているが、ショーの司会などはよくやっているものの、沙織はリサのこういった行為を見たことがなかった。前会長に仕えていた以上マゾとしての調教も受けていたのではないかと想像はするが、現実にそのような場面を見たこともない。
歯が当たる心配のない美冬のイラマチオはさらに激しかった。
沙織が女医を鞭責めにかけている間に、既に何度か花純と美冬で交互にやらされていたのだろう。歯を抜かれてイラマチオにはかなり耐性がある筈の美冬の目からは涙が流れ、鼻水とよだれのせいで口元が激しく汚れていた。それでもリサは容赦がなかった。
美冬は隼人の太いものが亀頭の冠の部分までが見えて口がそこから外れる寸前まで髪を掴まれ引き上げられては、一気に喉奥深く、男根すべてを飲み込むまで突き込まれ、そしてまた引っ張りあげられ突き込まれるという繰り返しを続けさせられていた。美冬の苦しさなどは一切考慮されず、口唇と歯茎と喉をリサのコントロールで徹底的に使われる。そしてその上下するスピードは増々上げられていく。そろそろ射精まで持ち込もうとしているのだろう。
こちらの女のその役目は済んだとばかりに、美月が髪を掴んで花純の位置を少しずらして顔を引き起こし、その乳房を隼人に差し出させた。
隼人の容赦の無い力で乳を潰され、花純の上体が揺れてあーーっという声を出す。
「そろそろだ」
リサに隼人が告げる。
サロンで珍しくも既に二度も射精したという隼人の、今宵三度目の射精のために、美冬の髪をさらに強くリサが持ち替えた。
隼人を見つめると、視線を返してくれる。
満足そうな笑みに、沙織は心底安堵を覚えた。
女医を折檻するようにという無言の指示を、準備していたこととはいえ最高の形でお見せすることも出来た。
美冬のスロートが少しずつ低速にさせられていき、その口に精液を受けたのがわかる。
その時には、今夜ばかりは特別とばかりに、乃里子は女たちでひしめく中に入って行き、隼人のその瞬間に、長いキスをしてもらっていた。
隼人の様々な気遣いに沙織は深く感謝をしていたし、これからはずっと彼が采配をしてくれるということが何よりもありがたくて嬉しかった。
美冬と花純が正座したままキスをさせられている。
今、美冬の口に出されたばかりのザーメンを口移しさせているのだろう。
隼人がそれぞれの手を美冬と花純の首に持っていった。
視線を感じて振り向くと、紗友里が吊られた手に半ば体重を預けてぐったりした状態ながらも、目だけは気丈に沙織を睨みつけていた。
沙織はポケットに仕舞ったばかりの黒いカードを取り出すと、容赦無く真ん中のボタンに触れる。
ぎゃっと一瞬だけ声を出した紗友里は、身体を痙攣させて十秒も持たずに、首を折ってグッタリと失神してしまった。股間からは薄黄色の液体が腿を伝った。
弱と中では威力は全く違うようだ。
因みにセキュリティの方は全てこれの強の電流が流れると聞いている。渡されたカードには、調教や奴隷の懐柔目的のために、わざと弱めた電流も搭載されているだけなのだ。
生贄に取り付ける装置としては、ピアスタイプの他に手枷足枷の形のものもあって、これは取り外しも出来る。さらに、バネの強い洗濯バサミ型のものも発注し、それも間もなく届くことになっていた。
これで組織の運営や、会員の遊びにもまたバリエーションが増すことだろう。
紗友里の異変を察知して、ようやく隼人にしがみついていた腕をほどいた乃里子が自分を見る。
その帰りを心から待ちわびていた人からの、最高のプレゼントを貰った娘は、その事の思っている以上の重大さには思い及ばぬのだろう、ほんとうに幸せそうな顔をしていた。
明日、新会長就任の正式発表をして、来週は前会長のお別れの会と、また多忙な日々が始まる。気を引き締めなくては、と沙織は思った。
終章
翌日、二階の歯科医院の受付に一人の中年男が現れた。
沙織と牧野リサが出迎える。
国立大学の大学教授という地位を捨ててまでこの職を選んだこの男。
たぐい稀なる権力欲の塊である向井というこの男が、それから数年の後に、組織に大きな波紋と波乱をもたらすことを、この時はまだ、誰も知らなかった。
奴隷牧場2 闇の相続人 第6部分 (6/6)
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