『R100』(アールひゃく)は、2013年10月5日に公開された日本映画である。松本人志監督作品の第4弾。「未体験リアルファンタジーエンタテインメント作品」を名乗る、SMがテーマの作品だ。クラブ「ボンテージ」へ入会した家具店の男に、女王様が日常へ派遣される。2014年1月16日に死去した高橋昌也の遺作となった。家具店の販売員がMであることを隠してクラブ「ボンテージ」に入り、女王の派遣責めが日常と家族を浸食する。その話を100歳の監督が撮り、試写の関係者が理解できない、という枠が外側にある。
クラブ「ボンテージ」と途中解約
有名家具店で販売を担当する片山貴文は、実はMである。性的欲求を満たすためにクラブ「ボンテージ」へ入会する。契約の中身は、日常生活を送る片山の前に次々と女王様が派遣され、各種の責めを行う、というものだ。片山はえもいわれぬ快感を得る。内容は次第にエスカレートし、家族にまで影響が及び始める。片山は中止を要求するが、「ボンテージ」側は途中解約できないと突っぱねる。単身でクラブと戦う決意を固め、最終決戦に入る。
以上は劇中劇である。映画としての本筋は、そのような作品を100歳を迎える映画監督が作り、関係者向けの試写を行うが、彼らは内容も監督の意図もまったく理解できずに困惑する、という枠になっている。SMクラブの派遣責めと、それを理解できない試写室が、同じタイトルの中で重なる。片山が得る快感は、途中解約できない契約と引き替えだ。女王が日常に現れ、家族に影響が及んで初めて、彼はクラブと戦う側へ回る。内側のSMファンタジーと、外側の「未体験」を理解できない客席が、同じR100を構成する。
片山家と所属女王様
片山貴文を大森南朋、妻の節子をYOU、息子の嵐を西本晴紀、節子の父・杉浦喜一郎を前田吟が演じる。総務課の警察官は松本人志、貴文の上司は小木茂光、岸谷は渡部篤郎。club BONDAGEのCEOはLindsay Hayward、支配人は松尾スズキ。所属女王様は、声の女王様に大地真央、丸呑みの女王様に片桐はいり、唾液の女王様に渡辺直美。寺島しのぶ、冨永愛、佐藤江梨子も女王として名を連ねる。劇場の客を高橋昌也が演じ、それが遺作になった。2014年1月16日の死去のあと、この役が最後のスクリーンになった。女王は声、丸呑み、唾液と役割が分かれ、大地真央、片桐はいり、渡辺直美、寺島しのぶ、冨永愛、佐藤江梨子が並ぶ。
タイトルのRと100
企画段階で、内容より先にこのタイトルが決まった。「R」は映画のレイティングで用いられる Restricted の意味。「100」は、規制に捉われない、色々な世界観に捉われない、ことを意図している。タイトルをそのまま読むと「100歳未満の入場・鑑賞を禁止」になるが、実際の映倫規定はR15+指定(海外でもR-15またはR-18)である。撮影は2013年1月10日から4月8日、7月21日に完成、7月29日に初号試写会を開いた。
監督・脚本は松本人志。脚本協力は高須光聖、長谷川朝二、江間浩司、倉本美津留。プロデューサーは竹本夏絵と小西啓介、アシスタントプロデューサーは松岡剛。キャスティングは元川益暢。ライン・プロデューサーは坂本忠久と森太郎。共同プロデューサーは奥山和由。音楽は坂本秀一と土岐秀一郎。演出補は吉村昌晃、撮影は田中一成、照明は吉角荘介、美術は愛甲悦子、装飾は篠田公史、録音は岡本立洋、スクリプターは吉田久美子。衣裳・スタイリストは荒木里江と伊賀大介、ヘアメイクは伊藤ハジメ。助監督は佐野友秀、製作担当は鎌田賢一と有賀高俊。編集は本田吉孝、VFXスーパーバイザーは西尾健太郎。製作総指揮は白岩久弥、製作代表は岡本昭彦。制作プロダクションはよしもとクリエイティブ・エージェンシーとファントム・フィルム。配給はワーナー・ブラザース映画。製作は吉本興業株式会社。
未体験ツアーと評価の割れ
「全国未体験ツアー」(9月9日から10月1日)と題したローカルキャンペーンを行い、初回の札幌特別上映会がワールドプレミアとなった。第18回釜山国際映画祭の「アジア映画の窓」部門(2013年10月4日から11日)に出品。同年10月13日にはNMB48が鑑賞する上映会があり、15歳以上の46人が参加した。2014年には北米(アメリカ・カナダ)でも公開された。札幌の特別上映から釜山、トロント、北米へ、未体験ツアーの先が海外のミッドナイト枠になった。
第38回トロント国際映画祭のミッドナイト・マッドネス部門(2013年9月12日から14日)に出品され、トロントの大手月刊誌や映画雑誌が高い評価をつける一方、全出展59作品中唯一星1つという低評価の地元紙もあり、評価は大きく割れた。日本では劇場公開前の9月21日から地上波全局で15秒CMを流す予定だったが、局から倫理上の問題と見なされて急遽修正版が作られ、同日から23日まで放送された。10月5日に丸の内ルーブルほか全国223スクリーンで公開。初日2日間で興収5,282万3,200円、動員3万7,983人を記録し、興行通信社調べの観客動員ランキングで初登場第7位、2週目は10位。前作『さや侍』の約4割の数字だった。ネットや一部タブロイドでは、実際の客の少なさも揶揄された。
『映画芸術』2013年日本映画ベストテン&ワーストテンではワースト5位。『映画秘宝』のHIHOはくさいアワードでは4位。第17回オンライン映画批評家協会賞では最優秀アメリカ未公開作品10選に入り、フランスのボーヌ国際スリラー映画祭で新鋭賞、カナダのアウトライヤー映画祭で監督賞を受けた。Blu-ray / DVDは2014年1月29日、よしもとアール・アンド・シーから発売。メイキング、キャンペーン映像、製作報告会見、トロント、完成披露、初日舞台挨拶、特報・予告・TVスポットを収録し、初回限定でプレスシートと応募ハガキ、特製スリーブが付いた。家具店のM男とクラブ「ボンテージ」の女王たちを、100歳の監督が理解されない試写へ差し出したのが、このR15+のファンタジーである。タイトルは内容より先に決まり、Restricted のRと、規制に捉われない100を重ねた。映倫はR15+。撮影は2013年1月10日から4月8日、完成7月21日、初号試写7月29日。公開は10月5日、223スクリーン、初日2日で5,282万3,200円・3万7,983人、動員7位。トロントでは高評価と星1つが共存し、映画芸術ワースト5、はくさい4位の一方でOFCSの未公開10選とボーヌ新鋭賞、アウトライヤー監督賞が付いた。高橋昌也は劇場の客として出た最後の役が、このSMファンタジーの枠になった。











