『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』(Fifty Shades of Grey)は、2015年のアメリカ合衆国の官能恋愛映画である。監督はサム・テイラー=ジョンソン、脚本はケリー・マーセル。原作はE・L・ジェイムズが2011年に著した同名小説。女子大生アナスタシア・スティールをダコタ・ジョンソン、サドとマゾの関係を結ぶ若き実業家クリスチャン・グレイをジェイミー・ドーナンが演じる。2015年2月11日に第65回ベルリン国際映画祭で封切られ、2日後の2月13日、ユニバーサル・ピクチャーズとフォーカス・フィーチャーズによって全米公開された。否定的なレビューを数多く受けながら、全世界で5億7000万ドルを超える興行収入を記録した。第36回ゴールデンラズベリー賞では『ファンタスティック・フォー』とともに2015年の最低作品賞を受賞した一方、エリー・ゴールディングの Love Me Like You Do はゴールデングローブ賞主題歌賞にノミネートされた。三部作の第1作であり、続編は『フィフティ・シェイズ・ダーカー』(2017年)、『フィフティ・シェイズ・フリード』(2018年)である。
インタビュー、初版本、秘密保持契約
21歳のアナスタシア・スティール(アナ)は、ワシントン州立大学で英文学を専攻する女子大生である。体調を崩したルームメイト、ケイト・カバナフの代わりに、27歳の大金持ちの企業家クリスチャン・グレイのもとへ、大学新聞のインタビューに行く。シアトルの仕事場「グレイ・ハウス」での面会に成功し、インタビューを始めるが、クリスチャンもアナに興味を持ちはじめていた。そのため彼はもう一度会いたいと思い、後日、彼女が働くホームセンターへ顔を出す。記事に顔写真を載せたいともちかけると、彼は承諾する。撮影のあと、クリスチャンはアナをコーヒー店に誘い世間話に興じるが、「自分はアナにふさわしい男ではない」と気づき、店を後にする。
卒業試験を終えた日、クリスチャンからトーマス・ハーディの初版二冊(うち一冊は『ダーバヴィル家のテス』)と直筆のメッセージカードが届く。カードは、自分は危険だから近づかないでほしいと分からせるため、彼が『テス』から引用したフレーズをあえて書いたものだった。そのあとアナはバーで友達と酒をたくさん飲み、酔った勢いで彼に電話し、横柄な態度に文句を言いながら本を返したいと告げる。クリスチャンはバーへ向かうが、そのとき彼女はすでに気を失っていた。翌朝、アナはグレイが宿泊しているホテルの一室で目を覚ます。まだ親密な間柄ではないのを察し、一安心する。
その夜から二人は付き合いだすが、クリスチャンはやがて、情事に関する秘密保持契約書へサインするよう要求しだす。内容は、彼の命令にアナはしたがわねばならないという、「支配者と奴隷」の関係を認めるものだった。アナはサインに抵抗を感じるとともに、ずっと処女であったことを彼の前で告白する。面と向かって交渉しながらもサインに戸惑うアナは、連れて行かれるまま「プレイルーム」に足を踏み入れる。SMプレイ用の家具と用具が整った空間であり、話が終わったあと、室内で二人は一線を越える。やがてアナはクリスチャンの母親とも会い、いったいどれほど多くの女性とこんな関係をもっているのか詰問する。
翌日以降、クリスチャンは好意とともに新車や新品のノートパソコンをアナに与える。アナはケイトとシアトルに引っ越してからも交際を続ける。彼の両親と夕食を共にした際、翌日ジョージアの母親へ会いにシアトルを去ると言い、そのすぐあとでクリスチャンに、自分は一方的な関係以上の恋愛を求めていると告げ、彼を落胆させる。ジョージアで図らずも再会する。実は彼がプライベートジェットを用意した張本人だったが、デートの途中で急用ができ、シアトルへ戻る。家に帰ってからも、より性的な関係を求めるクリスチャンと再び出会う。渋々認めながらも中途半端な態度をとる彼にしびれをきらしたアナは、契約に違反したらどんな「お仕置き」をするのか実際にやってみてほしいと持ちかける。彼は彼女の尻を鞭でひっぱいてみせる。動揺と、つねに自己中心的な態度への嫌気が重なり、アナは別れを告げる。クリスチャンが自分にふさわしい人ではなく、彼のプレイは異常で、常識を逸脱する一歩手前であったことを、このときようやく認識する。小説と同じく、契約書の先にあるのは合意ではなく、ベルトと鞭の実演と、返される贈り物である。
キャスト
アナスタシア・スティールはダコタ・ジョンソン。ワシントン州立大学で英文学を専攻する21歳。クリスチャン・グレイはジェイミー・ドーナン。グレイ・エンタープライズ・ホールディングスのCEOを務める27歳の金持ち。キャサリン・カヴァナフ(ケイト)はアナのルームメイトであり親友で、クリスチャンの兄エリオットと付き合っている。カーラ・ウィルクスはジェニファー・イーリー、アナの母。グレース・トレベリアン=グレイ医師はマーシャ・ゲイ・ハーデン、クリスチャンの養母。ホセ・ロドリゲスはヴィクター・ラサック、アナの親友。エリオット・グレイはルーク・グライムス。ミア・グレイはリタ・オラ。ジェイソン・テイラーはマックス・マーティーニ、ボディガードで警備の最高責任者。レイ・スティールはカラム・キース・レニー、アナの父。キャリック・グレイはアンドリュー・エアリー、養父。ボブ・アダムスはディラン・ニール、アナの義父。ポール・クレイトンはアンソニー・コネクニー、ホームセンター店長の兄弟。レイチェル・スカーステンはアンドレア、クリスチャンの秘書。プレイルームの外側を埋めるのは、家族と職場とボディガードである。
四社の競争、テイラー=ジョンソン、200万ドル
2013年初頭までに、ニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに載った『フィフティ・シェイズ』三部作の映画化権を、複数のハリウッドスタジオが狙っていた。ワーナー・ブラザース、ソニー、パラマウント、ユニバーサル、マーク・ウォールバーグ・プロダクションが候補となり、最終的にユニバーサルとフォーカス・フィーチャーズが2013年3月に取得した。原作者ジェイムズは一部の描写を小説版と変えようと考え、マイケル・デ・ルカとダナ・ブルネッティを起用した。脚本は当初ブレット・イーストン・エリス案があったが、採用されたのはケリー・マーセルである。テイラー=ジョンソンは登場人物の個性をはっきりさせるためパトリック・マーバーの手も借り、ユニバーサル側はスクリプトドクターにマーク・ボンバック、衣装にマーク・ブリッジスを置いた。エンターテインメント・ウィークリーによれば、推定製作費は約4000万ドルだった。
2013年5月9日までにスタジオはジョー・ライトを監督に検討していたが、スケジュールで消え、パティ・ジェンキンス、ビル・コンドン、ベネット・ミラー、スティーヴン・ソダーバーグが候補に挙がる。2013年6月、ジェイムズはサム・テイラー=ジョンソンを監督に任命すると発表した。ジョンソンは収録にあたって200万ドルを投資したとされる。着想源は『ナインハーフ』『ラストタンゴ・イン・パリ』『アデル、ブルーは熱い色』である。2017年6月のインタビューでジョンソンは、原作者との共同作業が困難だったと述べ、シリーズから足を洗った。「私の仕事が終わっただけなんだから、後悔なんかしてません。果たして私が過去を後知恵ということにして、再び復帰すると思いますか? 絶対しません。頭がおかしくなりますよ」と語っている。
パティンソン没、ハナム降板、ドーナン起用
エリスによれば、ジェイムズはロバート・パティンソンがグレイ役に最もふさわしいと考えていた。しかし『トワイライト』映画のパティンソンとクリステン・スチュワートを本作でも共演させるのは「奇妙である」とも感じていた。イアン・サマーホルダーとチェイス・クロフォードは以前からグレイ役に興味を寄せ、サマーホルダーは、もし候補に上がっていたら『ヴァンパイア・ダイアリーズ』の収録と重なっていただろうと後にコメントした。2013年9月2日、ジェイムズはグレイ役にチャーリー・ハナム、アナ役にダコタ・ジョンソンを選んだと表明する。アナ役の他候補はアリシア・ヴィキャンデル、イモージェン・プーツ、エリザベス・オルセン、シェイリーン・ウッドリー、フェリシティ・ジョーンズ。キーリー・ヘーゼルとルーシー・ヘイルもオーディションに関わった。エミリア・クラークはオファーを受けたが、ヌードになれないという理由で拒否された。監督は志願してきた女優たちに、イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』の独白を朗読させたりもした。
グレイ役についてスタジオは最初ライアン・ゴズリングがふさわしいと考えたが、彼は興味を示さなかった。ギャレット・ヘドランドは性格が合わないとして却下。スティーブン・アメルは「クリスチャンの役柄がおもしろそうだとは思いませんでした。心に訴えるモノはなかったです」と述べている。ハナムは当初辞退し、スタジオ関係者との会議を経て再考した。オーディション中、「この役にほんとうに興味をそそられ、原作を読んでクリスチャンがどんなキャラかを明確にしようとした。命を吹き込むことへの期待がもっと高まった。テイラー監督とぼくはいずれも、監督が気に入っていたダコタといっしょに読むことを提案した。部屋に入るやいなや朗読を始めて、自分はぜったい彼女と読みたがっていると感じた。ぼくら二人にははっきりした相性がある」とコメントしている。ファンの否定的な反応に対し、プロデューサーのダナ・ブルネッティは「ルックス以外にも、才能や有用性、やる気、他の出演者との相性など、キャスティングに影響することはいっぱいある。気に入らなかったとしても、そういった事情を頭に置いたうえで、広い視野をもっていただきたい」と述べた。
2013年10月、ジェニファー・イーリーはアナの母カーラ役について打ち合わせを重ねていた。10月12日、ユニバーサルはハナムが『サンズ・オブ・アナーキー』の出演スケジュールとの不一致で脱退したと発表。アレクサンダー・スカルスガルド、ジェイミー・ドーナン、テオ・ジェームズ、フランソワ・アルノー、スコット・イーストウッド、ルーク・ブレイシー、ビリー・マグヌッセンが主要な代役候補となり、10月23日、最終的にドーナンが選抜された。10月31日ホセ役にヴィクター・ラサック、11月22日ケイト役にエロイーズ・マンフォード、12月2日ミア役にリタ・オラ(もともとサウンドトラックのみを希望していた)、12月3日グレース役にマーシャ・ゲイ・ハーデン。
バンクーバーのロックダウン、コーツの最後の仕事
2013年10月、撮影を同年11月5日からバンクーバーで行うことが決まり、マイケル・デ・ルカは11月13日開始と発表した。主要撮影は再び延期され、12月1日に行われた。ロケ地はギャスタウン。グレイのビルは Bentall 5。ワシントン州立大学のシーンはブリティッシュコロンビア大学、ホテルは Fairmont Hotel Vancouver、一部は North Shore Studios。公式には2014年1月21日に収録終了、一部の撮り直しは同年10月13日の週に同じくバンクーバーで行われた。プロジェクト名は「The Adventures of Max and Banks」。クレジットされていない脚本のマーク・ボンバックは、「これほど機密性の高いプロジェクトに加わったことは一度もありません。映画のセットはロックダウンされていたわけですから」と語った。2018年に亡くなった編集技師アン・V・コーツが手がけた生涯最後の作品でもある。アカデミー賞を多数獲得した技師の最後が、このプレイルームだった。
事前に用意されていたもう一つのエンディングは、アナとクリスチャンの回想である。アナがアパートですすり泣いている一方、クリスチャンは雨にぬれながら外を走る。家に帰った彼は、アナからもらった贈答品を、「これがわたしに幸せなときを思い出させてくれました。アナ」という短い手紙とともに見つける。公開版は別れで閉じ、未公開のほうは贈り物が残る。
Earned It、予告編3億回、バレンタインデー
ジェイムズはサウンドトラックのリリースを2015年2月10日と述べた。最初のシングルはザ・ウィークエンドの Earned It(2014年12月24日)。次がエリー・ゴールディングの Love Me like You Do(2015年1月7日)で、ビルボードホット100で3位以内に入り人気を博した。1月27日にはシーアの Salted Wound。2013年2月、ユニバーサル会長アダム・フォゲルソンは「早ければ来年の夏に公開できる」と述べ、当初は2014年8月1日が発表されていた。2013年11月、バレンタインデーに合わせ2015年2月13日へ押し戻される。2015年2月11日、ベルリン国際映画祭で世界初公開。二日後、米国内75のIMAXシアターでのロードショーに至った。
公開の1年以上前、2014年1月25日、ユニバーサルは「もうじきグレイ氏が姿を現すときがやってくる(Mr. Grey will see you now)」と書かれたポスターを米国内五か所に掲示した。7月9日、ジェイムズはTwitterで予告編が7月24日に公開されると発言。5日前、ビヨンセがInstagramでティーザーを出した。7月24日、ドーナンとジョンソンは朝の番組トゥデイに出演し、朝に流せるよう性的描写をカットした予告編が放送された。無修正版は同日(初回劇場公開の200日前)インターネットで公開。予告編ではビヨンセの Crazy in Love の新バージョンが使われ、Boots が作曲と編曲を担当した。ウェブ公開から一週間で3640万再生、10月に『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に抜かされるまで2014年のYouTubeで最も視聴された予告編であり続けた。12月中旬には9300万回に達し再び首位。公開初週、各種チャンネルとサイトを通して1億回以上。YouTubeだけでは2015年2月までに1億9300万回、2月末までに公式予告編が1億3000万回を超え、やがて3億2900万回以上。2本目の予告編は2014年11月13日、3本目は2015年2月1日、第49回スーパーボウル期間中に放映された。
広告を目にした人たちに、本作品が「気になるか」を問う形で宣伝された。ユニバーサル国内配給の Nick Carpou は、「このキャンペーンは、人びとに映画を観る許可を与えることになりました」「バレンタインデーがカップルの一大イベントでありつつ、長いワシントン誕生日の週末に重なったことは、完全なる社会現象を巻き起こしました。ロマンスの雰囲気を最大限に活かせた」と述べている。契約と鞭の映画を、バレンタインの許可として売った。
R指定、NC-17の憶測、各国の禁止
当初、米国内ではNC-17指定を受けるとの憶測があった。一部劇場はNC-17の上映を禁じており、スタジオは商業的存続を考えて成人のみの指定を避けようとする。デ・ルカは比較的緩いR指定を期待していた。2015年1月5日、アメリカ映画協会は「せりふを含む、きわめて性的な内容、及び一部の異常な行動や生々しいヌード、言葉」を理由にR指定とした。オーストラリアは1月30日、MA15+(刺激の強いセックスシーン、性的な主題とヌード)。イギリスは2月2日、18歳未満視聴非推奨(強い性表現)。カナダではオンタリオ、マニトバ、アルバータ、ブリティッシュコロンビアが18A(ヌードを含む淫靡な作品)、ケベックは16+。フランスは多くの国が成人指定のなかR12(12歳以上)と緩かった。レバノンはNC-21。アルゼンチンはSAM16/R。
反ポルノ団体 Morality in Media は、R指定にしたことを「作品の暴力的なテーマを著しく損なうものであり、保護者や後援者に内容についての十分な説明がされていない」と論じた。協会がNC-17を取り下げたことで、性的描写を含んだままの公開が進んだ。マレーシアでは2015年2月12日公開予定だったが、「不自然」かつ「加虐的」として映画検閲委員会(LPF)が許可しなかった。会長 Abdul Halim Abdul Hamid は「もはや映画というよりもポルノ」と述べた。インドネシア、ケニア、ロシアの北コーカサス、アラブ首長国連邦、パプアニューギニア、カンボジア、インドなどでも検閲の対象となった。ナイジェリアでは一週間だけ公開されたあと、国際映画・ビデオ検閲委員会が許可を取り下げた。中国公開はユニバーサルが許可しなかった。フィリピンは諸宗派の抗議で検閲され、映画テレビ審査分類委員会のR18指定を受けた修正版公開。ジンバブエも同様の修正版。ベトナムでは約20分カットされ、アナがベルトで叩かれるシーンはことごとくスキップされている。
2月2日、ミシガン州で公開中止を訴える男性が地元映画館に現れた。店長は拒否し、「創業70年で、映画の内容に異議を唱える者は何人もいた。すでに広まった映画の内容を検閲するのはわれわれの仕事ではない」と述べた。公開前の時点で3000枚のチケットが売れ、今後10000枚が売れると予想されていた。ノートルダム大学教授トーマス・ウィリアムズは、バレンタインデー公開を「キリスト教の殉教者をたたえる日にこんな性的な映画を公開するというユニバーサルの皮肉」と呼んだ。
5億6970万ドルと、73.9%の急落
北米で1億6620万ドル、その他の国で4億350万ドル、世界規模では予算4000万ドルに対し5億6970万ドル。2015年当時、女性監督作品としては『マンマ・ミーア!』『カンフー・パンダ2』『ワンダーウーマン』に次ぐ4番目の高収入で、劇場公開終了時には『ハングオーバー!!』『パッション』『マトリックス リローデッド』に次ぐ史上四番目のR指定高収益作品となった。Deadline.com は純利益を2億5655万ドルと計算している。2015年1月11日から米チケット発売。Fandango によると、同サイト15年の歴史で『セックス・アンド・ザ・シティ2』に次いで最も速く売れたR指定作品であり、2012年『ハンガー・ゲーム』を抜いて非続編としては最大の初週チケット売り上げ。前売りランキングでは『ニュームーン』『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』『ハンガー・ゲーム』に次ぐ総合四位。米国外では39市場で450万枚が前売りされ、イギリスでは公開前一週間で130万ポンド(190万米ドル)分が売れた。
米加では2015年2月12日に2830館、翌日3646館で『キングスマン』と同時公開。史上最多のR指定公開劇場数だった(のちに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が上回る)。2月公開としては『デッドプール』に次ぐ2番目の深夜興行、R指定としては3番目。公開初日(試写会含む)は3646館で3020万ドル、2月公開の『パッション』記録を更新し、R指定では4番目。3日間で総合8510万ドルの1位、2月公開最大の公開週末を更新した。客層の女性比率は公開当日82%、バレンタインデー68%。しかし2週目週末は73.9%減の2225万ドル。3000スクリーン以上では『13日の金曜日』の80.4%減に次ぐ2番目、3500スクリーン以上では最大の落ち込み。3000スクリーン以上で下落率70%超は本作で8作目。2週連続トップのあと、3週目は4位に落ち、『フォーカス』が上位を取った。
米加以外の初回は1億5800万ドルと予測されていた。2月11日に4カ国で370万ドル、12日にさらに34カ国、2日間で2860万ドル。25市場でユニバーサルの初日記録、34地域でR指定初日記録。2月15日までの初回は58カ国1万979スクリーンから1億5600万ドル(月曜まで1億7360万ドル)、58カ国中54カ国で1位。R指定として最大の海外初回、2015年公開では4番目、ユニバーサルとして過去3番目。最大の初回は英愛マルタで1355万ポンド(2080万ドル)、18禁としては史上最大のデビュー、続編でない映画としては『アイ・アム・レジェンド』に次ぐ2位。英では二週連続トップ。ドイツ1410万、フランス1230万、ロシア1100万、イタリア1010万ドルが目立つ海外初週だった。日本は初回682万ドルで総合5位、翌週には10位圏外。ハリウッド・リポーターは失敗の理由として、原作日本語版の発売遅れ、公開時期の悪さ、R-15規制による再編集でセックスシーンにぼかしがかかったことを挙げた。公開4週目に『ジュピター』に抜かれるまで、3週連続で米国外興行のトップに立ち、ユニバーサル海外では『テッド』の記録を更新した。総利益の最大市場は英愛マルタ(5250万)、ドイツ(4370万)、ブラジル(3130万)、フランス(2950万)、スペイン(2260万ドル)。数字はvalentineの許可で立ち上がり、二週目に落ちた。
支持率24%、ラズベリーと、改善だという声
脚本、歩調、ドーナンとジョンソンの演技が批判され、おおむね否定的な評価を受けた。一方で原作より改善されているとする意見や、撮影とセッティングを賞賛する者もあった。Rotten Tomatoesは282件で支持率24%、平均4.20/10。「紙媒体の作品よりも創造性に富んでいるが、映像媒体としての満足度は低い」。Metacriticは46人で46/100、「評価はまちまち、または平均的」。公開週末の観客調査はA+からFのうち平均「C+」。
USAトゥデイのClaudia Puigは「台詞は笑えるし、テンポは悪いし、演技は一本調子」。シアトル・タイムズのMoira Macdonaldは「映画版は原作よりは悪くないが、たいした違いはない」。We Got This Covered のIsaac Feldbergは5つ星中1つ半で、「官能的でスタイリッシュなロマンスと、無感覚なほど露骨なハーレクイン官能小説の映画化が画面の支配権を争っている。惜しむらくは後者が多くを占めたこと」。ガーディアンのピーター・ブラッドショーは5つ星中1つ、「映画史上最も純粋に、上品かつソフトコアなサドマゾヒズムの描写」「お昼のメロドラマ並の演技」。ニューヨーク・タイムズのA・O・スコットは「ひどい」と言いつつ、「もだえたり、くすくす笑ったり、目を丸くしたり、ただじっと座って罰を受けたりしながら見るのには、ましな映画かもしれない」と書いた。
デイリー・テレグラフのRobbie Collinは好意的で、「セクシーで、おもしろくて、原作にはないあらゆる方法で自己認識している」。デイリーニューズのElizabeth Weitzmanは演出、脚本、ジョンソンの演技を絶賛する一方、ドーナン、主役の相性、脇役を「使いこなせていない」とし、原作の要素を損なわず雰囲気と筋を両立させた監督を称賛した。ガーディアンのJordan Hoffmannは星3つ、セックスシーンは「物語を進めるために存在しており、こんなことに憤慨するのはボタンを念入りに留めたかのように保守的なカマトトだけだろう」。エンターテインメント・ウィークリーのLisa Schwarzbaumは「B級」とし、ピアノ演奏の前半を早送りして下半身裸の一瞬で止めれば家庭用としてはよくなると書いた。シドニー・モーニング・ヘラルドのTimothy Laurie とJessica Keanは、「たいていのハリウッド映画より成熟した、暴力の意思決定にかかわるせりふが多い」「同意のような法律的概念を、生き生きとした時には不快な対人関係の経験へ形づけ、不平等な交渉の危険や、限界を知り尊重してもらう複雑さをドラマチックに表現している」と主張した。複数の批評家が『ナインハーフ』との共通点を指摘している。どちらもSMの情事を中心にした文学作品の映画化である。
Smash Pictures、続編、パロディ
2015年5月8日、DVDとBlu-rayがリリースされた。Blu-rayはオリジナルのカット版に、さらに3分間の未公開エンディングを追加している。米ホームメディア発売と同時に、Nielsen VideoScan First Alert とBlu-ray売り上げチャートの両方で、2015年5月17日までの二週連続首位を取った。
2012年6月、Smash Pictures は『Fifty Shades of Grey: An XXX Adaptation』と題して三部作のポルノ版を撮る意向を表明し、リリース日を2013年1月10日と発表した。2012年11月、映画化権を持っていたユニバーサルが提訴した。パロディとして撮られたものではなく、「三部作特有の表現要素を、第1作の中身を経て第2作の中身に渡って疑いなく模倣したもの」であり著作権侵害だとした。差し止め、総売上からの利益、損害賠償を求め、「迅速かつ安価に制作されたポルノ作品は、三部作と近日公開予定のユニバーサル映画に対する世間のイメージを下げ、取り返しのつかない損害を与える可能性がある」とコメントした。Smash Pictures は、作品はもともと『トワイライト』をベースにしたファン・フィクションとして各地で公表されていたため、題材の「多くまたはすべて」はパブリックドメインに含まれると反訴し、連邦著作権登録は「無効かつ法的強制力のない」ものであり著作権法や商標法に違反していないと主張した。訴訟は非公開の金額での法廷外和解となり、Smash Pictures は制作とプロモーションの中止に同意した。二次創作から生まれた小説が、二次創作のポルノを裁判で止めた。
2015年4月、ハリウッド・リポーターはジェイムズの夫 Niall Leonard が続編脚本に入ったと報じた。同月の Universal CinemaCon で、ユニバーサルは『フィフティ・シェイズ・ダーカー』を2017年2月10日、『フィフティ・シェイズ・フリード』を2018年2月9日に公開すると発表した。サム・テイラー=ジョンソンは続編に戻らなかった。8月20日、『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のジェームズ・フォーリーが監督候補に挙がり、11月、両作品がバック・トゥ・バックで撮られると発表された。2016年1月29日にはスピンオフ版『Fifty Shades of Black』が北米公開。マーロン・ウェイアンズと Rick Alvarez が脚本、ウェイアンズがグレイ役。配給はドイツ SquareOne Entertainment と米国 Open Road Films、制作は IM Global。カリ・ホークがアナ役、アフィオン・クロケット、マイク・エップス、ジェーン・シーモア、フレッド・ウィラードが脇を固めた。「個人を諷刺することが目的で、面白いことを前提としていない映画よりも、なおいっそうつまらない」と評価された。契約書とプレイルームを売った第1作は、ラズベリーと5億ドルと、パロディのグレイを同時に残した。







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