『美しき獲物たちの学園』(うつくしきえものたちのがくえん)は、1998年9月5日にミンクから出たアダルトゲームである。2008年10月24日には姉妹ブランドM no VIOLETからリメイク『美学 YURIKA&ASUNA』が発売された。リメイクの副題は由利香と明日菜の名そのもので、二人視点が十年後も売りである。舞台は上流階級の子女が通う名門校・聖レイセーヌ学園。中流家庭育ちの新入生・杉原明日菜と、学園の女王・一ノ宮由利香、二人の視点で進むアドベンチャーで、BDSMの要素も含まれる。獲物たちの学園というタイトルは、名門校を狩場として読ませる。
ザッピングで立場が入れ替わる
二人の視点を切り替えるザッピングシステムが組み込まれており、視点を往復しながら物語を進める。一方の視点で起きた出来事が、もう一方の視点の別の出来事に影響し、二人の立場が逆転することもある。名門校の階層、新入生と女王、好意の相手を挟んだ力関係が、視点切り替えそのもので揺らされる設計である。明日菜から見た学園と、由利香から見た学園は同じ建物でも同じ支配ではない。BDSMの読みで言えば、女王と獲物が固定されず、視点を切り替えるたびに誰が縛る側かが動く。
登場人物(声はアダルトアニメ版)
主人公の杉原明日菜(すぎはら あすな、声:夢宇)は中流家庭生まれで、穏やかな性格。一ノ宮由利香(いちのみや ゆりか、声:香山かずみ)は学園でも有数の資産家の令嬢で、事実上の支配者でもある。下条陽子(しもじょう ようこ、声:桃山ひかり)は明日菜の親友でテニスが得意、貧しい家柄であることを気にしている。久堂克己(くどう かつみ、声:須藤康一)は明日菜と由利香がともに好意を抱く相手で、本人は明日菜が好きだが由利香には逆らえずにいる。倉田咲子(くらた さきこ、声:夢宇)は明日菜の仲間。望月愛(もちづき あい、声:叶野ともえ)は由利香の側近で、感情を表すことはあまりない。高瀬和美(たかせ かずみ、声:城ミハル)は由利香の側近で高慢。神代奈々(しんだい なな、声:櫻井はるな)は由利香の側近でプライドが高い。夢宇が明日菜と咲子を兼任している。女王の側近三人——愛、和美、奈々——と、新入生側の友人・恋愛対象が、学園の支配と服従を分担している。克己が明日菜を好きでありながら由利香に逆らえない点は、恋愛と階層が同じ軸に乗っていることを示す。
OVA・ノベル・原画集
アダルトアニメはmilkyから出た。第1幕「新入生・明日菜」のDVDは2001年10月21日、第2幕「女王・由利香」のDVDは2002年1月25日。ゲームの二人視点が、そのまま二幕のタイトルに分かれている。声のキャストが残っているのもこのOVA版である。ノベライズはパラダイムノベルスで、著者は前園はるか。『美しき獲物たちの学園 明日菜編』ISBN 4-89490-043-2、『美しき獲物たちの学園 由利香編』ISBN 4-89490-048-3。こちらも明日菜と由利香で分冊されており、ザッピングの二人組が媒体を変えても崩れていない。原画集はパラダイムのArtPackシリーズNo.11『美しき獲物たちの学園原画集』。
反響と資料
ミンクが2000年代に実施した同社作品キャラクターの人気投票で、一ノ宮由利香は「結婚すると苦労しそうなキャラクター」の1位に挙がった。学園の女王であり事実上の支配者である由利香が、社内投票では結婚の苦労役として一位になった、という残し方である。参考文献としては、大洋図書『電脳美少女虎の巻 弐』(初版、1998年11月12日、13–15頁、ISBN 4-8130-0015-0)、ミンク『minky 10周年記念特集号』(2003年5月、2–13頁、『Danger Angel〜異常進化〜マテリアルガイド』(メディアックスムック226)付属)の「キャラデミー賞結果発表」(5頁)および「美しき獲物たちの学園」(11頁)がある。ゲーム公式はウェイバックマシンに2001年6月17日アーカイブ、OVA各幕の頁は2019年1月3日アーカイブが残る。聖レイセーヌの女王と新入生という構図は、学園ものAVGの階層プレイとして、BDSM寄りの読みができる。












