『緋色の刻』(ひいろのこく)は山文京伝による日本の成人向け漫画で、SMを題材にした代表作のひとつである。単行本は全2巻。のちにアダルトアニメ化もされた。当初は同人誌即売会でオリジナル長編として頒布され、同人誌は5巻。加筆修正を経て1998年にコアマガジンから上下巻の大判単行本が出たあと、2012年には単行本化の際に削られた箇所も戻した完全版が、単巻で発売された。同人5巻、商業上下、削除箇所つき完全版——同じSM長編が、媒体の規制と判型を変えながら三度出ている。
人妻が性奴隷へ落ちる話
夫と娘と暮らしていた人妻の悦子は、突然家に侵入してきた男たちに陵辱調教され、性奴隷へ変わる。その後、悦子は夫と娘を捨て、快楽に堕落する生活を送ることになる。家庭の人妻という立場を、侵入と調教で剥がすSM漫画であり、同意のプレイ手順を教える話ではない。夫と娘を捨てる結末は、調教が一時の暴行で終わらず、悦子の側が快楽へ落ちる話として書かれている。山文京伝の名前とSMという主題が、同人5巻から商業上下巻、完全版へ持ち越された。
登場人物と声
緋田悦子(あけだ えつこ)の声は春奈友子(第2話以降の表記は春名友子)。緋田良夫(あけだ よしお)は北田信夫、緋田絵美(あけだ えみ)は村西里美。島(しま)は佐田慶太、カズは美戸部悟、シローは定岡晶。悦子役の表記が第2話以降で春奈から春名へ変わる点は、クレジットの揺れとして残っている。悦子・良夫・絵美の家族と、侵入して調教する側の男たちが、この配役に分かれている。島、カズ、シローが調教する側の名前である。
単行本
『緋色の刻 上巻』は1998年4月25日発売、ISBN 978-4-87734-178-7。『緋色の刻 下巻』は1998年6月5日発売、ISBN 978-4-87734-179-4。上下巻は約一か月半おきに出た大判である。『緋色の刻 完全版』は2012年12月28日発売、ISBN 978-4-86436-419-5。コアマガジンの大判上下から、削除箇所を復刻した単巻完全版まで、書誌は三段階ある。1998年の上下で削られた箇所が、十四年後の完全版で戻る、という出し方である。
アダルトアニメ(ファイブウェイズ、全5巻)
2001年にファイブウェイズより全5巻が発売された。1話あたり約30分。『緋色の刻 〜巻乃壱〜』は2001年4月18日、FWD-0017。『巻乃弐』は同年6月18日、FWD-0024。『巻乃参』は7月18日、FWD-0027。『巻乃四』は8月18日、FWD-0030。『巻乃完』は9月18日、FWD-0032。春から秋にかけて月次で完結している。品番FWD-0017からFWD-0032まで、巻乃壱から巻乃完という和風の巻次で、約30分のSMアダルトアニメとして並ぶ。
スタッフは、プロデューサーが佐藤一博(第2話以降の表記は佐藤博人)、監督が夏川なすび、原作が山文京伝(『緋色の刻』コアマガジン刊)、脚本が千萬華、キャラクターデザインが野口宏、作画監督が太尾明、美術監督が柴たけお、演出・絵コンテが佐竹等。音響制作はスタジオマウス、アニメーション制作はメルトダウン、制作協力はグループH.O、製作はシネマパラダイス、発売元はファイブウェイズ。資料としてはallcinemaの「緋色の刻」項がある。同人から商業単行本、そして30分×5巻のOVAへ——SM人妻調教という一本の話が、媒体を変えて残っている。












