『私の奴隷になりなさい』(わたしのどれいになりなさい)は、覆面作家サタミシュウによる日本の官能小説シリーズである。SMを題材にした「SM青春小説」の第1作から第3作の三部作と、短編集からなる。デビュー作の単行本名は『スモールワールド』。角川の『野性時代』連載から単行本、文庫改題、漫画、壇蜜主演の2012年映画、2018年の続編二本までが、同じシリーズ名の下に連なる。映画化の時点で累計10万部だった。
小説の刊行
第1作『スモールワールド』は『野性時代』(角川書店)2005年1月号から3月号に連載され、同年4月22日に角川書店から単行本化された(ISBN 978-4-04-873608-4)。覆面作家サタミシュウのデビュー作である。2007年12月22日、角川文庫が『私の奴隷になりなさい』と改題して文庫化した(ISBN 978-4043868018)。シリーズの通称はこの文庫題から広がった。第2作『リモート』は2005年6月30日、角川書店(ISBN 978-4048736275)。2008年5月24日、角川文庫が『ご主人様と呼ばせてください』と改題した(ISBN 978-4043868025)。第3作『おまえ次第』は2008年8月23日、角川文庫(ISBN 978-4043868032)。短編集『はやくいって』は2009年2月23日、角川文庫(ISBN 978-4043868049)。第2作・第3作の映画化を記念し、2018年9月にKADOKAWAが『私の奴隷になりなさいシリーズ 【全4冊 合本版】』を電子書籍で出している。単行本題と文庫題が食い違うため、書誌を追うときは『スモールワールド』『リモート』と、改題後の『私の奴隷になりなさい』『ご主人様と呼ばせてください』をセットで見る必要がある。
漫画
『スモールワールド』の題で、花小路ゆみ作画、松本ひなつ脚色により漫画化された。青年漫画誌『コミックチャージ』(角川書店)2007年第4号から第7号、第9号から第12号に連載され、同年12月25日、カドカワチャージコミックスから単行本1巻(ISBN 978-4-04-725005-5)。全1巻である。2012年の映画公開に合わせ、2012年9月26日、KADOKAWAが『コミック版 私の奴隷になりなさい』と改題して再刊した(ISBN 978-4-04-120477-1)。旧ISBNとしては4047250058、改題後4041204771も流通した。小説と同じく、漫画も単行本題と映画連動の改題が並ぶ。
2012年の壇蜜映画
2012年11月3日公開の日本映画。R-15指定。映画化の時点で原作は10万部だった。初公開時に過激すぎて入れられなかった場面を足した成人指定(R-18+)のロング版『私の奴隷になりなさい ディレクターズ・カット』が、2013年1月26日に公開された。レイティングはR18+。ディレクターズ・カットの本編は111分である。続編『私の奴隷になりなさい第2章 ご主人様と呼ばせてください』は2018年9月29日、『第3章 おまえ次第』は2018年10月13日。ともにR18+指定である。第1作が亀井亨、第2章・第3章が城定秀夫と、監督は世代が分かれる。原作の三部作が、六年を挟んで三本の映画になった。
第1作のキャストは、壇蜜が香奈、真山明大が僕、板尾創路が先生。ほか杉本彩、古舘寛治、西条美咲(ミドリ)、美知枝、海東健、菜葉菜、草野イニ、石井明日香、塚本康博、ウダタカキ、高松泰治。監督は亀井亨、脚本は港岳彦。エグゼクティブプロデューサーは井上伸一郎、企画は安田猛、製作は池田宏之と加茂克也。音楽は野中“まさ”雄一、撮影は中尾正人。主題歌は「fade」(作曲・編曲:野中“まさ”雄一、作詞:chalaza、歌:壇蜜)。挿入歌は「蜜月の赤糸」(作曲・編曲:野中“まさ”雄一、歌:彩月)。壇蜜は香奈を演じ、主題歌も歌う。真山明大の「僕」と板尾創路の「先生」が、タイトルの主従関係を画面に載せる役回りである。
第2章・第3章
第2章のキャストは、目黒が毎熊克哉、明乃が行平あい佳、希美が百合沙、ほか三浦誠己。第3章は目黒が毎熊克哉、繭子が杉山未央、希美が百合沙。行平あい佳、池田良、石田佳央、原田裕章も出る。早紀は川合瑞恵、詩織は範田紗々、美里は山根千芽、真奈美は福山理子。榊英雄も名を連ねる。第2章・第3章の監督は城定秀夫。原作はサタミシュウ『ご主人様と呼ばせてください』(第2章)と『おまえ次第』(第3章)。脚本は石川均と城定秀夫。毎熊克哉の目黒が二本を通し、第2章の明乃(行平あい佳)と第3章の繭子(杉山未央)が相手役を代える。百合沙の希美は両作に残る。製作は堀内大示、企画は栗橋三木也、プロデューサーは小林剛と木村俊樹。撮影は田宮健彦、照明は南園智男、美術は石毛朗、録音は藤丸和徳、編集は矢船陽介。音楽はSOUNDKIDS。助監督は伊藤一平、制作担当は真山俊作。制作プロダクションはステアウェイ、製作・配給はKADOKAWA。第2章の主題歌はボンジュール鈴木「渚のシンドバッド」、第3章は同「プピプピドゥ」。
受賞と関連商品
第1作ディレクターズ・カット版は、2013年3月25日付オリコン週間DVD映画チャートで第1位を取った。写真集は『私の奴隷になりなさい 壇蜜写真集 濃蜜』(角川書店、2012年10月26日、ISBN 4041103223)。映像では『壇蜜と僕たち』(角川書店、2012年10月5日、メイキングDVD)、『私の奴隷になりなさい』(2013年3月15日、DVDのみ、R-15)、『私の奴隷になりなさい ディレクターズカット』(同日、DVDとBlu-ray、R-18、本編111分、特典DVD・特典CDの3枚組。CDにはラジオドラマ「耳で聴く、もうひとつの『私の奴隷になりなさい』」と主題歌「fade」)がある。劇場のR-15本編と、111分のR-18ディレクターズ・カットと、ラジオドラマ付きのディスクが、同じタイトルの下に並ぶ。
第2章・第3章は2019年2月1日、KADOKAWAから通常版DVD(ご主人様と呼ばせてください DABA-5489、おまえ次第 DABA-5490)、通常版Blu-ray(DAXA-5489 / DAXA-5490)、豪華版Blu-ray BOX(DAXA-5491、本編Blu-ray2枚+特典DVD1枚)、トリロジー Blu-ray BOX(DAXA-5492、本編Blu-ray3枚)が出た。第2章と第3章は別売の通常版と、二本組の豪華版、三部作をまとめたトリロジーの三段階でディスク化された。サタミシュウの覆面、角川の『スモールワールド』、壇蜜の2012年映画――この三点が、シリーズをSM青春小説の映像化として固定している。KADOKAWA側の書誌ページは、小説『スモールワールド』『私の奴隷になりなさい』『リモート』『ご主人様と呼ばせてください』『おまえ次第』『はやくいって』、漫画『スモールワールド』と『コミック版 私の奴隷になりなさい』に分かれて立つ。映画は公式サイトのほか、第1作のウェイバックマシン残存、角川映画の作品ページ、シリーズ公式X(旧Twitter、@watadore)が参照先として残る。小説のあらすじと登場人物の項は、元の誌面では空欄のままだった。ここで足すのは書誌と映像の事実だけで、空のあらすじを埋めない。サタミシュウ、スモールワールド、壇蜜の2012年――この三点が、このシリーズを引くときの最短の索引である。












