小説『亜由美』第一部 第1部 (1/4)
次の話
本作品はすべてフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の個人、団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。
あんぷらぐど
SM雑誌に「仲ゆうじ」名でSM小説を執筆して作家活動をスタート。その後、作家活動は休止し、編集の仕事に携わる。ネットでは「ふにゃふにゃ」「あんぷらぐど」名でSM小説を執筆。独自の自虐的SM、一人称による告白形式の作品、伝奇SM小説などを発表し続けている。東京在住。
運命の再会
お祝いの夜
喪失と崩壊
百均の苦痛
亜由美の会
肉袋の悲哀
徹夜の訓練
漆黒の刻印
二つの風船
ビールの味
発熱の地獄
逃避する脳
不安な休日
ゲーム作り
総会の決定
付録
第一部のカレンダー
登場人物一覧
会員(登場順)
亜由美の体の落書き一覧
第二部の予告
奥付
運命の再会
亜由美が、剛介と再会したのは、四月の下旬だった。大学に入って、同時に一人暮らしも始めていた。毎日が、あっという間に過ぎていく。真新しい建物の、真っ白な廊下を気分よく歩いていたら、思いがけず、ふいに目の前にドアが開いたように、亜由美はそこにぶつかってしまった。
「亜由美だよね」
ギクッとした。
剛介は、三つ年上だったはずだ。忘れるはずのない学園二年のとき……。あれから剛介は引っ越したのか、姿を完全に消していた。亜由美の心に暗い大きな穴を作って……。
いくつも大学がある東京の、まさかこの大学にいるとは、思いもよらないことだった。
「メガネをしているから、別人かと思っちゃったな」
脂ぎった顔。ぼさぼさの髪。あの頃よりも太ったようで、体重は百キロ近いのではないか。不健康そのものに見える。
「また会えたね。びっくりだよ」
「すいません」
亜由美は逃げようとしたが、剛介の手は早く、細い手首をがっしりと握られていた。毛に覆われた浅黒い手が、真っ白な亜由美の手首にまとわりつく。湿った手のひらの感触に鳥肌が立つ。
「忘れたの、オレのこと?」
「忘れました」
「うそだろ。忘れるわけないよ。オレに抱きついて、泣いたじゃないか」
「ウソです」
「ウソなもんか。あっ、その泣き顔。ミスキャンパスに出たら、きっと人気者になっちゃうね。メス豚の亜由美ちゃん」
「やめてください」
「オレ様のメス豚なんだもん。誰かと付き合ってるの? まともなヤツとは付き合えないでしょ、変態だから」
「大声を出します」
「それがなにか? オレは平気だよ。もしかして、オレに会いたくてこの大学にしたの?」
「違います。知りませんでした」
「またまた……。おまえ、もうあそこがべっちょべちょになっちゃってんじゃない?」
「妙な言いがかり、やめてください」
亜由美の手が伸びて、剛介の頬を叩こうとしたが、届かなかった。両手ともに剛介に掴まれ、体が密着するほど引き寄せられる。
知らぬ間にすっかりホンモノの獣へと成長した臭いがする。
「おまえの気持ちを察してやればよかったなあ」
「ふざけないで」
「お嬢様のようにカッコつけちゃってさ」
「放してください」
「そんなこと言っていいの?」
亜由美は、反抗できなくなっていた。荒い息だけをしている。
広いキャンパスには、公園のように木々が植えられ、芝生がはられていた。人影はまばらだった。次の講義がもう始まっているのだ。
「おまえにもう一度会いたいと思ったけど、本当に会えるとは思わなかったな」
剛介はぐいぐいと亜由美を引きずるように、古い校舎のある一角へ向かって行く。そこはいずれ取り壊されるため、現在はほとんど使われていない。
「なにするんですか」
「決まってるじゃない。もうオトナだろ? だったらさ」
「イヤです」
「おまえ、そんなこと言える?」
ふと亜由美は、剛介の手の力が緩んだと感じて、思い切り振り切った。簡単に自由になれた。
「これは運命なんだ。ここで再会したんだ。すばらしいことだよ」
金縛りになっていた体が、少し動き出す。
「逃げてもムダだよ」
剛介は笑った。
亜由美は走って教室に向かった。
遅れて席についたが、教授は幸い、さらに遅れてやって来た。
忘れ去ったはずのこと。記憶の中に閉じ込めて、封印したこと。それをプラスのエネルギーにして、念願の大学に入り、これからさらに夢を追って進もうとしていた自分。
それが、突然、終わりを告げた。
なんの講義だったか、さっぱりわからなかった。楽しいはずの大学生活が、早くも終わろうとしていた。いや、それだけではない。自分の人生そのものが、過去の亀裂の中に、引きずり込まれていくようだった。
運命は、亜由美をいいだけ明るい人生の扉まで進めておきながら、その扉の向こう側をチラッと見せただけで、閉じようとしている。
剛介との出逢いを噛みしめていた。封印した記憶。自分のことではなく、創造の世界だったと思い込むことにした世界。恐ろしいほどバカな自分を呪った。
あの頃、剛介に憧れていたのは事実だ。だが、それは、だれもがふと思うような淡いものだった。
剛介はなかなか、亜由美が思うようには行動してくれなかった。剛介は、亜由美を無視し続けていた。
剛介は、冷ややかに亜由美を見て笑うだけだ。
そして、ある日、彼は引っ越していった。一年もすると、兄たちも彼とは連絡を取らなくなって、ウワサも聞かれなくなった。
バカな自分。あれから思い出すのは、剛介とのことばかりだったが、再び会いたいのかどうか、自分でもよくわからなかった。
もし剛介と再会してオトナとしての付き合いをはじめたら、自分の人生がそこで大きく変わっていくに違いない、と亜由美は思っていた。それがいいことか、悪いことか。考えるまでもなく、いいことではないだろう。熱に浮かされたような初恋の相手。冷淡で、こちらに関心のない相手。うまくいくはずはなかった。
古い記憶を捨てることにした。
するとこれまで苦手な科目ばかりで、学校が大嫌いになっていたのに、徐々に成績が上がっていった。自信をつけ、誉められることが増えていった。亜由美は、バカな小娘だった自分を過去のものとして、きれいに消し去っていた。
まだ人生は始まったばかりで、未来は明るい希望に満ちていた。今朝までは……。
難関の大学に受かり、親兄弟を説得して一人暮らしも始めた。
「そうね、亜由美ならやれるかもね」と最後まで反対した母親も認めてくれた。
実家から離れての暮らしは、不便で、寂しくもあったが、楽しかった。
剛介がここにいるなら、きっと自分は大きく変わるだろう。人には言えないような期待があった。
その夜、夢にうなされた。夢の内容はよくわからなかった。思い出したくなかったのかもしれない。
ただ、下着がぐっしょりと濡れて、何度も絶頂を味わったかのように、だるく、疲れ果てて目が覚めた。微熱があるようだった。
大学へ行けば剛介がいる。それを避けては通れない。
亜由美は、重い体を引きずるようにして、大学へ行った。行けば、もしかすると事態は大きく変わっているかもしれない、と淡い期待があった。
それも、すぐに打ち砕かれた。
キャンパスに入るなり、剛介が声をかけてきたのだ。
「どう、よく眠れた?」
「私のことなんて、興味ないんでしょう?」
「そんなことないよ。よくこの大学に入れたね。お祝いしよう。一緒にメシでも食べようよ」
「わかりました。何時にどこへ行けばいいんですか?」
「じゃあ、今夜な。七時にここで」
その日は、昼間は講義に集中できた。亜由美は、これでいいのではないか、と考えるようになっていた。勉強はしっかりできている。やりたいこともできるだろう。未来はまだ自分のものだ。
剛介との関係も、過去の傷に過ぎない。自信あふれるいまの亜由美は、過去の自分とは違う。それに気づけば、そのうち、彼も亜由美を諦めるだろう。そう願っていた。
お祝いの夜
夜の八時に街中にいる。ここに引っ越してきてはじめての経験だった。
剛介の指定した居酒屋。雑居ビルの一階にある。ありきたりのものしか出ないが、深夜までやっている。そして安い。学生がよく利用しているせいか、サラリーマンは敬遠する店だった。
剛介は奥まった個室で待っていた。掘りごたつ式で、テーブルにはすでにセットのツマミが並んでいた。
剛介はジョッキでビールを飲んでいた。
これではまるで、剛介の彼女か、それとも命じられたらなんでもする娼婦のようではないか、と亜由美は思う。酒を飲んではいけない、と気をしっかり持って、剛介の向かい側に座った。
亜由美はただのウーロン茶を頼んだ。
「じゃ、再会を祝してかんぱーい」
仕方なくグラスを合わせた。
「本当に、これで終わりにしてくれるんですね?」
「うーん」と剛介は返事をはぐらかす。「おまえのお祝いなんだよ。まだ、再会したばかりで、ろくに話もしていていないしさ。五年も会っていないなんだから、もうちょっと話そうよ。お兄さんたちは元気?」
しばらく故郷の話が続いた。共通の知り合いの消息を亜由美は知っている限り、教えた。
その間にも、剛介は酒を飲み、串にさしたモツなどを食べる。唇にタレがべったりとつく。それを指で取る。舌を出して肉汁をすする。チュバチュバと下品な音を立てる。
「悪い、ちょっと待っていて」
途中で何度か、席を立ってトイレに行く。
店員はどう思うだろう。あまりにも剛介の傍若無人な態度に、亜由美をどういう女だと思うだろう。
今度トイレに行ったら、そのスキに帰ってしまおう、と彼女は決めた。
亜由美はただのウーロン茶を飲んでいるつもりだった。ただ、店全体が酒の臭いがあふれていて、よく味がわからない上に、暑いので、ついつい口をつけてしまっていた。
三杯ほどウーロン茶を飲んだところで、それが、やけにおいしいことに気づいた。普通のウーロン茶ではない。もしそうなら、三杯も飲めるはずはなかった。
「私、酔ったんですか?」と聞いていた。
剛介は笑っていた。
「うーん、そうかも。かなり早いピッチでウーロンハイを飲んじゃってたから」
「ウーロン茶、です」
「ああ。ここにはオレの友達がバイトしてるんだよね、そいつに、おまえがウーロン茶というのはウーロンハイのことだから間違えずに濃い目に作ってあげてね、と伝えておいたんだ。気づかなかったの?」
うかつだった。もう遅かった。体がだるく、力が出ない。頭がぼんやりして、眠くなってくる。
「送ってあげるよ」
外に出ても、春らしい生暖かい風が吹くばかりで、亜由美の酔いはさめない。
「いいです。自分で帰れます」
「ダメダメ。ほら、貸してごらん」
バッグを取り上げられ、中を漁られて、マンションの住所も覚えられてしまった。
歩いて数分のところにあるワンルームだった。
剛介は亜由美を抱えるように部屋に入れてやり、ドアをロックし、鍵を自分のポケットに入れた。
「許してください」と亜由美は涙を浮かべた。体も頭も十分には働かない。酒に酔ったことがなく、もはや自分が信じられなくなっていた。
これまで積み上げた自分が崩れようとしていた。
「おまえさ、本当はオレに会いたくて、大学をここにしたんだよね?」
「違います」
「オレがここにいると知ってたんでしょ。お兄さんから聞いて、がんばって勉強したんだね。イイコイイコしてあげよう」
「そんなこと、ありません」
剛介は、見渡せばすべてが目に入る狭い部屋を歩き回り、亜由美のものを無造作に手で触れた。
ベッド、机、本棚。机にイスはなく、ベッドに座って勉強する。ベッドにはクッションがいくつもあり、縫いぐるみもある。
「おまえ、女だなあ。いい臭いがしてるよ」
剛介はふとんをめくり、ベッドの中央部に鼻をつけた。
「やめてください」と亜由美の声は、かすれ、弱々しい。今朝見た夢のことを思い出す。なんだかわからないが、淫らな夢だった。それで、おねしょをしたように下半身が濡れていた。
その跡に、剛介は鼻をつけて、ニヤリと笑った。
「ここはいいね。オレのアパートなんかじゃ、隣の声が筒抜けだけどさ」
押し入れをあける。まだ本の入ったままの段ボールが二個。衣服。それをかきわけていき、とうとう剛介は、笑いながら、一本の電動マッサージ機を見つけ出した。
「肩でも凝るの?」
「はい」
「ウソつきだな、おまえ。もしそうなら、こんな奥にしまっておくわけがないよ。やましいからだ」
「ちがいます」
だが、剛介はその先端に鼻をつける。
「うーん、ひょっとして、おまえ、メス豚なんじゃないの。そんな臭いがするよ。夕べも、これでおまんこを慰めていたの?」
亜由美は涙を流すだけで、もう声も出ない。ようやく体をおこして、床にへたり込むようにして、剛介を見上げていた。
「おとなしくなったね。イイコだね。それでいいんだよ。亜由美は、ドスケベで淫乱で、いじめられるのが大好きな変態なんだよね?」
亜由美は、顔を横に振った。
初恋の、片思いの剛介の口から、そんな言葉は聞きたくなかった。
剛介はユニットバスのドアを開けた。
ワンルームのマンションだが古い設計らしく、トイレと風呂が一体になっている。
小さな棚をあけると、生理用品とむだ毛処理用のシェーバー、そして大量のイチジク浣腸があった。四十グラムと、もっとも容量の大きなタイプで、しかもノズルが長い。
「いいものを見つけちゃったな」とその箱を手に部屋に戻る。
「やめてください」と亜由美は言う。
剛介は彼女の頭を手で撫でてやった。
「素直になれよ。あんなにいいご両親やお兄さんたちと離れて、一人暮らしすることにしたのは、なぜだい」
「大学に合格したから」
「違う違う。本当の亜由美は、そんな風には考えていないでしょ。一人暮らしなら、オナニーし放題だもんね。オレが欲しくて大学に来たんだから、一人暮らしじゃないとマズイもんね。それも女子寮か、女性専用のマンションじゃなくて、亜由美はこんな普通の、ちょっと古いマンションを選んだわけだ」
「違います。予算に合うところが、ここしか空いてなくて……」
「いいんだよ。おまえ、もう燃えちゃってるんじゃない? オレに出会っちゃったんだもんね。よかったじゃん。夢、かなったじゃん」
「違います」
「亜由美がウソをついてるかどうか、体にきいてみればわかっちゃうんだけどな」
剛介は亜由美の背後に回り、抱きしめた。
無骨な手が亜由美の豊かに実った乳房を服の上から握りしめる。オトナの女へと変貌した生硬い肉の感触。小さな乳首がツンと立っている。
そして、臭い口で、亜由美の唇を奪う。
自分とはまるで違う臭いが口内を蹂躙している。舌が無遠慮に入り込み、あらがう亜由美の舌に絡まる。
長い抱擁とキス。剛介は舌で亜由美の顔をなめ回した。
亜由美が期待していた再会ではなかった。
それどころか、剛介は、亜由美が思っていたような男でさえなかった。
いや、そうではないかもしれない。亜由美は、うすうす、剛介の本質を見抜いていたのではないか。だから、怖いもの見たさで……。
「ほらほら。素直になっちゃえよ。待ちに待った再会の日なんだから」
亜由美にはあらがう力はなかった。
酔いのせいもあって、気持ちがよかった。こんな風にされることをイメージしていた自分がいた。それも事実だ。
一人暮らしの目的は、剛介の言う通りなのかもしれない。もう一人の自分が、まじめで勉強のできる自分を罠にかけ、剛介と再会するように仕組んだのだ。
剛介の指がスカートの中に入り、下着の上から股間のやわらかな肉の丘をまさぐった。
それに反応するかのように、亜由美はおしっこを漏らしてしまった。出始めると、止まらなかった。
「あーあ。やっぱりね。体はウソをつけないよ。とんでもないメス豚じゃん」
小水の中にへたっている亜由美の姿が、剛介のケータイで撮影される。そのまま服を少しずつ脱がせては、写真を撮っていく。最後にメガネを外す。
全裸にされたときに、剛介は「やっぱり」と確信した。
「自分でつるつるに剃っているんだね。どうしてそんなことをするんだろうね、誰に見せるの? もしかして昔、オレがそうしろって言ったから?」
「はい」
亜由美はとうとう、認めてしまった。「毎日、自分で剃っています。剛介様から、そうしろと……」
「イイコだね。じゃあ、ちゃんとオレが言う通りに真似して言うんだよ。私、亜由美は淫乱なメス豚です」
そんなことを言えるだろうか? 亜由美は思いもよらなかったが、酔っていたせいか、体が熱くなって仕方がない。
「ほらほら、言わないと許さないよ」
亜由美が、怪しいろれつで復唱する。
「私、亜由美は淫乱なメス豚です。どんな恥ずかしいことも、どんな苦しいことも、どんな痛いことも、剛介様のご命令には、いつでも、どこでも無条件で従います。それが、私、メス豚亜由美の本当の姿です。どうか、剛介様が飽きるまで、ご命令をください。もしご命令に従わないときは、厳しく罰してください」
言い終わっても、自分がなにを言っているのか、はっきりとした自覚がなかった。
「よし。よく言ったね。忘れちゃダメだよ。オレとおまえのケータイで録画しておいたからね」
亜由美はこくりとうなずいた。もはや自分の人生は終わったのだろうか。運命の再会とは、こういうものだったのか。そして、もしかして、これは自分で期待していたことなのか。
「じゃ、メス豚亜由美に、最初の命令をしちゃおうかな。自分で汚した床を、舌と口できれいにしなさい」
いきなり自分のおしっこを口で処理しろというハードな命令に、亜由美は戸惑うが、拒否する力はなかった。
全裸で、床に舌を這わす姿は、写真とムービーで保存された。そして、まだ男を知らない恥部とアナルも、記録に残された。
「おまえがオレの気に入らないことをしたら、これを、おまえのお父さんやお母さん、そして兄貴たちに送ってあげようね。みんな喜ぶと思うよ」
「それだけは、許してください」と亜由美は言いつつも、いつか、剛介がそうする日が来ると確信していた。両親や兄たちは、亜由美の本当の姿を見るだろう。そして亜由美を一生、許さないだろう。
「自分の小便の味はどう? おいしい?」
「おいしくありません」
「そんなはずはないと思うよ。これからは、それがおまえが大好きな飲み物になるんだからね。言ってごらん、本当のことを」
「おいしいです」
「わかったみたいだね。じゃ、顔を洗ってきて。それから持っている下着を全部、ここに置いて」
顔を洗って口をゆすいで戻った亜由美は、十数枚あるパンティを剛介に差し出した。剛介はそれを床に落とし、足で小水と唾液で濡れている床を強くこすった。
床には、さっきまではいていたパンティを含めて、彼女が持っているすべての下着がぐちゃぐちゃになっていた。
「あーあ、こんなに汚れちゃったね。ばっちいなあ。捨ててくれない?」
「え?」
「命令は一度しか言わない。聞こえたはずだよね」
「全部ですか?」
これを捨てれば下着がなくなってしまう。
「聞こえたよね?」
「はい」
亜由美は、自分の下着をすべて捨てさせられた。
「これからは、毎日、メス豚らしい格好をしないと、おかしいからさ」
ブラは六枚あったが、剛介が二枚を選んで、独特の形にハサミで切った。一つは下側にしかカップを残さず、つければかえって乳房が突き出たようになってしまう。もう一つは乳首部分だけ切り取って、飛び出させるようにした。ほかのブラはただ切断してゴミ箱へ捨てる。
「おまえ、何カップ?」
「Cです」
「思ったよりは小さいんだね。もっと大きくしなくちゃね」
剛介は勝手なことを言う。
「ジーンズとかズボンは?」
「はい」
ジーンズは二着あった。どちらも、剛介は太ももの付け根あたりから足の部分をばっさりと切り捨てる。いわゆるホットパンツだ。
「いいだろう。セクシーで」
スカートは三着あったが、それは「いまいち」と言われて捨てられた。ワンピース二着だけがかろうじてなにも手を加えられることなく残された。一枚は黒いノースリーブ。もう一枚はオフホワイトの七分袖。どちらも、ふんわりとしたもので、裾は膝上だった。
「オレが命じた服装で学校に来てほしいんだよね。本当はメス豚はいつも全裸だよね。だけどまあ、犬だって服を着て歩いているぐらいだから、そういう意味の服は許すからさ」
「わかりました」
「言っておくけど、一年中だよ。これからは暑くなるからいいけど、冬もだよ」
「はい」
その頃になって、亜由美も酔いはかなり醒めてきたが、現実とは思えない状況に、今度は体が震えて仕方がなかった。
「まだ、処女?」
「はい」
「よし、じゃあ、さっそく、そいつをいただくとするか」
そうなのか、と亜由美は思う。剛介は結局、それが目当てだったのか。
それなら、むしろラクかもしれない。つながりを持てば、剛介は変わるかもしれない。
これが、亜由美が想像するような恋愛になっていけば、剛介も人間らしく気持ちが落ち着いてくるのではないか。
「じゃ、支度しようね。さっそくこれを着てさ」
「え? でも……」
外に出るとは意外だった。
亜由美はこの部屋で剛介に抱かれるのだろうと期待していたのだ。この部屋なら、かなりのことでもガマンできる。
だが、外へ出るとはどういうことなのだろう。
「命令したんだよ」
亜由美は穴あきブラをつけ、素肌の上に白いワンピースを着た。メガネをかける。
「行くぞ」
「行くって?」
「おまえの処女をもらうんだよ。こんな部屋じゃ、メス豚らしくないし、思い出にならないし。もっとお祝いらしく、おもしろくしようよ」
ラブホテルにでも行くのか、と亜由美は剛介のあとから、不安になりながらもサンダルをつっかけて夜の街に出て行った。
喪失と崩壊
街の中を抜けて、大学の正門にやってきた。夜は守衛がいる。剛介は、顔見知りなのか、彼に挨拶をすると、そのまま構内に入っていった。
亜由美もあとを追う。
酔いはほとんど残っていないが、頭はふらふらしている。自分の運命が大きく狂ってしまったことに、まだ慣れていない。
暗いキャンパスは昼間とはまったく違う場所に見えた。
研究棟やサークルのある別棟には明かりがある。人がいないわけではない。徹夜で研究をしたり、実験をしている者もいると聞いている。外で酒盛りをしたあと、大学に戻って朝まで議論している連中もいるという。
剛介が向かったのは、出逢ったときに連れ込もうとした、旧校舎の横だった。
電気もないので、真っ暗な建物だ。封鎖されている扉が多く、学生はほとんど寄りつかないし、基本的には立ち入りできないことになっていた。
だが、彼は鉄の扉を開けて、中に入っていく。
無人の石造りの建物は、不気味だった。亜由美は声を出すこともできず、剛介に従った。
階段を上がると、踊り場があった。大きな窓から、街灯と月が見えた。
「ロマンチックだよね」
しかしここは、掃除もされておらず、壁は剥がれ落ちた古い建物だ。
「さあ。うしろを向いて。手をついて、おケツをこっちに突き出そうね」
はじめてのセックス。それを剛介は、屈辱的な姿勢で強要しようとしていた。
優しい愛撫やささやき、明るくていい雰囲気になって、柔らかなベッドの上でするのではない。
自ら、尻を男に突き出さなくてはならない。
「さあ、メス豚亜由美。この記念すべき夜をはじめるんだから、なにか言って」
亜由美は四つ這いになって、尻を突き出しながら、少し迷った。惨めすぎる。もしかすれば、懇願すると、もう少しマシな方法にしてくれるのではないか。
いや、違うだろう。もしここでグズれば、もっと恐ろしい要求に変わるのだ。
「お願いします。処女を奪ってください」
剛介は鼻で笑った。
月明かりの下。階段の踊り場で、全裸に近い姿をさらしている。
ワンピースはめくれあがり、真っ白な二本の足と、突き出た尻が見えている。
「もっと違う言い方があるんじゃない?」
彼女は考える。剛介が気に入る言葉を探す。
「剛介様。メス豚亜由美のドスケベで淫乱な、はじめてのおまんこを、どうか、ご賞味ください」
「いいねえ。そうでなくちゃ」
剛介は指で剥き出しの性器を確認した。
月の白い光では、はっきりと見ることはできないが、携帯で撮影をするとストロボによって、薄いピンクの亀裂がくっきりと浮かび上がった。
そこはぬめぬめと水面のように反射しており、指ですくうと、ねっとりとした液が付着した。
この日を待っていたのだ、と剛介は思い、ズボンを下げた。
亜由美は下からそれを見上げた。剛介のものは、想像よりも太く長くそびえていた。
体が大きいだけではなく、そこも怒張によって、別の生き物のように存在を主張していた。
大きな手でがっしりと腰をおさえつけられながら、それが自分の体に当たるのを亜由美は感じた。
指でいじるのとは、まったく違う感触だった。かといって電動マッサージ機のような硬さとも違う。
それは、世界が誕生したときから、亜由美のそこにぴったりと収まるように設計された、理想の肉体のように思えた。
じわじわと剛介が入ってくる。
いままで経験したことのないほど、広がっていくのがわかる。股が裂けるのではないか。
足をもう少しだけ自ら開く。
「痛い!」
亜由美は思わず、声を出していた。
貫通した。
硬直した肉体の一部が、亜由美の中に突き通った。
下半身が痺れるような痛み。体が切り裂かれたような感覚。
剛介はピストンをせず、すぐに引き抜いて、血のしたたる股間と性器を撮影した。
「おめでとう、メス豚亜由美ちゃん」
「ありがとうございます」
亜由美が言う前に、再び堅いものが体を貫いた。
まだ痛みが消えていない部分に、それが擦りつけられながら、体を押し広げていく。
痛いのだが、徐々に熱くなっていく。粘膜が膨張している。
「うわあああ」と亜由美は叫ぶ。
「うるさいなあ」と剛介は平手で亜由美の尻を叩き、さらに激しく突いた。
体の中で、剛介のものが抜き差しされている感覚に、亜由美は最初のうちは、ただ戸惑っていた。
だが、しばらくすると、そこから得られる快楽は、オナニーとはまるで違う、別次元のものだ。
取り壊される寸前の古い校舎。
その踊り場。
深夜の大学。
恥ずかしい格好。
思いもよらない運命。
そして自分自身による自分自身に対する裏切り。
そうしたものがすべて渾然となって、亜由美を快楽にのめり込ませていった。
これなのだ、これが求めていたものなのだ、と確信した。夢の中で体験したあの絶頂感が、現実になる……。
「ううう」
剛介がうめき、彼が精液を亜由美の中に放出したことがわかる。
どのぐらいの時間、そうしていたのかはわからないが、亜由美はその場に、崩れるようにして跪いた。
剥き出しの下半身。濡れそぼる股間を、冷たい汚れた踊り場に横たえた。
コツコツと足音がして、懐中電灯が亜由美の顔を照らした。
「すごかったな。めちゃくちゃ感じてたぜ」
聞いたことのない声に、亜由美は驚いて立ち上がる。ワンピースで体を隠す。
懐中電灯が消えた。そこには月光に照らされた、制服姿の警備員がいた。彼は、それほど若くはないようだったが、自信ありげに近づいてくる。
「誰ですか?」と剛介。
「ここの警備をしてるんだよ。誰かがここでおかしなことをしてるんじゃないかってさ。思った通りだな。おまえたちを学長の前に突きだしてやろうか?」
「目的はなんです?」
「第二ラウンドはオレが相手だ」と警備員。ベルトに手をかけている。
「わかった」と剛介はあっさり許してしまう。
亜由美の頭の中で、いくつもの疑問がわく。しかし、言葉が出ない。
いまはじめて男を知ったばかりで、剛介はなぜ、見知らぬ男にまで許してしまうのか。
物のように亜由美を与えるのか。
「ほらほら、豚らしく、四つん這いになってよ」と剛介が怒鳴った。
呆然として、彼女はさきほどの姿勢をとった。
警備員は、二人の行動をすっかり見ていたのだろう。いきりたった性器を剥き出しにする。
剛介よりはやや細い。それを剛介の精液がしたたる亜由美の中に押し込んだ。
痛みはまだ残っている。
処女を失った直後に、見知らぬ男性を受け入れている。
しかも、かなり興奮しているのか、激しく動かすので、痛みはさらに増す。これ以上は痛みに耐えられないと思った瞬間に、それは得も言われぬ快楽に転じた。
「あああ」
亜由美は声を出していた。
「おっと、感じちゃったかな? 知らない男に犯されてるのに? 淫乱だね。そんなにいいの?」と警備員。
答えることができない。
別のスイッチが押されたようだった。おそろしい、とさえ亜由美は思った。
酷いことをされているのに、自分はどんどん、より深い快楽に沈み込んでいく。
それは果てしない奈落の底のようだ。
「いい」と自分で声を出した。
「感じちゃったんだね?」
「はい。あたし、あたし、どうかなりそう」
そして警備員は笑い声をあげて、ピストンを終えた。彼の精液もまた、亜由美の中に注ぎ込まれた。
剛介がその様子を写真に撮った。
「おい、なにするんだよ」
「こっちも保険をかけておこうと思っただけですから。そちらがなにもしなければ、こちらも、なにもしません」
警備員は不満そうだったが、ズボンをはくと「とんだやつらだな」と呟く。
「これからも、いろいろ、お世話になるでしょうし」と剛介。
「オレが夜勤のときは、任せておけ」と警備員は言い、笑いながら帰っていった。
剛介は亜由美の汗で濡れた額と髪をやさしく指先で撫でてやった。
「そんなによかったの?」
「はい」
「よし。じゃあ、お仕置きをしてやらないといけないね」
「どうしてですか?」
「どうしてもだ。いやらしいメス豚には体で教えるしかないもの」
深夜の講義は、まだ始まったばかりだった。
再び、居酒屋に連れていかれる。
店は朝までやっているので、深夜を過ぎると、むしろ、混雑しているように見える。
店内は薄暗さが増し、酔った客たちはやたら大きな声で騒いでいた。
奥の個室は剛介の専用かのように、空けてあった。そこも、さきほどよりは照明が落とされている。
裸の上にワンピースだけの姿で、亜由美はそこに連れ込まれた。太ももを自分の処女の血と二人の精液がしたたっている。
注文を取りに来たのは、剛介の友人だった。
「うまく行ってるよ」と剛介は言い、亜由美のワンピースの裾をまくりあげた。
手でとっさに止めようとしたが、強く叩かれて払われる。
バンザイの格好をさせられ、めくれ上がったワンピースが顔を覆う。切り取られてバストを強調しているブラ、そしてつい先ほど処女を奪われたばかりの裸体。
「おお、いい体っすね」と店員がからかった。
「ウーロンハイ二つ」
「つまみはどうしましょう?」
剛介は、ワンピースを抜き取って、柔らかな肌の亜由美を座らせた。そして耳元でささやきながら、メニューを指さす。
「私の、お、おまんこに突き刺して食べたい串焼きのセット」と亜由美が言わされる。
「たくさん、おまんこに入れたいお野菜がタップリのバーニャカウダ」
亜由美の肩が震えている。
「もっと大きな声じゃないと注文が通らないよ」
「私のおまんこにぴったりの極太ソーセージの盛り合わせをください」
友人の店員はそれをニヤニヤしながら繰り返す。
「以上でよろしいですか?」
「あのう」と亜由美は言わされる。
「私のおまんこの奥まで広げてくれるような太いキュウリをいただけませんか」
「生のキュウリですね」
「はい」
「わかりました」
店員が下がる。
亜由美は剛介が自分の体になにをする気なのか、その意図がわかり、恐ろしさに震えている。
「横になってごらん」
「そんなの、ムリです」
「ムリ? オレだけならともかく、初対面の警備員となにをしていたんだっけ?」
「でも、あれは……」
パーンと軽い音がし、亜由美の飛び出した乳房が揺れた。
剛介の手の跡が赤く残る。
張りのある乳房は、そのぐらいではびくともしない。反抗的に上を向いている。
「口ごたえは許さないからね、メス豚ちゃん。だいたい、そんな格好で居酒屋に来ておいて、ムリとかそういうの、やめてくれない?」
店員がつまみとウーロンハイを持ってきたとき、亜由美はテーブルの上に仰向けに横たわり、股間をカエルのように開いて、足の先をテーブルの脚に巻き付けていた。
薄暗い店内だが、料理を際立たせるために、テーブルの上にはスポットライトが当たっている。
それがいま、亜由美の白い肌を照らし出していた。
「輪ゴムあります?」
亜由美の乳首を指先でもてあそんでいる剛介に言われて、店員はエプロンのポケットから数本、出した。
剛介は、固くなった二つの乳首を割り箸ではさんで輪ゴムで止めていく。
「い、痛い!」
「うるさい」
「さて、最初はなにが食べたいのかなあ?」と剛介。
「その前に、店員さんに見てもらおうか、さっきまで処女だった汚い穴をさ」
言われるままに、亜由美は自ら、無毛の丘に指をはわせ、真っ白な肌に縦に走る一筋を、広げていく。
「見てやってよ。もう、こんなになってるんだもの。メス豚だからしょうがないけど」
出血の跡、二人分の精液。気持ちに逆らうように、どうしようもなくあふれ出る愛液が、なまなましく光る。
剛介が耳元で囁くと、亜由美は「さきほど、女にしていだきました。メス豚の汚いおまんこに、太いキュウリを……」と声が小さくなっていく。
「ほら、ちゃんと頼まないとさあ」
剛介が乱暴に割り箸をひっぱり、乳首がちぎれそうになるほど引き延ばされる。
「あううう」と声にならない声を出しながら、亜由美は股間を自ら突き出す。
「ううって言うだけじゃ、わからないんじゃない、フツー」
割り箸が半回転する。乳首が捻れる。
「ううううう」と涙を流しながら、亜由美は自ら無毛の丘を、さらに開く。ピンクの粘膜が、ぬらぬらと光る。
「もっとしてほしいのかな?」
割り箸が一回転する。剛介が楽しそうにしている顔を、亜由美はひたすら見つめるしかない。そして指に力を入れて、思い切り開いた。
「おまんこにキュウリを入れてください」
ついさきほど開通したばかりの性器の奥までが、スポットライトに照らされる。
「うわ、いやらしいじゃないすか」と店員。
キュウリの先端を手にし、柔らかな肉体に当てる。
尖った先端が赤い粘膜に沈み込む。そしてトゲのある胴体が、容赦なく閉じた恥部を広げていく。再び痛みがぶりかえし、尻が浮きそうになる。それを剛介が割り箸を持つ手に力を入れて阻止させる。
「おお、入る、入る」
はじめて許す異物に、亜由美は脅えてもいた。
新鮮さを示すトゲが、粘膜を切り裂きながら侵入している。
キュウリは半分ほど入った。
「すげえじゃん」
「ほら、舌を出して」
剛介は亜由美の舌を突き出させ、割り箸ではさみ、輪ゴムでとめた。
「よし、じゃ記念の写真だね」と店員に頼む。亜由美の淫らな姿が、亜由美のケータイで撮影されていく。
剛介に上半身を起こされて顔も入れる。メガネをかけたバージョンとかけていないバージョンを撮る。
店員は仕事があるのか、そこで残念そうに引き下がったが、剛介の亜由美に対する仕置きはそれではすまなかった。
「おまえに再会したら、どうしようかって考えたことはあったんだけど、まさかね。こんなことが似合うメス豚なんだね」
キュウリが、剛介の手でゆっくりと出し入れされる。
かつて剛介に見られた部分よりも、ずっと奥の体内が観察されている。めくれあがる粘膜は、ハードな刺激のせいで、充血していた。
男性経験の豊富な女性でもキツい責めだ。それに呼応するようにたっぷりの液体が分泌されている。
抜き取ると、ぽっかりと口が開いた。
「へえ、まだ、物足りないみたい」
剛介は太いソーセージを指でつまんだ。脂ぎった、焼きたての腸詰めを敏感な部分に押し当てる。
「うひっ」と亜由美の体がはねる。
ぐいっと奥に入れる。キュウリよりはすんなりと奥の奥まで入っていった。
たっぷりと中をえぐるように動かして、取り出すと、剛介は、それを亜由美の口に押し込む。
「しゃぶれよ」
人の口を使ってソーセージの表面についたものをぬぐい取る。
ガブリと頬張った。
「なんだか味気ないな」
長いソーセージを亜由美の蜜で味付けしてから、直接食べてみる。
「なるほど、メスの味って、こんなんかな」
二本食べたあと、短いソーセージは、奥まで押し込んで「出してごらん」と亜由美に強要する。
そんなことができるはずもなく、汗をかきながら奮闘するが、出ない。
「しょうがないか」
指を入れて、中から掻き出そうとすると、ぐちゃぐちゃと淫靡な音がする。そのしぐさに感じてしまい、体をくねらせる。
「淫乱なんだね、亜由美は。なにをしても感じちゃうんだ。でも、これじゃ、お仕置きにならないよ」
ソーセージが終わると、次は串焼きだった。つくね、鶏皮、ネギマ、軟骨の四本セット。
「これが入りやすいかな」とわざと亜由美の目の前に、竹串に棒状につけられたつくねをもっていく。それから、おもむろに押し込む。
酷い仕打ちを受けているのに、その部分ははじめて男を受け入れたばかりとは思えないほどの反応をし、つくねを飲み込んでいった。
「力を入れてみてよ」
まだそれほど広くはなっていない性器は、亜由美が意識しなくてもぎゅっと柔らかな異物をくわえ込んだ。
ゆっくりと剛介が串をひっぱると、徐々に串だけが抜けた。
「おいしそうに食べちゃったね」
「うううう」
涎を垂れ流しながら、亜由美は耐える。
つくねがすっぽりと体内に残った。それを、串の先端でほじるようにして掻き出しては、剛介は頬張る。
奥から掻き出した断片を亜由美の口に押し込む。割り箸で舌が飛び出ているので噛むことはできない。飲み込むしかない。
「どう、おいしい?」
残りの三本は、とうてい亜由美の膣には入らない形状だった。腹を立てた剛介は、むしゃむしゃと平らげると、あいた串を蜜壺に刺して、さいなんだ。
「ひーひー」とそのおぞましい感触に亜由美は耐える。
「どう、少しは辛い? 感じちゃってる?」
亜由美の目尻から涙が伝わっているのを、剛介は楽しそうに見ている。
串を抜くと、バーニャカウダのソースを、亜由美のただれた美肉に注いだ。そして、一本、また一本と、細長く切られたニンジン、セロリ、アスパラを射し込んでいく。
「亜由美ちゃんのスケベなお口は、まだ小さいね。もうちょっと入るようならないと、ダメだね」
ニンニクとアンチョビ、オリーブオイルからなる熱いソースを、野菜で敏感な粘膜の中へ押し込まれる。火傷する恐怖に、亜由美は耐える。
皿にあったすべての野菜を押し込もうと、剛介は奮闘する。
「これから、何本も太いものを入れられるように改造してあげよう」
そうやって味をつけた野菜を、酒を飲みながら、すべて食べてしまった剛介は、ようやく気が済んだようだった。
「そろそろ場所を変えようか」
剛介は乳首の割り箸を外した。
締め付けられていた乳首が潰れ、赤黒くなっていた。激しく痛むのだろう。亜由美は顔をしかめている。
舌からも取り除かれた。あふれた涎が胸までしたたっていた。
「向こうを向け」
亜由美は四つ這いにされて、尻を剛介に向ける。
「こっちはどうかな?」
舌からはずした割り箸の先が、亜由美のアナルに触れる。ピンクの小さな蕾がびくっとする。
「なにするんですか?」
「いいことだよ」
「小さいなあ。じゃあ、まずこれを入れてあげるね」
剛介は、亜由美の部屋から持ってきた大型のイチジク浣腸を、ポケットから出した。
「おまえ、これ、大好きみたいだね。若い女の子が、恥ずかしげもなく、イチジク浣腸をあんなにたくさん買ってるなんて、驚きだよ」
「そんな」
便秘のために、と亜由美は考えてのことだったが、それも言い訳なのかもしれないといまでは思う。
恥ずかしいからこそ、何度も買わずにすむように、一度にたくさん買ったのだが、それすらも、剛介の指摘が正しいのかもしれない。
ただイヤらしい気持ちだけでそうしてきたのだろうか。
「いいんだよ、遠慮することはないんだよ。これからは毎日、浣腸だからね」
その先端を蕾につける。
「あっ」と亜由美が反り返る。
じらすように、長いノズルをゆっくりと亜由美の中に入れていく。奥まで入れて、しばらくもてあそぶ。
「いつも、こうしていたんじゃない?」
薬液を押し潰しながら入れていくと、そこは、ぬらぬらと光る。
「これだけじゃ、おまえにはお仕置きでもなんでもないよね」
もう一つ、浣腸する。
潰れた二つの容器でウーロンハイを吸い込み、それも注入する。
「苦しい」と亜由美。
「まだまだ。こんなもんじゃ、物足りないよね」
割り箸を押し込んでいく。角張った異物を、亜由美はもだえながら飲み込む。
「よーし。まだ一本だ」
「ムリです」
「うるさいなあ」
剛介はその尻を思い切り平手で叩いた。
亜由美から外した割り箸は三組。六本ある。さすがにそこまではムリだろうと剛介も思っていたが、バーニャカウダソースの残りをつけて、一本、また一本と差し込む。
四本入った。
亜由美は汗を噴き出して震えている。薬が効いてきたのだ。
「ここでしちゃったら、ダメだよ」
残された太いキュウリを、さんざん遊んだ亜由美の女の部分に押し込む。
「飲めよ」
残りのウーロンハイを飲まされる。
「いい子だね。じゃあ、出ようか」
ワンピースをかぶるようにして着て、酔っ払って様子のおかしな女と、それを介抱している彼氏といった感じで店を出た。
深夜の冷たい風でも、脂汗は止まらない。お腹の中の嵐を耐える。前後の異物の感触もあって、まともに歩くことができない。
彼女の手を引っ張って、剛介はどんどん歩く。
「もう、我慢できません」
亜由美が懇願すると、剛介は「じゃあ、そこですればいい」と、街灯を示す。
回りはオフィス街で、この時間に通行する者はいない。車がときおり通りすぎる。暗がりではなく、街灯の下では、とても恥ずかしくてできるわけがなかった。
亜由美はもう少し辛抱し、暗がりを待った。
小さな公園があった。
トイレはない。遊具施設もなく、たまたま空いた土地を、公園と称しているだけで、街灯が一本と、ベンチが三つあるだけだった。
「もう、だめです」
限界となった亜由美は、剛介に手を引かれるままに街灯の下にしゃがみ込んだ。
「うううう」と嗚咽しながら、暴れ回る腹を静めるしかなかった。
恥ずかしさで死にそうだったが、なぜか、胸が熱くなってもいた。
「見ないで」と擦れた声で言いつつ、自ら割り箸を引き抜こうとする。
思った以上に深くまで入っていた。柔らかな粘膜を蹂躙した四本の箸を、慎重に引き抜く。
巻き付いた粘膜が、そのまま引きずり出されるような感触に恐ろしさを抱きながら、便意に耐え、少しずつ、痛みを感じないようにゆっくりと抜いた。
その間にも、浣腸液とウーロンハイが手にふりかかる。
少しずつ漏れている。
呼吸を合わせて、割り箸が外に出て行くと、腹痛の原因となっている固形物が、ドドッと音を立ててあふれ出した。
「いや」と小声が出る。
小水も漏れ、止まらなくなった。
「相変わらず、こういうの、好きなんだね」
「違います」
「恥ずかしくないの? いい年した女が、公園でうんことおしっこを垂らすなんてね。最低だよ」
言葉でなぶられても、返すことができない。
手と下半身が濡れている。
水道があったので、そこで泣きながら下半身を洗った。
「思い出に残る夜になった?」
割り箸に削られた粘膜の痛みが残る。
浣腸による強制的な排泄の残像が腹部にある。腸がぐねぐねと動いたいる。
剛介によって、自分の体が、蹂躙されているのだと実感する。
亜由美はとんでもない深みにはまったことを自覚していた。
百均の苦痛
翌日、朝八時からの講義に、剛介の命令で、亜由美はホットパンツにTシャツ姿で出席した。
下着はつけていない。Tシャツは濃い紺だったが、よく見ると乳房と乳首の形までわかる。下着に頼らなくても、はっきりと美しい形を保っている。
太ももの付け根に沿って切り取られたホットパンツは、真っ白な肌を露わにする。少しずれたら、鼠径部も見えてしまうだろう。
剛介の出るはずの講義に出て、ノートをつくるのが亜由美に課せられた仕事だった。
朝一番の講義があり、出欠にはルーズだが、持ち込み可能なノートがなければ、テストの点は取れないことで知られていた。
亜由美の選択したものではないが、ノートをつくり、剛介のためになるだけではなく、それを剛介は販売するのだ。
「一回の講義を五百円で受けているんだよ。ざっと二十人参加しているから、一回で一万円ぐらい。がんばってね」
月に八万円ほどの稼ぎになる。
講義が終わり、昼近くになって剛介が大学にやってくるまでに、亜由美はパソコンでノートを清書して、そのデータを剛介に渡さなくてはならない。自分の講義に出ている暇などはない。
逃げることは考えなかった。
昨日、自分に起きたことに、まだ整理がつかない。ただ酷い目に遭っているのに、むしろそれが当然の報いのように思える。
剛介に言われたように、もしかしたら、自分で望んだことかもしれない。
兄たちの会話から、剛介がこの大学に入ったことを、聞いていたのかもしれない。それを意識したくないので、振り払うように勉強にだけ集中した。
そして、剛介に見つけてもらう。
もし見つけてくれないか、剛介がもう亜由美に興味がないようなら、剛介に似た人を探すつもりでいた。
だから一人暮らしにこだわり、女子寮とか女性専用マンションを避けたのだ。
亜由美自身が否定しても、剛介に指摘されたとおりなのではないか。自分は本当のメス豚なのではないか。
昼過ぎに、データを剛介に渡すと、そこからは果てしない快楽と苦痛の時間が始まる。
「つきあえって」
命じられるだけで、尻尾があれば振りたくなるほどの喜びを感じる。同時に、激しい嫌悪も感じる。
昨日ですべては逆転したのだ。これまでこの快楽を閉じ込めて、受験勉強だけをしてきた。
今度は、快楽のためにはすべてを利用する生活が始まった。
小説『亜由美』第一部 第1部 (1/4)
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