家畜妻の歌 第5部 (5/5)
前の話
ある部屋を彼がノックすると、「はい」と男の声がしました。「どうぞ」
うながされて彼がドアを開けると、そこは小さな書斎のような部屋でした。白衣を着た若い男がいます。
「待ってたよ。これが、それか」
そのメガネをかけた細身の男は、私を指さして「これ」と言ったのです。
「ああ、そうだ。恵美という。これまでに撮影したものをすべて彼には送ってあるんだ」
男は薄い唇を歪めて不気味に笑い「そんなに脅えなくてもいい。それとも期待に震えているのかな」
「両方だよ」
「で、なんて呼べばいいんだ。奥さんか?」
「恵美でいいさ。家畜妻・恵美だ」
「わかった。じゃあ、預かるよ」
「二週間、だな」
「そう。五日ほど研究させてもらってから、その手術をしよう。手術のあとも一週間は様子を見たい」
「そんなに大変なのか?」
「いや。ぜんぜん、大したことはないが、研究材料として興味があるから。それにどうせ術後一週間はセックスはできないんだ。返すときは、完全な形で返したい」
「わかった」
二人の間には、すっかり取り決めがあるようでした。
「いいか恵美。おまえはこれから、この人の言うことをすべてきくこと。逆らってはいけない。できるか?」
彼が私に言うのです。
「はい」
「おまえがいまどういう状況なのか、教えてやろう。これから二週間。実験動物としてここの研究室に貸し出す。その報酬として、おまえは念願の去勢手術をしてもらえる。よかったな」
簡単に返事ができるわけではなく、私は呆然としていました。
すると彼が私の頬を平手で叩きました。
ぐらっと体が揺れて、毛布が落ちました。
全裸の私を知らない男の前にさらしていました。
「わかったのか?」
「はい」
「じゃあ、ちゃんとお願いをするんだ」
私は床に正座し、頭を下げ、「私、家畜妻・恵美は、いまから二週間、実験動物としてどのような命令にも従わせてください。お願いいたします」
「なるほど。いいでしょう。許可しましょう」
「じゃ、また連絡するよ。手術は見に来るんだろう?」
「ああ」
「おもしろい演出をしてやるから、楽しみにしていてくれ」
「期待しているよ」
彼はそのまま部屋を出ていってしまいました。
「悪いが、ここにいる者は、おまえのことを動物として扱うからね。私も名乗らないし、ほかの誰も名乗らない。あとで揉めるのはいやだからな。おまえはただ命令に従えばいい」
「はい」
「じゃ、まず、体の検査からだ。こっちに来い」
小部屋の奥にあるドアをくぐると、まぶしいばかりに白い部屋に出ました。
若い男と女がいます。白衣を着て、顔を白いマスクで覆っています。
どちらの目も冷たく、私を軽蔑しているように見下しています。
「今日から二週間、実験動物として借りた。君らの研究に役立つと思う。あくまで特殊なケースだけどね」
女が私の体を眺め回します。
「自分からこんな姿になるとは、動画を見せてもらうまで、信じられませんでしたけど」
男もやってきます。
「まあね。もしできることなら、頭蓋骨を開いて、脳に直接電極をつけたいなあ。ダメですかね」
最初の男を仮に先生と呼ぶことにします。その先生は「今回はムリだな。だが、いずれそういうことになるだろう。そう遠くなく」と言うのです。
「彼とはそういう約束もしているんだ。使い物にならなくなったら、払い下げてくれるそうだ」
「それじゃ、完全に狂ってるってことじゃないの?」
「どうだろう。そのあたりの境界線も研究材料になるんじゃないか?」
「とにかく、きれいにしてからじゃないとね」
私は二人に連れられて、廊下を歩かされます。人の気配が少なく、表の大病院とはまったく別の空間です。
トイレとシャワーのある部屋に入れられました。
男と女が、私をシャワーに押し込み、ぬるま湯を浴びせます。それから匂いのないシャンプーのような薬液を頭からかけられ、柄のついたブラシで全身を激しくこすられます。
洗面台に向かって頭をさげて、頭部をカミソリで丁寧に剃られます。つるつるにされます。陰部の体毛も剃られていきます。
その間に膣内へ液体を入れられて洗われると、高圧浣腸をされました。
排泄を許されたあと、もう一度、シャワーを浴びて固いバスタオルで体を拭います。
「これで歯を磨いて」
無骨な歯ブラシで口の中をきれいに磨き、さらにミントの香りのする液体で口の中をゆすぎます。
それからまた二人に連れられて、別の部屋へ。
拷問室のような器具の多い部屋の中に入れられます。中央には歯医者さんのイスのようなものがあり、そこにベルトで縛り付けられます。足は左右に開かされ、しゃがむようなかっこうで固定されました。
先生もやってきます。膣鏡、肛門鏡を入れられて、内部を観察されます。
「まあ、あれだけやればしょうがないが、荒れているよな」
「火傷もまだ治っていませんね」
「ムリにリングをつけたので、そのあたりもかなり悪化しそうだな」
さまざまな器具を使われて、見られるだけではなく、消毒されたり、組織の一部を切り取られたり、剥がされたりしました。
いくつもの容器に私のお腹の中の細胞がサンプルとして採られいきます。
脈拍、心電図、血圧、採血、そしてカテーテルを入れられての採尿もされました。
「そこそこ使えそうだ。最初の実験にかかろう。時間がもったいない」
がたがたと支度がはじまり、キャスターのついた巨大な装置が用意されました。
「よくあるマシンだけど、ここに工夫があるんだ」
男が説明します。
一メートルほどの長さの鉄棒。その先に巨大なピンクのディルドが装着されています。機械仕掛けで、さまざまな速度でピストン運動ができるのです。
スイッチが入ると、モーター音がして正確に同じピストンを繰り返します。ですが、何十回かに一度、ディルドの先端から透明な粘液が噴射されるのです。
「とりあえず、どのぐらいの時間でどれだけ反応するのかテストしよう」
女は私のつるつるの頭になにかを塗ってから電極をつけていきます。
男はその間にディルドがちゃんと私の中に入るように機械を調整します。
そしてふいに、その先端が私の中に押し込まれてきました。
なんの合図も私にはなく、機械が動きはじめます。
「あぅあぅ」
子宮まで突き上げるほど深く、容赦なく入ってきます。そのパワーで、下腹部が上に押し上げられるほどです。
痛いばかりで、とても感じるようなものではないのです。
ガンガンと子宮にディルドがぶつかっていきます。
数分して、何度か粘液が噴射されていくうちに、下半身が熱くなってきました。
「あひっ、あひっ、あひっ」
私の呼吸と突き上げてくる機械のリズムが一致してきます。
そして最初の緩い波がやってきて、私はそんなことでも感じているのです。
「確認しました」
女が静かに言います。脳波に出ているのでしょう。
「続けてみよう」
長いエクスタシー。体を動かせないのですが、しだいに痛いほどの突き上げが、だんだん物足りなくなってきて、自分から求めていくようになっていたようです。
男はなにかを操作したようで、機械のスピードが徐々に上がっていきます。より乱暴になって、激しくなるのです。
「あぐぅ、うがぁ」
私の体の中がぐちゃぐちゃにされている……。
そう感じた瞬間、これまで異常に強烈な感覚がやってきました。
「きてます」
女が冷静に言います。すると男はさらに機械のスピードを上げたのです。
「ひゅぃー」
長い悲鳴をあげて、私は痙攣しながら自ら、はげしく射精をしていました。男のように、体の奥からなにかが吹きだしてマシンを濡らすのです。
「まだ続いています」
女の声。
「ああ、だめー。壊れる。もう止めて」
泣き、叫び、わめいても、止めてはくれません。
さらに上があるというのでしょうか。
五分以上も、そうした状態が続いたと思いますが、よくわかりません。徐々にピストンが遅くなり、最後には停止しました。
水を大量に飲ませてくれます。それから何本か腕に注射もされました。
「もう一度、やってみよう」
なんということでしょう。人が相手なら、とっくに十人ぐらいに輪姦されたほどの状態なのに、さらに続けるというのです。
「やめてー、お願い」
ディルドが再び体の中に入ってきます。
そして冷酷なピストンがはじまります。
「ふふふ。いやだといっても、体は反応するかしら。それとも脳がそうさせるのかしら。脳で拒絶した快感は、どれだけ体に与えても、苦痛でしかないのかしら」
女が私の耳元でささやきます。
苦痛でしかないはずです。五分、十分と単調なピストンに身をまかせ、いくら潤滑剤の粘液が噴射されているとはいえ、もう私の性器はなにも感じなくなっているのです。
そう思っていたのですが……。
「あら、きてるわ」
脳波の方が先に反応したというのでしょうか。
女の声とほぼ同時に、またしても熱いものがこみあげてきて、私の体をどろどろに溶かすのです。
ピストンが速くなります。
「あぅぅ、もうダメ。殺して。お願い、殺して」
激しく子宮を突き上げられながら、私は再び長い長いエクスタシーの中に溺れていくのです。
「驚いたわね。さっきより長く続いているわ」
「はー、はー、はー」
声も出ません。
その波が引いていくと、また水を飲まされ、注射をされて、さらにまた機械が……。
終わりがないのです。
二時間以上もそのマシンで膣を擦りあげ、子宮を殴られ続けたのでした。その間に、もう何度、絶頂を味わったのか私にもわかりませんでした。
くたくたの私は、二人に担がれるようにしてシャワー室に運ばれて、全身を洗われました。
そしてまた診察台に戻されます。先生が待っていて、私の股間を開き、クスコで充血しきった性器をチェックします。
「おお、子宮が腫れているね。子宮口が大きくなっているぞ」
ラミナリア
桿
でさぐっていた先生は、次にもっと太い金属の棒を子宮口にねじこんでいきます。
「どうせ切り取るんだから、せいぜい、楽しむことだな。子宮口で感じるのかどうか」
「ひぃっ」
先生が金属棒を激しく揺さぶったのです。
この二時間に受けた刺激がぶりかえすように、私の下半身を痺れさせています。それは性的な快感というよりも、壊されていく恐ろしさからくる異常が興奮です。
「感じてますね」
女が言います。
「フィストもできるんだな」
先生はクスコを取り外すと、ゴムの手袋をしたまま、手をねじ込んできます。そして、金属棒をさらに深く突き入れながら、こじるように激しく動かすのです。
「あふっ」
「きりがないほどですね」
あきれたような女の声。
「だいぶ子宮口が柔らかくなったな」
先生は金属棒を抜くと、指先を直接、子宮口に突き立てました。
「おお、入るぞ。内視鏡を持ってこい。撮影しておこう」
でも、自分でもどうなってしまったのかわからないほど、感じてしまっていたのです。
異常性欲
彼らが休憩している間、私は点滴を受けていました。あまりにも疲れて眠り込んでいたようです。
時間の感覚がなくなっていました。
「起きろ」
鼻輪を引っ張られて、目を覚ましました。
男が私を見ています。
「おまえの異常な性欲を解明するんだ。絶対に感じないような状況をこれから試してもらうからな」
「これまでは性器をいじったから、感じるのはしょうがないわ。今度は性器は触らないわよ。それでも感じるのかどうか、試してみましょう」
女はそう言うと、私の下半身に奇妙なベルトを装着しました。一種の貞操帯です。貞操帯にこすりつけて感じないように、肝心な部分をカップ状の金属で覆っています。おまんこ全体とアナル部分がすっぽりカバーされてしまっています。
「降りろ」
診察台から降りても、そのベルトのせいで足を閉じることができません。股間に洗面器でもつけているような感覚です。
そのベルトによる痛みは、腰と腿の付け根付近にきます。
男と女は私の手を後ろに回して、手錠をかけました。
「ほら、こっちだよ」
清潔な部屋から廊下へ、そして裏口に出されます。そこはもう外なのです。ビルの間をわたる風が、裸の私には冷たく感じます。
「次の実験はつらいぞ」
「そうよ。普通だったら気が狂うわね」
さんざん脅されて、不かっこうな姿で歩かされます。アスファルトの駐車場を抜けて、古い雑居ビルに辿り着きますが、その中に入るのではありません。その横にある工事現場にあるような仮設トイレに連れていかれました。
「ビデオを見たが、こういう目にもっと遭いたいんじゃないかと思ったんだよ」
「こんな状況でも感じることができるかしらね」
ポリエチレンでできた緑色のトイレです。しかし、そのドアを開けると、肝心の便器がないのです。段差があって、和式の便器が設置できるようになっているのに、そこには穴が開いているだけでした。
その裏側に回ると、できそこないの車椅子のような金属の装置がありました。
「おまえの主人って人が用意してくれたんだ。感謝しろよ」
私はそこに座らされます。お風呂にでも入ったような斜めの角度で、ベルトで縛り付けられました。
頭部をすっぽり覆うヘルメットのようなものがかぶされ、それもパイプに金具で固定されました。頭を動かすことができません。
「脳波を向こうでモニターできるんだよ」
男が鼻輪を持って引き上げます。
「鼻に入れるわよ」
女が細い管を鼻の中へ入れていきます。えずきながらそれが喉から気管へと入っていくのがわかります。
両方の鼻に管が入り、ヘルメットの後部に接続されました。
そして粘土のようなもので鼻をふさいでしまいます。
「お願いです。どうか……」
なにか言わないではいられません。このままこんなふうに固定されたら、私は……。
「これを飲み込むんだ」
太い管を口から飲め、というのですが、これも簡単ではありません。
吐きそうになりながら、管が喉の奥まで入れられます。
「カッコいいでしょ」
ヘルメットからシールドが下がって、目の上をカバーします。
口から出たパイプは、このままでは維持できません。私は吐き出してしまうでしょう。
でも、そんな心配は不要でした。
女が透明なプラスチックでできた、大きなお椀のようなものを持ってきたのです。それを口のところでパイプに装着します。
お椀は、鼻輪、首輪と硬質ゴムベルトでつながります。
巨大な透明な便器を顔に装着したようなかっこうです。
「どうだ、しっかり止まったかな?」
「ええ」
女がお椀をぐらぐらと揺らします。頭を固定されているので、それほど大きくは動きません。どれだけ喉がえずいても、パイプを吐き出すこともできません。
二人は私をパイプに固定しているベルトなどを入念にチェックしました。
「よし。じゃあ、入れるぞ」
二人はパイプのどこかを操作したらしく、ブレーキが外れて、キャスターでアスファルトの上を動くのです。
滑り台に寝そべったような感じで、仮設トイレの裏にあけられた空間に、運ばれていきます。
スロープを乗り越えると、私は、便器のあるべき空間にはまりこんでいました。
カチッと音がして私をのせた装置がそこで固定されます。背後のパネルが閉じられます。
表に回ってきた男女が、私の位置などを修正し、和式便器なら足を置く段差のところから出ているベルトでさらにがっちりと固定します。
「上出来だな。あそこにカメラがあるから、ちゃんとモニターはしているので安心していいよ。ま、どんなやつが来るかわからないけどさ」
最後に上部から下がるホースをお椀の上部に装着しました。
「せいぜい、楽しむといいわ」
こんなところに、一人にされるのでしょうか。
二人はドアを締めて、出て行ってしまったのです。
なにが起こるかは明白で、私は興奮にはほど遠くなっていました。
これならあのアパートで飼育員たちから電流を流されているほうがずっといいのです。鞭に打たれ、乳房に釘を打ち込まれてもいい。
これは、どうにもならないのです。怖いだけです。
足音がして、外のステップに人が立っています。ドアが開きました。
中年の男が私を見ます。
「ふーん」
ドカドカと音を立てて、上がってきました。
チャックをおろし、ものを出し、小便をはじめました。
透明なお椀に黄色っぽい液体が注がれ、渦を巻いてパイプへと落ちていきます。
それは吸い込まれるように私の体の中に溜まっていくのです。
小水だけならなんとかなるかもしれませんが、それにしても、どれぐらいの人が来るかにもよります。
彼らはそれを計算しているのでしょうか。
続いてすぐに若い男が入ってきて、透明な大量のおしっこをしました。それもすべて私の中に……。
涙が流れます。ひどい屈辱であり、とてもなにかを感じることなどできません。
さらに一人。また一人。つぎつぎと人が来てはおしっこをしていくのです。
お腹はパンパンに膨れています。私自身もおしっこをしていますが、それは足元に垂れ流しです。ですが、大量のおしっこで膨らんだお腹がすぐに解消されるわけではありません。
何人目かでは、とうとう逆流してパイプと口の間からおしっこがあふれて私の顔から首、胸と濡らしていきました。
そうなることがわかっていて、呼吸ができるように鼻に管を入れたのでしょう。
もうなにも考えることはできません。生き延びるために耐えるしかないのです。
とうとう、恐れたことがやってきました。
中年の男がタバコを吸いながら入ってくると、左右の台の部分に乗ってズボンを降ろしたのです。
おしっこをして、それから固形物を落としていきます。
お椀の上にそれがいくつも見えています。鼻がふさがれていても、ニオイを感じます。
ペーパーでお尻を拭き、それもお椀に投げ込みます。水洗のコックを操作すると、ホースから勢いよく水が流れて、固形物もペーパーもいっしょくたになってパイプへと流されました。
つまり、すっかり私の中へ入ってしまったのです。
そのおぞましさ。
耐えられません。
しかも男は、出がけに私の乳房にタバコを押しつけて消していったのです。
がーんと殴られたようなショックでした。その熱さ、痛みが引き金を引いたのです。
どこからやってきたのか、私の体の中をなにかが熱く渦巻いて駆け回るのです。なにが起こったのか、最初はわかりませんでした。
でも、達してしまったのです。
おしっこを垂れ流し、大量の愛液を噴き出していました。
これほどセックスから遠いところにいても、私は快楽に飲まれてしまったのです。
その異常としか言いようのない性欲を、あの女はほくそ笑みながら、記録しているのでしょう。
実験は夜まで続き、百人近い人の大小便を浴び、私は何度も説明のつかない悦楽を感じていたのでした。
防護服のようなかっこうをした男女が戻ってきて、私をトイレから外し運びだしてくれました。
病院の外にある駐車場の片隅で、装置に固定されたまま、ホースで水をかけられ、洗剤で洗われまいた。
口から管を抜くと、汚物が大量に吐き出されます。バケツいっぱい分ほどもありました。吐いても吐いても出てきます。
「胃の洗浄もするぞ」
消毒薬を噴霧されてから、やっと装置から外され、病院に戻されました。
摘出手術
それからの私は、病院の内外でさまざまな実験台となりました。
若い看護師たちの注射の練習台、人工ペニスをつけた人のセックス実験台、長期入院患者の性処理など、思いつく限りのことをされました。
たとえば腸内の内視鏡の練習台にされて、何人もの人から朝から晩まで、内視鏡を入れたり出したりさせられました。
食事は一切、与えられず、水分と点滴だけです。
さらにつらかったのは、縫合の練習台でした。お尻や腹部をメスで切られ、わざわざ傷をつくって縫合するのです。
「すごいわ。こんなことでも感じるのね」
女にあきれられたのですが、実際に私はその拷問でもエクスタシーを感じていたのです。
「おまえは痛みを快楽に変えるんだな。どこまでそれが通用するか、限界を試してみたいな」
私がどれほどの痛みに耐えられるか試すというのです。
「『マラソンマン』テストをやってみるか」
先生はそう言って、私を診察台に固定します。
「古い映画であったんだよ。自白させるために、健康な歯の神経を麻酔なしで抜くんだ。この痛みに耐えられるかどうか、やってみよう」
怖ろしい拷問でした。開口器で顎が外れるほど口を開けられて、虫歯でもなんでもない歯をドリルで削っていくのです。
そして神経を探し、それを引き抜くまでに、その周辺を何十分と器具でいじり回すのです。
頭を何度も殴られるような痛み。食い込むベルトを引きちぎりそうになるほど、暴れても許されません。
「どうだ、こんなふうに、ちょっと触れただけでも感じるだろう」
二回、三回と失神しましたが、気を取りもどすと、まだ先生はドリルを持って待っているのです。
私はまったく意識していなかったのですが、女によると「四回はいっている」そうです。
「ついでに悪い歯も治してやったぞ」
先生は楽しそうでした。
そんな三日ほどがあっという間に過ぎ、いよいよ手術です。
さすがに場所は病院の手術室を使います。中央には手術台があり、先生がいます。いつもの男女のほか、高齢の看護師もいます。
手術台に固定されます。
去勢……。
そんな残酷なことがあっていいのでしょうか。これはただの脅しで、みんなで私をからかっているのではないか。そんな気もしました。
第一、麻酔をしないのです。
「今回の手術は、膣側から子宮を切り取り、引き出して、縫合する。約三十分の手術だが、その前にこれはただの手術ではないから、録画しておくし、あっちに見物人がたくさんいるのがわかるだろう?」
先生の言葉など私には耳に入らないのです。
猿ぐつわの下で、私は精一杯、叫びました。恐ろしいことをされる。それは間違いないのです。
ガラスの向こうには、彼もいます。飼育員たちもいます。残酷な手術ショーを見に来ているのです。
見に来てくれた、微笑んで見てくれている。彼がそこにいることが、これほどありがたいと思ったことはありません。
女は、私を現実に引き戻すかのように、腰にベルトをつけ、クリトリスのリングをベルトに丈夫なヒモで結びつけました。クリトリスが上にきつく引っ張られて伸びきります。
「があああ」
あまりの乱暴さに、悲鳴をあげてしまいます。
ラビアのリングを腿の周りにヒモで回して、強く引っ張りました。
尿道と膣が、叫ぶように口を開けています。
「こいつは、人の手が入るぐらい拡張してある」
先生はゴム手袋になにかをつけて、私の中にぐいぐいと押し入ってきます。
「うん、これはいいな。やりやすい」
麻酔もなしに、つぎに子宮の中へ、指先を押し込んできました。
「ぐぅぁぁぁ」
「どうせ切り取るんだ。ぐちゃぐちゃにしてもいいんだ」
巨大な膣鏡をつけ、膣を大きく開いていきます。
子宮口が飛び出すように、大きくせり出しているはずです。
そこに、注射針を刺しました。
鈍い感覚しかありません。
広げられた膣口から、何本もの注射器が飛び出しています。それを指でいじりながら、「どうだ、感じるか」と言うのです。
頭には女が執着している脳波の電極がついています。
気分が悪くなってきました。
その注射はただ子宮を突き通して医者が楽しむためだけのもので、なにも薬は入っていないのです。
何度も、突き刺しては引き抜くのです。
私は失神しましたが、強烈な臭いのアンモニアをかがされて、引き戻されます。
これは彼や飼育員たちの願望なのかもしれません。
注射器を引き抜くと、次は太い棒で子宮口をこじ開けます。グリグリと固く閉じているところにねじ込み、むりやり押し込みます。
「ぐがぁ」
棒で押し広げたあと、パイプを入れて、そこから中へなにかを入れていきました。
強い酸の臭い……。
「げぇぇぇ」
子宮を薬品で焼いている……。じゅくじゅくという音がします。
その一部始終を先生たちは楽しみながら、撮影もしているのでした。
「やってみたかったんだよ」
さらに、ピンセットで細い棒状のものを持って私に見せます。
「なんだかわかる? そうだね。爆竹だよ」
一本、二本、三本と子宮口から爆竹を入れていき、火をつけました。火薬の臭いが部屋を満たします。
そしてバスバスと鈍い音を立てて、私の中で破裂していくのです。
「がー」
猿ぐつわをしていても、大声で絶叫してしまうのです。
「意外と丈夫にできてるな」
気がつくと、まだ私は手術台の上でした。換気によって火薬の煙はあらかた消えていましたが、肉が焼けるようないやな臭いが残っています。
酸で焼かれた臓器を火薬で破壊したのでしょうが、まだその小さな肉片は形を保っているのです。
医師は医療用のハサミを突っ込んで、ザクザクと私の体を切り刻みはじめました。
「ほら、これが一部だ」
醜く焼け爛れた肉片を取り出して、私に見せるのです。
「子袋だなから。あとでみんなで焼いて食うか?」
冗談でしょうか。それとも本気なのでしょうか。
何度も気絶していたので、実際にはどのぐらいの時間がかかったのか、私にはわかりませんでした。
やがて子宮をズタズタにして、引きずり出し、気が済んだのでしょう。
縫合をしていきました。
激痛の中で、私の去勢は終わりました。
「しばらく、ここで様子を見ることになる」
先生が言います。こんなことをする人間が医者のはずはないのです。彼の知り合い、つまり同類なのです。
「すぐ歩けるようになるはずだが、一週間ぐらい様子を見たほうがいい。まだまだ実験が残っているんだ。協力してもらうよ」
これだけの暴虐を受けても、なお許されないのです。
「卵巣は残っている。これはいずれ枯れていく。だが、女性ホルモンは分泌されるから、後遺症はない」
私は石を詰められたような重苦しい痛みと、精神的な痛みに耐えなくてはなりませんでした。
「仕上げとして、膣口を、中の傷口と同じように溶ける糸で縫っておこう。糸が溶けて、膣口が開けば、セックスできるわけだ。そして退院できる」
おまんこの内側を、固く縫い閉じられてしまいました。
アナル人形
休めたのは手術のあとの半日だけでした。
女が私の枕元に来て言うのです。
「あんたみたいなのが、患者さんのベッドで寝ているって、なんか、むかつくのよね」
裸のまま、病室を追い出されます。
「あんたの行く場所は決まってるでしょ。二階のトイレに場所を作ってあげたから」
脳波を調べることも終わったのでしょう。
裸のまま、病棟の外れにあるトイレに行くと、そこに張り紙がありました。
「このトイレにいる実験動物に、なにをしてもかまいませんが、ほかの患者さんの迷惑になる行為はご遠慮ください」
どういうことなのでしょう。
「こっちよ」
男子トイレの奥の個室は、ドアが外されています。
「実験動物につき、自由にご利用ください」と張り紙があります。
壁につけられた丈夫な金具からのびるチェーンが首輪につながれます。
「これ以上、面倒な拘束はしないわ。これから一週間、ここがあんたの住むところよ」
「食べものとかは?」
「自給自足。わかってるでしょ」
私はこれまでになく、追い詰められていたようです。
一人、トイレに取り残されて、しばらく泣いていまいた。
それは私の女としての体の一部をすっかり奪われてしまったことが、いまさらながらに大きなことに思えたのですし、彼との距離がどんどん遠くなっていることも感じていたのです。
いまは期限があります。一週間すればあそこに戻ることができます。
でも、いつか、彼に捨てられたとき。私はここで一生を過ごすことになるのです。
それが、寂しくて仕方がないのです。
足音がして、人がやってきました。
「おまえか。なにをしてもいいのか」
「はい」
いきなり、顔を拳で殴られました。
ふらっとして壁にもたれかかります。
「ぶっさいくだな。反吐が出るぜ」
「すみません」
「なんだと!」
お腹に拳がめり込みます。
鎖がタイルに当たって音を立てます。
「しゃぶれ」
「はい」
震えながら、男のズボンの中からそれを取り出し、口に含みます。
「ふん。もっとちゃんとやれよ」
頭を平手で叩かれます。
口の中で大きくなっていくのがわかります。丁寧にご奉仕をしていると、そのうちに射精されました。
「すっかり飲み込めよ」
ごくりと飲み干します。
「小便も飲むか」
「はい」
少ししぼみかけたものから、熱い小水がほとばしります。以前のように管で強制的に胃に入れられるのではなく、必死に飲み込まなければなりません。
終わったあとも、きちんとおしゃぶりをします。
男はなにも言わずに帰っていきました。
殺風景なトイレですが、箱に入ったコンドーム、そして大きな容器に入ったワセリンが置かれています。
次の人がきて、私の体を隅々まで眺め、指でいじりました。
「おまんこがダメなのかよ」
「はい。縫い合わされています」
「じゃ、ケツ穴だな」
「お願いします」
私は自分でワセリンを塗り、男にコンドームをつけてあげ、お尻を差し出し、挿入していただきます。
「へえ、案外、いいもんだな」
「ありがとうございます」
楽しんでいただき、使い終わったコンドームを受け取って、その中身を飲み干しました。
「なんか、欲しいもの、あるか?」
「欲しいもの?」
「今度、アンパンでも持ってきてやるよ」
「ありがとうございます」
優しい人もいるのです。
病院の中にウワサが広まるのは速いようです。それとも先生やあの男女が広めているのかもしれません。
私の膣が縫い合わされて使い物にならないことをみんな知っているようです。
そして、おしっこを飲むことも知っているようです。
次々と男の人がやってきて、私はおしっこを浴び、お尻を犯していただきました。
夜になると、数人の人がやってきて、私のお尻の穴に興味があるようで、ゆで卵を三つ、入れたり出したり、させられました。
「食えよ」
その卵を食べるように言われて、おいしく食べたのです。お尻を太いもので犯されながら。
時間感覚がなくなり、眠っているような起きているような時間が増えました。
便器を舐めさせられ、大小便を口にすることも日常となりました。ときどき女が来て、私をシャワーに連れて行き、徹底的に洗いますが、それ以外はトイレにつながれて一週間を過ごしました。
いつも利用してくれる人が、少し食べ物を持ってきてくれますが、毎日、たくさんの人にお尻をいじられ、アナルセックスをされ続けていて、それがしだいにつらくなってきました。
お尻の穴になにかを入れたい、という人たちは多く、いろいろなものを持ってきては試していきます。
私のお尻は人の手も入るほどなので、彼らはそれも試します。
ワセリンもコンドームもあっというまになくなります。
三日目ぐらいには、浣腸セットまで用意されて、私はみなさんの前で浣腸されては排泄を見ていだくことも増えました。
このまま時間を区切らずにここに置いておかれたら、お尻はぐずぐずになってしまったでしょう。
女に一週間たったとつげられたとき、私はかなりやせ細り、肛門は数センチ、飛び出しているような有様でした。
先生はその治療をし、膣の状態をチェックしてくれました。
「糸は溶けてる。見てみようか」
久しぶりの膣鏡です。メリメリと音を立てるような感じで、久しぶりに全開にされました。
「いいみたいだな。じゃあ、最後にこいつをプレゼントだ」
太い縫い針に赤いリボンを通し、それでおまんことブスッと突き通すと、編み上げていったのです。
「せいぜい残り少ない人生を色に狂って楽しむことだな」
リボンをきれいに結んでいただきました。
裸のまま、裏口で待っていると、彼と飼育員がやってきました。
本当に帰ることができるのです。
私は思わず大粒の涙を流し、その場にしゃがみ込んでしまいました。
彼はなにも言いませんが、優しく抱き上げてくれました。
退院祝い
あそこをリボンで閉じられ、荷物のように拘束され、車の荷台で毛布をかぶって、家畜妻の部屋に戻ったとき、少しだけホッとしました。こんな部屋でも慣れ親しんでいると安心するのが不思議です。
寒々しい部屋。なにも変わってはいないように見えましたが、押し入れにある道具類が変わっていました。
かつて、私をさいなんだ、普通の大きさのディルドは一本もありません。大きなものばかりが残っています。
いえ、まともな快楽を得るためのディルドは二本ほどで、あとは、鋭いトゲや、大きなコブが突き出た、魔界の物体を連想させるようなものばかりです。
そんなのは、ぜったいに入れるのはムリだと思います。膣が裂けて、ズタズタになってしまうのではないでしょうか。
さらに、鞭の数が増えました。一本鞭と房鞭、棒状の鞭などしかなかったのに、房にコブのついたもの、ベルトのように太いもの、鋲のついたラケット型、乗馬用、ゴルフのクラブなどもあります。
皮を引き裂き、肉を潰し、骨を砕くような道具です。
そしてハンマーも数本。メリケンサックなど恐ろしい道具もあります。
鍼灸院で使うような、細く長い針もあれば、バーベキューで使う串もあります。小魚に使う小さな釣り針から、豚肉を吊すような大きなフックまで用意されています。
また、サビが浮いている鉄の火箸、七輪、先の尖った焼き鏝などもあります。
もはや、それは性具とは呼べません。人間に対して使うことなど、拷問以外ではあり得ない道具たちです。
拘束する道具も一新されていました。革のベルトは太く丈夫なものばかりです。
殺されるのでしょうか。
いつかは間違いなく殺されるでしょう。でも、面倒な去勢までしたのですから、いますぐではないはずです。
あの病院に戻されるぐらいなら、彼の前で殺された方がいいと思うのです。殺して欲しい、と。とても惨めで、屈辱的な責めを受けながら、微笑む彼の前で苦しみながら死にたいのです。
当初は、私が望んだことを、彼や飼育員たちが仕方なくかなえてくれる、という約束事がありました。
それもすでに失われて、もはや私の意見などはどうでもよくなっていました。口を塞がれている時間が長くなったからでしょう。
「退院の祝いだ」
野球チームが、金属バットにリボンをつけて持って来ました。
「こんなのも好きじゃないかな」と、古い鉄アレイ、重い練習用のバット、応援で使う打ち鳴らすためのバット型のオモチャなども持って来ました。
おばさんたちもやってきました。おいしそうな食べ物を持って……。お酒もあります。
「長かったわ。二週間よ。やっとあんたをぶちのめせるわ」
そんなことを平気で言うのです。
そしてリボンで縫い付けられたおまんこを見て笑うのです。
「あらあら、こんなに恥ずかしいおつゆをこぼして」
「待ちきれないのよ」
ぬめぬめとした手で私の体を触ります。
「すごく痩せたんじゃない? あばらが見えてるわ」
乳房の下を触ります。
「腰もきゅっとくびれて。毎日浣腸してダイエットしてたのかしら。うらやましいわ」
お尻を平手で叩きます。
「まったくね。奥さんも家畜にしてもらったら?」
「こんなことまでして痩せたくないわ」
ゲラゲラと笑っています。
そして、彼。
病院では気づきませんでしたが、髪形を少し変え、どこかでゴルフでもしたのか日に焼けていました。
家畜妻の私が言うのもなんですが、結婚した当初よりも輝いて見えます。思い通りに生きている人に見えて、一緒に楽しい生活がしたい、と思わずにはいられません。
でも、もう、そんな甘い夢はかなわないのです。
ビシッとした高級スーツを着て、会社帰りなのでしょう。
隣には黒いスーツ姿の若くて美しい女性を連れていました。
近所のおばさんたちとはまるで違います。モデルのように髪も化粧も整え、それでいてケバケバはしていません。
「恵美さん。あなたが彼の家畜妻になるなんて。悔しいけど、あなたの地位は私は奪えないわ。だって、私はただの普通の女だから……」
そうか、と思いました。
あれきり、私の肉体を求めることはなく(汚されてしまったのだから、しょうがないことですが)、いたぶるだけで彼がガマンできていたのは、不思議でもなんでもなかったのです。
私以外の女がいたのです。
「恵美さん、覚えている? 私のこと……。橘絵里香」
最初は気付きませんでしたが、それは大学時代に彼の取り巻きの一人だった女性でした。女子大に通い、年齢は私と同じはず……。
清楚なお嬢さんのように見えていたのですが、すっかり大人の女性となってヘアスタイルも化粧もキャリアウーマンに変身していました。
「みじめね。そんなことまでして、彼のものになりたかったわけ? でも、まあ、私にはとてもできないことだから、確かに、あなたの勝ちよね?」
そう言って絵里香は笑うのです。
「額の入れ墨、お似合いだこと。去勢されたから彼の子を産むこともないし。本当に便利な存在になったじゃないの? 楽でしょう。この部屋で快楽だけの生活なんて。私なんて、毎日、朝から晩まで働いているし、いずれ彼の子を産まなくてはならないし」
彼女は私の乳首のリングを持って、ゆっくりと引っ張ります。重たい乳房が乳首で目の前まで引き上げられます。
「こんな大きなオッパイだったかしら? よく伸びること。それにしても、ここまで改造するなんて、信じられないわ」
「すべて自分で望んだことだよ」
「変態ね」
絵里香はガムでも噛むように口の中でツバをたっぷり溜めたあと、笑いながらそれを私の顔にペッと吐きかけました。
「こういうことされるの、好きなんでしょう」
「は、はい」
「きれいに舐めたら?」
垂れてきたツバを舐め取り、指先で集めて、口に入れました。
指先が震えています。
「お礼は?」
「あ、ありがとうございます」
「プレゼントを持ってきたの。いるかしら?」
「ありがとうございます」
絵里香が取り出したのは、十五センチほどの長さのあるステンレスの棒でした。太さはボールペンほどもあります。両端に丸い球がついています。
「私のことを一生、忘れないように記念にあげるのよ」
「ありがとうございます」
巨大なディルドのような大根を手にしています。
「ほら、あーんとして」と言います。
私は口を開けました。そこに大根が押し込まれます。
絵里香が棒の一方の球を外すと、鋭く尖った先端が現れました。
「特注品なの。カッコいいでしょ。あなたの名前も彫ってあるのよ」
棒の横に、「家畜妻 恵美」と掘ってあります。
彼女がぐっと私の顎をつかみます。彼が背後に立って、それを手伝います。
「いっきにいくから、そう痛くはないそうよ」
なんのことかと私が思っていると、あっと言う間に、絵里香はその棒を私の左の頬に突き立てたのです。
「ふふふ。楽しいわ。この肉の感触。たまらないわね」
ぐりぐりと頬肉を突き通ったステンレス棒は大根を突き抜けて、反対側の頬に突き刺さります。
痛くないわけがありません。
「ほら」
ぐいっとえぐられて、先端が右の頬から突き出ました。その先を彼がガーゼで拭い、球を取り付けます。
「大根を取ってあげるわ」
アイスピックを使って口の中の大根を砕いていきます。ボロッと落ちた大根は真っ赤に血で染まっています。
「残ったのは食べちゃうのよ」
口の中を突き通っているステンレスの棒に、まだ大根が残っているのです。
「お似合いだわ」
私の口を棒が貫いたのです。額の「畜」の刺青、体のリング同様に、死んでも外すことは許されないのです。
「今日は退院祝いだ」と彼。
飼育員たちが、私をパイプに大の字に固定します。これまで以上に厳重で、手枷足枷も幅が広くなり、丈夫になっています。首輪の上からコルセットのようなものを取り付けられます。腰にもコルセットのようなものがきっちりと取り付けられます。
「鞭で打っ叩くのはいいんだが、半身不随になったら面倒だからな」
「まあ、優しい配慮」
おばさんが言います。でも、彼女たちは鞭を選んでいるのです。絵里香も手にしていました。
私は壁に向けられていますが、そうすると壁の鏡に、みんなの姿が見えるのです。
その楽しそうな笑顔。
「久しぶりにぶっ叩いてやろうかね」と中年女性。
「思い切り、声が枯れるまで叫んでいいぞ。近所の人たちもみんな来ているんだから、文句を言う人はいない」
彼は笑っています。
「じゃ、まずは女性陣からといきましょうか。一人五発ずつで交代すれば、あまり疲れないで、長くやれると思いますよ」
まるでカラオケの順番のように、彼女たちはジャンケンで順番を決めていくのです。
酒や料理の香り。女たちのニオイ。野獣のニオイ。そして私の肌から発散される暴力への期待に震える淫らなニオイ。
「行くわよ、ほら!」
バシッと長い鞭が背中から肩へ周り、乳房の上まで達しました。
「あひー」
入院中はこうした苦痛からは逃れていたので、皮膚に突き刺さる鞭が、ことのほかきつく感じられます。
「いい音がするわね」
橘絵里香も楽しんでいます。
「ぐえー」
ナイフで皮膚を剥がされていくような痛みが肩から背中にかけてを熱くします。
絵里香はとんでもなくねじまがった心の持ち主です。
皮をなめすように、誰も叩いていない部分、脇の下、乳房、腿の内側などを狙ってきます。
バシッ、バシッっと肌に叩きつけられる鞭や道具。
どれだけ打ちのめされたのかわかりませんが、突然、強さが変わりました。男たちが加わったのです。
空を切る鞭のうなりがまったく違うのです。高速度で降り注ぐ先端が、すでに女たちに叩かれた体に、さらに深く突き刺さります。
「ぐぇ!」
「これも使ってみようよ」
ただ私をぶちのめす、ということではなく、より強く激しいダメージを与える競争が始まっているようでした。
「あら、こんなものなの?」
みんなが慣れてきて、私も声が出なくなってくると、さらに強い刺激を求めるのです。
鞭だけではなく、金属バットやゴルフクラブまで加わります。そうした重いものは、お尻に集中します。体が飛び上がるほどの痛みです。
ドスッ、ドスッと骨に響く衝撃に、私は朦朧となっています。
「ナイスショット!」
女たちがふざけたことを言っています。
「そうだ。ゴルフしようぜ。家畜妻トーナメントだ。ショートホールってところだな」
誰かが提案し、さっそく実行に移されます。
肛門にゴルフボールを詰め込むのです。一つ、二つ、三つ、四つ、五つ……。九つのボールが詰めこまれました。
「ほら、出せよ! 一個ずつだぞ」
いきんで、ゴルフボールを産み落とすと、そのボールが落下する直前に、ゴルフクラブで打つのです。壁にぶつかってどこかへ飛んでいきます。
「OBだぞ。ちゃんと打てよ」
「ケツの穴にぶち込んだら、ホールインワンだ」
かなりお酒も回っているようでした。
「おまんこでもいいぞ」
私が産み落としたボールを、彼らはクラブで打ち、私にぶつけようとします。
「ぎゃー」
「ナイスショット!」
誰かが、みごとに私のお尻にボールを当てました。
「もう一ラウンドしようぜ」
「ちょっと待って、それだけじゃおもしろくないわ」
誰かが焼けた火箸を用意します。
「これで合図するのよ。そのほうが打ちやすいでしょ?」
ボールが再び爛れた腸の中に戻されていきます。
「じゃあ、いきまーす」
「ぐぇー」
焼き火箸がお尻に当てられます。
私はお尻から産み落とします。
精度があがってきて、彼らの打つボールの大半が、お尻、股間、乳房、腹部に当たります。
「そろそろいいんじゃないか?」
「そうだよ。もうさっきからおつゆが出まくりで、とろとろだぞ」
床におろされます。手足を広げて大の字にされ、その手足に、女や男が土足で乗っかります。
男たちは股間のリボンをほどきます。肉に食い込んでいるリボンを、ゆっくりと引き抜いていきます。
「があああ」
傷口が再びこじ開けられるような痛みです。柔らかな肉体を閉じていたリボンが引き抜かれました。
かなり出血しているはずです。
「さあ、お待ちかね。輪姦タイム」
男たちは、術後の性器に手を入れてもみほぐしたあと、次々とそこを犯していくのです。
「おお、すっごく具合がよくなってるぜ」
「ホントだ。ギュッとして気持ちがいいな」
「すげえ奥まであるぜ」
ぽっかりとあいた私の下腹部に、彼らはズボズボと遠慮なく突っ込んできます。
お尻の穴も使っていただきます。
ステンレス棒に関係なく、口も使われます。
男たちが一巡したあと、絵里香やおばさんたちは、腕ほどもあるイボイボのついたディルドを持ってきました。
「いまなら、こういうのも大丈夫なんじゃない?」
腫れ上がっている性器に、それを押し込んできます。
「ふぎゃー」
壊れる、裂ける、と思うのですが、同性の彼女たちは加減がうまく、ムリに押すこともなく、少しずつめり込ませるように、淫具を押し込んできます。
「ほーら、入ったわよ」
「信じられない、デカまんこね」
「動かしてみようか」
「あああ!」
彼女たちはそのディルドをねじるように動かしはじめました。下半身が持ち上がります。
「壊れたら、病院で縫って貰いなさい」
彼も笑って私を見下します。そして絵里香と情熱的なキスをします。
もう、私にはしてくれない熱い激しいキスです。
「みなさん、これからもこいつのことをよろしく」
そう言い残し、彼と絵里香はどこかへ行きました。
あの、隣のマンションの彼の部屋に行くのでしょう。そして私のことを笑い物にしながら、二人は素敵な夜を過ごすのです。
「ほら、あたしの小便を飲みなよ」
おばさんが私の顔の前に腰をおろしてきました。
口を開く間もなく、激しいほとばしりを受けて、息もできず、それを必死に飲み干します。
「次はあたし」
次々におばさんたちの小水を飲まされます。
「さて、ちょっとぼんやりしているみたいだから、気付け薬が必要だな」
飼育員たちが、黒い棒を持っています。これまで使っていたスタンガンよりも長いのです。
「今度のは新しいんだよ。一回の充電で二百発ぐらいできるんだ」
その先端が私の乳首に向けられます。バシッとはっきり火花が散りました。
「うぎゃー」
「ほらほら、まだ声が出るじゃない」
「そうだ、声が潰れるまでやってやろう」
悪魔のような形相で、私を見下ろし、次々と電極の先端を、私に押しつけてくるのです……。
涙、汗、小水、愛液。体をべとべとに濡らした私は、帯電して全身の筋肉が縮み上がり、すべての神経が燃え上がっています。
私はこうして家畜妻として、大勢の人に弄ばれながら、日々を過ごすのでしょう。
それはいつ終わるのでしょう。来週か。それとも来月か。まさか、来年まで続くとはとても思えません。
この壊される運命にあるアパートと一緒に、きっと誰にも思い出されることなく、処理されて、世の中から消えていくのだと思います。
それでいいのだ、と思えます。もっといじめ抜いてほしい。あらゆるもので肉体を破壊されながら、マン汁を垂れ流して、すべてを忘れ、歪んだ快楽の中で死んでいきたいのです。
彼の微笑みの前で。
了
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