亜由美 灼熱編 亜由美シリーズ 第1部 (1/4)
次の話
SM小説
亜由美シリーズ
亜由美 灼熱編
あんぷらぐど著 荒縄工房・発行
本作品はすべてフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の個人、団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。
あんぷらぐど
SM雑誌に「仲ゆうじ」名でSM小説を執筆して作家活動をスタート。その後、作家活動は休止し、編集の仕事に携わる。ネットでは「ふにゃふにゃ」「あんぷらぐど」名でSM小説を執筆。独自の自虐的SM、一人称による告白形式の作品、伝奇SM小説などを発表し続けている。東京在住。
これまでのあらすじ
主な登場人物
種付け開始(五月七日 土曜日)
刺青(五月八日 日曜日)
全身に(五月九日 月曜日)
吊りと釣り(五月十日 火曜日)
快楽の中で(五月十一日 水曜日)
拷問部屋
場末にて
パルダ王国(五月十四日 土曜日)
ベッチェ
ゲダという存在
シャベェイ
恐怖の祭り
ゲダの仕事(五月十五日 日曜日)
王宮へ
拷問遊戯
研究棟(五月十六日 月曜日)
ある事件
誓いの時
公開出産
奥付
これまでのあらすじ
亜由美は念願の大学へ入学したが、あこがれていた兄の友人、剛介に出会い肉体を奪われる。輪姦、ゲーム研究会による集団調教に発展。自らを主人公とするゲーム作りを承諾し、そのために、アナルセックス、異物挿入、鞭、緊縛などを受け入れていく。
彼女に目をつけた末土教授による拷問実験に参加。パルダ王国からやってきた拷問官たちに激しく責められる。拷問実験が終了し、すべては終わったはずだったが……。
主な登場人物
亜由美(わたし)
宇辻 うつじ内科・消化器化の医者
タミュラ・ベッチェ(通訳)
剛介(亜由美の兄の友人)
末土教授(亜由美の拷問実験を実行。剛介と組んでいる)野川陽子(末土教授のパートナー)種付け開始(五月七日 土曜日)これほど悲しいことはありません。
今日から日記をつけるように言われました。
この日記はわたし、亜由美のアダルトサイトで掲載されることになるそうなので、しっかり書かないといけないそうです。
「自分の指でキーボードが打てるだけでも、ありがたいと思え」
医者の宇辻様に言われました。
医務室で、宇辻様は亜由美の性器の中に指を五本、入れています。
「触診が一番だからな」
貨物船の船底。檻の中にいたとき。
汽笛が遠くに聞こえ、ずっと上の方にあるハッチが完全に閉じて、ほとんど真っ暗になってしまい、ちょっとパニックになりました。
第三のエンディング。
剛介が用意していた「お楽しみ」は、大がかりな撮影で、ホンモノの貨物船を使って、檻に入ったわたしを吊り、性奴隷として輸出されていくところで終わるのです。
けっこう短時間で終わるなあ、と思っていました。とてもスムーズで、なんの不安もありませんでした。
ものすごく高い位置まで吊られたときは、怖くて吐きそうになりましたけど。ぐわーんと揺れて。
剛介たちがすごく小さく見えました。
ああ、こんな風にわたしが売られていってしまうのだとしたら、それはすごく悲しいだろうな、なんて。他人事のように思っていました。
というのも、乳房につけられた火傷をはじめ、全身が痛くて痛くて、とても平静ではいられなかったからです。
カメラを持った剛介が近くにいたときは、ちゃんと映るように、すごくがんばりました。でも、船の上に持ち上げられて、船底に降ろされていくと、ただ痛みだけがぶり返し、はやく撮影が終わって、ゆっくり眠りたいと祈るばかりでした。
ガチャンと、けっこう乱暴にコンテナの隙間に檻が設置されると、船員たちがワイヤーを外していきます。彼らが外に出してくれるのかな。
歩いて戻れるかな。
そんなことをぼんやりと思っていました。
彼らはワイヤーを外すとどこかへ行ってしまいました。
きっと、剛介たちが来るんだろう。そして「亜由美、よかったよ。お疲れ様」とか言ってくれるんじゃないか。
もしそうなら、苦痛など大したことではなくなります。
二日、三日でもいいので、平穏な日常がほしい。ゆっくり休みたい。
わたしの願いはそれだけでした。
ですが、やってきたのは医師の宇辻様だけでした。剛介に言われて仕方なく作ったわたしの荷物を、転がしてきました。
「剛介さんは?」
「来ないよ」
「撮影は?」
「終わった」
「じゃあ、いつまでここに?」
宇辻様は、わたしのパスポートを持っていました。出国手続きが済んでいます。パルダ王国の特別な留学ビザが発行されています。
パスポートのわたしの写真は、剛介に犯される前の、大学に入ったばかりの頃の溌剌とした、それでいてメガネをかけて、やや生真面目な女の子でした。
もう、戻ることのできない過去の姿です。
「本当に留学するんだよ、表向きはね」
予想をはるかに超えたことでした。
「おまえは、性奴隷として売られたのさ」
「そんな……」
「心配するな。体のことは、ちゃんと面倒見てあげるから。それにこれまで通り、亜由美の動画は世界中の会員に配信され続ける。大切なコンテンツなんだしね」
乳房の上と下についたひどい火傷だけではなく、連日、慰み物にされ、拷問を受けたので、体中に傷がついています。それが、一斉に熱を持ち、痛みはじめたような気がします。
「おれは君の味方なんだ。わかるよね」
剛介に捨てられたのです。
裏切られたといってもいいでしょう。
自分で望んで体を投げ出したのですから、文句は言えません。親兄弟にも見放され、剛介にも、亜由美の会にも……。
「じゃ、会はどうなるの?」
「続くさ。彼らはもう抜けられない。そういう世界にどっぷり漬かってしまっているんだよ」
命だけは、維持されそうです。
そこまでして生き延びることに意味があるのでしょうか。苦痛だけの毎日が続くだけなのだとしたら……。
「ここだけの話だけど、剛介君は、仕方がなかったんだ。パルダ王国は君を要求したんだよ。亜由美の会のビジネスは、すべてパルダ王国に握られてしまっているからね。彼らは若く、このビジネスを大きくしようとして焦りすぎたようだ」
「わたしは人質ですか?」
「王国は本気で君のことが気に入っているんだよ。人質というよりは、人身御供、献上品ってことだね」
もちろん、商店街の人たちだって、わたしのことを気に入っていたのです。ほかの人たちも……。その気に入り方は普通ではないし、一般的な意味での愛され方ではありませんでしたが……。
「なにをされるんでしょう?」
「これまでと同じだと思うよ。王国は、君に妊娠してほしいと思っているみたいだね」
「妊娠!」
「そのために、今日から港につくまで、種付けをすることになったんだ」
「種付け……」
なんということ。
ゲームのための必要な動画が撮影されたら、わたしは約束を果たしたわけだし、体を休めることもできると信じていたのに……。
傷も癒えないうちから、また新たな責め苦がはじまるのです。
宇辻先生は、わたしが落ち込んでいると思ったのでしょう。パンフレットを渡してくれました。
それは、わたしが留学することになっている、パルダ王国の国立大学の案内です。
ハワイのリゾート施設のような、真っ青な海、白い砂浜、ヤシの木がある中に、オレンジ色やマリーゴールド、シェルピンク、ベージュといった色合いに塗られた建物が並びます。プールもあります。
医学部があるようです。真っ白な研究施設。一方、遺跡として古い城の跡もキャンパス内には残されているようです。石造りの城は中世ヨーロッパ調です。
学生たちがテラスのような食堂で楽しそうに会話している写真もあります。その顔は、わたしに拷問をした人たちと同じ漆黒の肌の人たちから、明るい茶色の人、そして日本人に近い黄色までさまざま。
もっとも女子学生の姿は、写真にはありません。
「いいだろう? こういうところで、これからしばらく過ごすんだ」
「どのぐらいですか、留学って」
「ビザは短期のものになっている。九十日だね」
「九十日……」
「まあ、オレがついてあげるのはおまえが慣れるまでの間って約束になっている。三ヵ月なんてあっという間だろう。もっと早く終わるかもしれないしね」
でも、それはウソです。
わたしに妊娠させようとしているのなら、出産までいなければならないのでは? 医学部があるということは、そこで産ませるつもりでは?
妊娠を確認するにしても九十日はギリギリのように思えます。
いえ、それだけじゃないのです。パルダ王国で子どもを産むとなると、わたしはパルダ王国民の母親になってしまう……。
短期どころか、一生、日本には戻れないかもしれません。
「泣くなよ」
自分でも泣いていることに気づきませんでした。
感情がおかしくなっています。
「さ、おとなしく診察させてくれ。もし拒絶するようなら、面倒だが、彼らを呼ぶことになる」
「いやです」
檻から出されましたが、首輪に新しい細いチェーンがつけられました。犬ならリードですね。
おとなしく先生のあとをついて、階段を上がり、船室に入ります。
船員や例の拷問係たちともすれ違います。
ニヤリと笑うのです。
なんだか、ゾッとします。
裸のまま、医務室につれていかれました。そこには黒人の船医がいて、宇辻先生と二人で、亜由美の全身をチェックしました。
クスコを使って膣と肛門も広げられ、クスリを塗られ、写真と動画まで撮られました。
「やっぱり触診しないとな」
宇辻様は、亜由美の体をすべて触ります。黒人医師も医者どうしで話をしながら、触ってきます。
「きんちゃくって、英語でなんて言えばいいのかな」
笑いながら、性器を指で触るのです。
「これだけ、犯されまくっても、まだギュッと締めてくるんだから、男はたまらないよ」
膣の中に指を深く入れて、同時にクリを親指でぎゅっと押し込んでいきます。
「あうっ」
ズキンと感じます。
「ほら、締まった」
黒人の医師にも触らせます。
「スバラシイ」と英語で言うのです。「ヤッテミタイ」
「アトデ、デキルダロウ」と先生が応じます。
「オシリモイイゾ」
今度は二人で、わたしのお尻の穴を広げます。まだ痛みが残っていますが、やすやすと先生の手術用の手袋をした手を受け入れていきます。
こんな体になってしまったのです。
ひと回り大きい黒人医師の手も、飲み込みます。
二人にいじりまくられて、しだいに頭がぼんやりとしてきます。いくら理性を保とうと思っても、もう体がまったく言うことを聞きません。
「うぅぅぅ」
「感じてるのか。ガマンしろ」
「そんな……」
生殺しです。つらい話ばかりなので、せめて快楽に溺れたいのですが、それも許されないのです。
船医と宇辻様は英語で会話をして、カルテに書き込み、いくつかのクスリを用意しました。それを飲まされました。
それから、注射を三本ほど打たれました。
「ワクチンも打っておいたよ」
なんのワクチンか知りませんが、パルダ王国では必要なのでしょう。
「本当に君はすばらしい体の持ち主だよ」
先生は好色そうな笑みを浮かべています。船医もニヤニヤしています。
「ちょっと外に出よう」
貨物船ですから、人がくつろぐような場所は船内にしかないのです。居住区は船尾に集まっていて、ほかはほとんどコンテナで埋まっています。
埠頭で吊り上げられたときは、小さな船に見えたのですが、こうして歩くと、けっこう大きいことがわかります。
見上げるとブリッジは六階建てのビルぐらいの高さにあります。
そこには行かせてくれないようです。
風が強く、あまりちゃんと手入れされていない髪が潮風にさらされています。
「見てごらん」
遠くに霞んで見ているのはレインボーブリッジです。あそこを触診されている間に、通過してしまったのです。
日本を二度と見ることはないかもしれない……。
「写真を撮るから」
立たされて、何枚か撮られました。
「そこに腰掛けてみて」
外の階段の下。踊り場のような場所に、船具を入れているのか、グレーに塗られた鉄の箱があって、そこに腰掛けました。
また何枚か、写真を撮られました。
先生が、首輪のチェーンをその箱にある鉄環へ通しています。そして、ぐいっと引っ張ります。
「あっ」
バランスを失い、鉄の箱の上に仰向けに倒れてしまいます。
そこに、待っていたかのように拷問係が三人、現れました。
「いや!」
怖くて叫んでしまいます。でも、船の上。声はどこにも届きません。
彼らはわたしの体の下にある金属の箱の蓋を横にスライドさせていきました。
その下には、レザー張りの台がありました。蓋が取り去られ、わたしはそこに背中をのせるかっこうになっています。台は、わたしの背をギリギリ支える幅しかありません。
男たちが落ちないように抑えながら、手足を台に固定していきます。
「だめ、お願い、こんなこと、しないで」
それから、英語でも「ストップ! プリーズ」などできるだけお願いしてみたのですが、作業はどんどん進むのです。
それはわたしから自由な意思を奪い、いつでも、体を奪うことのできる装置でした。
手を斜め下にベルトで台に固定されて、胸を張るようなかっこうです。頭があたっている台の部分は、可動式で斜めにすることができ、口を使うときに便利なのです。
足は台にベルトで固定されましたが、その台を動かすことができます。
足を上に持ち上げることも、左右に開くこともできるのです。百八十度近くまで開脚させられ、固定されてしまうとびくともしません。
先生が耳元で囁きます。
「さっそく種付け開始だ。港につくまで、おまえはずっとここにいることになる。船員たちは、二十四時間、三交代だからね。好きな時に犯しにくる。誰の子を孕むか、興味深いな」
「港にはいつ着くんですか?」
「途中、寄るところもあるが、王国の港に入るのは六日後だと思うよ」
「六日!」
「がんばりなさい。できるだけの応援はするから」
バケツが用意されました。
「これは海綿みたいなものだけど、王国特産の植物の繊維でね、水で膨らむんだ。スポンジだね。これからは、海水に浸したこのスポンジを、二つの穴に入れっぱなしにするから」
先生がバケツの海水につけたそれを、膣の中に入れていきます。海水がすごく染みるのです。
「吸湿性がすごいので、おまえが汁を垂らしたり、おしっこを垂らしても、吸い込んで膨れ上がるからね」
適度に絞って入れてくれたのですが、性器はパンパンです。
「こっちにも」
お尻の穴にも押し込まれます。
「穴を常に大きく開いておかないと、おまえが苦しむんだから、ガマンするんだよ」
その背後では、三人の黒人たちが、ズボンのベルトをゆるめています。
ヘッドレストが倒れていき、頭がガクンと下がります。男の太く長いものが目の前にあります。
口を開けます。当然のように、そこにペニスが入ってきます。
「んっがぁぁ」
拷問実験を通して、彼らはわたしの体のことを熟知しているのです。上手に、そして手加減なく、喉まで犯してきます。
その間、もう一人が亜由美の性器を開いて、スポンジをねじりながら、引き抜きます。
ぽっかりと開いたところに、指を入れてきます。
傷ついたところに海水が染み込んでいるのです。それなのに、まったく遠慮のない指使い。
ビリビリとした苦痛に包まれます。
「あんまりイカないほうが楽だぞ。男を早く射精させればいいんだよ」
先生の声です。
でも、わたしがもし、丸太のように、またはよく言われる悪口の「冷凍マグロ」のようになってしまったら、彼らが本気にならず、いつまでも犯されてしまうでしょうか?
わたしも感じて、彼らを喜ばせば、早く終わるのでは?
それとも、ただ感じたフリをすればいいの?
テクニックなどというものは持ち合わせていません。剛介に処女を破られてから、あとはなされるがままに、不特定多数の人に犯してもらってきました。それは演技ではなく、ただ本気で反応していただけです。
亜由美自身が本気にならないと、どうしてもうまくいかないような気がしてなりません。
どんなにクタクタになろうと、彼らを早く終わらせること。そうすれば少しはわたしも安らげるはず。
そのためには、されているとき、できるだけこちらから、積極的に体を使うことでしょう。
すごく恥ずかしいことです。
だけど、それしか身を守る方法がありません。
普通なら手で彼の背中につかまり、足をからめたりして。ぎゅっと抱きしめながら気分を高めていくこともできます。
だけど体を縛られて、あそこだけで男性を受け入れるのです。わたしが彼にできることは、穴の感触で応えることだけなのです。
「ふひぃぃ。亜由美をもっと犯してください。もっと激しく突いてください。子宮の中まで響くほど、いっぱい犯して孕ませてください!」
日本語で通じるかどうかは関係ありません。
まだ日本の領海内でしょう。助かる方法はあるでしょうか。剛介がヘリコプターでやってくるなんてことはないでしょうか。
わたしは日本の空を見上げながら、種付けされるのです。
刺青(五月八日 日曜日)
今日も、悲しい気分です。
外気にさらされながら、時間に関係なく船員たちに犯され続けて夜が明けました。
言葉はよくわからないのですが、彼らはみんな意地悪で、亜由美の体を隅々まで確認したうえで、感じさせようとするのです。
「亜由美をもっと痛めつけてぇ」
こんなわたしに似合うのは快楽よりも苦痛でしょう。
それなのに、彼らは優しくて、乳房をやわからく揉み、乳首を囓ってみたり。脇の下あたりを撫でて、淫らな汁が出るように促したり。唇を吸ってくるのです。舌を入れてきて、たっぷりと唾液を飲まされたりもします。
愛人のように。
そして、たまには友人たちと数人で、笑いながら犯しに来ます。
犯すのにあきたら、指でわたしを本気にさせようとします。
「はう、はう、はう、もうダメ。壊れるぅ」
ぐじゅぐじゅと粘膜を指で触り続けられると、体が反応してしまうのです。
何度も絶頂を感じてしまい、笑い物にされます。
「オニンギョウサン」と言ってくれた人もいます。船員はいろんな国の言葉を知っています。
「カワイイ」とか「スケベ」とか。
「ありがとうございます。亜由美は肉人形です。お好きなようになぶって楽しんでください」
そうお答えします。
お水やお酒や食べ物もくれます。口移しでくれたりもします。
「オイシイ?」なんて聞かれたり。
状況の厳しさの中では、船員たちの本気はむしろ心地良く、輪姦ゲームや拷問にさらされてきた日々に比べると、天国のようです。
ただ、心の底にはたとえようのない寂しさが、どんどん拡がって、重くなっていきます。
朝が来て。
遠くまで、どこまでも海です。島も陸も見えません。日本からどんどん離れているのがわかります。
日差しさえも、生まれてから慣れ親しんだものには思えないのです。
「どうだ、気分は……」
宇辻様は拘束をいったん解いて、傷などを治療しながら話しかけてくれます。
「きついです。帰りたい……」
喉が枯れたようです。男たちは、例の拷問係ばかりではなく、船員も全員が、とてつもなくビッグサイズで、喉を犯すのも大好きです。
あれが喉の奥まで入り込んで、えずきながら奉仕していると、声がおかしくなってしまいます。
「ホームシックが早すぎるぞ」
そう言いながら、わたしの体をピタピタと触っていきます。
「ときどき海水をかけてもらっているんだな。乾いて塩を吹いている。こっちはどうかな」
ぐいっと性器に押し込まれたスポンジを引き出します。
「あつぅぅぅ」
もだえます。
とても痛いのです。腫れていると思います。
「なるほど。きつそうだな」
そう言って台からおろしてくれました。
医務室に連れていかれ、点滴を受けながら、体をチェックされます。そして昨日の分の日記を書かされます。宇辻様がそれをチェックして、日本語を少し手直しし、どこかへメールします。
その間に朝食をいただきます。質素です。肉まんのようなものを二個。味は甘辛くて悪くはないのですが、なにが入っているのかよくわかりません。
子どもの頃に動物園でみた飼育さんが動物にあげている餌を思い出します。
それが終わると、また種付け台に固定されます。
わかっていても、怖いのです。
「先生。お願いです。少し休ませてください」
返事はありません。黙って手足を拘束していくだけです。
「今日は、いいものを用意させたから」
彼はしばらくどこかに消えると、別のバケツを持ってあらわれました。
「これはヤシ油だ。食用にもなるものだから、安全だよ」
だからって……。
スポンジを油に浸して、中に押し込むのです。海水のようにしみないのはいいのですけど。
「ケツ穴もやってやろう。いや、浣腸のあとだな。そうだ。海水とヤシ油の浣腸ってどうかね」
「どうか許してください」
剛介の言いなりになってから、自然な排便をしたことがありません。毎日毎日、浣腸と洗腸をされていて、腸がぶよぶよになっている感じです。そのうち溶けてなくなってしまうんじゃないかとか、大出血して腸そのものを排泄してしまうんじゃないか。
そんな悪夢ばかり見るのです。
「大丈夫だよ、心配ない」
プラスチックの浣腸器を使って、ヤシ油を一リットル入れてから、海水も一リットル入れました。
「あふあふあふ……。つらい。苦しいぃ」
「お腹がぷっくりしているね。妊娠したかな?」
腹部をこねくり回されます。
「出ます。出ちゃいます」
「いいんだよ。そのまましていいんだから」
「そんな……」
せめて拘束を外してくれると期待したのに。
「したくないなら、こうしてあげるよ」
油を含んだスポンジをお尻に詰め込まれます。
「ひぃ、だめ、壊れる」
「この栓は、自力じゃ出ないかもなあ。お尻が裂けちゃうかな。裂けちゃったらつらいね。これから五日間。裂けたお尻をあのでっかいチンポで犯され続けたらねえ」
「先生、お願いです。出させて。お願い……」
「いいだろう」
彼がスポンジを捻りながら、抜いてくれます。
完全に抜けるより早く、大きくなっているお尻から、どっと排泄が始まります。甲板の上に大量の汚物を噴き出します。昨夜からの男たちの精液もあるでしょう。
「君には残念なおしらせがあるよ」
排泄物は、船員さんたちが、海水で洗い流していきます。彼らは勤務が終わったら、わたしを犯しにくるのです。
「パルダ王国の決まりがあるんだが、おまえのような女性はいくつか守らなければならないことがあるんだそうだ。その一つが、刺青だ」
「えっ」
宇辻様は、わたしの体を撫で回します。たくさんの傷があります。治りかけたもの。同じところを何度も傷つけて治らないもの。新たについたもの。
彼の指は忘れかけていた痛みを思い出させるのです。
「もったいないけど、しょうがないね。一生、消せない刺青をしなくちゃいけない。決まりでは、乳房、陰部以外、全身にすることになっている」
「そんな……」
「なんとかこっちで事前に交渉をして、顔、肘から先、膝から下はとりあえず免除してもらった」
「それ以外は?」
「入国前に完成させておかないといけないそうだ」
二度と消せない墨を入れる……。ファッションとして、または志としての刺青には、多くの国で伝統的な意味もありますし、日本にも極彩色の刺青の文化があります。
だけど、わたしに限って言えば、この肌に入れる絵柄は、まともではないはずです。
顔、乳房、陰部、上腕、下肢以外。
「絵柄なんだけど、ここの船員たちが好きなものを入れていいことになっている」
わたしは思わず泣き出していました。子どものように。とにかく悲しくて泣いてしまっています。
正直、種付けは厳しいものですが、剛介たちから受けた日々に比べると、休日のような穏やかなものでした。パルダ王国の国民性でしょうか。みんな親切でやさしいのです。
これならやっていけるかもしれないと思った自分が甘かったのです。
「万国共通のシンボルになるだろう」
そして朝から、さっそくそれは始まったのです。
午前中に犯しに来る人たちで、船員のほぼ全員が一巡したことになるらしく、彼らの精液をたっぷり体内に注いでもらったあと、裏返しにされました。
背中からお尻にかけて、全面的に刺青されるのです。
電動ドリルのような機械。なぜか赤い色だけを使うというのです。
左右のお尻に、「AYUMI」と文字を刻まれます。肩胛骨のあたりにも「AYUMI」と刻まれました。
痛みはそれほどでもありません。
そのあとも、犯されては刺青をされていくのです。名前が三か所に入ったときは鏡で見せてくれましたが、あとは見せてくれません。
うつ伏せになって、ひたすら泣き続けていました。海水で洗われて、刺青されて。また海水で洗われます。
皮膚が細く剥がされていくような苦痛。
だけど、上手な人もいて、慣れてきたのか、むしろ眠気を誘うときさえあります。
午後にはスコールがやってきて、一時間ほど、雨の中、放っておかれました。
そして肉まんを食べされられ、海水浣腸。黒人船医の指導で、船員たちがお尻に浣腸しては、排泄させて、おもしろがっています。
ヤシ油をたっぷり注入され、男たちは腕を突っ込んで遊びます。
油を体にまぶしてエステのようなマッサージをしてくれる人もいます。
うっとりしているとまた、機械で皮膚を削られます。
夜が来て、朝が来て。
二日目はゆっくりと、だけどわたしの感覚としてはものすごく短時間の間に過ぎて行きました。
全身に(五月九日 月曜日)
朝がきて、宇辻様がやってきます。
「ほう、すごいことになったな」
背中を撫で回します。
「来なさい」
拘束を解かれ、医務室へ。船医もわたしを見てニヤニヤと笑います。
「どんな絵か、見たいか?」
「はい」
姿見を用意してくれました。
自分を見るのさえ、嫌になっている自分がいました。もう、わたしは自分自身でさえないのです。遠い国に売られた女子大生。妊娠させられる女。奴隷として責めさいなまれる玩具。
そんなわたしを見てもしょうがない、と思うのです。
宇辻様はビデオカメラを回しています。
わたしが自分で自分を見る様子を撮影しているのです。
正面。明らかに陽に焼けています。ずっと外にいましたし、南下しているので日差しは強くなるばかり。体中にヤシ油をかけられたのですから、たまりません。別人のようです。
痩せて、目がギョロッとしています。唇が荒れています。幸い、傷はあまり目立ちません。
「先生、歯を磨かせてください」
「あとでね」
背中を見る気力がありません。
乳房は、少し垂れているように見えます。あれだけあった針や鞭の痕はかなり薄れています。すごいもんだな、人間の体って、と不思議に思うほどです。
焼けた鉄棒の跡はまだ残っていて、これはもう消えないかもしれません。日焼けとはまったく違う黒さがあります。
剃られていないので、陰毛が昔のように生えてきています。
淫らで、崩れた陰部。陰毛よりも目立ってしまっています。
全体に、華奢になったような気がします。鎖骨は浮き出て、あばらの一番下のほうなどは、浮き上がって見えます。
ただ、驚いたことに、生まれてこのかた、こんなにウエストが絞られたことはなくて、そのくびれに少し感動してしまいました。
お尻が大きくなっていることもあるかもしれません。
そしてつい、振り向いてしまったのです。
「あっ」
赤いなにかが背中にあって、直視できず、向き直ります。
「ちゃんと見たらどうだ」
泣きそう。
ゼッタイに、泣いてしまう。
ゆっくりと振り返ります。
背骨に沿って、首の付け根に向かって屹立した赤い男根がそびえていました。
肩胛骨には天使の羽の中に「AYUMI」の文字が左右に。でも、それは全体からはすごく小さいのです。その周辺に、昨日、船員たちが熱心に入れていたのは、大小、さまざまな男性器。あっちを向き、こっちを向き、先端から汁を垂らし……。
肩から背中一面に、二十以上の男性器が描かれています。それも、大して上手ではなく……。
センターの上を向いた一番大きなものだけが、真っ赤な濃淡で立体的に描かれていて、遠くから見てもすごく目立っています。こんなものを背負うなんて……。
お尻の左右に小さく入れられた「AYUMI」。その周辺は真っ白です。
今日はそこにも刻まれるのです。
もし無事に日本に戻れたとしても、水着はムリですし、背中のあいた服は着ることができないでしょう。
ショックでなにも考えられません。
この日のあとのことは、あまり覚えていないのです。
船員たちも二巡目になると、最初の夜のようにやさしく扱ってくれませんし、ただ欲望を吐き出すだけになっていきます。
それよりも、みんなが刺青に夢中になっていきました。
お尻には、肛門を示すマーク。肛門に刺さった男性器、浣腸器などが描かれていきました。
夜には腹部に移り、そこには女性器が描かれていくのです。おへそを膣口に見たてて、ものすごくリアルに描かれました。わたしの実際のあそこを見ながら、少し実物より大きめにデフォルメされて描かれたのです。
その周辺には、潮を吹く様子や、腕を突っ込まれている様子などが、マンガみたいに描かれました。
こうした絵柄は、言葉以上に強いメッセージを持っています。
わたしは、こういう存在だとアピールしているのです。
それ以外の生き方はムリだと。
船員たちは、こんな体になってしまった亜由美のほうが、やりやすいのでしょうか。
「亜由美はみなさまのチンポ奴隷です。好きなだけ種付けしてください」
「アユミ、スケベ」
興奮して再び、次々と犯してくれます。
懐中電灯で照らして、体に彫り込まれた淫らな絵を楽しみながら、犯されていくと、間違いなく妊娠しているような気になりました。
吊りと釣り(五月十日 火曜日)
自分が生まれ育った場所、知っている人たちがいる慣れ親しんだ空間から、完全に切り離されました。
いまはこの体さえ、自分のものではなくなりました。
全身に落書きのような刺青。とくに腹部に描かれた女性器の絵は、少し目を下に向けるだけで、いやでも目に入るのです。
これはもう、わたしではない……。
診察室で全身を見せられて、何度も気を失いそうになりました。
点滴をされ、水分や食事も採らされました。
二人の医師は形だけの診察と治療をして、また、わたしを甲板につなぐのです。
すっかり船員たちは、船の備品かのようにわたしがいることに慣れ、使う人も減っていきました。
宇辻様が退屈そうに、浣腸をして、数人の船員も加わったのですが、昨日ほどの盛り上がりもありません。
わたしがこれ以上、なにか別のものに変わるわけでもないし。
「釣りでもするらしいぞ」
船長の決断でしょうか。あれだけ急いでいた船旅も、今日はしだいに速度を落としています。明日には途中で寄る国の港につくそうで、船員たちは楽しそうです。
小舟が降ろされていきました。
暇な船員たちが、釣りをしているのです。
午後になると、さらにわたしはほったらかし。
「どうだ、おまえも釣りがしたいか?」
宇辻様に水と食べ物をいただきます。
「そうだ。おまえを餌にしてトローリングでもするか。このあたりにはサメもいっぱいいるからさ」
なにもしゃべる気にならないのです。
男たちがやってきました。あの黒人たちです。
「アユミ」
名前ぐらいは覚えてくれたようですが、あとはなにを言っているのか、わかりません。
でも、彼らが手にしているものはわかります。釣り針。それをわたしに取り付けるというのです。
「いや! やだ! やめて!」
泣き叫んでもしょうがないのですが、だからこそ叫びたいんです。
その声を聞いて暇な船員たちが見に来ます。
乳房をつかまれます。毎日、彼らに揉みしだかれて、やわらかく、少し大きくなったような気さえします。
笑いながらその感触を楽しみ、そして下側をつまみ上げました。
やっと傷が癒えてきたのに。
指先でその感触をしばらく楽しんでいます。
ガツンとした衝撃。あっという間に釣り針が皮膚を突き抜けて肉をえぐって、また先端を飛び出させています。
「ひぎぃぃ、許して。お願い」
乳房まわりだけは刺青もないのです。そこに彼らは、釣り針をグサグサと刺していくのです。
わたしは泣きわめき続けます。
「なにするの。もう痛いことしないで。お願いだから……。ほかのことならなんでもするから……」
左右ともに十本以上の釣り針がつけられ、そこから二十センチほどの釣り糸が垂れ、その先には疑似餌のついた別の釣り針が取り付けられていきます。
乳首をつまんで引っ張ります。
そこも許してはくれないのです。
「お願い、ちぎれちゃうから。すごく痛いんですぅぅ」
わめいている間に針の先端がプツッと乳首に食い込みました。
「やめてぇぇぇ」
泣いているのに、両方の乳首に釣り針が突き通り、仕掛けがつけられました。
乳房の仕掛けが終わったら、男たちの関心は下半身に移ります。
笑いながら、びらびらを引っ張ります。さまざまな経験をしてきたのに、こうしていたぶられることは、いつも新たな痛みとつらさで、慣れることはないのです。
「ぎひぃぃぃ、そこはやめて!」
叫ぶのも限界です。
外側の大陰唇にぐさりと四つ、そして引っ張り出された小陰唇にも釣り針が突き通ります。
「ひっ」
合わせて八つの針をつけられました。
泣いているのに、涙も拭ってくれません。
彼らは本当にわたしで釣りをするつもりなのです。
種付け台からおろされました。
体に絵が描かれた上に、乳房と股間に派手な赤や銀色のぴらぴらと反射する疑似餌がぶらさがっています。
そんな姿を宇辻様は撮影しています。
台にお腹をのせてお尻を突き出すかっこうをさせられました。
足を開かされます。足首に縄をかけられました。
両手を後ろに引っ張られます。
足首のロープで手首も縛ります。
お腹にも別の縄がベルトのように回されます。
「なにをするんですか」
「決まってるだろ。釣りだよ」
宇辻先生は作業を見守っているだけです。
手足と胴からのロープはまとめられて、別のロープにつながれます。それはすごく長く太いものです。見ると船員たちが甲板のフックにそれをしっかり巻き付けています。
わたしの後ろ側は凧のように、手首足首、そして胴体からのロープが垂れているのですが、それが束ねられて一本になっているわけです。
「とりあえず、試してみるようだ」
黒人たちに抱えられて、わたしは甲板の手すりを乗り越えさせられます。
「いやー、怖い」
遙か下に海があるのです。
海に落ちれば確実に死ぬことができそうです。
彼らが手を離していきます。
「こわいよー」
すぐ横に手すりがあるからまだいいものの、わたしは吊り下げられていくのです。
肩が外れそうなので、手でロープを握ります。
口にシュノーケルが押し込まれました。ゴーグルをかけられます。
額にロープが巻き付けられて、それで顔を上に向けさせられました。
金属の大きなフックを黒人がわたしに見せつけて笑います。
それをお尻にぐいぐいと押し込んできました。
それもロープにつながれていくのです。
全員が手を離しました。
わたしは宙に浮いています。手足と胴、そしてお尻の穴で吊されているのです。
ゆっくりと体が下がっていきます。船体に当たりながら、ずずっと降ろされます。
下に船員たちが釣りをしているゴムボートが見えます。ボートは船からのタラップにつながれていて、波に揺られています。
上から見ていたら静かな海にしか見えませんでしたが、おろされていくにつれ、船も進んでいるので、かなり荒い波だとわかります。
しぶきが体にかかります。
温い海水です。
ボートの人たちが笑っています。
オッパイやあそこから下がっている疑似餌が海中に達しました。
でも体はまだ下がります。
バシャバシャと激しい波を頭からかぶります。
思わず身もだえしますが、手も足もそしてお尻も痛めつけられます。波に体が翻弄されて、突然重くなったり、思わぬ方向に弾き飛ばされたりするのです。
完全に海の中に漬かっています。
パニックです。
手も足も動かせずに、ひたすら引きずられているのです。ゆっくりしているように見えた船ですが、かなりの速度で進んでいるのです。
ボートの人たちが鈎のついた棒でロープを引っ掛け、少しは安定するようにしてくれました。
枷が錘のようなもので、やせ細ったはずのわたしは、浮力も減っているのでしょう。波に呑まれると、ぐっと深く引き込まれ、頭まで沈んでしまうのです。
妙な感じがしています。ロープが伸びているだけではなく、ロープの元が徐々に船尾に移動しているのです。ボートもそれにつれてタラップから離れていきます。
どんどん海水が流れていくので、顔を水面にあげているのはかなり大変です。
シュノーケルのおかげでたまに息ができます。海水を飲むことはほとんどないのですが、ゴーグルだけなので鼻から海水が入ってきてしまいます。
むせれば口の中のシュノーケルを吐き出してしまうかもしれません。
手が使えないので、自分では戻せないでしょう。
必死でくわえているのです。
船上から男たちの笑い声が聞こえてきます。
背中にチンポの刺青をした女が、釣り道具として海に漬かっているのですから、見ている人たちはおもしろいのでしょう。
ふと見上げると船からけっこう離れているのがわかりました。近くにボートがいるからまだしも、本当にこのまま魚の餌になってしまうのではないでしょうか。
波と格闘しながらなんとか息をすることに集中していると、しばらくしてコツコツと体になにかが当たってくるのです。
サメがいると宇辻様が言っていたので、そうかもしれないと怖くなります。
下手に暴れたら噛みつかれるかもしれません。
助けを呼んでも、誰の耳にも届かないでしょう。そんなに大きな声は出せません。
引っ張られる……。
なにかが疑似餌に食いついたみたいなんです。
猛烈な力で小陰唇を伸ばされていくのです。ちぎれちゃいそうです。
「ぐはっ」
海水を飲まないように呼吸をするだけでも大変なのに。
あ、また引っ張った。
オッパイのあたりにもなにかが来ています。
疑似餌となったわたしに、魚たちがやってきて、からかっているのでしょうか。
もし、巨大な魚が食いついて暴れたら、オッパイも陰唇も、一瞬で千切れてしまうかもしれません。
早く助けてほしい。
そう願っていたのに、一時間近くも釣りは続いたのです。
ぐいっとボートに引っ張られていき、ボートと一緒に少しずつタラップに近づきます。
もどかしいほど遅いのです。その間にも、おっぱいにも股間にも、ツンツンと魚がやってきて、引っかかっていくのです。
彼らが合図をしたらしく、体がぐいっと引き上げられました。
波の間から離れていくときに、ずっしりと重いものに引っ張られて、みもだえします。もうシュノーケルを口から吐いてしまいました。
「ぎやー、いたい、いたい!」
オッパイも乳首も陰唇も、海に引きずられて限界まで引き伸ばされてしまいます。
見ると、疑似餌にくいついた銀色の魚たちが見えます。かなり大きいのです。
あれをわたしごと引き上げるなんてムリです。
ロープは力強くたぐられていきます。
とうとう空中に浮きました。
見れば、何匹もの魚がぶらさがっているのです。ずっしりと重く、暴れているのもいて、激痛に身をよじります。
さきほどの甲板ではなく、もっと下の甲板から人の手が伸びて、ひっぱり込まれました。
がやがやと宇辻様たちがやってきました。
「すごいな、ホントに釣れたじゃないか」
お酒臭いです。
「助けてください。早くはずして」
手や足の痛み以上に暴れる魚が怖かったのです。
乳房から下がる疑似餌に三匹、股間に四匹。元気のいいサバぐらいの大きさの魚が食いついていて、甲板を飛び跳ねています。
「うぎぃぃぃ、はずして!」
叫んでも、彼らは許してくれません。
しばらく眺めて写真を撮ったりしています。こちらの苦しみなどどうでもいいのです。
大勢の船員が集まってきて、中には拍手してくれる人もいます。
お札が飛び交います。
博打の対象にされていたようです。
やがて魚がぐったりしてきたので、男たちは針から魚をはずしてくれました。
なんとか引きちぎれずにすみました。
「うまくいったね。もう一度やろうか?」
「だめぇぇ、お願い。もうダメ」
「さっき船員に聞いたら、このあたりには人を襲うようなサメはいないそうだよ。大丈夫だよ」
そういう意味じゃないんです。もちろんサメも怖いですが、あれ以上の魚が釣れたときのほうがもっと怖いのです。確実に肉がちぎられてしまうでしょう。
「もう一回だ」
「いやー」
「今度はケツ穴にも仕掛けをつけてやるよ」
吊り上げるロープからお尻のフックの縄をはずして、そこにも仕掛けをつけたのです。
「じゃ、行ってらっしゃい」
シュノーケルを口に押し込まれます。
「さっきはこれを忘れていた」
シンクロで使うような鼻をおさえるクリップをつけられました。これで鼻からの海水の浸入は防げるでしょうが……。
泣きわめくわたしは、ふたたび海水に入れられて、一時間ほども流されました。
全身が痛いのです。体がバラバラになってしまいそうです。
ふたたび引き上げられると、今度も乳房に二匹、股間に四匹の魚がぶらさがり、お尻の疑似餌にも一匹食いついていました。
お尻をえぐられるような痛みを甲板に戻るまで感じていました。
さきほどよりはあっさりと魚を外してくれました。もう船員たちも飽きたのでしょう。
魚を外したあと、ふたたび空中に押し出されて、最初にいた上の甲板まで引き上げられました。
そこではバーベキューパーティーがはじまっていて、わたしの釣った魚を焼いて、みんなで食べているのです。
しばらく縛られたままで甲板に横にされていました。
「アユミ、タベテ」
口に身を押し込まれました。ずっとシュノーケルをくわえていて、感覚がなくなっているのか、味もわかりません。
「アユミ、ツリ、スキネ」
釣りのことか、吊り下げることかわかりませんが、どっちも苦手です。
黒人たちがやってきました。
「怖いことしないで……」
脅えてしまいます。
船から投げ落とされたら、もうおしまいなのです。海に漬けられるのは肉体的にも精神的にもきついことでした。
近くの柱にある足場にロープを通してまた吊り上げられました。
針を外す作業がはじまります。
疑似餌を引っ張って遊んだり、バーベキューの串で突いてみたり。焼けた串の先を押しつけたり……。
「ぎゃー」
もう声は枯れていますが、泣き叫びます。
釣り針をえぐるように取っていく男たち……。
「ひぃぃ、ちぎれるぅぅぅ」
海水が傷口に染みるせいか、ダメージ以上の苦痛です。
オッパイを触ったり、揉んだりしながら、針を引き抜くのですが、みんな酔っていて、いい加減なのです。
引き抜いたあとを宇辻様が消毒してくれます。
お尻に深く食い込んだフックを引っ張られていきます。がっちり食い込んでいるので、抜けません。
「だめぇぇ」
お尻を引き上げられて逆さまになっていきます。
「あんこうは吊し切りってやるんだよ。おまえもこうして料理してあげようか」
酔った宇辻様にからかわれます。
「小陰唇も大陰唇もびろびろになってしまってるな。ケツ穴もだらしなく拡がってるぞ」
体に力が入らないのです。
逆さにされたまま、すっかり針を取り除かれ、海水で体を洗われます。
ようやくおろされて……。
お尻のフックを外すのがかなりの苦痛でした。
もうフラフラなのですが……。
なんだか陽気な船員たちの踊りの相手をさせられたり、みんなの前で、セックスをさせられたり。
おしっこを飲まされたり。
へとへとになった頃に、やっと夕日が沈んでいきます。
すごくきれいな夕日。
こうしてわたしは、どんどん本当の自分の姿から遠ざかっていくんだなあ、と思います。
なぜか種付け台に戻されず、自由にしていいらしく、わたしは夕日をゆっくり眺めていました。
もっとも必ず誰かがわたしの首のチェーンを手にしているわけですけど。
真っ赤な太陽が地平線に沈みます。わたしの体がそれを反射してオレンジ色になっています。陽に焼けたせいで、なんだか妙に皮膚が厚くなったような気がします。
手でお腹を触ってみます。妊娠の徴候なんて、まだありません。
ただ、間違いなくしているんだろうと思い込んでいるだけです。あれだけ男の人たちが、本気で孕ませようと日夜、わたしの中に注ぎ込んだんですから。
ふと、手を見ると赤いのです。
血でしょうか。太陽の反射?
あれ。
お腹をもう一度見ます。精巧に描かれた女陰の刺青が、薄くなっています。赤い刺青が、撫でた手に移っているのです。だから、わたしの体は赤くなっている……。太陽の反射だけじゃないのです。
確かめるために擦ってみたら、刺青の一部が完全に消えました。
「そんな……」
刺青が消えるなんてこと、あるでしょうか。
「おっと、気がついたね」
宇辻様がすぐ横に。
「これは?」
「刺青といっても、ホンモノじゃないんだよ。下書きみたいなものだね」
「えー」
びっくりしたあまり声を失います。
そして、大声で泣きました。わーわーと泣いたのです。あれはすべて下書きで、本当の刺青じゃなかったんです。
「あの話は半分ホントで、半分ウソだ。パルダ王国でおまえのような立場の者は全身に刺青を入れるきまりだ。これはホントだ。ただし、もう一つ約束事があるんだ」
「なんでしょう」
「自分から刺青を指定して、いれてもらう必要がある。奴隷に許された自由の一つだよ」
「自分から?」
「ああ。パルダ王国の性奴隷は、自らその境遇に入っていく。そして、その自分を飾るため、目立たせて、奮い立たせるために刺青を入れる。つまり、強制的に入れられるというよりも、奴隷たちは刺青をする権利があるわけだ」
「だったら、わたし、その権利は保留します」
「まあ、そうだろうね。ただし、王国では、いつか、そう遠くない時に、おまえが自分から入れてほしいと願い出るだろうと考えている。そのときのために、トレーニングしておくようにと言われているのさ」
「そんなことはしません」
「それはどうかな」
自分から望むことなど考えられません。少なくとも、いまのわたしは……。
明日は港町だということで、わたしは船底の檻に戻されて、ゆっくりすることができました。サメに食い千切られる夢を見て、何度も目が覚めてしまうのでした。
大きいサメや小さいサメが、オッパイを食い千切り、股間を噛んで、体の中にまで入り込んで、内臓を引きずりだしていくのです。
わたしは頭と皮だけになって、海に浮かんでいます。すごく暖かくて、気持ちがいいのです。すべての苦痛がどこかへ消えてしまうのです……。
快楽の中で(五月十一日 水曜日)
「ご存知の方も多いでしょう。亜由美です」
パラパラと拍手。
三十人ぐらいの人たちに囲まれた円形の舞台にスポットがあたっています。
前と後ろに、拷問担当の黒人二人がついています。
首輪からのびるチェーン。鉄の枷をはめられた両手、両足。足には肩幅より広く拡げられたままとなるように、鉄の棒が取り付けられていて、わたしは左右に体を斜めにしながら歩かなければなりません。
まだ、船に乗っているような揺れを感じています。
正面には大型の液晶モニターがあって、懐かしい日本で責められていた頃のわたしの姿が流れています。
あの頃に逃げだしておけば……。
半月あまりの間に、これほど人生が変わってしまうなんて。
後悔しても、もう遅いのです。
ぐいっと鎖を引っ張られて、また一歩、舞台に向かいます。
観客たちは闇に沈んでいて、よくわかりませんが、高級な香水が多数、混ざっています……。
入港前にわたしは船倉の檻に戻されました。港について錨が落ちても、なかなか迎えに来てくれません。
天井のハッチが開いて、コンテナがいくつか降ろされ、船員がわたしのいる檻の前をなんども通っていきますが、声をかけるでもなく、知らんぷりです。忙しいのでしょうか。
数時間がたって、水も食べ物もなく、飢えていたところに男たちがやってくると、檻ごとクレーンで吊しました。
船底から空中へ。どんよりと曇った空。遠くに真っ黒な雲。嵐が来るのでしょうか。それとも通り過ぎたところでしょうか。
小さな港町。高い建物はなく、熱帯特有の高い木が生い茂り、その間に赤い亙をのせた建物が見えています。間近に灯台があります。
わずかな間でしたが船と空と海しかない空間にいたので、そこはすばらしく美しい景色に思えました。
船はほかにもたくさん停泊しています。街よりも港の方が人口が多いのではないでしょうか。貨物船の間を小さな船がたくさん行き交っています。
空気が重く、生暖かく、じわっと汗がにじみます。
濡れた埠頭におろされました。黒人たちが待ち構えています。
鉄格子の入ったバンが止まっていて、それは囚人の護送車を連想させます。
とても怖くなってきました。
首輪にチェーンがつけられて、檻から出されます。拘束はされませんが、男たちに囲まれて、逃げ出せる雰囲気ではありません。
バンの後ろが開きます。座席はありません。乗り込むと、床を這う太い鎖につながれます。
ドアが閉じて、車が走り出します。宇辻様もいないし、だれもなにも説明はしてくれません。
外国に連れ出されたのですから、これからはずっとこんな調子なのかもしれません。ただの性奴隷。言葉はいらないのです。わたしのようなものをカネで買う人たちに提供される。物のように。
道路が悪いのか、激しい振動の中で三十分ほども揺られて、気分が悪くなっていました。
やっと車が停止して、排気ガスだけではなく砂埃のようなものも、隙間から入り込んできました。
ぐっしょりと汗をかいていました。
街中ではないのでは?
ドアが開きました。
緑。ジャングルのような景色が拡がっています。雨で濡れていて、地面には水たまりがいくつもあります。
風でもあれば涼しいのに、外は車内のように暑いのです。
迎えに来たのは見知らぬ男たちで、どちらかといえば東洋系の顔立ちです。イエローとはっきり言えるほど白くはありませんけど。
首輪を引かれて外に降り立ちます。
車の振動、そして長く船に乗っていたこともあって、体が揺れているような感覚。
動物園でしか耳にしないような鳥の鳴き声がしています。
引っ張られて振り返ると、大きなプールのある三階建ての屋敷がありました。一階にはアーチ状の柱が並び、屋根はクレーンで吊られて見えたような赤い亙。
暑い地域だからでしょう。窓は小さくて、一階は建物の奥に引っ込んでいて、いくつもの柱が並び、廊下しか見えません。
プールは細長い楕円で、青く、いっぱいに水が張られていますが、誰もいません。
裏側に連れていかれると、水を浴びせられ、ごしごしと固いタオルで体を拭かれて、コンクリートの裏口に入れられました。表とちがって、こちらはヒンヤリしていますが、湿度が高く、頭がくらくらします。
拷問係の黒人がすでに到着していたのです。見慣れた二人が手に鉄の枷を持ってやってきます。
「アユミ」
怖い。いや。本能的に逃げたくなりますが、彼らはわたしの手を取って引っ張り、枷を取り付けていきます。
手枷。足枷。足は棒で広げられてしまいます。体を隠すことなどできません。
そして、なにも知らされず、舞台に連れていかれたのです。
この建物のどこにそんな設備があるのか、わたしにはよくわかりません。
外から見たら、あれほど明るくてまぶしい、リゾートホテルのような外観でした。
でも、わたしが連れて行かれる舞台は、陰惨な世界なのです。
アナウンス。英語のようです。聞き取れる単語はわずかです。
「AYUMI、Japanese、college、girl、slave……」
ここで大勢の客の前でなにかをさせられる……。
司会者が冗談を言ったのかもしれません。笑い声が起こりました。男女ともにいるようです。
剛介たちに連れられて商店街の人たちの前に出されたときを思い出します。
だけど、ここではなにが起こるかわかりません。言葉も通じません。剛介もいません。
信頼できる人がだれもいない異国で、肉体一つで引き出されていくのです。
奇妙にゾクゾクします。
この絶望的なまでの快感は、生まれてはじめてのものです。
恐怖とか怯えを上書きしていくように、とてつもない興奮に包まれています。
なにかされちゃう……。恥ずかしくて、つらくて、死にたくなるようなことが……。
あの舞台に立って、スポットを浴びるのです。
三段の階段を上がるのはちょっとした苦労ですが、なんとか乗り越えました。
「亜由美」
司会役の男がなにかをわたしに言うのですが、返事なんてできません。
マイクが突きつけられます。
なにかを言えというのです。日本語しか浮かびません。
「わたしは亜由美です。ご存知のとおり、日本人で、女子大生です。パルダ王国に留学をする予定です」
日本語のできる誰かがいるようで、司会役がすかさず外国語で伝えています。
「もうひとつの顔は……」
自分で言うのもおそろしいことですが、言うべきだろうと思います。
「性奴隷として、みなさまのご要望のままに、この肉体を提供することです」
それが翻訳されると、ささやき声やため息や小さな笑い声が起きました。
「よろしくお願いいたします」
ほかに言うべきことは思いつきません。
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