亜由美 灼熱編 亜由美シリーズ 第2部 (2/4)
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後ろから男に足を蹴られ、膝を床につけることになりました。
髪をつかまれて、顔を上に向けさせられます。男の手には太く長い男性器を模した道具があります。
その先端が口に侵入してきます。
「あぐぐぐぅ」
三十センチ以上ありそうです。柔らかな素材ですが、太いので苦しいのです。舌を動かす余裕がありません。
強く押されてくるので、飲み込もうとするのですが、喉で感じる太さもこれまでにないもので、切れそうなほどなのです。
「げへっ、がふっ」
ちょっとでも先端が喉に入ったものですから、男はさらに力を入れて押し込みます。
「ぐぇぇぇぇ」
吐くようにするとズルッと半分ほども入ってきました。詰め込まれたのです。
「はふぅぅぅ」
涙が自然にあふれます。息もできません。
剛介やゲー研の人たち。商店街の人たちでさえ、一応はわたしを人間として扱ってくれたと思います。多少の遠慮もあったでしょうし、最低限の配慮もあったと、いまでは思います。
でも、ここではそれはないのです。
ゲー研の人たちがネットで有料で公開していたわたしの姿がどのようなものか知りません。もし、その動画だけを見ていたとしたら、残酷に扱って当然の女だと思われているかもしれません。
男はディルドを引き抜きます。
「ぐぁぁぁぁ」
喉が鳴ります。
半分ほどのところでまた押し込んできます。
「あがああああ」
逃れたいのですが、肩を別の男が押さえています。
喉をこすりつけられ、かなり痛めたのではないかと思います。
二往復してようやく完全に引き抜かれました。
「がはっ、はくっ」
わたしはしばらく、むせていました。
それなのに髪を引っ張られてそのまま後ろに倒されていくのです。
ディルドを持った男は、わたしの腰を支えます。
頭がそっくり返ると、そこに男のものが待っていました。そういうことなのです。
喉を開いて、今度はホンモノを入れるのです。
ディルドに比べれば、わずかに細いのですが、長さは劣りません。
反り返ったかっこうのわたしの中に、男は入れてきます。飲み込んでいきます。
「あおぅ」
男はわたしの肩と背中を支えて、もっとも奥まで飲み込ませたのです。
信じられないことに男のものが喉の奥へ入り込み、唇が彼の袋にあたります。
呼吸はムリです。
その間に浮き上がった腰に、さきほどのディルドが狙いをつけてきます。
太い指で拡げられ、連日、船で犯されてきた部分にディルドを入れられます。
もっとも奥まで押し込み、子宮を押します。
「はがっ」
抜いたり引いたりします。
たっぷり濡れていることがわかります。
男はディルドを抜いて自分のものを入れてきました。
そしてゆっくりですが、腰を動かすのです。
舞台の上を少しずつ移動しながら、喉とヴァギナを犯されているところを、見世物にされます。
男たちはなにか言葉をかわしました。
喉からペニスが引き抜かれました。
「はぐぅぅぅ」
唾液がたっぷり出ました。
股間の男も離れました。
わたしの体を裏返しにしました。
そしてまた喉を犯しにきます。
ディルドが肛門を拡げて入り込みます。ぶるぶると振動させながら、お尻を緩めさせて、どんどん奥に入っていきます。
会場からざわめきが聞こえてきます。
小柄な日本人のくせに、お尻で三十センチはあるディルドを丸呑みしているからでしょう。
「ビッチ」という単語が聞こえます。わたしは誰とでも交わる女なのです。
すごく奥まで入ってきています。
感じてしまっている体。ぴたぴたと淫汁があそこからしたたっているのがわかります。
ずるずるとディルドが引き抜かれ、彼のペニスが入ってきました。
体が震えるほど感じている自分がいます。
どうなっちゃったんだろう。
いまのわたしに求めなくても得られるのは、歪んだ快楽だけなのです。
喉とお尻を犯されて数分がたちました。
喉からペニスが抜かれると、お尻には入れたまま、わたしは立たされます。
べとべとに光っている男の下半身がチラリと見えました。
後ろの男性は腰を突き出させ、乳房を握りしめてわたしの体を宙に浮かせます。
抱えられたようになったところに、ペニスが向かってきます。
その長く太いものが膣に突き刺さってきます。
立ったまま、前後を二人に犯されて、まるでその二本のペニスに突き上げられて宙に浮いてしまっているような感覚。
前後の男たちがわたしの上体を腕で支え、オモチャのように上下させるのです。
「あぁぁぁぁ」
低いため息。
たくましい彼らにしがみつき、穴を擦られる……。
「感じるぅぅぅぅ。もっと、狂わせて。もっと……」
会場に拍手がわきます。
そうなのです。彼らは日本語を知っているわけではありませんが、これまでのわたしの動画を見ているので、わたしがなにかを言えば、だいたいわかるみたいです。
「ぎひぃぃぃ。亜由美を壊して……。二本のオチンチンでぐちゃぐちゃにして!」
お尻を犯している男に両足を持ち上げられてしまいます。
サンドイッチにされて、体を圧迫されているので苦しいのですが、どんどん感じています。
「イク、イクぅぅぅぅ」
言葉にするとさらに快感が増してきて、本当に絶頂に飲み込まれていきます。
なにか大量の液体が股間から流れ出しています。
声援でしょうか。なんでしょうか。興奮したお客さんたちがときどき、叫びます。
司会者もそれに応じています。
誰の前でも、亜由美は自分をさらけ出して、イクことができてしまう……。
最初の絶頂がきても、二人は許してくれません。ものすごくタフです。
正面の男は乳房を掴んで、ひねります。お尻や背中や下腹部も彼らの固い体毛に覆われた肌に擦られて、痛みと快楽を同時に感じているのです。
「あ、またイク……」
二度目は潮吹きが先で、彼らの足をびしゃびしゃにしてしまいます。
お尻の人がなにかを囁いて、イッてくれました。
力が抜けていくので、つま先から地面につきます。
続いて前の人も、うめいて動きを止めました。
二人にはさまれて、しばらくわたしは、ひくひくと二つの穴で男たちの精液を飲み込んでいました。
「すごい。しあわせ」
思わずこぼれた言葉に、自分でも驚きます。
しあわせなわけがありません。だけど、この感覚はしあわせとしか表現できないのです。それにすがりつくしかないのです。
拷問を得意とする彼らが、あえてこんなことをしてきたのは、わたしのことを客に見せつけて、興奮させるためだけではないように思います。
おまえにはこれしかないんだ、と言われたような気がします。
亜由美。おまえはメス豚として、性奴隷として感じて感じてイキまくるしかないのだ、ほかに逃げ道などない、と。
部屋の中は熱気に包まれていて、暑さにくらりとなるほどになっています。
男たちが離れていくと、わたしはその場に崩れ落ちました。
精液のニオイ、男たちのニオイ。
自分が噴き出した淫汁にまみれています。
「もっとして。もっと欲しいの。亜由美はみなさんに犯してほしいの」
この世界こそ、わたしの世界なのです。
拷問部屋
わたしが快感に浸りながら、男に抱きついている間に、舞台に腰より少し低いぐらいですが、小さいものの頑丈な木製の台が用意されました。
見知らぬ客たちが舞台にあがってきます。男だけではなく、女もいます。
東洋系の人、白人、黒人。いずれも身なりはいいのです。
台の上で四つん這いにされ、彼らに体を触られます。
「亜由美」
なにか言葉をかけてくれるのですが、よくわかりません。
「ビッチ」とかなにか、悪態のようです。
顔を触られ、口の中、乳房、性器、お尻の穴まで、彼らはわたしの存在を確かめるように、触りまくります。治りきっていない傷にも触れます。
バーチャルな存在だったわたしに触れることも、彼らには楽しいらしいのです。
写真も撮られます。
今日、亜由美に触ったぞ、とでもブログに書くのでしょうか。それともツイッターでつぶやくのでしょうか。
このまま、触るだけではすまないでしょう。
油のようなものを垂らされて、みんなが塗り込んでいくのですが、それはしだいに体を熱くさせていくのです。いわゆる媚薬なのかもしれません。
皮膚からなにかが染み込んでいくのです。
誰のともわからない指をしゃぶると、甘酸っぱくて、すごくおいしい。そしてふわっと暖かくなっていきます。
だらしなく開いている粘膜にも塗り込められていきます。乳房、乳首もカッカしてきます。
そのためか皮膚の傷とか、釣りなどで痛めた筋肉などまでも、回復していくような気がしてきます。
大きな絶頂を味わったはずなのに、貪欲になっていくわたしの体。
どうかなってしまいそうです。
わたしが感じて、くねくねしているのが客たちにはおもしろいのでしょう。
誰かがピシャッとお尻を叩きました。笑い声が起こります。
「なにをしてもいいんだぜ」
「メス豚だ。ぶっ叩いてやらないと」
「そうよ、いやらしいわ。お仕置きよ」
そう言ってるように聞こえます。
やさしく触り、揉む人たちから、徐々にわたしを叩く人が増えていきます。
ピシャ、パシャ、バチン。
叩く場所と叩き方で、いろいろな音が響きます。
「あっ、くっ、うっ」
痛みもさまざまです。
お尻をつぎからつぎへと、叩かれます。だんだんその力が強くなっていきます。
バシン、バシンと頭に響くほどの強さになっています。
「あうっ、ひいぃっ、くううぅ」
とても痛い。だからこそとても感じて、うめいてしまうのです。
すると客たちは喜んで、さらに叩きに来ます。
「うれしいの? もっと泣けばいいのに。ほら、泣いてごらん!」
そう言われたような気がします。
年配の白人女性が、わたしの頬を思い切り叩きました。恨みでもあるかのように。でも、彼女は笑っているのです。
「ふふふ」
涙目になっているわたしを楽しそうに眺めます。
また一発。
「ひっ」
それに呼応するかのように、お尻にはなにか固いものが叩き込まれました。
見ると、目の前の女の人も、うちわぐらいある黒い革の道具を持っています。黒人たちが客に道具を配っているのです。
手の平で叩く時間は終わったのです。
ゾクゾクします。
「ビッチの亜由美を叩いてください。思い切りぶちのめしてください」
足を引っ張られ、台の下にある幅広いベルトで足首をがっちりと縛られました。腕は下に向けて伸ばされて、革の枷でつながれました。
うつ伏せでお尻を突きだしたかっこうです。
ただ、誰かが乳房をつかんで、何かを言いました。
黒人がやってきて、乳房の根元を細い縄で縛り、それを体から横にはみ出るように引っ張りました。縄は手首に縛り付けられました。
みんなが覗き込みます。黒人の拷問者たちも怖いのですが、彼らは、ここのお客たちのように必ずしも楽しんでいるわけではありません。いわばプロとしてわたしを苦しめるあらゆる方法に長けているのです。
必要ならさきほどのように、わたしを簡単に快楽の中に溺れさせることもできます。
わたしは彼らが大嫌いなのに。日本であれだけの拷問実験をされたのに、恐れつつも尊敬をしています。
彼らがわたしにしたことは、すべて正しいこと。だから、わたしはいまもこうして生きていて、震えながら、激しい快楽を求めているのです。
肉体を潰される快楽です。
頭や心が拒絶しても、体が反応して快楽だけを味わってしまう……。そのどうしようもない自分。
彼らはある意味、わたしのことを隅から隅まで理解しています。
すべての苦痛は、とんでもない快楽へ向かうための道だと知っているのです。
だけど、いまは違います。彼らは後方に下がり、見知らぬ客たちの手にわたしを委ねたのです。
ここにいる男女は、ネットの中のわたしを知っています。そしていたぶることが大好きなのです。
わたしのことを深く知ろうという気持ちなどないのです。
バチンバチンと、彼らはラケットをわたしのお尻に打ち下ろします。
「はぎっ、うげぇっ」
あまりにも痛いので叫びます。快楽への道筋はまるで見えません。
背中にも。
そして横に引き出された乳房や乳首にまで……。
「ぎぃぃぃい」
笑いながら。お酒を飲みながら。
鼻に指を入れられて顔を上げさせられると、そこに半立ちのペニスが待っています。
「がー」
喉の奥まで押し込まれます。
必死に奉仕します。その間も、お尻や太もも、背中、肩、オッパイなどを大勢の人に殴られているのです。
涙がボロボロと流れます。
男は次々と現れて、わたしの口を試します。だれも最後まではしません。遊んでいるのです。そして長引かせようとしているのです。まだ思いを遂げるには早いと。
「もっと痛めつけてからにしようぜ」
「泣きわめいて許しを乞うまでぶっ叩いてやれ」
「あぎぃぃぃ」
わめきながら、しゃぶります。どこにそんな衝動があるのか、わたしでも不思議ですが、媚薬に燃える体は痛みを燃料にしてさらに燃え上がっていくのかもしれません。
きっと背中もお尻もおっぱいも真っ赤になって、叩くところがなくなったのでしょう。
彼らはお酒を飲み、笑い、しゃぶられている男をからかっています。彼らには休憩があります。わたしにはありません。
黒人たちが足のベルトを解きました。手の枷も外します。
しゃぶりながら、体を仰向けにさせられます。
そして同じように足と手を固定するのです。
乳房の縄は、さらにグルグル巻きにして絞り上げられました。
赤黒くなったおっぱいが、自分のものではないように、屹立しています。
台から飛び出した頭は下向きになって、ひたすらペニスをしゃぶるだけの道具となっています。
この姿勢は船でずっとやらされていたのですが、慣れたからといって楽なわけではありません。
何人の男性客がいるのでしょう。男たちはあきることなく、喉に押し込んできます。いつしか、男のほとんどは下半身だけ裸になっています。
女性たちの中には下着になっている人もいます。
目には男の毛むくじゃらの足。そして視界のはずれには新しい道具を手にしている男女たちが見えます。
ラケットのような道具は飽きたのでしょう。乗馬鞭を手にしている人が見えます。
「ぎひっ!」
最初の一撃が、絞り上げた乳房の上に当たりました。
固い鞭の衝撃は強烈です。
乳房の上、腹部、腿、下腹に左右から十本以上の乗馬鞭の先端が差し出されて、静かに置かれました。
喉からペニスが引き抜かれ、男に頭を持ち上げられました。
裸のわたしの体は媚薬と汗できらきらと光っています。周囲を囲んだ男女たち。ニヤニヤしながら、鞭の先端をわたしの体の上において、やさしく愛撫しています。
靴べらのような先端でわたしの肌を確かめています。
みんなが一斉に振り上げます。おびえるわたしを見て、笑っています。
振り下ろし、途中で止める人たち。
大笑いになります。身構えたわたしをあざ笑うのです。
そして突然、腹部に強烈な一撃を受けました。
「ひっ!」
二発目に警戒しますが、すぐには打ちません。またフェイントでからかうのです。
そしてわたしが大きく息を吸った瞬間に、乳房の下をしたたかに打ちのめしました。
「がはっ!」
そしてまたみんなで振り上げて。誰がどこを叩くかわからないのです。
今度は全員が一斉に。
「ぎぃぃぃぃ」
そこからは乱れ打ちになりました。
ビシビシ、バチバチと叩かれ続けます。
垂直に叩く人だけではないのです。自分からは遠い部分を斜めに払うように叩く人もいます。バチバチと肌が鳴ります。
ゴルフのスイングのようにして、突き出た乳首を狙う人もいます。
呼吸ができません。
歯をくいしばって耐えるのです。
嵐のような激しい鞭が、ピタッと止まります。
やっと呼吸ができます。体の表側が、痺れています。媚薬の熱と痛みで、頭がぼうっとしています。
黒人たちが客をかきわけて出てくると、わたしの体にまた媚薬を塗り込んでいきます。これ以上熱くされたら、おかしくなりそうです。
痛いのに、その愛撫がうれしくて、体をくねらせて、甘い声を出してしまうのです。
「あふぅぅう、お願い、もっとひどいことをしてぇ。亜由美をめちゃくちゃにしてください!」
会場もヒートアップします。
笑い声だけじゃなく「涙も出ないぐらい、いたぶってやろうぜ」とか「もっと厳しくしなくちゃダメよ」といった声が聞こえているような気がします。
種付けの船内と違い、ここにはまったく情感はありません。
たぶん、この日こそ、わたしの新たな地獄のステージの始まりなのです。これからは、命ある限り、わたしのことを欲望の捌け口としか見ない人たちの中で、泣き叫び、苦痛にもだえながら、快楽に浸るのです。
女の人が股間をわたしの顔に押しつけてきました。舌を突きだして奉仕します。きつい体臭。
性器に鞭が落ちました。大声を出したいところですが、毛深い彼女の股間で口を抑えられています。
その女がわたしの股間を叩いているのです。
「もっとまじめにやらないと、ぶったたくわよ」
そう聞こえます。
「ちくしょう、歯を立てたね!」
激痛に思わずのけぞったから……。
彼女は三発、立て続けに股間を
打
擲
しました。
「ぐひぃぃぃ」
みおろす彼女の残忍な目。
慌てて舌を伸ばします。
「ビッチ!」
次の女性に替わりました。
少し若い女性ですが、体臭のきつさは同様です。腐ったチーズのような臭いがします。
大好物かのように舐めます。吸います。しゃぶります。亜由美は臭いおまんこが大好きなんです、大好物なんです……。
しばらくは腫れた恥丘の上を鞭の先で撫でていましたが、「わあ!」と大げさに叫び、鞭でいやというほどクリトリスの周辺を叩いてきました。
わたしはなにも粗相はしていないはずですが……。
バシッ、バシッと四、五発も打ち込まれ、気が遠くなります。
三人目の女性も同様です。彼女たちの目的はあそこを舐めさせること以上に、わたしの股間を叩くことのです。罰というよりも、ただ気が向いたら叩いて楽しんでいるのです。
涙を流し、嗚咽しながら奉仕していると、五人ほどで女性による股間への奉仕と鞭打ちは終わりました。
休む間もなく、男が腫れ上がり、血を流している性器に押し込んできました。
「あうぅぅぅ、いたい……」
セックスなどというものではなく、わたしの中に突っ込んで、乱暴にかき回して遊ぼうというのです。
輪姦の経験はいやというほどありますが、これほど暴力的な輪姦ははじめてでした。まだしも黒人たちによる拷問実験のときのほうが優しかったと思うほどです。
セックスのような動きはまったくせず、膣壁をペニスで破壊しようとでもするかのように、突っ込んで来ます。次々と交代で……。
「もっと深く突いてやろうぜ」
「根元までしっかり入れてやる」
ぐさぐさと突き刺さる間に、そこは完全に開ききっていきます。連日、多くの人に乱暴されてきたのです。きっと、ボロボロになるまで、突きまくられるのです。
場末にて
「すばらしい。まだ子どもだろう」
「いえ、もう成人していますよ。日本人だからそう見えるだけです」
「お人形さんのようじゃないか」
さんざん、犯しておいて、彼らはわたしにもわかる英語で誉めるのです。
そうか、わたしは子ども扱いなのかと、ちょっとショックです。
もっとも、日本でも成人式はまだしていないのですが……。無事に戻れたとしても、成人式に出ることはもうないでしょう。
変態的なことばかり仕込まれて、頭は大学生の段階からまったく先に進んでいません。大学には入っても、ほとんど勉強をしていません。してきたことは、あればっかり。
そのあと、彼らは本気になったらしく、わたしの体で果てることを目的に、つぎつぎと体を押しつけてきました。男性も女性も。
たくさんの人たちになぶられ、叩かれ、精液をかけられ、女性のあそこをしゃぶり、お尻の穴を差し出し、おしっこを飲み……。
女性とディルドでつながったり、前と後ろと口をすべて塞がれたり。
くたくたになった頃に、やっと宇辻様が来てくれました。
シャワーを浴びる間も、屈強な男たちが外で見張っていて、わたしが逃げ出さないようにしています。
「満足したかな?」
「はい。ありがとうございます」
「親切にしてもらったか?」
「はい」
日本語が使えてホッとします。宇辻様の診察を受けます。なにがあっても、「大丈夫」としか言わないので、期待はしません。
「車に乗るんだ。その前に」
新しい拘束具が用意されていました。
柔らかな革の手枷、足枷。右手と右足、左手と左足をつながれます。手を下げれば、中腰で歩くことができるぐらいの長さの鎖。
歩くとジャラジャラと鳴ります。
首輪にも鎖をつけられて、それが手枷にも通されると、立って顔を上げるのも苦しくなります。
来たとき同様、荷物のように積み込まれました。
あとは船に戻るだけでしょうか。
「腹が減っただろう」と言われました。
「はい」
「いい店がある。ちょっと寄ろうか」
異国とはいえ、全裸に枷という、奴隷とか囚人のような姿でお店に行くのは辛いです。
ですが、宇辻様に逆らうのはもっと大変なことになりそうです。頼りになるのはこの人だけなのですから。
車が停止して、男たちと宇辻様も降りました。
毎回、ドアが開くたびに、ドキドキしなければなりません。
大勢の話声や賑やかな音楽、そしてスパイシーな香りが車内に漂ってきます。
その中には、さきほどわたしで遊んだ男女たちの体臭にも似た香りもあります。あれは香水というよりも、この地域の食べ物の香りなのかもしれません。かすかにカレーを思わせる香りもありますが、酸っぱいようなにおいも強くて、すぐに慣れることができるか、わかりません。
船の食事は日本で積み込んだ食材だったこともあって、それほどかけ離れた印象はなかったのです。ここまでくると、もう日本の欠けらもありません。
陽気にしゃべる黒人たちの声がしてドアが開けられました。
街の中です。アスファルトの道路。コンクリートや石づくりの建物。
ただ、そこはいわゆる場末であることがわたしにもわかります。空はまだ明るいものの、夕日は沈んだらしく、影が多くなっています。
紺色の影の中に、薄暗いランプのような明かり。発電機の音。クラクション。自転車のベル。怒号。
賑やかですが、荒っぽいところです。
黒人は店の人らしい白っぽい服を着た茶色い肌の男と笑いながら話に夢中になっていて、片手間でわたしの鎖を引っ張り、引きずりおろします。
たちまち数人の男たちが集まってきます。
裸で、お尻を剥き出しにした小柄な女。日焼けしたとはいえ、この街の人たちからすれば、真っ白な肌。
強烈な酒の臭い。
怒鳴り声も聞こえます。ケンカでもしているのでしょうか。そして大爆笑も。
犬のように鎖を引っ張られ、人々の間を抜けて、壁のない居酒屋風の店に連れていかれました。
店の外に出ている丸テーブルに、宇辻様、船医、見慣れた船員たちも数人いて、酒を飲み、タバコを吸い、いくつもの皿を前にして食事をはじめています。
「亜由美」
大きな声で呼ばれます。
「返事をしろ」
宇辻様です。
「はい」
返事をすると、笑い声が起こります。裸の女が「はい」と返事したのが、おもしろかったのでしょう。
「ホントに日本人かよ」
「ああ。間違いない。女子大生だ」
黒人が現地の人たちとそんな話をしています。
宇辻様のテーブルにたどりつくと、わたしは足元に座るように言われました。
石畳みの上に正座しました。それだけでも拷問のようですけども。
宇辻様や船員たちがわたしのために、下に落とす食べ物を食べさせられます。味はよくわかりません。
油っぽいだけでほとんど味のないもの。ケモノ臭さが残っている肉。カレー風の味がついている野菜。ですが、わたしは必死に食べました。
食事の機会はいつあるかわかりません。いただけるときに食べておかないと、その後、何時間も、何十時間も、食べることができないかもしれないのです。
「口をあけろ」
口をあけて上を向くと、宇辻様が、酒を口に含み、上から吐き捨ててくれました。それをごくごくと飲みました。強烈なアルコールです。味なんてわかりません。口にねっとりとからむような、麻痺させるような薬草にも似た香りがあって、あとはひたすらアルコールです。
おもしろがって、船員たちもわたしに酒を飲ませます。
痛みを忘れ、先のことを考えなくていいので、すごくありがたいと思います。酔ってしまったほうがいい。わたしはそう思いました。
はるか昔、いえ、つい数週間前。大学の近くの居酒屋で、剛介にウーロン茶だと騙されて強いお酒を飲まされたことを思い出します。あれからはじまった、とてつもない日々。
好き嫌いでいえば、わたしはお酒は好きではないのですが、多少は救いになるような気がします。
だんだん頭がぼんやりしてきました。眠くなってきたのだと思います。
黒人たちが別のテーブルを持って来て、その上にわたしを持ち上げました。
舞台のようなものです。だけど、酔っていて、すごくだらしがなくなっています。
宇辻様がきます。
「さっきは上品な人たちの相手をしてきたようだが、ここではずっと下品な連中の相手をするんだ」
なぜか、わたしは「ふふふ」と笑ってしまいました。
さっきの人たちが上品だというのもおかしい気がしますし、見えている範囲でのここの人たちが、ものすごく下品だとも思えませんでした。
そういう価値観そのものが、なんだかおかしかったのです。宇辻様も、船旅のせいか、それほど上品な人には見えません。
黒人たちが大きな声でふれまわっています。
「日本から来た性奴隷だ。パルダ王国に行く前に立ち寄った。おまえたちがやれる最後のチャンスだぞ」
そう言っているんじゃないかと思うのです。
忘れてはいけません。わたしは王室に献上されるわけではないのです。
ただ、彼らの管理下でひたすら、オモチャにされるだけなのです。留学という名目で。
「餌はやらないでくれよ。手なずけようとしても無駄だ。持ち帰りも禁止だ。この場でやるなら、いくらでもやっていいけどな」
酔っ払い男たちが次々と立ち上がってわたしのテーブルを囲みます。
くわえタバコでズボンを下げる男たち。剥き出しの股間をわたしに見せつけます。
テーブルに腹ばいになって、一人の股間にむしゃぶりつきました。
はやし立てる男たちの喚声。情熱的な彼らは、わたしのようなものにも、おもしろがってくれています。
食べ物の臭いで多少は麻痺していたはずですが、ここにいる男たちときたら、排水口のような、腐った生ゴミのような臭いをプンプンとさせていて、その根源としての股間なのです。
割礼をしている人もいれば、完全な包茎の人もいて、性器の差は、日本での経験より幅広いような気がします。そもそも、まともな下着をつけていない男性もいて、服そのものがひどい臭いだったりもします。
だけど。
わたしはまるで好物かのように、果敢に口を向け、吸いあげて、しゃぶるのです。
あまりにも激しくやるので、嫌がる男性も出るほどです。酔っていて乱暴そうですが、シャイな人も多いのでしょう。
なんだか、たまらなくかわいく感じてしまい、足を広げられて、股間をまさぐられても、自らお尻を突き上げて、あそこを彼らに差し出していました。
宇辻様の言う「上品な人」たちよりも、ここの方がわたしは気分がずっといいのです。
これはおそらく、世界共通の娼婦としての行動かもしれません。教わったわけではないけれども、たくさんの経験をしてきたことで、喜ばせる術を身につけてしまうのです。
淫乱な牝。
それが本心だろうと演技だろうと、そんなことはあまり大きな問題ではありません。その場で発情し、思いを遂げることに熱中する男性にとって、「やらせる」女ほど熱望の対象となるものはないのです。
もちろん、男性がすべてそうではないでしょう。こういうことを嫌悪する人も多いと思います。
そういう人は、わたしの周囲には寄ってきません。
とても若い男性もいれば、老人に見える人もいます。シャイで素直な彼らは、好奇心いっぱいでわたしを眺め、触るのです。
はじめて目撃した生物のように。
その驚きと恐れ。彼らの指先からビリビリと伝わってくるのです。
「そうよ。亜由美は日本で生まれた性奴隷。いっぱいセックスして、いっぱい汚いことをして、いっぱい痛い目にあうの。もっともっと欲しいの」
口は、男性のもので閉ざされているので、そんなセリフを妄想しては、自ら鼻息を荒くするのです。
黒人たちがやってきて、体を仰向けにします。
低いテーブルで仰向けになったわたしに、十人以上の人たちが目をギラギラさせて覆い被さってきます。その背後にはまだまだたくさんの人たちがいるようです。
「朝まで、種付けしてもらえ」
酔っている宇辻様の日本語が聞こえます。
すっかり準備できているわたしの体に、最初の男が入ってきました。自慢らしく、けっこう大きなペニスです。
「はうぅぅぅ」
思わず声が漏れます。人々がわたしの乳房をまさぐっています。一人がテーブルに乗って、ペニスを突き出します。そこにむしゃぶりつきます。
「犯して。みんなでいっぱい犯して。精子をいっぱいかけて!」
日本語で叫んでいました。
遠くで宇辻様の笑い声が聞こえました。
「やってやってやりまくれ!」
わたしは最初の男の腰を両足ではさみました。ぎゅっと自然にあそこに力が入っていきます。
「うぉぉぉ」
男は目と歯を剥き出して、感極まったようです。
口の中で固くなっている男も振り向いたので、その喜悦と苦悶の表情を見ることができました。
そうか。男の人って、イクときってこんな顔なのかな。あらためて思いました。これまで、剛介やたくさんの人に犯されてきましたが、わたしは自分のことに夢中で、相手を見る余裕なんてほとんどありませんでした。見てはいけないかのような気さえしていました。
いま口でしていた男が飛び降りて、交代し、挿入してきました。その鮮やかなやり方を見て、すぐ横にいた男がテーブルにのぼり股間を突き出します。
またまた臭い包茎ペニス。
「亜由美、大好物です」
そうつぶやいて、口に含みました。
パルダ王国(五月十四日 土曜日)
悪夢のような夜。
何人の肉棒をしゃぶり、体の中に受け入れ、精を浴びたでしょうか。
朝方に掃きだめのような居酒屋から、男たちに担がれるようにして船に戻され、海水で体を洗われました。なんども意識を失っていたと思います。
宇辻様の診察を受けて、医務室に運ばれ、船医にクスリをつけられたり、注射をされて、船倉の檻に入れられ点滴を受けながら丸々二日間、過ごしました。
「これまでの疲れが出たんだろう。まだ若いんだからすぐ回復するさ」
宇辻様はけっこう無責任な言い方です。
下痢をしていたので垂れ流し状態となり、あれだけわたしを求めていた船員たちも、近寄りませんでした。
朦朧としていたので、上の蓋が開いてまぶしい南国の太陽が差し込んでくるまで、パルダ王国の港に着いたことさえ知りませんでした。
酷いニオイがしているのでしょう。檻の中はわたしの汚物でいっぱいです。
男たちは檻ごと吊り上げると、高く持ち上げていきました。
これがパルダ王国なのか。
港は殺風景なコンテナヤード。そして遠くには天然資源を積み出すためのタンクや近代的な施設が建ち並んでいます。でも、そうした人の手にかかったものは、海の近くのごく一部だけで、すぐそこに森林が迫っています。
灯台と、港にある四階建ての建物ぐらいしか目にするものがありません。
わたしは檻ごと、トラックにのせられました。荷台です。
黒人の拷問官たちが、消火用のホースを持ち出して、わたしと檻に大量の海水を浴びせるのです。
「いやー、やめてー」
叫んだところで、やめてくれるわけもありません。わたしはこの国では物と同じ扱いなのです。
おかげで目がさめました。
体はだるいのですが、それは体調のせいなのか、熱があるのか、ここの熱帯の気温のせいなのか、わかりません。
びしょ濡れのまま、トラックが動きだします。檻の底にたまった水が、反動でどっと流れ出していきます。
おおざっぱな世界にきた、という印象を持ちました。
雲の間から、強烈な太陽が降り注いできました。檻の底に残った水がみるみる蒸発していくようです。わたし自身もどんどん乾いていくのがわかります。
汚い水でも、残ってくれていたほうがマシな気さえします。
前に訪れた港町はひどい湿気でしたが、ここは強烈な暑さの前にカラカラに乾燥しきっている感じです。
ジャングルに沿った道はきれいに舗装されています。歩いている人が少しいます。車はそこそこ走っています。休日の東京の朝ぐらいの閑散とした通行量ですが。
なぜかベンツやBMWばっかり。たまに日本車も走っています。いずれも高級車です。
日本だったらピカピカにされている車でしょうが、ここではほこりをかぶっています。気にしないのでしょう。
先日の港町のような汚さはありませんが、妙によそよそしい清潔さです。
「あっ」
事前に見せられた大学が見えました。
リゾート施設のように美しい王立の大学。敷地は広大です。ホントにこういうところで学ぶことができるのならいいのですが、留学はあくまでも表向きの話。
わたしは、剛介たちのビジネスの人質のようなものです。
ここでしくじれば、剛介たちもまずいことになるかもしれません。
大学を過ぎたのか、まだ敷地内なのか、森林が多くてよくわかりませんが、トラックは突然、舗装されていない道に入り込みました。がくん、がくんと前後左右に大きく揺れて、檻ごと、荷台からズレてしまうほどです。
固定されておらず、ただ置かれただけなので、荷台から飛び出すのではないかと、すごく不安になりました。
五分ほどもガタガタの道を通ると、急にスムーズな走りになって、エンジンが止まりました。
レンガ造りの建物は四階建てで、真上からの日差しをうけてオレンジ色に輝いています。
黒人たちがやってきて、荷台に上がってくると、檻の入り口を開きました。
わたしは首輪だけの姿で、降ろされます。
膝がガクガクします。二日も寝たきりだったので、力が入りません。
建物の入り口と思ったら、外壁だったのです。中庭を囲んで、小さな部屋が並んでいる建物でした。
こんなに明るい日差しを浴びていますが、どこか陰惨な風景。刑務所を連想させます。
中庭にはトタンの屋根がついた別の檻が一つ、ポツンと置かれています。
「い、いや!」
男たちはわたしをそこに連れて行くのです。
「檻はいや!」
悲しくて、暴れてしまいます。
すると、黒人がわたしにスタンガンを見せつけます。
しゃがみ込むわたしを、男たちは檻に押し込みました。
屋根があるといっても、野外と同じようなものです。下は土と砂。ブリキのバケツが置かれています。
宇辻様と船医がやってきました。
「悪いけど、一種の検疫を受けることになったよ。しばらく、ここで過ごしてもらう」
「そんな……」
「おまえ、下痢していたからね。悪い病気でも持ってるんじゃないかと疑われているんだよ。いまから検査をするそうだ。おとなしく従うんだよ」
白衣の男たちが四人、やってきました。マスクをしています。黒人も一人、マスクに白衣を着てスタンガンを手にして同行しています。
檻の中に入ってきました。五人に囲まれます。
口の中。目。鼻の中。懐中電灯で照らされて調べられます。舌を出します。
体全体を見回して、乳房や腹部を触診されます。血液を採られます。
そして性器。土の上に横にさせられ、腰を突き出すようにして、チェックしてもらいます。
何本もの指が奥まで入ってきます。冷たい消毒液。ラビアやクリを乱暴に引っ張られます。綿棒でいろいろな粘膜を擦って採取しています。
すべて撮影され、記録されています。
お尻の穴も。
「あとで食事を持って来る。のんびりしていていいよ」
「ここはどこなんですか?」
「あとで説明するから」
黒人が大きなカッターを使って、剛介の友人が買ってきてつけられた赤い首輪を、いとも簡単に切断してしまいました。
南京錠などなんの意味もないのです。ガツンと革を切断されたのです。
あの頃は首にきついぐらいだったのですが、引っ張られたりして革が多少は伸びたのと、わたしが痩せてしまったので、かなり緩くなっていました。
男たちはゴミとして首輪を捨ててしまいました。
わたしは、なにか気持ちの上でも、切断されたような気がしました。
遊びは終わった、と言われたように感じました。
みんなが建物に入って行くのを見送ります。
ひとりぼっち。
ぐるりと囲む建物の中庭側の窓は、小さくて閉じています。最初はなにも見えませんでしたが、しばらく見ていると、そこにたくさんの人影があるがわかりました。
こっちからは見えないけど、わたしはたくさんの人に見られているようです。
ベッチェ
座るところもないので、しょうがなく地面に座って、足を投げだし、檻にもたれかかっていました。
ざざっと音がしたので、振り向くと、白い布をかぶった少女のような小柄な女性が立っていました。
足首に金属の枷と鎖がついています。手には洗面器のようなものがあります。
「こんにちは」
彼女は流暢な日本語で話しかけてきました。
立ち上がり、彼女に向き合いました。わたしも日本人としてそれほど大きな方ではありませんが、彼女はさらに小さくて、頭がわたしの胸のあたりにあります。
「タミュラ・ベッチェです。亜由美さんですね」
「はい」
「遠かったでしょう。お疲れさまです」
妙な気分です。
「日本語がお上手ですね」
「二十一歳のときから去年まで日本にいましたから」
「そうなんだ」
ふわーっと郷愁がこみあげてきて、泣きそうになります。
タミュラ・ベッチェは、褐色の肌をしています。目がくりっと大きく、えくぼもあって、美しい子です。
「じゃ、いま、何歳なの?」
「亜由美さんより一つ上です。子どもっぽく見えるでしょう?」
「ごめんなさい」
「いいんです。気にしないで。わたしはこれから、亜由美さんの通訳をします」
「ありがとう」
「亜由美さんのことは全部、見せてもらっています」
「恥ずかしいわ」
「かわいいです。だけど、ここでは文化も違いますから、これまでのようにはいきません。これ、食べながら聞いてください」
檻には下の方に小さな窓があって、タミュラはそこを鍵で開けると、洗面器を差し出しました。受け取ります。薄いカレースープのようなものです。スプーンもないので、地面に置いて口をつけて飲むのです。
「ここでは、亜由美さんの立場はゲストだけど、実際はここのゲダという階級になります」
「ゲダ……」
「口にしてはいけません。階級としてはありますけど、一般の人はこの言葉を発してはいけないのです」
タブーということなのでしょう。
「ゲダは、十日ごとに行われる神事で使われるために生かされています」
「神事……」
「日本の神様とはかなり違うのです。昔のパルダ王国では毎月三回、いけにえを捧げていました。その風習をなくしていく中で、ゲダが残されました」
「いけにえって……」
「はい。ゲダは、いけにえの現代版です。ゲダは種付けで子どもを産むと、その子が成人するまで生かされます」
「子どもが産めないと?」
タミュラは黙った。悲しげな顔をする。
「ここからいなくなります」
「いなくなる?」
「わかりません。どこへ行くのかは」
「殺されちゃう?」
「わからないんです。教えてくれません。だけど、いけにえの儀式を終わらせるためにゲダを作ったわけだから、殺しはしないと思うんですけど」
「そうなの」
「亜由美さんも、もし妊娠していたら、ずっと生かされると思うんですよ」
「子どもはどうなるの?」
「わたしはゲダの子どもです」
「え!」
「ゲダの子はゲダになります。わたしはたまたま母親が事故で早くに亡くなって、王室関係の外交官の養女にされ、それで日本で暮らしていたんです。でも、成人したので連れ戻されて、養女の地位も剥奪されて、いまはゲダなんです」
「ひどい」
「ひどくはないわ。これがパルダ王国なの。あなたが日本で生まれ育ったように、わたしは最初からゲダだったのだから、これが当然のことよ」
「そんな……」
「見て」
タミュラは、ふんわりとした白い服を頭から脱ぎました。
息を飲みました。
彼女の体には、刺青がありました。おへそを女陰に見たてた精巧な絵柄が、ほっそりとした褐色の腹部に彫られています。どういう技術かわかりませんが、白、黒、赤といった色合いを使い、立体的にリアルに描かれているのです。
その周囲をさまざまな形をした男性器が囲んでいます。
顔、乳房、陰部を除いてびっしりと。
わたしも一度、その予告編のようなことをされたのですが、あれはただの絵で、洗えば落ちてしまうものでした。それに赤しか使われていませんでしたし、下手くそなものでした。
彼女の刺青は職人の手によるものでしょうか。細部までとてもリアルに描かれています。
褐色の肌だからか、そのいやらしい絵は浮き上がるように、目に飛び込んできてしまいます。かわいらしいアイドルのような顔とはまったく似合いません。
とても痛々しい。
それに、オッパイが大きいのです。肩幅などから見ても、不自然な大きさです。乳首は親指ほどもあって、乳輪も濃く、なぜかどら焼きを連想してしまいました。
そういう目で見ると、性器もふくらんでいて、中が見えています。クリトリスは親指より大きいかもしれません。
タミュラは後ろを向きました。
背中はきれいなままです。
「ここに来て半年たって、妊娠していないと、少しずつ刺青が増えていくの」
「半年……」
「そう。亜由美はきれいな体のままで妊娠しているといいね。わたしは妊娠しにくい体らしくて……」
なんという厳しい話でしょう。
「それに……」
タミュラは沈黙します。
「なに?」
「一度に、いろいろ教えて混乱させてもかわいそうだけど……」
「いいの。早く知っておきたいわ」
「そう? じゃ、教えるね。わたしの体、いまはなにもつけていないけど、そこらじゅうに穴を開けられていて、普段はそこに、リングとかを付けられています」
彼女はわたしに鼻を見せました。両方の小鼻に穴があいていて、鼻柱にも大きな穴がありました。そして舌を出すと、そこにも。乳首、乳輪。そしてはっきり見せてはくれませんが、性器にもあるようです。
「これは、半年以内につけられると思ったほうがいいわ」
タミュラはそれでもニッコリ笑うのです。
「それから、これが最後だけど、わたしの名前。タミュラは産まれたときからの名前だけど、ベッチェはゲダの名前なの。あなたもゲダとしての名前をつけられると思う。そして普段はそれで呼ばれるの」
「そう」
「ベッチェって、おまんこ、という意味よ」
「え!」
「ゲダは恥ずかしい名前をつけられるのが伝統。一般の人はゲダの名前としては呼ぶけど、普段は口にさえしない。『あれ』とか『それ』って言うの。あなたも、そういう恥ずかしい名をつけられると思います。覚悟していたほうがいいわ。だけど、こっちの言葉だから、亜由美は気にならないかもしれないけど……。わたしもぜんぜん、実感がないの。ベッチェってちょっとカッコよくない? ね?」
無邪気な彼女に圧倒されます。
ゲダという存在
ベッチェ。おまんこ、と名づけられた彼女。
「わたしのことは、タミュラじゃなくて、ベッチェて呼ばないといけないわ。言ってみて」
「ベッチェ」
「うん。そう。お願いね」
わたしは食事を終えようとしていました。
笑い声がして、男たち四人がぶらぶらとやってきます。ベッチェが緊張しているのがわかります。
彼女を見つけた男たちが、笑いながら近づいてきます。
「こんなところに、おまんこがいるぜ」
「かわいがってやろうか」
「いや、やめて」
そう言っているような感じ。
四人に囲まれて、彼女は逃げ場を失います。わたしの入っている檻を背にしています。きれいな背中だと思っていましたが、褐色の肌にはいくつもの蚯蚓脹れがあるのです。
ああ、わたしと同じだ。
愛おしくて、彼女を抱きしめてあげたくなります。バストと同様、ヒップも不釣り合いなほど大きく、その裂け目はやや開いています。きっと、大きく盛り上がったアヌスがあるのではないでしょうか。
男たちが彼女をつかまえ、体を触りまくっています。
檻の中のわたしをチラチラ見ていて、意識しています。見せつけようというのでしょうか。
頭をおさえつけられたベッチェは、男たちのイチモツをしゃぶらされます。
「あぐぅ、あぐぅ、あぐぅ」
嫌がっていても、抵抗は許されないのでしょう。
両手はほかの二人を愛撫しています。
四人とも、彼女の唾液でぬらぬらと光るほどになると、彼女の腰を持ち上げて、わたしに見えるように挿入をはじめます。
刺青された腹部を、男たちは指でなぞりながら、犯しています。
刻まれた性器の絵は、陰核もほとんど見えず、陰唇も小さくて、慎ましいものです。
でも、現実の彼女は、ふくらんだ恥丘の上に、肥大した陰核が飛び出しています。
最初の頃は刺青のようだったのでしょう。それがいまではすっかり変わってしまったのです。
一人が彼女をもちあげて、お尻をわたしに見せます。そこに、巨大なペニスを入れていくのです。その穴も、やっぱりひどく大きくなっていて、思った以上に美しいピンク色をしているものの、男をおいしそうに飲み込んでいくのです。
わたしは、ずっと乱暴され続けて、その様子を余すところなく撮影され、世の中にさらされてきたのですが、こうして女性が犯されているシーンを目の当たりにしたことはありませんでした。
ベッチェはあえいでいます。
「あ、はぁ」
とてもかわいくて、お人形のようです。それが、股間にはこんな淫らな穴を二つも持っていて、嫌がりながらも、汁をしたたらせながら、男たちをぎゅっと締め付けています。
美しい。
わたしの感覚がすっかりおかしくなってしまったのかもしれませんが、ベッチェは男たちに輪姦されていきながら、エロティックなオーラを発散しています。
それが彼女の天性のものなのか、訓練によってそうなったのかはわかりません。
だけど、同性のわたしの淫らなスイッチまでも、彼女はオンにさせるだけのフェロモンを発しています。
もっとグチャグチャにして、泣き叫ばせてみたい……。
男だったら、そう思ったに違いありません。
かわいそうだな、と少しは思うのですが、プロらしい彼女の堂々とした態度のせいか、むしろ安心して見ていられるのです。
四つん這いにされて、お尻に受け入れながら歩かされています。必死になっている彼女の表情。
男たちは次々と彼女の中に射精していきます。避妊具はつけていません。
目的を果たすと、男たちはなにごともなかったかのように、去って行くのです。
しばらくあえいでいた彼女ですが、白い布を被りました。
「ごめんね。変なところを見せてしまって」
「大丈夫?」
「いつものことよ。わたしは妊娠できていないから、こうして外に出ていたら、誰のものでも受け入れないといけないの」
「そう」
「亜由美もそうなんだよ」
妊娠するまで犯され続ける。妊娠したらしたで、この国に拘束され続ける。
わたしには、どちらも地獄です。
「あの男の人たちは?」
「この国では男はほとんど働かないわ。国が資源を輸出していて、すごく儲かっているので、医療も教育もタダだし、仕事についてもつかなくても、ちゃんとした階級の人たちなら、生活費をもらえる。同じゲダに生まれても、女はこうして特別なことをさせられるけど、男だと働き口があるので召し使いとか、いろんなことをして一生を過ごすことになるわ」
女というだけでひどい差別です。
「ここの生活は退屈で、一部の知識人や芸術家はいいんでしょうけど、大多数の人にとってはつまらないものなのです」
わたしには楽園のように聞こえます。
「そうした人たちの気持ちをまとめること。それがシャベェイよ」
「シャベェイ?」
「べ、のところにアクセントがあるの。神事のこと。月に三回、十日ごとにあるの。一日、十五日、三十日ね。三十日から一日は祝日になっているの。今日がそのシャベェイよ、本当なら明日なんだけど、亜由美が到着したから、今日にしたみたい。土曜日だしね」
「なにをするの?」
「見ればわかるわ。きっと、あなたに見せると思うから。夜になるまで休んでいたらいい」
ベッチェは新鮮な水を持ってきてくれて、そのまま建物に入ってしまいました。
この奇妙な中庭で、わたしはただ、ひたすら夜になるのを待つのでした。
シャベェイ
うとうとしていたようです。
気づくと夜になっていました。この国の夕方はとても長くて、なかなか暗くなりません。
建物の上から下まで、クリスマスのような電飾で飾られ、スポットライトがあちこちを照らしています。
ビートの効いたインド映画で聞かれるような音楽が鳴り響きはじめました。
あたりは真っ暗です。
ライトのあたっていない空には、無数の星がまたたいています。
屋台が出ていて、スパイシーな香りが風にのってきます。
シャベェイはお祭りなのです。
何時かはわかりません。でも花火が打ち上げられて、始まりを告げています。わたしまでワクワクします。
大勢の人たちが中庭にいるのです。
わたしのいる檻のあたりは暗いのですが、少し先のところに会場があるらしく、人の壁ができているのがわかります。
黒人たちがやってきて、檻の鍵を外しました。
金属の手枷、足枷をつけられ、足枷には丸い錘が左右に一つずつ、ぶらさがっています。ボーリングの玉ほどの大きさです。
首輪にチェーンがつけられて、わたしは引き出されました。
パッとスポットライトがこちらに向けられました。
「日本からやってきたゲダ、亜由美です」
きっと、そんなアナウンスでしょうか。
人々がさっと左右に割れて道を作ってくれます。幼い子どもたちもいます。手にお菓子を持っています。
人々の目は期待に満ちていて、楽しそうです。
いつの間にか、広場に円形の舞台ができていました。三段の階段をあがると、土俵のような感じです。
なにもないのですが、舞台の下には丸太や角材が何本も置かれていて、舞台には、周囲などにたくさんの穴があけられています。
建物からライトが降り注ぎ、舞台だけが明るく浮き上がっています。
その上に立つと、なにも見えません。
ゆっくりと一周します。その間も、わたしのことをなにか紹介しているらしく、アナウンサーの言葉が矢継ぎ早に響き、それに呼応するかのように、集まった人たちから、驚きの声、ため息や、笑い声が起こります。
なにを言われているのかはわかりません。
わたしはそのまま舞台を降ろされました。杭が打ち込まれており、そこに座ったかっこうで縛り付けられました。
すぐ近くに人々がいて、その声や息を感じます。
拍手が起こりました。
スポットの中をわたしのように枷をつけられた女たちがやってきます。六人いました。ベッチェはいません。
中央に立って、客の方を向いて並びます。
大きな鼻輪。それは垂直の棒と組み合わさっていて、棒は舌を貫いています。両乳首にも穴があいているのですが、そこにボルトのようなものが入り、両側からきつく締め付けられて、乳首は指で押し潰したように飛び出しています。腹部には刺青があって、完成度は人によって違うものの、女陰だけは全員、リアルに完成しています。
あれから逃れることはできないんだなあ、と思います。
股間は無毛で、全員、大陰唇、小陰唇に穴があいているようです。そこにつけているものは人によって違います。もっとも刺青の多い女性はお腹が少したるんでいて、股間もだらしがなく伸びています。そこに大きな南京錠がいくつもぶらさがっています。
ほかの人たちも、リングをつけています。
わたしもよく知っている黒人の拷問官たちがいます。
六人の拷問官はビキニパンツだけで、体に油を塗っているようです。
そのパンツを破るように外すと群衆が大拍手です。
ゲダの女たちはいっせいにむしゃぶりついていきます。
激しい音楽。熱狂する群衆。暑い夜がさらにヒートアップしていきます。
口の中に射精した男と女性は脇にどきます。賭け事になっているのか、人々が激しく言葉を浴びせています。
「早くやれ!」
「もっと吸え!」
「なにやってんだ、この下手クソ!」
そう聞こえます。女たちは必死です。また一人。そしてまた一人。射精を群衆に確認させて、男は女を連れて舞台をおります。
そしてとうとう、最後に残った女性が一人。
若い女ですが、下手とかいう問題ではなく、男の側があえて気持ちを乗せなかったのではないでしょうか。
けっきょく、固くなることさえなかったのです。
ブーイングが起こります。ヤジが飛びます。
女は涙目です。
だらりとした男根が女の頬を叩きます。
女たちを部屋に帰して拷問官だけが戻ってきました。大歓声が起こります。
シャベェイの主役はゲダではないのです。拷問官たちなのです。彼らはヒーローのように群衆に手を振ります。
舞台の穴に柱が立てられます。
泣きじゃくる女。
柱に女がくくりつけられます。背中を剥き出すように、柱を抱いています。


