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二人の叔母・淫の血脈 · 第七章 甥に向けられた三十一歳の牝欲 ~ 第九章 淫らがましき相姦の三角関係

二人の叔母・淫の血脈 第七章 甥に向けられた三十一歳の牝欲 ~ 第九章 淫らがましき相姦の三角関係 (5/5)
前の話

第七章 甥に向けられた三十一歳の牝欲

こらえていたものが一度堰を切ってしまうと、もうとめようがない。

知亜希の場合がそうだった。なまじっか性的技巧に長けた外人と結婚生活を送っただけに、知亜希は紀彦との禁断の交わりに溺れてしまうと、もう泥沼に足を引きずりこまれるようにのめりこんでしまい、彩子のように形だけでも拒むというポーズなどは一切しなかった。

紀彦は、知亜希に傾くことで彩子との間に一定の距離を置いた。学校の帰りなどに知亜希のマンションに頻繁に立ち寄るようになった。

「近頃、紀彦さん、晩御飯を用意しても食べないんですよねえ」

そんなある朝、やってきた和江は、テーブルの上に手つかずに残っている夕食を見て、不満そうに彩子に言った。

「そうみたいね」

彩子もそれに気づいていた。原因を遠まわしに和江に尋ねた。

「おそらく、赤坂のほうへ行って、食事をすませるんだと思いますよ」

このところ自分の帰りが遅いので、紀彦の寝顔しか見たことのない彩子は、必要以上に知亜希のところへ行く紀彦が気になった。

ある早朝、彩子は早起きして登校前の紀彦をつかまえた。

「知亜希叔母さん、一人で淋しいって言うからさ。彩子さんはぼくがいるとうるさくて、ゆっくりできないだろうし」

その言葉を紀彦は何気なく言ったつもりだったが、彩子にはなんとも皮肉たっぷりに聞こえた。

ちょうど土曜日だった。ニュースキャスターとしての仕事は打ち合わせしかない。特別なことがない限り、打ち合わせも早く終わるように、プロデューサーやディレクターは、彩子ともう一人の男性キャスターに気を配ってくれる。打ち合わせが終わったあとでスタッフと飲んだりすることもあるが、彩子は打ち合わせ前に、あらかじめ用事があるからと断り、その日は早々と帰宅した。ちょうど和江が夕食の支度をすべて終え、帰ろうとしているところだった。

「あら、お珍しい。早いんですね」

「たまには紀ちゃんと一緒にお食事しないとね。そのうち、私の存在なんて忘れられちゃうわ」

「本当ですよ。じゃ、私はこれで」

本音とも冗談ともつかない彩子の言葉に、和江は大きくうなずきながら帰っていった。

だが、肝心の紀彦は時計の針が八時近くになっても戻らない。部活があったとしても、夕方までには帰宅するのが常であった。

待ちくたびれて、ブランデーを少量ずつ胃のなかにおさめていた彩子は、その頃になるとかなり酔っていた。

「赤坂だわ……そうに決まっている」

彩子はひどく挑戦的な気持ちになっていた。知亜希とはそれまで良好な関係を保ってきている。それは、自分が年上の知亜希を立てているからだという気持ちが強かった。

何よ……。

彩子は心のなかでつぶやきながら、知亜希宅に電話をした。

「彩子さん。いつも忙しそうで結構だわ」

知亜希の第一声は、ひどく皮肉っぽく聞こえた。彩子は感情の昴りを抑えきれず、「紀ちゃん、行ってませんか?」

高いトーンで聞いた。

「あら……」

挑戦的に言わなくてもいいじゃないの……そんなニュアンスの声がしたと思ったら、すぐに紀彦が出た。

「どうかしたの?」

眠そうな声だ。

彩子はカーッとした。そういえば、先に電話に出た知亜希も眠そうな口調だった。

「紀ちゃん、どこにいるの? どの部屋?」

そう聞いた彩子の脳裏には、知亜希のベッドに横たわっている二人の姿が生々しく映しだされていた。

「リビングだよ。でも、どうして?」

「別に……あなたのために、御飯も食べずに待ってるのよ。すぐに帰ってらっしゃい!」

今までにない強い口調で言うと、電話の向こうで紀彦が知亜希にボソボソと何か言ってるのが聞こえた。

「ぼく、こっちに泊まるつもりだったんだ。もうパジャマに着替えてるんだよ」

「まだ八時よ。いいから戻ってきなさい」

そう言ったあとで彩子は、八時でパジャマに着替えているということに疑念を抱いた。リビングルームではなく、知亜希の寝室に二人はいるのではないか。彩子は知亜希の寝室の造りを知っている。かなり広々とした洋間の中央に、ヨーロッパ映画に出てくる大富豪宅にありそうな大きなダブルベッドが置いてあり、出窓脇の明るい場所に、大鏡と化粧台があった。はめこみ式のクロゼットは三方にあり、ベッド脇の白いサイドテーブルの上には、コードレスホンが置かれている。

そうだわ。ベッドからあの電話を使って私と話してる……。

「私が迎えにいってもいいのよ。どうする?」

たたみこんで言うと、「ちょっと待ってね」

また待たされた。

いちいち相談なんかすることないのにと、腹のなかまで熱くなってくる。

「あ、私よ……」

しばらくすると、知亜希の声がした。

「紀ちゃん、私が家まで送っていくわ。それでいいわね。じゃ、そういうことで」

電話は一方的に切れてしまった。

知亜希の声はいつもと変わらずやさしかったが、態度そのものは明らかに慇懃無礼である。彩子は、どういう形で紀彦を送ってくるにせよ、知亜希は家には入れるものかという気持ちになった。

「あんなに恐い声を出すことないのにねえ」

電話を切ったあと、知亜希はまだ裸のままの紀彦を抱き寄せた。彩子の推測通り、二人は寝室にいた。思いっきり楽しんだあとの心地よい疲労感から、ついウトウトしていたときにかかってきた電話だった。眠そうな声だったわけである。

紀彦は彩子の声を耳にしたときから、「嫉いているな」と、むしろ痛快な気持ちでいた。ほとんど毎日のように知亜希宅に来ていたのは、彩子の気を引くための戦法でもあった。それが意外に早く効を奏したことで、内心では大いに満足だった。そしてうれしかった。当然、泊まるつもりだったのが、彩子の電話で帰る気になった。ところが、知亜希が乳房を押しつけたまま離そうとしない。

「あなたになら、いくら吸われたっていいのよ。私たち、母子になるんですものね」

養子縁組は、二人の間では確定的なものとなっていた。美しい母親を得ることは、紀彦の歓びでもあった。両親を失った空白を埋めるには、これ以上のものはない。知亜希は美しい母として少年の傷ついた心を癒やし、若い女体は性に目覚めた若者のエネルギーをほどよく緩和させてくれるだろう。紀彦はそれに満足した。

知亜希は、自分よりも早く紀彦が彩子とただならぬ関係となったことを知って驚いたものの、それはもう既成の事実であって、くつがえすことはできない。そのことで、紀彦を非難したり叱ったりはしなかった。その代わり、紀彦の欲望の対象に自分を置いたのである。

紀彦は、彩子という美しいターゲットが失われることに失望を禁じ得なかったが、彩子に関する限り、必ず抵抗とか力ずくとかいう手つづきが存在する。いつまでたっても犯しているという気分が離れないのは、自分の感情にそぐわないものがあった。だから、養子縁組を前提に彩子との関係を清算することは、仕方のないことだという気になっていた。

その直後にかかってきた電話だっただけに、紀彦の心は揺れた。それでも、どこかに彩子をないがしろにする残酷な歓びがあるのも否定できなかった。

「約束したことは守りなさい。あなたが大学に入る年になったら、私たちは戸籍上、れっきとした母と子になるのよ」

「うん……」

うれしそうに返事をしたとき、知亜希の巧妙な愛撫を受けたペニスは、二度目の快楽を求めて隆々と天を向いていた。若いから、一度そうなってしまったら放出という手順を踏まなければ、いつもの大きさに戻りそうもない。

「彩子さんが痺れを切らして、乗りこんでくるかもしれないよ」

そう言ったものの、内心では、もう一度心ゆくまで美しい叔母のすべてを貪りたくてうずうずしていた。

知亜希は知亜希で、このまま紀彦が北青山の家に戻ったら、彩子はもう抱かないという約束を破ってしまうのではないかという不吉な予感にとらわれていた。離れてしまえば、もう目は届かない。すでに何度も情を交わしている人間同士がひとつの屋根の下にいれば、再び結ばれても当然といえる。

それを防ぐためには、徹底的に紀彦を自分の魅力で虜にし、同時に余分なエネルギーを吸い取るのが最良の方法であると考えた。だからもう一度、積極的な愛撫で挑発したのである。

案の定、紀彦の分身はたちまち復活した。知亜希は若さに驚嘆するだけでなく、嫉妬もした。北青山の家に戻したくなかった。

「約束は必ず守るのよ。私は、紀ちゃんのためなら、命だってあげてもいいの」

なんでもかんでもぼくのためって言いたがるんだよな……。

紀彦はうれしい反面、うんざりする気持ちも強かった。そういえば彩子もさっき、電話で「あなたのために待っているのよ」と言っていた。

そんなにぼくのためになりたいなら、彩子さんだって普段から目をかけてくれればいいのに……。

「紀ちゃん、あなたって、いつもこうなってしまうの?」

知亜希は不安を押し隠しながら、さりげなく聞いた。

「そんなんじゃないよ。知亜希叔母さんと一緒にいるからさ」

「本当に?」

「本当も本当……叔母さんがそれだけチャーミングだってことさ」

「まあ、この子ったら」

食べてしまいたいほど可愛いと思う。握りしめているペニスに若さを感じながら、知亜希は体をずりさげていった。

ここまでやっていいものかしら?……

一瞬ためらいが湧いた。しかし北青山へ紀彦が帰ってからのことを想像すると、そんな迷いもすぐふっ切れた。

薄い筋肉の張りつめた下腹は、せわしなく上下動を繰りかえし、陰毛をかき分けるようにそそり立った肉の帆柱は、そこだけ成人のような力強さでひくついている。まだ完全に剥けていない包皮が亀頭の中間を締めつけているから、見ているとなんとも痛々しく感じる。ひきつれた皺々の袋は、大人のようにダランと垂れずに、陰茎の根元にくっつくようにちょこんとおさまっている。

異国人との性生活を体験した知亜希にとって、大人でもなく、そうかといって子供でもない端境期にさしかかった紀彦の肉体が新鮮に思えるのは、当然のことといえた。

紀彦は、次第に下半身のほうへ移動していく叔母の、豊かな髪の毛の向こうに垣間見える美しい口もとの行方を追った。

ひょっとして、咥えてくれるのでは……。

フェラチオは奈保子によって体験ずみだったが、それがもたらす鋭い快感を思うと、思わず叔母の頭を押さえつけてしまいそうな衝動に駆られた。次々と欲望をエスカレートさせていく少年の心に、フェラチオを強要したいという気持ちが芽生えるのは致し方のないことであった。

知亜希が肉棒に頬ずりしたとき、紀彦の期待はますます高まった。だが、知亜希は咥えそうでいて、なかなか咥えようとしない。爪の先でスーッと袋をかいたかと思うと、指の腹で露をにじませた亀頭の先端を掃くように撫でる。肉棒はじれたように弾み、ますます多量の透明の溶液を分泌した。

「叔母さんっ!」

息苦しそうな紀彦の声を耳にした知亜希は、やがて戸籍上の我が子になる若々しいペニスを、大きく開いた上下の唇で挟んだ。先端の露がポトリと舌先にしたたった。匂いは何もない。だが、無色無臭のその液体に、やがてかすかな匂いが混じりはじめた。それは、男の欲望のしるしが混じりだしたことにほかならなかった。白い噴射が知亜希の脳裏をよぎった。

「私だけが、してあげることなのよ」

知亜希は呻くように言ってから、今までのゆとりを捨てて、貪るように紀彦のペニスを頬張った。かつての夫のものとは較べものにならないくらい末完成であっても、その力強さは並々ならぬものがあった。

ふと上を見ると、興味深そうに紀彦が見つめている。羞恥が全身を朱に染めた。それでも知亜希は好奇心に富んだ少年にわざとあさましい姿を見せつけるように、スポスポと吸引し、顔を振りたてた。

紀彦の表情がたちまち歪んだ。脈動の激しさがさらに高まった。

知亜希は怒張を口から離した。呼吸を整えようとすると、紀彦の両手が頭をかかえこんで押さえつけてくる。

「もっといいことしましょうね」

やさしくなだめながら、知亜希は美しい女体からすべての衣裳をかなぐり捨ててしまった。

「もう、私と紀ちゃんは元に戻れないのよ。本当に一心同体だってこと、忘れないでね」

紀彦は自分をまたぐ叔母を見あげた。

大きく開いた知亜希の両脚の付け根をこんな形で見たのは初めてだっただけに、雄大な裂け目にある種の畏敬の念を禁じ得なかった。愛の蜜に濡れた恥毛はふくよかな陰阜にすべて貼りつき、充血した下半身のサーモンピンクの唇は、まぎれもなくそこだけ別の生きもののように震えていた。

「ああ、素敵だよ……そのままにしてて」

中腰に構えた知亜希が、まるで少女のような羞じらいを見せる。

「ぼく、もっと見たい!」

「あああ、何もかも全部見せてあげるわ」

知亜希の湿った声が途中で震えた。甥の目に女のいちばん恥ずかしい姿を見せつけることで、自分自身の内部にも今までにない激しい感情の波が逆巻くのを、はっきりと感じた。それはまぎれもなく悦びであった。

「見なさい……心ゆくまで見ていいわ」

紀彦の好奇の目を下半身に感じると、体の奥から熱い蜜が溢れた。

「光ってる……とても綺麗だ」

「ああ……そんな……」

体を支えきれなくなった知亜希は、そのまま紀彦の両腿の上にペタリと座りこんだ。大きく割れた淫裂のすぐ前で、おさまるべき場所を求めて肉茎がいなないた。

紀彦は向き合った二つの性器に、いいしれぬ感慨を抱いた。男と女は、最終的にはこれだけを求めて常にさすらいの旅をつづけているのではないだろうか。愛も行きつくところは肉体ではないか。それを求め、それを得たときが、人間にとって至福の瞬間ではないか。自分の欲望に強要されたセックスであったにしても、叔母の知亜希は今や完全にその虜になって、かくも積極的に悦びのなかに埋没しようとしているではないか。

彩子にとっても、それは同じことではないのか。今はまだすべてを合意のうえで行なっているわけではないが、それはあくまでも立場上の建前であって、本音は知亜希と同じだろう。いや、そうに違いないと紀彦は思った。

知亜希がペニスに手を添え、自分の陰唇にこすりつけた。インサートにはほど遠い行為であったが、その生々しいまでの眺めは、紀彦に新たな興奮をもたらした。セックスに興味を抱いた当初は、ただ女体に体をつなぐことだけがセックスだと思っていた。今はそのバリエーションの豊かさに驚かされる。だからこそ、ますます興味も湧いてこようというものだ。視覚による興奮や快感がこんなにも大きな比重を占めることを学んだだけでも、紀彦にとっては大きな収穫である。

知亜希の恍惚とした表情は、紀彦の思っていることをストレートに具現していた。

いい表情だなァ……。

紀彦は大好きな叔母に、自分が快楽を与えているという現実がうれしくてならない。割れ目から生温かい愛液が溢れるのがよくわかる。

知亜希の腰がほんの少し揺れた。

ああ、擦ってるんだ……。

紀彦は、知亜希が美肉を肉棒にこすりつけ、快感を得ていることに気づいた。力をこめて太腿を押しあげる。

「あーっ、ハーン」

知亜希の背中が丸くなった。

「入れたいよ!」

紀彦は叔母の気持ちを代弁した。自分のほうからねだることによって、いくらかでも知亜希の精神的な負担を軽くしてやりたかった。

したいのはぼくで、叔母さんはそれに応えてくれるだけ……。

その立場を守りつづける限り、二人の関係はほとんど永遠のものとなるに違いないのだ。

知亜希がゆっくりと腰を持ちあげた。さらに大きく開いた淫裂から、愛液が長く糸を引いた。肉茎の先端が軽く触れると、陰唇の裾がヌメッと取り囲んだ。食虫植物が獲物を捕えるのに似ていた。二人の熱い視線が期せずしてそこに注がれた。

「叔母さん……入っていくよ」

「そうよ、紀ちゃんが私のなかに……」

「もっと見たいっ……ゆっくり、ね」

肉茎はミリ単位で女の花園に吸いこまれていった。それを凝視する叔母と甥の目は異様なまでに輝きを増し、呼吸は熱く、荒々しくなった。

「あー、皮が剥けちゃうよォ」

女の胎内をえぐる幹の部分が多くなるにつれて、膣壁は亀頭をくるむ包皮を心地よく摩擦する。知亜希には紀彦の言っている意味がよく理解できた。

二人の恥毛が密着し、絡み合うと、子宮がペニスで突きあげられるような感じがする。それがまた、生臭い三十路の女の欲望をかきたてた。

知亜希は両膝でリズムをつけて、腰のピストン運動をはじめた。肉路が上下に動くたびに、そこに咥えられているペニスが出たり入ったりする。淫らな音が室内に反響するほど高くなる頃、知亜希の表情も頂点を求めて真剣になっていた。

「紀ちゃん、いいの……とってもいいの!……あああ、イッちゃいそう……」

その切羽つまった言葉は、紀彦を狂喜させた。

「ぼくも……イキそうだっ!」

紀彦は、「出る」という言葉を使わずに、叔母と同じ言葉を意識的に口にした。すると、いつもよりはるかに強い性感が、腰骨を揺るがせながら急速に這いあがってきた。

「あああ、イッちゃうよォ……どうしよう……ぼく、イクッ……」

唱和するように、知亜希の口からも悦びの声がほとばしった。

「私もよ……イクわっ! あああ、イクッ、出してェ! イク……イクイクイクーッ」

紀彦の胸に両手を突きながら、知亜希が細い首をのけ反らせて、全身を痙攣させた。膣肉もまた震えながら、急速に収縮した。ペニスがまるで雑巾のように、まわりから絞られた。

鈴口がパッと開いて、歓喜のしるしが叔母の胎内で炸裂した。熱いほとばしりが子宮を直撃すると、知亜希の内部にいちだんと強烈な快感が湧いた。叔母と少年は身も心もひとつにして、無限の世界に浮遊した。

第八章 憎悪と嫉妬に狂う叔母二人

彩子は何度も時計に視線を走らせた。

紀彦はすぐ帰るようなことを言っておきながら、もう一時間もすぎたのに戻らない。タクシーを利用すれば、赤坂にある知亜希のマンションから北青山まで五分か、せいぜい十分で着くはずである。

お姉さんの差し金だわ……。

紀彦よりも知亜希に恨みの感情をぶつけた。彩子は、自分が紀彦をかえりみなかったことを忘れていた。そして一方的に知亜希を非難した。

もう待てない!……

再び電話をとりあげようとしたとき、玄関先で車のとまる音がした。紀彦がタクシーで帰ってきたと思ったが、とまったはずの車は一向に走りだす気配はないし、玄関のドアが開く音も聞こえてこない。不審に思って、玄関先が見える部屋からそっと外を見た。

タクシーではなく、見馴れたBMWがとまっていた。知亜希の愛車である。運転席は暗くてよくわからないが、運転してきたのは知亜希に違いない。助手席の黒い人影は紀彦らしい。二人は何をしているのか、なかなかおりてこなかった。

彩子は暗い部屋から、じっと様子をうかがった。いつもならば、すぐに玄関に出て知亜希を迎え入れるのに、彩子はそれをしなかった。頑なに部屋の暗闇のなかに立っていた。

ようやく車のドアが開き、紀彦がおりた。車がゆっくりと発進した。紀彦が道の真んなかまで出てそれを見送り、手を振っている。その姿は、まるで別れを惜しむ恋人のように彩子には見えた。

玄関まで紀彦を出迎えた彩子は、紀彦の肌がずいぶん輝いているような気がした。風呂に長時間つかって、磨きをかけたような感じである。

一度だけのぞいた知亜希宅の、豪華な浴室が脳裏に浮かんだ。

「お風呂に入ってきたのね」

いきなり断定的に切りだした。自分でも口調にトゲがあるのに気づいていた。

「うん……泊まるつもりだったんだもの」

「そういうときは、ちゃんと前もって言ってちょうだいね」

つとめてやさしく言おうとした。

「どうせ彩子さんの帰りが遅いと思ったからさ」

そのひとことは、彩子の胸に鋭い刃のように突き刺さった。

「そうね……ごめんなさい。これから気をつけるわ。だから今日は早目に帰ってきたの。紀ちゃんと久しぶりに晩御飯食べようと思って」

「無理しなくていいんだよ」

紀彦はさっさと歩きだして、自分の部屋に入ってしまった。

彩子は語らいを持つきっかけを失って、うろたえた。急に紀彦が遠くへ行ったような気がして心細くなった。急いで紀彦の部屋の前へ行き、ドアをノックした。

「何?」

顔を出した紀彦から、明らかに女の匂いが立ち昇った。

「ちょっとお話しましょうよ」

「眠いんだ」

紀彦はにべもない。

彩子は紀彦の脇をくぐるようにして部屋のなかに入った。いつもならばなんでもない行動だが、今夜に限ってひどく強引のように思われて、自己嫌悪に陥った。それに、知亜希がたった一人の甥である紀彦に親切にすることだって、普通に考えればしごく当たり前のことである。それを今日に限って腹立たしく思うのは、自分が紀彦を放ったらかしにしてきたという負い目を感じているからに違いない。

彩子は、実は自分自身に腹をたてていたことになる。しかし、その自覚がまったくなかった。

紀彦はちょうど着替えをすませたばかりで、パジャマ姿だった。

彩子は羽織ったガウンを勉強机の上に置いて、紀彦のセミダブルのベッドに腰をおろした。以前は男臭い匂いのした部屋だったのに、近頃では甘い香りが漂っている。

私は何回ここで抱かれたかしら……。

紀彦とのセックスは、いつも醜い争いの末に仕方なく抱かれるというパターンの繰りかえしであった。

私は嘘つきなのかしら?……

確かに、叔母という立場にありながら、力ずくとはいえ、結局は臆面もなく抱かれるという結果に至る。

私は今ではもう快感を欲しがっているし、その恩恵にもあずかっているんだわ……。

にもかかわらず、紀彦に対して冷たい態度をとりつづけていた。

私の偽善ぶりが、紀彦はいやになったのかもしれない……。

紀彦はベッドの上にあぐらをかくと、大きく欠伸をした。

「私ねえ、紀ちゃんには悪いと思っているのよ。確かにお仕事は忙しいけど、それを理由にあまり相手をしてあげられなかったことを反省しているの。今までのようだったら、私がこの家にいる理由なんかないものね。知亜希さんのほうがふさわしいかもしれないわ。でも、これからは充分に気をつけるつもりよ。だから、あてつけがましいことはしないでちょうだい。気に入らないことがあるなら、面と向かってどんどん言ってほしいの」

アルコールのせいもあって、いつもより饒舌になっていた。

紀彦はよく動く彩子の口もとを眺めながら、綺麗な唇をしているな、と頭の片隅で考えていた。各局の美人ニュースキャスターのなかで、彩子がいちばん若い。離婚経験者もいれば、不倫騒動に巻きこまれて評判を落とした者もいるなかで、何ひとつ汚点のない、最も未知数で将来性のあるキャスターは彩子だという点で専門家の意見は一致していたし、一般視聴者の評判もそれを裏づけていた。

だが、誰の目も届かないところで、彩子はスキャンダルの渦中にあったといえる。彩子にとってそれはどうでもいいことであった。紀彦が自分から遠い存在になっていくほうが、はるかに怖かった。

彩子はあらためて、自分の生活のあらゆる支えとなっているのは、姉の遺した唯一の形見である紀彦だということに気づいた。

「紀ちゃん、私、ここで寝ていい?」

不意に口を衝いてでた言葉に、紀彦よりも彩子のほうが驚いた。もっと別のことを言うためにこの部屋へ来たはずだったのに。けれども、まさに結論はそれだった。途中のすべてを省略して、結論だけを言ってしまったことに後悔はなかった。

彩子は紀彦の返事を待たずに、ベッドにもぐりこんだ。かつて恋した相手にも、こんな大胆な振る舞いをした記憶はない。

「彩子さん。ぼくのこと、気にしなくていいんだ。ぼく、もう子供じゃないんだから」

紀彦のポツリと言った言葉が、胸に染みた。両親を一度に失ったとき、ただ泣くことしか知らなかった紀彦が、「もう子供じゃない」と言っている。

「いいえ、あなたは子供よ。私が守らなければいけないの」

手を取って引き寄せると、紀彦の体はグラッと傾いて倒れこんだ。そのまま毛布にくるむようにして抱きかかえた。

彩子の鼻腔の粘膜は、知亜希のかすかな匂いを敏感にキャッチした。

知亜希さんが淋しくて抱いたのかしら? それとも、紀彦が淋しさに耐えられなくて抱かれに行ったのかしら?……

いずれにしても、否定したかった。

「私が……」

抱いてあげるという言葉を呑みこんで、「守ってあげるわ」

そう言って強く抱きしめた。

紀彦のとまどいは初めのうちだけだった。彩子が今夜のように積極的になった原因は、やはり知亜希に傾斜したことが関係していると思った。

ぼくは悪い男かもしれないな……。

甘い彩子の匂いに包まれながら、紀彦はこの甘さから抜けだせない自分自身を感じた。ふんわりと胸に押しつけられる乳房の量感が懐かしかった。

いつ抱いたんだろう……。

知亜希の家へ足繁く通うようになってから、ずいぶん長い間、彩子を抱いていないような気がした。

「私と同じようなことをしてきたのね」

いきなり言われた紀彦は、彩子の体がとても熱くなっていることに気づいた。そして紀彦自身も熱くなった。

「本当のことを言って」

彩子の手が腰に触れ、ゆっくりとペニスを求めて移動し、握った。それは涙が出るほどやさしい握り方だった。

紀彦は消え入るような声でうなずいた。一瞬、彩子の呼吸が停止した。

「知亜希叔母さん、すごくやさしくしてくれるんだ」

そう言ったあとで紀彦は、少し残酷だったかもしれないという気持ちになった。

「やさしいって……どうやさしいの?」

彩子の声は重く湿っていた。

「ぼくの望むことはなんでもしてくれる」

「たとえば?」

「今日は……しゃぶってくれたよ。だから、二度もしちゃった」

言いながら、紀彦の血は激しく騒ぎだしていた。

彩子が股間から手を離して上半身を起こした。そのときの彩子の美しさには、言いようのないすごみがあるように思えた。

彩子はまるで催眠術にでもかかったように、ゆっくりと着ているものを脱いでいく。紀彦は無言のままそれを眺めていた。いつもなら、ここに至るまで必ず激しく争う。それがまるで遠い過去のように思える。二人の争いで使いものにならなくなったネグリジェやナイティは、もう何枚にもなる。

彩子を見る紀彦の目に、知亜希の成熟した裸身がダブった。どちらも甲乙つけがたい。よく似ているようで、細かく見るとあらゆる点で違っていた。乳暈の色も大きさも、乳首の向きも、尖って硬くなった状態も、何もかもが違う。

紀彦は彩子の手でパジャマを脱がされていく段階で、ゆっくりと分身が勃起するのを感じた。それは、空気を送りこまれた風船がゆっくりと形を成して、ふんわりと起きあがるのに似ていた。

足首からパジャマズボンとパンツを引き抜きながら、彩子はペニスに視線を注ぎつづけた。

「悪い子ね……二度もしてくるなんて」

その口調は、いたずらっ子をたしなめる母親のようだった。

「だって……彩子さんがかまってくれないんだもの」

「ああ、それを言わないで。やっぱり私を恨んでいたのね」

「違う。そう言ってみたかったんだ」

彩子はホッとしたように大きく溜め息をついた。

「さあ、なんでも言って……紀ちゃんの好きなことをしてあげるわ」

ああ、私ったら、まだすべてを紀彦の責任にしようとしている……。

彩子は紀彦の返事を待たずに、まだ大人になりきらない胸に顔を伏せると、小さな乳首に舌を這わせた。

「ああっ……」

くすぐったさと、初めて味わう奇妙な感覚に、紀彦は思わず体をブルブルッと震わせた。その反応を敏感にキャッチした彩子は、左右の乳首を交互に舐めまわしつつ、ソッと下腹部に手を伸ばした。大きく突きでた陰茎の力強さを好ましく思いながら、知亜希と二度もしたということに、言いようのない妬ましさを感じた。

二十一歳の紀彦にフェラチオするなど、どう考えても知亜希はやりすぎだと思った。

自分の欲望の処理のためなんだわ……でも、私は違う!……

彩子は紀彦の硬くなった乳首を見つめながら、男でも女でもない中性を思い浮かべた。隆々と屹立した肉茎はまぎれもなく男であるが、他の肉体のすべては、男性的なごつさが感じられない。それが彩子に安心感をもたらすのだった。

それにしても少年の性とは、かくもタフなものなのかと感心せざるを得ない。

何度でも可能なのではないかしら……。

一気に体をさげて、紀彦の下腹にはりついた。成人のものほどまだ太くはないから、反り具合が著しく見える。まるで細い鞭がしなったようだ。

これが私のなかに……。

この反りが膣壁を摩擦する大きな源なのだと思うと、急に愛おしくなって、そこに頬ずりした。ふたつのクルミを包んだ袋にも指を這わせた。なかに一本の太い芯が通っている。肉茎の延長である。そのまま指先でたどると、会陰部にまで通じている。

「あああ……」

紀彦が女のような声を出して身悶えた。

思いがけないところに快楽のツボを発見した彩子は、玉袋からアヌスにかけて爪先でスーッと掃いた。紀彦の腰全体が小さく痙攣する。亀頭の鈴口からプクッと小さな露がにじんだ。

ためらいもなくそこに舌を這わせると、紀彦がまた呻きながら腰を突きあげた。亀頭だけでなく、幹の部分までがスーッと口のなかにもぐりこんだ。彩子は知亜希に負けまいという気持ちから、かつてない積極さと大胆さで、甥の猛々しい肉茎をしゃぶった。

紀彦は二人の叔母に愛される幸せに酔っていた。新しい世界を知った歓びが、胸のなかに衝きあげてくる。夢でも見ているような気持ちだった。数時間前までの知亜希のマンションでのことが、もう曖昧な記憶となりつつある。

肉茎を舐めまわすだけでなく、口腔内の壁面でキュッと締めつけると、紀彦のペニスは跳ねるように躍動した。彩子は射精に至らないギリギリの限度まで技巧を凝らして、甥を桃源境へと誘った。

「ぼくにもさせて」

いかにも心地よげな紀彦の声を聞くと、彩子はその希望をかなえてやるために、肉茎を咥えこんだまま、裸身を百八十度回転させ、股ぐらを紀彦の眼前まで移動させた。彩子がまたがった格好だったので、開いた両脚の付け根は露わになり、大きく縦長に裂けた淫唇だけでなく、紅梅色の会陰部から薔薇色の肛肉のすぼまりまで、すべてが丸見えになった。

紀彦にとって彩子の積極性はひとつの驚異であったが、それよりもさらに驚愕したのは、その破廉恥きわまりないポーズによって示される女陰とその周囲の卑猥な構図であった。秘口からはすでに粘り気のある露がしたたり、包皮から飛びだした肉芽は、針で突つけば破裂しそうなくらいに膨張していた。

紀彦はクレバスに近い尻肉を両手でしっかりとつかんだ。尻肉が左右に大きく開いた。歪んだアヌスや菱形に裂けた膣口は、同じ周期で、まるで呼吸でもしているかのようにひくつき、垣間見える肉路からは泉のようにトクトクと淫水が溢れでた。

紀彦はぴったりと唇で膣口をふさいだ。ストローを吸う要領で強く吸引すると、彩子の股内から濃厚な愛の蜜がたちどころに口腔内へ流れこみ、巻き添えを食らったように、粘膜のふやけた裾までがゴム膜のように伸びた。

紀彦はチュルチュルと音をたてて吸い、鼻の頭でアヌスの周辺をぐりぐりと揉んだ。そのやり方は誰に教わったものでもなく、いってみれば、少年の内部に芽生えた性の本能がそうさせたのだった。

下半身から這いあがる快感に彩子は我れを忘れ、含んでいた肉茎を思わず軽く噛んでしまった。

「あうーっ」

痛みよりも鋭い快感に、紀彦の全身は樫の棒のように突っぱった。おかえしとばかりに、紀彦はちょうどゴムのように伸びてきた陰唇の縮れた末端をコリッと噛んだ。

「うーっ、いいっ!」

新たな媚液が、小水のように膣壁のそこかしこから噴きあがった。紀彦の顔は淫水にまみれて、糊でもぶちまけたようにぬるぬるに濡れた。

彩子の反応は紀彦に自信を植えつけ、大胆な行為へと走らせた。

目の前で、叔母のアヌスが面白いように収縮を繰りかえしている。それは、初めのうちはまだ固い蕾のようにピタリと閉じていたが、時間がたつにつれて皺が伸び、今にも開いてしまうかと思われるほど膨れあがった。紀彦は、それが時間のせいではなく、快感のせいだと見当をつけた。飽きるほど美肉をすすったあとに、衝動的にアヌスに舌を這わせた。

彩子にもそれは予期しない行動であったが、突然訪れた刺すような快感は、恥ずかしさをはるかにうわまわるものだった。

そこはだめ……。

出かかった言葉は霧散し、彩子の口からは真の悦びの声だけがもれた。

紀彦は大いに驚き、かつ欣喜雀躍した。

なんて味わい深い女体なんだ!……

紀彦は夢中で女体を貪り味わった。ペニスは彩子の返礼を受けて鋼のように硬くなり、先端からはザーメンの匂いの入り混じった男の愛液がポタポタとしたたった。

彩子も負けずに肉茎を頬張り、溢れでる淫汁をすすった。果てしない女の快楽にどっぷりと浸った今となっては、相手が誰であるか考えている余裕はなかった。女の業、女の本能が彩子を欲深い女に変身させた。

彩子の花芯は甥の執拗な愛撫と愛咬によってふやけたように充血し、男の太くてたくましいもので満たされることを願っていた。性感はいやがうえにも高まった。舌だけでは飽き足らず、紀彦は指も動員してクリトリスを揉み、膣奥にインサートして、ざらついた膣の肉襞をこすった。アヌスも会陰部も、あらゆる女の性感帯は、研究熱心な少年の愛撫の対象となってわなないた。前と後ろの秘口を8の字で結ぶ括約筋がひとりでに痙攣して、ますます濃厚な愛液を絞りだす。

インサートした紀彦の指は、強い締めつけにあい、生温かい女のよがり汁をしたたかに浴びせられた。

二人が同時に、同じように愛し、愛されるというのは至難のわざだった。どちらか一方が攻勢になれば、他方はどうしても守勢にまわってしまう。紀彦は十二分に知亜希のマンションで愛を満喫したばかりだったので、いくらかの余裕があったものの、彩子のほうは、紀彦のためならという決意もどこかへ消え、女陰から絶えずねばついた愛液を湧出させながら、愛撫される快さによがり泣いた。これ以上の深い悦びを得るには、疼き狂う肉路に、雄々しい男の象徴を深々と突き立ててもらうしかなかった。

「紀ちゃん……もうだめっ」

彩子は泣いて訴えた。

彩子の限界がそこまでと知った紀彦は、すぐに体の向きを正常に戻すと、叔母を仰向けに横たえ、激しい息づかいで悶える両脚を大きく割った。

彩子の両手が、早く来てほしいと急かすように宙に突きだされた。

たくましくいきり立ったペニスは、彩子の求めに応じて秘口に押しこまれた。

「ひーっ!」

重く沈んだ室内の空気が、女の甲高い嬌声で引き裂かれると、どこからともなく生臭い性臭が漂った。痺れを切らしていた割れ目は、まぎれもない男の太い性器を受け入れると勝手に蠢動して、ピストン運動に呼応した。

「あーッ、いいよ……気持ちいいよーっ」

強烈な柔肉の締めつけにあうと、紀彦も限界が近いことを知った。たたみこむように一気に攻めたてる。

「紀ちゃんっ……どうしよう……こんなによくってよ……いいっ……そうよっ、してっ! それ、いいの……もっとしてっ……ハアン、イッちゃいそう……」

彩子がこんなにも本音を吐いたのは初めてであった。

「もっとよくなって! ほらっ……どうなのさ……ほら、ほらっ」

「あああ、こんなにいいなんて……もうイキそう……やってッ、そう……いいーっ、イッちゃう……どうしよう……あー、イクわ……イクゥーッ……」

耳に心地よく響く歓喜の声に、紀彦は正念場とばかり、鑿岩機で岩肌を打ち砕くように、灼熱の肉塊を膣に突き刺した。

こすれ合うふたつの性器から、かつてない歓喜の渦が巻き起こった。彩子がこれほど肉の快楽に溺れこんだのは、別れた男との間で、一度か二度あっただけである。

彩子は悲鳴をほとばしらせて腰を突きあげた。それが一回目のオルガスムスだった。

いったん停止したかに見えた彩子の動きも、やみくもに精を放とうとして抽送する紀彦に応えて、すぐに復活した。腰と腰が音をたててぶつかり合う。

「あー、またイッちゃう……」

二度目は呆気なくやってきた。

紀彦は激しく収縮する女陰によく耐えた。

だが三度目のオルガスムスが彩子を襲うと、さすがに限界だった。彩子もこのときとばかりに訴えた。

「あー、またイクッ!……きてっ、一緒にきてっ……お願い、イッちゃうゥ。私のなかに……いっぱいかけてーっ! あー、イク……イクわ……イクイクイクゥーッ!!」

両脚が高く跳ねあがり、紀彦の尻肉を思いっきり引きつけた。膣のもっとも奥深いところまで埋没した肉茎は、前後左右あらゆる部分から締めあげられた。

満を持していた若々しい肉柱は、この瞬間にすべてをかけていた女の胎内で、激しく震動しては射出を繰りかえした。

男の熱くて長い歓喜のしるしを感じた女陰もまた甘美に痙攣して、媚液をほとばしらせた。

「気持ちいいよーっ、知亜希叔母さん!」

我れを忘れた紀彦の叫びを耳にした途端、彩子は甘い陶酔から現実に引き戻され、紀彦の心の奥深くまで浸透している知亜希の面影に、初めて殺意にも似た憎しみを覚えるのだった。

第九章 淫らがましき相姦の三角関係

その日を境に、彩子の紀彦に対する態度と、彼女自身の生活は一変した。時間の許す限り、彩子は紀彦のかたわらにいて世話を焼き、本業以外に舞いこむ種々の仕事は、特別なものでなければすべて断った。

紀彦が知亜希のマンションに通う回数は激減した。そして、知亜希が北青山へ通う回数が増えた。知亜希は当然のことながら、彩子の留守を狙うようにやってきた。ニュースキャスターとしての彩子の週間スケジュールは、学校の時間割りのようにきっちり決まっている。月曜から金曜までは、ほとんど自分の自由時間がない。

それを承知している知亜希は、自分が北青山へ行けないときには紀彦を赤坂に呼び寄せ、以前よりもいっそう二人の間柄を緊密なものにしようと努めた。

知亜希には時間と財力がある。それに較べると、いくら紀彦のためにつくそうとしても、彩子は時間の制約に縛られている。その苛立ちが、ほんのわずかずつだが、仕事に悪影響を及ぼすようになった。ミスの少ないニュースキャスターとしてテレビ局の信頼を得ていたが、このところ細かいミスをたびたび起こすようになっていた。相方の男性キャスターがベテランで、そのたびにフォローしてくれるから目立たなかっただけだ。

知亜希も彩子も、たった一人の甥をめぐって、精神的な闘いをそれぞれの思惑のなかでエスカレートさせていった。

しかし、まだ二十一歳の少年に、そうした葛藤を理解する能力はなかった。紀彦にとって、両親の不慮の死を忘れさせてくれる二人の叔母の存在は、何ものにも代えがたい貴重な存在であった。紀彦は二人の叔母の間を往ったり来たりしながら、同じように甘え、同じように愛された。

そうした異常で変則的な生活は、長くつづくはずがなかった。

土曜日--。

珍しく打ち合わせも下調べも何もない彩子は、二日つづきの休みの初日を、思う存分に惰眠を貪り、起きだしたのは昼近くになってからだった。一週間ほどつづいていた生理がようやく終わったこともあり、気分は実に爽快だった。

和江は昼食の支度をすると、近県の温泉に家族と行くのだと言って帰ってしまった。彩子は風呂を使ったあとで、目的もなく紀彦の部屋に入った。

馴染んだ香水の匂いがした。それは、とりもなおさず彩子が足繁くこの部屋に通っている証拠でもあった。

そろそろ一週間になるわ……。

紀彦の体が懐しい。体つきだけでなく、自分が教えたセックスの手順やテクニックが日増しに身につく紀彦を、彩子もまた自分の養子にしようと考えはじめていた。彩子がまだ口に出していないのに対し、知亜希は口約束ではあったが、すでに紀彦との間に合意が成立しているという違いはあったが。

彩子は勉強机の前に座ると、なにげなく引き出しを開けた。分厚い日記帳があった。ほとんど何も書いてない。日によって、天気欄の脇に小さく丸印が記入してある。最後のものは、ちょうど五日前だった。天候は小雪となっている。

彩子は思わず赤面した。紀彦との激しい性行為の最中に、生理がはじまってしまった日である。紀彦の当惑した顔と、中途半端のままで引き抜かれた猛々しい肉柱がおかしくもあり、気の毒でもあった。

すると、この丸印は……。

指折り数えると、それはまさに二人がセックスをした日だった。

「まあ、あの子ったら……」

恥ずかしさとうれしさがないまぜになって彩子を包みこんだ。

そっと日記を元の位置に戻した彩子は、つづく二段目、三段目の引き出しも開けてみた。最下段の引き出しの奥に、普通のノートが押しこまれてあり、そのまわりには短い鉛筆や折れたクレヨンなどが散らばっている。彩子には、それがひどく人工的なものに思われた。この引き出しだけ汚れているのが、いかにもわざとらしい。

ノートを引っぱりだしてみた。やはり日記であった。しかも前の日記と同じ日付けなのだ。つまり、二重帳簿ならぬ二重日記である。

こちらは、セックス日記といっていいものだった。描写は微に入り細をうがち、読んでいくうちに、彩子はその内容のすさまじさに赤面した。彩子とのことだけでなく、知亜希とのセックスも詳しく描かれてあった。彩子は、最初に見つけた日記で危うくだまされるところだったのである。

彩子を抱いた以外の日は、ほとんど知亜希とセックスしている。少年の性欲の強さに驚くと同時に、二重日記で自分を欺こうとする紀彦に、彩子は何やら恐ろしいものを感じた。そして、その思いはすぐに知亜希に向けられた。知亜希が知恵をつけたことであって、紀彦が考えだしたのではないと思った。

最後の日付けは昨日である。そのページには、ティッシュペーパーにくるんだ小さな包みが挟んであった。

何かしら?……

ふんわりとしている。慎重に開けた彩子の目に飛びこんできたのは、十数本の縮れた毛だった。特徴のある縮れ方で、それがどこの毛であるかはひと目で理解できた。

頭に血が昇った。知亜希に怒りを覚えた。なんにでも興味を示す年頃の少年を、自分の玩弄物にしているだけではないか。

知亜希が紀彦に恥毛を剃らせている情景を想像すると、怒りと憎しみが膨れあがった。

時計を見た。一時をすぎている。普通ならば、そろそろ帰ってきてもいい時間である。学校の帰りに寄り道をするときには、できるだけ電話をするように言い含めてある。紀彦からの連絡がないまま、時計の針はいつしか三時をまわった。

紀彦は、彩子が昨夜の段階でまだ生理だったことを知っている。今朝は彩子が熟睡しているうちに登校したので、生理が終わったことに気づいていないはずである。

昨日、知亜希の家へ行ったのに、ひょっとして今日も……。

彩子は頭に血が昇ったまま電話を手にした。しかし、すぐに考え直すと、急いで外出の支度にとりかかった。

タクシーを拾うのに手間がかかるのはいやだったから、久しぶりに自分の車を使うことにした。数年前に友人から譲り受けたシトロエンは、いつものようにスムーズに走ってくれない。彩子は自分の感情が昴っていることに気づいて、慎重に運転した。

マンション近くの交通量の少ない路上に車をとめると、管理人室に向かった。オートロック方式なので、管理人を呼ぶにもインターホンである。

「私、一〇一一号室の神村の親類の者ですが……」

さいわい管理人は、テレビで彩子の顔を知っていた。しかも彼女のファンだった。

「大切な放送原稿を忘れてしまったんです。知亜希さんはこの時間は疲れて寝ていると言ってましたので、ご面倒ですが、ご一緒に部屋へ行ってもらえないでしょうか。玄関口に置き忘れたので、それさえ戻ればいいんです」

来る途中で考えてきた嘘を、管理人は簡単に信用してくれた。

それより少し前--。

知亜希と紀彦は浴室で向かい合っていた。知亜希は若い甥と戯れの約束をしたことを後悔してはいなかったが、さすがにその儀式が迫ると、恥ずかしくてたまらなかった。昨日、紀彦の求めに応じて恥毛の一部分を刈り取られていた。そのとき紀彦は、「今度は全部剃ってしまいたい」とペニスを勃起させながら言った。

軽い調子で「いいわよ」と返事したのは、少年の並々ならぬ好奇心に対する儀礼的なものだったのだが、まさかその〝今度〟が、翌日にやってくるとは考えてもいなかった。

「ぼくと叔母さんだけの秘密……叔母さんに恋人がいるならあきらめるけど」

そう言ったときの紀彦のいかにも淋しそうな顔に、知亜希の拒否の姿勢は、もろくも崩れた。

「恥ずかしいわ」

腰掛け台に座って、体を支えるためにバスタブに寄りかかり、紀彦の目の前で両脚を開いた。

のぞきこむ紀彦の下腹部には、すでに膨張したペニスが、下腹にピタリと貼りつくほど屹立していた。ついこの間まで半分以上も皮をかぶっていた亀頭は、今や完全に露出して、ローズ色にテラテラと輝き、ふたつのボールを包みこんだ袋も以前よりはゆったりしているように見えた。

それらを視界にとらえただけで、知亜希の女陰は濡れそぼった。

この頃、特に敏感になったみたい……。

紀彦がてのひらにボディソープを垂らし、恥毛のうえに塗りたくった。ふくらみを撫でる手つきは、すでに愛撫の段階に入っていた。

すごく上手になったわ、と思ったとき、故意か偶然か、指先がクリトリスをスーッと掃いた。小さく叫びながら、知亜希は腰をピクンと跳ねあげた。

「傷つけちゃうじゃないか……」

「だったら、変なところを触らないで」

「おさねって、そんなに気持ちいいの?」

教えたばかりの言葉を使う甥が、知亜希には可愛くてたまらない。

カミソリがひんやりと肌に触れた。

知亜希は観念した。もうまかせるしかない。目を閉じた。ゾリッという音が鮮やかに耳の奥に聞こえた。

二度……三度……とカミソリの刃があてられるうちに、知亜希は愛液がふつふつと湧きあがるのを感じた。思わず括約筋を絞った。

「あ、いま動いたよ」

ことさら珍しそうに声をあげる紀彦が愛おしい。

にじみでた愛液が内腿に伝わった。

シャワーが股間に浴びせられた。

「叔母さん、見て」

紀彦が興奮したときは、いつも乾いた声を出す。今がそうだった。

目を開けた知亜希は、黒い繊毛が排水口に吸いこまれていくのに気づいた。こわごわと股間をのぞいた。

「あっ……」

一オクターブ高い声になっていた。黒い茂みを失ったツルツルのふくらみからは、奇妙な色気が発散していた。

「ここは怖いから、手をつけなかったの」

紀彦の指先が、割れ目の縁をやさしくなぞったあとで、すぐに知亜希の手をそこに導いた。外陰唇の上だけ、ざらつく短毛がほんの少し残っている。

「とうとう、自分の思い通りにしたのね」

そう言った知亜希だったが、決して甥を非難しているわけではなかった。むしろ、紀彦のわがままを許すのは私だけなのだという響きがこめられている。

「可愛いよ、叔母さん」

いきなり紀彦がタイルの上に知亜希を押し倒した。

豊かな髪の毛が濡れたが、知亜希は何とも思わなかった。知亜希もまた衝動的な欲情を覚えていた。初めて感じる被虐的な歓びでもあった。

紀彦には、いつものやさしさや慎重さがなかった。いきなりのしかかると、勃起しきったペニスを濡れそぼつ女陰に突き立てた。メリッという感じで、肉棒は一挙に子宮口をえぐった。

「ああ、叔母さん。見てよ、これ……」

感嘆の声を放つ紀彦に誘われるままに、知亜希もまた、肉棒に串刺しにされた己れのふくらみを見た。マシュマロのような肉に挟まれて、紀彦の肉柱はしっかりと秘唇の間に食いこんでいた。

荒々しい紀彦の抽送がはじまった。ポンプで汲みあげられる地下水のように、膣奥から淫水が外に向かって流れだした。紀彦のピストン運動が速まれば速まるほど、その量は多くなり、匂いはきつくなった。

性臭にまみれた二人は、より深い快楽を取りこもうと、獣のような荒い仕草でお互いの肉器をぶつけ合い、こすりつけた。

「わあ、おさねが丸見えだ! ほら、こんなによく見えるよ!」

紀彦は肉棒を抜き差ししながら、膣口の上部に飛びだした肉芽を指先でこすりたてた。キスチョコのように尖ったクリトリスは、いじられるたびに外に向かってせりだし、今にも破れそうに膨張した。

紀彦は体を前に傾けながら、さらに肉棒による圧迫を強めた。

「うううッ、たまんない……もうっ!」

知亜希の両脚がよりいっそうの密着感を求め、紀彦のヒップに絡んだ。

抜き差しが、こねるような回転運動に変わった。ひしゃげた陰核から、火花が爆ぜるような快感が湧いた。

「イク……イク、イクわ……紀ちゃん、いいわよ、出していいッ……イクーッ!!」

いつもの決まり文句を放った瞬間、浴室のなかの空気が一変した。

突然、ドアから飛びこんできた彩子が、知亜希にしがみついて、フィニッシュの声をあげている紀彦を引き剥がした。

紀彦はわけがわからなかった。仰向けになったペニスの先端から、白い樹液が噴水のようにほとばしった。

彩子ははっきりと見た。呆然としてなす術も知らずに横たわっている全裸の知亜希の下腹部に、あるべき恥毛が綺麗さっぱり消え失せているのを。

声にならない声をあげながら、彩子は浴室を飛びだした。

彩子はどうやって車にたどり着いたのかわからない。頭のなかにくっきりと焼きついた忌まわしい映像を振り払おうと、夢中になって頭を振った。急発進したシトロエンは、一気に加速して閑静な住宅街を突っ走った。曲り角の一方からゴミ収集車がノロノロとやってきたが、彩子の視界には入らなかった。数秒後、二台の車は曲り角で衝突した。

紀彦は北青山の家へ帰ったが、彩子の姿は見えなかった。

どうやって顔を合わせたらいいんだろう……。

気まずい思いでいたとき、電話が鳴った。警察からだった。

一分後、紀彦は泣きながら知亜希に電話を入れていた。

タクシーを拾うと、教えられた病院に直行した。

病室に駆けこんだ紀彦は、首と腰にギブスをはめた彩子を見た瞬間、案内してくれた看護婦の胸のなかに倒れかかった。

しかし、見た目よりは彩子は元気だった。看護婦に「生命に別状ないのよ」と言われると、また涙が溢れた。

「あまりおしゃべりさせないでね」

看護婦が笑顔を見せながら立ち去ると、紀彦はベッドの脇に駆け寄って彩子を見おろした。

「いけない子ね……」

彩子はそれだけしか言わなかった。紀彦はベッドのなかに手を入れた。彩子の手が握った。だが紀彦の手はそれを振りきって、着衣の下にもぐりこんだ。

どうしてそうしたのか、紀彦自身にもわからない。強引に下着の縁をくぐった手は、ふんわりと湿り気のある恥毛に触れた。

「いけない子ね」

彩子はまた同じことを言ったが、そのいけない手を遠ざけるようなことはしなかった。

指先が秘唇をめくろうとした。

「すぐにテレビ局のスタッフたちがやってくるわ……それに……」

彩子の言いたいのは、「知亜希が来る」ということに違いない、と紀彦は思った。電話をしたとき、知亜希は入院で必要になる物を買い揃えてから来ると言っていたから、間もなく姿を見せるはずだった。

この先、いったいどうなるのだろう……。

不安がつのった。けれども紀彦に解決策があるわけがなかった。

「紀ちゃんは、本当にいけない子ね」

彩子の言う通りだと思った。自分はとてもいい子にはなれない気がした。

触っている指先にいつしか蜜が絡んでいた。二十一歳の少年にとって、女という存在は永遠の謎のように思えるのだった。

(完)

二人の叔母 淫の血脈

2011/9/1 電子版発行

著 者 高竜也

発 行 株式会社フランス書院

東京都千代田区飯田橋3-3-1

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(c)2011 Tatsuya Koh, Printed in Japan.

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