乱田舞(らんだ まい、1959年3月25日 – 2022年9月14日)は、日本の緊縛師でありAV監督である。アングラのSMをライブショーとして会場へ出し、公開の責めを娯楽の場に据えた人物として語られる。葵マリーは、各地で見られるSMライブショーを乱田が切り開いたと言っても過言ではない、と評した。ビデオ、Vシネマ、テレビ、雑誌、写真集、舞台と媒体を横断し、日本だけでなくアメリカやヨーロッパでも縄を掛けた。
ライブショーと、3000本を超える監督作
乱田の仕事は出演だけでは終わらない。ビデオやVシネマ、舞台では監督、脚本、演出も自ら引き受けた。監督・出演を合わせた本数は3000本を超える。アタッカーズの『蛇縛』、アートビデオの『奴隷通信』、麒麟堂の『緊縛遊戯』、ネクストイレブンの『SMizm』、ドリームクリエイトの『緊縛調教リアライズ』、バッキーの『完全緊縛調教マニュアル』、グローリークエストの『完全緊縛強姦』、乱舞の『乱舞館』、アレックスの『江戸川乱坊』、桃太郎の『あぶねぇ刑事』——レーベルもシリーズも、SM映像の棚を横断している。ライブで見せた縄と、パッケージで売った縄は、同じ手から出ている。アングラの密室でしか成立しなかった責めを、観客のいる舞台へ移したことが乱田の仕事の核である。ショーとして成立させなければ、SMは地下の趣味のまま残る。乱田はそれを公開の娯楽にした。
急逝と二代目
2022年、急性心筋梗塞による急逝が娘のツイッターで伝えられた。死後、付き人だった青山夏樹が二代目・乱田舞の名義を継いだ。公式サイトは「-乱舞-」。ビデオとVシネマと舞台を同じ監督が書き、同じ緊縛師が縄を掛ける、という働き方は、分業が進んだあとのAV現場では珍しい。脚本から演出まで自分で持つのは、ライブショーで場を支配してきた人間の延長である。地下の責めをステージの照明の下へ移し、AVのシリーズタイトルにまで広げた緊縛師として、乱田の名はライブとパッケージの両方に残っている。名義が二代目へ渡ったあとも、乱田舞という言葉が指すのは、公開のSMと量産された調教映像が一本の手から出た、という事実である。












