スカルファック(skull fuck)は、アダルトビデオ用語として日本で流通した極端な挿入表現である。ここでいう日本語用法は、女性の膣に男性の頭部を入れる、という筋書きを指す。解剖学的に成立するかは極めて疑わしい。出産時の胎児の頭骨は変形して産道を通るが、成人男性の頭部はその胎児よりはるかに大きい。ショーやプレイとして売り物にする例は、いまほぼ見当たらない。過去にニューヨークで死亡事故が起きている。
写真の真偽と、英語の別義
ポルノ写真では、頭部を膣に入れたように見えるカットがいくつか出回った。首を折り曲げて押し当て、それらしく見せているだけの写真との区別がつかず、真偽は長年不明だった。近年、アダルトビデオや動画投稿サイトで「実際に可能な女優」が示唆されることもあるが、これも検証されていない。骨盤の関節を外すために麻酔などが必要になる場合がほとんどで、特別なイベント向けのショーとして語られる程度である。
英語の skull fuck は、一般には頭部にある穴——とくに口腔以外の眼窩など——に男性器を挿入することを指し、非常に強い侮蔑として使われる。日本語AV用語の「頭部を入れる」話と、英語スラングの「頭の穴を犯す」話は、同じ綴りでも指す行為が違う。検索で混ざるのは、その語義のずれである。
メイプルソープ、Live Skull、丸尾末広
過激な性的表現で知られた写真家ロバート・メイプルソープは、頭部に呼吸用チューブが付いたスカルファック用とされるレザースーツを着た男性を撮っている。アメリカのノイズバンド Live Skull には、『Skull Fuck』という題のビデオ作品がある。丸尾末広の漫画『農林一号』では、夫の不倫に激怒した妻がスカルファックの末、首の骨を折る場面がある。映像や漫画の衝撃として残った語であり、合意プレイのメニューとして残った語ではない。
死亡事故と、いま現場にない理由
拡張プレイやフィスト、異物挿入の延長として語られることがあるが、頭部の体積は拳とは比較にならない。うっ血や骨折、窒息、骨盤損傷のリスクが、ショーの見世物を上回る。ニューヨークの死亡事故以降、プレイとして実行する人も、売り物のイベントもほぼ消えた。BDSMの拡張系が扱うのは、同意と中断と医療的な限界である。スカルファックはその限界の外側にあり、用語の歴史と事故の記録として読むべきだ。
日本語AV用語としてのスカルファックは、膣に頭部を入れる筋書きである。英語スラングとしての skull fuck は、眼窩など頭部の穴に男性器を入れる侮蔑である。メイプルソープの呼吸チューブ付きレザースーツ、Live Skull の同題ビデオ、丸尾末広『農林一号』の首折り。文化側に残ったイメージと、解剖学的な不可能性と、ニューヨークの死亡事故。ショーとして麻酔で骨盤を開く話は、特別なイベントの噂として語られるだけで、いま売り物にはなっていない。真偽不明の写真と、検証されていない「可能な女優」の示唆。用語は残っても、プレイとしては消えた。










