安里咲2 第1部 (1/5)
次の話
SM小説 亜由美シリーズ
安里咲2
あんぷらぐど著 荒縄工房・発行
本作品はすべてフィクションであり、実在する人物・地名・団体とは一切関係ありません。また、特定の個人、団体、宗教、人種、性別などを誹謗中傷する意図はありません。
あんぷらぐど
SM雑誌に「仲ゆうじ」名でSM小説を執筆して作家活動をスタート。その後、作家活動は休止し、編集の仕事に携わる。ネットでは「ふにゃふにゃ」「あんぷらぐど」名でSM小説を執筆。独自の自虐的SM、一人称による告白形式の作品、伝奇SM小説などを発表し続けている。東京在住。
はじめに
本書は、亜由美シリーズの一冊です。「亜由美 第三部」に登場した安里咲を主人公とした作品の完結編です。亜由美シリーズと同じ世界観で描かれています。
前作『安里咲1』に引き続き、お楽しみいただければ幸いです。前作のあらすじは……。
剛介たちに強姦、そして輪姦された安里咲は、女子寮に監禁される。末土教授の妻である陽子夫人、寮長の渡辺奈美、亜由美の動画を気に入ってゲー研に入ったという彩芽によって、屈辱的な調教がはじまる。朝から深夜まで、ありとあらゆる恥辱を受ける。
さらに屈辱を浴びせる。一緒に亜由美の実験に参加した登美子、佐智子、映奈に貸し出されたのだ。
亜由美シリーズ
1、小説『亜由美』第一部
2、小説『亜由美』第二部
3、小説『亜由美』第三部
4、『亜由美』灼熱編
5、『安里咲』1
6、『安里咲』2(本書)
7、『亜由美』降臨編(予定)
主な登場人物
わたし(
安
里
咲
)
亜由美と同じ大学の新入生。亜由美の拷問実験に参加した。
登美子 佐智子
映奈
亜由美の拷問実験に参加した女子大生。
剛介
亜由美が憧れた先輩。「亜由美の会」をつくる。
末
土
教授
亜由美に興味を持ち、拷問実験を企画して実施。
野川陽子
末土教授の夫人。事実婚。
渡辺奈美
女子寮の寮長。柔道経験者。
三上
彩
芽
ゲー研初の女子部員。女子寮に住む。寮長の助手的存在。
珠緒
かつての安里咲のバレエ教室の友人
ミハイル・マーコフ
ロシア系のバレエ教師。安里咲の初恋の男。
ゲー研
大学のサークル。剛介の提案で亜由美のゲームをつくった。
実験材料
ギロチンのような枷に首と両手首を固定され、振り向くこともできない。お尻を彼女たちに突き出している。なにをされても拒絶できない。
冷たい道具が粘膜に押しつけられた。
「はぁぁぁあ、もう、許してください」
悲しいほどわたしは弱い存在になっていた。登美子、佐智子、映奈……。同じ大学の学生で、ただ末土教授の講義を受けただけ。亜由美の実験に参加しただけなのに。
いまはわたしを責めることに夢中になっている……。
「いやらしい声を出して。やめろってことは、やれってことなのよ、こいつ」
登美子はリーダー気取りだ。
「マゾってそうなんでしょ? 口ではいやだといってもね」
映奈。かわいいクセにズルイ女。
「イヤよイヤよは、いいのうちってね」
佐智子も自分だけいい子になりたいタイプ。
笑い声もだんだん甲高くなっていく。
ぐいっと太いディルドが入ってきた。
「うぎっ、もう、やめてください」
またなのか。
剛介たちに犯されてから、そこは休む間もなく、男性器や器具でえぐられ続けてきた。死にたいほどの絶望。もういやだ。やめてほしい。殺してほしい。
「あっ、くぅぅぅう」
誰が操作しているのかわからないが、ゆっくりと、人の気持ちをはかっているかのように動く。
それは痛いだけ、苦しいだけではない。熱くなっていく。
「あらぁ、こんなに垂らして……」
指ですくって、それを燃え上がるお尻になすりつける。
「いい思いをさせるなんて、悔しいわ」
「じゃ、こいつのオッパイでも叩いてやれば?」
爪を乳首に立てて、引っ張られた。
「ぎぃぃぃぃっ」
そして爪で弾かれる。
「うっ」
「感じなさいよ、変態」
哀しく、恥ずかしく、死にたい気分になる。
何度も弾く。
「乳首も固くしちゃってさ」
乱暴に乳房を揉まれる。たしかに乳首がしこっているのがわかる。彼女たちの長い爪が食い込む。
「お尻の穴もまる見えで、恥ずかしいわ」
「ねえ、まさか、逝
くんじゃないでしょうね」
「いくらなんでも恥ずかしすぎるわ。こんなことで、感じてるなんて異常すぎる」
「逝ったら許さないわよ」
「ああ、そんな……」
苦痛が快楽に直結するように寮長たちから厳しく訓練され続けて、体が慣らされてきた。この絶望から逃れることができるのは、脳が溶け出すほどの快楽しかない。せめてそこに逃げ込ませてほしい。
脳内物質が誤作動して、苦しみから逃避させてくれる。それを否定することはできない。中毒のように求めてしまう。
「逝くなよー」と言いながらその手は止まらない。熱く、激しく動かされ、乳首への執拗な攻撃も続いた。
「逝くぅー」
「ダメよ。許さない」
「でも、でも……」
ふいに動きが止まった。
「え?」
「生殺しってやつよ」
「ああん、ひどい」
登美子も佐智子も、映奈も、あの拷問実験のときのような目つきだ。あれほどの残酷なことが、いまや彼女たちにとっては、愉しみになっている……。
教授はある意味で実験に成功した。亜由美に対する実験だったように見えて、あれは実験をする者に対する実験だったのだ。
安全で自分には責任のない「実験」という名目を与えられ、自分の中に潜む恐ろしい欲望のままに行動し、そこからわずかなバイト代とは比べられないほどの快楽が得られることを知ってしまった……。
亜由美は海外へ留学し、末土教授はここに残った。もし亜由美に対する実験なら、彼女を追跡調査したいに違いない。だが、そうはしなかった。むしろわたしを捕まえて地獄に落とし、ほかの三人たちの前に奴隷として差し出した。
実験はまだ続いているのだ。
わたしたち四人がこのあと、どんな人間になっていくのか。なにをし、なにを感じるのか。
教授はそれを観察したいに違いない。
うずく股間。もう少しで快楽の強烈な波がやってこようというのに、すべての動きが止められてじらされる。
「ど、どうすればいいんですか。どうすれば、してくれるんですか」
思わずわたしはそう叫んでいた。
「安里咲。ホントにホンモノの淫乱牝奴隷になったの?」
友人と思っていた人たちから、そんな言葉を聞かされるとは。
「は、はい。安里咲は、淫乱な牝奴隷です。だから、お願いです。ください」
「だめだめ。そんなのウソかもしれないじゃない? 演技でしょ?」
「どうして……。こんな演技、するはずないです」
「わからないわ。あなたがただ快楽がほしいだけで、こんなことをしているなんて信じられないもの。これもあの教授の計略なんでしょ?」
「カメラがあるかもよ」
彼女たちは壁や天井を見回している。
たしかに、それはあるかもしれない。だとすれば、巧妙に仕掛けられているはずで、簡単には見破れないだろう。
わたしの部屋を明け渡すことは、そういう意味もあったのかもしれない。
そして三人の共同の部屋にすることも。
もうこれ以上の地獄はないと思っていたのに、まだまだ先があるとは。
「お願い。安里咲にちょうだい」
「なにを?」
「その太い棒を入れて!」
「まあ、はしたないわ。安里咲、それでも女子大生?」
「お願いです」
「こうしてあげようか」
ぐいっとディルドが突っ込まれた。
「ふうっ」
冷めかけていた熱が、再び上昇していく。
「かわいそうだから、やってあげてもいいけど……」
「ああん、お願い、続けてください」
「じゃあ、安里咲。これからはわたしたちの言うことをなんでも聞く?」
「はい」
「おもしろいわ。逝ってもいいわよ」
あそこがメチャクチャになるほど、彼女たちは激しく動かす。
「あん、あん、あん、もっと、もっと……」
わたしは絶望の海にぽっかり浮かんだ快楽のボートに這い上がった。やっとのことで、すべてを忘れることができる……。
「はい、おしまい」
「あうぅぅぅ」
そこでやめるなんて。
「お、お願い、続けてください、お願いだから……」
「さあ、どうかしら。なんでわたしたちが安里咲を気持ちよくさせないといけないのかなあ」
「そんなこと言わないで……」
「だってさ。つまらないもの」
「うぅぅぅ、お願いぃぃぃ、殺してぇぇ」
「なに言ってるのよ。冗談じゃないわ」
もう少しで到達しそうだったのに。あまりにも無慈悲だ。もしこのままだとしたら、わたしはおかしくなってしまう。
「安里咲はわたしたちになにをしてくれるの?」
「なんでもしますから」
「それはもう、聞いたわよ。そうじゃなくて、わたしたちを気持ちよくさせてくれる?」
「ああ、どんなことでもいたします」
寮生のみんなの足をしゃぶったのだから。この中途半端な快楽の解決のために、どんなことでもする覚悟があった。
「じゃあ。舐めてもらおうかな」
それぐらいのことは……。
「どうぞ、お願いします。舐めさせてください」
「そこまで言うなら」
佐智子が恥ずかしげもなく、スカートをたくしあげてパンティを見せる。ぐっしょり濡れている。はしたない女。わたしをいじめて感じている。拷問実験でも感じていたのかもしれない。
そして彼女はその毛深い股間を逃げることのできないわたしの顔に押しつける。舌を伸ばして舐める。牝のニオイ。牝の味。
「ちゃんとやってよ」
ぐいっと強く押しつけてきた。鼻から口までが彼女のもので埋まる。必死で舐め回す。それにガマンできないのか、彼女自身が回すように股間を動かす。
やっとわたしの中のオモチャも動きを再開した。
「はうはう」
声が出てしまう。
「こいつ、マジで盛り上がってるわ」
「しょうがないじゃない。大好きなんだもの」
「次はわたしよ」
佐智子がどれぐらい気持ちがよくなったのかはよくわからないが、映奈に代わる。彼女の股間はむだ毛を形よく処理していて、白い肌に美しいピンク色だったが、格別おいしいわけでもなく、濡れ方こそ浅いが、ニオイはやはり牝でしかない。
それをおいしそうにわたしはしゃぶってみせる。
するとぐいぐいと股間をディルドが突き上げてきて、また強烈なエクスタシーへの扉が開いていく。
むせそうになるが、必死にがまんして、このチャンスを逃したらまたお預けを食らうかもしれないという恐怖と戦う。もうやめないで。最後までしてほしい。逝かせてほしい。
「けっこう上手じゃない。どこで習ったの?」
「必死なのよ。あれなしじゃ、生きていけないんだもの」
登美子に代わった。いまわたしを突いているのは佐智子だ。憎しみをぶつけるかのように、乱暴にえぐる。同じ女なら、どうすればいいかわかりそうなものだが、あえて苦痛を与えようとしているのかもしれない。
以前のわたしなら、こんな状態で濡れたりはしないし、燃えたりもしない。だけど、そういう人間ではなくなっている。苦痛も激痛も、わたしには大切な生きるための燃料。もし彼女がそれを知っていて乱暴にしているのだとしたら、寮長並みの加虐趣味の持ち主なのかもしれない。
「見て、すごいことになってる」
彼女はわたしの穴を映奈に見せている。ディルドをムリな角度にすると、パックリと開いてしまう。
「うわ、いやらしすぎるわ」
「グロテスクよね」
自分たちとは違うとでも言うのだろうか。それほど違わないのに。
登美子は逝きそうになっている。腰を前後に動かし、ぶつけるようにしてくる。
鼻が潰れてしまうが、わたしも必死だ。もうすぐ逝けるのだから。
後方の二人がすりこぎでも扱うように大きくまわしはじめたので、わたしは突然、たまらなくなり、頭を殴られたような衝撃を受けながら、強烈な陶酔の世界に入ってしまった。
舌と唇で登美子を求めているものの、力はうまく入らない。
それでも登美子は気持ちがいいらしく、大量の液を噴き出しながら、硬直させていく。
「がふふうう」
満足できる時間は思ったほど長くはなかったが、やっとそこまで到達でき、わたしはかなり満たされた。
「はー、はー、はー」
荒い息をつく。
「安里咲。よかったわよ」
登美子が誉めてくれた。
なんだか、いままでの悔しさよりも、うれしさがこみ上げてきてしまった。寮長や彩芽よりもむしろ素直に喜べてしまう。あれだけあった抵抗が消えている。彼女たちもわたしと同じだとわかったからだ。
この三人とも、いずれわたしのようにされるのではないか。
きっとそうなるだろう。末土教授の実験は成功する。たった一人だけだった亜由美から、その四倍に増殖したのだから。
とんでもないものを植え付けられたことに、まだ三人は気付いていない。そのうち、泣き叫びながら思い知るだろう。
だからといって、わたしは同情はしない。ようこそ、変態世界へ。ようこそ、苦痛が生み出す地獄の快楽へ。
意識が遠くなってきた。貧血のようだ。彼女たちはわたしのあそこで遊んでいる。あまりにも激しい一日が、こうして終わっていく。明日のことなど、一切考えられない。未来のことも。
傷口が大きくなっていき、いつか心は破裂してしまうだろう。
「時間よ」
寮長がやってきた。
ぼんやりと彼女を見上げる。
「まったく、だらしがないわね。片付けて背負って降りなさい。あんたの寝床はわかってるんでしょ」
そう。わたしにはなんの自由もないのだ。
「はい。寮長様。ありがとうございます」
泣きながら礼を言い、拘束を外してもらった。
「これは入れたままでやりなさい」
太いディルドが突き刺さったまま、片付けさせられた。
ニヤニヤしている三人。いずれあなたたちも、という気持ちが顔に出ないように我慢した。
バザー
商店街の一角。空き店舗を使ったバザー会場。
わたしは朝からそこに連れてこられた。日課とは違うスケジュールになるが、当然、それよりも厳しいことが待ち受けているのだろう。
「納戸の中でよく眠れた?」
登美子たちも来ている。彩芽はわたしの首輪の鎖を握っている。
「すごいじゃない」
段ボールに服、靴、下着、文具、本などが入っている。すべてわたしのものだ。これから、それを売りさばくという。
「見て!」
彩芽が、登美子たちや寮生に壁に貼ったパソコンで作ったらしいプリントアウトを見せる。
「安里咲の私物オークション」と大きな文字。
「売り切れるまでガンバでカンパ! 貧しい安里咲におめぐみくださいませ。購入いただいた方には大サービス。体を張ってご満足いただくまで奉仕」
そんな文字がやや小さめに表示されている。
「服はそのあたりに吊しましょう」
わたしには触らせず、ピンクの下着や、縞柄のソックス、花柄のワンピースなどを壁にハンガーで吊していく。
とくに下着はこれみよがしに、壁にピンで広げて展示される。
みんな服を着ているのに、わたしだけが全裸だ。自分の服や下着が恥ずかしく飾られ、二束三文で売り飛ばされていくのを止めることもできない。
「おはようございます」と男たちがやってくる。
女子にいたぶられ続けていたせいか、久しぶりの男子に脅える。裸で首輪という姿を見られたくない。
女子寮からここまで、犬のように練り歩かされたのだが、それでもこうして対峙すると恥ずかしさがこみ上げてくる。
「安里咲! 隠すんじゃないわよ!」
寮長が怒鳴り、胸を隠した腕を激しく叩かれた。
「すみません!」
「きをつけ!」
「はい」
手足の拘束は免れている。傷や
痣
が明るい光に照らされてみっともない。
「この仕切り、持ってきたんだけど」
ゲー研の連中がベニア板を持って来ていた。学園祭で使ったらしい、ゲームのキャラクターである派手な髪の毛の色をした女子たちのイラストが入った立て看板。それを奥の方に設置する。
その向こうに、わたしが使っていた布団が広げられている。
なにをさせられるかはわかっている。しかし、あからさまにその場所が作られると、吐きそうになってしまう。
「九時にオープンですからね! 急いで!」
そして彩芽は、ゲー研が持って来た体操着とブルマを寄こした。
「着なさい。少しはいいでしょ? コスプレもいいじゃない? お客さんを楽しませなくちゃね。暗い顔はダメよ。安里咲、笑って」
白い上着。紺のブルマ。マニアが好きそうな衣装。一度もこうした昔のかっこうはしたことがなく、はじめてのことだった。
いずれもサイズが小さく、ピチピチになってしまう。
「いいわ。エロい!」
着たら、さらに恥ずかしい。
「あなたが、余計なこと言わないように、これもつけましょうね」
開口器。言葉を発せないようにしたいのだ。それでいて、口の中を自由にできる。
拘束されていなくても、わたしはそれを受け入れる。抵抗すれば拘束されて、さらに痛い思いをするからだ。
見渡しても誰一人、わたしを助けようとは思っていない。楽しそうに準備をしている。
ゲー研の立て看板の横につながれた。
彩芽たちは打ち合わせをしている。なにをするのか、させられるのかはわからないが、談笑しながら登美子たちやゲー研の連中が和気あいあいと準備を始めた。
細長い集会用のテーブルが並ぶ。パイプイスも用意されて会計役の寮生が座る。
もう一つのテーブルには、見たくないものが並べられる。へらへらした小太りの中年男がそこにいた。
「この商店街に薬局があるんだけど、そこの店主の兄が隣町でアダルトショップをやっているんだ」
ふいに話しかけてきた男子。剛介だった。
「元気だった?」
引っぱたきたくなる。おまえのせいで、亜由美もわたしも、人生が台無しになっていく。
手を上げようとしたのに、彼がやすやすと掴んで離さない。
「楽しみだろう? わくわくするかな?」
「あがああ」
ふざけるなと言いたいが、言葉を発することができない。
唇を重ねてきた。キスというよりは、舐められた。舌を吸われ、彼の唾液が入ってきた。
逃げはしないが、暴れた。
「それだけ元気があればなんとかなるよ」
彩芽がベルを派手に鳴らす。日曜日の朝。商店街の人通りは少ない。ここだけは、ゲー研の連中などが集まって賑やかだ。
「おはようー、みんな。安里咲が体を張って、これだけのものを売り飛ばすのよ。協力してあげてね! お楽しみのイベントが満載よ。そろそろ『目隠し浣腸ショー』が始まるわよー。見たい人はなにか一つ、必ず買ってね!」
男たちがわたしの下着を買っていく。早い者勝ち。店舗内のわたしを見たいから必死だ。
「目隠しをするわよ」
佐智子にアイマスクをつけさせられた。今のところ手足は自由で、自分でやれることは自分でしなければならない。
品物を買った人たちがわたしの周りに集まってくる。人垣ができれば、店舗の外からはなにをやっているのか見えない。
ゲー研の人たちによって何ヵ所もカメラが設置されているので、有料のサイトに入れば生中継で見ることができるらしい。
「えーと、用意した浣腸液は、牛乳、コーラ、グリセリンの濃いやつと薄いやつ、そしてドナン。これはチョー強烈なやつ。目隠ししたまま、どれかを選んで自分で浣腸しますよー」
一ヵ所に置かれた一・五リットルのペットボトル。どれも同じような感触だ。見えないのでわからない。それを一つ選ぶ。
彩芽や客たちの、なんとも言えない押し黙った反応。正解なのか、失敗なのかもわからない。
「でちゃったらまずいから、このバケツのところでお尻を突き出してね!」
プラスチックのバケツ。
ブルマは穿いたまま。指先でずらされて、肛門を剥き出しにされる。
「見て! 安里咲のアナルよ!」
彩芽の興奮した声。
男たちの息が聞こえる。
手渡されたエネマシリンジ。彩芽がペットボトルの中に先端を入れた。あとは自分で肛門に入れてポンプを押すだけだ。
見世物
反抗したい。このままやらないでおきたい。
だが、すぐ近くに寮長の体臭を感じる。なにもしなければ、とてつもない仕打ちを受けるだろう。それをやりたくて、なにか凶器を手にして構えているのではないか。
見えないのでそんな恐怖にかられる。
ひどくいじられているお尻。ゴム管が思った以上にすんなり入る。このままでいくと、もうすぐ、ちゃんと閉じなくなるかもしれない。
ぐいっとポンプを押した。
「へへ、体操着で浣腸とは、いい絵じゃん」
すぐ近くに男たちがいる。首輪の鎖が鳴る。
「あごあぁ」
空気、そして液体が体内に入ってくる。この感触をわたしを見て笑っている人たちは知らない。わたしの反応だけで解釈している。
おぞましさと苦しさ。涙が滲む。
医療でもなく、単に人を辱めるため。そしてお尻の穴を性器に見たてて蹂躙するため。
彼らはこんなことを人の体に施すのだ。
それとも、この行為そのものに潜む、無邪気な好奇心だろうか。子どもが昆虫を捕まえてて羽をむしるように。不自然なことをする楽しみ……。
自分で入れる屈辱。その量は多く、なかなか入りきらない。すでに便意が起きている。昨日、朝から何回もさせられたが、今日はまだしていない。
ゾクッとする。
すべてを注入したら、今度は人々の前で排泄しなければならない。これも、ここにいる誰も経験したことがない恥ずかしさだ。
大勢の人の前で、剥き出しのお尻から大量のものを噴き出す。
それを想像しただけで、ギュッと心臓を掴まれたような気さえする。
どっと汗が噴き出している。恥ずかしさだけではない。いけないことをして、それが目撃されてしまうことへの背徳的な、そしてみじめな自分。
暴力で強要されているならまだしも、いま見ている人の多くは、わたしが自主的に好きでやっているのだと思うだろう。
体に染み込んだ厳しい仕打ちは、苦痛だけではなく、快楽でもある。それを知ってしまったからには、たしかに、わたしは自ら進んでやっている人間に成り下がったとも言える。
だけど、もちろん望んでのことではない。戻れなくなってしまっただけのことだ。
寮長や彩芽、そして剛介たちから受けた行為が、自分という存在をゴミ屑のように小さく丸めて固めてしまっている。
「はぁぁぁあぁ」
ボコッと空気が入り込んだ。
「やったわね、全部飲んだわよ、薄い方の浣腸液でよかったじゃない?」
彩芽は興奮している。
もうガマンができない。入れたばかりの液体が、穴から漏れて足を濡らしている。
麻痺したかのような肛門。抑えることができないのだ。
「いいわよ、出しなさい」
管を引き抜きながら、バケツの上にお尻をかざす。横から彩芽の手が伸びて、バケツにぴったり付けることを許さない。隠すことができない。
ジャーッと勢いよく浣腸液を噴き出す。バケツは薄い金属で、それはこの音の効果も狙ったのだろう。恥ずかしすぎる音が響く。
みんなに聞かれている。
溶けた固形物も出ている。音が変わる。ガスが混ざる。下品すぎる音。
失笑が聞こえてくる。
安里咲は人前でウンチをする女になってしまったの。辱められて感じる体になってしまったの。
もう、戻れない……。
陽子夫人が考案したマズイ食事は、便の量をしっかり作りだす。ただ、ニオイだけはかなり軽減されていることは、多少なりとも慰めだった。
「おわった?」
わたしはうなずく。
「じゃ、ここでオークション。この体操着を欲しい人!」
「はい!」と男たちが声をあげる。
「ジャンケン。勝者はいま浣腸したお尻を体験できるわよ!」
「うそだろ、やるに決まってるだろ!」
ジャンケンが行われている間も、目隠しをされたままで、中腰でお尻をバケツの上にかかげたままだ。
つまり開ききった肛門を、みんなに見せつけている。
「よーし、おれね」
どうせ、居酒屋でわたしを凌辱した男たちか、その同類だろう。
「はい、じゃ、これ持って向こうに行ってね」
わたしは鎖を引っ張られ、奥の布団に連れ込まれる。そこでうつ伏せになり、お尻を高く上げさせられる。彩芽がお尻を拭き、ローションを塗りたくった。
「よかったわね、朝から大盛況だわ」
その指が肛門の口の部分から、奥まで入り込んできた。
泣きたくなる。
「じゃ、やらせてもらいますけど、口ではやってくれないの?」
間抜けな男の声。こんなやつにやられるなんて。
「贅沢言わない。口は別よ。このあと」
「よーし」
汗臭い男を感じる。
いくらで買ったのかは知らないが、男は硬くなったものをお尻に押しつけてきた。
「あぐぅわ」
いきなり入り込んできた。
「いいっすねえ」
男はそう言うと動かしはじめた。
目隠しをしているので、まだマシだった。男の顔を見なくてすむし、そこには衝立代わりの立て看板があるはずで、通りからは見えないだけ、救われる。
リズミカルで執拗な挿入。自分の体であって、そうではないような感覚。
「ううっ」と男がうめいて、どうやら終わってくれたみたいだ。その意味ではありがたいと思ってしまう。
「どうだった?」
「いいっすねえ。またお願いしますよ」
「それはどうかなぁ」と彩芽。「安里咲は忙しいのよ。今日は特別なんだからね」
自分の物のように自慢げに話している。
「安里咲、朝ご飯よ」
口の中に男が使用した避妊具が放り込まれた。
「あわっ」
「シャブリ尽くしなさいよ。今日は昨日みたいな食事はないのよ」
自分のお尻の味と男の精液の味。
それでも、陽子夫人の作る奇妙な食べ物よりは味があるだけマシだ。吐きそうな味だとしても。
「ほら、脱いで」
体操着を脱がされて、男に進呈することになる。
「こっちに来て」
裸のまま連れ出されるのかと思ったら、首に紐がかかり、体に布を感じる。
「次は裸エプロンよ。いいでしょ」
ただふわっとかかっているだけのエプロンだが、一応、正面は隠せている。
「次は、ラッキータイムよ!」と彩芽は張り切っている。「安里咲のエプロンを欲しい人!」
「なにかおまけがついてくるんだろうな!」
「そう。今度はお口を使って……」
「はい」「はい!」と男たちの声がうるさいほどだ。
思わず微笑んでしまった。それはうれしくて笑ったのではないし、彼らをバカにしたわけでもない。こんな自分を笑ったのだ。
ジャンケンがはじまり、勝者がエプロンの権利を手に入れ、そして店の奥へ行き、わたしは布団に跪いて男を口で受ける。
「あがぅぅぅ」
開口器のおかげで、拒絶できない。
「汚れないうちに」とエプロンも外されてしまう。
男は首輪を直接掴んで、自分のものを奥まで突き入れてきた。わざと膝を乳房にあててくる。
「あがっ、あがっ、あがっ」
早く終わってほしい。それだけを願うのだ。
バーゲン
「ちゃんと、ごっくん、したかな?」
彩芽が男のものを飲み干したのを確認すると、待っていたかのように縄をかけてきた。
「次は大切な仕事だからね」
体をぎゅっと締め付けられる。
縄が首から胸へ、腹部、そして腰、股間と斜めに縄がかかっていく。立たされて、背中で腕を縛られた。
寮長がその大きな手で、わたしの顔から体まで撫で回す。ベビーオイルを塗っているようだ。きっと、全身がてかてかになっているだろう。
「これをかぶってね」
薄いベニア板のようだ。前と背中に振り分けられる。それを肩にかけると、背中からお尻の上が隠れ、前はヘソから膝までが隠れた。
目隠しを外してくれた。
まぶしい。そして驚くほどの男たちの数。その目に脅える。
「見てよ、安里咲」
そこには「大バーゲン中 女子大生の私物」とあった。鏡に映る背中側には「おまけもあります! 本日限」とあった。
首輪のチェーンを彩芽が持つ。
「お客さんを呼び込まないといけないからね」
このかっこうで店の外に出された。
すでに客は大勢いるのに。
驚くほど多くの人たちが商店街にいた。足がすくむ。
「来なさい」
開口器で口を開けたまま、看板をつけて歩かされる。体を隠しているようで、バストとヒップは露出している。恥ずかしい縄で縛られているのがわかるはずだ。
「うわ、亀甲縛りじゃん!」
学生たちが騒ぐ。ゴールデンウィークの日曜日。商店街はお祭りをやっていて、屋台なども出ていた。
歩行者専用になった道を歩かされる。
ゲー研の連中が「女子大生の私物をバーゲン中!」とか「早い者勝ち!」、「買ってくれればサプライズがあるよ!」などと言って一緒に歩く。
客として店にいた人たちもついてきている。
一番端までいくと、彩芽が看板を一度外した。そして裏返す。そこにも文字が並んでいるが、それをわたしに見せる。
「どう、安里咲。いいでしょ、これ」
表側には「中出しOK、格安まんこ」。背中側には「アナル拡張済み、フェラでごっくん」。
「ふふふ」
かけ直されて、そんな恥ずかしい看板でまた商店街を歩かされる。
「女子大生と一発やれるってさ!」と叫ぶ男たち。「どの穴もOKなんだってよ!」
今度はゲー研のガードはない。カメラを持ったゲー研たちが遠巻きにしている。
徹底して恥をかかせようというのだ。
「なにあれ!」
女性の声がする。
「AVの宣伝だよ。どぎついな」
うつむくと、彩芽は足を止める。
「だめよ、ちゃんと顔を上げて」
正面を向くとまた歩きはじめる。
膝はガクガクしている。とても恐ろしい。どうしてこんなことが許されるのだろう。わたしだけが特例になっている。
どのぐらいの間、晒し者になっていたのか。
ようやく許されて店に戻ったが、腰が抜けそうになっていた。
「楽しかったでしょ」
看板を外しながら彩芽が股間を指で触る。
「ほーら、安里咲。こんなになっちゃってる」
みんなの見ている前で、わたしは嬲られ続ける。
「これで終わりじゃないのよ。全部、売り切らないといけないんだからね。もっとお客さんに喜んでもらわないとね」
寮長が言う。
入り口付近にあった会計などをするための細長いテーブルに連れていかれる。
そこは店の外と言っていい。
亀甲縛りはそのままで、腕は自由にしてくれた。
「のりなさい」
テーブルにあげられ、四つん這いにさせられる。
「みなさーん、スケベな安里咲の体を見たい人!」
「おー」と集まった男たちが吠えている。
「じゃあ、淫乱な安里咲の体を触りたい人!」
「おー」と恐ろしいほどの怒号。
「じゃ、いまから買い物をしてきて、チケットを受け取ってください。そのチケットがある人から順番に、見たり触ったりできます!」
男たちが店の中へなだれこみ、なんでもいいから買っていく。そもそも価格は二束三文だ。金儲けではない。わたしの私物をむしり取ることが目的だ。そしてこれ以上はないというほどの辱めを与え続けるのだ。
「安里咲。泣かない、泣かない。マゾのアイドルみたいなものだからさ」
彩芽が軽く言うのが腹立たしい。汚辱も苦痛も、引き受けるのはわたしなのだ。
流れはじめた涙は止まらない。嗚咽をあげても、珍しい動物のように、みんなは笑って見ている。このつらさを理解してくれる人はいないのだ。
最初の客が来る。チケットを彩芽に渡す。
「じゃ、いまから三十秒!」
その男は指を顔に這わせた。目をつぶる。鼻の穴にぐいっと指を入れてきた。
「がうっ」
思いがけない行動にビックリする。
片手は乳房を揉む。
両方の鼻の穴をぐねぐねとほじられて、その指を口に突き入れ、舌に擦りつける。
「あがあああ」
濡れた指で今度はお尻を触り、二つの穴に交互に入れてくる。
「はい終了!」
気付けばあっという間に行列ができている。
いじられているわたしの横に陽子夫人が立っていた。すぐ横に登美子たちもいる。
「ごらんなさい。安里咲は男たちに体中を触られて、感じているのよ」
「ホントにイヤらしいわ」
「同じ女性として恥ずかしいです」
感じているというのは半分しか当たっていない。
嫌悪と羞恥。恐怖。それでも、敏感にされてしまった部分をいじられることで、イヤでも反応してしまう。
そんな自分がますますイヤになっていく。
「あんな体になってしまったら、普通の生活はできないのよ」
陽子夫人が断言しています。
「え? もう安里咲、戻れないんですか?」
映奈の声だ。
「こういう性癖の人は、エスカレートしてしまうの。どんどん、痛いこと、つらいこと、ひどいことを求めるようになるわ」
「信じられないわ、すぐやめたくなると思うけど」
穴の奥まで男たちの指に蹂躙されながら、のんびり話している彼女たちの言葉が、現実とは思えない。
現実はわたしの身に起きていること。彼女たちにはなにも起きていない。
「一種の中毒なのよ。こうなると、誰かがコントロールしてあげないと、命にかかわることになるの」
「えー、それはかわいそうだわ」
「ふふふ。大丈夫。わたしたちでちゃんと安里咲のことを見守ってあげればいいの」
「はい、かわいそうな安里咲のためなら」
「そうよね」
みじめすぎる。
だが、自分がすごくみじめだと思った瞬間、男の指がある部分を刺激したらしく、ぎゅっと下半身に力がふいに入り、ビュッとおしっこを漏らしてしまった。
「あっ、すげえな」
男がびっくりして後ずさる。
「ごめんなさい、こういうこともあるのよねえ」と彩芽が、男にティッシュを渡している。
「安里咲、だめじゃない」とお尻をパンパン叩く。
「あがああああ」
「まったく、締まりがないんだから」
五人、十人ではない。一度買って触った男が、また買って後方に並ぶ。いつまでたっても終わらない。延べ三十人、四十人となっていく。中高年の男も混ざる。商店街の男たちもいる。
男たちの指は無慈悲で残酷で、肌がささくれていくようだ。
いつまでも終わらない。
気が狂いそうになっている。
「すみませーん、もう商品がなくなりますので、いったん終了です」
やっと販売が終わる。
だが、列はまだ長い。
「いいねえ、若くて気持ちいいよ」
商店街の男が乳房からお尻から触り、撫で、頬ずりする。
「商品が足りないなら、うちのも売ってもらおうかな。商店街振興になるよな」
「ありがとうございます」と彩芽。「このサービスはこれで終わりますけど、あとでみなさん、ここで売れる商品をお持ちいただければ、かまいませんよ。まだお昼ですから」
「よーし、ほかの連中にも声をかけるよ」
そもそも、わたしの私物を売りさばけば終わるはずだったのに。
彩芽たちは一日中、わたしを使って遊ぶつもりらしい。
どれだけの努力をしても報われない。終わりがない。だから、少しずつ考えないように仕向けられていく。考えたら負けてしまう。間違っているかもしれないが、考えないことで、寮長や彩芽たちに支配されないでいられるような気がしている。
この体はボロボロになっていったとしても。
最後の男がわたしの中から指を引き抜いた。
「よかったでしょ」
彩芽がわたしの髪を撫でる。彼女の物のように。
考えない、考えない──。
「ご褒美をあげるわ。お腹がすいたでしょ? 抽選でいいものをあげる」
あみだくじの書かれた紙。
「みなさーん、安里咲にご褒美をあげます。クジで決めます」
これも見世物なのだ。
テーブルからは降ろされたが、手首を縛られて壁に吊された。つま先がやっとコンクリートの床に着くぐらいの高さだ。
たしかに店の中はガランとしていた。あれだけあった洋服も靴も文具も、なにもかもなくなっている。奥で使っていた布団もない。
それが今日、一番のショックだった。
見渡しても、わたしの物を持っている人はいない。どこかへ消えてしまったのだ。買った人たちは、持ち帰ったのだろうか。
店にいまあるものは、持ち込まれた責め具。そして朝の浣腸で使った用具。浣腸液。そんなものばかりだ。
反対側の壁に紙が張り出された。
「みなさーん、安里咲ちゃんに飲ませたいものが、こんなにあります」
目を背けたくなる言葉が並んでいた。
「一番。これはボランティアの男性の精液ごっくん三人前。五番は、ボランティア男女のおしっこ三人前。十番は、安里咲に浣腸した牛乳。二十番は、安里咲に浣腸したコーラ。五十番は、一番と五番を連続で二倍。百番は一番から二十番までを連続で三倍。安里咲、どれがいいかな?」
どれもイヤだ。
「クジは、これよ」
賭け事などに使うプラスチックのチップ。それが六枚ある。そこに番号がついていた。
「これを安里咲の中に入れまーす」
つま先立ちをしているわたしの右膝にロープをかけて、手首と同じ壁のフックに引っ掛け、引き絞った。
片足立ちになる。その股間に、二十人ほどいる客たちに見えるように、チップを押しつける。
「あぎー」
ザラザラとした縁のあるプラスチックが性器の中に押し込まれていく。
何十人もの指にいじられて、爛
れたようになっている性器。そこに異物が入るとヒリヒリと痛む。
チップが粘膜を傷つけている。
六枚入れたあとで、彩芽は細い金属棒を突っ込んだ。
「がううう」
痛すぎる。
「よーく、かき混ぜます」
「がああああ」
ひどい。
女性ならそこがどういう器官で、どんな風に感じるかわかるはず。指やペニスでいじるならまだしも、硬いプラスチック片と金属棒を入れてかき混ぜるなんて……。
「どなたか、一枚だけ抜いてくださーい」
若い男。
脂汗を流すわたしは、目がよく見えていない。
朦
朧
となっている。
「安里咲」
髪をかきあげてくれる。
剛介だ。
「あがが」
怖かった。彼がいるのはわかっていたが、こうやって間近にいるということは、もっと恐ろしいことが待っているような気がした。
「かわいいよ、安里咲。がんばってるね」
汗ばんだうなじを撫で、震える乳房を触る。
涙がボロボロと落ちる。
「泣かなくていいんだよ。苦しみは快楽なんだからさ」
わからない。
なにを言われても、わたしにはもう、理解ができない。
彼の片手がわたしの股間を撫でている。
指が中に入ってくる。すごく痛くて熱を持っている。切り裂かれているに違いないが、見る勇気はない。
ゴリゴリと彼の指がわたしの中で動く。
「ぐぐうう」
「だんだん、気持ちがよくなるよ」
そんなことはない。つらいだけだ。
「よし、これにしよう」
剛介が笑いながら指を引き抜いていく。
「どうだ。これだよ」
チップも彼の指も、ベタベタになっている。血はついていない。少しホッとする。だが、まだ五枚のチップが中に入っている。
痛いので粘膜が反射的に動き、余計に苦しみが増す。
「番号は」と剛介は、わたしに笑う。「五番だね」
その意味を考えることはしない。ただ、店内に拍手が起きたのを、奇妙に感じただけだ。
「じゃ、ボランティアを募ります。いますぐ、いっぱい出せる人!」
彩芽が叫んでいるのが遠くで聞こえていた。
残酷な午後
五番と書かれたプラスチックのチップを剛介が、わたしに見せつけて笑う。
「舐めろ」
自分の中に入っていたものに舌を伸ばす。
表、裏と舐める間、剛介がわたしを見ている。
「用意しよう」
吊りからは解放されたが、ジャンケンで勝った見知らぬ男たちが三人、ファスナーを下ろして待っていた。
ブルーシートが敷かれ、メイド風のエプロンをつけられた。フリルがついているものの、その目的はエプロンではない。乳房がポロンと出てしまい、強調するかのように布が支える。腹部と股間は隠せるものの、むしろ目的が露骨になっていく。
正座をさせられる。体にまだ残されているプラスチックのチップによる強烈な異物感。姿勢を変えるだけで、内部が深く傷つく恐怖があり、大勢に見られていることは、二の次になっている。
あえて縄を使わないらしい。
「安里咲。わかってるわね。これはあんたの訓練なんだからね」
寮長と陽子夫人が、二人とも乗馬鞭を手にしてわたしの後ろに立っている。
「そうよ。ちゃんとやらないと痛いことになるわよ」と彩芽。
「どうすればいいんですか?」
「これを手に持って」
病院で使うそら豆型の金属の受け皿を持たされる。吐くわけではないが、深いもので、彩芽がそれを顎の下にぴったり持つように細かく指示する。
「口を開けているのよ。閉じたらダメよ。全部口で受けなさい。こぼれたらこっちに受けなさい。それもあとで飲んでもらうからね」
とても難しいことをさせられる。
口を開けて見上げる。
薄笑いを浮かべたニキビ面の男がやってきて、ズボンの間からペニスを引き出す。柔らかかったそれが急激に硬くなっていく。
「どうぞ」と彩芽が言う。
男はチョロッと小便を出した。口の中に入る。受け皿にこぼれる。
ごくりと飲む。
ひどい味とニオイ。吐き気がする。でも、口を開け続けなければならない。なにも考えず、すぐに口を開けると、待っていたかのように大量の小便が口に流れ込んできた。
とても飲めない。あふれて流れ落ちていく。
終わったあと、口に溜まった小便をごくりと飲んだ。
喉が渇いている。飲みたいのはただの水でもいい。だけど、これしか飲ませてもらえない。
「飲まないと終わらないわよ」
陽子夫人が乗馬鞭で肩を撫でる。
受け皿に溜まったものを飲み干す。
「早くしてくれ、待てないよ」
次のサラリーマン風の男がすでにペニスを出している。硬くはなっていない。小さいままだ。
口の中に入るぐらい接近させて、放尿が始まった……。
「へへへ。楽しいね。女子大生の口に小便できるなんてさ」
つらいのだろうか。口も喉も胃も灼熱感がある。小水そのものに味も臭いもそれほど感じない。
得体の知れないものに汚染されていく嫌悪。
三人の尿を飲まされていく間、店内は不思議と静かで、女子大生が裸にエプロンで小便器になっている姿に見入っているようだ。
三人目のものを飲み干して、受け皿を舐めさせられた。
「いいわね。なかなかのものだわ。これで口をゆすいでいいわよ。飲んだらダメよ」
彩芽がペットボトルを渡してくれる。口をゆすぐだけだ。甘い。温い水でもおいしい。
水が欲しい。でも、飲んだら怒られるだろう。お腹は尿で膨らんでいる。意味のない汚水で満たされて、必要な水分は採れない。
ふっと気が遠くなる瞬間がある。
自分の身に起きていることとは思えない。
受け皿に水を吐き出すと、さらに口内を洗う薬液も含まされて、十分にゆすがされた。彩芽はそれを確認して捨てにいった。
口の中がさっぱりしただけでも、ありがたかった。
そしてタオルで口を拭かれ、顔を除菌シートで拭かれた。
「次の抽選の前に、こんな便器女の安里咲ですけど、キスしたい人を募集します!」
彩芽が大きな声で言う。
「こいつとキスしたい人はいますか?」
信じられないことに十人ほどの男が手を挙げている。
「じゃ、これから一人一分間。キスとお触りはOKだけど、ペニスや指を入れたらダメよ!」
キス。
それは愛する人とだけ許し合う大切な儀式。
キスは生殖行為ではない。だけど人間としてはとても大事な行為。愛を確認し合うための接触。
わたしはそう思ってきた。
だから、これまで、本気でキスをした人間は一人しかいない。
剛介たちに乱暴されたときにも、キスされたのかどうか覚えていない。すべて忘れてしまいたいから、頭の中から締め出してきた。
キスなら、わたしにとってはバレエの講師マーコフとのものが唯一絶対だった。
それが見知らぬ人たちによって蹂躙されていく。
「いや」
耐えられない。キスは嫌なのだ、と気付く。
「あら、反抗するわよ、この子」
ビシッと乗馬鞭が脇腹に打ち込まれた。
「ぐっ」
そのあまりの痛さに身をよじり、息ができなくなる。
「動けないようにしましょう」
彩芽はうれしそうにわたしの手首を掴む。弱々しく抵抗するが、陽子夫人に蹴られて、シートの上に倒れ込んでしまった。
「あっ」
膣の中でグリッとチップが動いた。
その間に腕が背中に持っていかれて彩芽が素早く縄をかけていく。
そしてわたしを立たせるとまた壁に追いやり、天井付近のフックに縄をかけ、つま先立ちにされ、その足も縛る。
さっきは手を伸ばしていたが、いまは乳房に回った縄で背中で縛られている。その背中からの縄で吊られるため、上体は斜めになる。
男がやってくる。太った男で汗臭い。ハーハーと荒い息。土佐犬のようだ。
「じゃ、一分間。よーい、スタート」
男がわたしの顔を持ち上げて、唇を押しつけてきた。
「うっ」
歯を食いしばっても、ぐちゃぐちゃと唇と舌が押しつけられ、口から鼻から頬まで、べとべとに舐められる。
その気持ち悪さ。みじめさ。
一分は短いようで長い。
涎でべとべとにさせるが、「口を開けろ」と言う。
「開けなさい、安里咲。言われた通りにしないと終わらないわよ」
寮長が鞭を振り上げている。壁側のお尻に打ち下ろすつもりだろうか。エプロンをしているとはいえ、お尻は剥き出しだ。
来るのか、来たらどれだけ痛いのか。
「ぎひっっ」
お尻から太ももの間の部分が、ざっくり切り裂かれるような強烈な痛みで、わたしは悲鳴を上げて、ガタガタと震えた。
つま先立ちなので、逃げることもできない。
「どうなの? 言われた通りにしなさい」
口を開けた。
男は舌を入れてきた。
そしてわたしの舌を吸い出した。食べ物かのように、くちゃくちゃと味わっている。
されるがままにしていると、「はい、時間です」と彩芽。スマホのストップウォッチを男に示す。
苦行。
除菌シートで顔を拭われて、次の男がやってくる。
それぞれニオイと口の感触は違うが、どれも不快だった。
目を舐めた男もいた。鼻の中にまで舌を入れてきた男。耳を執拗に舐め、噛んできた男。臭い唾液を飲ませる男。唇から顎、うなじと、強烈に吸い上げるキスをして、皮膚を鬱血させた男……。
長い長い時間。
「安里咲。みなさんにお礼を言いなさいよ」
彩芽がうれしそうに笑っている。
「みなさま。安里咲にたくさんのキスを、ありがとうございます」
そんなことまで言わされる。
わたしの私物を売るためのバザーだったはずだが、それは午前中にほとんど終わってしまっている。午後はこうやって、ひたすら見世物、オモチャとして扱われるらしい。
「じゃ、そろそろお腹もすいただろう。次の抽選をしてあげよう」
剛介がやってきて、股間に指を入れてくる。
「うっ」
体はそのたびにすくんでしまう。
「おや。安里咲。べちょべちょになってるぞ」
異物の入った性器はドロドロになっていて、暴虐を受けている間、無意識のうちに奇妙な感じ方をしていたらしい。
彼の指が一つのチップに引っ掛かり、柔らかな粘膜を拡げながらゆっくりつまみ出されていく。敏感なようで鈍感な器官。触られ、いじられ、乱暴されて新たな神経が張り巡らされたような気がする。中がどうなっているのか、立体的に感じる。
「安里咲。かわいそうだな。いきなりこれだ。百番」
わたしが選んだわけじゃない。
「百番は、全部の三倍だからね。精液ごっくん九人前。おしっこ九人前。安里咲に浣腸した牛乳三本。安里咲に浣腸したコーラ三本だ。こんなに飲めるかな?」
「まあ、かわいそう」
彩芽は大げさにいいながらも、うれしそうに牛乳とコーラを用意する。三百ミリリットルの牛乳が三本。三百五十ミリの缶コーラが三本。
「今度はこれを使ってあげるわよ」
これみよがしの大型のガラスの浣腸器。
「迫力あるでしょ。千ミリリットル、つまり一発で一リットル入るのよ」
吊られたままのわたしは、頭が重く、これからさせられることがあまりにもきついので、呆然となっていた。
「時間はたっぷりあるけど、あんまりダラダラやりたくないから、即戦力の人だけ募集するわよ。ダメな人は交替させまーす」
男たちが先を争っている。九人がわたしに射精するというが、ただするわけではない。
「チップを全部出しておこう」
剛介が指を入れてくる。
「あうっ、つらい」
ぐちゃぐちゃと人の恥部を指で押し開く。
「次は一番だ。その次は十番。五十番、最後は……」
奥に入ったチップを指というより手がそのまま入るぐらい深く押し込まれて、掻き出される。
「もちろん二十番か。じゃあ、これからやる百番が一番大変だから、あとはずっと楽だよ」
なんの慰めにもならない。
自分で作ったルールではない。彩芽たちが適当に作った遊び。
「これで穴が三つ使えるからね。口はそのままごっくんしてもらおう。膣とアヌスは溜まったら、これで飲んでもらおう」
小型の針のない注射器。
「安里咲をお腹いっぱいにしてあげよう!」
妙なかけ声でそれははじまった。
吊りからは下ろされたが戒めはそのまま。エプロンもそのまま。
マットが敷かれ、そこでわたしは九人の男に体を使われる。
ふと見上げると、壁にこんな紙が貼ってあった。
「特別奉仕 一日公衆便所 現役女子大生・安里咲ちゃん いっぱい出してね! 無料だよ!」
ゲー研の連中が考えそうなことだ。
こうした行為がすべてビデオカメラで記録されているのだろう。
下に寝た男にお尻を突き刺され、仰向けにされ、開かれた性器に別の男が入れてくる。そしてのけぞったところに、上から別の男のペニスが下りてくる……。
「ぐうううう」
体勢も苦しいが、やらされていることがとてつもない苦痛だった。体をレイプされているだけではない。心も蹂躙されていた。
彼らが射精してくれなければ終わらない。
安里咲2 第1部 (1/5)
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