ボンデージ(bondage)は、性的興奮を得るための拘束行為、あるいは拘束するための道具を指す。アダルトビデオなどでは「ボンテージ」と書くことがあるが、誤記である。英語の bondage はもともと束縛、拘束、囚われの身分・状況を意味する。SMプレイの語として広がり、定義は人によってずれる。縄でも革でも金属でも、動けなくして興奮する側に立てばボンデージと呼ばれる。衣服の光沢だけを指して使う人もいる。
何をボンデージと呼ぶか
字義どおりには、支配側が服従側を何らかの形で束縛することだ。ただ現場では、次のような受け取り方が並ぶ。BDSMのグループでは、服従関係を築く技術の一つ。性行為をするカップルのあいだでは、性交の技術の一つ。自慰する者にとっては想像をかき立てる方法。自縛のように、一人でも成立する。ほぼすべての性的嗜好に受け入れられる要素がある一方、革・ラテックス・PVCなど光沢のある衣服に身を包む嗜好と同一視されることもある。近年は革やPVCの衣服そのものをボンデージと呼ぶことも多い。拘束の行為と、拘束に見えるファッション。同じ単語が、縄の結びと、クローゼットの中のレザーを同時に指す。
ファッションとしての拘束
手錠や鎖、身体を締め付けるドレス、黒のレザーやゴムを素材にしたデザインはボンデージファッションと呼ばれ、1990年代に流行した。きっかけとされるのは、ジャン=ポール・ゴルチエがマドンナの衣装に取り入れたことである。拘束の道具が、ステージの衣裳になり、街のファッションになった。プレイのロープと、ランウェイのレザーは同じ語で呼ばれるが、前者は動けなくすること、後者は動けなさそうに見せることが先に立つ。ゴルチエとマドンナ以後、鋲と革とコルセットは、SMクラブの外でも読める記号になった。
危険と安全対策
楽しむには安全対策が要り、パートナーが十分に信用できることが何より大切である。注意点は多いが、次が挙げられる。行為を終わらせるセーフワードをあらかじめ決め、不快ならただちに叫んで止めさせる。飲酒状態で行わない。拘束した人を、目の届かないところへ放置しない。首の周りにヒモやロープを結ばない。首輪は十分な余裕を確認する。胸などが圧迫され、呼吸困難になる体勢を放置しない。ハサミやナイフを用意し、器具の故障や解けない結びでもすぐ解放できるようにする。頭をすっぽり覆うもの、口にはめるものを使うときは呼吸を確認し、嘔吐しても喉に詰まらないものを選ぶ。興奮のための拘束と、事故になる拘束は、同じ縄の締め方の差で入れ替わる。
セーフワードと、猿轡のとき
ボンデージはロールプレイになりやすい。服従側は気分を上げるために「いや」「やめて」と言う。それをそのまま受け止めていてはプレイが途切れ、無視して続ければ、本当に止めてほしいときに手段がなくなる。だから「行為を終わらせる言葉」を別に決めておき、それが出たらただちに止める。互いの信頼は、そこにかかっている。猿轡を好む場合はセーフワードが言えない。ジェスチャーなど、中断を伝える余地を残しておく必要がある。拘束は興奮のための技術だが、解けないことと、止められないことは別の危険である。声が使えない口枷ほど、手や目で止める通路を先に決めておく。ボンデージがSMとして成立するのは、縛ることより、解けることと止められることが残っているときだ。













