『ナナとカオル』は甘詰留太による日本の漫画で、略称は「ナナカオ」。『ヤングアニマル嵐』(白泉社)2008年No.2より連載が始まり、同社『ヤングアニマル』へ移籍して2008年No.23より読みきり掲載、2009年21号から2016年16号まで連載された。移籍後、『嵐』で『ぶらガール』が始まるが2010年No.7で終わり、同年No.8から2014年No.5まで高校3年の夏休みを描く『ナナとカオル Black Label』が連載された。続編『ナナとカオル 〜高校生のSMごっこ〜』は、同社が2019年11月29日に創刊した電子雑誌『ハレム』Vol.1からVol.35まで連載され、単行本は『ナナとカオル Last Year』のタイトルで刊行。2020年7月時点でシリーズ累計発行部数は240万部を突破している。「ステップアップSMラブコメディ(STEP UP “SM” LOVE COMEDY)」と銘打ち、高校生同士のSMプレイを本筋とする青年向け漫画(SM漫画)だが、直接的な性行為の描写はなく、初々しい純愛も描く。橘満子やグラビア等の全裸・乳首は描かれるが、千草奈々と館涼子の全裸ヌード・乳首は描かれない(乳輪までは描かれる)。2012年9月28日発売の「リニューアル+α版 甘詰留太短編集『きっとすべてがうまくいく』」(ISBN 978-4-592-14430-4)に描きおろしショートが載る。2011年にはアニメ化と実写映画化がなされた。
隣室の幼馴染と、秘密の息抜き
高校のヒロイン千草奈々とダメ生徒の杉村薫は、マンションが隣同士の幼馴染。カオルは趣味のSM妄想に明け暮れ、ある日ナナがふとしたことでカオルのコレクションのボンデージ衣装を着てしまう。それをきっかけに、二人の秘密の「息抜き」が始まる。登場人物の姓は官能小説作家の名前から取られている。
カオル、ナナ、館涼子
杉村薫(カオル)の声は間島淳司。17歳、桜溝高校2年。主人公。補習・留年ギリギリの生徒が集まるF組で、冴えない日々を送る。趣味はSMの妄想で、その系統のグッズを多く持つ。緊張すると吃る。背は低く不細工で、顔は「潰れガエル」と馬鹿にされ、あだ名は「キモムラ」。手先は器用で、裁縫と料理が得意。ナナが好きだが差を卑屈なほど諦観し、好意をひた隠し、学校では会話もろくにしない。プレイでは準備に万全を尽くし、ナナを想うあまりS役に徹しきれないことも多い。名前のモデルは杉村春也。
千草奈々(ナナ)の声は水原薫。17歳、桜溝高校2年。ヒロイン。スタイル抜群の美少女。成績優秀な特進クラスA組で、東大合格と弁護士を目指す。生徒会副会長、陸上部エース。人当たりが良く後輩から慕われる「いい子」だが、不器用で真面目、正義感が強すぎ、人の頼みを断れずストレスを貯めやすい。カオルが好きだが無自覚。ボンデージ騒動で行き詰まっていた勉強がはかどったため、以降は息抜きとしてソフトなSMを頼む。普段は体験できない被虐の快感と、誰にも見せられない弱い部分をカオルに見せられる安堵を味わっていく。名前のモデルは千草忠夫。
館涼子の声は高森奈津美。17歳、白鳥女子学院高等部2年。カオルのもう一人のパートナー。肌は浅黒く、一人称は「ボク」。陸上部で「独り七種(ヘプタスロン)」を主にやる。以前大会でナナに負けている。当初はSMに批判的だったが、ナナとカオルの息抜きに自身も参加するようになる。カオルへの依存を求めるナナと違い、スポーツ的・ゲーム感覚のスリルを求める。名前のモデルは館淳一。
桜溝高校と、両家の母親
睦月ユカリの声は赤﨑千夏。2年、生徒会会計。ナナの親友で同じくA組。矢神のことが好き。カオルは「キモムラ」と呼び、完全に見下している。名前のモデルは睦月影郎。矢神浩史の声はOAD版が甘詰留太、ドラマCD版が前野智昭。2年、生徒会長。ナナに想いを抱く。一見真面目だが、幼いころから姉の喜久子に振り回され、優等生の面や東大という進路も家族に半ば強制されたもので、年相応にエロにも興味のある普通の少年である。当初はカオルと反目していたが、秘蔵のAVを姉の策略で捨てられ川原で落ち込んでいたとき、同じく首輪を母に捨てられたカオルと会い、利害が一致して和解し、よき理解者となる。名前のモデルは矢神朧。矢神喜久子の声は米澤円。3年、前生徒会長で浩史の姉。ナナの憧れの先輩だが、弟からは「外面だけいい性悪女」と内心で思われている。過去の理不尽な仕打ちによる。ナナのカオルへの想いをいち早く見抜き、弟に「脈は殆ど無い」と忠告する。堂本の声は内匠靖明、星野の声は松本忍。ともに2年でカオルの悪友。堂本はそばかす、星野は肥満体型。名前のモデルは堂本烈、星野ぴあす。川上先生の声は山川琴美。ナナの担任。進路相談で「息抜き」を勧め、のちのナナに影響する。
杉村和香の声は斉藤貴美子。カオルの母。夜勤・泊まり込みのある職で、女手一つで育てている。息子の部屋にノックせず入る癖があり、エッチな本やSMグッズを隠蔽・処分されるためカオルは鬱陶しがる。千草しのぶの声は槙口みき。ナナの母。キャリア組の警察官で警備部長。離婚し女手一つだが仕事が忙しく家を空けがち。料理が苦手。
Fun Loveの店長と、更科
橘満子の声は原田ひとみ。カオル行きつけのアダルトグッズショップ『Fun Love』の店長。30歳ごろ。美人だがSMグッズとプレイには熱く語る。東京大学文学部出身、日本史専攻(明治以降の文化風俗が専門)。実は更科のSMのパートナーで、首筋に所有者・更科のイニシャル“SS”のタトゥー、乳首にピアス、下腹部のどこかにもピアッシング済み。カオルやナナ、館にSMを教授していく。名前のモデルは橘真児。更科修太郎はSM小説作家。カオルが尊敬し、著作をナナとのプレイの参考にしている。実は橘の“ご主人様”。50歳ごろ。名前のモデルはオンライン作家の更科。甘詰によれば、本作は更科の『アイツ』に多大な影響を受けている。上原愛は元緊縛モデル。更科監修の緊縛写真集を出し、「最も美しい責められ姿」と絶賛されている。普段はカオルが転校予定だった沖縄の高校の養護教諭。結婚しており小学生の息子がいる。カオルの父方の実家がある沖縄のフェチコン緊縛ショーでカオルに縛られた縁で、パートナーになろうと提案してくる。
本編18巻、Black Label、Last Year
甘詰留太『ナナとカオル』は白泉社〈ジェッツコミックス・ヤングアニマルコミックス〉全18巻。2008年11月28日(ISBN 978-4-592-14561-5)、2009年5月29日(978-4-592-14562-2)、2010年1月29日(978-4-592-14563-9)、2010年5月28日(978-4-592-14564-6)、2010年10月29日(978-4-592-14565-3)。2011年3月29日第6巻(978-4-592-14566-0)と初回限定特装版(978-4-592-10502-2)。2011年10月28日第7巻(978-4-592-14567-7)と特装版(978-4-592-14667-4)。2012年4月27日第8巻(978-4-592-14568-4)と特装版(978-4-592-14668-1)。2012年9月28日(978-4-592-14569-1)、2013年4月26日第10巻(978-4-592-14570-7)と特装版(978-4-592-14669-8)。2013年7月29日(978-4-592-14676-6)、2014年1月29日(978-4-592-14677-3)、2014年8月29日(978-4-592-14678-0)、2014年12月26日(978-4-592-14679-7)、2015年4月28日(978-4-592-14680-3)、2015年12月25日(978-4-592-14684-1)、2016年4月28日(978-4-592-14685-8)、2016年10月28日(978-4-592-14689-6)。
『ナナとカオル Black Label』はジェッツコミックス全5巻。2011年6月29日(978-4-592-14691-9)と初回限定プレミアム同人誌つき豪華版(978-4-592-81011-7)。2012年5月29日(978-4-592-14692-6)とトロピカル同人誌つき(978-4-592-81012-4)。2013年2月28日(978-4-592-14693-3)とゴージャス同人誌つき(978-4-592-81013-1)。2013年12月27日(978-4-592-14694-0)とクレイジーラブ同人誌つき(978-4-592-81014-8)。2014年7月29日第5巻(978-4-592-14695-7)とファイナル同人誌つき(978-4-592-81015-5)。『ナナとカオル Last Year』はヤングアニマルコミックス全5巻。2019年7月29日(978-4-592-16351-0)、2019年11月29日(978-4-592-16352-7)、2020年7月29日(978-4-592-16353-4)、2021年3月29日(978-4-592-16354-1)、2021年12月24日(978-4-592-16355-8)。
派生として、『嵐』2011年11号から2013年12号まで、ももせたまみによる「パラレル4コマ」『ナナカオぴんくぴゅあ』が不定期掲載され、2014年に『ナナとカオルぴんくぴゅあ』と改題して単行本化された。甘詰留太に関する権利記載は誌面にも単行本にもない。ももせたまみ『ナナとカオルぴんくぴゅあ』ジェッツコミックス、2014年1月29日、ISBN 978-4-592-14234-8。
OVAと、実写二作
2011年3月29日発売の単行本第6巻初回限定特装版に、オリジナルアニメDVDが付く。原作は甘詰留太、企画は藤平光、製作は島田明、プロデューサーは大野木貴史。キャラクターデザイン・作画監督は渡辺敦子、色彩設定は古川篤史、美術監督は椎野隆介と三浦智、コンポジットディレクターは今泉秀樹、編集は櫻井崇、音楽は悠木真一、音響監督は明田川仁。アニメーション制作はAIC PLUS+。監督・絵コンテ・演出は岡本英樹。テーマソング『終わらない夜に』は作詞・濱田智之、作曲・編曲・南利一、歌・榊原ゆい。
実写第1章は渋谷ユーロスペースで2011年3月12日公開。バップの新シリーズ『東京思春期』より『ざんねんなこ、のんちゃん。』『打撃女医サオリ』に続く第3弾で、ソフトSMをテーマにした純愛ラブコメ。監督・脚本は清水厚、主演は栩原楽人と、映画初出演のグラビアアイドル永瀬麻帆。2011年3月29日にDVD&Blu-ray発売。キャッチコピーは「君が好き。縛りたいくらいに。」「誰にも言えない“息抜き”をしようよ……」。幼馴染の生徒会副会長ナナと、ボンデージを着せたいと妄想する童貞のカオル。カオルの母から預かったボンデージを興味本位で着たナナは鍵がかかり、外すためにカオルを頼る。外す条件に恐々と命令を出すカオルと従うナナ、それが秘密の息抜きになり、二人はその行為にのめり込む。カオルは栩原楽人、ナナは永瀬麻帆、矢神浩史は染谷俊之、睦月ユカリは浅居円、ナナの後輩は脇本彩乃、堂本は坂東大毅、星野は佐藤王宝、カオルの担任は永戸武士、川上先生は三田あいり、杉村和香は比企理恵。音楽は山田稔明、製作は大島満、チーフ・プロデューサーは茶ノ前香、プロデューサーは穂山賢一と太田裕輝。撮影は西久保弘一、照明は白石宏明、録音は功刀康久、美術は石毛朗と松塚隆史、スタイリストはセイショーコ、ヘアメイクは上田忍、緊縛指導は荊子、助監督は松岡孝典、制作担当は綿貫仁、宣伝は太秦、制作協力はバイオタイド、製作・配給はバップ(東京思春期)。主題歌は山田稔明『ひそやかな魔法』。2011年3月9日よりiTunes、mora、着うたフル/レコチョクで配信。
第2章は2012年9月8日公開の純愛SM映画第2弾。監督は引き続き清水厚。ナナ役は映画初主演のアイドル青野未来。拘束、羞恥プレイ、スパンキングなどよりエスカレートし、リハーサルなしの一発勝負で挑んだという。キャッチコピーは「もっと、君と、繋がっていたい。ふたりの秘密、ふたたび。」。カオルは栩原楽人、ナナは青野未来、ほか染谷俊之、浅居円、津留崎夏子、鈴木築詩、瀬戸早妃。製作は大島満、チーフ・プロデューサーは茶ノ前香、プロデューサーは穂山賢一と太田裕輝、音楽は山田稔明、撮影は西久保弘一、録音は功刀康久、美術は石毛朗、照明は南園智男、スタイリストはEIKI、ヘアメイクはコウゴトモヨ、緊縛指導は荊子、助監督は森木正己、制作担当は平山高志と上岡真、宣伝・配給協力は太秦、制作協力はスピリッツ・プロジェクト、製作・配給はバップ。主題歌は山田稔明「あさってくらいの未来」。ゲームではセガ・インタラクティブのアーケード『三国志大戦』に、2019年2月よりナナをモデルにした王美人(声: 花守ゆみり)が登場する。
『嵐』から『ヤングアニマル』へ移り、Black Labelで夏休みを足し、ハレムのLast Yearで高校生のSMごっこを閉じた。姓は官能小説家から借り、プレイは息抜きと呼ばれ、直接的な性交は描かない。Fun Loveの店長が教え、更科の小説が手本になり、沖縄の元モデルが縄の縁を差し出す。OVAは第6巻特装版、実写はバップ東京思春期の二本、緊縛指導は荊子。240万部のステップアップSMラブコメディである。









