『新妻下半身 わしづかみ』(にいづまかはんしん わしづかみ)は、1991年製作の佐藤寿保監督による日本映画である。2008年の新版プリント以降は『新妻奴隷 強制愛撫』のタイトルで公開されており、こちらの名での紹介も多い。廃墟の病院を舞台に、元開業医が女を洗脳・調教し奴隷化するピンクである。エクセスフィルムが提供・配給し、獅子プロダクションが製作した。題名が下半身でも奴隷でも、中身は治療と称する精神破壊の話だ。
車椅子の少女と、白衣の誘拐
セーラー服姿の車椅子の少女をつれ、真昼の街をウロつくサングラスに白衣の男・滝沢幾郎。何かを探すように車椅子を押す男は、少女の「あのお姉さんが欲しい」という声を受け、ウェディングドレスの女に声を掛け、催眠スプレーで眠らせたうえでボックスカーに乗せて誘拐する。滝沢はユリを神聖視し、世の中の女たちはすべて「病んでいる」と考える。「治療」と称して洗脳し、調教し、奴隷化する。ときにエリの遊び道具として、ときに家具として、自宅兼診療所に幽閉していた。
そんなエリを、同級生だった矢島秀之が偶然目撃する。加えて誘拐の現場にもめぐり合わせてしまう。自分のことも覚えておらず、様子のおかしいエリに気付いた矢島は、かつて訪れたこともある滝沢の自宅、滝沢病院に忍び込む。白衣、催眠スプレー、治療という名の調教——佐藤寿保のピンクは、病院を檻として使う。
滝沢一家と、奴隷にされる女たち
滝沢エリは浅井理恵。思春期の頃から心身ともに成長が止まった少女で、容姿は20歳、精神年齢は12歳。「お姉さま」を探し求める。精神年齢が後退しているのは父・滝沢による精神破壊のためで、フランス人形を大事に抱えている。滝沢幾郎は佐野和宏。廃墟となった病院で暮らす白衣の男で、元開業医。35歳くらいという設定。大人の女の心は傲慢だから、調教で心を破壊し、何も考えられない無垢な状態にすることを「治療」と称して行う。陰毛は穢れた大人の象徴として除去している。
滝沢祥子も浅井理恵の2役。滝沢の妻。病院の庭で全裸折檻を受けるなどしていたが、耐えかねて家出を決意し、滝沢に殺される。死後は神聖視され、遺体は火葬されず、棺は何らかの方法で美しさを保ったまま自室で保存されている。美奈子は中村京子。病院内で牝奴隷と化した女で、看護師的な立ち位置。あゆみは水鳥川彩。滝沢に誘拐され、拉致と洗脳が進む。智子は杉下なおみ。公園で読書していたところを拉致され、滝沢と無理やりセックスや野外羞恥をさせられる。矢島秀之は今泉浩一。エリの同級生だった。エリ用の奴隷として精神改造調教を受けるが、それに耐えてエリの心を解きほぐしていく。学生は伊藤清美。エリに拉致され、顔面と足を包帯で巻かれる。
スタッフ
脚本は五代響子『新妻下半身 わしづかみ』より。監督は佐藤寿保。撮影は河中金美、照明は岩崎豊、編集は酒井正次、録音は銀座サウンド。助監督は江尻健司、須川修次。音楽はDOLL、スチールは佐藤初太郎、現像は東映ラボテック。製作は獅子プロダクション、提供・配給はエクセスフィルム。1991年の題は下半身のわしづかみ、2008年の新版プリント以降の題は新妻奴隷の強制愛撫。どちらも、治療と称する洗脳調教のピンクを指している。
浅井理恵はエリと祥子の二役である。生きている娘は精神年齢12歳のままお姉さまを探し、殺された妻は棺のまま自室で美しさを保たれる。佐野和宏の滝沢は、陰毛を穢れとして剃り、女の心を無垢まで壊すことを治療と呼ぶ。中村京子の美奈子は牝奴隷の看護師、水鳥川彩のあゆみと杉下なおみの智子は拉致されて洗脳と野外羞恥へ進む。今泉浩一の矢島だけが、奴隷調教に耐えながらエリの心を解こうとする。五代響子の脚本、河中金美の撮影、DOLLの音楽、獅子プロダクション製作、エクセスフィルム配給。2008年以降は『新妻奴隷 強制愛撫』の題で回る。佐藤寿保の1991年は、廃墟病院を調教所にした一本である。











