『愛してる!』(あいしてる!)は、白石晃士監督、川瀬知佐子主演で2022年9月30日に公開された日本映画である。日活ロマンポルノ50周年記念プロジェクト「ROMAN PORNO NOW」の一本で、SMの世界を描く。SM愛好家として知られる高嶋政宏が企画監修を行った。R18+。地下アイドルが女王様になる話を、モキュメンタリーで撮ったロマンポルノである。ステレオタイプの鞭と首輪ではなく、愛好家が集まる店の側からSMを見せようとした作品だ。
『変態紳士』から店へ
高嶋によれば、企画段階で著書『変態紳士』を参考にした映画を作りたいという話が上がり、エッセイの精神を反映させた別のストーリーになったという。高嶋はステレオタイプのSMが描かれることに懸念を示し、ショーとしてSMを見せることと、愛好家が集まる店は違う、などを実際の店舗を案内しながらプレゼンした。白石が得意とするモキュメンタリー方式で撮られており、取材カメラマン役の根矢涼香が実際に撮影した箇所も多い。高嶋によると、劇中の喘ぎ声などは演出であり、ナチュラルさは研究の成果、陰毛も「疑似陰毛」とのことである。
主人公は元女子プロレスラーで地下アイドルという役柄だが、撮影時に実際に地下アイドルをしていた川瀬知佐子がオーディションで抜擢された。川瀬は映画『あ・く・あ』への出演経験はあるものの、映画初主演となる。バックボーンが多様な主人公を演じるため、撮影前にプロレス、SM、歌、ダンスのレッスンを受けている。オーストリア・SLASH映画祭、ハワイ映画祭など海外映画祭への出品が決まり、第13回シチリア・クィア映画祭(SICILIA QUEER 2023)のニュー・ビジョン部門で最高賞を受賞した。R18+のSMロマンポルノが、クィア映画祭の最高賞を取る、という位置にある。
地下アイドルがラウンジ「H」へ
喧嘩っぱやくて気が強い問題児の地下アイドル、ミサ。元女子プロレスラーという経歴もあり、ドキュメンタリーとして密着取材がつく。ある日、騙されるように連れていかれたSMラウンジ「H」のオーナーから、女王様の素質があると見込まれスカウトされる。紹介された女王様カノンと出会い、困惑しながらもSMの世界に惹かれ、ミサはアイドルと女王様を両立しながらトップを目指す。プロレスの身体、アイドルの顔、女王の鞭が、一本の密着取材に重なる。
キャストとスタッフ
ミサは川瀬知佐子。元女子プロレスラーの地下アイドルで、アイドル名はミサ☆ザ・キラー。カノンは鳥之海凪紗。人気の女王様。ユメカは乙葉あい。地下アイドルで、ミサとカノンの関係に徐々に嫉妬を抱く。SMラウンジ「H」のオーナー・椿はryuchell。近代化されたSM愛好家。高嶋政宏は高嶋政宏本人で、ラウンジに通うSM愛好家の変態紳士。ふいに股間を蹴られても受けて立てる野生のM。ディレクター・佐藤優子は根矢涼香。密着取材企画のカメラマン。ほかナカムラは今成夢人、山口森広、奴隷役に大迫茂生、木村圭作、福田もか。、鈴木太一、蒼月流。
監督は白石晃士。企画監修は高嶋政宏、SM監修は蒼月流。脚本は白石晃士、谷口恒平。エグゼクティブプロデューサーは福家康孝、製作は鳥羽乾二郎、プロデューサーは紀嘉久、相羽浩行。撮影は池田圭、根矢涼香。装飾は安藤真人、音楽は森優太、録音は岸川達也、整音は岩丸恒、照明は松本竜司、編集は白石晃士。スタイリストは藏之下由衣、ヘアメイクは升水彩香、制作担当は田村知明、監督補は谷口恒平。蒼月流はSM監修としてクレジットされ、劇中では出演側にも名がある。
2022年9月30日公開。日活ロマンポルノ50周年の「ROMAN PORNO NOW」で、高嶋政宏の『変態紳士』を起点にしながら別筋にしたSM映画である。川瀬知佐子は地下アイドル実働のまま、プロレスとSMと歌とダンスを仕込んで初主演した。ミサ☆ザ・キラーがラウンジ「H」でカノンに会い、アイドルと女王を両立する。ryuchellのオーナー、高嶋本人の野生のM、根矢涼香が実際に回したカメラ。喘ぎは演出、陰毛は疑似、店はショー会場ではない。SLASH、ハワイ、シチリア・クィア映画祭ニュー・ビジョン部門最高賞。R18+のモキュメンタリーとして、愛好家の店からSMを撮った一本である。











