エイジプレイは、成人同士の合意のうえで、一方あるいは双方が乳児の役割を演じるプレイを指す。幼児プレイ、赤ちゃんプレイ、おむつプレイとも呼ばれ、日本では一般に赤ちゃんプレイと言われる。おむつとよだれかけを着け、おしゃぶりを咥え、世話役が幼児言葉で話しかける。演じる側は赤ん坊としてふるまい、排泄もコミュニケーションもその役に合わせる。コスチュームプレイの側面が強く、世話の内容によっては剃毛やアナルプレイが重なることもある。ここで扱うのは、すべて成年の参加者によるロールプレイである。
責任を預け、赤ん坊を演じる
一切の責任を世話役へ委ね、排泄も食事も我慢しない役を選ぶことで、解放感や屈辱感を得る。強制的に赤ん坊扱いする筋書きは、SMとしても使われる。性的に興奮することを揶揄され、言葉責めや晒し者にされる展開が多い。日本ではフェチ寄りの扱いが多く、肉体的苦痛は少なめだ。日本以外では、お仕置きとしてのスパンキングなど、痛みを伴う型が目立つ。ごく稀だが、欧米では長期間の日常生活に組み込む例もある。その場合、赤ちゃん役は実際の家族として扶養される形を取る。米国公認会計士の午堂登紀雄は、要因として強いストレスと幼少時の愛情不足を挙げ、有能な人物ほどこのプレイを好む傾向があると分析した。タレントで元プロ野球選手の長嶋一茂は、銀座のクラブでのよしよしプレイを公言している。ストレスを下ろすための退行と、辱めとしての赤ん坊扱いは、同じ衣装を使っても目的が違う。日本のクラブや個人セッションでは前者寄り、SMとして組む組は後者寄りになる。欧米の24時間型は、さらに生活そのものを役へ固定する。扶養と介護の形を借りて、成年の赤ちゃん役が家のなかで赤ん坊の時間を過ごす。日本では稀だ、と原典も注記している。
赤ちゃん役は幼児語や喃語しか話さない設定になる。排泄と食事は我慢せず、おむつやオマル、ミルクや離乳食、哺乳瓶やかわいらしい食器が使われる。おむつやオマルのあと、四つん這いで尻を上げて拭いてもらう型もある。性的に興奮したときはお仕置きとして尻叩きなど別のプレイへ移る、という約束を置く組もある。陰毛がない設定に合わせ、剃毛や脱毛をする。手先が器用でない役として、強制プレイでは指なしミトンをはめて指先を使えなくすることもある。羞恥心がない役として半裸を好み、おむつとよだれかけ程度しか着ない。ボールギャグでよだれを強制する場合もある。自分でおむつを剥がしてしまう演技も入る。
おむつは拘束具であり、所有の印
おむつを使わない場合は、世話役に抱かれて排泄する型がある。日本人の組では、蒙古斑を模したペイントをお尻に施すことがある。赤ちゃん役のおむつは生活用品であると同時に拘束具であり、保護者役による所有と支配の証になる。女性なら生理用品としても使う。男性なら萎えた状態でペニスをお尻側へ折り畳んで着け、きつく当てて男性器の責め具にする。濡れていないか確認する口実でおむつの中へ手を入れ、性器を触る。他人の目がある場所で交換させる羞恥もある。立って歩かずハイハイする。ごっこ遊びの名目で、犬のお手、転がしたボールをハイハイで追う、鳴き声の真似など、一時的なペットプレイへ滑ることもある。
何でも口に入れる役として、授乳プレイの名目でペニスを吸わせたり、おしゃべりを制限するおしゃぶりを含ませたりする。肛門で快感を覚える設定を置き、アナル刺激を重ねる組もある。男性器の包皮を引っ張って強制的に包茎へ戻す責めもある。プレイが日常生活の一部になるケースは欧米で見られ、日本ではほとんど見られない。社会的には、赤ちゃん役を極度の介護が必要な成人、パパとママを後見人・介護者とする形で説明されることがある。
逆トイレットトレーニングと身体の扱い
しつけの名目で、おむつが必要になるよう逆トイレットトレーニングを行う組がある。多量のスポーツドリンクを飲ませて失禁させる、短時間に何度も排泄させて頻尿状態にする、あんよを許さずはいはいさせる、といった手順だ。身体が柔らかい役に合わせ、自分の足をしゃぶれるよう柔軟訓練をすることもある。おむつ替えの名目でまんぐり返しやちんぐり返しを行う。目の前に出した指、足の指、ペニス、乳首などをおしゃぶりさせる。アヌスに快い刺激を与え、そちらで快感を覚えるよう導く。
いずれも成年の合意が前提である。介護や育児の動作を性に転用するのであって、実在の幼児を場に入れる話ではない。おむつの所有、ハイハイ、おしゃぶり、逆トレーニング。大人の身体で赤ん坊の無能を演じ、世話役が全責任を引き取る。日本のフェチ寄りの温度と、欧米の痛みと24時間生活化。午堂が挙げたストレスと愛情不足、長嶋一茂が公にしたよしよし。入口は違うが、役の中身は「我慢しない身体」を相手に預けることにある。ボールギャグでよだれを落とし、ミトンで指を封じ、蒙古斑のペイントで役を固定する。女性のおむつは生理も受け、男性のおむつは折り畳んだペニスを圧迫する。濡れたかどうかの確認が愛撫になり、公開の交換が晒しになる。ペットプレイへ滑るのは、ハイハイという移動制限が犬の役と重なるからだ。授乳の名目のフェラ、おしゃぶりの口枷、包皮を戻す責め、アナルの快感づけ。赤ん坊役の「何でも口に入れる」「肛門で覚える」は、成人の性をその役の論理で書き換えるための約束である。
フィクションでのエイジプレイ
ゲーム『龍が如く2』と『龍が如く7 光と闇の行方』には、エイジプレイを行う風俗店を舞台にしたサブストーリーがある。ドラマ『やすらぎの館』。『民王』のテレビドラマ版では、官房長官の狩屋が愛人にエイジプレイをせがみ、「おしゃぶり官房長官」のあだ名でバッシングを受ける。漫画ではあやあや『おいで、赤ちゃんにしてあげる』(講談社、マンガアプリPalcy連載)。史話では、安禄山が楊貴妃の養子となり、おむつを履いて赤子のように振舞ったという逸話が残る。こちらも成人の演技の記録である。
エイジプレイは、成年が赤ん坊の無能を選び、世話役が食事と排泄と所有を引き受ける契約だ。おむつは下着ではなく拘束具になり、よだれかけとおしゃぶりが口枷の代わりになる。日本では痛みを控え、欧米ではお仕置きと長期生活が乗りやすい。龍が如くの風俗店、民王のあだ名、Palcyの漫画、安禄山の逸話。画面の外では、銀座のよしよしと、会計士のストレス論が同じ棚に並ぶ。有能な人物ほど幼い役へ降りたがる、という午堂の整理は、責任を預けたい側の動機を説明している。長嶋の公言は、クラブのサービスとしてよしよしが商品化されていることを示す。やすらぎの館も、同じ役が物語の小道具になる例だ。24時間化した組では、赤ちゃん役は後見を受ける成人として暮らし、パパとママが食事と排泄と移動を引き受ける。日本では稀で、欧米で語られる型である。実在の子どもを場に置かず、大人の身体で乳児の役を演じる。その線を外した瞬間、これはもうエイジプレイではない。











