本文へ移動Skip to content跳到正文跳到正文
日本と世界のBDSM映像アーカイブThe BDSM video archive — Japan & beyond日本与全球 BDSM 影像资料库日本與全球 BDSM 影像資料庫
小説Novel小说小說

隷獣 · 第6部

隷獣 第6部 (6/7)
前の話 · 次の話

噛めるようになったのに、噛むな、というのです。反射的に出てしまう行動ですから、禁止されてもつい噛んでしまいます。

何回もやっていくうちに、吐くこともなく、奥まで杖を受け入れることができるようになってきました。

「よし。じゃあ、さっそくテストだ。喉が渇いただろう。おれたちの小便をその要領で、一滴残らず飲み込んでみろ」

開口器のときは仕方がありませんでしたが、今度は自分の意思で口を開いて、受け止め、しかも飲み込むのです。

「はい」

外に出されました。

正座して口を開けている私に、望月が小便をします。

以前は放物線を描き顔や体を汚しましたが、今回は望月の先端は、最初から口の中に入っています。

このまま、噛むこともなく喉を閉じることもなく、尿をすっかり飲み込めというのです。

望月が放尿をはじめました。杖のときのように喉を開きます。温かく独特の臭いのある液体が、喉に注ぎ込まれます。

ごくごくと飲むのではありません。ただひたすら杖と同じく、入ってくるものを通過させることに集中します。

長い放尿が終わりました。なんとか胃に収めることができました。

「よし。次はおれだ」

昼食後の尿です。たっぷりコップ二杯分ぐらいはあるのでしょう。それをいっきに飲むだけではなく、続けてもう一人分を飲むのです。苦しくないわけがありません。

それでも飲みました。

「いいだろう」

「ねえ、私のは?」

「女は飛び散るだろう」

「へへへ。これ、棚にあったよ」と有希恵は大きな漏斗を手にしていました。

本当に悪魔のような女になっていくようです。

「やってみろ」

私は地面に横になります。自分の手で漏斗を支えます。その長い先端部分は、喉の奥に。

有希恵はズボンをおろし私の上にまたがって、前屈みになりながら大量の小水を始めました。

「うわあ、気持ちいいわ」

それを飲み込むのは漏斗のおかげで男たちよりも楽でしたが、屈辱的でした。有希恵のおしっこを飲まされるのは二度目でした。有希恵は平気で男たちの前で下半身をさらし、おしっこができるようです。

それも、ただ私に飲ませたい、という楽しみのために。

「うまいもんね。どんなに飲み込みにくいものも、平然と飲んでしまうのね」

懲罰

「試してみるか」

鬼丘はそう言うと、なんとさきほど捕獲したアオダイショウを持って来ました。

私は驚き、震えます。

「ほら、正座だ」

私は再び正座をします。

「尻尾から飲み込んでみろ」

鬼丘はヘビの頭を持って、吊しています。

思わずイヤイヤと首を振ってしまうのです。

「だめよ。もちろん、私たちのおしっこを吐いたりしたら、ただじゃおかないからね」

上を向き大きく口を開け、喉を開きます。くねくねとする尻尾が、入ってきます。生臭いだけではありません。それは生きていて動くのです。

口も喉もヘビが触れるたびに、すぐに閉じたくなります。

でも、なんとかガマンして喉を開き続けるのです。ヘビは弱っていましたが、喉を叩く力はあります。反射的に噛みそうになるのをこらえるのが苦しいのです。激しい葛藤の末に、半分ほど飲み込んでいました。

「いいだろう」

鬼丘はヘビを引き上げました。

吐きそうなりますが、かろうじて尿を飲み込みます。涙があふれている目で、思わず有希恵を睨んでいました。

「なによ、その目。こいつ、刃向かってるわよ」

「うん。隷獣はいつ、どんなときでも理由なく懲罰を加えるといい」

鬼丘はヘビを片付けて、そう言うのです。

「いいわね、懲罰。楽しみだわ」

有希恵はうれしそうな顔をします。あれほどかわいい女性のくせに、どうしてそんな鬼のような言葉が出るのでしょう。

有希恵や望月に腕を取られ、小屋に戻されました。

鬼丘は縄を乳房に巻き付け、手を背後で絞り上げていきます。

「お願いです、縛らないで」

つい、私はそう嘆願していました。

「しゃべったわよ、こいつ」

有希恵が平手で私の頬を叩きました。

「どうせ懲罰なんだ。好きなだけしゃべればいいさ」

望月は、乳首のリングに指をかけて、引っ張ります。

「うっっ」

開口器を外してもらったのに、「はい」以外の言葉を口にすれば、懲罰となるのです。

背中で腕を縛った縄尻を天井からの滑車に取り付けたようです。私の体は少しずつ持ち上がり、吊り上げられました。上体をやや前屈みにして、お尻をさらけ出しています。

両足首が縛られました。土間の隅にあった大きな石臼を転がしてきて、そこに足首からの縄を縛り付けます。

天井から吊され、足に石臼の錘がつけられたので、体が回転することはなくなりました。

「懲罰だ。徹底して痛みを味わってもらおうか」

鬼丘は厳しい口調です。

「悲鳴はあげてもいいが、『はい』以外の言葉を発してはいけない。それを体に叩き込まなければならない」

用意されたのは、竹刀。そして先ほど喉の訓練に使った杖。

「うわあ、こういうの、やってみたかったんだ。江戸時代の拷問よね」

有希恵が興奮しています。

「いくぞ」

望月が竹刀を振り下ろす。それは水平に、白い尻に打ち込まれました。バシンと激しい音が小屋に響きます。

「ひー」

その傷みに声が出ます。

鬼丘も杖を横に払って、二つの丘に食い込ませます。竹刀が切るような痛みなら、杖は潰すような痛みです。

「うー」

「そら、まだまだぞ。もっと欲しいか?」

「はい」

私にはそれしか言えません。

男二人が容赦なく振り下ろす暴力に、耐え続けるしかないのです。

五十発を越えたとき、とうとう私は「どうか」と口にしていました。

「なんだ?」と鬼丘。「最後まで言ってみろ」

「どうか、許して下さい」

泣きながらお願いしました。お尻が痛くて痛くて、裂けて壊れて、下半身がちぎれそうでした。

「だめだ。また懲罰だな。守れるまでやる。おまえは『はい』以外の言葉は許可なく口にしてはいけない」

「はい」

鬼丘は杖を置き、長鞭を手にしました。以前にもそれを味わったことがあります。鋭く、強く、皮膚を切り裂いて肉をえぐるような痛み……。

「いくぞ」

「はい」

ビュッと空を切る鞭。そして腰の上にその先端がぶつかり、巻き付くように私を打ちのめします。

「あー」

絶望的な気持ちになります。

「竹刀はどうだ。欲しいか?」

「はい」

望月の竹刀がお尻を叩きます。ほぼ同時に鬼丘が、鞭を乳房に振り下ろしてきました。

「ぎゃー」

泣き叫ぶしかありません。乳房がもぎ取られるような痛みです。見れば、右の乳房に真っ赤な跡が一筋、ついていました。

力まかせの望月、的確に当ててくる鬼丘。男たちは、私がもっとも痛がる部分を、さんざんに打ち据えます。

乳房にはリングとフックが埋め込まれています。なんでもいいから叩けばいいというわけではありません。せっかく埋め込んだフックが肉ごとちぎれ飛ぶようなことがないよう、鬼丘は正確に鞭を操っています。

乳房に鞭跡が次々と赤くついていくのですから、きっとお尻も真っ赤に竹刀の跡がついているはずです。

合計で百発以上打ったのではないでしょうか。言葉を発するどころか、悲鳴さえも出なくなったので、ようやく許されたのです。

土間に降ろされましたが、縛

めはそのままです。

くたくたになりながらも、泣きながら、ひたすら土間にひれ伏して許しを乞うしかありません。言葉は使えないので、ただ従順な態度だけは示そうと必死でした。

腫れ上がった尻を感じながら、正座して頭を土間にこすりつけて、泣きじゃくるのです。

鬼丘たちは笑いながらながめ、飲み物や食べ物で休息しています。私にはなにも与えません。

「もう、真っ赤よ。叩くところがなくなっちゃうわ」

「これで終わりじゃないさ。次はもっときついから」

私は震えながら命令を待ちました。

三人の小水を再び飲み干すと、休憩は終わったようです。

「眠りのポーズ」を命じられました。

お尻も乳房も腫れ上がっています。自分の体を抱くように、足の中から上体を出し、両腕で足を抱えます。

その格好で縄を受けるのです。

それだけでも苦しいのですが、さらに天井から吊り下げようというのです。

頭の後ろで足首が縛られています。腕と足を縛り、背中や腰にも縄が回されます。腕、背中、腰、足から縄が出て、観葉植物のようにフックで吊り下げられます。

「すごいわ。恥ずかしいぐらい丸見えだわ。おいしいところが叩き放題ってわけね」

広げられたラビア。長時間、木の幹を受け入れていたために、完全には閉じなくなっているおしりの穴。それが有希恵たちの手頃な高さにまで、吊られているのです。

有希恵は短い乗馬鞭を手にしています。先に平たい木の葉のような部分があります。

「好きなようにやってみろ」

鬼丘に言われ、有希恵は笑みを浮かべ、思い切り広げられたピンクの粘膜に、ピタッと鞭の先端を当てました。

「懲罰って楽しいわ」

そしてゆっくり鞭を持ち上げると、スナップをきかせて振り下ろしました。

「うぎゃー」

目が飛び出るのでは、と思うほどの痛みです。鞭の先端が、ボルトを打ち込まれた小陰唇を叩いたのです。

「どう、痛い? 痛いってことは、楽しいってことなのよ」

次に、有希恵は先端をもっとも敏感な突起の上に置きました。

「お願い、そこは」

許されないことなのに、つい言葉が出てしまうのです。

「そんなことじゃ、懲罰はいつまでも終わらないわね。大丈夫よ、軽く叩いただけだから」

鞭が振り上げられます。私はそれを凝視します。

バシッ。音を立てて、先ほどよりも強く叩かれました。

「ぎゃー」

その痛みは、焼き火箸で突き刺されたようで、鐘を打ち鳴らすように痛みがいつまでも尾をひくのです。

「口をきくなんて、失礼なやつ」

黙るしかありません。

有希恵は、手首のスナップだけで叩いています。男たちに比べれば力はないはずですが、痛すぎるのです。

「好きなくせに」

有希恵は、性器の周辺を執拗にパシッパシッと小気味いい音を立てて、打ち据えます。

私は泣き、叫び、耐えるのです。

最初はゆっくりと打ち据えていたのに、指揮棒でも振るように、だんだんと速度を上げて連続で打ち込んできます。

「おうん、おうん」

私はもう声も枯れて、悲鳴というよりもただ嗚咽していました。

「そのぐらいでいいだろう」

鬼丘が止めようとしても、「じゃ、あと十発だけ」と有希恵は続けるのです。秘部と内股部分を、力をこめて打ち据えて、やっと満足したようでした。

湯治場

懲罰が終わり吊りから解放された私は、半ば意識がありませんでした。

気づくと縛めを解かれ、鬼丘は傷ついたところに油のようなものを塗っていました。

「ちょっとしたスポーツみたいなものね」

有希恵の快活な声がしています。

「気分爽快だろ。明日もやるか」と望月の声も聞こえます。

鬼丘は私の頬を平手で張り飛ばしました。

「ひー」

土間をころがりながら、私ははっきりと覚醒させられました。

「さて、じゃあ、行くか」

開口器を再びするのはかなりの苦痛でした。鼻フックもしっかり付けられます。

乳首のリングに六十号と文字が刻まれた錘がつけられ、乳房のフックにもそれぞれ鎖をつけ、二十号と書かれた錘が下げられました。

「どうだ。十六個の二十号の錘は。一・二キロぐらいだろう。乳首は特別に六十号にしてやったから、合計で一・五キロってところだ」

「大きなペットボトルを乳房で下げているようなものね」

「そういうことをするための練習さ」

背中に重い荷物を縛り付けられます。秘木はつけず、瘤のついた縄が荷物から股間を通って首輪までつながっています。

四つん這いになって彼らのあとを歩くのです。有希恵になぶられた股間に、縄が擦れるだけで激しく痛むのです。錘が揺れて、乳首や乳房を引きちぎられるような気がして、それも怖くて仕方がありません。

鬼丘が持つ杖の先が、鞭打たれたお尻の傷に少しでも触ると、ビリッと電流のように痛みが全身を走ります。

「あがー」

開口器のおかげで、思い切り叫ぶことができるのがせめてもです。これならたとえ「はい」以外の言葉を発したとしても、そうは聞こえないでしょうから。

そろそろ日が暮れていくようでした。曇り空なので、暗くなるのが早いのかもしれません。

かつて山頂から下山したときのルートを少し登り返し、峠に出て、反対側の斜面を下っていきます。そこにはコンクリートの階段があって、立って歩くことが許されました。ずっしりと錘が下がり、乳房が悲しいほどひしゃげます。

下りきったところは、河原に面した簡素な湯治場でした。

人の声がしました。緊張が走ります。ここで誰かに会うのは辛すぎます。

「来い」

鎖を引かれ、再び四つん這いになります。イヤでも従うしかありません。

小屋のように囲まれた温泉と、河原に面した露天風呂があります。

先客は、高齢の男たち三人でした。

私を見ても驚きません。

「珍しいな」とか「久しぶりじゃ」と言うのです。

「安心しろ。このあたりの年寄りたちは、隷獣に慣れているからな。昔はかなりの頭数がいたものだ。この秘湯は、隷獣に会える場所として知られていたんだ」

鬼丘はそう言いながら、郁美から荷をおろし、乳房を飾った錘やチェーンを外しました。

そして鬼丘と望月も裸になると、私を引き連れて露天風呂に入っていきます。

強い硫黄の臭いがします。熱い湯は、全身の傷という傷に染み込みます。

「よく見せてくれ」

高齢の男たちも、続いて入ってきました。

湯の中で、男達に体を隅々までまさぐられ、傷だらけの体を鑑賞されるのです。

「しつけが厳しいようだ」

「このぐらいの傷じゃ、大したことはない、すぐ治る」

「りっぱな体をしておるな」

「おう、牛のように丈夫そうじゃ」

「でっかいお乳もついてるし」

そんなことを言いながら、無骨な指で遠慮なく乳房を握り、乳首をつまみ、開いた穴に指を入れてきます。

「試していいかの」

「どうぞ」

有希恵も裸になって露天風呂に入ってきました。かわいい顔立ち、スリムな体型ながら、男たちは見向きもしません。

なにをしても、文句を言わない私、隷獣の牝に興味があるのです。

「それじゃ」

男たちは、固くなったものを開いた口に入れてきます。私は湯船に浸かるようにして、咥えます。

「おいおい、もっとうまくしゃぶれ」

はやし立てる者もいます。

「おれのをでっかくしてみろ」

三人は、交互に口に自分のものを押し込んでくるので、必死になって舌で愛撫しました。喉は開ききり、どここまでも受け入れました。長い男性器が喉の奥に到達し、舌で玉袋をしゃぶり、さらにそれも口の中に入れると、男たちは「なかなかじゃな」と感心してくれました。

「お、いけそうじゃ」とその人は、私を促します。風呂の縁に手をついてお尻を突き出します。開かれた性器を指で確認しながら、挿入してきました。

「おお、いい具合じゃ」

「どれどれ」

三人が代わる代わる味見をします。

「隷獣とするのは何年ぶりか」

「これは浮気じゃないからな。こうしてやるのがシン様への奉仕じゃから」

「そうじゃそうじゃ」

口と膣。交互に三人が入れてくるのです。

「久しぶりに

逝

けそうじゃ」

「なーに、おれはいつものことさ」

「バカ言え。ひとりでやってるくせに」

男たちは最後まで明るく笑いながら、私の中に射精して果てました。

「ありがとさん」

そう言いながら、男たちは帰っていきました。

「あれと交わると三年長生きするぞ」と笑っているのです。

そのあと、私は鬼丘にブラシで体を洗われました。

小屋は二棟あって、内湯のようになっている風呂だけの小屋と、湯治として寝泊まりできる小屋がありました。板の床にゴザを貼っただけの部屋ですが、調理場もあります。

運ばされた荷物には、縄などの責め道具のほかに、食品や酒などもありました。

鬼丘は先に彼らの食事を用意しました。肉や野菜を鉄板で焼きながら、楽しそうにそれを食べ、飲んでいます。湯治場になごやかな空気が満ちていました。

懲罰のときのような険しさはなく、私は温まったこともあって、気持ちまで緩んでいました。

ですが、それは偽りのなごやかさだったのです。おそろしいまでの残酷な仕打ちへの期待感が、空気の底に淀んでいたのです。

私をどうしてやろうか、と鬼丘たちは考えていたのです。

「楽しみはこれからまだまだある」

酔った鬼丘が言います。

私は座敷の隅で正座をして待っていました。

「まんぐり返し」と命じられ、ごろんと背中をつけると、足を自分で抱えて股間を彼らに差し出します。

鬼丘は膣を指で大きく開いて、そこに口に含んだ酒を吹きかけました。さらに、肛門にも指を入れて、ほぐしていきます。

縄で縛られます。何度も縛っていたので、縄はすっかり私の肌になじみ、皮膚に食い込むほど硬く縛っているのに、それが生まれたときからそこにあったかのように思えます。

荷物の中から、アオダイショウが取り出されました。くねくねと鬼丘の体にからみついています。

「思ったよりも元気がいいな」

ネズミはすっかり消化されているようでした。

台所へ持って行くと、その頭を釘で

俎

に打ち込みました。アオダイショウは激しく暴れますが、逃げることはできないのです。私のように……。

ヒモで頭の付け根を強く縛り付けると、包丁で頭を切り落としました。

「まさか、食べるの?」

「おれたちは食べない。捕まえたやつの褒美だから」

頭を失っても、なおくねっているヘビを、鬼丘は私の上に持ってきました。

「存分に味わってもらうか」

ぴくぴくと動いているヘビの胴体部分を、肛門に押しつけてきます。死への痙攣か、反射的な行動か。ヘビは、すばやく私の中に逃げこもうとするのです。

「はふぇぇぇ」

ウロコを動かし、くねくねと腸に入り込んでくる死にかけたヘビ。

一メートルもあるヘビが半分以上、いっきに中へ潜り込んできました。

「どうだ。ヘビの味は?」

鬼丘が残忍な笑みを浮かべています。もし鬼丘が手を離せば、ヘビは腸の奥へと、命ある限り進んでしまうのではないでしょうか。

「がぁぁぁ」

おそろしさに声が出てしまいます。

腸全体がヘビになったように、くねり、のたうちまわります。このままいけば、お腹が破けて、内臓ごとヘビが飛び出してきそうです。

もうダメだと思った頃になって、その力が少し弱くなってきました。

鬼丘がヘビを持つ手を緩めました。ヘビは、ヌルリとさらに奥に入っていきます。ぐいぐいと腸を蹂躙しながら、とうとう細い尻尾だけしか外に出ていません。

鬼丘は手を離しました。

「本当に尻尾が生えたな」

彼らはゲラゲラと笑います。

そこで動きは停止したようでしたが、私が少し動くと、ヘビも反応して動きます。

「味つけもしなくちゃな」

プラスチック製の小型の浣腸器で日本酒を吸い上げます。それを、飛び出ているヘビの尻尾の脇から、腸内に注入するのです。

びっしりとヘビが入り込んでいる腸内に、アルコールが染みてきます。

「ひゅえぇぇ」

アルコールが粘膜から吸収され、ぼんやりと酔っていきます。

「どうだ。気持ちいいだろう」

酒が中まで染み込んでいくにつれて、ヘビは再び反射的に運動を始めました。ぐねぐねと最後のあがきでしょうか。

酒はさらに追加されます。

腸内を酒とヘビに満たされていくのです。

「ひゅあー、はふえぃはふぇー」

助けて、と言ってしまいます。言葉を使う習慣を簡単にストップはできません。

腸がぐねぐね動き、酒が染み込み、私はいったいどこへ連れて行かれるのか、わからなくなっていきます。

悲鳴が、やがて嗚咽に変わっていきました。

日本酒は四百CCほど注入されたのでしょうか。

「感じてるんだろう?」

鬼丘はヘビをゆっくり出し入れしているのです。ヘビは最後の反射運動で、まだくねってみせたものの、鬼丘によって簡単に引き出されるほど、力はなくなっていました。

「どうだ。ヘビの酒蒸しだ。おまけに生き血も入っているしな」

有希恵はさすがに笑みも凍っていましたが、私をしっかりと見続けていました。望月は薄ら笑いを浮かべて、酒を飲みながら鑑賞しています。

「さて。酒がたっぷり染みたかな」

鬼丘は、ヘビをズルズルと引き出していきます。

「がひっぃぃぃ」

なんという快感でしょう。腸をごっそり引き出されるような苦しみとともに、お尻をすっていくウロコの感触が、私を狂わせるのです。

体がビクビクと震えて、止まりません。

「感じてるんだぜ」

「まさか、ウソでしょ」

「泡を吹いてやがるぞ」

酔いと、おぞましいヘビ、それが引きずりだされる得も言えぬ快感……。私自身がヘビになったように、身もだえしていました。

三日前の私なら、とっくに失神していたでしょう。でも、いまは受け止められるだけの快楽をしっかり受け止めて、むさぼるように吸い尽くすのでした。そんな淫らな体になっていたのです。陶酔の中に浸ることだけがすべてなのです。

ヘビはまったく動かなくなりました。半ば失神しつつ、ヘビが引きずり出されていくのを、名残惜しく感じるほどでした。

余韻の中で快楽の残滓を味わいつくしている私を放置して、鬼丘はそのヘビの皮を剥き、包丁で肉を細かく叩き、肉団子にして焼いたのでした。

開口器や拘束が外され、私にだけヘビ肉を食べさせるのです。

「これで、元気になるぞ」

すっかり失われたと思われたエネルギーが急速に充電されるのがわかります。同時に、淫靡な炎が体内からちろちろと燃えさかります。

うずいて仕方がありません。最初は、全身を包むけだるい痛みのせいだと思われたのですが、どんどんと熱くたぎってくるのです。

言葉を発してはいけません。だから、自らヘビになったかのように、身もだえながら、彼らにアピールするしかないのです。

「郁美、どうかしちゃったわよ」

「なんだ、どうしたんだ」

「はい」

唯一発していい言葉を口にし、奇妙な裸踊りを繰り広げました。

鬼丘も望月も興味なさそうな態度です。

「ねえ、なんか、郁美、狂ってるんじゃないの?」

「気にするな」

傷だらけの体で、身もだえしながら、男たちに懸命に訴えます。

有希恵はそのあさましい姿にゾッとしているようです。

「あんなに、バカみたいになっちゃうのね。確かにケモノだなあ」

しばらくじらしていた男たちが、ようやくニヤニヤと笑いながら、私の裸体に手を伸ばしてきます。

腕や足を撫でたり、つまんだりするばかりで、やさしすぎるのです。

私は荒い息をして、激しいことをしてほしくてなりません。

「そんなに欲しいなら、やってやればいいじゃない」

「じゃあ、まあ」

鬼丘と望月が裸になって、私の体をまさぐりはじめました。

「ううう、いい……」

その感触に浸ろうと、男たちの中に潜り込みます。そして彼らの男根をくわえ、しゃぶり、立たせようとしました。

「まったく、大変だな」

男たちは仕方なく、私を犯すのです。

「ほら、どうだ」

もっと強く本気で犯してほしいと全身で訴えるのに、彼らはわざとじらすのです。

鬼丘はお尻の穴を、望月は性器を犯しています。

だんだん私の動きに合わせて、彼らも本気になってきます。

有希恵もとうとうガマンできなくなったのでしょう。裸になると私の顔にまたがってきました。

口と鼻に、毛深い股間を押しつけてきました。かわいい顔をして、こんなに毛深いなんて、と私は思うのですが、そこがべっとりと濡れていることに気づきました。

有希恵もお尻にヘビを入れられたいのでは、と思いましたが、もちろん言葉は発しません。

「そんなに欲しいなら、舐めてごらんよ」

呼吸も満足にできないほどお尻が押しつけられました。私は有希恵の体にむしゃぶりつきました。女性特有の甘い香りが広がります。

「もっと激しく!」

有希恵は、乳首のリングを引っ張って、私を挑発します。

乳房も感じています。大切な性感帯なのに、無惨にもリングとフックが埋め込まれてしまい、まともな愛撫はできないように改造されてしまっています。

有希恵はリングを引っ張り、フックをいじり、その大きな乳房を握り潰そうとします。

私は有希恵のアナルやおまんこを唇、舌、鼻で愛撫します。鼻は有希恵のアナルに埋め込まれ、唇と舌でおまんこをしゃぶります。

私自身、ますます身もだえして、快楽を得ようと必死にもがきます。

男たちが両方の穴を激しく突き上げます。

「はうはう」と私は声を上げながら、三人に満足してもらおうと必死です。

男たちが中に射精し、果てたあとも、有希恵はまだ顔に乗って、容赦なく責めてきます。

有希恵は一度は間違いなく絶頂を感じたはずで、その証拠に大量の液体を口の中に放出してくれましたが、まだ物足りないのです。

「まだ終わらないわよ! もっと!」

顔がぐちゃぐちゃになってしまうかもしれませんが、私はひたすら、有希恵を逝かせるように愛撫し続けました。

そのうちに男たちも、私たちの姿に興奮したのか、その気になってきて、私を再び犯すのでした。

お披露目

夜更けまで続いた宴のせいか、日がかなり高くなるまで、誰も起き出しませんでした。

私たちは風呂に入り、鬼丘が作るお茶漬けを朝食として食べました。私には三人のお小水茶漬けです。

帰路、鬼丘だけが小屋へ向かい、有希恵と望月は、別の道へ私を引き立てていきます。

とうとう例のバス停に出ました。

「入れ」

私は荷物を降ろすと、拘束されたまま、望月の車に乗せられました。

長い旅の間、私はぐっすり眠ったようです。

ようやくドアが開くと、見慣れた光景、そして懐かしい町の臭いがありました。

自分のマンションの前です。

「出ろ」

鼻輪、鼻フック、開口器、乳房に錘を下げ、ラビアもめいっぱい広げられています。

そして全身が傷だらけです。

恥ずかしさで身動きが取れません。

「来い」

望月と有希恵に引きずり降ろされました。

そして、マンションの中に連れて行かれるのです。マンションの管理人。住人とすれ違います。

有希恵が「こんにちは」と明るく挨拶しています。怪訝そうな表情、そして不快そうな顔。

みな私から目を逸らすのです。

自分の部屋です。出てきたときとなにも変わっていません。変わったのは私自身です。

「今日、なんの日か知ってる?」

有希恵は昨夜の性の発散のせいか、同性の私でもゾクッとするほど妖艶な女性になっていました。

私はぼんやりと考えます。有希恵がなにをしたのかわかりませんが、管理人も住人も、私をとがめることもなく無視していました。私の存在は透明人間かのように、この世から消えてしまったのでしょうか。

その奇妙な感覚が、理解できずにいたのです。

「あんたの誕生日でしょ」

取り上げられた私の保険証を、有希恵が見せてくれます。

「だから、バースデーパーティーをやるのよ。それは隷獣郁美のお披露目でもあるの」

ごくりと唾を飲みました。言葉は発してはいけないのです。

「この二日も大変だったと思うけど、これから先、もっとひどい毎日になる。だって、毎日なんだよ。永遠にね。もう逃げ場はない。だったら今日、退路を断ってしまうの。そのほうがいいでしょう?」

あの夜、私自身が決めたこと。それも、こうして戻ってくると、決意は簡単にぐらついてしまいます。

服を着たい。下着を身につけたい。すぐそこにたくさんあるのです。きれいな服、かわいい下着。そうすればもうこんな酷い目に遭う世界とはきっぱり縁が切れるのです。

乳房を飾る金具も、いまなら簡単に取り除くことができるのではないでしょうか。跡が残ってもいいから、病院に行って外してもらうのです。

有希恵の言うように退路を断てば、あとは奈落の底に落ちていくしかないでしょう。きっと、そのまま人知れず死んでしまうのです。

でも……。

帰る場所を失えば、そんなことを考えたり、悩まなくてすむかもしれません。

もっとも、有希恵は、ただ私を辱めたいだけかもしれません。だとしても、かまわないのです。有希恵が私の顔の上で何度もアクメに達したのが、私にはうれしてくてならないのです。もっと辱め、おとしめてほしいのです。

私はもう決意したのですから。

有希恵の言うままに支度をしました。おそろしさに打ち震えながら……。

場所は大学に近いホテルでした。

白地に「郁美さん誕生日おめでとう女子会」と書かれた看板。受付には大学の友人が二人立っていました。有希恵が招待した女子たちが、カジュアルなパーティーの服装で、それなりに着飾って集まっています。

私の同級生たちの多くは、今年成人式を迎えていたので、こうしたパーティーの服を着る機会を喜んでいるようでした。

全員が女性です。有希恵は、私と面識のある女性ばかり百人近くを集めていました。

面識といっても、私のことなどろくに知らない人も多かったのですが、有希恵に誘われると断れない人たちが大勢いるのです。

その入り口の内側に、私は立っていました。

高い背を、高いヒールでさらに際立たせるのが有希恵の演出でした。盛り上がった栗色のウィッグも、背の高さを強調します。

成人式に着たピンクのふんわりとしたドレスを、有希恵が勝手に改造していました。それに、薄いストールを羽織って胸元を隠します。

蹄となっている手先を隠すために、花束が縛り付けてあります。

手の革紐の編み上げが、二の腕まで達しているのが見えているはずです。

しかし、それもなにかのデザインのように見えるでしょう。

日焼けした肌が見え隠れしています。南国風のマスカラやシャドーによって、エキゾチックな表情になっています。やつれているはずですが、鏡で見た限り、これまでにない大人っぽい美しさが漂って、集まった女性たちより年上に見えているでしょう。

「ありがとうございます」

私は来客に頭を下げます。

「郁美、心配してたんだよ」

友達と呼べる同級生が声をかけてくれます。

「ありがとうございます」

それしか言ってはいけない、と有希恵に言われていました。

「違う言葉を言えば、その場で懲罰だよ」と。

「元気そうでよかった。すごい誕生日会だね。まさか、あなたが有希恵とこんなに仲がよかったなんて知らなかったわ。山ガールの会で知り合ったんでしょう?」

「はい」

ほかにはなにも言えません。

彼女たちの明るい表情を見て、ぽろりと涙がこぼれてしまいます。ぬぐうこともできません。

「どうしたの、泣いてるの?」

首を横に振って、笑って見せようと努力しました。

「郁美、きれいだわ。背が高いから、カッコいい。ハワイあたりの美女みたいな感じよ」

そんなことを言ってくれる女子もいました。もしそうだったら、どんなにいいでしょう。

「すごい痩せたんじゃないの」

心配する子もいました。

「ありがとうございます」と私は腰をかがめ、頭を下げるばかりです。

会場は立食式で、料理よりはスイーツ系が中心です。ソフトドリンクも各種並び、シャンパンとアルコールの少し入ったパンチも用意されていました。

その甘い香り。山から運ばれてきて、このパーティーまで、一切、食事はなく、有希恵の小水を飲まされただけです。

「喉が渇いたら、いつでもいいなさい」と言うのですが、有希恵は私を便器代わりに好きなように使うのです。私からリクエストする必要などありません。

人として食べるものが、食べたくてなりませんが、そんないけない気持ちになるのも、私がまだケモノになりきっていないからでしょう。

センターに食べ物が並ぶテーブルがあり、周辺に丸いテーブルがいくつか置かれています。イスは壁際に置かれています。

一番奥に金屏風。「郁美さん 誕生日おめでとう」の横断幕。

招待された客たちがほぼ揃ったところで、有希恵が私を促し、その金屏風の前に二人で立ちました。

私は足がガタガタ震えていました。きっと顔もこわばっていたでしょう。

有希恵はマイクを持っています。

「本日は、郁美さんのお誕生日を祝う女子会にお集まりいただき、ありがとうございます。どうぞ、みなさま、ご自由にご歓談、ご飲食なさってください」

ガヤガヤと賑やかな会場。軽い音楽が流れ、みなそれぞれに楽しんでいます。

その間、私はひとり、金屏風の前に立たされているのです。

有希恵は来てくれた友達に挨拶し、ときどき私の方を見て、彼女たちになにかを囁いています。

三十分ほど過ぎ、ほとんどの人が一通り食べたり飲んだりした頃合いに、有希恵が再びマイクを持ちました。

「みなさん。ご注目ください。郁美さんが、これから大変身をいたします。これは彼女の一世一代の晴れ姿です。みごと変身できましたら、拍手喝采をお願いいたします」

よく見れば、私の足がガクガクと震えているのがわかったでしょう。多くの参加者は、なにが始まるのか、と興味深げに前の方へ集まってきます。

「さあ。では郁美さん。お願いします」

私は、金屏風の裏に入りました。そこでウィッグを外し、花束を捨て、ドレスを脱ぐのです。

いやが上にも全員が注視しているはずです。

部屋の明かりが、非常灯を残して消えました。ほぼ真っ暗で、隣の人の輪郭がなんとかわかる程度です。音楽も止まりました。

「うわああ」

私は思わず声を上げてしまいました。屏風の陰から声が漏れ、みんなも驚いたはずです。

客席がざわついています。

「なに、あれ」

「ドッキリ演出かな」

「私、怖いのはダメ」

「大丈夫よ、なにか笑えるやつじゃないの?」

「なんだか臭くない?」

「ホント。動物みたいな臭いがする。イヤだわ」

はっきりとそうした声が聞こえてきます。

ピンスポットが屏風の一端に当てられました。

「さあ、みなさん。ご注目ください。隷獣郁美の登場です」

もう逃げることはできません。

私は、屏風の影から、真っ白なスポットライトの中へ踏み出しました。

「ひゃー」

奇妙な叫び声を上げる客がいます。

「なに、どうしたの」とひそひそ声。

私は全裸でした。

この会場の別室で、カミソリで剃り上げたつるつるの頭。首輪。銀色に光る大きな鼻輪。鼻フックが、鼻孔を引きちぎりそうなほど強く、上、そして左右へと引っ張っています。鼻はそのために醜くひしゃげています。

口は開口器で全開です。

その口から、そして全身から獣じみた体臭が漂っているはずです。

手は編み上げ式の蹄。

私の横に、望月が立っています。黒い革のジャケットとパンツ、サングラスで決めています。

彼が手にしている鎖は、鼻輪につながっているのです。

それは、誰もが知っていた私ではありません。歪み、醜い獣の顔。化粧の名残が、醜悪さをより強調していることでしょう。

でも、これがもしかすると、本来の姿なのです。

「郁美は、人であることを止めたのです。隷獣という、人里離れた場所で古代の神である『シン』の使役動物となる道を選んだのです」

有希恵が淡々と説明しています。

「これから、みなさんの間を周りますので、存分にご覧ください。写真もご自由にお撮りください」

望月に引かれて、私はゆっくりと会場の中を歩かされます。最初は二足歩行で、全身を見ていただくのです。

「郁美は、隷獣となる決意をしました。この誕生日は、郁美の隷獣としての誕生日を祝う会です。そして、彼女が私たちと同じ人間の女性であることを放棄したことを、みなさんに確認していただきたいのです」

集まった客たちは、みな息を飲んでいます。なにかしら、ホッとするようなオチがあるのでは、という期待もしているのではないでしょうか。すべては仕組まれた冗談だと思っている人たちもいるでしょう。

「ご覧ください。もはや郁美は女性ではありません。人間ですらありません。隷獣の証しとして、大きな鼻輪をしています。鼻孔を拡張しております。基本的に言葉はしゃべりませんので、口は開いたままにしてあります。首輪も必需品です。手は、前足としての役目しか必要がないので、蹄に改造されています」

有希恵は、いつしか手に乗馬用の短鞭を持って、私の後ろについています。

「そして、尻尾があります。隷獣の証しです。この尻尾は郁美の髪の毛で作ったものです」

有希恵が、ピシッと尻を鞭で打ち据えました。その鋭い音に会場はシーンとなりました。

秘木は許されておらず、余った髪で作った急造の尻尾を埋め込まれていました。

帰る場所

「止まって。足を開いて」

仁王立ちをします。足を開いて秘部をさらします。その異様な姿に、集まった女性たちは言葉も出ないようです。

乳首のリング。乳房に埋め込まれたフック。そして腰に奇妙なコルセットをし、ラビアを限界まで開いているのです。

ラビアには八つのボルトが埋まっています。それが性器であるとは、客の大半は、しばらく気づかなかったのではないでしょうか。

なにか赤いぬめぬめしたものが貼りつけてある、それで秘部を隠しているように見えたかもしれません。

でも、それこそは私自身なのです。ありのままの、あさましい姿です。

「みっともない姿ですが、隷獣は、体のすべてを使って、使役する獣です。まだ郁美は完全な改造が終わっておりませんが、いずれ、もっと隷獣らしい姿に変身していくでしょう」

ギラギラとまぶしいライトに照らされて、体が傷だらけであることも見えていると思います。

「隷獣は女ではありません。その証拠に、子どもを育てるために必要な乳房をこのように改造していますし、性器は常に剥き出しにしてあります。こんな姿、普通の女性には絶対に無理でしょう」

私の体を見つめる客。気分が悪くなって出て行こうとする客もいましたが、出入り口を有希恵の仲間によってふさがれています。

「ご気分を悪くされたみなさん、しばらくお待ちください。このコーナーが終わりましたらドアを開けますので」

有希恵は、食事が並ぶテーブルの一角にある盛り花の下から、錘のついたチェーンを、じゃらじゃらと取り出しました。

「どなたか、お手伝いいただけませんか?」

何人かの女性が、有希恵の近くに来ていました。興味津々なのです。有希恵の合図で、望月がその一つを乳房の付け根のフックにかけました。

「ご覧ください。乳房には左右、各八つのフックが埋め込まれています。また乳首にもリングをつけています。肉にめり込んでいますが、自在に動くようになっています。隷獣にとって乳房は、子どもを育てるものではなく、また性的な快感を得るためのものでもなく、単なる物を運ぶための道具なのです」

有希恵の友人である二人の女性が、錘を乳房に取り付けていきます。

巨大な乳房が、たちまち不格好にひしゃげていきます。

すべてのフックに錘が取り付けられてから、四つん這いになりました。

「隷獣は、通常の私達のような喜びは感じません。痛み、苦痛、恥辱こそが喜びとなります。とくに、この郁美は痛みが大好物です。どうか、哀れまないでください。こういうことが郁美にとって、最大の幸せなのですから」

すると部屋がパッと明るくなりました。真昼の明るさです。

人々はホッとしたようです。ドアが開き、数人の客は急いで出ていきました。

その白々とした光の中に、私はまだそのままの姿でいました。

これは幻やトリックではなく、現実なのです。

「みなさま。ありがとうございます。郁美は、このように隷獣となり果てましたが、これからも命ある限り、シンに仕える所存です。街中に出ることはあまりないとは思いますし、みなさまにご迷惑をおかけすることもこれからはないでしょう。もし今後も、目にすることがありましても、ケモノとして見てあげてください。そして、時には厳しい鞭をくれてやってください」

バシッと有希恵は再び鞭を尻に打ち据えるのです。きっとそこに新たな赤いスジがついたはずです。

会場をぐるっと回らされ、再び金屏風の前に戻りました。

「本日は本当にありがとうございました。会場はこのあと一時間ほど借りておりますので、郁美に隷獣のお祝いとして、鞭をくれてやりたい方がいらっしゃいましたら、存分にどうぞ。郁美は大変に喜ぶでしょう」

大半の客は帰っていきます。

遠くから不気味なものを見るように、私の同級生たちがながめていました。これが現実なのかどうか、いまだに理解できないでいるのでしょう。

有希恵の知り合いたちは積極的で、鞭を打つための行列ができていました。有希恵から短鞭を借り、打ち方を教わって、私に振り下ろすのです。

「うわー、けっこうおもしろい」

バシッと決まる人は少なく、鈍い音で終わることも多いのですが、もともと、馬に乗り手の意思を伝えるための鞭です。人間に比べればずっと頑丈な皮膚を持つ馬用の鞭を人間に使えば、立派な凶器です。上手でも下手でも、打ち据えれば大きな痛みとなります。

「もう一回やろう」と、列に戻る人もいました。

「あの尻尾、どうなってるんです」と有希恵に聞く女性もいました。

「本来は秘木と呼ばれる伝統的な道具を使いますが、いまは秘木を入れることが許されない時期ですので、仮によく似たものを用意して入れています。郁美は自ら、太い棒状のものを体の中に入れることができるのです」

「うそ」と絶句しつつも、写真を撮る女たち……。

「彼女はもう、大学には来ないんですか?」

「ええ。すでに退学の届けをしています」

「そうなんだ。ご家族は?」

「郁美が自ら隷獣となったことについて、とてもショックを受けたようで、先日、戸籍から抹消する手続きをしました」

「そんなこと、できるんですか?」

「ええ。隷獣になるために、私たちの祖先が持っている特別な戸籍がありまして、そこの養子ということになります。ですから、獣という苗字になりました。獣郁美ですね」

「へえ」

鞭打たれながら、有希恵の言葉を耳にしていた私は、知らない間にそんなことになっていたのか、と驚くばかりです。

二度と、親兄弟と会うこともないのです。有希恵がどう親に言ったのかはわかりませんが、それで両親は納得したのでしょうか。するはずはないと思いたいのですが、娘の私が自ら選んだ以上、あきらめたのかもしれません。

腫れ上がる尻の痛みだけではなく、私はポロポロと涙を流していました。

「郁美、痛くないの」

たまりかねた親友たちが、私の周りにやってきました。ビシッ、バシッと容赦なく尻を鞭で打ち据えられているのに、私は逃げるどころか、むしろ高く尻を上げ続けていました。それでいて、大粒の涙がポトポトと床に落ちていきます。

有希恵が、友達のところへやってきました。

「痛いのよ。あなたたちの想像している以上に痛いわ。試してみる?」

友達は恐れをなして、あとじさりします。

「大丈夫よ」と有希恵は笑う。「郁美は、この痛みを悦びにするの。私たちとはまったく違うの。苦痛、激痛、かゆみ、辛さ、恥ずかしさ、恥辱、汚辱……。体だけではなく心に響く痛みさえも、郁美には快楽になるのよ」

「まさか……」

友人たちはゆっくりと私から離れていきます。有希恵からも離れていたいのです。

「こういうことができる素質は、特別なものよ」

一時間がそろそろ過ぎようとしていました。私の尻は、右も左も鞭跡で真っ赤に腫れ上がっていることでしょう。

鞭を打つ列も減り、ほとんどの客は帰っていきました。でも友人たちは、まだそこにいました。

有希恵は鞭を取りもどし、その先端で私の広がった性器をさぐります。

「ほら、見てごらんなさい」

木の葉のように広がった鞭の先端が、テラテラと光っています。たっぷりの汁に濡れているのです。

「こんな酷い目にあって、郁美は大喜びなのよ」

「うそでしょ」

「あなたたち、こんなに濡れたことってある? 特別に淫らなケモノだけがこうなるの」

「信じられない」

そうは言うものの、さすがに友人たちも呆れ果てたのでしょう。もう私をかばう気も失せて、会場をあとにしていきました。

「まったく、だらしないおまんこだわね」

有希恵は膣口のあたりを鞭で軽く叩いています。

「おうっ」

「みんな、あきれて帰っちゃったわ。誰もあなたの代わりになろうなんて言わなかった。だけど何人か、ちょっと興味ありそうな子もいたわ」

すると望月が「ちゃんとチェックしたよ」と言うのです。「鞭の列に並んだ連中よりもむしろ、目を背けて逃げて行った連中の中にいそうだ」

「ええ。出口とトイレにビデオカメラを設置してあるの。あとで確認してみましょう。興奮した子が、トイレで妙なことをしているはずだわ。もしかしたら、素質のある子が一人か二人、いるかも」

私を辱めるだけではなく、そこに集まった中から私に似たタイプを見つけようというのが、このパーティーの狙いだったのです。隷獣の候補者を見つけて山に誘い、私のように陥れるつもりなのでしょう。

有希恵は、私のことを山登りやハイキングへ行く前から観察していたのです。そして見抜いたのです。

それは偶然ではなく、有希恵に見抜く力が潜在的にあったからこそでしょう。

もし私が隷獣の見本を見ていたら、その反応でもっと簡単に見抜かれていたかもしれません。きっと興奮して、トイレに入って……。

私の友人の中に、有希恵に目をつけられた子がいたら……。哀れでかわいそうな子がまたひとり、増えることになるのでしょうか。

望月は私を従えて、ホテルの地下駐車場へ行くと、クルマに乗せました。

有希恵は一緒に来ませんでした。次の獲物を探すことに夢中なのでしょう。有希恵もまた、ようやく目覚めた自分の能力に酔っているのかもしれません。

夜、山間の真っ暗なバス停で降ろされます。

冷たい空気が流れていました。本格的な秋が始まろうとしていたのです。

望月は、私の体に二つの大きな荷物を縛り付けました。

「おれは忙しいんでね。おまえは一人で山小屋へ行け」

そう言うと、クルマで戻って行ってしまいました。

私はまた試されていました。誰もいないバス停。ここで荷物を捨てて、山を下りることもできます。

本当に両親が私を捨てたのか、確かめに戻りたい気持ちもあります。

でも、もし両親が有希恵以上に冷たく、酷い態度で私を追い払ったら……。

「おまえのようなやつは、もう娘でもなんでもない!」と怒鳴られるかもしれません。

そんな怖ろしいこと……。

明日、大学に行って友人たちに「あれはみんな冗

談」と言ったとして、元に戻れるでしょうか。

わかりません。

でも、この迷いは、以前に自ら捨てたはずの迷いでした。

私はひとり、暗い山道を歩きはじめました。誰も見ていないのに、四つ這いで。股間に食い込む縄の痛みを感じながら、荒い息をして小屋へ向かったのです。

ほかに行く場所はないのです。尻尾を入れられていましたが、それは痛いだけで秘木のような快楽は得られません。

ただ、本当にこれまでの自分をすっかり捨ててしまったこと、そしていま感じることのできる苦痛が、これまでにない悦びになっていきました。

隷獣 第6部 (6/7)
前の話 · 次の話