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美尻奴隷 責める! · 第1部

美尻奴隷 責める! 第1部 (1/2)
次の話

31

美尻奴隷 責める!

内村 慎也

1

ゴーストライターをやったり、三流週刊誌の盛り場探訪といった記事ばかり書いてはいるが、いつかは、という気概はいつも持っていた。親の残してくれたちっぽけなマンションが恵比寿にあって寝るところには困らない。年収といえば大企業の係長クラスと言ったところで、威張るほどではないが、まあ、趣味のカメラをやりながら、一人っきりの人生、何とか生きていくには不自由はしないと言ったところだ。そんな私だが、興味を持ったことはじっくり調べるくせがあり、その結果うまく作品が出来上がる時もある。もう少しでノンフィクション関係のちょっとした賞を取りそうになった記事を書いた時は企業経営について随分と勉強したし、ある大手の出版社が興味を示してくれた記事はもうちょっとで出版されそうになったものの、結局見送られはした。しかし、その時にずいぶんといろんな人との人脈ができたものだ。私の仕事は対価を期待するという類のものではない。もし時代に受け入れられたならば、たまたまの結果として大金が転がり込むということはあるだろう。しかし、生活費を稼ぐため、専門家でもないのにしたり顔でテレビでコメントする、などということは私には無理だ。結局、要領の悪い生き方なのだろう。

そんな私に時折情報をくれ、いつも奢ってくれるのが横山社長だ。横山氏は私のねぐらの近く、恵比寿駅からほど近い場所に拠点を持っていた。いや、拠点というより会社だな。あるビルをおりていくとどでかい扉がある。その奥は会員制のストリップバーになっていて、とびきりの女性たちが怪しく蠢いている、というわけだった。私も何度かおじゃましたが、品のいい、身なりも立派な紳士淑女たちが設えられた舞台を食い入るように見つめている景色は壮観とすら言える。そこに出演しているストリッパーたちは美姫ぞろいだった。何でも宝塚出身の子もいるという。幕間には、横山社長の秘書役を務めている男が下手なコントや笑劇をやっているのは全くのご愛嬌だった。

今日はその横山さんから食事に誘われていた。東京駅そばに「諫早」という店があって、ここは少々お高いが、実に新鮮な魚を食わせる。何でも女将が長崎の出身で魚は空輸しているそうだ。私は5分早く到着したが、いつもの個室にもう横山さんは座っていて、あと数日で10月だというのにとても蒸し暑いこの日にぴったりの冷たい生ビールを美味しそうに飲んでいた。

女将お任せの料理を頼んだあと、私に運ばれてきたビールにカチンとジョッキを合わせ、いきなり言った。

「内村さん、あんたが大いに興味を持ちそうな面白い取材対象を発見した」

そう言ってからまたビールを口に運び、ついで女将に酒の常温を頼んでから、横山さんの秘書役からの話だ、と説明する。

「あいつの友人に衛藤という男がいるんだが、妻を寝取られたわけだ。寝取った男がプロの、いわゆる竿師でね、あんたが興味を持つのでは、と思ってね」

竿師というのは始めて聞く言葉だった。女を食いものにするヒモとはまた違って、商品として女を取り扱う男という。横山さんの説明によると、竿師とは、江戸時代からある職業で、今でもその系譜は連綿とつづいており、完全な裏稼業の生業として、好事家も少なからずいるという。

「俺のアウトロー世界の友人たちによると、妻を寝とった男は峰岡といってね、この世界では有名人らしい。こいつと手合わせした女は虜になって、峰岡と離れられなくなるらしいね」

そういうと大口をあけて笑った。まあ、ちょっと調べて見ます、と答えた私だったが、実はまさに興味深々だった。

その時私はちょうど連載を一つ終えていた。三流週刊誌の盛り場探訪といった具にもつかない三回ものの記事だったが、夜の世界の本格的な取材は初めてで、いろいろと興味深い体験をちょこっと経験したばかりだったからだ。私の尊敬するある作家は、初めてお目通りした時、私の顔をじっと見て、「君は夜の世界のことを知っていますか? 夜の世界のことを知らない人とは付き合わない方がいいよ」

そう告げた。私は意味がわからず力なく頷くばかりだったが、しかし、その取材を通して、ほんの少しではあるがその言葉の重みを感じたばかりだったのだ。

例えば新宿歌舞伎町に「ダール」という三流風俗があって、名前からしてそうじゃないかと訊ねれば、やはりそのオーナーはロアルト・ダール好きのインテリで、何でこんな店をやっているのだろうと何度も問うたが結局要領を得なかった。そこで働いていた源氏名「涼」という女は、30を幾つかすぎて少々としは食っていたが、すれ違う10人が10人とも振り向くような美人で、昼はお硬い商売に勤めていながら、なぜこんな場末で、汗臭い親父の一物を一生懸命しゃぶってあげるのか、私はまた何度も問うたがただ笑うばかりだった。私はそんないっぱしの常識では計ることができない何者かが蠢いている夜の世界というものをもう少し掘り下げて見たいと真剣に考えていたわけで、まさに渡りに舟とはこのことだと思った。

「お座敷ショーの英雄だな」

何でも一流筋の紹介でしか観覧できず、オアシも相当に高額だという。まずそのショーを見て見ないことにはな、現場主義の私はまずそう考え、横山社長に助力を乞うた。冷酒で少々赤くなった顔で「かなり高いぞ。一回10万はかかる。しかし、出てくる女たちは見物人が腰を抜かすほど上玉というからね。とにかくあんたのためだ、ひと肌脱ぐよ」

そう上機嫌に横山氏は話し、私もなんだか元気が出てきて、さらに酒が進み、夜も更けて行ったのだった。

2

大阪という街は何か猥雑で、運命があちこちに転がっている気がする。倒れた者を皆で抱き起こしてくれるような気がするし、高層ビルから飛び降りようとする者をワイワイ騒ぎながら見物する、という酷薄な一面も感じる。東京に住む私の友人はどちらかというと大阪嫌いが多い。しかし、私は、そんな大阪の多面性、特に夜の蠢きを好んでいた。

そんな大阪で例のショーを見ることになった。横山社長の骨折りのおかげで一見客の私にもお許しが出たわけだ。しかも、社長の知り合いの何とかいう親分を通して、本人の許可を取り、取り仕切っている組には一切迷惑をかけないという大前提で取材も許された。一切迷惑をかけないということはもし迷惑をかけたらならば腕の一本も取られる覚悟をしないといけないわけで、ぶるった私は、その方面の取材に強い先輩の助力を借りるいう確約をとったのち、この地に赴いたのだった。

酒は嫌いな方ではない。妙に緊張して下見などしたが、土塀の続く立派な料亭が指定された、ショーの場所だった。立ち食いの串揚げか、安直なお好み焼きやを探しているとちょうどいい具合に串揚げの店があった。私はそこで何本かの串揚げとビール、焼酎を口にし、いい塩梅に酔っ払って、料亭の門をくぐった。

立派な飛び石を踏みしめ、玄関に立つと、さっと仲居が出てきて腰を屈める。教えられていたとおり、「稲生さんの紹介で」と言うと、小さく頷き、スリッパを出す。いつの間にか小柄な老人が私のそばにおり、脱いだ靴を渡すと、小さくお辞儀をして下足札を渡した。帰り際に下足番と応対した仲居に必ず心付けを、と言われたことを思い出し、心付、心付と唱えるように小さく口にした。よく磨かれた廊下を折れ曲がり、北も南もわからないところに、階段があって、先導していた仲居が小さく頭をさげ、伊織と申しますと言い残して去って行った。どうやらこの階段の先がショーの場所のようだ。

人生始めての体験で、階段を登って行く時も少し足が震えていた。観客はそれなりの人物だろう。どこぞの紳士か、どこぞのゴロツキか?

階段を登り切ると障子が見え、その前に二畳ばかりの板張りがあって、小机を前に二人の男が正座していた。私に気づくと律儀に頭を下げたが、まさにその世界の住人らしく、盛り上がった上半身と鋭い視線に私は思わず視線を落とした。一人の男が「ご苦労様でございます」と声をかけてくる。私は教えられていたとおりピン札で10万円をいれたご祝儀袋を渡すと男がすっと立ち上がり障子を開けた。

30畳はあるだろう。ざっと見たところ50人ほど集まっているようで、紫煙がたちのぼり皆の前には小机がおいてあった。机上に酒と簡単なつまみがのっている。男たちはほとんどが初老以上の身なりの良い連中で、カップルも多い。女性はまあ八割が粋筋と言ったところか? 但し、薄暗いのではっきりとは確認できないが、どう見ても素人っぽい女性もちらほらと垣間見える。私は空いている小机の前に座ったが、四隅に控えていた若い男がよく冷えた小瓶のビールと二号徳利、乾き物を素早く置いた。部屋の中央にはとても大きな、ダブルキングサイズともいうべきベッドが設置されていて、枕元の方が少し高くなっており、ここで男女が交合するならば接合部分も良く見えるだろう、と思われた。部屋の四隅には人相の悪い見るからにヤクザ然とした連中が上下タキシードを見にまとい、手を前に組んで虚空を見つめていた。胴元がヤクザである銀座の高級クラブの黒服のようだった。ふとみるとちょっとしたスピーカーや照明まである。と、突然、映画館のようにブザーが鳴り響き、照明が落とされ、スポットライトが灯じられた。そうすると、話し声やグラスの触れる音が止み、そのスポットライトに一人の男の姿が浮かび上がった。蝶ネクタイをつけタキシードをきたその男はポケットから小さなマイクを取り出すと「お集まりの紳士淑女の皆さん、本日はようこそおいでくださいました」

プロの言い回し、口調で、独特のイントネーションだ。これから大魔術、大演歌ショーでも始まるかのようだった。

「ここに集うは選ばれし紳士淑女の皆様方。その方々のみ、ご覧いいただけるショーなのです」

非常に芝居がかった抑揚だが、つい引き込まれてしまう。

「一夜は夢」

首をかしげそうゆっくりいうと

「一夜は夢!」

突然の大音声だ。四隅に控える男たちの腹から振り絞ったような声。

「一夜は幻」

反対側に小首をかしげ今度は囁くように口にする。

「一夜は幻!」

屈強な男たちの合唱とも言える大音声が続く。

「夢」

「夢!」

「幻」

「幻!」

その掛け合いがしばらく続いたのち、このMCが大きく手をふった。

ベッドの右手にいつの間にか男が立っている。その後ろには花魁太夫が乗るような豪華な駕籠。男と若者に担がれた駕籠がベッドの傍に置かれる。男は我々に一礼し、ベッドに上がった。駕籠に強いスポットライトが当てられ、女が出てきた。私は自分の目を疑った。どよめきが広がった。

な、なんと、女優の春木香織ではないか!

テレビで見るよりはるかに見事なプロポーション、薄物のパンティと情欲をそそるナイロンストッキング、胸にはマイクロブラジャーをつけてはいるが巨乳がはみ出している。部屋に思わず、ホウーという囁きがあちこちから漏れた。

春木香織の顔は紅潮しており、恥ずかしげにうつむいている。それはそうだろう。いくら薄暗いとはいえ、衆人環視のもと淫らな格好で佇んでいるわけだから。

しかし、なぜ彼女ほどの有名女優が?

私は、ベッドの上に横たわった女をもう一度しっかりと目を凝らして見た。やはり間違いない。一時ほどではないが、今も多くのCM、ドラマに出演中で、その美貌は折り紙つきだ。最近は、さる著名な演出家の舞台が大成功をおさめた。艶のある演技ができるようになったと評判をとったものだ。

日本人にはちょっとお目にかかれないようなボリュームある体型。八頭身の見事なプロポーション。顔つきもバタ臭く、それでいて着物もよく似合うというアンバランスな美。そんな超一流の彼女が、なぜ?、と頭では考えては見るものの、目の前の春木香織は男と濃厚なキスの最中で、早くも喘ぎ声が聞こえてくる。男は、そうだ、峰岡という名だった、春木に覆いかぶさって長いキスをし、右手でブラジャーの上から優しく胸を揉みしだいている。それからようやく唇を離すと、ベッドの上に立ち上がり着ていたガウンを脱ぎ捨てた。私はまた目を向いた。

作り物でもこうはできまいという見事なイチモツだった。ホーという感嘆と驚きの声があちこちから上がった。男は虚空を見つめていたが、静かにベッドが動き出した。全員におのが体を披露するといった塩梅だろうか?

中肉中背ではあるが引き締まった体型。年恰好は30台と言っても良いし、短髪の鬢に交じる白髪から40台と言われても頷く。かなりの巨根ではあるがカリ首がまた素晴らしく、自分のものと比べてしまい思わず諦めの境地になるほどだ。

ゆっくり一周したあと、峰岡はもう一度春木のそばに横たわり、またキスを始めた。そうして右手で我々に見せつけるように黒のパンティを脱がし、足首に絡ませるとそのまま大きく足を開かせた。またゆっくりとベッドが動きだし、そのベッドの足元がわずかに隆起する。そうすると大きく開かれパックリとわれた春木の秘部が丸見えになった。峰岡はその割れ目に手をかけさらに押し開いた。

大陰唇はピンク色、全く使い込まれていない。小陰唇にはもううっすらと愛液がにじみ出ている。私は思わず身を乗り出したが、回るベッドが自分の前にくると皆私同様身を乗り出し、春木の秘部を食い入るように見つめている。

峰岡は長いキスを終わるとブラジャーを剥ぎ取った。まさに豊乳だ、こぼれ落ちるようなたわわな乳房で、ねっとりと揉みしだいている。春木香織は目をつぶり、唇を半開きにして熱い吐息を吐く。それは、甘く、切ない。

登場した時はやはり羞恥が先にたっていたのだろう。しっかりと目をつぶっていた感じだったが、今は陶酔に誘われ、早くも悦楽の境地に入りつつあるようだ。男はひとしきり春木の体を愛撫し続けた。見事な双臀をたっぷりと撫で回し、首筋や、脇を舐め回す。そしてまた濃厚なキス。女の弱いところを知り尽くしたような責め方だった。

と、何か耳元でささやき、春木も潤んだ目で何度か呟いたあともう一度自分からキスを求めた。応じた男は長いキスを行ったあと、下腹部に顔をうずめた。足元がうまいこと持ち上がり、イヤイヤと首を振る春木の両足は半ば強引に開脚させられ、その秘部がもう一度あらわになった。男は舌をころがすようにして丹念に、ねっとりとそこを舐めまわしている。舌がチロチロと動き美蕾を刺激する。舌の動きに合わせて春木香織が声をあげる。男は指で優しく美粒を刺激しだしたが、そのうちその蕾ははっきりとわかるほど大きくなっていった。

こういった濃厚な責めがそう、20分ほど続いただろうか? 春木香織の太ももは滴り落ちる愛液でぐっしょりだ。快楽の淵に落とされた春木は時々大声をあげながら観衆のことはとうに忘れ、ただただ喜悦の表情を浮かべている。と、男は親指を春木の膣にゆっくりと挿入させた。一段と大きな声が上がった。

「ああ、そこ、弱い。もうダメになりそう、」

潤んだ瞳、切ない吐息。誰かのごくりという息を飲む音が聞こえる。

男は親指の出し入れを続け、さらに太ももに垂れる愛液に親指を絡ませた。十分に濡れた親指を今度はゆっくりと肛門に、そう、優しく挿入する。同時に、かなりの大きさになった美しい蕾に舌を這わせ、音が出るほどに吸い上げた。しかし、その動きはあくまで、優しい。

「もう、だめ・・・・・・、そこ、すごい、許して・・・・・・、もう、ああ、」

涙声で喜びを表している。

そうして春木は体を何度か震わせ、「一度、一度いくわ。いじわる。上手、上手よ!」

男の頭を押さえつけるようにして、絶叫して果てた。

男は、しかし、また責め立てている。春木の両足を高く持ち上げ、そのまま、立位正面体位で自身の逸物をヴァギナに当てた。ベッドがゆっくり一周し、その間観客は男の立派なものと美女のカントが膣外でこすれ合っている様を身を乗り出して見つめている。たった今果てたばかりの春木は自分の一番敏感な部分に巨根を擦り付けられ、少しつかれ、弄ばれているうちにまたもや快感を感じ出したようで、自分から男の唇を求めた。ベッドが一周するとそれを合図とするかのように、男は珍宝を最初はゆっくりと、だんだん深く没入させていく。それはまさに圧巻というもので、十分に濡れた春木のヴァギナのおかげで金玉にも愛液が滴り落ちていた。その金玉の当たる、男の太腿のところに小さな入れ墨が見えた。簪のようだ。

男は、一度根元まで突き刺し、そのまま腰を振る。静かにゆっくりと。春木香織はといえばその責めに耐えられないのか、激しく喘ぎだした。荒い呼吸だ。美尻を揉みしだきながら、律動を始めた。出し入れされるたびに見える男のものは春木の蜜液でたっぷりと濡れている。春木香織のヴァギナからは糸を引くような粘着物がたっぷりと見え、自身が十分に濡れながら男を咥え込んでいる。激しく口を吸っていたが、男の律動がだんだんと早くなっていくと、唇を離し横を向いた。そしてゆがんだ表情で「いくわ、また、いく!」

そう絶叫すると、先ほどよりもっと激しく腰を震わせ、ガクガクと首をおったのだった。

春木香織が気をやったのをみると、男は今度は春木を四つん這いにさせた。そしてその美尻を大きく広げ、ヴァギナとアヌスを交互に指で責める。ヴァギナからは愛液が溢れており、男はその愛液をアヌスに塗り込むようにして愛撫する。今の今気をやったばかりというのに春木は男にされるがままだ。ヴァギナは大きく広げられ、溢れでるマン汁を我々はしっかりと見ることができる。そのマン汁を肛門に擦り付け、今度はアナルへの愛撫だ。また、春木は堪らなくなって「今、行ったばかりなのに、何度も行ったのに、ああ、どうにかなりそう。いじわる、こんなに乱れさせて、ああ、恥ずかしい。あっ、あっ、ま、また、行きそうよ・・・・・・」

その言葉が区切りになったように男は春木の後ろに回り、後配位で責め立てた。如意棒を挿入し、形良くくびれた春木香織の腰に打ち付ける。ベッドの角度調整のおかげで愛液にまみれテラテラと光る男の一物がズブズブとヴァギナに挿入されるのがよく見え、たまらなく卑猥だった。と、突然律動をやめた。

「あ、ああ、なぜなの? 続けて、もう少しなの、またいくわ、行きそうなの!」

切れ切れの、振り絞るような声だ。

その言葉を聞いた男が何かを囁いている。頭をがくりと垂れ、頷いた春木は自分から腰を降り出した。また、男の律動が始まる。だんだんと、春木の腰の動きが早くなり、咥え込んだ珍宝で快楽を貪っている。男はその春木の動きに合わせ、時にはゆっくりと、時には動きを止め、女を弄んでいるようだ。それにしても何という強さだろう。自在に自分のエクスタシーコントロールできるのだろうか?

春木が激しい愉悦からか、狂ったように頭を振り出した。そして強まった男の動きに合わせ、四つん這いのままキチガイのように腰を動かしている。表情をみると口からはよだれを垂らし、半眼につぶった瞳からは涙まで流しているではないか。時折強く掴まれる乳房への刺激も相当なようだ。清純派の女優、春木香織。スクリーンでは健気な生き方でファンを魅了してきたはずだ。だが、今目の前の彼女はただのメス犬で、恋人でもない峰岡という男のテクニックに籠絡され、喜悦の声をあげ涙まで流し、言われるままに腰を降って快楽の淵に沈んでいる。ここまで時間はあっという間に立ち、すでに2時間ほど責められ続けているのだった。

「くるわ、またいくわ、たまらない、やめないで!」

春木香織がそう咆哮した。それから、悲鳴のような絶叫がつづき、とうとう、女は失神したのだった。

3

御堂筋近くに「千明」というお好み焼き屋がある。お好み焼きと言ってもかなり値段の高い高級店で、ここも横山社長から教わり、取材で何度か使った。一階部分はカウンターや小上がりのある大衆的な雰囲気の店だが、二階には個室があり、なかなか雰囲気も良い。お好み焼き以外にも大阪名物の土手焼きや、串揚げも供しており、表現はおかしいが、気取らない高級お好み焼き屋だった。横山社長からの情報によると、峰岡というその男は食にもうるさく、しかし、大阪名物にはどれも目がないということだった。

約束の時間より少しばかり早くついた私が仲居に酒や料理を頼んでいると、外から声がかかり障子が開いた。案内の女が軽く頭を下げ他がその背後から男が入ってきた。峰岡だった。

オッというように私に手をあげ、上座に座る。

「ここ、俺、始めてだな。ちょっと寒くなってきたが、まずビールだ」

地味なジャケットをはおり、どこにでもいる中年の印象だ。しかし、頭髪は黒々としており、中年とはいえ若々しい。毎日女体の精気を吸っているおかげなのだろうか。テーブルに置いたタバコは高級な洋モク、確かJPSといった気がするが、ライターはカルティエ?・・・・・・。

昨日のショーで見たとおり体は引き締まっている。ただ、全体から受ける印象として、どこか崩れた感じ、言ってみれば太陽のもと、朝から働いて、という人種ではない。闇の中で蠢いている人種、という印象を受ける。私は仲居に注文を終え、男に向き直った。

「お忙しい中、誠に申し訳ございません。お時間を作っていただいたことに、心から感謝いたします」

私が頭を下げると

「何だい、ずいぶんあらたまって。稲生の親分さんとあんたの友だちが昵懇だってね。あんじょうやってくれ、そう話していたよ。で、俺なんか取材して、金になるのかな?」

「実は私、現在、夜の世界を取材してましてね、夜の世界、つまり歓楽というのは人間にとって大事なものでしょう? そんな時に友人からあなたの話を聞いて、ぜひにと、お願いしたのですよ」

「しかしね、俺ら言ってみれば、隠花植物だ。人様の前で堂々と、という仕事じゃないしね。ひっそりと、世の中の隅で咲く名無しのいきものですよ。それが、皆様の興味を引くのかなぁ」

なかなか味のある話ぶりだった。ならず者がくだらないシロクロショーを演じている、というわけではないらしい。

「いやそれは大反響でしょうよ。ただし、完成したら、もちろん、峰岡さんには一読してもらいますし、お気に召さない部分はいかようにも改稿しますしね。お名前などはもちろん仮名、出てくる場所、人物も絶対に特定されないよう、最大限の注意を払います。場合によっては、出版を諦める、ということも、覚悟しています」

「覚悟ってあんた、俺のことを書いたぐらいで、命を取られることはあるまいし、」

笑みをうかべ、しばらく、下を向いていたが、「まあ、しばらく、あんたのいう、取材対象になってみるか。一つ面白いことも進行しているし・・・・・・。で、どこから始めるかな?」

そういうとその男は、ビールをガッと口に運び、運ばれてきた料理に手をつけ出したのだった。

4

峰岡は千葉に生まれた。幼少の頃はごく普通の子供で、近所の友人たちと遊びまわっていたそうだ。

「ただね、両親は昼間は家にいて、夕方ごろでかけて行くのさ。ダチ公の親はお天道様が登る頃働き出して、夕方になると家に帰ってくるだろう。二人して泥棒してるんじゃないかと、バカな考えを持ってね、悩んだりしたもんだよ」

家はたいそう広く、金回りも相当なものだったらしい。

「いつも日本酒の樽がおいてあって、親父がうまそうに飲んでいたのを覚えているよ。銘柄は確か、白鷹だったな。俺も時々、盗み飲みしてね。あれって、そこの方の酒は何かどろっとした感じでとってもうまいのさ。あと、オールドがいつもケースで置いてあったな」

時折、設えてあった神殿にぬかづき、まっさらな褌一つになって八百万の神に祝詞をあげる、ということもやらされたらしい。また、一年に何回かは家に大勢の人々が集まって宴会が催されたという。

「そん時は家の周りはパトカーだらけでね、親分衆が集まっていたのさ。うちに広い座敷があった。新橋あたりから粋筋の連中もたくさんきて、文字通りの大宴会だ。これはね、昔の名残で、我々の一統がお世話になった親分衆に感謝を捧げるっていう、大事な儀式だったらしい。今ではそれもすっかりなくなってしまったがね」

「そのう、あっちの修行なんかは?」

目を見開き大笑いをした。

「あんた、おもしろいな。もちろん、教えられたさ。学園に入った頃、ほら、その頃ぐらいから、頭の中は女のことでいっぱいだろう?ある日親父が俺を呼んでね、まあ、峰岡家の職業を俺に伝えたのさ。実は俺も薄々かんじていたけれどもね」

そうは言っても最も多感な少年時代だ。 峰岡少年はかなり驚いたことだろう。

「で、この世界のいろいろなしきたりを学んだわけよ」

自分自身、悪所に通ったりして病気をもらってはいけない、とか、相手には必ず性病の検査を受けさせるとか、結婚する場合は、一族の長老の許可がいるといったものだった。何やら純粋培養を図り、血統を絶えさせまいという、伝統芸能の世界に通じたものがあると私は感心したものだった。また、親分衆への礼儀は絶対にかかせなかったという。彼らの生業自体、微罪ではあるかもしれないが、非合法なものでその方面を抑え、庇護してくれる暴力装置が必要だったからだ。あっけらかんと語ったが、大学の頃、峰岡自身一時的に拉致されたこともあったらしい。つまり、組に少なからぬしのぎを落としてくれる峰岡の一統の争奪戦も起こっていた、というわけだった。また、時には抗争の武器として使われるケースもあるという。現に、峰岡の叔父筋に当たる男は、稲尾組が抗争を抱えていた時、さる組長の依頼で相手先のドンの女をたらしこみ、様々の情報を入手していたそうだが、結局その女と共に殺害されたという凄惨な話もあっったという。その後暗黒街の取り決めで、抗争が起こっても峰岡たち一統は巻き込まず、高名な政治家から依頼があった場合や、紹介筋がしっかりとした富豪から、大金を出すからということで依頼があった場合、その結果も十分検討して峰岡たちの出番としているのだった。抗争に巻き込まれて殺された男の件では「立派な叔父でね、ショーの方も折り紙付きで、おいらもよく教えてもらったもんさ。例えばね、女は皆構造が微妙に違うので、挿入する角度を微妙に変えるとかね。まあ、あん時は悲しかったよ」

そう言って峰岡は視線を落としたが、「湿っぽい話はまあいいや。あ、そうだ、この話は面白いと思うよ」

両親から家業を告げられてから程なくして、峰岡は筆下ろしの儀式を受けたという。つまり半年ほど女をあてがわれ、初歩的ではあったろうが最初の技巧を覚えされられたのだ。峰岡の一統の連中が虜にした女をあてがわれたといい、「何せ最初の女だろう、今でもはっきり覚えているね。勿論、年月というフィルターがかかってしまったのだろうがね、いい女だったな」

土手焼きを頬張り、ビールを流し込みながら、諸岡は楽しそうに話す。

「今でも一統が集まる時、必ず出る話があって、一人の叔父、トモおじちゃんと呼んでたんだが、英雄だったのよ」

そのものは齢90の今現役こそ引退しているものの、数人の女、と言ってももう老婆だろうが、と暮らしているそうだ。1950年代から60年代に超売れっ子であったという。

「今でも矍鑠としていてね、とても90歳には見えない。当時の売れっ子ぶりは凄まじいもので、我々の世界のSMAPだな」

とにかくビールが好きなようで、また生ビールを注文し、そして大口を開けて笑った。

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