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小説『亜由美』第一部 · 第4部

小説『亜由美』第一部 第4部 (4/4)
前の話

オナニーはしていたが、荒々しいことはしていない。回数もわずかなものだった。

この部屋で一人暮らしをするようになり、電マを買ったものの、それを自分の一番敏感なところにあてる勇気はなく、これまでおっかなびっくり使ったことしかない。

「ふふふ。おもしろいねえ」

機械の先端が、もっとも敏感な陰核に触れた。

ほんの一瞬だったが、亜由美の頭の中は、火花が散ったように真っ白になった。

またくるのか。いつくるのか。それに耐えられるのか。

亜由美は身構える。

そして、来た。

「ごぅぐぅえー」

タオルの猿ぐつわで声は小さい。だが絶叫していることは剛介にもわかる。

意地悪な気持ちから、小さな突起部に機械を触れては離していたが、徐々に触れる時間を増やしていき、とうとう押しつけた。

限界までスライドし、最強の振動にしていた。

「がっ、ごぅげぃぇー」

女の体の限界を超えた。

激しくのたうつと、硬直したのち、ぐったりとなって反応しなくなった。

「失神しちゃった」

亜由美は静寂に逃げ込んだ。機能が停止したように。

わずかな時間だった。苦痛が再び襲ってきて、目が覚めた。

三人の見知らぬ男たちが見下ろしていた。

「さあ、次の会員が到着したよ」

剛介が洗面器を持って来た。

「出すもの出して、しっかりサービスしなくちゃね。今日はイキっぱなしにしてあげるからね。何度でも失神していいんだよ」

亜由美は、ここまで剛介が非情だとは思っていなかった。

自分の浅はかな欲望と希望は打ち砕かれてしまった。

毎日毎日、こうしたことの繰り返しなのだろうか。そして、体を壊して死ぬのだろう。

剛介にとって、自分は女の体をしたオモチャに過ぎないのだから。

排泄ショーの時間がやってきた。

剛介が背後から足に手を回して抱え、持ち上げる。

「亜由美、出していいんだよ」

会員が剛介の合図で体内のバルーンの空気を抜く。めくれあがった肛門。肉体がすべて晒されている。

「すげえ」

目を輝かせる男たち。

そして勢いよくカテーテルとともに排泄が始まった。

もはや腸内には汚物はなく、溶けた氷と浣腸液、そして腸内から剥がれ落ちた粘膜が洗面器に勢いよく放出された。

体が軽くなっていくのが亜由美にもわかった。

体の芯まで冷えていた。

新たな会員たちは、遠慮がなかった。亜由美の体調や、この日、どれほどの目に遭っているかなど、まったく知ろうともしない。

目の前にあるセックス。それだけが彼らの目的だった。

生まれてはじめて女の排泄を見た三人は、それだけで勃起していた。

同じぐらいの年齢の女が、全裸でそこにいるのだ。すべてをさらけ出し、体に卑猥な文字が書かれ、タオルの猿ぐつわをされている。

しかも、まったく抵抗しない。

一人、また一人と逸物が亜由美を貫く。

冷えた体に温かい肉体は、優しいとさえ感じる。

暴虐を受けていながら、それがありがたいと思ってしまうことが亜由美には悲しかった。

遊ばれながら、涙を流している亜由美に、剛介たちは悦んでいるのだと勘違いしていた。

三人が亜由美の中で果てた直後、残りの二人がやってきた。

「いいところに来たね。これから、氷浣腸をやるんだけど、見る?」

休む間もない。

再び大量の浣腸液が作られる。

氷を体内に詰め込まれる。

許して、と懇願することもできない。

再び膨れあがった体。

そこに電動マッサージ機を使われて、何度も何度も強制的にイカされる。

剛介はさきほどの徹底した電マで、コツを掴んだようだ。ひたすら亜由美を追い込むような刺激を与え続ける。

失神こそしないものの、朦朧とした中で、亜由美はすべて忘れることだけに没頭した。

すると、どの苦痛も、新たな快楽かのように錯覚できた。

これまでにないほどの歪んだ絶頂。苦痛なだけの責めの中で、何度も体が反応した。

何度も何度も。

そうしなければ、死んでしまうかのように、亜由美は与えられる刺激を快楽へ変換することに没頭した。

痺れた体のまま、排泄ショーをさせられて、二人の男に肉体を捧げた。

その後も男たちは帰らず、亜由美が失神するまで電マで責め続けた。

何度アクメを迎えたか、亜由美にはわからなかった。

きっと死ぬときもこういうものなのではないか、と思いつつ、亜由美は暗く静かな世界へと引き込まれていった。

不安な休日

恐ろしい宴が、いつ終わったのか、亜由美は覚えていない。

早朝、白っぽい朝の光がさしている部屋で目覚めた。

不思議と熱っぽさはなく、喉も痛くなかった。ただ、体がだるく、ぼんやりとしていた。

裸のまま、床に倒れていた。

新たな落書きが体を黒く染めていた。大学で四人、部屋に戻って三人、そして三人、最後に二人と、合計十二人に犯されたのだ。

それまでの三日間で犯された回数をはるかに上回る人数を、二十四時間でこなしていた。

それだけではない。数え切れないほど、電マによって強制的にアクメを迎えさせられた。

どうかなってしまっているのではないか。

剥き出しの性器に指をはわせる。

ビクッとなるほど感じる。

クリトリスが腫れているようだ。中の粘膜も爛れているのだろう。

だるい体を持ち上げて、バスルームへ行き、体を洗った。

メス豚の決まりとして剛介に命じられていたので、生えかけている陰部を剃る。クリームを塗って粘膜を手入れする。

鏡に映った女は、三十代のように見える。

やつれ、目の下に隈ができていた。ショートカットの髪を洗い、ドライヤーで乾かし、ブラシでとかす。

顔にもクリームなどをつけて、全身にも塗る。どんなことをされても、きれいでいたい、と亜由美は思う。

「起きてたのか」

剛介がバスルームの入り口にいた。

「どうだ、熱は?」

「大丈夫です」

「すごいな、亜由美。浣腸とセックスで風邪を克服か。普通の女じゃないよ」

「メス豚、ですから」

「うん、そうだな」

剛介は亜由美の目の前で放尿した。そして顔を洗うと「でかけようか。支度して」と言った。

「腹、減ったしね」

穴のあいたブラの上からワンピースを着てサンダルをはいた。

剛介は無精髭を少し気にしているようだった。

二人は、マンションを出て、大きな通りに出た。世の中は週末で、のんびりした空気が漂っていた。

ファミリーレストランに入って、剛介はパンケーキの朝食セットを頼んだ。

「亜由美はどうする?」

メニューを見せられた。亜由美はとまどった。迷ったあげく「同じで」と言った。

「ちゃんと食べないとダメだよ」

剛介はテーブルのボタンを押してウェイトレスを呼んだ。

キャンパスで見たことのある女子だった。

亜由美は思わず顔を伏せる。

しかし、このところ、亜由美のことは大学ではよく知られる存在になっていた。

ギリギリの格好をして、男子トイレでなにかをしているらしい、とウワサになっていた。

『亜由美の会』のメンバーが、沈黙を守っているはずもなく、言いふらしているに違いない。

もしかすると、彼らが撮影した写メも出回っているのではないだろうか。

セットのトレイがやがて来るときに、亜由美は思い知った。

ウェイトレスは剛介には丁寧にトレイを置いたが、亜由美には投げ出すように置いたのだ。

こわごわ見上げると、いまにも唾でも吐きかけそうな形相で睨んでいた。

「気にするなよ。食べよう」

剛介は、この数日とは打って変わったように、亜由美になにも命じなかった。

いつも、なにかを詰め込まれていた二つの穴は、ひっそりと閉じたままだ。なにか、恐ろしいことを考えているのか。それとも、とてつもなく恥ずかしいことが待っているのか。

亜由美はつい、想像してしまう。

この明るいファミレスで、全裸にされるのではないか。

テーブルにあるフォークやナイフを使って、あの居酒屋でやったようなことをされるのではないか。

しかし、剛介は楽しそうに食事をする。

亜由美もそれに合わせて、慎重に食べる。

「どこか、行きたいところはないの?」

「急に言われても……」

「街に出てみない?」

大学のある街から、電車で十分ほど。大きなターミナル駅の繁華街。

いよいよ、剛介はなにかをするのではないか。

お尻や膣に、なにかをねじ込もうとするのではないか。

亜由美を恥ずかしさで死にたいような目にあわせるのではないか。

映画館がある。ラブホテルがある。マンガ喫茶がある。スポーツクラブがある。ゲームセンターがある。そこに、大勢の人がいる。もしかすると、『亜由美の会』のメンバーもいるかもしれない。

街でメンバーに会ったら、なんでも言うことを聞かなければならないのだろうか。

向こうからニヤニヤ笑いながら近づいてくる二人組。

もし彼らが会員で、この場でワンピースをまくれと言われたら……。

口で奉仕するとか。秘部を見せるとか。

体に落書きをされるとか。

どんなことでも、従うしかない。

できるだろうか?

だが、二人組はチラッと亜由美を見て、遠ざかった。

亜由美は思わず剛介の腕にしがみつく。

剛介はそれを許した。

恋人同士ではない。剛介は亜由美を愛してなどいない。虫ケラのように扱って楽しんでいる。

それでも、いまの亜由美には剛介しかいないのだ。それが、切ない。

「なにか、服を買ってあげるよ。そのワンピースだけじゃ、不便だからね」

手頃な価格で知られているファストファッションの店に入る。

大勢の人が買い物をしている。黒地で花柄の模様が入っているノースリーブのワンピースが五千円もしない。剛介はそれを気に入ったらしく、試着させる。

試着室でなにをされるのだろう、と亜由美は思う。

着替えて剛介に見せる。

体にフィットする生地で、ブラなしで着ることができるようになっている。素肌に裏地が心地良い。

だが、淫らな体の線がくっきりと浮き出てしまう。襟ぐりも少し深く、胸に書かれた落書きが見えそうだ。

鏡に映すと、そこには女子大生というよりも、娼婦が立っていた。

「いいね。それにしちゃおうよ」

もう一着、花柄のフレアのワンピース。肩はストラップだけで、裾のあたりは透けている。

二着買うと、喫茶店に入った。

そこでも、二人はケーキのついたセットを頼み、デートしているようにふるまった。

「どう? 楽しい?」

そう聞かれて、亜由美はなんとも返事ができなかった。

楽しくないわけではない。しかし、怖くもある。

カテーテルを腸内に入れられて、街中を歩いたことに比べれば、恥ずかしさはまるでなく、痛みもない。だが、いまのほうが怖い。

「なにも、しないんですか?」

亜由美は思わず、そう口にしてしまっていた。

「ん? なに?」

剛介は聞こえなかったかのように、とぼける。

「今日は、なにもしないの? 私に、なにもさせないの?」

「たとえば?」

「恥ずかしいこととか。苦しいこととか」

剛介はさわやかに笑う。

「そういこと、されたいわけ?」

「そうじゃないけど、どうせ、私は……」

「いいじゃん、今日は。そういう気分なんだからさ。それに休みの日ぐらい、違うことしてみるってのもいいし」

厳しい四日間。そして手綱を緩めるように、なにもしない五日目。

亜由美の頭の中は、再び妄想で満たされていく。

体は刺激を求めてうずうずとしはじめる。

剛介のせいではない。自分が悪いのだ、と自覚する。こうした状況を求めていたのだろう。徹底的にいたぶられたいのだろう。

「そろそろ時間か。行こうか」

「行くって?」

「大学だよ、決まってるでしょ。大学生なんだからさ」

そういうことか、と亜由美は思う。屈辱や痛みに麻痺させないために、休みを取ったのだ。

おいしい肉を食べるために、冷凍庫で寝かせるように。

剛介はどこまでも亜由美を貶めるのだろう。そして、亜由美も脅えつつも、それを望んでいる。

休みの日の大学は、人もまばらで、いつも以上にのどかな雰囲気だった。

「どこへ行くんですか?」

広いキャンパスで、これまで行ったことのない区画へ剛介は案内した。

「黙って来ればいい」

そこは部室やサークルの部屋が集まっている別棟で、裏手は雑木林になっていた。剛介は、その一階の奥にある部屋へ亜由美を連れて行った。

入り口に「ゲー研」とだけ書かれている。

「ゲーム研究会はうちにはいくつかあるんだけど、ここはその中でも、一番、インチキくさいところだよ。『亜由美の会』の会員のうち、六人はここの所属なんだ。というか、このゲー研は六人しかいないんだけどね、いまのところ」

そして、廊下で買ったばかりの黒い服に着替えさせられた。

剛介がドアを開けると、見覚えのある顔があった。

最初にトイレで亜由美を犯した一人がいた。覚えているはずはないのに、見れば、それとわかる。

翌日、自分を犯した三人。

そして朦朧とした中で最後にやってきた二人。

不思議と、亜由美は落ち着いた気持ちになった。

自分を犯した男たちばかりの中にいるのに、ファミレスで普通に食事をしているときよりも、普通でいられた。

部屋は殺風景で、古いパソコンが二台。ホワイトボードが一つ。パイプイスが十個ほどある。会議室のようだ。

「亜由美ちゃーん」

みんなが呼び、拍手される。

「メス豚亜由美!」「ミス便所女、バンザイ」などと揶揄される。

「じゃあ、亜由美は、ホワイトボードを担当して。まず、一番上に、『亜由美の会』って書いて」

亜由美は黙ってホワイトボードに書く。丁寧な女性らしい文字が並ぶ。

「次に、議題って書いて」

剛介が指示する。亜由美が書く。

「議題 リアル亜由美ゲーム構成案」

剛介は、立っている亜由美のすぐ後ろのイスに座る。

かわってゲー研の一人、園田が立ち上がった。

「このあとの『亜由美の会』の総会で、われわれゲー研として提案しようと思っているのが、この『リアル亜由美ゲーム』です。これは3Dカメラを使って、メス豚亜由美の生態を余すところなく撮影して、ゲーム的に楽しむことができる作品です。おおまかに、シナリオは五つから選べるようにしたいと思います」

剛介は亜由美の尻を靴先で押す。

「ほら、書いて書いて」

最初はわけがわからなかったが、この会議は、自分を題材にしたゲームづくりなのだと亜由美は気付いた。

そして撮影するということは、実際に自分が、やらされるのである。

その内容が、これから明らかになっていく。

正常な気持ちではいられないが、ホワイトボードに「シナリオ五つ」と書いた。

「つまり」と園田。

「手間はかかるけど、五つのシナリオを選べるようにすることで、それだけ楽しめるわけです。シナリオではいくつか、コスプレも取り入れたいですよね」

いろいろな意見が出る。

メイド風、チャイナドレス風、体操着、キャンペーンガール風など。しかし、最後に剛介がこうまとめる。

「コスプレは主じゃないよね。あまり絞り込むと、好き嫌いがあるからさ、もう少し大雑把でいいんじゃない? まだ第一弾なんでね」

「そうか。ありきたりな感じになってもよくないけどね」

そして、最終的に、亜由美が自らホワイトボードに書かされたのは、「ロープ系、ブタ系、スクール水着系」の三種類だった。

「ロープ系はいわゆる縛りものだから、基本でしょう。幅広く受けると思う。ブタ系は、メス豚亜由美なんだから、当然、ブタになってもらわないとね。スクール水着系は、そのほかのコスプレを代表して、水着もありかな、といった感じで」

園田がまとめ、ほかのものも納得する。

「では、五つのシナリオのだいたいのところを決めようよ」

自分がやらされることが、いよいよ明かされていく。

亜由美は震えながら、それを待った。

処刑の合図を待つ受刑者のように。

ゲーム作り

亜由美自身の手で、ホワイトボードに項目が書き出された。

リアル亜由美ゲーム

シナリオ五種類

1、ソフト 恥辱

2、ソフト 陵辱

3、ハード 調教

4、ハード 輪姦

5、超ハード 拷問

エンディングは3パターン

コスプレ3種類

ロープ系

ブタ系

スクール水着系

「どうも、アイデアがわかないんで、亜由美さん、お願いしますよ」

ゲー研の連中が言う。

「どうすれば……」

「脱げってことじゃん」

剛介が、靴で尻を押す。

大学の校内。サークルのメンバーしか来ないはずだが、ドアは誰でも開けることができる。

建物の一番奥にあり、一階で、大きな窓から外が見えている。窓の外を通れば、部屋の中で立っている亜由美が見えるはずだ。

「早くしろよ」

剛介は亜由美の尻を蹴った。

亜由美はバランスを崩し、その窓にぶつかりそうになった。

穏やかな休日は終わったのだ。

また、恐ろしい日々が始まる。それも、きっとこれまでの比ではない。

なにしろ、ホワイトボードに書き出した恐ろしい文字。恥辱、陵辱、調教、輪姦、そして拷問。

最後は殺されるのかもしれない。

いや、殺される前に、死んでしまうのではないか。狂ってしまうのではないか。

コスプレも含まれている。恥ずかしい格好をさせられ、彼らが満足するまで嬲られるのだ。

とても、最後のシナリオまで体はもたないだろう。

「かっこつけてんじゃねえよ、メス豚」

誰かが怒鳴る。

「脱げったら、黙ってさっさと脱げ」

ほかの会員も怒鳴る。

入室したときに、妙な安堵感を抱いた自分がバカだった、と亜由美は思いながら、買ってもらったばかりのワンピースを脱ぎ、裸体を晒した。

胸、腹部、下腹、尻、背中にはびっしりとマーカーによる落書きがある。

「ソフト系は、要するに恥ずかしい場所で、いろいろやるってやつだね」

「そうだよ。街中、店の中、大学でもね。いつもやっているようにやるんだから、簡単だよね」

つい最近はじめたばかりのことだが、会員たちは、亜由美がずっと前からそういうことをしてきたのだと思っているらしい。

「恥辱と陵辱の違いは?」

「恥辱は基本、亜由美中心に映す。陵辱は、レイプだからね。やられまくる以上、男も映る」

「会員だね、基本は」

「だけど、陵辱だから、まったく関係ない人ともやるよ、たぶん」

「便所女になるんだあな。すごいな。でも、それって、シナリオ4の輪姦と似てないかな」

「違うよ。その前に調教があるだろ? つまり輪姦ってのはさ、亜由美はもう完全にそれだけの存在になって、それまでに受けたようなことをすべて、大勢の男たちにやられるんだから、めちゃくちゃハードな感じになるんだ」

「拷問とは違うんだね?」

「拷問は、一切、快楽は与えないよ。苦痛だけ。だからちょっとマニアックだなあ。そこまでやるかな」

「ウリにはなるよ。どれだけハードにやるかにもよるけどね」

「ぶっ壊れたら、元も子もないじゃん」

剛介が立ち上がった。

そして亜由美の腕を取り、背中に回した。

「いいんだって。どれだけぶっ壊れても。それがこのメス豚の望みなんだよね。そうでしょ?」

そして耳元で囁いた。

亜由美は剛介から注ぎ込まれたセリフを、自分の言葉で語った。

「私、メス豚亜由美は、ゴミ同然の無価値な存在です。どうか、お好きなようになぶってください。みなさんのゲームのためなら、どんなに酷い目にでも遭います。なにをされても、その結果、壊されても、かまいません」

部屋は一瞬、静かになった。

「そういうこと」と剛介。「ついでに、エンディングは先に決めさせてくれよ」

剛介は再び耳元で亜由美に告げる。亜由美は剛介を見る。魚のように冷たい目を確認し、ホワイトボードに向かう。

エンディングは三種類。そこに「1、廃棄」と書いた。「2、転売」。「3」と書いて、書くのを止めた。それから「お楽しみ」と書いた。

「どういうこと?」と会員が言う。

「これは亜由美の望みでもあるんだからね。廃棄というのは、文字通り。もう、亜由美の会の会員全員が見放すぐらいのゴミになり果てて、捨てられるってことだ。きっとこの撮影が終わる頃には、みんな、この女のことなんて飽き飽きしているはずだからね。それから転売。もしかしたら、このゲームを楽しんでいる変態野郎の中に、廃棄物としての亜由美を欲しいというやつがいるかもしれない。オークションにでもかけて、そいつに売る」

「じゃ、3のお楽しみってのは?」

剛介は笑う。

「まさにお楽しみだよ。オレの頭にはあるけどね。ここで明かしたらつまらない。ゲームってさ、最後にどうなるかわからないって方がおもしろいんじゃん? だから、この第三の結末も用意しておく。シークレットさ」

全体の構成は決まった。

「でも、なにをするかって、どうやって決めるんだ?」

「ゲーム化は、総会で決める。みんなの投票でね。あとは全員参加で、どんなことをするか、その都度、決めていけばいい。場所、させること、日時とかね」と剛介。

こうして、全員が合意した。

ホワイトボードを背景に、裸の亜由美を真ん中にして。足を開いてしゃがませた。

その周りに男たちが並んで、記念の撮影をするのだ。

亜由美のこわばる顔。不安な目。震えている足。その顔、乳房、太もも、尻に男たちの手が重なっている。

これから、日々、亜由美をどん底へと突き落としていくのだ。彼らの手で。

亜由美は、この数日に自分のさせられたことを振り返っていた。

あれは単なる予告にすぎなかった。同時に、これから行われることの予告でもあったのだ。

夜の大学、男子トイレ、居酒屋、商店街、アダルトショップ、公園……。

剛介は、そこで亜由美を試した。

これからが本番なのだ。

何倍も恐ろしい目に遭うだろう。屈辱的な目に遭うのだろう。苦痛と辱めを受けて、もだえることになるだろう。風邪をひこうが、体調が悪かろうが、生理だろうが、彼らは容赦なく亜由美を責めるに違いない。

すべてのシナリオ、すべてのシーンを撮り終えるまで、執拗に。

「おお」

ゲー研の会員から声が漏れる。

亜由美の股間からとろりと淫らな液体が流れ出したのだ。

「もう感じてるんだ」

六人の男たちが亜由美の裸体の前に詰め寄った。

「もっと、見せろよ」

亜由美は男達の目をはっきり見ることができず、部屋の奥へ視線を向けた。

頭がぼんやりとしていた。

束の間の休みのおかげか、体がうずいていた。本当にどうしようもないメス豚なのだ、と悟る。

「はい。わかりました。メス豚・亜由美のいやらしいおまんこをご覧ください」

そんな言葉を口走りながら、自ら指先で媚肉を開いた。

ぬめっと光るピンク色の粘膜。

「おい、メス豚、そのいやらしい場所を自分で説明しろよ」

そんな声が飛ぶ。

剛介の声だけがこれまでは亜由美の拠り所だった。だが、これからは違う。

亜由美の会のメンバー全員、そして誰でもいい。亜由美に命じた者の言葉に従うのだ。

「よくご覧ください。四日前まで処女だったメス豚の性器です。たくさんの方に犯していただきました。いやらしいお汁が出ます。その上はおしっこの穴です」

「見えないぞ」

「すみません。小さくて見えませんか」

必死に指でめくりあげる。

「その上がクリトリスです。先日、電動マッサージ機で何時間もなぶっていただき、少しだけ大きくなったような気がします」

「もっと剥いてみせろ」

「はい」

亜由美は、わずかに被っているクリトリスの包皮を上にめくり上げた。ポチッとした突起が顔を出す。

「包皮は切除しちゃったほうがよくないかな」

「完全な包茎じゃないからね。むしろクリトリスを大きくすればいいんじゃないのかな」

そんなことを言われるとは思わなかったのだろう。亜由美の目尻に涙が滲んでいる。

しかし、それに気付いたのは剛介だけだった。

「はい。もっとクリトリスを大きくできればと思います」

亜由美はそう言いながら、指でクリトリスを撫でていく。

男たちの前で、指を止めることができない。

「もっと、みなさんからのご意見をいただきたいと思います。メス豚・亜由美は、どうすればいいでしょうかあぁぁぁ」

うわずった声でそう言いながら、明らかに最初のアクメに達していた。

「なんだこいつ、勝手にイキやがったぞ」

「とんでもない女だ。オレたちをどうしてくれるんだよ」

「そうだそうだ」

「おい、カーテンを閉めておけ」

誰かが窓を白い薄いカーテンで覆う。

そして全員がズボンを脱いだ。

亜由美はそこに、六本の屹立した物体を見る。彼らの目を見ることはできないが、ペニスを見ることはできた。

跪き、口を開け、一人ずつ丁寧にしゃぶりはじめる。

亜由美はなにも考えていなかった。それが自分のすべきことだ、としか考えていなかった。

場所も関係ない。相手も関係ない。ペニスの形も、臭いも関係はない。

どれ一つ、おろそかにしない。

丁寧にやさしく喉の奥まで、できる範囲で受け入れた。

硬く、強く反発する者もいれば、柔らかく動き回るものもあった。

じゅくじゅくと音を立てながら、時間を忘れて全員を受け入れていく。

剛介はその様子をただ眺めていた。亜由美は教えたわけではないのに、熱心に口を使っている。剛介も勃起していたが、そこに加わるつもりはなかった。

甘いぜ、と彼は思う。

亜由美はいま自分自身で折り合いをつけて、これから行われる撮影の恐ろしさを遠ざけ、いま目の前にある快楽だけにのめり込んでいる。

だが、その折り合いは、すぐに破られるだろう。

この穏やかともいえる儀式のあとに待つものは、普通の女性では耐えられないことばかりだ。

しかも、これまでのように段階を踏むわけではない。

剛介はゲー研の園田と何度か話をしていた。そこで園田が懸念していたのは「慣れてしまってお人形のようになってしまう」ことだった。

シナリオがソフトからハードへと進むうちに、亜由美の感覚は鈍り、なにも感じず、なにも考えず、期待も、希望もしなくなるのではないか。

「途中で、声も出さなくなったら、そんなのクソゲーですよ」と園田は言った。

亜由美はついこの間まで処女だった。最後まで、ごく普通の女でいなければならない。そしてあらゆることに脅え、震え、恐れ、涙し、その中でよがり狂っていかなくてはならない。

たとえ、何百人もの男に犯されようとも。

「順番に撮影することはないさ。ソフトな場面、ハードな場面、行ったり来たり撮影して、あとで編集すればいい。シナリオ5だけはダメだけどね」

「そうだなあ。拷問はもう戻れないって感じがあるからね。でも、本当にそこまでやるの? 彼女、OKする?」

「大丈夫。それはオレが請け合うよ。亜由美はそこらの女とは違うから。絶対、あいつからやってくれって、みんなに頼むさ」

剛介はそう約束した。

根拠がまったくないわけではなかった。

出合ったときから、亜由美の中に潜むものの大きさを感じていた。普通の女性の欲望とは比較にならない。亜由美は、深く屈折した巨大な邪念の塊なのだ。

剛介は知っていた。亜由美のような女は、探しても見つかるものではない、と。

彼女の中には、熱い溶岩のような欲望があり、その汲めども尽きない源泉に触れることのできる者は、きっとこの世にはいないのではないか。

剛介はそれを自分一人で受け止める自信は最初からなかった。

「うう、出る」

一人目が亜由美の口内に射精した。亜由美は、それを飲み干した。二人目もすぐに射精した。三人、四人……。

いま射精したゲー研の連中も、おそらく誰一人、彼女と一対一では対応できないに違いない。

亜由美は普通の女ではないのだ。

高熱を出しながら、膣や腸内を氷で冷やされながらも男たちを受け入れていた亜由美を見ていて、それは剛介の確信となっていた。

亜由美はどこまでやるのだろう。そして、どこまで女でいられるのだろう。それをぜひ、最後まで見届けたいと思うのだった。

総会の決定

自分を犯した男たちが、そこに勢揃いしていた。

メガネをかけさせられ、亜由美には全員の顔がはっきり見えた。

十七人の「亜由美の会」の会員。そして、口止めのために処女を奪われた直後にその肉体を捧げた警備員と剛介。合計十九人ゲー研の部室は、男たちでいっぱいになっていた。

その中心に、全裸で正座する亜由美がいた。

ホワイトボードには、亜由美が書いた自分を題材にしたゲームの構想。それを亜由美が自らプレゼンし、全員の賛同を得る必要がある、と剛介に言われていた。

「おまえ、頭がいいんだからさ、それぐらいできるよね? オレたちを頼るなよ。自分でみんなを説得しなきゃ。説得のためにはなんでもするって覚悟でさ」

亜由美は男たちに土下座した。

「みなさま。本日は私、メス豚亜由美のために、お忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。本日は、みなさまにお願いしたいことがございます。私のような下等な者がお願いすることではないとは重々承知しておりますが、どうか最後までお聞きいただき、みなさん全員に賛成いただきたいと思います」

そして、「失礼ながら、立たせていただきます」と言い、立ち上がる。

ホワイトボードに書かれた「リアル亜由美ゲーム」を、さきほどのゲー研や剛介たちの話を総合して、説明する。

亜由美の声は美しく、言葉も整理され、毎日犯され続け、落書きされた汚れた裸体を除けば、上出来なプレゼンだった。

「では、ご質問がございましたら、どうぞ」

いくつか手が上がる。

「コスプレについてです。ロープ系、ブタ系、スクール水着系ってありますけど、詳しく説明してくれますか?」

「はい。私、亜由美は基本的にメス豚ですが、必要に応じて、ロープで厳しく縛られた状態で撮影します。必ず手足などを拘束されている格好だとお考えください。ブタ系は、メス豚ですので、ブタのようにいたします。基本的に鼻フックをして、言葉は禁止です。スクール水着は幼い感じで、よりヘンタイ的なイメージを強調したいと思います。水着とは限らず、コスチュームを着用する場合も含みます。いずれにせよ、シナリオの中で、随時、こうした三つのパターンで、撮影します」

「スケジュールはどうなんですか。これだけの撮影、どのぐらいの時間をかけるんですか?」

「すぐにでも撮影を始める予定ですが、同時に会員のみなさまにはネットでのライブ中継なども予定していますし、撮影スケジュールをお知らせしますので、ご参加いただきたくお願いいたします。再来週にはゴールデンウィークがありますので、そこもすべて撮影に使う予定です」

「ざっと二週間か。本当に大丈夫なのかな」という声もある。

「私は二十四時間対応をさせていたく覚悟です。それでも、もし、時間が足りないようなら、撮影が終わるまで期間を延長いたします」

すらりとした足、大人の女性としての体形になってきた。

裸であることで、ふてぶてしくさえ見えることもある亜由美の姿に、男たちの嗜虐心がそそられていくのが、亜由美にも伝わってくる。

「ぼくは、あんまり直接するのは好きじゃないんですが、それでも参加していいんですか?」

そんな声もある。全員が肉食系ではない。これまでの彼らとの経験からも、亜由美には薄々わかっていた。行為そのもにはあまり興味はないが、「見たい」という欲求は強く、「こうしたい」という妄想も強い人たちが何人かいる。

「もちろんです。みなさんが参加できるところで参加いただければと思います」と亜由美は言いつつ、その妄想タイプの男のほうが、自分の中で果てる男よりも、恐ろしく感じられた。

「亜由美さんは、それによってどんなメリットがあるんですか?」

「私は淫乱でスケベでどうしようもないメス豚です。どんなことでもさせていただきますし、それが私の悦びです。それ以外にはなにもいりません」

「ゲームは有料なんでしょう? 収益はどうするんです?」

「会員のみなさまに配分します。私は一円もいただきません。制作をしていただく方、出演していただく方、撮影や販売に協力いただいた方には、その分、加算します。収益はすべて明らかにしますし、分配もみなさんにわかるようにいたします」

「もし、亜由美さんが病気になったり、ケガしたらどうなるんです?」

ここで、誰かが「さん付けする必要ないよ」と言った。

「ありがとうございます。その通りです。私はメス豚ですので、人間のように扱う必要はございません。呼び捨てで結構ですし、ブタと呼んでいただいてもかまいません。それから、私の病気やケガについては、すべて私のことですので、みなさまにご迷惑をおかけすることのないように務めます。どんなことも、お受けいたしますし、弱音は吐きません」

「でも、途中でやめるとか、そういうのってあるでしょう。逃げるとか。そうしたら、大損じゃないですか」

理屈からいけば、損をするのは亜由美一人なのだが、そんな言いがかりのような文句をつける男もいる。

「そんなことはありません。なにがあっても、最後までやらせていただきます。もし、途中で逃げるようなことがあれば、みなさんにどんな目に遭わされても文句は言いません」

「そうかもしれないけど、警察に逃げ込んだら、こっちが犯罪者扱いされちゃうんじゃないんですか? ヤバイでしょう」

「私は、みなさんとの契約書に署名いたします。すべての罪は私一人で被ります。万が一、みなさまに損害を被らせるようなことがあれば、一生をかけて償わせていただきます」

儀式めいてきた会場でも、冷静な者もいた。

「契約といっても、日本では確かに、合意された契約は基本的に有効になります。契約の自由が憲法で保障されていますからね。ただし、公序良俗に反しない内容でなくてはなりませんし、日本は奴隷など人権侵害を認めていません。あなたが、ここでどんな契約をしても、それは法的には無効ってことになるんじゃないですか」

亜由美は、じっとりと汗ばんでいた。全員の同意を取り付けることなど、困難ではないかと思う。

ここにいるのは、難関を突破してきた、平均よりは優秀な学生たちだ。

彼らは亜由美を蹂躙しつつも、自分は安全なところにいることを求めるだろう。

最初の頃だけ、剛介はコンドームなしで亜由美と交わらせたが、すぐに剛介も気付き、以後、何ダースものコンドームが消費されてきた。それで不平は出ていない。

会員の大半は、危険を最小限にしたいと思っている。剛介もそれはわかっている。

「これで得するのは、ゲー研だけでしょ」と誰かが言う。「おかしなことに付き合わされて、損したくないですから」

ゲー研とそれ以外で対立する構図が生まれつつあった。

ゲー研の連中を見ると、ネットでの会話は得意そうだが、こうしたリアルな意見交換の場は苦手そうで、さきほどのような活発さはまるでなく、黙って下を向いている。

ついいましがた、勢いで作り上げた企画も、こうして大勢の目にさらされると稚拙に見える。

そもそも、違法であり、危険だ。そこを突破できない限り、全員の賛成はあり得ない。

彼らはただ、『亜由美の会』の総会として、亜由美をいじめ、楽しむために集まっただけで、それ以上のことは望んでいないのではないか。

「わかりました」

亜由美はホワイトボードに向かった。

「今回の件は、全員の賛同をいただかなくてはなりません。反対の方は、どのぐらいいらっしゃいますか?」

七人が手を挙げた。

「賛成の方は?」

六人の会員と警備員の七人が手を挙げた。剛介も手を挙げる。八人。

三人がどちらにも手を挙げなかった。どっちにつくか迷っているのだろう。

「反対の理由はほかにもあるんですよ」と反対派が発言する。

「そのゲームの収録はリアルでやるんですよね? ロケとかやるわけでしょう? 公然猥褻で捕まる可能性が高いんじゃないですか? それに、その撮影の最後には、拷問って項目があって、それはいくらなんでもやりすぎでしょう。後味が悪いのは、私は嫌いです」

「なにを言ってるんだ、亜由美はただの肉の塊なんだぞ。ブタは屠殺される運命だ。拷問ぐらいどうってことない」

「もし死んだらどうするんだ。誰が責任を取るんだ」

「責任は亜由美自身が取るんだから、いいじゃないか」

「そうはいかないぞ。不審死になれば、警察が動く。確かにいまはこうしてここでメス豚としか思えない姿だが、こいつにも親兄弟とかいるんだろう?」

口論のような議論が延々と続いた。亜由美はそれを止めることができずにいた。

そのとき、警備員の村木が「うるさい!」と割って入った。

「おまえら、ここになにしに来てるんだよ。勝手なことばかり言いやがって。青臭いガキどもが!」

会場は静かになった。

「このメス豚にチンポを突っ込んだじゃないか、おまえたち全員。違うか? その瞬間に、『亜由美の会』のメンバーになったわけだろ。それは、全員でリスクを負うってことじゃないのか? もう、後戻りはできない。ここを抜けて、自分だけいい子ってわけにはいかない。もし、メス豚が殺されるのを避けたければ、ほかの会員がやり過ぎないように、お互い監視して注意しろよ。そのためには、このプロジェクトに付き合って、見張るしかないだろう。現場でそれを止めるしかないじゃないか。いま、理性がどうのとか、法律がどうのと言ったやつ。どうなんだ。おまえら、ちゃんと見届ける勇気はあるのかよ。どこか遠くにいて、『おれは知らなかった』とは言わせないぞ。ここでバックレたら、ほかのやつはともかく、おれがとことん追い詰めてやる」

亜由美が見る限り、会員の表情は硬かった。

賛成派も反対派も、警備員の言葉で、はじめてその重大さに気付いたのだ。

男というものは、そうなのだ、と亜由美は思う。

獣のように女を犯し、さんざん酷いことをしておきながら、射精してしまえば、あとはこちらの体を労ったり、または、なにもなかったかのように無視し、さっさと「もっと大事なことが自分にはあるんだ」と言わんばかりに去って行く。

覚悟を決めて、亜由美を徹底的にいたぶる気のある男は、剛介だけだ。

いや、そうだろうか。

もし、ここで全員が合意をしたら、『亜由美の会』の会員たち十七人、そして警備員の合計十八人。それがみな、剛介になる。剛介が十八倍に増えることになる。

それだけではないだろう。

ゲームにカネを払うマニアたちまでが加われば、覚悟を決めて、亜由美の体が挽き肉になるまで痛めつけ、カラカラになるまで快楽を絞り出そうとする男たちが、無限に増え続けていくことになる……。

剛介を見ると、口元に笑みを浮かべていた。そしてうなずいていた。

亜由美がいま理解したことを、肯定しているようだ。

ゲームは口実に過ぎない。

『亜由美の会』の結成目的は、剛介を増殖させることだったのだ。

愛情の欠けらもなく、亜由美の肉体をいたぶる連中。それがもし、そのことだけで一致団結したら……。

そうするように亜由美に仕向けたのだ。

自分の死刑執行命令に自分で署名したようなものだった。

もはや、亜由美は剛介に命じられて、会員に肉体を与える存在ではない。

会員全員に命じられて、全員に自分の体を自由に扱うことを許す存在になる。

許すだけではない。自ら求めなくはならない。

亜由美は、彼らに八つ裂きにされなければならない。自ら、それを求めなくてはならない。

二十番目の会員。それは亜由美自身なのだ。

この中で、もっとも激しくそれを求めているのは、自分なのだ。

亜由美はそう思い募りながら、体が激しく燃えるのを感じた。

炎の中へ飛び込むような、脳が破裂するような快楽がいま、自分を包んでいた。

「会員のみなさん」と亜由美は静まり返り、重苦しくなった部屋で、少し高い声で訴えた。「私は」と言って息を継いだ。

「私はみなさまに存分に、私をなぶって、貶めて、辱めて、苦しめていただきたいのです。それが私自身の望みです。私はゲームでは顔を隠しません。あらゆる部分を隠しません。すべてをさらけ出し、すべてをめちゃくちゃにしていただきたいと思っているのです。このようなことに巻き込んでしまったのは、大変、申し訳ありませんが、どうか、みなさんの安全はできる限り守りますので、お願いしますから、全員の方に賛成していただきたいのです」

部屋の温度が高くなった。

「ご覧ください。私の体を。みなさまに書いていただいた言葉が、びっしりとここにあります。私はこの通りの存在です。ドスケベなメス豚です。便所です。淫乱で、やりまんです。無料でご自由にお使いください。みなさまのザーメンを処理します。牝犬である亜由美はみなさんの便女です。チンポ大好きの犯し放題で、大学の恥の腐れまんこです。SEX中毒で、奴隷で、『亜由美の会』会員優先で、人間失格で、変態マゾです。いじめてください」

頭を下げ、次に再び正座すると土下座した。

「メス豚の土下座はそうじゃないぞ」とヤジが飛ぶ。

「ケツを見せろ、ケツを」

亜由美は後ろを向き、腰を浮かせる。

「見えないぞ、見えるようにしろ」

言われるままに、自ら指で尻の肉を左右に押し開く。

「みろよ、あんなになってんぞ」

亜由美は笑い声を耳にした。

恥ずかしさがこみあげてくる。

剛介の意図を理解したときから、体の中のダムが決壊し、敏感な粘膜からあふれ出していた。

それがしたたり落ち、股間から太ももを濡らしているのもわかっていた。いま、それを見せて、笑われていることでさらに大量の愛液が流れ落ちた。

「まったくだな。こりゃ、どうしようもないね」

「おれたちが、面倒見るしかないってことじゃないすか?」

「毒を食らわば皿まで」

「覆水盆に返らず」

「据え膳食わぬは男の恥、古いか?」

どっと笑いが起こる。

「それでは、みなさま、リアル亜由美ゲームの制作について、ご賛同いただけるでしょうか?」

拍手が起こる。「賛成」という声も上がる。

「全員に賛成いただき、ありがとうございます。今後とも、亜由美を日々、存分になぶっていただきますよう、お願い申し上げます」

「よし、じゃあ、手付けだ。みんなで一発、抜かせてもらおうか」

一度に会員全員に犯される……。

亜由美は気が遠くなったが、「よろしくお願いいたします」と言っていた。

「聞こえませーん」

「よろしくお願いいたします。みなさま、今日は亜由美のまんこにどうか、お慈悲をお願いいたします」

カチャカチャとベルトを外す音が聞こえ、ゴム製品が配られていく。

「いいか、十回だぞ。十回やったら次だ」と警備員らしい声。

「やったやつは、ここに拇印を押して」と剛介は用意していた契約書を見せる。

すでに亜由美はその契約書すべてに拇印を押していた。

「亜由美、数えろ」と剛介。

最初の男が入ってきた。亜由美が思う以上にそこは熟れきっていた。

「一、二、三、四……」と亜由美は数える。十回のピストンで、次の男にバトンタッチされる。

この調子でいけば、亜由美は何度となく絶頂を迎えるだろう。男たちは、なかなかフィニッシュしないだろう。

全員が満足するまでどれだけの時間がかかるのか、計り知れない。

亜由美はついさきほど、自ら自分の処刑にサインした。

剛介だけなら、いつでも逃れることはできた。だが、剛介から逃れても、あと十八人の会員がいる。

その中には、剛介以上に執着している者もいるだろうし、剛介以上に残酷な者もいるだろう。

いまさら、そのような危険の度合いを確認することなどできない。

その恐怖、そしてバカなことを自らしていることへの後悔を忘れるかのように、全員に犯されることに没頭した。

「腰を振ってやがるぜ」

亜由美は、「一、二、三」と数えながら腰を振るようになっていた。処女を失ってわずか五日目の夜は、こうして更けていった。

まだ、亜由美にとっての地獄ははじまったばかりだった。

第一部完

第一部のカレンダー

四月下旬。

一日目

火曜日 再会、酔わされ。大学で剛介に。警備員に見つかり口止めに。居酒屋で剛介の友人の店員に見られる。

二日目

水曜日 講義ノート。百円ショップ。針。夕方に大学男子トイレで二人。夜は徹夜でアナル開発。剛介にアナルを初めて犯される。

三日目

木曜日 講義ノート。刻印。三人の会員。マーカーで文字。アダルトショップで、ダブルピッカーカテーテル。空気浣腸、ビール浣腸。教授に見つかる。

四日目

金曜日 発熱。四人の会員。薬剤師に目をつけられる。氷浣腸。三人の会員。電マ責め。三人の会員。さらに二人の会員。

五日目

土曜日 休日。ゲーム化。ゲー研。総会。輪姦。

会員(登場順)

①園田達夫(ゲー研 監督)

②梅木勇(居酒屋店員)

③小島太一

④北山信一

⑤塚田克也(以上三人、ゲー研 カメラ 雑用)

⑥榊原真治(反対派)

⑦勝俣政行(反対派)

⑧藤沢明(反対派)

⑨小山研二(反対派)

⑩高見康男(どちらでも)

⑪鈴木文男(どちらでも)

⑫高嶋淳司(どちらでも)

⑬松本優(反対派)

⑭秋元和幸(反対派)

⑮森島龍平(反対派)

⑯中村正樹(ゲー研 ウェブ)

⑰田原秀紀(ゲー研 編集)

亜由美の体の落書き一覧

「ドスケベ」「メスブタ」「便所」「淫乱・亜由美」「中出しOK!」「やりまん」「無料」「ご自由にお使いください」「ザーメン処理します」「牝犬」「亜由美はみなさんの便女です」「チンポ大好き」「犯し放題」「大学の恥」「腐れまんこ」「SEX中毒」「奴隷」「亜由美の会会員優先」「人間失格」「変態マゾ」「いじめてください」

第二部の予告

自分を主人公としたゲームを撮影するため、亜由美は男達の言うままに、アナルの開発など、恥ずかしいことをさせられる。

そして剛介は亜由美に本格的に縄をかける。そして、すべての穴を男たちに蹂躙される。

いよいよ、ソフト路線からハードな調教へと進んで行く。

一方、大学では真のサディストである末土教授が亜由美に目をつける。精神的に亜由美を追い込んでいくだけではなく、亜由美を全校の晒し者にしようと画策する。

また亜由美は貸し出され、商店街の人々や同級生たちからも屈辱的な仕打ちを受ける。

ゴールデンウィークに入り、責めはエスカレートしていく。

果たして亜由美は耐えられるのか。そして剛介との捻れた愛の行方は?

奥付

お読みいただきありがとうございました。

初出・二〇一一年六月~ブログ連載

刊行・二〇一一年一〇月一四日DLSiteにて刊行新版・二〇一二年二月刊行改訂・二〇一四年二月刊行(本書)著作権 あんぷらぐど荒縄工房の情報は下記サイトへブログ「荒縄工房」

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