濡れた秘部を指でさぐり左右に押し開いた。ピンクのきれいな粘膜が剥き出しになる。
「お腹に力を入れろ。いきんでみろ」
「くうううう」
珠々華の腹部がうねる。そして再び排泄がはじまった。座敷に響くほどの音。これまで上品にボウルの底に並んでいた固形物とは違い、ドロドロとした便がその三倍ほどの量で噴き出したのだ。
「ぎぃぃぃい」
苦しいのだろう。痛いのだろう。広がった粘膜を勢いよく擦り上げられたからだ。経験したことのない感覚ではないか。
「珠々華ちゃん。お尻が痛いのかな?」
殿山が角度をかえて後ろから肛門を覗き込む。
「はい」
「かわいそうに。しっかり出してしまったら、治療してあげようね」
「ふうぅぅぅ」
涙が頬に伝う。この恥ずかしい行為はまだ始まったばかりだと気づいたのだ。
殿山は医療系の責めが好きだった。先輩の花山がそれで何度も泣かされ、病院送りになったこともあった。そのことで花山は私を恨んでいると思う。ただ私は彼女に約束をしている。私と共にいる限り全力で支えると。
これまでは金銭的な面ぐらいしかサポートできていなかったが、今回、私の新しい事業部に抜擢したことで花山は理解してくれているはずだ。順調にいけば、このまま新会社に移行する。そのときの花山のポジションはいまと同じではない。
そのためにも花山は、珠々華を利用して営業開拓をしっかりやらなければならない。
私の見込んだとおり、花山は珠々華を気に入っている。いや、正確には気に入っていない。人間的に好きになってしまったら、できることではない。同性としてもっとも恥ずかしいことを強要し、えぐり出そうというのだから。
「こんなことになるなら、道具を持ってくればよかったな」
殿山が言うのを待っていたかのように、花山は部屋の隅にさりげなく置いていたバッグを持ってきた。それを殿山の前で開いて見せる。
「おお、用意がいいな」
目を輝かせている。
自分の経験した災難が、今度はより若い珠々華にふりかかる。それを楽しんでいる。
汚物の上でしゃがんだまま、目をつむり震えている珠々華。その横にバッグから引き出したビニールシートを花山と大木で広げていく。
いつでも逃げ出せるようにしているが、彼女はただ震えているだけだ。
「こっちよ」
濡れている股間を拭かれることもなくシートの上に移動させられる。
足に力が入らない。這うように動く。
大木に背中を支えられるようにして、仰向けになる。その腰の部分に花山が黒い枕のような台を入れた。病院で血圧を測るときに腕をのせる台だ。カバーはつけていない。こうしたちょっとした小道具が殿山を喜ばせるのだ。
白衣も用意されていることに気づくと、殿山が上着を脱いでそれを羽織った。花山も看護師のピンクの服に着替える。
「いいねえ」
ご満悦だ。
額帯鏡を頭につけ、聴診器を首にかける。
「どうしました」と、うれしそうに珠々華の足元に近づく。
「お尻の穴が痛いんだそうです」と花山が説明する。
「どれどれ」
珠々華の足首を握った大木が、立ったまま引き上げる。大木は珠々華の顔を両足ではさむように立ち、両手で足首を持った。
「はふぅ」
胸が大きく上下する。ブラウスに包まれた上半身。下着はつけていないので、汗ばんでいるからか、乳房の形がくっきりと浮き上がっていた。
あきらめたのか目をつぶっている。睫毛が震えている。
薄いゴム手袋をした殿山は、排泄間もない珠々華の股間に近づく。
「うっ」
大木が彼女の足を両脇に抱えるように持ち替えて、ぐいっと引き上げたのだ。思わず彼女の手が大木の足をつかむ。
尻がぐっと持ち上がり、殿山の目の前に差し出された。
鼻を近づけて、犬のように嗅ぐ。
「くちゃい、くちゃい」と赤ん坊に向かうように幼児語を使う。
「ひっ、お許しください」
「しかし、きれいなものだ」
お尻の肉を指でつまみ、感触を楽しんでいる。撫で回す。軽くパンパンと叩く。
「いいねえ。ケツの穴が不浄だなどと言ったやつは、あまりにもステキすぎるから、この楽しみを独り占めしようとしたに違いない」
花山がワセリンを渡すと、指先でそれをすくい、そのまま肛門に塗る。
「はあっ」
口を開く珠々華。白い歯がこぼれ、唾液が糸を引く。この娘は感じている。なにかの犠牲になっていく悦びを感じている。今日、はじめて会った男に、本来、人に見せるべきではないところを見られ、いじられる……。
「およそ地球上に誕生した生命に、不浄な部分などあるはずがないのだ。ましてこのような美しい娘。体のすみずみまで、よいものときまっている」
耳にタコができるほど聞いた殿山哲学がまたはじまった。博愛主義のようなセリフを吐く男が、女を身も心も貶めるのである。
「おお、なかなかいい菊の花だな。見て見ろ、ほら」
「あら、本当に。放射状にきれいに筋が入ってますわね」
肌の色がわずかに変化し
菫
色を帯びて濃くなっていく。それが濡れているので、艶めかしい。その上にある性器の溝、その周辺の陰毛が、肛門の近くにもまばらに伸びている。
「ここでセックスしたことはあるのかな?」
「ううう」
大木に顔をはさまれているからか、珠々華はうめくだけだ。
「返事をしないのかな? 悪い子だな」
殿山はワセリンをぬりたくった指をその中心にブスッと埋めた。
「あっ」と珠々華は小さく叫び「したことありません!」と答えた。
「本当かな。あなたのようなきれいなお嬢さんはモテるだろう。最近の若い連中はなんでもするからね。やられてるんじゃないか?」
「そんなこと、していません」
「ウソをついてもすぐにわかるんだよ」
「してません!」
あらがう珠々華。ゆれる尻。そこに殿山は指をぐいっと押し込んだ。人差し指が半分以上、入っていた。
殿山が私を見た。合図のつもりだろう。
私はうなずいた。花山が用意したバッグから使い込まれた麻縄を取り出した。
「おとなしくするんだよ」と殿山はいいながらも、指をさらに入れていく。
「ううう」
大木が珠々華を押さえつけ、私はその足に縄を回した。彼女自身の腕で自分の足を持つように縛る。左側を縛り終えたとき、珠々華が私をじっと見ているのに気づいた。
恨んでいるのだろうか。それとも悦んでいるのだろうか。濡れた瞳は、ただ自分の体を自由にする男に向けられている。拒絶できない約束を交わした男は、なんでもすると約束した女をなぜ縛るのか。これ以上、なにをするつもりなのか。そう問いかけているのかもしれない。
珠々華は秘部を差し出すようにして転がされている。その背中に台を移動させる。彼女の指が自分の腿に広がっている。
殿山は肛門から指を引き抜いた。きゅっとすぼまっていくのを見届けると、肛門鏡を取り出し、そこにワセリンをつける。
「珠々華ちゃんのお尻の穴を、ゆっくり拝見するからね」
金属の先端をせっかくすぼまっている皺の中心にあてて、ゆっくり押し込んでいく。
彼女はあえて反応をしないのだろう。目をつぶって耐えている。
殿山がネジを回していくと、「あっ」と声をあげた。
「ふふふ。広げているんだよ。お尻の中まで見てあげるからね」
「ふはっ」
息を吐く。
「そうだ。深呼吸だよ。ふーっと息を吐いたほうがいい。お口も開けているといいよ」
言われるままに口を開いている。
ペンライトで腸内をのぞきこむ殿山。
「いいねえ。きれいだね。毎日、浣腸することだよ。便秘が一番、美容にいけないんだからね」
医者は絶対に言わないようなことを医者のフリをして言う。
「約束できるかな?」
そう言って肛門鏡をぐりっとねじる。
「あうっ、わかりました」
珠々華が目をつぶったまま小さく答える。
「うん? 聞こえないよ。ちゃんと言いなさい」
ぐりぐりと肛門鏡をゆさぶる。
「はひぃぃ。わかりました。毎日……。浣腸……。します」
見ると花山が笑っている。それも暗い笑いだ。珠々華への嫉妬があるのではないか。私や殿山が夢中になっているこの女。見た目のインパクトだけではない。なされるがままに、男たちに与えている態度にも、本当は腹が立っているのではないか。
いまどきの女子なら、わーわーぎゃーぎゃーとわめき立て、口を塞ぐしかなくなるのではないか。そして興醒めとなるのではないか。
そうした花山の危惧をいい意味で裏切っている。珠々華自身の性格もあるだろうし、意地があるのかもしれない。
「そうだよ。食前食後に浣腸だ。メシなんて食わなくても浣腸だけはするんだぞ」
今度は肛門鏡を前後にもゆさぶる。滑らかな金属にワセリンがたっぷり塗られているので、刺激は少ないはずだが、珠々華はお尻を振っている。いつしか腿に縛り付けた手が握り拳になっていた。赤く皮膚の色が変わってきている。
「はい。食前食後に、浣腸します」
大木が「ふっ」と笑った。確かに、もしそんなに浣腸すれば、会社で何回浣腸をするのか。珠々華は気づいていない。従うしかないから答えているのだ。
「いい子だ。素直が一番だ」
殿山は笑みを浮かべて手袋をはずした。
「ご褒美をあげないとね」
体を乗り出し、肛門鏡が深く刺さっているすぐ上の陰部に指を添えた。珠々華がビクッと震える。これは通常のセックスではない。あまりにもかけ離れた状況だった。しかし、やっぱりそこにも手をつけられるのだ。
「おお、いい感じにトロトロになっているじゃないか」
くちゅっと音をたてて開いていく。ピンクの粘膜。
「どうだね、この子の味は?」
殿山が私に言う。
「やや下付きで、中の襞も多く、締まりは申し分ありません」
「三つ星ってところか?」
「ええ」
ちらっと珠々華が私を見たような気がした。
セックスに点数をつけられたことをどう思ったのだろう。もちろん、私だってあとのきは夢中だった。男を夢中にさせる女でなければ、そもそも合格はありえない。目をつけたときから、そうであってほしいと願っていたのだが、実際に抱いてみて、珠々華の体はどこに出しても恥ずかしくないものだった。あとは性格だ。性格に合わせて対応するつもりだった。
花山は感情の起伏が激しく、プライドが高い女だった。それを潰していく楽しみがあった。
珠々華は芯の強さと同時に、隠された激情が感じられる。なぜ隠すのか。花山のようにオープンにさらけ出せない気持ち。その影の部分に興味がある。本性はいつか出るのか。それとも本当に従順なのか。
花山よりも危険な女かもしれない。
殿山を最初の客として設定したのは正解だった。こう見えてムチャはしない男である。彼には一種のスケベ道のような気概があり、どんなに破廉恥な行為をしても、あとで酒宴で猥談として語って楽しむことができることを前提にしている。
その陽気な変態男の指が、いま珠々華の性器をなぞっている。小陰唇をつまみ、尿道口からクリトリスまで、その形状を楽しみ、感触を指先で楽しんでいる。
そしてとうとう、膣口に指が入っていく。
「おっ、なるほど」と殿山は私を見てうなずいた。こちらの評価がウソではないと確認したのだろう。
左右の人差し指が膣に入っていく。
「あっ、はっ」
体をくねらせる珠々華。その目尻に涙が光る。開いたままの口から唾液が流れていく。分泌の多い女もまたいいものだと私は思う。じっとりと湿った女だ。
「ふーん」と指を引き抜き、そこにべったりとついている愛液を眺めている。指でその粘度を試している。
そしてその指をしゃぶった。
「いい味をしてる」
そう言うと、殿山は珠々華の股間に自ら唇を押し当てた。
熟練の男らしく、執拗で徹底的な舌と唇による性器なぶり。くちゃくちゃといやらしい音が部屋に響き、酒を持ってきた中居が顔を真っ赤にしながら仕事をしていく。そのガチャガチャと、いらない皿を下げていく音は珠々華に届いているのだろうか。
ほとんど目を開けることなく、みもだえし、小さなあえぎ声を漏らしている。
「たまらないですね」
大木がつぶやく。若い男にはきつい状況だろう。私だって勃起したままだ。しかしこれが接待である。こちらが楽しむのではない。客が楽しむことが優先される。いや、それしかない。どんなにお金をかけても、どんなにこちらが努力をしても、客が十分に楽しみ、納得してくれなければ接待の意味はない。
まして親会社の支援のもとに船出するとはいえ、小さなベンチャー企業をこれから作ろうというのだ。会社にとっては小さな投資だが、私にとって失敗は一生を左右する大きなものとなる。
それをこの出会ったばかりの珠々華に預けることにした。彼女との出会いが、私の背中を押したとも言える。足りなかったカードが揃ったのだ。
そんな思惑を彼女が理解しているはずはない。知らなくてもいい。気づかなくてもいい。
「へへへ」
顔をベタベタにして子どものように笑う殿山。手をのばし珠々華のブラウスをはだけていく。すべすべとした下腹を撫で回し、ブラをずらして乳房をつかむ。
「うっ」
珠々華はなすすべもなく、歯を食いしばっている。終わりの見えない責め。身をまかせるしかない情けなさ。
「かわいいオッパイをしてるじゃないか」
殿山は身を乗り出してとうとう、その乳首をしゃぶりはじめた。愛撫ではない。好物を口にして、味わいつくそうとしている。珠々華が痛がろうとおかまいなしだ。
「ぎぃぃぃ」
噛んでいる。乳首から乳輪まですっぽり吸いこみ、歯でしがんでいるのだ。コリコリと音がしそうなほど、殿山は顎を動かす。
「ひぃっ」
相当痛いのではないか。薄目をあけて私に助けを求めている。しかし、助けるわけにはいかない。
「うまいねえ」
右の乳首を噛みしめ、引きちぎりそうになるほど引っ張っていく。
「くううう」
こらえている。
「やっちゃおうかな」
ベルトを外し、ズボンを引き下げ、股
引
、パンツとずらしていく。固くなっているペニスはどす黒い。
「ちょっと、いれてあげるからね」
まだお医者さんごっこを続けているつもりだろうが、欲望が先走っていた。
体を密着させて性器の中へ亀頭をめりこませた。
「ふー」
セックスになればどれだけ殿山が変態でも、ごく普通の動きになるのではないかと珠々華は期待しているのだろう。
しかし、すぐにそうではないことを思い知る。
膝立ちで挿入した殿山は上体を立てて、ベルトを手首に巻き付けて短くすると、その先端を珠々華の濡れた乳房を叩きつけた。
「ぎゃひっ!」
叫ぶ珠々華。
「もっと喜べ。この殿山様がおまえのまんこに入れてやってるんだ。珠々華。狂え!」
バシバシと左右の乳房を打ち据えると、彼女が不自由ながらくねらせる。殿山は動かず、ペニスを包む膣が動く、というわけだ。
苦しんでいるように見えた珠々華だが、しだいに腰の動きがなまめかしくなっていく。ぐいぐいと殿山をいかせるように、積極的に動き始めた。
鬱血した手が握ったり開いたりしている。出せない感情は、手や足にあらわれる。足の指もぎゅっと握られている。我慢だけではなく、なにかを感じ取っている。
「そうだ。いい心がけだ。覚えるんだぞ。おまえは苦痛と快楽を同時に得るんだからな。贅沢じゃないか。おまえぐらいの娘で、この悦びを知るものはほとんどいないんだぞ。よかったな。治療のしがいがある」
数十発打たれ、左右の乳房が真っ赤になっている。ベルトの痕が無惨だ。
ところが殿山はそこで最後までいくことはしない。ヌチッと音をたてて、からみつく若い膣から自分のものを引き抜いてしまう。粘液が糸を引いている。
「おまえとは初めてだからな。この味を覚えさせなければならない」
殿山は立ち上がり、ズボンと下着をすっかり脱いでしまう。花山がそれをきれいに畳んで片付ける。
そして珠々華の頭の上に立った。
「口をあけろ。おまえはこれを味わうんだ」
しゃがみこみ、彼女の顔に股間をおしつけていく。口にペニスを押し込んだ。
「あぐううう」
明らかに不慣れなようで、喉の奥まで入ってきた性器に苦しんでいる。
「この味が好きにならないといけないぞ」
ゆっくり引き抜くと、「ぷはー」と息をする。そしてまた押し込む。今度はさらに深く。
ニヤニヤしている殿山が最初の射精をそこでする気になっているのがわかる。しだいに激しく股間を顔に押しつけるようになり、珠々華の顔をぐちゃぐちゃにしながら、「いくぞ」と言い、ベルトをさきほどまで楽しんでいた可憐な性器に叩きつけた。
「ぐがっ」
ペニスを飲み込まされて、鼻を尻や玉袋でつぶされながら、敏感な粘膜を叩かれる。その理不尽すぎる行為。しかも、絶対に噛んではいけない……。
「悔しいか。歯を立ててみろ。おれのチンポを噛み切ってみろ」
殿山の挑発。
息を飲んで見守る大木。花山は直視していない。自分の過去を思い出している。悲しくもあり、体が熱くなる記憶でもある。
私は思わず手元のグラスでビールを飲んでいた。喉がカラカラだったのだ。温くなっていた。気づけば食べ物はほとんど下げられ、残っているものも食欲のわくような状態ではなくなっていた。
殿山は珠々華の上に十分以上も跨がって、性器をベルトで打ち据えていた。これ以上の暴力は、彼女を壊してしまうかもしれない。
そう思ったとき、「どうだ!」と殿山は言い、腰を上げた。
口を開けたまま放心状態の珠々華。精液がたっぷりと注ぎ込まれている。小便でもするようにペニスをしごいて、精液をすべて流し込む。
「待て。そのままでいるんだ」
花山から受け取ったティッシュで自分のものを拭うと、膝をついて、彼女の顔を両手ではさむ。
「たっぷり出してやったからな。舌をしっかり動かして、味わうんだ」
ブランデーグラスを回すように、彼女の顔をゆする。
「舌を出してみろ」
目をつぶりながら、舌を突き出した。そこにはねっとりと白い粘液がまとわりついてた。味を感じないはずがなかった。
「うまいか? 世の中にはたくさんの女がいる。だが、この殿山のものを味わうことのできる女はほんの一握りなのだ」
花山がなにも言われないのに、赤くなっていた。
「味わって飲み込むんだぞ」
目をつぶったままの珠々華。震えながら飲み込んでいる。
「ぐはっ」
簡単ではないのだろう。必死に飲んでいる。
花山がおしぼりを殿山に渡す。彼はそれで自分の手をふいた。珠々華の涙と涎で濡れていたのだ。
「ちょっと休憩だ。風呂に行ってくる」
料亭でありながら、檜の御殿風呂がある。殿山は白衣を脱ぎ、店の浴衣を羽織って出ていった。
「大丈夫?」
花山ははじめて本気で心配そうな声を出し、珠々華に駆け寄った。
私は縄を解いてやった。
紫色に変色した腕と足に、しっかりと深い縄目が刻まれていた。
珠々華が私をうらめしそうに見上げる。瞳には涙をいっぱいためていた。しびれているだろう手で、私をぎゅっとつかんだ。その肩を抱いてやる。声を出さずに嗚咽している細い体。
「そんなところ、見られたら大変ですよ」
大木が注意する。殿山のこれまでの楽しみ方を私たちは知っている。花山のときもそうだった。妙に痛めつけられた女に同情をすると、殿山はさらに残酷になる。友達の大事なオモチャを壊そうとするように。
ぶるっと花山が身震いした。思い出しているのだろう。
「うんと厳しくしてやらないとね」
花山が冷たく言い放つ。
私と大木で珠々華を全裸にする。上体を起こし、腕を背中で縛りあげた。胸にも縄を回していく。ぎっちりと縛り付ける。
立たせて、欄
間
の下に立たせる。縄を欄間に通して、つま先立ちになるまで体を引き上げていった。左右の足首にも縄をかけ、右足の縄を欄間に通す。そして引き上げていく。
「うっ」
片足立ちになる。股間を見せつけるように露わにしていく。花山は下にビニールシートを移動させた。大木が料亭からバケツを借りてくる。
そこに殿山が上機嫌で戻ってきた。
「うんうん」と珠々華の姿を見て喜んでいる。もうお医者さんごっこは終わりなのだ。浴衣のまま、湯で赤くなった肌をさらし、珠々華の体を撫で回す。キスをし、顔を舐め回す。
「いい心がけだ」と私たちの準備を認めてくれる。花山がガラスの浣腸器を渡すと、「いいねえ」と言いながら、バケツから水を吸い上げる。
「どうなってるかな?」
刺さったままの肛門鏡を指でゆすると、珠々華は「あっ、いやっ」と声を出す。
「なんだ。いやなのか? じゃ、やめるか」
「いえ、違います。どうぞ、もっと珠々華をいじめて……」
花山が目を丸くして私を見る。私は首を横にふる。そんなことを教えたわけではない。なにも調教していない。珠々華は自らそう言ったのだ。
「生意気だな」
うれしいはずなのに、殿山は乱暴に肛門鏡を引き抜く。
「ううううう」
お尻を切り裂かれるような痛みではないか。
「どうだ。臭いおまえのケツ穴がぽっかり開いているぞ」
痛んでいるはずの粘膜を指で擦り、その指を珠々華の鼻に近づける。顔をそむけようとしても、強引に押しつける。
「おまえのニオイだ。おれの指が臭くなっちゃったじゃないか。どうしてくれるんだ」
「すみません」
「謝ってもダメだ。どうにかしてくれよ」
珠々華にわかるはずもない。花山が「きれいに舐めてさしあげるのよ」と囁く。
「えっ」
唇を開き、舌をのばし、殿山の指を舐めた。殿山はその指を口の中に突っ込んだ。
「どうだ。好きか? うまいか?」
「はひっ。お、おいしい……」
言わされた言葉だったが、殿山はガハハと下品に笑う。
「うまいか。じゃあ、これもきれいにできるよな」
肛門鏡を口に入れる。それをしゃぶらせながら、もう片方の手で珠々華の尻穴をまさぐる。
「こっちの指も臭くなっちゃうな」
その指も口元にもっていく。
「舐めさせてください」
珠々華は舌を出す。それをからかうように、少しもてあそびながら、突っ込む。
「お尻の穴を、すっかりきれいにしたほうがいいだろう? なあ?」
「はい」
「じゃあ、浣腸してあげよう。おねだりしてごらん」
殿山は浣腸器を見せつける。
「す、珠々華のお尻に、お浣腸してください」
「どうだ」
お尻に突き刺した。そして水を押し込んでいく。薬液ではなく水を大量に入れるのが彼のやり方なのだ。
「ぐふふううう」
五百CCがいっきに流れ込んだ。
反射的に緩んだアヌスから、水が漏れる。
「ひっ、苦しい、ムリですぅ」
「まだまだ」
殿山はさらに水を注ぎ込む。
「ふあああ」
苦しみながらも、肛門は水を吐き出す。
何回も何回も水を注ぎ込む。開きやすくなった肛門は、逆流して噴き出す。花山が例のボウルをかざしても、シートは水浸しになっていく。
殿山は飽きることなく水浣腸を繰り返す。彼にとっての浣腸は腹部がどこまで膨らむか、なのである。注入された水はすべてが漏れるわけではない。大半は腸内に留まる。そこに新たな水が押し込まれる。徐々に奥へ入っていく水によって珠々華の腹部がぷっくりと盛り上がってくる。
「はあああ。苦しいぃぃ」
「いいぞ」
撫で回しながら、殿山はまだ水を入れていく。
「ぐあああ」
彼女の苦しみに、花山は思わずボウルを近づけるのだが、漏れる量はむしろ減っていた。珠々華なりにお尻を締めて、大量の水浣腸を受け入れる努力をしているのだ。
殿山が満足するのは、限界まで腸内に水が入ったときだろう。彼女はそれを察して、漏らさないようにしはじめている。
花山もそれを感じて、私を見た。私はただ、軽く目でうなずいた。花山はあきらめて、ボウルをシートの上に置いた。
「さあ、どうだ。まだ入るか」
「ひー。入れて! もっと……」
彼女の努力に気づいているのかどうか。殿山はかさにかかって浣腸を続けるのだった。
苦悶
限界は超えていると思うのだが、彼の水準に到達するまでやる。あたりはびしゃびしゃになる。畳にまでいかないように花山がタオルでふいている。
「いいぞー」
ぷっくり膨らんだ腹部を撫でたり揉んだりする。
「あううう」
苦しさで言葉も出ない。
やっと得心したらしい。ほとんど空になったバケツを持ち、「出したいか?」と問う。
「ふううううううー。出したいです。お願いです。破裂しそう」
「いいぞ。そのまま出してみろ」
「あああ、いやあああ」
珠々華は腹の中の水を噴出する。激しい音をたててバケツに水と汚物が叩きつけられていく。その勢いのよさも、殿山にはうれしいのだ。
大木はバケツの中身を捨てて、新しい水をくんでくる。殿山は飽きるまで、これを繰り返すのだ。
「殿山様。どうか、もうお許しください」
汗だくで耐える珠々華。
「まだまだ、この中には汚いものがいっぱい入ってるんだ。きれいになるまでダメだ」
そう言って、さらに乱暴に膨らんだ腹を揉みこんでいく。
異臭と熱気がこもる部屋で、珠々華はもだえ苦しみ、悪夢の舞を続けている。
「ひっ、ひっ、もう、限界です」
朦朧としながらも、ほぼ透明の水を噴き出す。
「よーし、これぐらいやればいいだろう」
三杯目のバケツを大木が捨てにいったとき、やっと殿山が許可し、珠々華をおろしてやった。体力的にも限界が近いのだろう。はじめての身にはきつい。
「じゃあ、いただくとするか」
片付けていた花山が慌ててローションを殿山に手渡す。
「なんだ、部下思いじゃないか」
花山は顔を赤らめた。自分のときを思い出している。
「いらないと思わないか?」
「でも……」
「最初の痛みを思い出すか? だったら珠々華にも思い出が必要だと思わんか?」
花山は耳まで赤くなった。
「あとで使う」
殿山はかなり大きくなった陰茎を、珠々華の唇にあてた。
吊りから解放されたものの、まだ腕は背中にねじられて縛られたままだ。横向きになっている珠々華は、必死に顔をあげて殿山のものを口に入れていく。ジュルジュルと吸う音が響く。
「いいだろう」
殿山は珠々華の尻に手をあてて、うつ伏せにさせると、腰を両手で支えて浮き上がらせる。珠々華は尻を捧げるように突き出す。
「見ろ。きれいに広がっているぞ」
はじめてにしては、大きく口をあけていた。ピンクの粘膜が見えている。それを殿山は指でいじる。きゅっとすぼまる。
「欲しがってみろ」
珠々華は目をつぶり「殿山様。どうか、珠々華のお尻を味わってくださいませ」と言った。語尾はかすれていた。
「力を抜け。口で息をゆっくり吐け」
狙いをすませて、亀頭をおしあてた。いくら激しい浣腸によって開いているとはいえ、その亀頭はあまりにも大きい。できればローションを使ってほしい。だが、それは殿山の楽しみ方ではないのだ。かわいそうだが、そのまま見守るしかない。
「ひっ、いたっ」
亀頭はまだ入りきっていない。珠々華は泣いている。はじめて男を肛門を受けるのだ。その痛みは一生、忘れないだろう。
「まだまだ」
楽しんでいる。ぐいっと押し、少し戻す。何度かグイグイと押し、また少し戻す。指を入れて広げてみる。そんなことを繰り返しながら、開発する。
「はぁぁあぁ」
はじめてされることへの恐怖と、感触に珠々華はとまどっているようだ。
「入ったぞ」
亀頭部分が埋没した。それを激しく動かす。
「あっ、うううう」
「どうだ、痛いか?」
「はい」
「どう痛いんだ」
「切り刻まれているようです」
「もっと痛くしてやろうか」
「ううううううう」
涙が畳にこぼれていく。
「お願いします。もっと、痛くしてください」
「いい心がけだ」
殿山は腰に力を入れてぐいっと押し込んだ。
「はぐぅぅ!」
長いペニスがすっかり奥へ入っていった。残酷に、えぐるように、回すように、腰を思いきり尻にぶつけながら、乱暴に犯していく。はじめてのアナルセックスを強要し、ムリなことをして楽しむのだ。
「ひぃぃぃ」
そんな気はないかもしれないが、珠々華は逃げるように座敷を少しずつ動く。殿山がぐいぐいと押すからだ。
そしてようやく殿山はそこにローションを注いだ。
私も花山も思わず安堵のため息をつく。
珠々華は痛んだ肛門をはげしく突かれて、それどころではない。しかし、ローションによってそれ以上のダメージはないと思いたい。
強烈なピストン。殿山は年齢を感じさせない貪欲な動きを続けた。
「よーし、珠々華。おまえの中に出してやろう」
「はいぃ」
殿山は今夜二度目の射精をした。彼が珠々華から離れると、ポッカリと開いた肛門が真っ赤に充血していた。出血はしていないようだ。精液がトロッとあふれ出た。
「うまいものをたっぷりいただいたね」
「ありがとうございます」
縛られて、お尻を開いたまま放置された珠々華を肴に、殿山はしばらく酒を飲んだ。満足しているようだった。いや、これで満足してくれなければ困る。
「君たちも、この子を大事にしてやってくれよ」
「はい。これからもよろしくお願いいたいます」
私は彼に酌をした。
「おっと、もうこんな時間だ。もうひと風呂浴びて帰る。送らなくていいから」
花山が彼の服や荷物を持ってあとをついていく。
私と大木で珠々華の縄を解いてやった。
「大変でしたね」と大木が珍しく優しい声をかけた。
新しいおしぼりで珠々華の体を拭いてやった。彼女は澄んだ瞳でじっと私を見ていた。なにも言わない。恨めしい表情でもない。ただ、終わったことを喜んでいるのだ。
花山が戻ってきて、「私、誘われてしまったんですけど、お供してきます」と言う。
「よろしく頼む」と彼女に頭を下げた。
「薬も持ってきましたから」
腫れた粘膜に軟膏をつける。
彼女は支度すると急いで玄関に向かった。殿山はこのあと馴染みのクラブへ行くはずだ。私たちを誘ってくれたこともあるが、今夜はこれだけのことをしたあとで、気心の知れた花山だけを誘ったのだろう。殿山のもう一つの楽しみは、一流クラブのママを相手に猥談をすることだ。
珠々華が着替えるのを待って、空気を入れ換えた。
「大木。珠々華の体、どう思う?」
「素敵です」
「おまえも若いから、発散したいだろう」
「いやあ、そんな」
「遠慮するな。こっちはこっちで二次会へ行こう」
重要な接待に体を使わせた珠々華をねぎらうわけではない。そんな甘い気持ちはない。いまの珠々華には、自分の立場をもっと突き詰めて理解してもらいたい。私との約束は、どういうことなのか、思い知ってほしい。
「送っていくよ」
タクシーで珠々華の住むアパートに向かった。深夜にはまだ少し早い時間。タクシーをアパートを通り過ぎ、空き地とマンションの工事現場がある一角で止めた。
料金を払い、珠々華と一緒に私たちが降りると、彼女が一番驚いていた。もう終わりだと思ったのだ。そして私と大木だけで二次会へ行くと思っていたのだろう。
タクシーは日報をつけている。ルームライトが明るい。
三人で工事現場の横へ歩くと、珠々華がなにか言いたそうだった。これからどうするつもりかと、聞きたいのかもしれない。
「珠々華。裸になれ」
「えっ」
「聞こえないのか?」
「は、はい」
珠々華は自分がどういう立場なのか、よく理解しなければならない。
冷たい風が吹く。工事現場を照らす街灯。スチールの壁で囲まれた現場。そこでコートを脱いだ。大木が受け取ろうとするので、私が止めた。そういうことではないのだ。
彼女は仕方なく、コートを地面に置いた。上着を脱ぎ、ブラウスを脱ぐ。白い肌が浮かび上がる。赤い縄の跡。ブラを外し上半身は裸になった。スカートを落とし、ストッキングを脱いだ。靴も脱ぎ、裸足でアスファルトに立った。パンティに手をかけて、おろしていく。
全裸になった。
「おまえは人間じゃない。犬だろ? いやらしいメス犬だよな?」
「はい」
手をついた。お尻を高くあげる。
首輪をつける。大木に鎖を持たせる。服はそのままに、歩かせる。私はベルトをはずし、その大きく揺れる尻に振り下ろした。アヌスの処女を奪われたばかりの尻は早くも男を誘っているようだ。
「あっ」
ビシッと皮膚を叩く音が静まりかえった夜の町に響いた。体を固くした彼女。理不尽でしかない。私のため、事業部のために体をつかって接待を成功させたのに、なぜ叩かれなければならないのか。
理由はない。珠々華は、いついかなるときも、命じられたことをし、私の思いつきのままに苦痛を受け入れなければならない。因果関係もなければ、まともな商取引関係もない。私と珠々華の間には、信義を重んじた基本的な取り決めさえない。いいことをしたら報酬が得られ、悪いことをしたら罰せられる、といった常識的な期待さえ、珠々華には持ってほしくはない。
工事現場と空き地の前をいったり来たりする。いつしかタクシーもいなくなった。人通りがない。
「服を持って。立っていいぞ」
珠々華の尻には、赤い筋が何本も入っている。震えながら服を抱え、大木に鎖を持たれて、自分のアパートへ行く。
薄暗いアパート。薄いドア。鍵を二重にしているものの、簡単に壊されそうだ。
中へ入る。二間で物の少ない部屋だった。
「殺風景ですね」と大木が思わず漏らすほど、女性の部屋らしさに欠けていた。昼間は派遣社員として働き、週末は新橋のバーを手伝っていた。
「押し入れをあけたらビックリ、とか」と大木は遠慮もせずに唯一の押し入れをあける。布団と毛布。服の入ったプラスチックケース。それだけだった。
私は彼女の心の中まで詮索するつもりはない。どういう人生だったのか。どういう生まれなのか。なにを考えているのか。それは、いまは知る必要はない。
「貴重品はどこにあるんだ」と聞いた。
裸の珠々華は足を雑巾で拭いてから上がり、押し入れの奥から紙の箱を出した。その中にパスポートと通帳が二つ、印鑑が出てきた。本籍地などをチェックした。通帳にはかなりの金額が刻まれていた。なにか目的があって貯めているのだろうか。だから、質素に暮らしてきたのだろうか。
一式を私は黙って自分のポケットに入れた。珠々華はまったく反応しなかった。どうでもいいのかもしれない。
自分の部屋に戻ったというのに、まだ小刻みに震えている彼女の裸体を、私は鑑賞していた。こうなってもまだ、恥ずかしいらしく、手で股間を隠したいのか、太もものあたりに置いて、近づけつつあった。
「すみません」と勝手に謝り、自分から手を背中に持っていった。
大木は責め具の詰まったバッグを畳の上にぶちまけた。縄以外にも手錠や枷がある。
足枷をつけ、手枷と手錠でつないだ。転がされた珠々華は、しゃがむようなかっこうで自由は制限される。
勝手に布団を出して敷いた。花柄のシーツに、少しホッとする。そこに彼女を置き、写真を撮る。ローションを股間につけて光らせてやる。避妊具を布団に散らす。
「いいんですか?」
大木はもう我慢ができないようだ。私はうなずいた。
ほかの男の下半身を見ながらでも、気に入った女を責めることに、最初から抵抗はなかった。おそらく学生時代の経験があるからだろう。仲間とナンパしてはレイプ、輪姦して捨てていた。よく捕まらなかったと思うが、何十年も昔の話である。
いまから思えば酷いことを何度もしてきた。大学時代は少し高度になり、調教の楽しみを覚えた。私に仕込まれた女は風俗で稼ぐようになって、成功したらしく、実業家夫人を装っている。いまでも年賀状が嫌がらせのように届く。二度と会いたいとは思わない。自分の未熟さを見せつけられるような気がするからだ。
私の乏しい経験からすると、出会った女性たちはみなしたたかだった。結局、してやられるのはこっちである。おそらく珠々華もそうだろう。
花山だって仕込んだ私よりも殿山のような客を好む。当然、彼女の預金はOLではとうてい得られない金額になっている。責められ、体をいたぶられて稼いだとも言えるが、彼女自身がそうした相手に好かれ、今日のように一緒に飲みに行くだけの関係にまで発展させているからだ。
私がどれだけ調教しても、そんなことまでは教えられない。
こんなやり方をあと何年、何人の女でやれるのか。
珠々華が最後かもしれない。
その温かい口に押し込み、舐めさせながらそんなことを思う。
大木が早くもフィニッシュしていた。中に出して、まだしたたりのある性器を抜き出している。彼女の太ももでそれを拭いている。
女の体を裏返した。大木は慌てて大の字になって、顔の下に入り込む。後始末をさせている。
そのクリッとした尻。ローションをつけた指で粘膜をなぞると、いやなのか珠々華は逃げそうになる。それを大木が押さえつけている。
アナルセックス。この味を覚えたのも学生時代だった。よく病気にならなかったと思うほど、不衛生なことをしていた。いや、そもそもこんなことを繰り返して、よく生き延びているものだ。
「はああああ」
私が入っていくと、小さな体を震わせて、消えそうな声であえぐ。
これぐらいの娘がいても不思議ではない。もしや、と思うが、どこかでひっそりと実際にいるかもしれない。これまで会った女たち全員に問い質すことなどできないから、ドラマであるように、地方のスナックあたりで働いているその女に、どことなく私に似た子どもがいたとしても、知りようがないのだ。
たぶん、そんなことはない。あれば知らせてくるはずだ。
そんな知らせ、来ればいいのにな、と思っている自分もいた。
珠々華の中で自分をしごきながら、そんなバカなことを思ってうっすら笑っている。
ふと、大木と目があった。彼は私の笑みを違う意味で受け取ったらしい。親指を立てて笑う。
「ふふふ」
彼の誤解もおもしろくて、つい笑いながら若者風に、こっちも親指を立てて返した。
残酷なことだと思う。珠々華は体を提供し、人生を投げ打っている。こっちは、いい気なものだ。必死になって味わいつくそうとさえしていない。
何百回とやってきた行為と、今日のこの一回に、どんな違いがあるというのか。
それでもやがて、怒張した自分は熱い快楽に浸っていく。
肛門の奥に射精する。
「部長、けっこう気に入ってるんですね」
大木が言う。
「決まってるじゃないか。見込んだ女だ」
大木もしゃぶらせて大きくした男根を彼女のアナルに入れた。
「うわ、ホントですね。これはいい」
それほどの経験もないくせに、と思いつつ、大木もまた私が見込んだ通り、立派なペニスを持っていて、珠々華はそれを飲み込むために苦悶していた。
「根元まで入れてやれよ」
「はい」
「ぎひぃぃぃ、裂けちゃう……」
長く太く若い。珠々華は気に入るはずだ。
「大丈夫。入ったぜ」
家捜しの続きをし、宅配ピザのチラシを見つけた。こういうものを頼むだろうか。たまたまだろうか。どちらでもいい。私はそこに電話をして飲み物を含めて注文した。
三十分とかからず配達がやってきた。たまたますいている時間帯だったのだろう。
珠々華は秘部を玄関に向けたまま布団に転がっている。大木はブリーフだけ。私はズボンだけはいていた。
この凄惨ともいえる部屋をバイトの男性はびっくりして見ていた。支払いながら「よく頼んでるのかな? 珠々華は」と聞いてみた。
「え、ま、は」
ええ、まあ、はい、だろうか。ハッキリ言えない。
私たちがごく普通の会社の社員には見えなかったのかもしれない。
「これからも、よろしく頼むよ」
彼は真っ赤になって帰っていった。
「なんですか、部長。いまのやつ、まさか……」
「どうかな。珠々華に聞いてみよう」
首輪に手をかけて引き起こす。
「なんだ、泣いてるのか」
「すみません」
涙が止まらないようだ。
「三回も……」
開通したばかりのアヌスを使われたことが、ショックだったようだ。
「ピザの兄さんと仲がいいのかな?」
黙っている。
「言いたくないことは言わなくてもいいんだよ。だけど、こっちは、聞きたいことはとことん聞く」
「うっ」
人差し指の横に乳首をのせて、親指で思いきり潰す。
「かわいい乳首が血豆になっちゃうよ」
濡れた瞳でこちらを見る。朝からオフィスで辱められ、夜は接待で体をもてあそばれ、そのあと深夜というのに上司たちにいたぶられている。こんな生活はいやだ、と叫べばいい。そうすれば終わりにする。体に番号まで刻むことはない。花山のようにうまく折り合いをつけるでもない。
まっとうな暮らしに戻ることができる。ピザの配達をしている男と暮らすのもいいだろう。珠々華にとって、それが欲しい人生なら。
乳首をちぎり取るように爪を立てる。
「ぐううううう」
我慢している。
「ここを持って引き上げろ」
大木は言われたとおり、珠々華の髪を掴むと、引き上げた。
「ぎいぃぃぃぃ」
乳首と髪を引っ張られて、珠々華は不自由なかっこうのまま、なんとかしゃがむ姿勢になる。
さらに引き上げる。
「いたいぃぃぃ」
大木は立ち上がる。手首と足首がつながっているので、前屈みのまま、立ち上がる。尻が突き出たかっこうになる。
その尻を平手で思いきり叩いてやった。バチンと派手な音がした。
「ひっ」
倒れないように大木が両足で彼女の頭をはさんだ。
道具の中からアナルフックを取り出す。ぷっくりと膨らんだ肛門にその先端の丸い部分を押し込んでいく。
「腫れ上がったケツに、冷たくて気持ちいいだろう」
「あうううう」
痛みを求めている。しゃべる気はないのだ。もしかすると宅配ピザの男とは面識すらないかもしれない。いつも同じバイトが来るとは限らない。だったら、そう言えばいいのだが、珠々華はこれから私たちがどうするつもりか、確かめたいのだ。
試されている。
深くアナルフックを入れていく。フックの末端の穴に細いロープを通し、それを大木に手渡す。そのロープで髪の毛を縛り付ける。大木はそのロープを自分の肩に通して吊すようにした。
ボールギャグを彼女の口に押し込む。どうせ話す気はないのだ。しっかりとベルトで留めてやる。
そして私は服を着た。
彼からロープを受け取ると、大木にも服を着させた。
「外に出るぞ」
さすがに驚いたのだろう。苦しい姿勢ながら、珠々華は頭をこちらに持ち上げた。
我ながらなんと厳しいんだと思う。だが、惚れてしまったのだ。おまけに珠々華はどこまでも受け入れる気でいる。どうなってもいいと思っている。こちらを試している。
応えてやらなければ。
「がうううう」
うめきながら、私と大木に引っ張られるようにして、前屈みのままヨチヨチと歩く。
「うまいじゃないか」
来るときに、空き地と工事現場の向こうに公園が見えた。
私たちは靴を履いたが、珠々華は裸足のままだ。乳房を揺さぶりながら、苦しげに歩く。
空き地をすぎ、工事現場にさしかかると、そこでなにかをされるのではないかと恐れたようだが、さらに歩かせる。
公園は思ったよりも広かった。周囲をビルに囲まれているものの、マンションやアパートからは距離が離れていた。中央付近にある遊具に目をつけた。滑り台とトンネルを組み合わせたような複雑な形状の、そして派手な色に塗られた遊具だ。
その横には手すりがある。よじ登ることができるわけだ。
手すりの金具にカラビナをつけて、ロープを通してやる。これだけで、珠々華はつま先立ちに吊られてしまう。
「楽しませてもらおう」
大木は三段式の特殊警棒をいっきに伸ばした。私には強力な電気ムチを寄こす。どちらも鞭や笞のような手加減はできないが、打撃音は最小限で、最大の効果を発揮する。人に見せたり、珠々華の被虐性を燃えさせるための道具としては鞭もいいのだが、都会では使いにくい。持ち歩きも不便だ。
スタンガンにも似た小型の電気ムチは、一見しても用途がわからない。着火用のライターかと思うぐらいだろう。特殊警棒は畳めばポケットに入る。
こうした暴力は、プレイとしてはあまりにも残酷だ。
しかしこちらを試すような者には、効果的だろう。
尻や腿を特殊警棒でぶちのめす。
「ぐうひぃぃぃぃぃ」
強烈な痛みに珠々華は長い悲鳴をあげる。ただボールギャグのおかげで、微風にちぎれ飛んでしまう程度の音にすぎない。
大木はスーツを着て、まともな男に見える。スポーツのように楽しんでいる。
私は下を向いている彼女の顔を見ながら、電気ムチを乳房や腕にあてる。
ジジッとかすかな音。
「がふっ」
全身を震わせる。
叩かれてうめき、電撃を受けて踊る。
この暴力は相手が抵抗しない状況なら、何時間でも続けられる。こちらにはほとんどダメージがないからだ。もし大木が汗だくになるほど警棒をふるったら、珠々華は半死半生になってしまう。
骨を砕かない程度の力加減を彼は知っている。
「がうううう」
涎が垂れ、涙が落ちる。
「珠々華。楽しいだろう?」
私は優しく声をかけてやり、彼女の髪の生え際に浮かぶ汗を撫でてやる。
「はー、はー」
終わったと思っているだろうか。
直後に電気ムチを乳房に押し当てた。
「ぎゅっ」
妙な悲鳴を上げる。
「もうちょっと、踊ろうか」
肉を叩く音、スパークする音。押し殺された悲鳴。ギシギシときしむ縄。
遠い街灯に照らされた珠々華の体は、輝いていた。
「しぶといですね」
大木がうれしそうに言う。
「まったくだ」
飽きさせない体だった。
翌朝。
珠々華は私より早くオフィスに来ていた。清楚な白い下着姿になって、机を拭き、ゴミを捨て、お茶の用意をしていた。
首輪はしているが、鎖は外されていた。
「おはよう」
「おはようございます」
挨拶のあと給湯室へ行く後ろ姿。尻や腿に青い痣ができていた。そのほか目立つ傷はないだけに、むしろ惨い光景だった。
今朝、深夜の公園で一時間ほども叩きのめしたあと、アパートに戻し、正座させて珠々華にしっかりと命令した。
「この生活がいやなら、出社しなければいい。いつでも拒絶できる自由はある」と。
「もし、続けるならこの道具を毎日、ちゃんと手入れして会社に持って来い」
責め道具の入ったバッグは珠々華の机の上に置かれていた。
本気なのか、と私は少し戸惑った。あんなことをされて、逃げない方がおかしい。私は一切、彼女を労っていない。愛のある言葉さえもかけていない。使い倒した上に理不尽な暴力を加えたのだ。理屈もなにもない。
彼女が逃げ出したら、私はホッとしたかもしれない。花山には悪いが、別の娘を見つけるまで、がんばってもらうことになる。
それとも逃げた彼女を、私は追いかけるだろうか?
彼女の体を見ながら、みっともなく彼女を追う自分を想像する。今回に限り、もしかしたら負けるのを覚悟で追いかけたかもしれない。
しかし、彼女はいまここにいる。もっと酷い目に遭いたいと言わんばかりに……。
根比べだな、と感じた。大物を釣り上げるように、向こうがこちらに釣られるか、こちらが向こうに海の底までひきずり込まれるか。
思い返しても、これほどの手応えは記憶になかった。
通常、暴力のあとには、必ず詫びを入れてくる。
「私が甘かったのです、お許しください」と。手加減をしてほしいと懇願されたことは何度もある。愛という言葉で帳消しにしたいと言われたこともある。「せめて、優しい言葉を」というわけだ。
加えて必ず「なぜ」と訊かれる。理不尽な暴力に理由はない。あえていえば、私がそうしたいから、としか答えられない。恥ずかしくてなかなか、言えないセリフだ。それを私に言わせようとする女に、だんだん醒めていくのが過去の経験である。
質問に答えたら最後、世の中の決まり、常識が二人の間に入り込む。向こうが条件を出せば、こちらも条件を出す。そのうちにおかしなことになっていき、絶縁するか、疎遠になるか、五九番のようになるか。
もっともうまくいったケースでも花山なのだ。いつでも会える。いつでも関係は持てる。離れることなく、疎むこともない。しかしなにもしない関係……。
向こうは私が飽きていると感じてる。絶縁になるのがいやで、確かめたりしないだけのことだ。
私は飽きたわけではない。気が向けば花山をかまってやってきた。自分のものであることをはっきり実感できている。
裏切るまで待っているとも言えるな、とふと気付く。裏切られたいのだろうか。
「おはようございます」
二日酔いらしい花山、そしてスッキリした顔付きの大木が入ってきた。ここに来るまでに二人は昨日の情報交換をしているだろう。
尻の痣を二人で確認してニヤニヤしている。
始業時間。珠々華は手枷、足枷をされて席につく。パソコンには昨日、自分がしたこと、されたことを記録していく。
できあがったら共有フォルダーに入れて、全員のチェックを受ける。


