「何回、イッたのか書いてないわ」
花山が指摘する。
「公園でぶたれたとき、イッただろう」
大木に指摘される。
悲しげな目をして「すみません」と謝る。
「部長、少し甘やかしすぎてませんか?」と花山が文句を言う。「まだフェラだって満足にできないんですよ。下手くそで冷や冷やします。アナルセックスができたぐらいで、えらそうにされたくないわ」
「まだまだ経験が足りないんじゃないですか?」
大木も身を乗り出す。
「どうなんだ、珠々華。口でやる練習が必要だと思うか?」
私は彼女に聞く。
「練習……」
昨日から今朝の経験を経て、彼女の表情は一変した。切なげな目。虚ろなつぶやき。自分の考えが薄れていき、されるがままになっていくことを自覚している。
もし彼女が、私との恋愛関係としてのSM関係になるつもりだったのなら、思惑は完全に外れている。いきなり見知らぬ男にいじられ、犯された。強引にお尻の処女を顧客に奪われ、私や同僚から暴力をふるわれた。そこに彼女が期待した愛などない。
「そうよ、練習。なんでもそうなの。一に練習、二に練習よ」
花山の言葉も冷たい。
「わかりました。練習、必要だと思います」
「じゃあ、昨日のレポートの下に、今日の課題としてフェラチオの練習を書き込んでおくの」
花山は場所を画面で示し、入力させる。
「ぼくはボランティアを募っておきますよ。早ければ昼頃から来てくれるかもしれませんから」
「わかった。頼むぞ」
私は秘書として雇ったはずの珠々華を二人に預け、いくつかの会議に出て客先を訪問した。珠々華を引き連れていくことを楽しみにしていたが、今日はまだ早い。
昼すぎに戻ると、部屋の隅で「ひぃぃぃ」とか細い悲鳴がした。
給湯室の横でクッションを床に置き、ひざまずいている珠々華。社内の若い男性がその口に男性器を押し込んでいた。
珠々華の頬に黒い落書きがつけられている。あと一本足せば「正」の字となる。
「部長、これを」
大木が書類を持って来る。ビジネスの重要な書類だ。席でそれをチェックして大木に戻す。その間にも珠々華は別の男のものをくわえている。
枷をした手で男のファスナーをおろし、中から引きだし、男を見上げながら舐め、しゃぶり、飲む。
精液のニオイが漂うものの、給湯室の換気扇でそれほど広がらない。
そんな仕打ちを受けて、珠々華は壊れていくのだろうか。
「夕方までに十二人は確保しました」
「上達しそうか?」
「早く終わらせれば休めることは理解できているようです」
まだ六人目。連続で十二人も耐えられるだろうか。大木や花山が見張り、手を抜くことは許されない。十分に固くなるまでキスをしたり舌先で舐める、指で触るといったことを十分にする。そして口に入れても、花山に教えられたらしい方法をすべてやることになる。
ただし花山は手でしごくのは固くなるまでだけに限定し、いったん固くなったあとは、指も使わせないように指導していた。
「縛られて逆さ吊りになっても、ちゃんと相手を満足させられるようになるのよ」
彼女は人形のように、ひたすら口での奉仕を続けている。
六人目が終わり、しっかりとペニスから精液を吸い取ると、男に口の中に溜めたものを見てもらいながら、喉を鳴らして飲み込んだ。
「かなりよくなってきたんじゃないのか?」
「安定してきましたね」
次の男がくるまで少し時間があるらしい。大木がその頬に六本目の線をマーカーで描くと、珠々華は立つことを許され、給湯室で顔を洗い、口をゆすいだ。体をタオルで拭き、汚れた床を掃除する。
私たちにお茶をいれ、自分も席についてお茶を飲みながら、義務付けられた日報を書く。
「昼はなにか食べたのか?」
「いえ。今日はみなさんからいただくので……」
頬がポッと赤くなる。
「しょうがないわね」と花山が戻って来た。彼女も別の得意先に新事業の資料を届けてきたのだ。ちらっとその表情を見ると、涼しい顔をしているから、しっかりビジネスだけをしてきたようだった。
午後は仕事が忙しい。夕方になっても電話やメールに追われる大木や花山。私は社内の仕事があり、わざと服を着させて珠々華を連れて回った。首輪も頬の落書きもそのままだ。彼女がなにをしているのか、ほとんどの者に知れることになった。
そうすれば、今後も社内での話が通りやすいだろう。
珠々華に弁当を買いに行かせて、残りの六人の男たちを集めておく。一人ずつののんびりとした奉仕だけではなく、一度に大勢を相手にすることも経験させておきたい。いや、そんな醒めた気持ちではない。六人を相手にする珠々華が見たい。それだけだ。
顔に落書きをされたままコンビニに行ってきた珠々華は、私たちに弁当を配った。命じたとおりに自分のも買ってきている。
「終わったら食べていいからね」
「はい」
いかにも従順に、服を脱ぎ、下着になる。
「夜なんだから、それも取っちゃいなさいよ」
花山に言われて下着を脱がされる。
全裸になると、小柄で、可憐に見える。集まった男たちはその乳房に魅入られ、尻の痣や傷にぎょっとする。普通の女ではないことを知るのだ。
手枷、足枷を自分からつけ、首輪に鎖を取り付けた。
「よろしくお願いいたします」
珠々華は床に正座して頭を下げた。
男たちはズボンを脱ぎ、下半身を剥き出しにして、彼女に迫った。唇、舌、指をつかい、六本を同時に扱おうとする。ぐるっと囲まれて、焦っている。
最初は少しずつ、全員のものをしゃぶっていたが、男たちはそれでは満足できなくなっている。いきりたち、乱暴になってきた。
「おい、こっちだ、早くしろ」
「なにやってるんだ、グズグズするな」
「ひっ、すみません。しますから……」
大木がニヤニヤしている。口だけではおさまらなくなる、と見越しているのだろう。その通りになった。
一人が彼女の足枷を持って引きずり倒した。
「あっ」
冷たい床にお尻をつける。恐怖にひきつっている。彼女も理解したのだ。全裸になった以上、守ることは難しい。
「させろよ」
「あ、はい」
むごい光景だ。床に仰向けに倒された珠々華に、男は腰をおろしていく。
オフィスの明るい蛍光灯になまなましく浮かび上がる秘部。
顔に。股間に。足枷をつなぐ鎖がカラカラと音を立てる。足を畳み、股間を剥き出しにして性器をひろげていく。
「どろっどろじゃねえか」
指で乱暴にかき回す。
「ひぃぃいっ」
その口に別の男が押し込む。そして性器にも。
バンザイのように上に伸ばした手にも、別の男のものが押しつけられる。
「かわいそうだわ」
笑いを浮かべた花山が、どこからか封筒型の寝袋を持ってきた。非常用のものらしい。それを床に敷き、男たちに珠々華をその上に運ばせた。
大木は写真を撮りながら、自分も参加するつもりのようだ。
「珠々華、お願いしないか」
離れていても、私の声には敏感に反応する。
「珠々華と申します。どうかみなさまで、お楽しみください」
男たちの中に、全裸の珠々華が見え隠れする。
つぎつぎとその細い体を抱き、穴を蹂躙する。複数の男たちは、簡単に終わらせるつもりはないらしく、口で吸わせて、膣に入れたり、アナルに入れたりしながら、ひたすら珠々華を酷使していく。
粘膜がすり減ることがないのが不思議なぐらいだ。もし彼女が消しゴムなら、もう角はなくなって大きさも二回りほど小さくなっていてもおかしくはない。そして擦った部分が汚れていく……。
若い社員にとって、彼女の肉体は飽きることのないオモチャだ。
「ちくしょう」と最初の一人がとうとう膣内射精をした。
「おまえがビリだな」と参加していた大木が笑う。
どうやら最初に発射したら負け、という賭けをしていたらしい。敗者が決まると、次々と珠々華を白い粘液で染めていく。
男たちが帰っていったあとに残された肉体は、顔も股間も下腹部も悲しいほど白濁した粘液に汚されていた。
「いつまでそうしてるのよ」
弁当を花山が彼女の顔のすぐ横に落とす。
はっとして起き上がる珠々華。少女のようなあどけない表情。男を夢中にさせる体でありながら、その瞬間、いかにも脆く見える。ギュッと胸が締め付けられる。この感覚……。
普通なら彼女をこのような目に遭わせて、心が苦しくなれば、助けてあげよう、守ってあげようと動くはずだ。その結果、彼女を独占し、退屈で不完全燃焼の世界に沈めることになる……。
私の心の痛みは、死ぬまで刻み込まれ、忘れない。
珠々華の名は、いま、一段と深く刻まれたように思えた。
「ありがとうございます」
「それを振りかけて食べるのよ。残らずね」
自分に向けて放たれた欲望の残滓。
「どんな方からのいただき物でも、大事においしくいただくことよ」
笑いながら花山は私たちにお茶を配る。
惨めな作業。唇が細かく震えている。しかし涙は見せない。私を見ようともしない。魂が抜けていき、ほとんど残っていないようだ。
新しい魂を入れるには、古い魂が抜けきらないといけない。
「ちゃんと食べるまで許さないわよ」
花山が意地悪な目で彼女を見る。
顔についたものを指で取り、口に入れた。気持ちを決めたらしく、割り箸を出すと、股間についた精液をすくい上げて、ご飯の上になすりつけていった。
寝袋に膝を崩して座りながら、珠々華は黙々と食事をしている。
「お尻。まだ残ってる」
花山に指摘されて、彼女は腰を浮かせ、見えないからか、箸ではなく指で肛門付近のものを拭い、口に持っていく。
「どんな味かしら? おいしいでしょ?」
「おいしい……」
珠々華は惚けたようにつぶやいた。
弁当を食べ終えて、ティッシュで体を拭ったあと、珠々華はみんなの弁当箱を片付けて、下着を身につけた。誰もなにも言わないのに、寝袋を片付け、オフィスの掃除をした。
全部が終わったあと、今日の出来事を記録するためにパソコンに向かった。
「明日でもいいだろう」と私が言うと、珠々華は「やっておきますから」とキッパリ言った。
大木と花山は先に帰っていった。
私は残務整理をし、いくつかのメールを処理し、時差のある相手とのメッセージをやり取りした。
静かな時間が流れていった。
「部長」
「うん?」
「見てください」
パソコンで彼女が記入した日報を開く。輪姦中に二回、達したとあった。そして、今後の課題が記入されていた。
――もっと感じる穴にします。もっと感じる体にします。もっとハードな責めにも耐えられるようになりたいです――。
「わかった」
私はそれを了承し、帰宅途中であるはずの大木と花山にもメールを入れておいた。
「お疲れ様」
珠々華はなにかを期待していたようだ。だが、やっと勤務が終わったと知ると、化粧室へ顔に書かれた「正」の字を消しに行った。
すっかり化粧をして服を着てきた彼女。その手を取り、ギュッと抱きしめた。頬を見ると、まだうっすら文字が残っている。ファンデーションでごまかしているが、間近で見れば読める。
彼女がしがみついてきた。
「まっすぐ帰るんだよ。明日も忙しいからね」
一人で帰した。
唇を噛みしめながら、なにも言わずに帰っていく彼女の後ろ姿。明日、会社に来ればまた一段とハードな勤務が待っている。
「ううううううう」
珠々華は席についてうなっている。
オフィスでの下着の着用も禁止された。
しかし全裸でうろつかれるのは目障りなので、花山が用意した襟ぐりのザックリとしたグレーのチュニックを着せる。丈の短いタイプなので、立ち上がるとギリギリ性器を隠せる程度で、素足が剥き出しになり、後ろからみるとお尻の一部が見える。
花山がニコッと私に笑みを見せる。昨日のメールに応えて、彼女は珠々華のために機械を用意していたのだ。それは彼女が出会った男からプレゼントされたもので、キャスターと背もたれのついたイスになっているが、座面に特殊な装置が取り付けられている。
お尻と腿を支える部分はあるものの、それは脚から放射状に伸びたアームで支えている。通常のイスのシリンダー部分は、ディルドを取り付けるようになっており、モーターとバイブレーターが内蔵されている。さらにローションを噴き出すポンプも内蔵されている。
今日から席につくときは、それで穴を鍛えることになる。
振動だけではなく、回転、ピストン運動もあり、浅く、深く、速く、遅く、そして時にわずかに侵入角度を変化させる。振動の強弱を含めると、動きのパターンは百通りを超えているらしい。
「珠々華さん、どうなの? 気分は?」
大木が肩に手を置いて、わざとらしく尋ねる。
「は、はい。大丈夫ですぅ、ぅぅぅ」
振動が激しくなり、声も震える。
立ち上がって、足をべっとりと濡らしながら、書類を取りに行くなどして戻ってくると、その間に花山がディルドを取り換えている。男性器型から細長いが、捻れたタイプにかわっている。
「今度はお尻よ」
「はい」
自らそこに腰を沈めていく。排泄器官に異物を入れていくのは、つらそうだ。それも腸壁の奥まで深く入れなければならない。
「はあぅぅ」
花山がコントローラーを持っている。私や大木のパソコンには機械の状態を表示するアイコンがある。グイングインと音がしはじめる。アイコンが変化する。捻れたディルドが珠々華の腸内で、グルグルと回転していることがわかる。
「そうとう高いものだろうね」
「たぶん。ですけど、これを作ったのは機械メーカーの人なので……」
「自作ってことか」
「高級なマッサージチェアを設計している人なんです。壊れたら修理に来てくれるそうですわ。まだ壊れたことがないんですけど。壊れるまで使ってみたらおもしろいと思います」
どっちが先に壊れるか、だ。
耐えながら、珠々華は仕事をする。いや、こうしたことに耐えることが彼女の仕事なのである。
誰よりも早く出社し、自ら浣腸と洗腸をすませ、全裸になってチュニックを被る。そうした一つひとつの事が珠々華の仕事なのだ。
「午後は、別の訓練もします。ガバガバになってしまってはいけませんので」
花山は教育係を愉しんでいる。それでいいと思う。
「例の接待の件、決まりそうです」
大木が報告する。
「そうか。あんまり日がないな。それまでに珠々華さんには万全な状態になっておいてほしいんだよ」
「い、いつでしょう?」
上気して紅を塗ったような頬をした珠々華が、怯えながらスケジューラーをチェックしている。
「来週、ですね」
「そうだ。殿山さんの紹介でもあるから、これに失敗すると、大変なことになる」
「そうよ、珠々華さん。殿山さんを怒らせたら手がつけられないわよ」
「は、はい。がんばります」
しかし、まだ、彼女はその接待相手を知らない。ただ、予定表に「接待」とあるだけなのだ。もしいま、それを教えたら、逃げ出してしまうかもしれない。これまでは彼女に逃げるチャンスを与えてきた。ここからはもう甘いことは許されない。
花山は珠々華の体のこと、生理周期などを調べて接待日の候補をあげている。来週を逃すとしばらくムリはできない。わずかな期間で、大事な接待に耐えられるように訓練できるかどうか。
「これにサインしてほしいんだけど」
大木が珠々華に製本された契約書を渡す。
「なんでしょう?」
「読んで、納得の上でサインをして」
「はい」
数ページにわたる契約書。お尻を責められながら、彼女はそれをひたすら読み込む。その表情に特別の変化はない。そして、彼女は、いきなりサインをした。
「これでいいでしょうか?」
「いいよ」
その契約書が私に回ってくる。
――乙は甲の命令によるものではなく、自らの意思ですべての行為をするものであり、乙の行為によって甲に損害を与えた場合は……――いかにも契約書らしい文面なのに、そこに記されているのは、珠々華が私たちと会社の奴隷になることを自ら求める契約なのだ。公序良俗に反する内容は一切、記載されていない。「行為」としか書かれていない。しかもそれは珠々華の自由意思で行われると明言されている。それによって、会社にどんな利益がもたらされても、その利益の配分は求めない。それでいて、損害を発生させた場合はすべて珠々華の責任となる。
これで、彼女は一社員ではなくなった。
もっとも、珠々華はそもそも当社の正式な社員として雇用されていたわけではなかった。社員になったと彼女に言い、オフィスに入るためのIDカードも作ったが、籍はないのだ。
請負の個人事業主。それが珠々華の立場である。報酬は毎月、彼女名義の口座に払う契約になっているが、その通帳と印鑑を持っているのは私だ。家賃などが自動的に引き落としになるため、外から見れば、珠々華はすべて自分で承知の上で報酬をもらって働いていることになる。
だが、彼女はもう、自分の自由に食事もできず、服を着ることもできない。
「ああああああん」
甘い声を出し、体をのけぞらせる。
「お尻でイッたのね」
花山がほくそ笑む。
「は、はい。すみません。すごいの……」
「だめよ。立ちなさい」
「ああ、だって……」
「立ちなさい」
花山は機械を停止させた。
「そんな……」
「お尻でもいけることがわかればそれでいいの。あなたが快楽を得ようが得まいが、そんなことは関係ない。相手を喜ばせるのが仕事でしょう?」
「わかりました」
非情にも機械を止められ、珠々華は苦しげに立ち上がる。肛門から抜けていくディルドの感触を名残惜しそうに味わいながら。
「はうぅぅぅぅ」
珠々華の押し殺した苦悶の声がオフィスに響く。
「黙ってやれないの?」
バシンと音がする。
花山が珠々華のお尻をラケットで引っぱたいたのだ。
「は、い」
歯を食いしばりながら、珠々華は返事をしている。
粗末なチュニックだけを着せられている。高いピンヒールを履かされて、少し膝を折ってゆっくりと歩く。
「こぼしたら承知しないわよ」
両手で頭の上にコップをのせて歩かされているのだ。水は大きく揺れている。
ただ歩くならそれほどの問題はないはずだが、チュニックの裾から斜めに紐が伸び、その先はレンガが結びつけられていた。
「ぎゅっと締めて歩くのよ」
一歩、また一歩。紐はアヌスに差し込まれた細いディルドにつながっている。指二本ほどの太さで、亀頭部分も小さい。お尻をぎゅっと締めないと、重石を引っ張ることはできないはずだ。
オフィスの中程までようやく来たのだが、練習として往復するように言われている。
「日が暮れるじゃないの。残業する?」
「がんばり、ます」
さきほどまでは、後ろ向きに重石を引っ張らせられていた。細いディルドは膣に入れられていたのだ。なかなかうまく行かなかったが、なんとか往復した。
抜けそうになるたびに、「花山さん、お願いです、珠々華のマンコに押し込んでください」とお願いさせられる。
失敗して抜け落ちたら、その場でラケットで十発、叩かれる。抜ける前にお願いするのだが、花山は意地悪く、すぐには動かない。
そのため、膣でのときは三回も落下させてしまい、お尻は腫れ上がっている。肛門では力の加減が違うのか、コツを覚えたのか、いまのところ落下は免れているが、花山はきまぐれにラケットで尻を叩き続けている。
「花山さん。厳しすぎるんじゃないのか?」
「部長、最初がかんじんなんです。いまやっておかないと、取り戻すのは大変なんです」
機械で穴を掘られて、その後は締める訓練。この矛盾した残酷な仕打ちは、本当に役に立つのかも疑問だったが、花山の好きなようにやらせておく。
「よーし」
やっとオフィスの端まで到達した。
「今日はそのぐらいでいいだろう。出かける。ついてくるんだ。着替えてこい」
汗だくの体。チュニックがぴったりと張り付いて体の線を浮き上がらせている。全裸よりもエロティックだ。
「はい」
花山は不満そうだが、あっさり引き下がってくれた。
「明日は花電車修業をしますからね」
捨てゼリフのように花山は言った。
「頼んだよ」
汗を拭い、化粧をし、着替えてきた珠々華。確実に痩せていた。顔がほっそりし、うなじが強調される。匂い立つような色気。薄い化粧しか許さないのに、牝であることをごまかしようがない。
秘書としての仕事もしてもらう。
気心の知れた得意先まで地下鉄で移動する。目新しくて楽しい。それに公共の場で珠々華をいたぶるのは私の特権だ。
それほど混雑していない地下鉄で、ドア付近に立ったまま、小型のローターを手渡した。
「入れてごらん」
目が大きくなる。こんなところで、と言いたいのだろうが、言葉を飲み込んでいる。命令は絶対だ。考えずに、ローターを受け取る。誰かに見られていても気にしない。
「舐めてもいいですか?」
「好きにしていい。命令に従いなさい」
コクリとうなずき、赤いルージュをつけた唇を開き、ピンクの舌を伸ばし、ローターを舐めた。大きなイチゴでも食べるように。
スカートをたくしあげ、少し腰を突き出し、膝を曲げてあそこを開く。
「はあっ」
朝からいじられ続けている粘膜の中へ、その小さな機械を押し込んだ。
「もう一つある。これも入れるんだ」
意味がすぐにわかったのだろう。今度はお尻に入れていく。やりにくそうだが、まるでスカートを直すかのように、奇妙な動きをしながら、片手を明らかにスカートの中へ深く入れた。
駅に停車し、ドアが開く。人が出入りする。
「おっと、忘れていた。もう一つある」
「えっ」
意地悪な気持ちになる。けなげに命令に従って上手にやり遂げる。それが小憎らしい。
「全部でいくつですか?」
「さあね」
ごくりとツバを飲む珠々華。目的の駅はまだ先だ。
単四電池が入ったそのローターは、通常のものより大きく、アンテナをかねた紐が十センチほど尻尾のようについている。一つの穴に一つずつが基本だろう。しかしそれではつまらない。
周りに吊革につかまる会社員や、遠くには大学生の集団もいる。にぎやかになってきた車両の中で、珠々華は瞳をうるませながら、三つ目のローターを舐めた。彼女はじっと私だけを見ている。
そして決めたらしく、お尻に入れた。前はムリだと判断したのだろう。
「まだ欲しいか?」
「えっ」
「もっと必要かな、と思ったんだけどね」
命令ではない。否定可能な言い方。しかし、私の言葉は絶対のはずだ。
「はい。もう一つ、欲しいです」
「いいだろう」
四個。それも腸内に押し込んだ。
「これが、コントローラーだ」
手の平に入る装置を見せる。
「一度に全部が動く」
小刻みに顎が左右に動く。体は拒否しているが、それを意思で押さえつけている。
「たとえば」
ボリュームを指で押し上げる。十段階の二。
「はっ」
彼女が硬直する。
また駅。人が乗り降りする。その間に、四段階にする。
彼女は私の肘のあたりをギュッと握りしめている。誰が見ても、普通の上司と部下には見えないだろう。
「うふぅ」
唇を開き、吐息をもらす。のけぞりそうになる体をドアに預けてごまかしている。
一駅、そのままで過ごしたあと、「そこにいるんだ」と命じて、次の駅で私は車両の座席の側へ移動した。学生たちがいなくなり、立っている人は減った。
吊革につかまり、他人のようなふりをしながら、彼女を眺め、ボリュームを七にした。
ビクンと体を震わせ、顔をドアのほうに向けて耐えている。足がもじもじしている。期待しているのだろう。もっと酷い目に遭うことを。
駅に止まるたびにボリュームをあげていき、目的の駅についたときには最高の十になっていた。
私は降りるときに声をかけた。
立っているのがやっとらしく、私の腕にしがみつきながら、閑散としたホームに降り立った。
「気持ちがいいだろう」
「歩けません……」
「困ったな。歩けない原因はなんだろうね」
引きずるように階段まで行く。
「中に、入っているから……」
「そうか。それは悪かったね。じゃあ、出してもいいよ」
「ありがとうございます。ですが……」
階段を上がっていく私に、手すりにつかまりながら必死についてくる。エスカレーターやエレベーターもあるのに、わざと階段を使う。地下鉄だけに長い。階段を利用する人は少ない。
「出していいぞ」
命令ではない。許可だ。
「くうぅぅう」
踊り場の角に立って、動けなくなっている。
「そうだ、こういうスイッチもあったな」
コントローラーにあるスイッチを押す。
「あはっ」
振動の強弱だけではなく、バリエーションがつけられる。強くなったり弱くなったり、ランダムになるのだが、それは四つバラバラになっていくので、一本調子ではない刺激になっていく。
「早くしろ。間に合わないぞ」
「おトイレに……」
「だめだ」
これは命令だ。
ほつれた髪を指先でなおしながら、わななく。
「行くぞ」
歩こうとするのだが、内股になって、腰が崩れていく。とうとうしゃがみこみ、手をついてしまった。
「なにをしてるんだ」
「出してもいいですか」
「許可はしたぞ」
いきんでいる。激しく振動するローターが腸内に三つ。それをここで出すというのだろうか。一つでも取り出せば、少しは楽になるかもしれない。
「はあああ」
泣きながら、お尻に手をやり、落下するローターを受け止める。お尻から二個、産み落とした。
スイッチを切る。
べとべとのローターを手にした珠々華。
「立て。それは持っていなさい」
「はい」
ハンカチで包み、自分のバッグに入れた。まだ前後に二個入っているが、歩けるようになったらしい。
近づくと、微かに腸液のニオイがした。
美しい花が、快楽の汁を滴らせながら、内側から腐敗していく。やがて耐えきれずに枯れてしまうのだろうか。それとも、これまでにない花を咲かせるのだろうか。
地下鉄の駅を出ると、殺風景な埋め立て地が広がっていた。
アスファルトにも砂埃や砂利が多く、ヒールを履いた珠々華はただでさえ歩きにくいのに、前後に大型のローターが埋め込まれている。
グレイのタイトスカートにスーツ。白いブラウスは、ギリギリまでボタンを外し、胸元の素肌を見せていた。下着を身につけていないことは明らかだ。
歩きにくい道。水たまりがあり、アスファルトがでこぼこになっている。あっちもこっちもクレーンが立ち上がり、この地区全体が建設途上にあった。
真新しいビルが一棟。陸の孤島のようにポツンと建っていた。公的な資金の入った企業が先兵的に入居している。この一帯が賑やかなるのは早くても二年後である。それまでは、工事関係者ぐらいしか訪れない。
用事があるのは一階に入っている会社。このビルを含め、この一帯を管理するためのオフィスだった。
「久しぶり」と、若い男が気さくに話しかけてきた。金谷という男だ。以前の仕事から仲良くなり、気心はしれている。
ガランとしたオフィス。まだ人員は整っていない。
「これでも忙しくてさ」
「雑草の刈り取りですか?」
「ハハハ。そんなようなものですよ」
私より年下だが、得意先である。
「秘書です。ご挨拶を」
珠々華に名刺交換をさせる。珠々華が頭を下げるとき、彼が胸元をしっかりと見つめていた。
「予定通りですか?」
「おかげさまで」
仕事の話はものの五分ほどで終わった。お互いに必要な資料を交換し、検討材料を確認し、懸念材料を吐露し、そこにお互いのホンネを加えた。
「わざわざこんなところまで来ていただいてすみませんね。まだ人数が揃っていないから、離れられないんですよ」
雑談に入る。話はすでに通っているので、細かい部分のチェックやスケジュールの確認だけで終わる。
「どうかされましたか? 具合が悪そうですが?」
得意先とはいえ気心は知れている。珠々華とは初対面だが、私の連れている「秘書」の役割についてはよく知っている。
「いえ」
珠々華は耐えている。二個のローターはいまもなお、盛大に振動していた。
「震えていますよ。顔色も悪いようだし」
脂汗が、開いたブラウスからのぞく胸元に光る。オフィスはそれほど暑いわけではない。
金谷が手を伸ばした。
「すごく震えているんじゃないですか?」
「大丈夫ですから」
珠々華は後ずさり、戸口へ逃げようとしていた。私は先周りして、塞ぐ。
「珠々華さん。そこに座らせてもらったらどうかな?」
パーティションの陰に応接セットが見えている。
「ありがとうござます」
私の提案は命令である。理解しているようだ。
「その広いソファにどうぞ」
得意先にすすめられ、三人掛けのソファに座る。金谷はすぐ横に座り、私も座った。男二人に左右をはさまれた。
「こんなにきれいな人なのに?」
「そうなんですよ」
珠々華にもわかったようだ。相手が知っていることを。
金谷の手が膝にのる。払いのけることは許されない。私は援護するように、反対側の膝を抱えるようにして、足を開かせた。
「あっ」
珠々華は焦る。
「すごく震えている。よっぽど身体が悪いのか。それとも……」
「見ていただきなさい。バッグの中に入っているものを」
珠々華は頬を赤く染めながら、ハンカチで包んだローターを取り出した。ランダムな動きをしている。
「これをこの女は、中に入れているんです」
彼がそれを指で触る。ビーッと振動音が増幅される。
「強力じゃないですか。こんなものを入れてよく歩けますね」
「入れてみせますよ」
珠々華はふっくらした唇を開く。彼女の唇はそのまま性器の反応といっていい。いま膣口も開いているのではないか。
タイトなスカートをめくりあげると、下半身が剥き出しになった。
「んんん」
珠々華は目を閉じ横を向いた。ローターを持ち、股間にあてる。熱い汁が噴き出して、そのあたりはぐっしょり濡れている。
「はん!」
奇妙な声を出し、指で振動するローターを押し当てながら、開いている粘膜に入れていく。
「もう一つもだ」
いやいやと首を振りながらも、もう一つに汁をたっぷりつけると、身体をさらに寝かせて、腰を突き出すようにし、アヌスに押しつける。
二人の男に股裂きのように両足を広げられながら、彼女は自分から淫らな行為をやり遂げた。
「こんなにカワイイ子をオモチャにしてるとは、悪い人ですね」
「いえいえ。珠々華は接待中心ですから」
「貸し出すのですか?」
「ご存知なくせに」
男たちが笑う。珠々華は切なげにもだえている。
二人がかりで、その服を脱がせていく。下着をつけていないので、上にひきあげていくだけで、ほとんど脱げてしまう。珠々華自身が袖から手を引き抜いていく。
「いい身体ですね」
金谷が乳房にむしゃぶりついた。
「あっ」
それをやさしく抱えて受け入れる。徐々に珠々華は仕事のコツを覚えてきたようだ。
私が珠々華の肩を押す。彼女はなめらかな動きで、金谷のズボンのベルトを外し、それを降ろした。若いだけに突っ張っているトランクス。それも脱がせる。
ビンと立った男のものに指をはわせる。初めて会った男。会ってから三十分もたっていない。それなのに長く付き合ってきた恋人のようにふるまう。
「しゃぶってくれ」
金谷がソファに横になる。珠々華と私は押し出されるが、珠々華は跪いて彼のものを口に含んだ。
私は向かい側のイスに移った。
「うううっ」と金谷は珠々華の頭を両手で抱えて、股間に押しつけた。早くも射精したようだ。
「すばらしいですね」
飲み込んでみせた珠々華を誉める。
「若いから何回でもできるでしょう?」と私は誘う。「珠々華の身体を味わってみませんか?」
「うれしいですね」
「その前に、中のものを出してしまわないと。ここではマズイから、外に連れ出してもいいですか?」
「ええ」
首輪。チェーン。全裸の珠々華を引っ張って、建物の横に出す。冷たい風が吹いている。
「そこにのぼれ」
植栽を囲む、膝ぐらいの高さのブロックにあがらせ、ローターを産ませる。
「ふうううう」
寒さに震えながら、しゃがんで、力を入れる。
「んんん」
お尻から一つ、ポトリと落とした。
「おお、盛り上がってますね」
金谷は肛門が外に出てきたことをおもしろがっている。
次に膣だが、これもあとで入れたものは比較的簡単に出て来た。
背景は野球場が二面ぐらい取れる空き地。その向こうは大規模な建設現場で、クレーンが何機も入っている。
「まだこうした芸ができるまでは仕込んでいないのです」
「これも芸なんですか?」
「そうですね。コツはあるでしょうからね」
花山は珠々華に花電車をやらせるつもりでいる。花電車は、都電や市電といった路面電車がお祝いのときに花飾りをつけて、街中を走ったことに由来する。大正時代の話だ。
そこから、「お客を乗せない」という意味で、遊郭でも客を取らず見世物だけに出るプロの女性の代名詞となった。以後、ストリップ劇場でもその伝統をくんだ芸を披露し続けてきた。産卵やバナナ切りが有名だが、吹き矢をしたり、電球を中に入れて光らせる「蛍」など、誰もができるとは思えない芸が多い。
珠々華は指を使って膣から出ているローターの紐をつかみ、二つ目を引き出した。
「はあっ」
やっと振動が減って、一息つけたようだ。
最後にお尻から残りの一つを産み落とすとき、力を入れすぎたせいか、小便を漏らした。
「誰がそんなことをしていいと言った」と私はすかさず、首輪を引っ張る。「罰が必要だな」
「いいですよ、すごいものを見せてもらったから」
「いえ、そんなに甘やかしてはいけません」
「だったら、あっちへ行きませんか?」
金谷は空き地のはずれにあるプレハブの小屋を指さす。
「いいですよ。なにがあるんです?」
「うちの作業員が何人かいますから、きっと喜ぶと思うんですよ。罰にもなるでしょう?」
チェーンを引っ張ると、珠々華は少し抵抗した。
「なにをしてるんだ。さっさと来い」
彼女はチェーンを手で掴んでいる。反抗的な態度だ。
「珠々華。おまえは勘違いしているぞ。おまえは、飲めと言われたら、水たまりの水でも飲むんだ、ゴクゴクとな」
濡れた瞳でじっと私を見る。代えがたい悦楽の瞬間だ。一人の生身の女。若く、見た目も美しい娘が、私の命令に逆らうことなく、恥辱のためにその身体を捧げる。
なにが悲しいといって、彼女の行為は、なにも生み出しはしないのである。
彼女のおかげで私たちの仕事が前進しているように見える。だが、現実には彼女抜きでも、仕事は進む。ビジネスは接待で得られる無形の利益だけで動くことはない。珠々華は、すべてが決まったあとの添え物に過ぎない。よく言ったとしても潤滑油または人柱。いずれ、それに気づくだろうが……。
裸の女が殺風景な埋め立て地を歩かされている。靴もはかされていない。容赦ない寒風が体温を奪う。水たまりに足を濡らしながら、処刑されていく罪人のように、とぼとぼとプレハブ小屋に向かう。
「どんな場所でも恥ずかしさに打ち勝ち、やるべきことをする。それがおまえの仕事なんだよ」
私はつぶやくように、珠々華の耳元に吹き込んだ。
彼女は返事はしない。気持ちはそれどころではないのだ。うら若い一人の女。首輪をされて、全裸で歩かされたあげく、薄汚れたプレハブ小屋に入れられた。すえたニオイが鼻をつく。
「すげえ、いい女じゃん」
金谷とその仕事を請けているらしい作業員六人に珠々華は囲まれる。茶色い作業着と安全靴。
汗臭い。現場事務所というよりは物置小屋である。資材の一部が積みあげられ、食事や打ち合わせにつかうテーブルと、パイプイスが何脚か置かれている。電気ポットが二台。お湯が沸かされている。カップ麺や弁当の箱が入ったごみ袋。
「差し入れだそうだ」
金谷は笑いながら珠々華の腕をつかんで、前に出す。
「休み時間に楽しんでください」と私が言葉を添える。
「いいんですか」
「なんか、きれいすぎて悪いよね」
「めちゃめちゃ、まぶしいですよ」
自分たちが汚れていると思うようだ。
「大丈夫です。気にしないでください。こう見えても、なんでもする女ですから」
そう言って、私は珠々華の乳首を指でつまんだ。
唇を噛んで耐えている。また泣くだろうか。私と出会ったことで、まさか人の道を踏み外していくとは、予想もしていなかったことだろうか。
私はそうは思わない。
珠々華は望んだのだ。いやなら、とっくに私の前から消えている。むしろ、なぜこんなことを望んでいるのか。耐えられるのか。それには限界があるのか。それが知りたい。
「じゃあ、触らせてもらおうかな」
男たちが手を伸ばしてきたので、私は引き下がる。
白い肌に、男たちの黒い手が触れ、撫で、つまみあげる。
「はううぅ」
くねる肌。
「ちくしょう、たまらないぜ」
男たちから、しだいに汗ではない分泌物のニオイが漂いはじめる。興奮している。
彼らは執拗に珠々華の乳房をもてあそぶ。柔らかな膨らみ。張りのある肌。色づいた乳首は硬くなっている。
「はあぅ」
吐息とも感嘆ともつかぬ声をあげている。暴力によって性だけに過敏に反応するように仕込んでいる。その成果に驚いているのは珠々華自身だろう。こんなはずはないのだ。恥ずかしい行為。つらい行為。見知らぬ男たちに見られ、触られる。それでいて期待し、感じてしまう。
「見ろ、こいつ」
一人が珠々華の腿を乱暴に引き寄せる。淡い翳りに露が光る。股間にべっとりと淫汁がしたたっている。
「スケベな女だな」
「そりゃそうだ。ここに裸で来るんだからさ」
「いい思いがしたいなら、自分からお願いするんだな」と私が言うと、珠々華は「お願いします」と言った。
「お願い? なんだよ、お願いって」
「どうして欲しいのか、ちゃんと言えよ。こっちは忙しいんだぜ」
「すみません。みなさまにこのスケベな穴を使っていただきたいのです」
珠々華の消え入りそうな声。しかし、女は彼女しかいないので、その声ははっきり男たちに届く。
「なんだと? 贅沢な女だな。おれたちのものを満足させることができるのか?」
「やらせてください」
「見せてみろよ」
「あああ」
すでに珠々華は自分の立場に酔っている。惨めで悲しく淫らな生き物として。
「ご覧になってください」
自分からその部分を開いて見せる。
朝からマシーン、膣圧訓練、そしてローター責めと、休むことのない穴を。
「うわ、真っ赤になってやがる」
「欲しがってるな」
男たちの指がそこに入っていく。
「どうだ。指だけでも
逝
くんじゃないか?」
「ふうううう、お願いします。みなさまのオチンチンをください。突き刺してください」
男たちに笑われる。
彼らは作業服のベルトを緩め、頑丈な金属のファスナーを降ろすと、硬くなってきた男根を出す。
「ほら、六本もあるぞ。どうするんだ」
「ありがとうございます」
珠々華は膝をついて片っ端から唇と指で愛撫をはじめた。
「うわ、たまらねえ」
勢いのついた男が口に突っ込む。頬に男の硬くなったものが浮き上がる。
「このままやってもいいぐらいだ」
「ぷはー」と息をついた珠々華が「どうか、入れてください」と、立ち上がり、お尻を突き出す。
「よーし」
濡れた男のものが、彼女の中へ押し入る。
それが合図のように、男たちは次々と珠々華の口に押し込んでは、性器に入れていく。ぐるぐると回されている。
「誰が最後に残るかな」
「くそっ。がまんできない」
「まだまだ」
入れる。次の男に珠々華の尻を渡す。口が回ってくるまで待つ。六人の連携はいつまでも終わらない。彼女はその中心で回されている。手を取られ、それでも愛撫させられる。下を向いて揺れている乳房をいじられ、叩かれる。
「あうっ、ひっ」
なにかを叫びながら彼女は夢中になって男達のものを求め続ける。
「あ、ダメだ。いかせてくれ」
一人が激しくピストンし、珠々華の中に放った。
「よーし、終わりだ」
仲間に突き飛ばされて、彼は脱落。五人、四人、三人と減っていく。口で出す者もいる。
一通り終わったときには、珠々華は汗びっしょりになっていた。立っていられず、へたりこむ。
その首輪を引っ張り「お礼は」と促す。
「ああ、ありがとうございました」
「言葉じゃない。態度で示せ」
私は彼女の顔を男の安全靴に押しつけた。六足の安全靴についた泥を舐めさせていく。
「ちくしょう、またやりたくなっちゃうじゃねえか」
「休み時間は終わりだ」と金谷が笑いながら告げる。
靴がピカピカになった男から、外に出ていく。
残されたのは汚された珠々華だ。へたりこんでいる。ボロ雑巾のようだ。
「もうすぐ、次の班の休憩時間です」と金谷。
「よかったな」
とろんとした目で私たちを見上げる。
「少しはきれいにしろ」
流し台で顔を洗い、口をゆすがせる。股間も洗っておく。
不思議なことに、磨けば磨くほど光る珠のように、彼女の身体はつやつやと輝いている。
「男の精気を吸ってるんじゃないですか」と金谷もあきれている。
新たに来た男たちはこれから食事だった。珠々華は食卓の下で、弁当やカップ麺を食べる男たちの股間をしゃぶって回る。私に言われるまでもなく、彼女は役割を理解してこなしていた。
食事を終えた男から、珠々華を抱く。イスに座った男の上にまたがり、激しく乱れる。本気になっているのがわかる。
「あん、あん、あん」
悩ましい声をあげて、男たちを挑発する。
「そこをどかせろ」
男たちは興奮し、テーブルからものをどけると、そこに珠々華をのせて、激しく犯す。
「はあ、はあ、はあ」
次々と男たちを受け入れていく。
終わったあとの男性器を口で掃除する。終わった男はサッパリした顔をして仕事に戻っていく。
最後の一人が出ていくと、金谷が「くそっ」と言ってズボンをおろした。「おまえ、ケツ穴もいいんだろう?」と言い、珠々華の尻を割った。精液をダラダラと垂らしている膣。その上で少し分厚くなった唇を見せる肛門。そこに金谷は指を入れる。
「入れてやるよ」
金谷は硬くなったものを、膣に入れて濡らしてから、アヌスにあてた。
「うっ」
腰をぐっと突き上げながら、珠々華の髪を掴んで引っ張る。
「いいねえ」
金谷はゆっくりと彼女の尻穴を味わう。
「いい具合だ」
性処理の道具と化している。それでいて、まだなお美しい。
すべてを終えたあと、私は彼女を裸のまま、しばらく、その周辺を歩いた。
「どうだ。気に入ったか、この仕事」
珠々華は返事をしない。
ぬかるんだ地面を裸足で歩かされ、体力も限界だろう。しかし、その態度は、なおも罰してほしいと願っているようでもあった。
「返事は?」
反抗的な目。
やさしく笑ってあげる。
「わざとそうしているのか?」
口を硬く閉じている。
「罰してほしいんだな?」
私は鎖を引き、彼女のバランスが崩れたところで、水たまりに突き倒した。
「あっ」
泥の中に倒れ込んだ。
汚れた身体。残った白い肌。ギラギラと日が当たる。
泥水につかった珠々華。横向きに倒れている。その腰のあたりに足をのせた。こうするだけで立ち上がることは難しいだろう。
その尻にポンプ式の浣腸器を押し込んだ。
ズズッと泥水が吸い上げられ、珠々華の腸内に染み込んでいく。
花山と大木に道具を持って来るのように電話したのだった。
「この場所、いいだろう?」
私は気に入っていた。屋外でありながら人目を気にする必要はない。見られるとしても、すでに珠々華の身体を蹂躙した作業員たちである。
たまに通るトラックは、ここでなにをしているかなど、気にも止めないに違いない。
「急ですね」と花山が驚いている。
泥水を珠々華に浣腸してやる。どのぐらい入ったのか、わからない。限界まで入れてやるつもりだった。
「正念場というやつだと思うんだ」
「はい」
花山も自分のことを思い出している。最初の屈辱。そして順応。そこから仕事に出される。そのとき、なにかが許されたような気持ちになった。自由であり、自分には役割があると勘違いする。
それは奴隷にとって不必要な感情なのだ。いつどんなときでも、最低の虫ケラであることを自覚しなければ。
早くも珠々華はその分岐点に来ていた。厳しい私の要求に答える奴隷となるか。被虐性癖だけの職業的奴隷となるか。または、奴隷を諦めるか。
「はううぅぅう、きつい」
珠々華が私の靴の下でうごめく。あれから一時間、泥水に浸かっている。二人が来るまで三十分以上かかった。そして泥水浣腸がはじまった。
見るからに腹が膨らんでいた。
「まだだ」
容赦はしない。臨月かと思うほどまで膨らませる。意味はない。珠々華が壊れるかもしれない。壊れたらそれまでのこと。
珠々華は、私がいつか「よくやった、これからも頼むよ」と抱きしめてくれるのではないかと思っているだろう。その卑しさがわかる。なんの希望もなくてよい。珠々華の希望や夢は、私のものだ。珠々華がそれを持つ必要はない。
「ぐええええ」
パンパンになった腹。
「立て」
足をどけてやる。
自分で立ち上がらせる。尻尾のようにエネマシリンジをぶら下げている。泥だらけだ。腹の中まで。
「そこに顔をつけろ」
「えっ」
「早くしろ」
「はい」
鞭で脅すこともない。花山がそうした道具の入ったキャスター付きのバッグを持っているものの、私はまだ道具を手にしていない。
「飲め」
「はい」
水たまりに顔をつけ、泥水を飲む。ぼて腹を抱え、そうとう苦しいはずだが、ゴクゴクと飲む。その水が身体に害があるかどうかさえ、関係ない。私が命じたら飲む。
「まだだ」
「ぷはー」
息をするために顔をあげる。私を虚ろな目で見る。ただのいじめ。そう受け取るだろうか。
「ぐはっ」
吐きそうになっている。
「よし、立て」
再び自力で立たせる。
「走れ」
ぬかるんだ空き地を走らせる。砂利や鋭く尖った石もあるが、裸足で走らせる。異様な光景だ。半身に泥をかぶり、顔も泥だらけ。乳房と尻尾を揺らしながら走っている女。
道路に出る。滅多にトラックは通らない。その中央に立たせる。
「排泄していいぞ」
「はい」
自分で浣腸器を引き抜き、泥水を噴射した。最初は中腰で、やがてへたり込むようにしゃがんで。大量の泥水がアスファルトを濡らしていく。
「吐け」
指を喉に突っ込んで、飲まされた泥水を吐いた。
「こっちに来い」
走らせて、再び泥水の中に立たせる。
「やり方はわかったな。この水がすべてなくなるまで、繰り返すんだ」
彼女が全身を濡らすほどの大きさの水たまりだ。その水を、自分の身体を使って排水しろという。しかも、なんの意味もない作業。
珠々華は脅されることなく、自ら作業をはじめた。ポンプをお尻に入れていき、苦痛に顔を歪めながら、泥水浣腸をはじめる。お腹がパンパンになったら、水を飲めるだけ飲む。そして走って道路へ行き、トラックに轢かれる前に排泄し、嘔吐してくる。
三往復すると、ようやく水たまりは半分以下になった。ぬかるんだ泥だけになってくる。ズズッと音がして、水だけを吸い上げるのは難しくなる。私たちは、黙って見ている。
時計を見ると、二時間近く、この作業をしていた。調教には忍耐も必要だ。私たちはゆるぎなく、ただ見守るのだ。
少なくなった水を自分で泥を動かして、集めていく。珠々華はそうやって最後の洗面器一杯ほどの泥水を二往復して処理した。
泥だらけの珠々華が私の前に立った。
「終わりました」
「よし。洗ってこい。外も中も」
指定したのは洗車などに使う事務所の外の蛇口。金谷に許可を得ている。
冷たい水を浴びて泥を落とす。肛門を蛇口に押し当てて洗腸する。そして口をゆすぎ、思い切って水を飲んで、また吐いてみせた。
きれいになった。太陽が傾いている。寒風が強くなる。
珠々華は自分が全裸であることを忘れているかのようだ。
「マンコを開いてみせろ」
「はい」
きれいに洗ってある。そこに指を入れる。熱い。ドロドロになっている。指を引き抜こうとすると、吸い込まれそうなほど粘膜がついてきた。そして指にたっぷりの愛液がついていた。
「感じたのか」
「はい」
しばらく珠々華は奴隷をやれそうだった。だからこそ、いま罰しなければならなかった。
大木に命じて、珠々華を金網に大の字に縛り付けた。こちらに背と尻を向け、乳房と陰部を道路側に晒す。
バッグから一本鞭を出した。長い鞭なので、滅多に使わない。練習が必要だった。
「大木、使ったこと、あるか?」
「あんまりないですね。部屋の中じゃムリでしょう」
「いい機会だ。練習しよう」
奴隷には苦痛だけが報酬だ。苦痛に耐えた報酬は苦痛。ひたすらそれだけである。


