理系女子大生 奴隷凛々子 episode2 一瞬の夏 【奴隷・雨宮凛々子】 第5部分 (5/5)
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「そこから五分。二十五分間は射精させずに愉しませてあげる。そして残り五分。三十分以内にもっと気持ちいい射精をさせてあげるわ」
喋っている間も、両手は一瞬たりとも休ませてはいない。二度の射精の満足で、硬度を失わせるつもりはなかった。凛々子の期待に応えるように、二十一歳の男根は凛々子の手の中で脈打っている。
「えーっ、も、もしその五分で太陽が
射精
かなかったら」
挑むようにそう聞いてきたのは、双子の陽花だ。
「絶対逝かせられると思うけど、もし失敗したら、犯らせてあげるわ、太陽君に。最初の相手がもし私でいいのならだけど。もしわたしのココに挿れてみたかったら、オマンコしたかったら三十分しっかり耐えてごらんなさい」
凛々子もまた挑戦的に、敢えて蓮っ葉に太陽に告げた。
力強く頷いてやる気を見せた太陽が、二十六分で凛々子の軍門に降ったのは言うまでもない。
六
東京・大河原邸地下調教ルーム
小説は変わった。
楓花の、いや元はといえば柚花の影響で少し古い小説を何冊か読んだ。
電話をかける、かけない。電話がかかってくる、かかってこない。それが恋の物語の展開に重要な要素だった時代があるのだ。それも家の固定電話だ。携帯電話など影も形もない。
そこには、頻繁にメールのやり取りをして、例え会えなくとも、会えないながらも日常を常に共有している、そんな恋人同士の姿はない。会うことが出来ず、電話もかけるタイミングやたまたま電話のそばに居ないなどで、三日も一週間もやりとりが途絶える、それが普通だった時代があったのだ。
現代と違って、そんな手段がなかったのだから致し方ない。
メールのみならず、今やラインなどのネット上での会話ツールが出来て、いや出来てしまって、男と女の物語は変わらざるを得なかった。
そしてもちろん、現実も同じように変わっている。
もう、その頃に戻ることはないのだ、決して。
「明日は必ず来て下さい」
文字面
こそ丁寧な言葉だが、メールでは、相手が怒っているのかどうかはわかりにくい。これが昔のように電話であれば、その口調や、これだけ短い言葉を言ってガシャッと電話を切られるなどで、相手の感情の探りようもあるだろうが。
いや、美奈子は怒っているだろう。怒っているという言葉が違うとすれば不機嫌の方が近いか。
先々週の土曜日は大河原に直接新宿のホテルに呼び出され、先週はそのこともあって億劫になりお盆の帰省を理由に大河原邸への週末の定期訪問を回避したため、二週連続で義務とされている土曜日の宿泊調教を受けていない。
土曜日当日に大河原が不在で、女同士だけの調教をされることは数えきれぬほどあっても、別の場所へ大河原の方に呼び出されたのは二年半近くなる「奴隷」という立場になって、はじめてのことだった。
そのことを美奈子が知らない、ということはまずないだろう。
「脱ぎなさい」
いつもと違い、凛々子にそう命じたのはユカリだった。
大河原邸の地下室に一歩足を踏み入れた瞬間に、ピリピリとした空気を実感した。
丁度部屋の真ん中あたりに美奈子が座っている。上半身は白いブラウスだが、下半身は光沢のある黒いラバー素材のタイツだ。
美奈子の椅子になっているのは、ご主人様大河原賢輔の実の妹の真弓である。二年前、最下層奴隷だった凛々子よりもさらに下の存在、「奴隷というよりは家畜でいいんじゃないの」という美奈子の言葉どおりの扱いで、それ以来ずっとそのままだ。それまでは、ご主人様とも兄妹以上の関係を持ち、奥様の美奈子に対しても君臨していたというのだから、立場の逆転、真弓の転落ぶりをユカリたちがつい色々凛々子に言いたくなるのも理解出来る。
美奈子の正面に、こちら向きで、ミホとクミコのふたりの先輩奴隷が、既に全裸にされ、手を頭の後ろに組み、脚を肩幅以上に拡げるといういわゆる奴隷のポーズで、真正面の壁を向いて立っていた。
凛々子が感じた、ピリピリ感のひとつの理由は、このふたりの視線かもしれない。普段ならば、真ん中に座っている美奈子を見ている筈なのだ。それが目の高さそのもので五、六メートル先の白い壁をじっと見ている。ふたりの拡げた足が微かに震えてこわばっているようにも見える。まず間違いなく、その身体の内部にリモコンで動くローターバイヴを仕込まれているのだろう。スイッチは美奈子が握っている右手の中か。
この責めをされている場合、性器の中のローターを落としてしまった場合は、女性器への鞭打ちのお仕置きが行われる。過去に何度も見せられているのだ。見ているだけでも口の中が酸っぱくなるような、厳しい折檻だ。
凛々子はそんなふたりの間、美奈子奥様の真正面に立たされた。
やはりご主人様、大河原は不在のようだ。
言われたとおり、ワンピースの背中に手を回し、首元からファスナーを下げる。
ブラジャーはしていない。もちろんスリップも着ていないから、それだけでふたつのGカップの乳房がエアコンでよく冷やされた部屋の空気に直接触れた。
さらにファスナーを下げると、ワンピースがすとんと床まで落ちる。
パンティは履いている。一年ほど前から、ここに来る時の凛々子のドレスコードはノーブラでパンティ着用と決められているからだ。
しかも特に理由をあげて許可を得ない限り、木曜日からパンティを替えることが出来ない。履きっぱなしということだ。
「それも」
言われて仕方なく、両手で白いパンティを下ろし、足を抜いてユカリに渡す。これで一糸まとわぬすっ裸だ。
凛々子自身も、取り上げられるのがわかっているため、週末にかけてお気に入りのものを着用することはまずない。
美奈子からも
「使い捨てのつもりで買ったものでいいから、そのかわりたっぷり汚してくるの。ちゃんと出来なければ、交換禁止の期間を延ばすから」
と、言われている。
シャワーを禁じられているわけではないため、それで身体が気持ち悪いということは少ない。
それどころか、微かに蒸れたような匂いに、むしろ自分もうっとりした気持ちになることがあると気づき、それまで認識していなかった、匂いにも自分の欲情のキィがあると知った凛々子だった。
凛々子が手渡したものは、即座に確認のため美奈子の目の前に差し出される。
内側の、二重になっている白い布部分に、やはり黄色い滲みが出来ているのは、いつものことながら恥ずかしい。
それでもその部分を自ら上にしてユカリに渡しているので、ユカリはただそれを美奈子にスライドして、検閲させているだけだ。
目で確認すると美奈子はやはり言葉を発さずに、わずかに右下に顎をしゃくった。
その先には、真弓の顔がある。
ユカリが確認するように、凛々子のパンティを自分の鼻先に持っていきクンと匂いを嗅いだため、あ、と出そうになった声をかろうじて押さえたが、羞恥にわずかに目線を動かしてしまった。
途端に、トンっと美奈子がヒールのかかとを鳴らした。
床は、いや床も壁もコンクリート打ちっぱなしの硬質な印象の部屋である。
「さ。お前の好きな新しい匂いが来たよ」
ユカリはご主人様の妹にぞんざいな口調で言うと、真弓の口からクリーム色の布を引っ張り出した。
「ベトベトね」
真弓のよだれを吸い取って、しっとりとしている布をパンと一振りすると、それは小さなパンティに姿を変えた。そうしておいて、かわりに今凛々子が脱いだパンティを、汚れた部分を上奥にして口の中に突っ込んでいく。
「うぐっ」
と、声こそあげるが、真弓はもちろん抵抗したりはしない。
「四つん這いになって」
ユカリから凛々子への次の命令だ。
凛々子は、回れ右をしようとした。こういう場合、膝を曲げない変形の四つん這いで、上位奴隷様にお尻の穴を見ていただくということが原則だからだ。
「違うの。そのまま四つん這いになって、美奈子様の前に来るのよ」
ユカリが奥様ではなく美奈子様と言った。
言われたとおり手を前につき、膝も折る。四つん這いになって、おずおずと美奈子の前まで来ると、組んでいる足の上になっている左の指先を僅かに差し出された。
「ヒールを脱がせて、舐めなさい」
美奈子はひと言も発せず、命令は全てユカリだ。
にじり寄って、言われたとおりに黒いハイヒールを左足から抜き、その甲に口唇を押し付ける。
足もすっぽりと覆っている光沢のある黒色は、やはりラバー製で、思った以上にゴムの匂いがした。
裸の女性器や肛門を舐めさせられたことは既に数え切れないが、美奈子をはじめとする先輩奴隷様はもとより、ご主人様にさえ、これまで足舐めを命じられたことがない。
跪いて足をお舐め、というフレーズがなんとなく頭に浮かんだが、今の凛々子は四つん這いである。手でその足を捧げ持つことは出来ない。ただひたすら口を差し出して、舐めるだけだ。
「凛々子ちゃんの四つん這いはやらしいわね。なんといってもそのデカパイがぶらぶらユラユラして。ほら、ちゃんと足の指もひとつずつ舐めるのよ」
そんなことを言われても、ラバーに覆われた足先は、なんとか中の指の存在は視認できるものの、舐め分けるとなると並大抵のことではない。
「ううっっ」
凛々子がそれでも頑張って舌を出して指先の部分を舐めていると、美奈子が腰を一度浮かせて乱暴に座り直したため、真弓がうめき声をあげた。
「あいかわらずいやらしそうなおまんこしてるわね。ご主人様が凛々子は巾着って言ってたけど、どんななのかしら」
凛々子の背後に回ったユカリの言葉に、僅かに美奈子の足先が反応を示す。
なんでまた、わざわざ奥様を刺激する言葉を…。
先程、地下室へ降りる階段まで歩いている長い廊下で、「奥様は不機嫌。ていうか不安なんだと思うわ。真弓を追い落として、というか勝手に降格されたんだけどね。ようやく今の立場を手に入れたけど、参議院議員夫人という立場になっても最初は真弓が君臨していたからね。それとおんなじ下克上がまた起こらないという保障はないわけだし。まあそんなわけだから、今日は特に逆らったりしないようにね」
と、むしろ凛々子のことを
慮
った言葉をかけてくれていたのにだ。
最後には小声で、「立場が逆転したら、思いっきり仕返し出来るしさ」
とまで、付け加えて来たのにだ。
ぬぷりと何かが膣に入ってきた。
「まあ、濡れ濡れ」
それはユカリのどちらかの足の親指だとわかった。
途端にぺちゃぺちゃと濡れた音が自分の性器から聞こえてくる。
凛々子も美奈子の足の指を数本まとめて口の中に含み、左右に動かしながら音をたててしゃぶり立ててみる。舌先に親指から小指までのひとつずつの確かな感触が、はっきりわかった。
「ユカリ」
しばらくして、この日はじめて美奈子が声を発し、凛々子の性器を弄んでいる先輩奴隷を呼んだ。
凛々子も恐る恐る見上げると、美奈子は腰を浮かせている。
ユカリの足指が凛々子の中から抜かれ、美奈子に歩み寄っていく。
「凛々子ちゃんは、正座してちょっと待ってなさい」
ユカリに言われ、凛々子は口から美奈子の足指を出して、言われたとおりに美奈子から一メートルほどの位置で正座すると、手を膝の上に置いた。
ユカリが、皮を剥ぐように、美奈子の黒いラバータイツをくるくると剥き下ろしていく。時折キュッキュという、ゴムの擦れる音をたてながら、苦労してお尻の部分を脱がせると、足は美奈子も協力して片方ずつ脱がせていく。
当然、素足になった美奈子の足指をまた舐めさせられると思ったが、「凛々子も、それから真弓も並んでそこに仰向けになりなさい。頭を奥様の方にして寝るのよ」
予め美奈子との間に段取りが出来ていたのか、準備が出来たとばかりに、ユカリは凛々子だけではなく美奈子が椅子代わりにしていた真弓にも命じた。
「凛々子、浣腸は」
今日、はじめて美奈子が凛々子に言葉をかけてきた。
正直半分ホッとする。
無言の威圧ほどプレッシャーのかかることはない。
だが、この瞬間、今まで美奈子に抱いていた奴隷としての、ご主人様の名代でもあるこの奥様への「奴隷」としての感情が、少し前回までと変わっているかもしれない、と唐突に思った。
それが言い淀みに繋がり
「浣腸して綺麗にしてきたのか、って聞いてるのよ」
と、剣のある言葉で美奈子が重ねてくる。
「は、はい。浣腸してあります」
慌てて答える。
「ミホ。ディルド腰に巻いて、この子のお尻、掘ってやんなさい。貴女は足、こちらに寄越すの。マングリ返しってことよ」
仰向けに寝ている凛々子の顔を跨ぐように、立ち上がった美奈子が一歩前に進んでくる。これまで何度も直接舐め奉仕をしたことがある美奈子の女性器が、足を開いたためかわずかに開いて、中のピンク色が目に入ってきた。全体の色は濃い。ご主人様は美奈子の性器を称して、淫水焼けだと言っていたことがあるが、ビラビラも大きめでいやらしさ満点だ。
お尻が近づいてきて、肛門も目に入ってきた。それ、つまりは女性器に較べて、アヌスは誰よりも美しいと言われている美奈子のお尻の穴だ。そんな褒められ方が果たして女として嬉しいのかはわからないが、これが綺麗な肛門というものなのかと、凛々子はついマジマジと見てしまう。
隣では、並んで仰向けになれと言われていたご主人様の妹真弓が、ようやく背中の上に座っていた美奈子が立ち上がったため、大急ぎで凛々子の横に来ようとするが、どのくらいの時間四つん這いで居たのかわからないが、動いた瞬間の膝の痛みに顔を歪めている。
「早くしなさい」
だがそんな真弓にすかさずユカリが、容赦ない催促の言葉を投げかけた。
凛々子もまずは言われた通りのことをしなければと思い、足をあげ一度自分の手で膝を抱えて、身体を二つ折りにする。
そうこうするうちに、美奈子のお尻が凛々子の視界も完全に塞いでしまった。
「なにやってるの。股は大きく拡げるんでしょ。こんなの開いてるって言わないわよ。ちゃんとおまんこ丸見えにしなさい」
私の性器なんて、嫌というほど見ている癖に。と、今日に限っては、反発したい気持ちさえ沸き起こって来るのが不思議なのだが、取り敢えずは足を開こうとすると、美奈子の手で両方の足首を持たれて、左右に大きく拡げられてしまった。
「なにそれ」
今度は、戻ってきた気配がしたミホに対して言ったようだ。
「え。お尻にとおっしゃったので」
「処女じゃあるまいし。いいのよ普通のサイズので。普通のちんぽのサイズに付け替えてらっしゃい」
美奈子はピシャリと言う。
「凛々子。あなたはお尻の前に、口開けなさい」
言われたとおりにすると、顔の上に乗せられたお尻の位置が動かされて、あっという間に口と鼻を塞いでしまった。
僅かな隙間はあるが、これを続けられたら窒息してしまうかもしれない。その恐怖感に開かれた足をバタバタさせようとするが、腰を落とした美奈子の手の力は、それを許してはくれなかった。
「ぐひゃっ」
隣でもユカリが着衣のままで真弓の顔の上に腰を落としたようだ。
「舌出して、ちゃんと舐めるのよ」
「あんたもよ」
早くもピチャピチャという音が、隣のユカリの股間から聞こえてくる。
仕方がなく、鼻からの呼吸を確保出来るよう舌でクリトリスを探すふりをしながらなんとか顔の位置をずらしてみる。
美奈子の
花芽
は、既に硬さを増しており、たどり着いた凛々子はなんとか鼻での呼吸も確保できて、ホッとしつつ舌でその尖りを確認するように舐めまわしていく。
あの日の夜…。
凛々子は、気を紛らわそうと記憶を辿ろうとする。
美奈子の性器を舐めることに、いつもと違う微妙な気持ち。
敢えて言うなら小さな嫌悪感とでもいうのか。これまでに一度も感じたことのない自分の感情の変化に戸惑っている。
それでもますます硬く充血してその存在をはっきり舌先で認識できる花芽への愛撫を続けながら、頭の中だけでも、違うこと、自分を興奮させられることを考えようと思ったのだった。
あの日。
陽花と太陽の誕生日のパーティーに招かれて、想定していた以上のことをしてしまった。
でも
柚花
、楓花
、陽花
と唯一の男の子である
太陽
の姉弟たちと過ごした一日は、あまりに淫らで、でも充実していて、そして何よりも凛々子が心から楽しめた、これからもきっと一生思い出すだろう大切な日になった。
そう。
土砂降りの夕立の中をノーブラで透け透けの乳房を晒しながら、六本木交差点を歩かされたあの日の記憶が決して色褪せないのと同じようにだ。
『やっぱ、オナニーはじめるんだわ、アネ』
その夜遅く、横浜山手の一条家から護国寺の自分の部屋に戻ったのを見透かしたように、部屋に入って手を洗おうとスマートフォンを傍らに置こうとした時に、楓花からラインのメッセージが届いた。
自分の姉の部屋にこっそり隠しカメラを仕掛けている楓花が、ひょっとしたらこの部屋にもこっそりカメラを隠しているのではないかと、思わず疑ってしまったほどのタイミングだった。浴室には、凛々子が義務付けられている朝の浣腸オナニーを監視するためのカメラがあるのだから、柚花と同じように自室を楓花に覗かれていようと、この際、構わないと言えばかまわないのだが。
『まあそうでしょうね。太陽君にただ性器見せるだけじゃなくて、オナニーするとこ見せなさいとか、言ってあげたらよかったのかもね。我慢してたかもなあ柚花』
と、メッセージを返す。
『おねーさん、おうちに着いた?』
『着いたわよ。ついさっき』
『パソコンできる?』
オッケーという文字の入った、スタンプを送った。
パソコンを開くと同時にURLが送られてきて、クリックすると小さな窓で動画ソフトが立ち上がり、何度か見た同じ角度の映像が浮かび上がる。
既に全裸になったベッドの上の柚花がその画面の中心に居る。
『今日はライヴだよ』
『へー』
今、現在の柚花の部屋ということだ。
凛々子はちょっとイタズラ心に、パソコンの横に置いたばかりのスマートフォンを手にして、電話の「お気に入り」の項目から柚花の名を押す。
柚花が電話に出るかどうかはわからないが、出たら出たで、今日のお礼と今家に着いたよという報告をすればいいだけのことだ。
着信メロディーが、思った以上に大きくはっきり聞こえてきた。楓花が姉の部屋にこっそり仕込んだカメラは、その映像装置も高性能ならばマイクもかなりしっかりしたものが搭載されているのだろう。
まっ裸の柚花は物憂げにベッドのヘッドボードにあったスマホを手にすると、画面を確認した。当然、そこには凛々子だとわかる名前が表示されていた筈だが、電話の横の部分を触ると、メロディーがピタリと止まった。サイレント機能を作動させたのだ。
とろんとした目をした柚花はそのままスマートフォンを元の場所に戻すと、再びこちらに向き直り、右手で前髪をかき上げる仕草をして、上半身を後ろに倒してベッドに横になった。
『電話、出てもらえなかったよ…』
『あら、凛々子ねーさんだったんだ。イタズラさんねぇ』
画面の中で、横たわった柚花は両足を折り曲げて開き、それぞれの手で股間側から足首の内側を持って、足をさらに拡げた。
『あぁ。アネ、なんて格好を。おまんこ丸見え』
楓花があからさまにタイプしてきたが、実際自ら強いるポーズとしては、あまりにもカメラの前に女性器を晒してしまう格好だった。
まるでそこにカメラがあることを知っているかのように、真っ正面でそのポーズを柚花は取っているのだ。
『柚花、わざとってことはないでしょうね、カメラに気づいてて』
『それは、ないない』
マゾだとカミングアウトしてるわけでもなんでもない柚花が、二十一歳の誕生日を迎えた弟に女のそこの構造を見せて教えるというタテマエがあり、雰囲気的にせざるを得ないところへ追い込まれたとはいえ、妹たちや凛々子を前にして、自ら裸になって、性器を丸出しにして見せたのだ。
楓花ならばともかく、普段の清楚な処女、柚花から考えると、相当思い切った振る舞いだったことは間違いない。
柚花がある程度積極的に脱いだことで、凛々子も楓花の思惑通りの役割を果たせたとも言える。
まあだからと言って、自ら積極的に実の妹が仕掛けた隠しカメラに気づいていてこんな格好をして見せるということまでは、まず考えられない、と凛々子は思い直す。
楓花のしていることこそ、姉妹の縁を切られてもおかしくはない大胆なことなのだが、なにしろ一緒に覗いている以上は、自分だって共犯だ。
大事な親友を失いたくないという思いは当然あるにもかかわらず、ついつい楓花のペースにはまってしまっている。
だが、凛々子には柚花をご主人様に差し出すという、立ち戻れない目的が既に出来てしまっており、その協力者としては楓花ほど都合のいい相手は他に居ないということも事実だった。
「あーん、恥ずかしい。でもこの格好で縛られたいです。こんな、こんな恥ずかしい、何もかも丸出しの、こんないやらしいポーズで固定されて、見ていただきたいんです」
高性能マイクにその声が拾われているとも知らず、柚花が架空の誰かに向かってそう語りかける。
柚花が、その痴態を自ら言葉にすることで、マゾの情感が高まるタイプというのは、前回によくわかっていた。
「おまんこ丸見えに、もっと自分の手で開きなさい。お尻に突っ込まれるものを、あんたの自分のおまんこ汁で濡らすのよ。たっぷり濡らさないと辛いばっかりだからね。やりなさい」
ふいに美奈子の声で、時間をやり過ごすために記憶を辿っている作業から我に返る。
顔面騎乗をされた状態で、機械的に舌で美奈子の尖ったクリトリスの愛撫は続けていた。
言われたとおりに両手を持っていって、性器を拡げると、近づいてきた気配がして、中心部に硬いものがあてがわれ、そう思った瞬間にズブズブとそれが子宮の入口付近にまで一気に侵入してきた。
「お舐めも、だいぶ上手になったわ。自分が感じてもちゃんと私が満足するまで、舐め続けるのよ。そしたらあとでいいもの飲ませてあげるわ」
いいもの…。
や、やめて。それだけは。
ご主人様のものならともかく、美奈子の尿を口に出されるのはなんとしても避けたい。
イヤイヤと不自由な首を僅かに横に振ろうとしただけで、顔の上に体重をかけられる。
その途端に呼吸が苦しくなるため、さらにもがく。
美奈子とて、凛々子が自在に舌を動かせる状態の方が気持ちがいい筈なのにだ。
視界にはまったく入らないが、手で拡げているそこに入って、ゆっくりと出し入れされている疑似男根は、ご主人様の大河原のものと同等ほどの大きさがあり、それを潤滑剤なしで肛門に挿れられるのかと思うと、それも恐ろしい。
「ほら、苦しいでしょ。ちゃんと言うこと聞けるわね」
凛々子の顔の上に深く腰をおろした美奈子の尻の溝に鼻が入り込み、その奥底にある肛門を擦り付けるように尻を前後され。
舌を上に向けて出している口も、欲情した女の匂いで充満した女性器の入口付近でこね回され、実際呼吸がまともに出来ない状態にされている。
「ふぁ、ふぁい」
一瞬腰が浮いたすきに、必死で返事をするが、くぐもった変な声しか出なかった。
「なにをちゃんとするの」
もう一度深く腰を落とされ擦り立てたところで、ようやく美奈子が腰を浮かせる。
「み、美奈子奥様のお、おまんこをご満足頂けるまで舐めさせてください」
「それから」
意地悪く、また腰を落とすわよとばかりに尻を揺すって美奈子が問う。
「美奈子奥様の、おしっこも凛々子の口に後ほど頂かせてください」
口で直接受けさせられることを回避出来る望みはかなり低そうだった。
「もういいわ。ミホ、お尻に突っ込みなさい」
「い、いやっ」
男根に模したそれが自分の中から出ていくことに思わず出た言葉で、そのことに自分でも驚く。美奈子もミホも、凛々子が肛門を貫かれることに対してそう言ったと思ったであろう。なので、それをわざわざ伝えることもないのだが、お尻に挿れられる恐怖よりも、むしろそれを頑張ってお迎えして、ただただ美奈子への性器奉仕をさせられているという単一の状態から脱したい。自分の中に今日突然生じたかにも思える、美奈子への違和感、嫌悪感に、凛々子自身がまだ戸惑い続けていた。
「ごめんなさい、ごめんなさい。今日、太陽君の、実の弟のおちんぽを見て、硬く大きく勃起したおちんぽを見て、欲情してしまった悪い姉の柚花に、どうか罰を、罰を与えてください」
『アネ、すんごい格好だぁ。ホントに人前でもこんないやらしくて恥ずかしい格好したいのかな、本気で丸見えじゃん。しかも、やっぱ太陽のおちんちん見て興奮したんだね』
『処女なんだから、生でおっきくなったのを見たの、ひょっとして初めてだったんじゃない』
大学三年生の楓花とともに、少し上から目線になって柚花を見ていることに、自分で苦笑いをする。
画面のなかでは、柚花の指がクリトリスの包皮を剥いて、ピンク色の小さな突起をあらわにさせた。前回はベッドに置いていた柚花が自分の女性器を見るための鏡が置かれていないため、何もかもがはっきりと映し出されてしまっている。
『凛々子ねーさんも、ユウカみたいなあんな格好したり、あんなカッコで縛られたりするの』
そう。
現に今、柚花のような格好でこそないものの、自ら身体をふたつ折りにして、反対側から見れば性器も肛門も丸見えのポーズを取らされている。
『どうかなあ。あんなポーズはしたことないなあ。柚花、よく思いついたよね』
『処女の妄想恐るべし』
妹にそんなことを言われて覗かれていると知らない柚花は、指をクリトリスからラビアに移動させて、ぐいっと両側にそこを拡げた。
「あぁぁ、見て。恥ずかしいおまんこ、柚花の処女膜見て、中まで奥の方まで全部見てぇ。そして、そして硬くておっきいちんぽで突き破って、服従させてください」
『くぅーーっ』
楓花が続けて送ってくる。
ここまで他人の、しかも親友の秘密の世界を覗いてしまってもいいのだろうか。繰り返しの自問が襲いかかる。
妹の楓花にしても、姉の柚花がここまで激しいオナニーをカメラに向けて展開するであろう等とは、想像すらしていなかったのではないか。
『楓花ちゃんさぁ、わたし、柚花をその世界に本当に誘惑しちゃっていいのかしら。かといって、ここまで見ちゃって、これを覗いておいてはい終わりでは、あまりにも柚花に申し訳なくって』
大河原に対してはっきりと親友をお願いしますと言ってしまった以上、凛々子にはもうそれしか、柚花を大河原の元へと導くことしか選択肢はなくなっている。
こうして楓花に宣言したことで、あとはどうやって柚花を「誘惑」するか、その手段と時期をどうするかだろうか。
「おちんぽ、おちんぽ…」
うわ言のように繰り返しながら、右手の中指でクリトリスを擦りはじめる。
『弟の面倒を見ていただいたばかりというのに不肖のアネまで…。申し訳ありません』
女の子が手を前について土下座をしているスタンプを楓花が送ってきた。
ふたりの、いや双子の陽花も入れると三人の姉たちの前で、太陽を口と手で三回射精させた。その上で、五人全員で入ってもまだまだ余裕な洗い場のある一条家自慢の大きな浴室で、当初の楓花の目論見通り、四度目の射精を性器で、それも生中出しで受けた。
太陽にとって、初セックスがお風呂場でバックから、しかも三人の姉の目にみつめられながら、それでいいのかとは思ったものの、今更太陽の部屋で二人っきりで、というのは太陽自身はともかく、楓花はもちろんのこと、柚花も陽花もそんなのは駄目という雰囲気になってしまっていたからだ。
集団心理というのか、姉妹の妙なことでの団結というのか、彼女たちの変な弟愛のために公開セックスという結果を招いてしまったのだった。
そうこうするうちに、柚花は身体の折り曲げの度合いを深め、性器を拡げている左手、クリトリスを擦っている右手の位置をそれぞれお尻の方へと移動した。
ぐいと尻たぼを開いて肛門をカメラの前に剥き出しにする。
「ああ。奴隷にしてください。ご主人様の大きなおちんぽ、太陽君のようなおっきくて硬いおちんぽで、奴隷柚花のお尻の穴もどうぞ抉ってください。おまんこの処女もお尻の処女も捧げて、ふたつの穴でお務めさせて服従させてくださいぃぃ」
ほとんど絶叫調で言って、お尻を拡げたままで右手の人差指でクリトリスを捏ね回している。
「ほら、もっと口おっきくあけないと
溢
すわよ。飲めなかったのは、床舐めさせるからね」
腰を浮かせた美奈子の性器の中心から、はっきりと黄色く色づいた液体が凛々子の口に注がれてきた。
肛門には、ミホが腰に巻いた特大のディルドが情け容赦なくねじ込まれてくる。
じゃぼじゃぼと勢い良く排泄される黄色い液をなんとか受け止めようと、口を大きく開いているが、それを飲み干すタイミングがないまま、口の中で泡立ったものが溢れ出ていく。
ミホが男性そのものの腰使いで、奥まで突き込んできた疑似男根を入口ぎりぎりまでズルズルと抜いては、また根元までゆっくりと進んでくる。
「うぐうぐ…」
「
溢
さずに飲み込みなさいと言っているでしょ」
排尿が続いている状態で、美奈子はまた腰を落として、その出口の部分で直接凛々子の口を塞いできた。
これで嫌でも口の中のものを飲み込まざるをえなくなった。
苦くて強烈なアンモニア臭を放つ液が食道を通って胃に落ちていく。
吐き気と戦う一方で、ミホにより責められている肛門が、既に学習している快楽の波動を反復して脳へと送り込んでくる。
柚花、マゾになるって、奴隷になるって、こんなことまで受け入れなくちゃいけないのよ。
ああ、でももう
覚醒
めてしまったのよね。私がそうだったように。
わたしが、わたしが道案内してあげるからね。すぐにでも。
七
エスタブリッシュメントホテル東京・会員制ラウンジ二〇十四年十月三日。
この日、東京都心では日中の最高気温が二十九度を超える「夏日」となった。
真っ暗なステージの中央にスポットライトが当てられている。
浮かびあがっているのは、艶やかな黒のグランドピアノだ。蓋が開けられ、金色の弦がライトを反射して輝いている。
凛々子の演奏はたった今終わり、スポットライトの丸い灯りから一歩外に出たところだ。
大きく肩で息をする。
「先に
演
る凛々子は、出来るだけ有名で耳馴染んだもの。ゆったりとした、夜のスタートに似合う曲を」
という、大河原のリクエストで、ショパンの「夜想曲第二番変ホ長調」という曲目を選択した。
夜の曲と言われたせいもあるが、凛々子も弾き慣れた曲で、全部で二十一曲あるショパンの夜想曲の中でも最も有名な、代名詞ともいえる曲だ。多分、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう。
お気に入りのランジェリー、レイニーフラワーのピンク。そのブラとパンティだけという格好ではあったが、それはそれで結果的には優雅に弾けた気がする。
普段なら譜面なしで完璧に弾けるレパートリーのひとつなのだが、下着姿での演奏で、聴き手は名うてのサディスト様たちという状況とあっては、二年間でそれなりの場数を踏んだ凛々子でも、緊張はひとしおだった。ましてこの場所は、二年前に排便シーンまで披露してしまった、恥ずかしい記憶だらけのステージだった。
その凛々子よりも、さらに何倍も緊張した顔で、舞台奥からスポットライトの輪に向かって一条柚花がゆっくりと歩いてくる。
ステージ全体は暗く、客席側の光で凛々子からはかろうじてその顔がわかるだけだが、黒の袖なしのドレッシーなニットに、大粒の白い珠がいくつも連なったネックレスをしているのが、服が黒いだけにひときわ目立っている。普通ならば、これにロングのスカートというのが正装ということだろう。
だが柚花は下半身には、白のパンティ一枚というこれからピアノを弾くというには違和感たっぷりの格好をさせられていた。しかもパンティには内側に秘密のポケットがついていて、クリトリスを直撃する位置に強力なローターを仕込まれていることを凛々子は知っていた。
「弾けるところまで弾いて、もう駄目だとなったら鍵盤の上に思い切り突っ伏せ」
柚花は大河原にそう指示されていた。
ようやくスポットライトの輪の中に入ってきたときの、柚花の上半身と下半身のギャップに客席が一瞬静まり、そして拍手が起こる。
ピアノの黒の艶やかさとその横でライトの中に浮かぶ、小さな生地一枚だけに覆われた白い腰。
そこからすらりと伸びた白い足。
柚花は、客席に向かって深々と頭を下げると、次に身体を一度こちら側に向けて、凛々子の居る方にも頭を下げた。
凛々子の背後のステージの袖の、客席からは死角になる位置に、大河原が座っているからだ。
普段なら客席で優雅に見物するところであろうが、そこに居てローターをリモコンで操作するつもりなのだろう。
頭をあげて、まっすぐに立った柚花が凛々子を見つめたため、二度頷いてやり「頑張って」と合図を送った。
椅子を引きピアノの前に柚花が座る。
柚花が弾くのは、フランツ・リストの超絶技巧練習曲の第四番、通称マゼッパと呼ばれている、その名の通りプロのピアニストでも敬遠するほどの技巧を要する曲だ。凛々子たちの所属する大学のピアノサークルでも、現役でこの曲を弾きこなせるのは柚花ただひとりだ。
ステージ袖から女が一人出てきて、凛々子に大きなハサミを手渡した。裁ちばさみだ。
もちろんそれだけで意図を察したが、「大河原様からのご伝言で、二分ほど弾いたらこれで上のスーツを切り落としておっぱいを丸出しに。その後弾き終わって挨拶するときには、パンティの両端を切り落としてまっ裸にしろ、とのことです」
耳元に口を近づけて、小さな声で女がご主人様の命令を囁いた。
高音と低音をそれぞれ叩きつけるような連打から入った曲は、流れるような速い旋律の弾きおろしの後、主旋律に入る。
その凄まじい圧倒感が、あくまでこれは処女の文学少女の公開破瓜刑の前の余興であるという会場に座るサディストの男たちの、そんな思惑をいっぺんに吹き飛ばしたようにも思える。
それくらい驚愕して聴き入る様子が、気配で伝わってきた。
スポットライトの外に居る凛々子には、客席のテーブルに灯されている小さな光が目には入るが、そこに座る人の顔までは到底わからない。
自分も弾いてみてわかったのだが、かなりいいピアノで、調律もしっかりしている。普段はいったい何処に置いているのか。
下は普通のホテルなのだから、結婚式場でもあるのかもしれない。
ひとつのミスもなく、柚花の両手が鍵盤上を忙しく行き来している。
一年の浪人をして今の女子大学に入った柚花だったが、現役の年に誰もが知っている有名音大には合格していたというから、その腕前が凛々子の及ぶところではないのは当たり前なのだが、これから自分の身に起こることを思えば、少しは動揺しても不思議ではない。いや動揺するのが当たり前の筈なのだ。
「歌うのが苦手なのよ、特にひと前で」
なんで音大に行かなかったの、という凛々子の質問に出会った頃の柚花が答えている。
陽花
と
太陽
の誕生日の翌週の木曜日、凛々子は
柚花
を学校帰りに自分の部屋へ誘った。
残暑厳しいどころか、外に出ると灼熱地獄の陽射しに炙られ、ふたりとも汗だくになって凛々子の部屋に辿り着いた。
先に柚花にシャワーを薦める。
「楓花から聞いたよ。凄いのがあるんですってね」
つい一週間ほど前に、凛々子の部屋のシャワールームに新しい、いわゆるレインシャワーが取り付けられていた。
大河原に、何かほしいものはないか、生活で不自由しているものがないかと問われた時に、思い切っておねだりしてみたのだ。
雨が大好きな凛々子にとって、それに近い状態がいつでも体感出来るのは、とても嬉しかった。
シャワーがもともと大好きだが、直径二十五センチのレインシャワーに十分以上打たれると、心身ともにリフレッシュ出来る。遊びに来た楓花が早速試していたので、それを姉に報告したのだろう。太陽との一件以来、以前にも増して楓花は「勉強を習いに」凛々子の部屋を訪ねて来るようになっていた。
柚花が浴室に入っていくと、凛々子もすぐに汗でべとつくワンピースを脱ぎ、ブラもパンティも脱ぎ捨てる。シャワーの音がし始めたところで、予告していないが、すっぽんぽんになった凛々子が入っていくと、柚花は小さく「きゃっ」と声をあげた。
柚花は天井のレインシャワーではなく、手に持つことの出来るほうのシャワーの水流を、二つの乳房に当てているところだった。
「あれ。わかんなかった」
切り替え式ではなく、それぞれ独立した操作で、同時に使っても水の勢いが落ちないのも自慢だ。
柚花は首を振って、「髪、濡れちゃうから」
と、ずぶ濡れになることを躊躇っている様子を見せたが、凛々子は遠慮なく、レインシャワーをいきなり最大の勢いにした。
「きゃっ」
柚花の髪に冷たい水が勢い良く降り注いでいるところへ、凛々子も身体を密着させるようにして飛び込む。
そして、耳元でいきなり
「
楓花
ちゃんから何か聞いてるかもしれないけどね、わたし、エムなの」
と、シャワーの音に敗けないように、声を大きくして「告白」した。
「え、え、ええーーっ」
いきなりの凛々子のカミングアウトに、柚花は目を丸くする。
「な、なんにも妹からは聞いてないわ。い、妹は、楓花は凛々子ちゃんが、そ、そうだってことを知っているのね」
「よく知ってるわ。突然訪ねて来た日があって、隠す暇なくあるものを楓花ちゃんに見られちゃったの」
「そ、そうなの。で、でもどうして…」
今急にそんなことを言うのだ、柚花の目がそう問いかけてくる。
「ふ、楓花が太陽とのこと、頼んだことともひょっとして関係あるの」
何かを言わなければいけないと思ったのだろう。先日の太陽の前で裸になりフェラチオから性交に至ったときのことを持ち出してきた。
「そうね。私がご主人様にフェラチオをみっちり仕込まれてるということを楓花ちゃんは知っていたわ」
「ご、ご主人様が居る…いらっしゃるのね」
柚花の目を見て、うんと頷いて見せる。
「それでね、柚花にお願いがあるの。柚花にもわたしと一緒にご主人様の調教を受けてほしいの。一緒に奴隷になってほしいの」
「え、え」
凛々子も柚花も髪も顔もずぶ濡れだ。
最初の冷水からほどなく、四十三度の熱めのシャワーに変わっている。
「だ、だって、わたし凛々子ちゃんみたいにおっぱい大きくないし、かわいくもないし、それに…普通にだって男のひと、知らな…」
そこまで言ったところで、凛々子は柚花の首に手を回して引き寄せて、その口唇に自分の口をぶつけた。
親友とのキス。
どうなるかはわからないけど、手段として計画的に実行したことだった。
舌を差し込むことなく口唇だけを長く合わせたあとで、「何言ってるの。柚花は綺麗よ、すごく素敵。胸だって、あんなに綺麗だなんて、私よっぽど羨ましかったよ」
そう言って、左の乳房に手を置いて、その感触を確かめる。
「すごいすごい。ずっと揉んでいたくなるおっぱい。私なんて大きすぎて、男の人の手ですらこんな風に全体を揉んでは貰えないのよ」
ここで遠慮しても仕方がないので、凛々子はもう一方にも手をやり、ふたつの膨らみを大胆に揉み込んでみた。
そうしてから再び、口を近づけると柚花の方で今度は積極的に口唇を寄せて来る。
やったー、と心のなかで凛々子は喝采した。
どうやって、そしてどういうタイミングで切り出すか、数日にわたって凛々子は悩みに悩み抜いていたのだった。
本人に強くその願望、奴隷願望があるのがわかっていることだけが頼りだった。
しばらく柚花の乳房の感触を楽しんだあとで、柚花の手からシャワーヘッドを受け取ってそれも壁の所定の位置に戻すと、柚花の両手を自分の乳房に導いた。
そしてまた、自分の手を柚花の乳に戻す。
乳首が硬くしこってその存在を手のひらに主張してくる。お椀を伏せたようなという形容詞がまさにぴったりの、陽花たちの誕生日の日に目にした乳房を、親友の乳房を自由にするということに、凛々子にも妖しいときめきが湧いてくる。
口唇をわずかに離し、顔をほとんど寄せ合った間近で、「ね、奴隷になって、一緒に。柚花も、柚花もMよね」
どうして知ってるとか、なぜわかったとか、そんな疑問を柚花が口にすることはない、凛々子は何故か確信を持つことが出来た。
柚花は返事の代わりに再び口唇を求めて来て、凛々子の乳房を揉む手に僅かに力を籠めてきた。
「ね、お願い」
確約を取るために、もう一度凛々子が言うと、柚花は目を閉じたままではっきりと頷いたのだった。
二分。
この曲のどのあたりが何分くらいの場所か、凛々子はよくわかっていた。
柚花が弾くこの曲に憧れて、アリス・サラ・オットーというピアニストのCDを何百回と凛々子は聴いていたからだ。
あの日、シャワーを出てからも、もつれるように柚花と抱き合った部屋にも、そのCDをBGMに流してあった。予めリモコンひとつで操作出来るように、CDをセットしておいたのだ。
服を切り裂かれる、ということを柚花は聞いているのだろうか。
リモコンで動くローターを仕込まれていることは事実なわけだから、ひょっとしたらわかっているのかもしれない。
いずれにしても、今日これから起こることへの覚悟は完全に出来ているのだ。
曲の最初からここに至るまでに、指の動きに、奏でるメロディーに逡巡は欠片もない。
わずかな動揺も許さないほどの難しい旋律の曲だ。心の乱れは、即座に音の動揺となって現れるはずだった。
凛々子が横に立った気配に、ほんの一瞬だけ顔を動かして確認した柚花が、そばに居る凛々子にしかわからないくらい、ほんの僅か身体を前傾させて、それで作った鍵盤との距離の余裕分、肘を僅かにあげた。
ハサミが目に入ったのだ。
腕と胸との間に出来た隙間から、服の中央を留めているボタンを切り落とすことにした。
激しい腕の動きがあるこの曲で、なんとか手を出せるとすれば、せいぜいその場所くらいで、そしてそれは柚花の方でも咄嗟にそう判断したというわけだ。
大事なステージ衣装を切り刻まれる。
だが、柚花に躊躇いや拒絶は一切なかった。
まず第二ボタン、第三ボタン、そして四番目の一番下のボタンの付け根の糸を切り落としていく。
黒い服に合う、大きめのボタンがポトン、ポトンと柚花の太腿の上でバウンドして床に転がる。第四ボタンだけは、真下の白いパンティに覆われた三角地帯に落ちて止まった。
柚花はブラをしてきていなかった。
最後に首を上げて協力してくれる柚花に
「ありがと」
と、小声で言って、白い玉のネックレスの下の第一ボタンを切り落とした。
これで前ボタンは全部落ちたことになるが、そのネックレスが洋服の前を開放することを阻んでいた。
次は何処を切ったらいいだろうか。
凛々子がそう躊躇っていると、ピアノの手を止めることなく、柚花は椅子から立ち上がった。
タイミングを見計らい、左手を鍵盤から離し、右手の片手弾きをしつつ器用に左の腕を服から抜いた。
「手伝って、くれる」
凛々子に言うと、今度は左手の片手弾きで右腕を浮かせたため、凛々子はハサミを手にしたままで、服から腕を抜くことに協力する。片側だけになった洋服はあっさり凛々子の手にわたり、上半身は白い玉のネックレスだけになった。そして柚花は何事もなかったかのように、両手弾きにもどって、直後にまた激しい旋律をダイナミックに奏でた。
拍手が来る。
まるで元の曲が、そこだけ右手と左手の片手で弾くパートがあったかのような、きっとそんなイメージだったのだろうか。
いや。脱いで裸になった柚花への拍手なのかもしれない。
いずれにしても、賞賛の拍手であることだけは確かだった。
「きれい。凄いよ、柚花」
小声で言った凛々子に、わずかに柚花が頷いて答える。
目尻の横に一筋だけ流れる汗が、ライトを反射していた。裸にされても先程までと変わりなく力強く鍵盤を叩く柚花を、ただただかっこいいと凛々子は思った。
曲がラストに向かっている。
そうだ。
ひょっとしたら、リモコンローターがクリトリスを責めているのだろうか。
予定では、裸になったら次はローター責めと聞いていた。
服を脱ぐために、左手右手をそれぞれ十秒から十五秒ほど離した以外、ノーミスでここまで来ていた。音の力強さにも変化はない。
ラスト一分半ほど前から急に静寂の空間を作り出す一分間を経て、最後の三十秒で一気に階段を駆け上がるような激しい旋律を、お椀型の乳房が弾むほどのダイナミックな動きで弾きこなしていく。
気持ちの迷いなども色々とあったのだろうか。柚花はこのひと月ほどであきらかに痩せていた。
だが、肋
の浮いた身体にぷっくりと丸く膨らんだ乳房が、先日凛々子の部屋で見たときよりも、むしろ大きくなったように見える。
七分半。
途中からはパンティ一枚だけというあられもない姿になった柚花は、途中それぞれ片手で弾いたあの一分ほどを除いて、ノーミスでとうとう最後まで弾ききってしまった。
思いがけないほどの大きな拍手がおこった。
凛々子の時には静まり返って、ショーの前の余興を優しく見守ってくれたと感じた客席が、多分本当に感動しているのだ。それほど迫力のあるピアノだった。
つられて拍手をする凛々子の横で、柚花がゆっくりと立ち上がる。
「あ。いやっ」
その途端小さな叫びをあげた柚花が、腰砕けになりそうになって、凛々子の左腕を右手で強く握ってきた。すぐ横に居た凛々子だけが気づくことが出来るほんの小さな振動と音が、その時に柚花の股間を襲ったのだった。
結局、ピアノの途中では、動かさなかったのだ。大河原をして、柚花の弾くピアノのあまりの迫力に敗けてしまったのかもしれない。
柚花の右手の指先は、身体が触れている凛々子だけにわかる股間の振動以上に震えていた。
「凛々ちゃん、だめ…、わたし、イキそぅ」
バイヴレーションが始まってまだ三十秒も経ってなかった。
「い、逝くときは…」
いいのよ、逝っても。
そんな思いも籠めて、出来るだけ穏やかな目で、凛々子たち「奴隷」に課された「決まりごと」を促したつもりだ。
そんな凛々子を柚花は縋るような目で見つめ返してくる。
今日の今この時点まで、柚花の処女は守られていたが、この二週間あまりの特訓で、数限りなくクリトリスでの絶頂を味合わされてきている。凛々子も立ち会っているため、その時にどんな教育を柚花が受けたかもよくわかっている。
もちろん、凛々子とて同じことをこの二年間「教育」され続けてきているわけだが。
「み、みなさま。ゆ、ユウカは、み、みなさまの前で裸でピアノを弾かせていただいて、こう‥興奮してしまいました。なのに、今、ユウカのク、クリトリスは、リモコンローターで苛めて頂いて…頂いていて…あ、あ、い、イク、イキます。お、おまんこ、いくの、おまんこイクぅーー」
かろうじて作法を守って絶頂した柚花は、立ったままでピクン、ピクンと二度痙攣をした。右手は相変わらず、凛々子の腕を強く握りしめたままだ。
「パンティ、切り落とすよ。ご主人様のご命令だからね」
下着を取って全裸になるなど当たり前のことなのであるが、言い訳するように凛々子は柚花の耳元で囁いて、ちらりと右手の裁ちバサミを見せた。
こくりと小さく柚花が頷く。
白いパンティの腰の部分は危ういまでに細い。
左、右の順で、パチンパチンとはさみを入れていくと、それは本当にあっけないほどに一枚の布になって、はらりと柚花の腰を離れた。同時にピンク色の物体がコトンと音を立てて床に転がる。
ジジっと音がしたがすぐに静かになった。壊れてしまったのか、それともご主人様がスイッチを切ったか。
「それでは、横浜山手のご令嬢、本名一条柚花の処女喪失ショーを始めます。まずは恒例により、処女膜の検査と公開、親友雨宮凛々子の手でその部分の邪魔な毛の剃り落としから」
私も今日が出産休暇から復帰後のはじめてのステージというか司会なの、よろしくね、と先程挨拶をされた妖艶なチャイナドレスの女が言うと同時に、ステージ袖の両側から背の高い黒人がふたり出て来て、全裸の柚花の背後に回った。
「い、いやーーーーーっ」
絶叫した柚花がふたりの黒い手で、凛々子の顔の高さほどの位置まで抱えあげられる。赤ん坊が抱きかかえられておしっこをさせられる、あの格好そのものでだ。
「おまんこ、おまんこ見ないでーっ」
声も枯れんばかりに、柚花が絶叫した。
理系女子大生 奴隷凛々子 episode2 一瞬の夏 【奴隷・雨宮凛々子】 第5部分 (5/5)
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