顔面騎乗(がんめんきじょう、英: Facesitting・Queening)は、主にSMプレイで、支配側パートナーが服従側パートナーの顔の上に股間を密着させて座る行為である。俗に顔騎(がんき)と略す。呼吸を奪う圧迫と、性器や肛門周辺を強制的に舐めさせる辱めの両方に使える。圧迫系プレイの一種として語られることも多い。
何を楽しむか
通常は顔の上に座って呼吸を塞ぐことが主目的になる。辱めを主にするなら、和式便器に跨るように顔の上へ腰を下ろすが、完全には下ろさず、舌が届く寸前で止める。責め側が自分で腰を振って距離を調節する。服従側を裸にするか着衣のままにするかは、その場の流れ次第である。息を止めさせる時間と、舐めさせる時間は別のメニューで、同じ座り方でも目的が違う。
好みは人によって分かれる。下が男性なら、上になる相手が痩せている方がいいという人もいれば、太っていなければ物足りないという人もいる。性器や尻の感触を楽しむか、圧迫感や窒息感を楽しむかで座り方も変わる。下着を履いたまま楽しむか脱いだ状態で楽しむかで、下着フェチの楽しみも入ってくる。体重、密着面積、布の有無で、顔に来る刺激はまったく別物になる。
女性を辱める羞恥プレイとしても行われる。双方が女性で、同性愛者でなければ、女性の性器や尻を密着されること自体に生理的な嫌悪があるため、その嫌悪が独特の嗜虐になる、という読み方がある。女性にとっては、男性にクンニリングスを強制しやすい体勢でもある。上になる側は、下の鼻と口を自分の股間で塞ぎながら、相手の表情を見る位置に座れる。
SMクラブでの顔騎
SMクラブでは女性従業員が男性客の顔に跨ることが多く、一般には女性がS、男性がMのプレイとして認識されている。風俗店では、女王様ファッションのまま跨ったり、下着を着用したまま跨ったりして、息苦しさを味あわせる。顔面に尻や性器が密着して呼吸できなくなると同時に、吸気に含まれる相手の体臭が性的な刺激になる。衣装を脱がない顔騎は、視覚の優位と匂いの優位を同時に出せる。
客の注文で、その体勢のまま客を人間便器として使い、尿を飲ませる、究極的には大便を食べさせる、というところまで進む場合もある。さらに貶めて奴隷化する、忠誠度を試す、といった説明が付く。体液の取り扱いは感染と同意の問題が先に来る。店のメニューにあるからといって、自宅で同じことを複製できるわけではない。
座り方
下の相手に顔面を上へ向けさせ、鼻と口を股間で塞ぐように座る。絵面がよいのは、下になった人物の頭頂部の方へ、上になった人物の体正面を向ける座り方である。脚を開くか閉じるかで圧迫感が変わる。俗にM字開脚と呼ばれる跨りは密着感は薄いが、呼吸のコントロールが容易である。痩せ型の相手にこの体勢で乗られると、圧が狭い範囲に集中する。頭を太股で挟むように脚を下ろして座ると、密着感や圧迫感は高まるが、呼吸は苦しくなりやすい。
下になった人物の胴体の方へ体正面を向けて座ると、責め側は相手の表情を確認できない。その代わり、相手の身体を鞭や蝋燭で責めたり、乳首を弄んだりして、行為のバリエーションが増える。双方の性的興奮を持続させやすい。座る側の身体が柔らかい場合は、顔面に座ったまま脚を大きく開き、全体重を胸から顎にかけて掛けられる。尻が顔に密着すると、下になった相手の呼吸は非常に苦しくなる。
ベッドやソファに頭をもたれさせ、その上に座る座り方もある。クッションが柔らかければ、股間と椅子に埋め尽くされるような感触になる。床に寝た頭の上に直に座るより、逃げ場が少なく、鼻と口の隙間も潰れやすい。
三つのスタイル
正面座位(フロントスタイル顔面騎乗)は、下になった男性の頭頂部の方へ、上になった女性が体正面を向ける座り方である。女性の脚のあいだに男性の顔が来るため、悦んだり苦しんだりする表情を見ながら座れる。視覚的に、女性は支配感・優越感、男性は被虐感を感じやすい。
背面座位(バックスタイル顔面騎乗)は、下になった男性の足の方へ、上になった女性が体正面を向ける座り方である。責め側は相手の胸や腹、性器に手が届きやすく、表情は見えない。側面座位(サイドスタイル顔面騎乗)は、下になった男性の顔に対して、上になった女性が真横になる座り方である。正面ほど表情は読めないが、密着の形と呼吸の通路が変わる。
対等な行為としての顔騎
SMプレイや羞恥プレイであることを特に意識せず、双方が対等の立場と合意の下、シックスナインやグループセックスの一環として行う場合もある。愛撫に含まれるため、下になる人物への圧迫はあまり行われない。顔騎という言葉が指す範囲は、クラブの窒息責めから、ただのオーラルの体勢まで幅がある。同じ「座る」でも、体重を預けるか、舌が届く高さで止めるかで、危険も興奮も別物である。
正面・背面・側面のどれを選ぶかは、表情を見るか、胸と腹を責めるか、密着の形を変えるかの選択である。SMクラブの顔騎は、この三型のどれかを女王様の衣装のまま行うことが多い。呼吸を主目的にするなら、鼻と口を完全に塞ぎ続ける時間は短く区切る。下の手が届く位置、叩きや声での合図を先に決めておかないと、娯楽の圧迫がただの窒息事故になる。圧迫系は見た目の支配が強いぶん、下側が声を出せなくなったあとの確認手段を別に用意する必要がある。














