『ドM女子とがっかり女王様』(ドえむじょしとがっかりじょおうさま)は、狐ヶ崎による日本の漫画である。容姿だけは完璧な残念美少女・久米川と、彼女を自分の女王様に仕立てたいドM少女・中村が織りなす百合ラブコメ。各話は4ページほどのサブエピソード数本で構成され、各エピソードにサブタイトルが付く。話そのものにサブタイトルはなく、ナンバリングのみ。もともと作者がTwitterに投稿していた作品で、『ヤングエース』(KADOKAWA)にて2020年3月号から2022年6月号まで商業連載された。Twitter期のエピソードは連載版にも載り、両者は同一である。女王様に見えて女王様になれない美少女と、ドMなのに加虐側へ傾く少女の主従逆転が、ギャグの軸になる。
入学式の理想が、気弱なぼっちだった
ドMの中村は、高校の入学式で容姿端麗な久米川と出会う。スタイル抜群、長いストレートの黒髪、切れ長の目。中村にとって理想の女王様像そのものだった。だが久米川は卑屈で気が弱く、学業成績は壊滅的、ぼっちで、女王様とは対極にいた。理想の女王に仕立てるため、中村はぼっちの久米川と友達になる。気弱な性格は、中村の中の加虐心を起こしてしまう。
中村さよと、久米川みすず
中村さよは主人公。一人称は「わたし」、久米川への呼称は「久米川さん」または「あんた」。15歳、身長150センチ前後。長身の久米川と比べると低いが、かなりの巨乳。髪はライトブラウンのセミロング、サイドポニー。極度のマゾヒストで、久米川の容姿が理想の女王様なので調教されたい。性格がかけ離れていると分かり、仕立てるために友達になる。女王様的な行為をさせようと迫るが、すぐに泣いておびえる相手を見て加虐心が煽られる。恫喝して自分を虐めるよう要求するなど、ドMでありながら主従が逆転する。女王らしい行動がないことに憤りつつ、かわいいとも思っている。粗雑に扱いながら、ポテトチップスは彼女の好きなのりしおを選ぶ。それを指摘されると怒るツンデレでもある。他の女性に泣かされると嫉妬し、独占欲が強い。
久米川みすずはもう一人の主人公。一人称は「私」、中村への呼称は「中村さん」。15歳、身長178センチ、体重53kg、血液型O型。バストはHカップだが、アンケートで血液型の項目がずれてOカップになっている。ストライプ柄の下着を愛用し、中村曰く「二次元でしか見ないような残念なパンツ」。モデルのような長身とスタイル、長い黒髪と切れ長の目の美少女。性格は卑屈で気が弱く、些細なことで泣き、恫喝されると激しくおびえる。入学後のテストは全教科赤点。手先は不器用で蝶結びもできない。自室は脱ぎ散らかした服とゴミとお菓子で荒れ、女子力の低い残念美少女である。温厚で中村の暴言にも怒らないが、ドMすぎる言動と専門用語の多用には引いている。運動能力は低く帰宅部だが、「太る」の意味が分からないほどスタイルが良い。余分な栄養はすべて胸に行く体質とされる。ビデオゲームが趣味で、自室に多数のゲーム機があり、学校で大技林を読んでいたこともある。アクションが好きだが下手でクリアできない。中村の要求への対応は憂慮しつつ、生まれて初めてできた友達として大切に思っている。ホラー回では中村を怖がらせる役で、意味深な言動を取る。
野方まりあと、上井草めい
野方まりあは英語教師で美術部顧問。金髪爆乳の美人、目元に泣き黒子。11歳の頃はジュニアアイドルをしており、着エロ方面のDVDが今も出ている。外見は完璧だが、「好き勝手にだらしなく生きた方が気持ちいい」と考えるダメ人間。中村らによく突っかかり、二人を“そういう仲”だと思っている。中村からは邪険にされる。淑やかを装いながら露出や暴言など中村と似た部分があり、性癖では気が合う。当初は教師らしい面もあったが、回が進むと度を越したヘンタイになる。問題を起こしては馘首され、そのたびに復職する。2巻では職員室でこっそり全裸、3巻では全裸で校舎を徘徊する。教職員からは危険人物扱いで、理事長来日の際は教頭が泣いて土下座し早退を頼んだ。人望はなく、絡むのは体育の先生くらいである。
上井草めいはクラスメイト。一人称は「あたし」。中村よりさらに小柄で胸もない。緩く内巻きのセミロングをカチューシャとヘアピンで留める。中学では地味でも派手でもないグループにいたが、自分の容姿が整っていると気づき、高校ではクラスの女王様を目指す。友人との話で「久米川は女王様っぽい」となり、探りを入れるために話しかける。久米川は気弱さから逃げ、上井草は無視されたと勘違いし、弱みを探して調教しようとする。失敗ばかりで、なぜか中村に告白したり調教されたりする。委員長にはキョロ充であることを見抜かれている。
母親、石神井、委員長、体育教師
久米川の母親は娘に負けないスタイルで、顔立ちは若々しいがいつも笑顔で瞳が見えない。明るいが何を考えているか分からず、突拍子もない。2巻ではセーラー服で学校のミスコンに出る。
石神井もずくは2巻から登場するクラスメイト。文芸部。一人称は「私」。長い前髪で目元を隠し、三つ編み(二つ結び)に眼鏡。巨乳。成績優秀で真面目だが、本性は口が悪く劣等感の塊で、自らを「陰キャのもさいクソブス」と言う。「クソブス」は周囲が美少女ばかりで相対的に、という意味。内心では周囲を見下し、上井草を「色気づいたビッチのクソガキ」と見て一方的にケンカ腰。大の百合好きで、久米川を「私の百合女王」として密かに慕い、見合う女性になろうとする。中村と久米川の仲は認め、情熱から二人の長編百合小説を書いてしまった。眼鏡を外すと美少女だが自覚がない。親は資産家。3巻では裕福と知った委員長に告白される。バレバレの結婚詐欺に引くが、自分に好意を示した初めての人物だったので、とりあえず友達からと返す。
委員長(風紀委員)も2巻から。セミショートで前髪をヘアピン分け。巨乳。当初はお堅いが、実際は「校則に載っていないことはやっても構わない」「学校を出たら風紀も秩序もない」という極端な考えを隠さない。中村にすら「倫理観皆無で怖すぎる」と言われる。金銭欲が強く、クレーンゲームの景品や上井草から没収した化粧品を転売し、メイド喫茶でバイトする。3巻では石神井の実家が金持ちと知るや、金目当てで告白する。媚薬入りチョコを食べた上井草から求められたときは難色を示すが、「不純同性交遊」は校則で禁止されていないと考え、望み通りにする。久米川は美少女として認め、勘違いから自分以上の策士とたびたび誤解する。
体育の先生は野方の同僚。黒髪ショート、褐色肌、巨乳。数少ない常識人と羞恥心の持ち主。当初は野方の奇行に呆れ、のちに暴言や暴力で厳しく注意する。放っておけず絡むうち、悪友として付き合う。普段は敬語だが地は男のような口調。サバサバしており、バレンタインには同性からチョコをたくさんもらう。購買のおばさんは主にパンを売るが、創作パンは独創的すぎて不評である。
カドカワコミックス・エース、全4巻
狐ヶ崎『ドM女子とがっかり女王様』はKADOKAWA〈カドカワコミックス・エース〉より全4巻。2020年9月発行(9月4日発売)、ISBN 978-4-04-109822-6。2021年3月発行(3月4日発売)、ISBN 978-4-04-111096-6。2021年10月発行(10月4日発売)、ISBN 978-4-04-111809-2。2022年7月発行(7月4日発売)、ISBN 978-4-04-112717-9。Twitterの投稿がヤングエースの連載になり、気弱な長身美少女と、女王を欲しがって加虐側へ滑るドM少女の百合が、全4巻で閉じた。作品情報はヤングエースのサイトに載る。
理想の女王様に見える久米川は赤点とぼっちと散らかった部屋の持ち主で、理想のMである中村は泣かれるとSへ傾く。野方は全裸で復職し、上井草は女王を目指して失敗し、石神井は百合小説を書き、委員長は校則の隙間で金を追う。体育教師だけが常識側に残る。調教されるはずの関係が友情と嫉妬とツンデレにずれていくのが、この百合ラブコメの型である。










