秘蜜夫人 天上の雪肌 第八章 双花、めぐり逢い ~ 第九章 超セクシー・カフェの狂宴 (5/5)
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第八章 双花、めぐり逢い
1
妖しい夢を見ていた。
酒池肉林でもないが、美女たちに取り囲まれて、白い肌とじゃれ合ったり吸い合ったり、至れり尽くせりのサービスを受けてウハウハの境地にいた。
目が覚めて、まだ郁実のところにいるのだと気づいた。性行為を終え、しばらく話をして、いつのまにか寝入ってしまったらしい。長距離ドライブの疲れがあったし、やるべきことはやったし、今度は睡眠薬によるものではなく本物の眠りだった。
ふと、女同士のあえぎ声がするのに気づいた。
アッアン――。いやああん――。こちらに気づかっているのか遠慮がちではあるが、彼女たちが気分を出しているのははっきり感じとれた。
(まだ夢を見てるのかな……)
しかしそのあえぎ声はあまりにリアルなのだ。眠りの森をさまようにうつろに聖彦は、周囲を見まわした。
ベッドのすぐ下のフロアに、女二人が横たわっていた。
天井の照明は、無段階の調光を最小限に絞ってある。その薄暗さの中で、白い肌と肌が悩ましくからみ合っているのだ。たちまち眠気は吹き飛んで、聖彦は目を見開いた。
うち一人は間違いなく郁実である。相手の女は一体誰なのだろう……。
身体的な特徴で、その答えはすぐに出た。長い黒髪と、すらりとした手足、薄闇でも発光するようにまばゆい雪肌は、篠宮遥香以外に考えられない。
(どうして遥香さんがここにいて、しかも郁実さんとレズってるんだ? ああー、頭がおかしくなりそうだよ)このところ突拍子もないことばかりが起こって、多少の異変には馴れたつもりでいた聖彦である(今日だって睡眠薬を盛られ、ロープで縛られて、郁実に犯された恰好なのだから)。だが、ここでまさか二人のレズビアンを見せられることになるとは。
甘美なハンマーを心臓に打ち込まれたような衝撃である。
そんな聖彦を尻目に、女たちは
卍
に重なり合った肢体をクネクネさせて、甘ったるい嗚咽を洩らしている。互いの肌を舐めまわす音が、何とも淫靡に聞こえてくる。
「あ、あのぅ」
ドキドキしながら声をかけてみる。だが興奮しすぎて声はかすれているし、二人は百合の愛撫に熱中しきっていて、こちらの呼びかけに気づいてくれない。
その間にも情感にみちたすすり泣きはどんどん高まっている。
聖彦の興奮も異様に高まる。自分の大好きな女性が二人、白い肌と肌をこすり合わせて悶えているのだ。
遥香の印象的なストレートの髪がさわさわ揺れるのを目にするだけでたまらない気持ちになるし、郁実の柔らかな乳房が丹念に揉みしだかれている眺めにもゾクゾクする。
(ああ、いやらしいなあ……。やっぱり俺、まだ夢を見てるのかな)それほど幻想的かつ優美な光景だった。
今度は腹に力をこめて声を出してみる。
「郁実さん。それに、遥香さんでしょう?」
遥香がこちらに気づいた。大きな黒目が暗がりでキラキラ輝いている。
「やっぱりそうだ。あ、あの、遥香さんが、どうしてここにいるの?」
「いやね。どうしましょう。ずっと見られていたんだわ、私たち」
遥香は質問に答えず、郁実と見つめ合っている。
「いや俺、さっきから声かけてたんだけど、気づいてもらえなくて」
「いいわ。あなたもこっちへいらっしゃい」
「そう。遥香さんと私が、ちゃんと説明してあげるから。何もかも」
そう言って、遥香と郁実は豊かな乳を揺すりながら、キスをかわすのである。
2
かくして不思議な状況で、聖彦にとって生涯初の3Pが始まった。
フロアカーペットに三人が横たわって、キスをしたりフェラチオやクンニをする。カップルにもう一人女性が加わることによって、それらの愛撫がとても新鮮でエキサイティングなものに変わることを聖彦は知った。
三つどもえの愛撫をかわしながら、女たちは少しずつ真相を語り出した。よほど気心が知れているのか、互いに絶妙のタイミングでバトンタッチをしては言葉を引き継いでいくのだった。
三つ違いの二人は同じ町内会に育ち、子供の頃から互いに意識し合っていたという。それはレズビアン志向というよりも、綺麗な人だな、可愛い女の子だな、といった思春期にありがちな漠然とした憧憬であり、好奇心だった。
ある夏、町内会のサマーキャンプに行った。遥香が高一、郁実は中一で、その時初めて互いの胸の内を打ち明け合い、キスをしたのだ。以来何度か軽いペッティングをかわしたが、それ以上はどうしても怖くて踏み込めないまま、いつしか月日がたって離ればなれになった。
それぞれにボーイフレンドも出来た。二人の関係はたまに電話で話す程度の関係となり、その電話さえも大人になるにつれ回数が減って、いつしか年に一度、せいぜい近況報告をするぐらいに疎遠となった。
だが郁実が同棲相手からDV被害を受けるようになると、相談出来る相手は遥香しかいなかった。ふたたび二人はひんぱんに連絡をとるようになる。
結局遥香の勧めに従い、二階堂町に帰ることに決めたのが今から三年前。そしてル・シュクレを出す際には、遥香は資金援助もしたのだという。
「そして私たち、ごく自然に結ばれたの。二年半前、この店をオープンした夜に」
「遥香さんには御主人がいるのに、申し訳ないと思ったけど、私にはその時どうしても遥香さんが必要だったのよ」
二人はそこで唇をすり寄せ、口づけをかわした。
(どうりで郁実さん、さっき、男の人とこうするのは久しぶりだって何度も言ってたはずだよ。愛撫にも馴れていたし。女同士でいつも愛し合ってたからなんだ)桃色に濡れ輝く舌と舌が、ねっとりからみ合い、相手の口から出たり入ったりする。それを痺れる気分で眺めつつ聖彦は思う。
「今から一年ぐらい前に、郁ちゃんとの関係が夫にバレてしまったの。そのだいぶ前から怪しいって思っていたらしいわ。それはすごい怒り方だった。何日も家から出してもらえず軟禁状態にされちゃったの。慶司さんだって、お店の薫ちゃんとずっと浮気してるくせに」
「え。そうなの?」
複雑な人間関係に、よくない頭がますますこんがらがってきた。
とにもかくにも一見、理想的な夫婦に見えた二人が、実際にはほとんど破綻していたわけだ。喜ぶべきところではないのかもしれないが、心がウキウキするのは抑えられない。
「つまりお姉さんたちは、バイセクシュアルってわけだね」
「本来はストレートだと思うの。ただし、なぜか郁ちゃんとはひかれ合うのよ」
「私も同じ。遥香さん以外の女性と愛し合うなんて、全然考えられないわ」
乳房と乳房をこすりつけながら、二人は頷き合う。
たまらず聖彦も二人の乳を揉んだ。
温かくて柔らかくプルプルする肉丘が四つもあるのは最高に贅沢な気分だった。
美女二人の肌をまさぐって、ピーンと直立してきた肉茎を、今は郁実の指があやしてくれている。
「しかし俺がアルフィーヌで郁ちゃんを描いたデッサン画を見せた時、実に見事にとぼけてくれたよねえ、遥香姉さん」
「そりゃあドキリとしたわよ。でも、店には薫ちゃんの耳もあるし、知らないふりをした方がいいと思ったの」
「まさか私とビアンだったとは、いきなり言えないでしょうし」と郁実。
「とにかく、聖彦君には感謝するわ。郁ちゃんの男性恐怖症をちゃんと治してくれて」
「そもそも遥香さんが私にアドバイスしてくれたのよ。聖彦君ともう一度会いなさい。そしてセックスしたらきっと、私もトラウマを克服出来るんじゃないかって。本当にその通りだった」
「なるほどね。俺がもらったあの突然のメールも、遥香さんが仕掛け人だったのか……」
「でもね、私、別にセックスだけが目的だったわけじゃなくて、聖彦君に会いたかったのも確かだわ。さっきベッドの中で話した言葉は、すべて真実よ」
勃起をしごく郁実の指の動きが、にわかに情熱的になった。
「郁ちゃんは、俺と遥香さんの関係をあらかじめ知ってたんだね?」
「それはもちろん。二階堂町からよく連絡をもらっていたし。だけど、さっき聖彦君の方から正直に打ち明けてくれてすごくうれしかったわ。この人なら信頼出来るって改めて思った」
郁実は目をうるうるさせている。
それを見て遥香はすかさず髪を撫でてやり、キスをする。
「あー、なんだか頭の中がぐちゃぐちゃで整理がつかないや。お姉さんたちのせいだよ。俺、遥香さんにも訊きたいことがいろいろあるんだけどな」
「わかってるわ。だけどそれは後にしましょう。きっと全部話すから。今は……ね? 私たち三人でやることがあるんじゃない」
柔らかな黒髪をかきあげると、遥香は、意味ありげな視線を郁実と聖彦に注いだ。
もちろんそれは聖彦も望むところだった。遥香と郁実の二人を恋人に出来たら、という妄想をよく抱いたものだが、まさかそれがこうして実現するとは思わなかった。
たとえ束の間の快楽であってもかまわない。もし旅に出なければ、こんな贅沢は生涯、味わえなかったのだから。
「とにかくさ。さっき、この店に入ってきた時、遥香さんがいたから驚いたのなんの。しかもとぼけるのがうまいからな。昨日初めて寄ってみただなんて」
「あら、私だってびっくりしたわよ。うふふ。あなたがここに戻ってくるのはまだ二、三日先だって思っていたから。ねえ、郁ちゃん」
「ええ。段取りが狂っちゃいましたね。だから睡眠薬を使わざるをえなくなって。聖彦君、ごめんなさいね」
「いや。まあ……それはもういいんだけど」
この二人で力を合わせ、昏睡した自分をベッドまで運んだのだな、と気づいた。
「段取りって言ったけど、どういうふうにするつもりだったのよ?」
「郁ちゃんだけじゃなく私も最初からプレイに参加していたはずなのよ。で、SMっぽい遊びをしたいからとか言ってあなたを縛るわけ。ディテイルを決めようとしてたところに、聖彦君が来ちゃったわけ」
「俺、馬鹿みたいにかっ飛ばして来たからさ。心理的には、けっこう傷ついて血も流してたんだよ。だって沖山町で肝心の誰かさんは……」
どこかへ雲隠れしてたし、と言いたかったが、遥香にキスで口をふさがれてしまった。
快楽の波動が女たちから押し寄せ、聖彦をゆらゆら包み込んだ。
3
彼女たちの関係については理解したが、遥香に関してはまだ謎や疑問がほとんど解かれていなかった。
聖彦の内には釈然としない気持ちも少しはあったけれども、肉欲には勝てない。しかもこんな美女二人と裸になって、ずっといちゃいちゃしているのだから、細かいことはどうでもよくなる。それが男という生き物だ。
郁実のたってのリクエストで、まず正常位で篠宮遥香と交わることになった。二人が結ばれるのをどうしても瞼に焼き付けておきたいというのだから、郁実もかなり変わっている。
先に横たわり、郁実とディープキスをかわす遥香の肌のまばゆい白さに、今さらのように眺め入ってしまう。
プロポーションも長身の素晴らしいモデル体型である。腰のくびれが強烈だからヒップや太腿がなおさら形よく映るのだ。
(こうしてまた遥香さんとセックス出来るなんて……。はたして男狂いなのかどうか知らないけど、たとえ事実がどうであろうと、俺は遥香さんが大好きなんだ。小さい事なんかもうどうでもいいや)しっとりした肉溝に、勃起を差し込んだ。
レズの愛撫で秘口は溶けて、すぐに内部にはまり込んだ。何度か軽く抜き差しして、きつく狭まった秘口周辺を切り開いた。
「入ったのね。遥香さんの中に」
「うん。入ったよ。ああ、気持ちいい」
結合感に酔いしれながら聖彦は、潤んだ蜜路を突き進んでいく。すぐに遥香の内部が妖しく粒立つのを感じる。
「ああん……すごく、感じちゃうう」
前回の時と違い、遥香はいやがるふりをしない。エキゾチックな美貌を赤く火照らせ、快感を隠そうともせずに甘ったるい啼き声を洩らすのである。
「そんなにいいの?」
郁実が目を輝かせながらたずねると、遥香は「気持ちいい」と言って鼻を鳴らした。
「ね、おっぱいも揉んであげて」
郁実に言われ、聖彦はすぐ真下でクニュクニュざわめく肉丘をつかみとった。
形はまだ崩れてはいないが、柔らかさの質がいかにも卑猥だと思った。三つ年下の郁実の乳房は、まず張りのある感触が先立つのだが、それとは違って溶けそうな柔らかさなのだ。
「いいこと教えてあげるわ。遥香さんて、高一ぐらいまで、ガリガリだったのよ。胸もぺっちゃんこで」
「え。そうなの?」
「ああん。言わないで」
「聖彦君だからいいじゃない。うふふ。それで高二ぐらいから急にバストが大きくふくらみ出したの。こんなにスレンダーなのに、どんどん胸がふくらんで、おまけにウエストも細いだけじゃなく、腰が張り出してきて……。その頃から二階堂町の男子にとって、憧れの存在になったのよ。私ね、恥ずかしいけど、遥香さんのヌードを想像してどれだけオナニーしたことかしら」
郁実は遥香のすぐ横に添い寝しながら、妖しく肌と肌をこすり合わせて、さらに言葉を続ける。
「バレリーナとしても
嘱
望
されていたのよ。でもね、体つきがあんまりセクシーになりすぎたおかげで、発表会にも全然違う目的で来る男性がふえてきて、自分で段々嫌気がさしたんだって」
大学卒業後、東京のバレエ・スタジオの研究生になった遥香だが、バストが大きくなりすぎたし、度重なる足の怪我もあり、とうとう二十の時に見切りをつけたのだ。
「私はずっとバレエを続けてほしかったの。一番の遥香さんファンとして」
「もういいのよ。だって私、胸がどんどん大きくなるのもいやだったけど、ああン……練習がどんどん厳しくなってきて、全然遊べないでしょ。禁欲的に、何もかも我慢して生活するのは、あれ以上とても無理だったわ」
遥香はなまめかしく唇から息を吐いた。
男と恋に落ち、深みにはまったのではないか。遥香は何も言わないが、聖彦は勝手にそう推測した。
レッスンもさぼって、ひたすら男と快楽にふける若かりし遥香の姿をふと思い浮かべ、無性に性的興奮を覚えた。やはり遥香は奔放なのがいいのだ。上向きに突き出した乳房を揉みまわしながら、そう思った。
「俺も見たかったな。遥香さんのバレリーナ姿。でも申し訳ないけど、たぶんきっと、欲情しただろうな」
「やっぱり見たいでしょ。私たちだけのために、もう一度踊ってもらいましょうか」
「いいね。いいね」
「あなたたち二人、いいかげんにして。人を何だと思ってるのよ。そうして勝手に欲情される身にもなりなさい」
遥香は半ばふざけた顔で、キッと郁実と聖彦をにらんだ。
「じゃ、勃起しちゃう身にもなってくれ」
聖彦がへらへらして、蜜肉に埋め込んだ肉茎を大きく動かした。
「そうよ。遥香さんには、ちゃんと責任を取ってもらわないと」
郁実も調子を合わせた。
バストに顔を寄せて乳首を吸っている。指では二人の結合部をまさぐりながら、巧みにクリトリスを愛撫する。
さすがに郁実は遥香を啼かせるテクに
長
けていた。負けてはいられないと聖彦も、力強いピストン運動を送り込んだ。
すると遥香の粘膜は前回にまして肉茎をキュウキュウ絞り上げてくる。
(ああ、興奮するな。こんなすごい3P、体験しちゃったら、これから俺の人生一体どうなるのよ)先行きがちょっと心配になるくらいの強烈な刺激である。オオウと唸りつつ聖彦は、粒立つヒダ肉をかきわけて進んだ。
「遥香さん、今日はまた特別すごいんじゃないの。粘膜が全体にぴちぴちに締まってる」
「よかったわねえ、聖彦君が戻ってきて、セックスしてもらって」
郁実の愛撫にも熱がこもり、遥香はどんどん追いつめられていく。
「あなたたち、卑怯よ。二人がかりで、私を……あっあっ」
時には恨めしそうに、時にはくやしそうな顔をする遥香は、どこまで本気でそうしているのかわからないが、とてもセクシーだ。
「だって俺、遥香さんのバレリーナ姿を想像して、すっごくエッチな気分になっちゃったんだもん」
「ふっふっ。遥香さんだって、他人が発情するのを見て本当は悦んでいるんだわ。こんな体しているんですもの。仕方ないけど。そうなんでしょう? 見られたがりの露出狂だって、認めなさいよ」
そう言う郁実自身だって、十分すぎるくらいセクシーなのだが、と聖彦はちょっぴりおかしかった。スレンダーな体型より、郁実のようなグラマー・タイプを好む者も多いはずだ。
「そうだ。見られたいんだ。この腰やおっぱいを」
「ああふン……ああふうん……イヤ。もう、いじめないで」
にわかに淫泣が強まり、腰部の悶えがクネクネあらわになってきた。すると遥香の表情には、以前聖彦がかいま見たようなM性が漂うのだ。
「まだイッちゃ駄目。ふざけないで。いかせないわ。その前に、ちゃんと私たちにあやまりなさいよ、遥香。どっちが悪いと思ってるの。こんないやらしい体して」
郁実はいつしかSっぽい責め手と化している。肥大したクリトリスをしごく手をわざと止めて、遥香に意地悪をする。
ふだんは優しい目が少し吊り上がって、攻撃的になった顔はなかなか妖艶で、聖彦は見とれてしまう。その目でジロリとにらみつけられ、あわてて自分も抽送を止め、郁実に加勢した。
「あン。いやああ。ひ、ひどいわ」
オルガスムに近づいたところで意地悪くじらされ、遥香はぐしゃりと美貌を歪めた。
「どうしたのよ。あやまるの」
「アアン、遥香は……い、いけない女です」
「たったそれだけ?」
どうやら女二人はそんなプレイをふだんも行なっているらしく、呼吸がぴったり合っている。
「ごめんなさい。ああふン……い、いやらしい体で、皆さんを誘惑して……本当に、ごめんなさい。あああ。ねえっ。もう、いいでしょう?」
遥香は細腰を淫らに揺すり、切羽つまった声を出した。唇を嚙んだり開いたりして、今にも泣き出しそう表情がたまらなく色っぽい。
「どうする。聖彦君」
「そうだな。いかせてやろうよ」
答えながら聖彦は腰の動きを再開させている。というより、遥香の粘膜の締めつけがあまりに快美で、そろそろ抽送せざるをえなかったのだ。
郁実も仕上げの愛撫に入った。タップするようにクリトリスを刻み、乳首に当てた舌をバイブレーターのように動かした。
「いっいい。い、いっちゃうう」
「いいの、遥香。そんなにいいの」
「いい! くあああう。い、いきます」
「遥香さん。そんなにオマ×コいいの。ねえ、オマ×コいくの?」
淫靡なムードに煽られて聖彦が卑猥な俗称を口走った。
郁実がキッとにらんだ。女王様を思わせる
貫
祿
である。
「聖彦君、最低」
「な、なんでよ」
つくづく女は不思議だと聖彦は思った。遥香も郁実も、相手やシチュエーションによってキャラが自在に入れ代わり、まるで別のタイプに変身出来るからだ。
聖彦はどさくさにまぎれて遥香にもその四文字の俗称を言わせたかったのだが、それは諦めた。
オルガスムを迎えた遥香はうっとり顎を突き出し、カクカク頭を振って「いっくう」とまた一声叫んだ。
4
体位はバックに変わっている。
せっかくだからと聖彦は郁実に頼んで、照明を少し明るくしてもらった。
真後ろから篠宮遥香のプロポーションと美肌を眺め、圧倒的な官能性に打たれている。
つやつやした乳白色の背中にも無駄な肉はほとんどついていない。遥香が悶えるとストレートの黒髪がその背中でひるがえるのもいい。
ピストン運動を行ないながら聖彦は、しきりにウエスト・ラインを撫でまわした。若かりし日、バレエの舞台でこのくびれにため息をついた観客がどれほどいたことだろう。そう思うと愛しくてならないのだった。
「ねえ聖彦君。そんなに遥香のボディが好きなの? 私じゃ物足りない?」
横から郁実が嫉妬まじりに言う。
「どっちも好きだってば」
「どうかしら。怪しいもんだわ」
なおも郁実はからんできた。
(何時間か前までは、男が怖いって言ってたくせに……)だがそんな郁実が可愛くて好きだった。遥香の甘美な蜜部とつながりながら、郁実と口づけをして、そのお椀形の豊かな胸を揉みしだいた。
「なあ、郁ちゃん。遥香さんにオマ×コ舐めてもらえば」
3Pの愉悦にどっぷり浸かり、もう聖彦も遠慮しないでプレイのリクエストをするようになっていた。
「駄目よ。そんないやらしい言葉、ここでは使わないで」
「いいじゃん。三人でこんないやらしいことやってるんだもの。なあ見てみたいんだよ、郁実がクンニされてるところ」
「舐めたいわ。郁ちゃんの、あそこ。ねえ舐めさせてちょうだい」
遥香が甘ったるい声で言う。
ようやく郁実はかたわらの二人用ソファーに腰をおろした。深く身を沈め、腰にクッションをあてがい、股をひろげた。
(ワオウ。すっげえエロい眺めだな)
ほのかに丸みを帯びた下腹で、やや淡めの秘毛の翳りが、なめらかな光りを放っている。
「ああん。郁ちゃん。大好きな郁ちゃん」
肉付きのいい健康的な太腿を、遥香が手で左右に大きく開いた。
内腿を撫でさすり、その付け根をふんわり囲む秘毛にたどりつく。その中心には、先ほど聖彦が愛したばかりのクレバスがあった。
「郁ちゃんのここ、可愛いわ」
男性経験の少なさをものがたるように、ラビアはまだピンク色をくっきりとどめている。細かな皺を刻んだ肉厚の形状も、凛とした風情だ。
「ちゃんと言葉に出して言うんだよ。気どってないで」
「ああ……郁ちゃんの、可愛い……」
「聞こえないってば」
聖彦は
居
丈
高
に命じ、肉茎をズブリと勢いよく突きたてた。郁実に刺激され、Sっぽいキャラに目覚めている。
「ご、ごめんなさいぃぃ」
やはり遥香の反応は素晴らしい。光沢に輝く髪をざくんとばらまいて、Mっぽい啼き声を放つ。つんとセクシーに隆起した臀丘が誘うようにうねった。
「郁ちゃんの……可愛い、オ……オマ×コ」
ようやく言い終えると、恥ずかしさに耐えかねたように、ひとしきり裸身を震わせる。
さらにもう一度、それを言わされた。
「ああ。かわいそうな遥香」
郁実は聖彦をチラリとにらみつけ、そして遥香の髪を撫でてやるのだ。
(なるほど。三人になると、こうして主導権争いが起きるんだな。俺もがんばらないと、郁実の支配下に置かれちゃうぞ)上質の快楽を得ようとすれば、それなりの葛藤も生まれるのだと知らされた。が、決して悪い気分ではなく、新しい発見があって面白かった。
遥香の舌が、蜜部に差し込まれた。
首を振りふり、レズビアン特有の粘っこいクンニが始まる。
粘膜と唾液がこすれ、はじける音がどんどん濃密になっていく。それにつれて聖彦の興奮も高まり、ストロークに熱がこもる。
「あっ……あうん……感じるうっ」
郁実はうっとりした表情となり、両手で自分のバストを揉んでいる。
「私も、感じる。あああ。郁ちゃんの、オマ×コ、すごくおいしいわ」
「うれしい! うああう。そこ、たまらないわ、ねえ遥香」
「うへへ。いい感じだよ、お姉さんたち」
すぐ目の前で美女が二人、濃厚な嗚咽を洩らしている光景に、聖彦はニタリとした。
自分の分身が遥香を貫き、そして遥香を通して郁実もまた貫いている。そんなご機嫌な感覚が生まれているのだ。まさに3Pならではの醍醐味だった。
聖彦と遥香の粘膜は、最初にセックスした時のようにぴたりと癒着している。ヌラヌラこすれ合うたびに快感が渦巻くようだ。
「あンッ……むむうん……」
遥香の蜜部が強い収縮を示し、官能味たっぷりのヒップが左右に揺れた。子宮口が開いて、亀頭を引きずり込もうとする。
と同時に、オーラル愛撫を行なうその顔面の動きも激しくなった。
「むあああ。郁ちゃん、大好きよ」
郁実の濡れた蜜肉をかきまわす舌腹の、ヌチュッ、ヌチュッという出し入れの音がまるで本当のピストン運動のように響いた。
真ん中にいる遥香の興奮が、他の二人にも熱い波動として伝わって、あえぎ声がにわかに切迫する。
「気持ちいいいっ」
「俺もたまんないよう」
「あああん。もういきそう」
女ならではの舌遣いに、高崎郁実は啼いた。自分の胸乳に指を淫らに食い込ませ、大きく開いた太腿をブルブルさせた。
「どこが、いくの? ちゃんと言えよ、遥香さんみたいに」
「う、うう……」
「そうよ。駄目よ、郁ちゃん。まだいかせてあげないから」
今度は郁実が責めたてられる番となった。
「あっ、ああ……ひどいわ」
「ちゃんと言ってごらんなさい。アアン、どうして言えないのよ、郁ちゃん」
「いくう――。オ……オ、オマ×コ、いく」
とうとう郁実がその言葉を言いながら絶頂を昇りつめた。
蜜部に顔をうずめたまま、遥香の裸身がビクン、ビクンと小さく跳ねた。くぐもった淫泣がどっとあふれ出して、「いく」「いきます」とかろうじて叫んだ。
「出る。出るよ! 遥香。くあああ。郁実。出る。オッオッ。精子、かけるよっ」
聖彦も射精を始めた。
今、自分たち三人はこの快楽を共有しているのだ。その感動が、聖彦のクライマックスをより一層劇的なものにしていた。
5
深夜。ル・シュクレのテーブル席に、聖彦と遥香は向かい合っていた。
明日ランチ営業のある郁実は一足先に寝ると言って、控え室のベッドにもぐり込んだ。あるいは彼女なりに気をつかって、聖彦たちを二人だけにしたのかもしれない。
まず最初に遥香は詫びた。
「この間ずっと連絡がつかなかったと思うけど、ごめんなさい、聖彦君。私だけの力ではどうにもならなかったのよ。携帯も取り上げられていたし、夫に監視されて……」
まだ事情は全然わからないが、その一言だけでも聖彦は救われた気分だった。やはり遥香を信じ続けてよかったと思った。
「お店の薫ちゃんが、御主人の慶司さんと出来てるって、それ本当なの?」
「そうよ。もう三年以上になるわ。だから薫ちゃん、私へのスパイの役割も兼ねてるの」
「ほんとに……驚くことばっかりだ」
「そうでしょ。聞いているだけでいやになっちゃうわよね」
「おかげでサバティカル休暇がとても中身の濃いものになったけど」
聖彦が冗談めかして言うと、遥香は片頰だけで寂しげに微笑んだ。
「先に言っておきますけど、叔父が倒れたというのは嘘。私、沖山町を飛び出してきたの。もう夫の言いなりにはならないし、二度と篠宮の家へ帰るつもりもないわ」
「それはもしかして俺のことが原因してるのかな?」
「すべての原因ではないけど、もちろん多少はあります。でもあなたが気にする必要はまったくないから。私たち夫婦、それ以前からとっくに破綻していたのよ」
そこで聖彦はずっと気にかかっていたことを、つまり薫がわざわざ忠告しに来た件をかいつまんで話した。さらにはマコトの店へ足を運んで、遥香に関する彼の証言を聞かされたのだと伝えた。
「遥香さんがそんな男たらしだなんて、どうしても信じられなかったよ。だけど、スナック・マコトにわし鼻の金持ちそうな男がちょうどあらわれたんだ。彼が遥香さんをSM調教してるって教えられた。実は俺、その何日か前、タクシーに遥香さんとその男が乗ってるのを見かけてたし、マコトさんのリアルな体験談もショッキングだったし、どんどん落ち込んできちゃって……」
「そうでしょうね。聖彦君の立場なら当然だわ。それに私とは、また連絡が全然つかなくなっていたわけだし。本当に申し訳ないと思っています」
テーブルの上に置いた聖彦の手に、遥香はそっと手を重ねてきた。
聖彦はそれを握り返した。温かなぬくもりと、愛の息吹を感じた。この人は嘘をついていない、と確信出来た。
「夫は旧家の
御
曹
司
として育てられて、うわべはとても人当たりがいいんだけど、内面はとても屈折しているのよ。結婚してすぐに、友達何人かを家へ招いて酒盛りをしている時に、私にバレエを踊らせたの。すごくいやだったけど、形相が変わっていて断れる雰囲気じゃなかった。その時は普通に服を着ていたんだけど、段々いやらしい空気になってきて、すると夫がみんなを煽って、脱げ脱げコールの大合唱が始まったわ。とうとうストリップをさせられて、あげくに下着姿でバレエの恰好をとらされたのよ。もう信じられないほどひどい屈辱だったわ。
それから徐々に夫の変態っぽい性癖があらわれだしたわ。たぶん結婚するまでは隠していたんだと思う。酔うと、友人の見ている前で私にフェラチオさせるようになって、その延長線上で、彼の友人にも同じ行為を強制されたの。それはもう大ショックよ。でもやっぱり彼が好きだったし、彼が喜ぶなら仕方がないのかなって我慢していたわけ。
馬鹿だったわ。あの時、徹底的に戦うべきだったのね。でも渦中にいると、なかなか状況が見えないのよ。そうやって少しずつ飼い馴らされるというか、これは変だと思う判断力が麻痺していったんだわ」
くやしさがこみあげるらしく、遥香のすらりとした指が小さく震えだしている。
「やがて、私と郁ちゃんの関係に気づいた夫は怒り狂って、平坂という男のところに私を連れて行き軟禁したの。あなたが見たSMマニアの男よ。篠宮のずるいところは、決して私に対して直接、暴力をふるわないで、代わりに他の人にいやらしいことをさせるの。それで本人はとても興奮するらしいわ。いま冷静に考えてみれば、最低の男よ」
途中からは夫と呼びたくなくなったのか、篠宮と名字で呼ぶようになった。
「平坂は常々自信たっぷりにこう言っていた。私がじっくり手間をかけて調教すれば、奥さんは完璧なM奴隷になりますよ。もう二度と御主人を裏切らないし、どんな命令にもそむくことはありません――。
一週間、そこに預けられたわ。好き放題にいたぶられ、犯された。服は着せてもらえないし、ずっと縛られていたし、信じられないほどひどい扱いを受けた。死ぬほどくやしいけれども、それを次第に甘受するようになる自分がいたのよ。
平坂は調教の一環として、売春まがいのことも強制したわ。マコトちゃんの店へ行き、飲み代の代わりに私にフェラチオさせたし、篠宮の仲間の町会議員と平坂とで、3Pもさせられた。そうして私がどうしようもない淫乱だという噂をふりまきたかったらしいのよ、篠宮は。なぜだかわからないけど。私をおとしめることで自分は正々堂々、薫ちゃんと愛人関係が続けられるし、それにサディストの要素もあるんだと思う。行為は全部他人任せなんだけれど」
「そうだったのか……。いい人っぽい感じだったけど、篠宮さん、二重人格なんだね。しかしマコトさんも許せないなあ。いかにも遥香さんが自分の意志で、他の男とちゃらちゃら遊んでるみたいな言い方して」
「あらかじめ篠宮に言いくるめられていたんだわ、あなたがお店に来たらこう言えと。マコトさん、篠宮には頭が上がらないのよ。また私にしゃぶってもらいたいばっかりに」
「マコトさんがいたから遥香さんと知り合えたんだから、それについて感謝はしてるけど、なんか、悲しいよ。もっと男気のある人かと思ったのに」
「そういうこと。沖山町にまともな男なんていないのよ」
遥香は諦めきった口調で言った。
聖彦たちはワインを飲んでいたが、半分ほどあったボトルの中身があいてしまい、遥香は立ち上がってシングルモルトのタリスカーと、水差しを持ってきた。それがマイボトルだといい、お薬のつもりでちびちび飲むのだと笑った。
「そうだ。遥香さんにまだ聞いてないことがあった。沖山町で二度すっぽかされたのと、深夜にかかってきた電話。あれはどういうことだったの?」
遥香は頷いて、シングルモルトを同量の水でトワイスアップにして、ほんの少しだけ飲んでから口を開いた。
「聖彦君とアルフィーヌでばったり会った篠宮は、嫉妬を覚えたのよ。若さのせいもあるし、聖彦君のような芸術家タイプに私が弱いと思い込んでるから。あの東京者をからかってやるんだって薫ちゃんと笑ってたのが後で聞こえたもの。あなたには申し訳ないけど、私は彼を刺激しないよう言いなりになるしかなかった。二度目の、薫ちゃんが伝えた伝言は私、知らなかったの。彼女と篠宮が企んだことなんでしょう。
あの夜、平坂のところで縛られ、調教という名のセックスをされている私を、篠宮はすぐそばで楽しそうに見ていた。どこかへ電話をかけてるのは何となく知っていたけど、相手が聖彦君だったとは……」
「そこまでするかよ。くそ。やっぱり篠宮って男は最低だな。陰でこそこそしないで、俺の前にちゃんと出てきて、喧嘩すればいいのに。いや、あの体格なら、俺なんかすぐKOされちゃうけどね。でもその方がスカッとする」
「とことん陰湿な奴なの。でも、それでかえって私も目が覚めたんだわ。こうなったら意地でも聖彦君に会いに行かなくちゃって、家を抜け出して、あの夜ホテルを訪ねたの。まだ篠宮の呪縛がけっこうあったから、なかなかセックスまで踏み切れなかったけど、でもあなたに抱かれてよかったわ。篠宮や平坂に立ち向かう勇気が湧いてきたし、ちゃんと郁ちゃんも守ってあげなきゃって思った。だから、ありがとう、本当に」
「いえ、そんな……。で、遥香さん、これからどうするつもりなの?」
「まだわからないわ。しばらく実家にいるつもり。二階堂町には私の味方も多いし、篠宮もなかなか手を出しにくいはずだわ」
長い黒髪を大きくかきあげた。雪白の細面の美貌にあって、きらめく黒い瞳が熱を帯びている。
「今はただ、あなたと郁ちゃんと、三人でいたい。だから、もう少しここにいて」
「当たり前だよ。俺の方からお願いしたいくらいだもの。出来れば遥香さんと、郁ちゃんと……ううう……このままずっと一緒にいたいくらいだ」
感きわまって、泣きそうになるのを何とかこらえた。
自分みたいな年下の頼りない男を、遥香と郁実が必要としてくれている。それがたまらなくうれしかった。
遥香が隣りに来て、頭をいい子いい子するように撫でた。うっとりして猫ならゴロゴロ喉を鳴らすところだが、聖彦は代わりに股間をぴくぴくさせるのだった。
第九章 超セクシー・カフェの狂宴
1
二日後の水曜日。その日はル・シュクレの定休日であり、何をして過ごそうかと三人は話し合った。外へ出かけても郁実と遥香が揃えばいやでも人目を引くし、沖山町へ告げ口されないとも限らない。
郁実が絵を習いたいと言えば、遥香はパエリア作りに挑戦したいと言う。そこで聖彦が、ル・シュクレを一夜限り、まったく違うコンセプトのカフェにしてみたいと主張し、女たちも耳を傾けた。
聖彦の行なった提案は、コスプレ・メイドカフェ、あるいはトップレス・ピンクカフェにするというもので、大いに遥香たちのひんしゅくを買った。
「いいじゃないか! だって俺は、自分だけの天国食堂がほしかったんだもの。今夜一夜限り、ここはエロスの乱舞する、天国食堂ル・シュクレになるんだ」
聖彦の魂の叫びは、当初女たちの冷笑を浴びたものの、前日の夜にはM男の役割を担わされ、舐め犬として、あるいは種付け牛として八面六臂の活躍をした功績が認められて、どうにかこうにか採択されることになった。
外から怪しい気配を悟られぬよう店のシャッターをおろし、夕刻から悩ましい祝祭が始まった。
ミュージックはインターネット・ラジオにつなげて、フレンチ・ラウンジ系のPARIS・CAFEを流している。
女たちのコスチュームはすべて、聖彦が郁実のクローゼットをひっかきまわし、選んだものだ。遥香たちは百合のセックスにふける時、ランジェリーにも凝っていたようで、さまざまなセクシー下着やコスチュームがあって、聖彦の目を大いに楽しませた。
まずブラは、アンダーバストを支えるだけのトップレス・ブラ。
ショーツは、両サイドが紐状になった紐パンで、おまけにTバック・スタイル。
太腿までの長さのタイハイ・ストッキングと、黒のピン・ヒール。
そしてバニー嬢のように、手にはカフス、首にはシャツの襟と蝶ネクタイ。
趣味が悪い、場末の風俗嬢みたいだ、と女たちはさんざん文句をつけたが、聖彦の熱意に押し切られた。つまりは年下の聖彦が可愛くてならないし、羽目を外す時にはとことん外そうという彼の享楽的な哲学が最後に共感を得たのである。
テーブルには赤ワインのボトルが置かれて、聖彦一人が飲んでいる。聖彦はブルーのシャツにチェックのネクタイで、下半身は裸だ。
まず郁実がオードブルを運んできた。
トップレス・ブラは黒地に白の水玉である。肉丘の底を下着で持ち上げられているため、お椀形の豊乳が勢いよく前へ飛び出して、量感が一層ましている。
そのたわわなバストを卑猥に揺すりながら郁実はテーブルまで来た。
むっちりとしたグラマー・タイプだが、ボディにめりはりがきいていて、たまらなくエロチックである。前髪をおろして、くりっとした目を濡れ輝かせて、愛らしい顔立ちをいくらか上気させている。
「エスカルゴのオーブン焼きと生ハム、お持ちいたしました」
「わあ。おいしそう。でもお姉さん、もっとおいしそう」
紐パンは黒で、ビキニの上半分は透けたレースで薔薇の刺繡がほどこされている。
「このお尻、たまんない」
「あん。いけませんわ、お客様」
Tバックの尻を撫でまわした。
太腿までの黒の網ストッキングをはいた下肢が、くねくね揺れる。
「だって待ちきれないもん、俺。ちょっとぐらいいいだろ」
「あの、お楽しみは、お食事の後になっています。それまで、いい子にしていなくてはいけませんわ、お客様」
なおもTバックの尻をいやらしく愛撫され、郁実は頰を赤らめた。
そんな可憐なウエイトレスの演技をする郁実がセクシーで、聖彦のむきだしの股間はたちまちエレクトを遂げた。
「少しチンチンいじってよ。お姉さんのせいで、こんなになっちゃったんだもの」
「ああん。いけない子」
眉根を折り曲げ、郁実は困った顔をしつつ、それでもうれしそうにペニスをしごいた。
(こっちの天国食堂の方が、断然エロいや。このスタイルで営業したら、お客が殺到するぞ。あっちのユカリより、郁実さんの方が百倍も素敵だもの)ワイン・グラスを片手に、王様気分で郁実の尻を撫で、突き出した乳房を揉みしだく聖彦である。
「ああ、店長に叱られてしまいますわ。私、まだ仕事が残ってるんです」
「わかった。じゃ店長、呼んできてよ」
「はい。ただいま」
郁実がふくよかなヒップを見せつけるようにして店の奥へ戻っていき、それと入れ代わりに篠宮遥香が姿をあらわした。
一目見るなり肉茎がびくん、びくんと
反
り返った。
やはり遥香のプロポーションは群を抜いている。バレエをやっていたせいか、長い足を駆ってピンヒールの歩き方もさまになるし、体型が流麗なためか、そうして淫靡なコスチュームをつけてもまったく下品にならないのだ。
(どうだろ。あのおっぱいときたら……)
ただでさえ前へ筒型に突出している双乳が、ピンクのトップレス・ブラに持ち上げられて、まるでデフォルメされたごとくピーンと隆起している。大きめの乳首がその先端で、なまめかしく跳ねている。
遥香のコスチュームは紐パンも、タイハイ・ストッキングもすべてピンクで統一されている。背中まで伸ばしたストレートロングの黒髪がピンク色の中でひるがえり、聖彦の胸を甘く締めつけた。
「さすが、店長はまた超セクシーだな」
「ありがとうございます」
Tバックの尻がキュートだ。
「お姉さんたちがあんまり綺麗だから、もう待ちきれなくてさ。ほら、テーブルが持ち上がりそうな勢いだよ」
「すごいわ! ああ、聖彦様は、今までのお客様の中で、文句なしにナンバーワンのたくましさですわ」
「えへへ。それは光栄だよ。まあ店長も一杯やったら」
聖彦は上機嫌である。
隣りに腰をおろした遥香と一緒にワインを飲み、オードブルは彼女の手から口に運んでもらうという贅沢なサービスを受ける。しかもその合間には、天を突く勢いの肉茎を指であやしてもくれるのだ。
「お料理の方、お口に合いますかしら」
「酒も料理も、お姉さんたちも最高だよ。そろそろ口移しで飲ませてほしいなあ」
「それは……あの、従業員の手前もありますから、ちょっと……」
「またまたあ。天国食堂ル・シュクレで、堅いことは言いっこなしだよ」
テンションの上がっている聖彦は、すごい勢いで前へ飛び出している乳房へ、プニュッ、プニュッと指を食い込ませて言った。
遥香は表情をこわばらせたが、すぐに観念して、ワインを口移しで飲ませていく。そう、沖山町で淫靡に燃えあがったあの夜のように。
「む、ふん……」
聖彦の口に舌が差し込まれ、甘い吐息とともにワインが注がれた。
「おいしいっ。最高だよ。俺、もうお酒は口移しじゃなきゃ飲めないや」
「ああ、困りますわ、聖彦様」
そう言いながらも遥香の指は、熱く屹立した股間へ伸びて、ねっとりした動きでしこしこやるのを忘れない。
遥香は厨房に入っている郁実が
妬
くのではと気をつかっているのだ。
やがて郁実が次の料理を持ってきた。
二人を見て「いやらしいわ」と恨めしげに鼻を鳴らした。が、すぐに自分もワインを口に含んで聖彦に顔を寄せていくのだった。
2
給仕を終えたウエイトレス二人は、椅子に座る聖彦の左右から、すらりとした首を伸ばして交互にフェラチオを行なう。
「こんな素敵なカフェがあったら、街
金
でカネ借りても、絶対毎日通うなあ」
「聖彦様だから、私たち、こんなに尽くすのですわ。どのお客様にも、というわけではありませんから」
天国ウエイトレスになりきって遥香は言う。
情熱的な瞳をした彫りの深い美貌が妖しく紅潮している。
今は郁実が勃起をしゃぶっているため、トップレス・ブラをつけて、目にしみる雪白のたっぷりした乳房をプルプルさせながら遥香は、聖彦の太腿を愛しげに舐めまわしている。
「お姉様、お願い。聖彦様の根元の方を舐めてあげて」
「はい」
聖彦のペニスはなかなか長大だから、女二人がかりの愛撫も十分行なえる。
郁実が上半分を含んでスロートする。
遥香は勃起の下半分、太い静脈が浮きだした一体に、真横から舌をからめて、ぬたり、ぬたり柔らかな舌腹で押しつけてくる。
「なんて贅沢なんだ。うふふ。こんなことしてたら、俺、罰が当たりそうだよ」
それぞれ左右からプニュプニュ迫る乳房を、気の向くままにつかんでは握りしめ、聖彦はつぶやいた。
ワインの心地よい酔いと、股間の熱い高ぶりがあいまって至福の境地にいるのだった。
二人の甘美な舌先が、ペニスの上を同時に動きまわることがこんなに快感だったとは。
蝶ネクタイとカフスをしているため、本物の風俗嬢っぽくもあり、だが郁実と遥香の持つ優雅さと上品さがそれを打ち消しているところもあり、とにかく妖艶で不思議な空間が現出しているのだ。
フェラチオの合間には、女同士の興奮しきった口づけがかわされる。
聖彦に見せつけるように、赤い唇がぴったり重なりながら、悩ましいピンクの舌が吸いつき合ってはうねり舞う。
「ほんとに仲がいいんだねえ、二人」
「む、ふうん……」
「ああ、郁ちゃん、大好きよ」
「ずっと、一緒よ。死ぬまで遥香さんと、一緒にいたい」
「俺もお姉さんたちの仲間に入れてよ。三人で一緒にいよう。ね、いいだろ」
先のことはまだわからないが、今この瞬間は遥香も郁実もかけがえのない盟友であり、恋人なのだった。
キスをかわす女たちの指は、休みなく聖彦の勃起をキュッキュッしごきあげている。
「どうする。郁ちゃん?」
「まあいいけど……。ボクちゃん、精子もけっこう多いし」
「そんな理由かい!」
聖彦は椅子の上でのけぞった。
――そうして軽く三十分以上はフェラチオしてもらい、聖彦は射精した。聖彦の存在理由は精子が多いから、という回答をした郁実がうっとり吸淫し、途中で遥香がおねだりして取って代わり、最後まで嚥下した。
ひとまずすっきり欲望を解消して、落ち着いたところで聖彦は次のステージに移ることにした。
テーブルを二つくっつけて、十分なスペースを作ると、女たちをそこへ乗せた。
うきうきしながら、紐パンの蝶々結びにしてある両サイドをほどいてやる。何をさせられるのかという不安と、好奇心がまじり合った顔の遥香と郁実の前へ、白のシリコンで出来た双頭バイブを取り出した。
「ごめん。郁ちゃんの部屋にあったのを昨日見つけたんだ」
「き、聖彦、ふざけんなよ」
何かの拍子に突如、ドSのスイッチが入る郁実が気色ばんだ。
「うへへっ。まあいいじゃん。で、異議がなければこいつを聖彦二十八号と呼ぶことにしますよ、お姉さんたち」
「いやだよ。それにはジュリアンて、れっきとした名がついてるんだから」
「いいじゃないの、郁ちゃん。お客様がそうおっしゃるんですもの」
遥香が垂れかかる黒髪をかきあげて、優しい声で
諭
し、郁実はしぶしぶ了解した。
まだ器具を用いたビアン・セックスを見たことがないのだと聖彦は言い、卓上で始めてほしいとリクエストした。
そこでまた郁実が「見世物じゃないわよ、私たち」と声を荒らげ、すかさず遥香にたしなめられた。
「今日は聖彦君の言う通りにしましょう」
「そうだよ。ここは天国食堂ル・シュクレなんだからね。お客にはどんなサービスだってしなくちゃならないんだ」
聖彦は満面の笑みで言う。
「さあ、聖彦二十八号の出動だ」
テーブルの上で女たちは向かい合わせになり、両手を後ろについて、股をひろげた。そこへ白の双頭バイブがあてがわれた。
「あンン」
遥香がかくんと首を後ろへ倒した。
スレンダーなボディに似合わず、嘘みたいに飛び出した双乳がゆさりとはずんだ。
ピンクのストッキングをまとう美麗な脚線が、悩ましく震えだした。
「いやだわ。こんなの。ねえ、ひどいよ、聖彦君。私たち、おもちゃじゃないわ」
しきりに文句をつける郁実だが、バイブのスイッチが入ると、すぐに黙った。代わりに艶っぽい声ですすり泣きを始めた。
「そんなにいいのかい、お姉さんたち」
「う……ああっ……いい」
「くあうううっ」
女たちはトップレス・ブラから露出した双乳をダイナミックにはずませている。
壮観だった。それぞれ乳房の形も量感も違うし、乳首の形も異なるのが、ぶるんぶるん揺れ合うのがエロチックだ。
へアは郁実の方が濃く、いやらしい。遥香の下腹部はとびきり色が白く、淡い淫毛がそこに盛り上がっている眺めは抒情的ですらある。
「二十八号クンが気に入ったみたいだな。そうだろ、郁実?」
「ああん……はずかしい。こ、こんなの……いやん」
さっきの勝ち気さが嘘のように郁実は恥ずかしそうに顔を歪めた。
バイブをくわえこんだ女たちの花唇がひくひくしている。やはりラビアの色づきは郁実の方が薄いだろう。だが遥香のそれはいかにも熟れて、濃厚な果汁をしたたらせた果実のように蠱惑的である。
「あああぅぅぅ。郁ちゃん」
「遥香さん。あああん。感じるう。遥香さんと、ぴったりつながってるう」
「そうよ。私たち、ひとつになってるんだわ。ねえ、仲のいいところを聖彦君にうんと見せつけてあげましょう」
妖しく目元を火照らせ、遥香がしっとり濡れた声で誘いをかけた。
「よっしゃあ」
そこで聖彦はバイブのスイッチを弱から強に切り替えた。
卑猥なモーター音が響きわたり、女たちの淫泣がにわかに高まる。
M字にからめ合った太腿と太腿が震え、くびれきった腰部が淫靡にうねりを見せる。ピンヒールがテーブルを叩く音がする。
(なんて可愛いんだろ。そして淫らなんだろ。こんな美女が二人とも、俺のものだなんて信じられない。ああ、もう絶対に手放したくないよ)目の前でくりひろげられる狂態に、聖彦は痺れまくっていた。いくら金を積んでもこれほど贅沢なショーはまず鑑賞出来ないだろう……。
これまで大してモテもせず、ぱっとしない人生であったが、突然の神様の気まぐれに感謝した。と同時に、この幸運がいつまでも続くことを祈るのだ。
「あ、ああ、遥香さんっ。オ、オマ×コ、いいぃぃ」
「郁ちゃん――私も、あっあっ、感じる。たまらないっ」
「すっげえ。うひひ。いやらしいい」
「いくうう」
「私も……いく。オマ×コ、いきます」
激しく身悶えしながら、オルガスムに達する美女二人を、聖彦は肉茎を握りしめながら見つめるのだった。
3
女たちを並べて立たせている。
それぞれテーブルに両手をついて、上体を折り尻を後ろへ突き出す恰好である。
双頭バイブで荒らされたクレバスが赤く淫らに充血しているのが露呈している。ストッキングにピンヒールをはいたままだから、かなり高い位置に中心部は来るのだが、長身の聖彦には結合する際もさして問題とはならないだろう。
「とてもいい眺めだよ。フフフ。二人とも、何とまあ、素敵なお尻してること」
臀丘を撫でさすったり、軽くピタピタ叩いたりして聖彦はひとり悦に入る。
郁実の尻の形は表面積が大きく、ふっくらと豊かな丸みがあって、つい食べてしまいたくなるほどだ。
遥香の尻は郁実ほど大きくないがバレエで鍛えただけに、弾丸状の乳房と同じでとにかく勢いがある。真っ白な臀丘がぷりっとして上に持ち上がっているさまは年齢をまったく感じさせない。
立たせたままで、まず郁実を貫いた。
秘口を抜け、とろけた膣襞をすべって行くと、ペニスが焼けそうな感覚に包まれる。
「おおう。すごく熱いよ。郁ちゃんの中」
「うああン。だって……聖彦君があんなこと、させるから」
「うふふ。でも二十八号より、俺様本人の方がずっといいだろ。ほら、ほら」
「……いいっ。くああう。くやしいけど、ずっといい」
打ち込まれる肉柱の太さを嚙みしめ、郁実はすすり泣いた。
聖彦はにんまりしてピストン運動に励みつつ、双頭バイブを手に握り、それを隣りの遥香の蜜部へ埋め込んだ。
「ああんっ」
ピンクのブラの背ベルトがわたる背中で、みずみずしいストレートの髪がざわめく。
「遥香さんはもう少し待っててくれよ。今、郁ちゃんのすけべなマ×コ、ほぐしてやってるから、ひとまずこの二十八号で辛抱して」
「早く……ねえ、早く遥香にもして」
「おやおや。待ちきれないの?」
「そうよ。アアン、聖彦君が、ほしいの」
「くくく。うれしいこと言ってくれるねえ。でもまだ無理なんだよ。ごめん。郁ちゃんがどうしても放してくれないからさ」
バイブを操作しながら聖彦はうれしい悲鳴を上げるのだ。
年上の美女二人を相手にそうして毎日セックスするのはなかなか骨が折れるものだが、そのぶん得られる快感もけた外れに素晴らしい。今も郁実の粘膜を貫いている一方で、聖彦二十八号をくわえて流麗な長身を悶えさせる遥香を眺め、アドレナリンが全身を駆けめぐるのを禁じえない。
「いいよ、郁ちゃん。今日のオマ×コ、すごく締まってる」
「あぅぅぅ。ああううっ」
郁実の蜜部は全体が筒状にきつく収縮するのが特徴だ。そして感じるにつれ粘膜が熱く溶け出して、ペニスをねっとり巻き包む。
「感じるう。ああっ、聖彦君、気持ちいい」
「よしよし。いい子だよ、郁ちゃん」
あいている片手で、乳房をわしづかみにした。勢いをつけて腰を送り込む。
強烈に締まった膣道を行き来する快楽に、聖彦も「おおう」と雄叫びを放つ。
二人の興奮に感応するらしく、隣りでは遥香が細腰を揺すり、白い二十八号を秘奥へ引きずり込もうとする動きを見せている。
やがて郁実がエクスタシーを迎えた。
聖彦はすぐさま遥香のところへ移り、抽送を開始した。
「待たせたね。遥香さん」
「ううん」
やはり遥香のヒダ肉は断然、粒立ちがいい。抽送を行なうと、細かなウエーブのような動きが始まり、茎胴を甘く締めつけるのだ。
その流れに乗って快美なピストン運動を聖彦は繰り返した。
「ほうら。よく嚙みしめてごらん」
「あ、あ、ああん……。ねえ、いつかみたいに、髪を乱暴に引っ張って」
「わかった」
目の前で甘い香りを放ち、練絹の光沢を放つ長い黒髪を、ムンズとつかんだ。遥香の口から「ああん」と愛らしく声が洩れた。
聖彦は強く髪を揺さぶりながら、ストロークを打ち入れる。
それを見て郁実が話し出す。
「遥香さんはちょっとMだけど、すっごく好きな人じゃないと感じないのよ。だから、変な調教師とかが出てきたって、全然関係ないわ。遥香さんはびくともしないもの」
平坂というわし鼻の男のことを言っているのだろう。
「そうよ。あんな下品な男の奴隷になんか、誰がなるもんですか」
「でも聖彦君ならいいんでしょ?」
「うふん……それは……たまには」
はにかんで遥香は答えた。
美しい黒髪をぐいぐい引っ張られて、引き締まった背中が反り返っている。
その小気味よく盛り上がった臀丘の谷間に向け、極太の肉茎で熱く抜き差しを繰り返しながら、聖彦は感無量だった。
「そうだよ。ああ、そうなんだ。俺と遥香さんと郁ちゃんは、みんなが支配者だし、同時にみんなが奴隷なんだ。つまりは、ここが愛の王国、快楽のユートピアってわけだ」
「と、ボクちゃんは演説しております」
すかさず郁実がまぜっ返し、聖彦の口へキスをしてきた。その手は遥香の悩殺的な豊乳を揉みしだいている。
「うああん。大好きよ。あなたたち」
遥香が情感たっぷりの声で言う。
「遥香さんが好き。その次が聖彦君」
「順番つけるなって。傷つくだろ」
「うふふ。あなただって、遥香さんが一番で、私は二番だと思ってるくせに」
郁実はふっくらとした頰をほころばせ、天使と悪魔が同居したような笑みを投げかけてくる。
「そんなことないよ。二人とも、同じくらい大好きだもの、俺」
本当にそうなのかと聖彦は自分でも思う。三人で愛し合うことの難しさがそこにあったが、今は深く考えないでおこうと決めた。
いつかはこの関係を維持するのが難しくなるかもしれないが、それまでは全力疾走するのみだ。遥香がくびれきった腰を動かし、絶頂に達するのを見つめ、聖彦はピストンを加速させた。
――女たちのコスチュームをつけた肢体がからみ合い、豊満な乳房と乳房が重なり合う。美女二人は飽きずにディープキスを繰り返している。
郁実をテーブルにあおむけに乗せて、下肢を大きく開かせ、聖彦は相変わらず立ったままで交わっているのだ。
聖彦が「そろそろ俺も出そうだよ」と告げると、遥香はあわててテーブルから離れ、聖彦の足元の方からもぐり込んできた。
射精する瞬間を見たいというのだ。
つながっている二人のすぐ真下に座り、蜜部から出し入れされるピストン運動を観察するばかりか、口を使って二人の性器を舐め始めた。
「ああうう」
不思議な刺激に聖彦はうめいた。
仕上げのピストン運動を行なおうとすると、そこに遥香の濡れた舌が待ちかまえているのだ。爆発寸前の勃起の根元を、舌腹でヌラヌラしごかれるのはたまらない興奮である。
「おいしいわ。あああ。この匂い、とても好きよ。聖彦君と、郁ちゃんの、大好きなエキスがまじり合ってるわ」
「すっげえ。こ、こんなの、初めてだよ」
「ひ、ひいいぃぃ……。くあううう。オマ×コいくっ」
いつしか郁実は、あれほどいやがっていた四文字の俗称を連発するようになっていた。
卓上で、グラマーな裸身をガクガクさせ、郁実がオルガスムをきわめていく。
「いくう。郁実、いっちゃうう」
ヒダ肉がせりあがり、勃起を締めつける。
遥香の舌がぴたぴた根元を叩く。
「出る! ううおう。出ちゃうよ」
押し寄せる快美感の荒波に耐えきれず、聖彦も一気に欲情を爆発させた。
白濁が勢いよくほとばしる。
その間も遥香は、二人の真下で、ひたすらキスを浴びせている。おかげで聖彦の射精感はすさまじいものとなった。
(こ、こんなのアリかよっ――)
膣に入りきらない白濁が、ペニスを伝って押し戻される。
すかさず遥香の舌がそれをすくいとる。いかにもおいしそうに、うれしくてたまらないといった様子で鼻を鳴らしながら。
そんな遥香がいとしかった。
揃えた前髪の下、愛くるしい顔立ちを愉悦に染め、激しくよがっている郁実も無性にいとしい。
こうして三人でも、うまくやって行けるのかもしれない。これから先も、ずっと……。なおも粘液の塊りを打ち出しながら聖彦はそんな予感を抱いていた。
4
二階堂町に隈田聖彦が戻って一週間がすぎた。
地上の楽園のような日々は長くは続かない。
そこは狭い町である。ル・シュクレの控え室に流れ者の若い男が住みついたという噂はたちまちひろがっているらしい。しかもそこに篠宮遥香が出入りしているのだから、娯楽の乏しい田舎町では恰好の話題となってしまうのはいかんともしがたい。
三人で何やら怪しげな関係を結んでいるのではないか……。外を歩く聖彦に好奇の視線が浴びせられることもたびたびだった。
ル・シュクレにも冷やかし半分の客がふえている。
そろそろ出発の時が来ているのだ。
会社からも、いつまでも同じ場所にいては休暇旅行の意味がないと遠回しに皮肉を言われ、他の土地にある二、三の販売店に挨拶するよう指示が出されていた。
郁実も遥香も、そんな聖彦の胸中は見抜いていた。
「行ってらっしゃい。またいつでも帰ってくればいいのよ」
郁実が言えば、遥香もこう言った。
「私は沖山町に戻って篠宮と対決しなくちゃならないわ。聖彦君のおかげで、勇気が湧いてきた」
その夜は悩ましい歓送会となった。
町の噂など知ったことかとばかりに、三人は例によって濃厚なセックスプレイにふけった。感きわまった聖彦は「離れたくないよ」と泣いてしまい、「ボクちゃんの泣き虫」と女たちにからかわれた。
「ここで私たちが悲しんだりしたら、聖彦君、いつまでたっても出発出来ないでしょ」
感傷的になっているのはどうやら聖彦一人なのだった。女たちは終始クールで、どこか突き放した感じでもあり、一時は会社を辞めることまで思いつめていた聖彦に見事な肩すかしを喰わせた。
(やっぱり女同士の愛の方が強いんだな。俺はしょせん脇役だったんだ)寂寥感ゆえか聖彦はしたたかに酔い、結局一番早くつぶれてしまった。
そして翌朝――。
頭痛に悩まされながら聖彦は起きた。
厨房からコーヒーの香りが漂う。郁実が朝食の準備をしてくれているのだ。
「聖彦君、二日酔いでしょう。ゆうべ、途中からがんがん飲んで、けっこう荒れてたもの。俺には一人旅が似合う。流れ者には女はいらない。なんてしゃべってたわ」
「ごめん。すっごい自己嫌悪……。あれ、遥香さんは?」
「ゆうべ夜遅く帰ったわ。今日は用事があるから来れないって。弁護士さんと離婚について打ち合わせがあるらしいわ」
昨夜、歓送会はしたものの、旅立ちの朝に遥香の顔が見られないのは寂しかった。しかし大人なのだから耐えなければならない。
(みんな、それぞれの世界があるんだ。俺一人だけにかかわってなんていられないよな)朝食を取りながら、どうしても聖彦の口数は少なくなってしまう。
郁実はしきりに気づかって、会いたくなったらすぐに帰ってくればいい、部屋はいつでも泊まれるようにしておく、と声をかけてくれた。
「ありがとう、郁ちゃん。出発するって自分で決めたことなのに、なんで俺こんなにウジウジしてるんだろ。ほんと、情けないっす」
「いいのよ。聖彦君の気持ち、私も遥香さんもわかってるから。あなたが帰ってきて、この一週間、思えば夢のような時間だったわ。いつかまた三人で会える機会を作ろうね」
郁実の言葉が胸にしみた。
別れの口づけをかわし、ル・シュクレを出た。キャリーバッグを引いて、店の裏手の駐車場にまわる。
目を引く長身の女がそこにいた。
ジーンズをはいた長い足にブーツが決まっている。ストレートロングの黒髪に朝日がキラキラ当たってまばゆい。
「遥香さん――どうしてここに?」
さぞかし自分は目ん玉を丸くしていることだろうと聖彦は思った。
「その質問、二回目ね」
遥香は形のいい唇を開き、真っ白な歯をこぼした。ほとんどメイクはしていないが、引き込まれそうな美しさである。
聖彦が二階堂町に戻ってきた夜、目を覚ますと郁実とレズビアン・プレイをする遥香がいて、腰が抜けるほど驚いた。その時にも間抜け顔をして、今と同じセリフを言ったのを思い出していた。
「いいからクルマに荷物を積んでくれない」
遥香は足元に置いた自分のカバンを示した。
「がってんだ」
爆発しそうな喜びを必死に抑えつけて、二人分の荷物をトランクに積み込み、聖彦はクルマをスタートさせた。
「郁ちゃんは明日から合流するわよ。お店をしばらく休むから、いろいろやっておくことがあるんでしょう」
「え
!?
」
「三人で旅行するのよ。四国へ行きましょう。私と郁ちゃんの想い出の場所よ。昨日あなたが酔いつぶれた後、二人で決めたの。いやな事はしばらく放っぽり出しておけば、何とかなるかもしれないし」
「な、なんて勝手なんだ、お姉さんたち。こっちの都合も考えずに。困るよ。困るんだ」
「嘘おっしゃい。うれしいくせに」
膝をぽんと叩かれた。
考えてみれば遥香を乗せて運転するのは初めてだった。女っぽい香りが助手席から流れてきて、早くも股間がむずむずしてくる。
明日はさらに郁実も加わるという。
にやけた顔をしていると、遥香に「こら」とほっぺたをつねられた。
(了)
秘蜜夫人 天上の雪肌 第八章 双花、めぐり逢い ~ 第九章 超セクシー・カフェの狂宴 (5/5)
前の話


