年下の義母 第九章 愉悦に濡れる義母 (6/6)
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第九章 愉悦に濡れる義母
智史が出張でいない数日間の空虚さを、由貴子はいやというほど味わった。いよいよ智史が帰ってくるという日の午後、由貴子は全身美容の店に出かけ、十万円のフルコースで全身を磨きあげた。オイル・マッサージの時、ふと智史のことを想いだし、思わず秘唇が濡れてしまって、恥ずかしい思いをした。
家に戻ると、羽田空港に到着したばかりの智史から電話が入った。すぐに帰ってきて抱いてくれるのを期待していたが、出張先のお得意様と一緒だから帰りは修三と一緒で遅くなるという。
由貴子はがっかりした。そうなると不思議なもので、いつもより体が男欲しさに火照ってくる。十一時を少しすぎた頃、親子は肩を抱き合うようにして帰ってきた。仕事の段取りがすべて順調に運んだらしく、二人ともとても上機嫌である。酒も相当入っているとみえて、愚にもつかない冗談を言い合って馬鹿笑いをしている。
こういうところはさすがに親子だなと、由貴子は疎外されたような淋しさを感じた。智史の顔を見たのに肌と肌を合わせられないのがなんとも残念である。智史とはほとんど口もきけなかった。
智史は由貴子の存在などまったく無視しているふうで、風呂に入るとさっさと自分の部屋に入ってしまった。もっとも、智史がバスルームへ消える前に、修三から、今日は少し疲れたから早くやすもうと、あらかじめ言われていた。由貴子は修三に従ってベッドルームに入ってしまい、バスルームの引戸の開く音をかすかに聞いたが、その後、智史がどう時間をすごしたかは知らない。
案の定、ベッドルームに入ると、修三は由貴子の体をまさぐりにきた。だが、先日のように拒んだりはしない。こうされることも望まれて結婚した理由の一つだと思うと、諦めざるを得なかった。ふと気づくと、修三はもう軽いイビキをかいている。すっかり体力がなくなっている感じだ。
明かりを小さな豆電球に切り換えながら、由貴子はそっと部屋を出て、智史のもとへ行くことを考えた。しかし、それはあまりにも危険が多すぎる気がした。見つかった場合、失うものが大きすぎる。智史が一緒になってくれるという保証もない。追いだされたら無一文になってしまう。看護婦時代の貯えなどほとんどない。結局、寝るしかなかった。
隣りの修三のイビキがうるさい。いや、実際はそれほどでもないのだが、まわりが静かすぎるからよけいに気になるのだ。由貴子は寝つかれずに悶々と夜をすごした。
今頃、智史はどうしているだろう? もう眠ってしまっただろうか、それとも、私と同じように、あの人もまた私のことをあれこれ考えていてくれるのだろうか。中途半端に体をまさぐられただけに、股間にまだほんのりと疼きが残っている。また、先日のように一人で慰めようかとも考えた。
その時である。音もなくベッドルームのドアが半分ほど開いた。怪訝に思って半身を起こした由貴子は、そこにパジャマ姿の智史が立っているのを見て激しく動揺した。どうして? 何のために? 修三に用があるとは思えなかった。今までずっと一緒だったのだから、緊急の用があるはずもない。
由貴子の怪訝な表情の意味を察したらしく、智史は右手の人差し指を口に当てて、声を出すなというゼスチャーをした。ということは、智史の目的は由貴子にあるということになる。由貴子はあわててベッドからおりて部屋を出ていこうとした。だが、その気配を察すると、智史は大胆にも部屋に入ってきて、そのまま由貴子を抱きしめた。
由貴子は動転した。いくらなんでもこれでは危険が大きい。一メートルと離れていないベッドで、修三が二人のほうに顔を向けて眠っている。
さすがの由貴子も、抱きしめられて唇を合わせられた時は全身が恐怖で慄えた。修三が目覚めれば万事休すである。あわてて智史の体をドアの外に押しだそうとしたが、彼にその気がないらしく、逆に由貴子の肩を両手で上からしっかり押さえつけて、フロアに座らせようとする。
由貴子は激しく頭を左右に振って拒み、手で廊下を指さして部屋を出ようと暗黙のうちに告げた。けれど、智史の力はいっこうに弱まらず、とうとう由貴子はベッドからほんの少ししか離れていない床に座らされてしまった。
今にも目を開きそうな修三の顔が愛しい妻に向けられている。由貴子の震えはつづいていた。
智史はもう一度、しゃべらないでというようなゼスチャーをした。由貴子が、言われなくてもわかっているわ、というように大きくうなずくと、智史はまったく不意にパジャマズボンを引きおろした。驚いたことに、すでに分身は大きく揺らいで勃起していた。ちょうど座っている由貴子の顔の前である。
やめて、危険よ……。由貴子は泣きだしそうに智史を仰ぎ見た。智史の目には強い決意がみなぎっている。両手で頭をかかえられた由貴子は、そのまま義理の息子の下半身のほうへ引き寄せられた。顔に当たった筒先からは、うっすらと透明の露が滲み、由貴子の舌先に触れられるのを待っていた。
由貴子は横目で夫の寝顔をうかがいながら、特種な芳香を放つ男の汁を舐めた。智史の軽く呻く声が、もっとやってくれとばかりに由貴子をそそのかす。いつしか震えは止まっていた。それとは別のときめきが体の中に湧いてきている。
こうまで駆りたてるものは何だろう。由貴子は危険な立場にあることが自分を興奮させていることに気づくと、すっかりその状況が気に入ってしまい、筒先に舌を這わせ積極的に袋を弄んだ。智史の呻き声が大きくなったのが気になったが、修三はと見ると、時折り表情を歪めながら寝入っている。
由貴子の舌はますます活発に動きまわった。筒先だけでは飽き足りず、指先で弄んでいた袋までもしゃぶった。短い毛先が舌にじゃれるのさえ快い。目の前で見事に反りかえった怒張は、蛇の腹のような段々になった裏側をさらして、休むことなく脈打っている。由貴子は悪戯心を起こして、それを横に咥え、そっと歯をたててみた。智史の唸り声がしたかと思うと、鈴口からザーメンの匂いと一緒に白く濁った液体がブクッと噴きでた。
「いきそうだ……」
その声に、由貴子はあわてて掌を包みこむように鈴口に当てがった。さいわい、完全な噴出ではなく、一時的なもののようだ。それに智史も耐えたのだろう。今、射精されたら元も子もないという気がした。熱いほとばしりは、なんとしても先ほどから濡れっぱなしの火照ったヴァギナに注いでもらわなければならない。それにしてもこんなに高ぶっている自分が信じられなかった。
若い人妻にとって傍らで寝ている夫は、調味料であり刺激剤であった。
あなた、見て! あなたのお蔭でこんなに燃えているのよ!!
由貴子はネグリジェの裾を大きくまくりあげると、挑発的な視線を智史に向けた。
智史はパンティの中心が快液で薄く滲んだ股間に張りつき、微かな黒い翳りが浮きでているのを見た。そこに唇を当てがう。ほんのりと甘酸っぱい匂いが鼻孔をくすぐった。自分がくる前に、修三と何かあったことを思わせる匂いだ。
由貴子は腰をくねらせて自らパンティを脱いだ。片脚をあげた時、割れた秘唇が歪み、そこから媚液が押しだされるように溢れた。由貴子は修三の寝顔を見ながら手を伸ばして義理の息子の弾けるような怒張をしっかりとつかんだ。男の勢いがあった。これがあるから男だと思った。
それにくらべて、あなたは屍……。往復するイビキがなければ、本当に修三は死んでいるようだった。
堪えきれないように、由貴子はつかんでいる熱いこわばりを引っぱって、さあ、早く入れて、とばかりにせがんだ。興奮のあまり、挿入されなくとも気をやりそうになっていた。
智史も同じように高ぶる気持を抑えることができないのか、由貴子の要請に応えるように、すぐに体を重ねてきた。太いものが肉を割る時の感触は、由貴子に生きている実感をしみじみと伝えてくる。
それにしても……と思う。よくも大胆に夫婦の部屋にまできて、眠っている父親の目の前で義母である私とセックスをする気になったものだ。この人は私のためにいろいろと工夫をこらしてるのだ、私は決して無視されているのではない……。由貴子は確信した。波打つしなやかな肉体は歓びをいっぱいに表わしているかのようだった。
「ああ……」
出すまいと思っている声が、どうしても出てしまう。ある意味で極限状態に置かれていた由貴子の歓びは大きかった。全身の血がたぎり、太いものをしっかりと咥えたヴァギナは、さらに大きな刺激を求めて蠢動した。由貴子の本能は、一メートルと離れていない修三の存在をまったく無視し、恥ずかしい窪みは淫らな音をたてつづけに発しておびただしく吐淫した。
体じゅうの力が抜け、筋肉も骨もすべてが溶けてしまいそうだった。歓喜の源は体のあらゆる箇所からとめどなく湧いてくる。
「シーッ……」
智史の制する声が遠くでした。由貴子は知らないうちに大きなよがり声をあげていた自分に気づき、夢中で口を覆った。そして、声を出さない代わりに、白い豊かな尻をぐいぐいとまわしながら上へ突きだした。
男の硬い恥骨に圧迫されたクリトリスがとても快い。智史の熱いこわばりを挟みつけている柔肉も、恥毛のざらついた刺激を受けて歓びに震えている。
「あっ、いきそう……」
由貴子は切なく訴えた。このもどかしさを解消させるには、男の力強いピストン運動こそが最適のように思われた。歓びの肉の味をとことん味わうには、ぜひともそうして欲しかった。体のコントロールはもはやきかなくなっている。一刻も早く二人で愉悦を共有したい!
声を出してはいけないことが、こんなにも苦痛とは思ってもみなかった。体じゅうで叫びたいと思った。この興奮と刺激、そして狂おしいまでの歓喜から解放させてもらいたかった。
「やって……きつく……」
男の怒張が抜き差しされ、それはいつしか激しさを増していった。
「そう、もっと激しくッ」
修三のことはすっかり忘れていた。熱くうねる割れ目が歓喜の波を起こしはじめ、由貴子は急速に光の世界へ運ばれていった。
「いくぅ--ッ
!!
」
その声だけはしっかりと出したかった。出した途端に絶頂が訪れた。若い息子の熱い噴射が、それを待っていたかのようにはじまった。
どのくらいたったかわからない。由貴子の霞んだ視界に、いぎたなく寝入っている修三の姿が映った。さすがにあわててあたりを見渡したが、智史の姿はすでになかった。いつしてくれたのか、股間にティッシュ・ペーパーが当てがわれていた。
本当にこの人は何も知らずに眠っているのだろうか? 由貴子は恐るおそる修三の顔の前に手をかざして、ウインド・ワイパーのようにひらひらさせてみたが、起きる気配はなかった。すごく不思議な気がした。元来がめざといほうではないが、それにしても鈍感すぎる。老けこむ年ではないが、体調の悪さが老化現象につながったのかもしれない。
それならそれでいいと思う。私には智史さんがいる。由貴子の気持は明るかった。
翌朝、修三は不機嫌な顔でダイニング・キッチンにやってきた。前後して智史が朝の犬の散歩から戻ってきた。
「頭が重いんだ。少し遅れて出社するよ」
食事もそこそこに修三は水ばかり飲んでいる。由貴子はそれが糖尿病に原因があることを知っていたが口には出さなかった。
「お歳暮の品定めをしてきて欲しい」
修三が送り先のリストを智史に渡した時、由貴子はすかさず自分も同行したいと申しでた。家庭的なお付き合いをしているところには、自分の意見もいれて欲しいという理由をつけたのだ。修三はすぐに同意してくれた。
「あとで会社にお電話するわ」
修三の世話をしながら出かけていく智史に声をかけると、父親の前だったにもかかわらず、「ああ、待ってる、夕方頃ね」
という言い方をした。普段の智史は、たとえ年下の義母が相手とはいえ、どちらかというととても丁重な口のきき方をするほうである。それは、本当の母子のようでもあったし、まるで恋人同士のようでもあった。
由貴子は、内心嬉しかった。けれどもちょっと気になったので修三をうかがい見た。気づかなかったらしく、修三は両目の窪みやこめかみのあたりを指で押したりしている。
「どうしてこんなに頭が重いのかなァ……」
その言葉を耳にした途端、由貴子はハッとあることに思い当たった。が、あえて口には出さなかった。結局、修三は昼近くまで家にいた。気のせいか、動作がひどく緩慢なように見えた。
「たまには休みたいが、大きな取引先の接待でそうもいかん」
ぶつぶつ言いながら修三は出社していった。由貴子にとって、夕方までの時間は長くて退屈なものだった。美容院に行くと、大きな窓硝子の下に青山通りが見える。行き交う人の大半は女たちで、いったい何の用で歩くのだろうかと首を傾げたくなる。ハリウッドで五年も修業してきたという店長がにこやかに相手をしてくれたが、話の端々に自分の自慢話が織りこまれていて、なんともやりきれない。噂によれば、女にかけてはなかなかの凄腕で、有名な映画女優が恋人だというから、世の中さっぱりわからない。
こんな男のどこがいいのかしら……。由貴子は、店長の鼻下のちょび髭を見ながら、写真で見たチャップリンを想いだしていた。少し早いなと思ったが、修三の許しを得ているので四時ちょうどに電話をかけた。会社の近くの喫茶店にいると告げると、智史はすぐにやってきてレジで勘定をすませた。会社の誰かに見られたりするのは面映ゆいとみえる。
二時間近くをかけて修三から渡されたリストの贈答品のチェックをすませ、二人は有楽町駅近くのビルにある著名なフランス料理店に入った。あらかじめ予約の電話を入れてあったので、眼下に夜景のよく見える窓際の席だった。
「智史さん……」
注文をすませた由貴子は、妖しく瞳を輝かせて智史を見た。
「え
!?
」
ちょっとたじろいだような智史の顔が新鮮だった。
「あなた、昨夜のことだけど……」
「ああ……」
智史の目が微かに笑った。
「パパに睡眠薬を飲ませておいたのね」
笑いがそのまま凝固した。
「嬉しかったの。智史さんがそれだけ私のことに関心を持っていると思ったら、本当に嬉しかった」
「どうして、薬のことがわかったの?」
由貴子は朝方、修三が何度も頭が重いと言った時点で、そのことに疑いを持った。さすがに元看護婦である。結婚前、修三が由貴子の勤めている病院に入院した折り、修三はよく睡眠薬を所望した。だが、どういうわけか、それを服用した翌日は頭が重かった。担当だった由貴子はそのことをよく覚えている。あれだけ傍で二人が激しく愛し合っても目覚めなかった理由がすぐに判明したのである。
由貴子が自信をもって言いきったから、智史は暗黙のまま認めてしまった。
「でも、すごくスリル満点で燃えたわ」
由貴子は瞳の中にシャンデリアの明かりを映しながら、熱く智史を見た。その瞳はすでに欲情に濡れ、そんな時、いつもそうであるように小鼻にうっすらと汗をかいていた。そのうえ、ワインの力が彼女をさらに大胆にしていた。
「ああ……」
深い吐息のあとで、突然、由貴子は喘ぐように囁いた。
「熱いおまんこがしたいわ」
由貴子は熱病にかかったように、ほんの一瞬だけだったが全身を震わせていた。その言葉を耳にした途端、智史は情欲の炎が一気に噴きあげたのを自覚した。
「行こう、由貴さん。君の望むことをしに行くんだ」
うわごとのように言って智史が立ちあがり、レジのほうへ大股で歩きだした。由貴子は足もとが地につかない感じで後を追った。その時、由貴子の股間はすでにおびただしい量の媚液を吐きだして、スキャンティが股間に張りつくほど濡れそぼっていた。
エレベーターの中には他の客も何人かいたが、由貴子は立っていることさえおぼつかない有様で、まるで若い恋人同士のように、智史の腕にしっかりとすがっていた。
二人はもつれるようにしてタクシーに乗りこむと湯島へ車を走らせた。人通りの少ないラブホテル街はひっそりとしていて、いかにもそれが目的のために存在しているかのようであった。
案内の女中にチップを渡して追いやると、智史はいきなり由貴子をベッドに転がし、スカートとスキャンティを剥ぎ取った。上半身は服を着けたままなので、まるで強姦されているような気分だった。
この人は、私の好む方法を何もかも承知している……。由貴子は智史のやり方にすっかり同調した。智史は由貴子の見ている前でスキャンティに顔を埋め、義母の匂いを貪った。
「いやッ……汚れてるわ、やめて」
しかし、由貴子の黄色い声は無視された。智史は両手でスキャンティをひろげると、媚液の染みた部分を食べるように口の中に押しこみ、音をたてて吸引した。
「あああ、いやッ
!!
」
見つめる由貴子の体は火焙りの刑にさらされたようにカーッと燃えあがった。智史のズボンの前は雄大に膨らんでいた。由貴子は夢中でそれをつかんだが、それだけではもの足りず、ファスナーを引きおろすと、窮屈にもがいているものを取りだした。
「由貴さん、やってくれ。いつも親父にしてみせてるように、オナニーを見せてくれッ」
智史の燃えたつような目を見ると、由貴子は自分でもそれを望むかのように恥ずかしい丘に手を添え、ひとしきり強く撫でまわした後で、何本かの指を割れ目に差し向けた。
「そうだ、そうしながら、僕のも頼む。君は両手を使って、二人のオナニーをするんだ」
「わかったわ、こうすればいいのね。ほら、見て……あなたの言う通りにやってるわ。見て……ほら、見てちょうだい」
左手が淫裂を掻きむしり、右手は怒張の包皮を万遍なく擦りたてる。下半身だけ剥きだした男女の奇妙な儀式は、その部屋の艶めかしい空気を震わせて十分ほどつづいた。
「なんて素敵なのッ
!!
」
由貴子は雄叫びのような声を放ち、次いでもう絶頂がすぐそこにきていることを告げた。
「いくんだ! そのまま……いってくれッ
!!
」
「そうするわ。私もそうしたいのよッ……あなたもいって、お願いッ!!……あああ、もう駄目。私、いっちゃう……いっちゃうわッ!!」
「いってくれッ
!!
」
「あああ--ッ、いくう--ッ
!!
」
義母である由貴子の四本の指がしなやかに割れ目に沈み、親指が陰核を破れるほど強く押した時、深いエクスタシーがどっと押し寄せた。
どれくらいの間、浮遊していたのか、由貴子はわからなかった。我れにかえって目を開けると、智史は相変わらず立ったままで見おろしている。張ちきれんばかりのこわばりは元気いっぱいに脈動を繰りかえし、亀頭の鈴口からはねばりけのある露が糸を引いていた。
「ごめんなさい。つい自分のことで夢中になってあなたを置き去りにしてしまったわ」
「すごかったよ、君は……よかったんだね」
「ええ、最高。これが私の中に入らなかったのに、あんなになるんですもの」
由貴子は半身を起こすと、目の前で物欲しげに揺れているこわばりを握った。
「入れて……私、どんな格好でもするわ。命令して!!
……何でもあなたの言う通りにするから」
「そうかい。じゃ、そのままやって欲しい」
「このまま? 手で?」
「そう……見たくないかい? 勢いよく出る瞬間を」
「見たい! 見たいわ。ぜひ……お願いよ」
急速に潤みを増した義母の目を見つめ、智史はひどく生真面目な表情でうなずいた。由貴子は陰茎の脈打つ姿を間近に見る興奮に酔いしれながら指を使った。表皮は張ちきれそうに突っぱっているにもかかわらず、指の動くままに、五センチ以上も前後に伸縮した。
「痛くない?」
「とてもいい。その調子だ……上手だね、由貴さん……あああ」
愛する男に奉仕する歓びは、由貴子をしあわせの世界へ誘った。
「出す時は言ってね」
「もうすぐだ……見てるんだ」
「ええ、素敵でしょうね、見せて!」
「ああッ……そう、早くッ、もっと強く、早くッ
!!
」
「こうね! これ以上は無理よ」
「うまいッ
!!
いくよ……ああッ……」
由貴子の手の中で、こわばりがもうひとまわり大きくなった。由貴子の瞳は鈴口にしっかりと向けられた。
ああ、もう駄目、手が痺れる……。そう思った瞬間、突然、力強いバネのような振動が掌に伝わり、白い塊りが慧星のように長い尾を曳いて飛びだした。由貴子は強い匂いにむせながら、その一瞬の幻のような世界を凝視した。
美しく弧を描いて噴出した溶液は、次々とサイドテーブルの上に花を咲かせた。
由貴子は手の中でしだいに小さく萎んでいく男の一物に改めて敬意を表し、滴り落ちる白いものをゆっくりと舌の上で味わうのだった。
翌日の午後、修三は一年ほど前まで通いのお手伝いをしていた畑野輝子から電話をもらった。「どうしようかと迷った末にお話ししたほうがよさそうなので」という言い方が気になり、輝子の希望通り、会社から少し離れた喫茶店で会うことにした。
約一年ぶりに見る輝子は、四十をいくつかすぎてるはずだが、独身のせいか三十代に見える。
「私がこんなことを言うと誤解されるのではないかと心配なのですが、実は奥様のことなんです」
会った早々に、輝子が切りだした。なぜ、輝子がこんなことを言うかといえば、彼女は由貴子が修三と結婚することによって、長年勤めてきた瀬戸口家を追いだされる結果となったからである。
由貴子は独身でそれなりの容貌をしている輝子の存在を嫌ったので、修三はかなりの退職金を上積みして暇を出したのだ。修三は初め、輝子の話を信用しなかった。しかし、よくよく考えてみると、邸に来ていた頃から忠実でよく働き、一家の主婦に優るとも劣らない大事な存在であった。
「本当なんでございます。私は何度も確認いたしました。奥様は智史さんにしなだれかかってタクシーに乗りました。しかも……」
タクシーの中で、二人は長い間キスをしていたのだという。
「黙っていれば波風もたたないでしょう。でも、奥様の相手が智史さんとなると、将来のこともございましょう。だから私、何度も言うようですが、奥様を恨んで告げ口をしているのではありません。私のお世話になった瀬戸口家のことを思って、真実をお話ししているのです」
修三も海千山千の男である。すぐバレるつくり話かどうかは判断できる。
「ありがとう」
修三は長い沈黙の末に、輝子に感謝の意を表した。たった一度、修三は酔った勢いにまかせて輝子を抱いたことがある。輝子はそのことについてひとことも愚痴をこぼしたことがない。その後もよく働く近所でも評判のよいお手伝いであった。帰りしなに無理矢理、いくばくかの金を渡そうとしたが受け取らない。
「よけいなことを申しあげて……お察しいたします」
そう言って人ごみの中に消えていった。
修三自身、以前、あまりにも様変わりした由貴子を怪しんで興信所に調査依頼をしたことがある。調査の結果は浮気の実証なしであったが、相手が息子の智史なら、いかに興信所でも明確な答を得ることは不可能なわけだ。
灯台下暗し……。修三は怒ることよりも不安を感じた。智史は血肉を分けたたった一人の肉親であり、修三にとっては希望の星なのだ。口では体は健康そのものなどと言い張っているが、あらゆるところが衰えていることは自分がいちばんよく知っている。医者に行って、何か確定的なことを宣告されるのがいやで、こっそりと心臓病、高血圧、糖尿など、巷間評判の高い売薬を飲んでいる。自分の老後は智史と元看護婦である由貴子に託すつもりだったのに、こともあろうに、その二人に裏切られたのだ。修三は惨めさと同時に立ちあがれないような敗北感を味わった。
由貴子を放逐することはできる。けれど、息子を見放すことはできない。いや、見放されたくないと思った。人に後ろ指をさされるようなあくどい仕事までしてきたのは、智史という希望があったからこそなのだ。病弱だった智史の母をかえりみずに、女たちにうつつを抜かしていたしっぺ返しが、ついに来たというのか!?……
修三は憂鬱を顔に出さないように努めた。輝子の話は真実だろう。しかし、もう一歩突っこんでその証拠をつかむ必要がある。
すっかり弱気になっている自分を腹立たしく思いながらも、修三はそれとなく、由貴子たちに注意深い目を向けていた。だがそれらしい気配はいっこうに見えない。会社にいて智史の動向をさぐろうとしても、細かい一日のスケジュールが彼にはついてまわるし、輝子から話を聞かされて以来、何かにつけて出勤も帰宅も一緒にと心掛けている。
ひょっとすると輝子が、クビにされた腹いせに、ありもしない話をデッチあげたのではないかとも考えた。いくら忠実な働き手だからといっても、やはり中年の女だし、女同士の恨みや嫉妬もある。食事の時など、それとなく由貴子と智史を見ているが、いっこうに怪しい素ぶりはない。もうしばらく様子を見てから、輝子の新しい勤め先にも電話をしようという結論に達した。
修三が輝子と会ったことなどまったく知らない由貴子と智史は、その気になると、こっそり修三に睡眠薬を飲ませては危険な情事にふけっていた。しかし、何度かそれを重ねるうちに、由貴子はそれにさえ飽きてきた。すぐ隣りで寝入っている修三が、睡眠薬のお蔭で起きだす心配がないとわかっているから、そのことに馴れてしまうと刺激もないし、面白みもない。むしろ退屈でさえある。
何かもっと新しいことを考えださないことには……。そう思っている矢先に、智史から親父にあのようなことをするのはどうも気がすすまない、という話が出た。
「親子としては当然でしょうね、わかったわ。今度から、お薬は私がこっそり飲ませることにする。もうちょっと効き目のある強い睡眠薬も都合がつくし」
以前看護婦をしていたから、きっと元の同僚にでも都合してもらうのだろう。智史はそう想像した。それにしても、智史は内心、この期に及んで初めて由貴子に対して得体の知れぬ恐ろしさを感じた。私が代わってやる、という言葉を顔色一つ変えずに平然と言ってのけたことがショックとなって、それが智史の心に大きなわだかまりとなって残った。
数日後、智史が修三の代理で接待ゴルフを終えて深夜近くに帰宅すると、ネグリジェ姿の由貴子が玄関先で艶然と迎えた。修三はこういう格好で邸内を歩きまわることを厳しく戒めていたから、智史は面喰らった。
「大丈夫、お薬を飲ませてあるから」
男に寄り添った由貴子は妻の顔になっていた。軽くひと風呂浴びて出てくると、ブランデーの用意がしてある。
「久しぶりみたい」
目の縁をほんのり赤く染めて、由貴子が好色そうな目を向けた。
久しぶりといっても数日にしかならないのだが、薬を与える役を交替して以来の交わりになる。
「よく眠っているわ」
「僕の部屋へ行こう」
「駄目、燃えないのよ。私の部屋でね」
「何もわざわざ……どこでもいいじゃないか」
「あら、初めに来たのはあなたじゃないの。仕掛けたのはあなたよ」
由貴子の言葉には有無を言わせぬ響きがあった。智史は気分が乗らなかったが、結局、女のしたたかさに負けてしまった。ここ数日来、気持も体もついていかない感じなのだ。何がそうさせたのか、智史には見当がついていた。このままズルズルと底知れぬ地獄の穴に堕ちてゆくような気がする。
階段を登る由貴子の弾けるような丸いヒップが、ネグリジェの下で躍動していた。
いったい、この女は何人の男たちをこやしにしてきたのだろう? 俺も親父もそのうちの一人にすぎない……。虚しさに包まれて、智史はますます滅入ってしまった。
「どうなさったの? 疲れてるなんて言わせないわよ」
いかにも好きものらしい笑いを浮かべながら、由貴子は当然のことのように、智史の股間に手を伸ばした。
「しゃべったりするのは危険だ。まずいよ」
部屋の前で、智史は念を押した。修三は静かな寝息をたててよく眠っている。肌には精彩が感じられなかった。会社で夢中になって働いている姿を思い浮かべた智史は、自分の裏切り行為の罪深さにゾッとした。
「何してるの?」
後ろを振りかえると、由貴子がまるでストリッパーのような仕草でネグリジェを脱ぎはじめていた。男の精をぞんぶんに吸収した肌は、フロア・スタンドの明かりを反射して、神々しいまでにツヤツヤと輝いて見えた。美しい形をした乳房を両手で支えるようにして、挑発的に揉んでゆく。やがて一方の手が下腹近くにおりて、腰骨にひっかかっているネグリジェをフロアに落とした。
「あ……」
智史の視線は何も着けていない下腹部で止まった。そこにはあるべきものがなかった。薄く艶めかしい黒い茂みは跡形もなく消えて、青々した感じのふくらみが、智史の欲情をかきたてるように息づいていた。
「誰が?……どうして」
智史の目が疑問を投げかけるように由貴子に向けられた。由貴子は妖しい微笑みを浮かべたまま、修三を指さした。智史は複雑な気持に駆られて足もとにひざまずき、影も形もなくなった跡に頬擦りをした。
元来、由貴子は父のものである。二人が合意のうえでやることなら、どのようなことが行なわれても他人がとやかく言うべき問題ではない。それなのに、智史は父に対して激しい嫉妬を感じ、こういうことを許した由貴子に弄ばれている我が身を哀れに思った。
智史が要求したわけでもないのに、年下の義母の両脚はゆっくり開かれていった。由貴子だけが持つ魔性の匂いがする……。
智史の長い舌が肉唇に近づくと、由貴子は、もっと、というように頭を両手でかかえて強く押した。クリトリスはすでに勃起し、その下の割れ目はすっかり蜜で溢れていた。由貴子は体の中心から急速に湧いてくる欲情の嵐と快感に耐えきれず、ふらふらと尻餅をついてしまった。むっちりした円柱を思わせる太腿に挟みつけられた智史の頭が、右に左に揺れた。智史は這いつくばって股間を舐めまくり、指先で恥毛の生えていた跡をなぞった。上から下になぞると、まるで雪の上を滑るようになめらかだったが、逆に下から上になぞると、ざらつきが強く感じられた。
いったん、舌と指をそこから離してつくづく眺めると、アクセサリーのない女の沼は奇妙に大きく猥褻きわまりない形をしている。俺も親父もこの果てしない官能のブラックホールに吸いこまれて、やがて身を滅ぼすのだろうか!?……
智史は戦慄した。愛すべきか、憎悪すべきか……。いずれは二者の選択を迫られる強迫観念におののきながら、魔訶不思議な一条の溝を凝視した。
「どうしたの? 早く入れて……」
若い義母の細い呻き声にそそのかされるように、智史は大きくなったこわばりを切なく息づく女陰に当てがった。淫らな下口は、なにもかも呑みこんでしまいそうに思えた。
「畜生ッ」
智史は惨めな気持を吹き飛ばすように唸り声をあげると、乱暴に剛棒を繰りだした。
「ひえ--ッ
!!
」
息詰まった声をあげて、由貴子は重なってきた男の腰に両手をまわして強く引きつけた。智史の動きにはいつもの優しさがなく、初めから荒々しかった。表情も剛棒の動きも狂暴そのもので、かえってそれは智史の思いとは裏腹に由貴子にいい思いをさせる結果になった。
由貴子の膣は容赦ないこわばりの抽送に応えて総動員で絡みつき、彼女が必死に耐えていたよがり声をあげさせた。由貴子は自分の声に気づかずに悶え狂った。
と、その時、ぐっすり寝入ってるはずの修三がむっくりと起きあがり、怪訝そうに重なり合っている二人を見た。智史は信じられない表情で間近の父を眺め、凝固した。
「智史さん、どうしたのよ、やって……」
不意に微動だにしなくなった智史に不審な目を向けた由貴子は、彼が見据えているものに視線を転じると、喉の奥で笛の鳴るような声を発したきり、両手で顔を覆ってしまった。
「お前たち……」
やっと事態を呑みこんだ修三が、次の言葉を探すように口をもぐもぐさせたかと思うと、不意に表情を歪めて前のめりに倒れた。
修三は死ななかったが、脳溢血で寝たきりになってしまった。智史はその時以来、由貴子と必要以外の口をきかない人間になった。あの夜、彼が救急車や医師の手配をしている時、由貴子は何一つ手を貸さず、平然と修三を見ていた。ようやく一段落した時、由貴子は智史に秘かにうち明けた。
「あの時、本当はパパに睡眠薬なんか飲ませてなかったの。ハラハラドキドキしてセックスを楽しみたかったのでお酒だけにしておいたってわけ。そしたら、あんなことになっちゃって、つまんない……」
智史はますます無口になった。どんな制裁を受けてもいいから、修三に早く元気になってもらいたかった。元気になった修三が、自らの手で離婚届を作成し、由貴子に突きつけて欲しいと願った。自分に対する処置は、どのようなものでも甘受する気でいた。
だが修三の回復は思わしくなく、口もきけない状態がつづいた。智史は独断で三人の専任付き添婦を雇い、昼夜交替で看護に世話を当たらせた。元看護婦である由貴子が、修三に何を飲ませるかわかったものではないという危惧が常につきまとい、不安でならなかったからだ。ひょっとすると、自分たち父子は、もうずっと以前から砒素でも飲まされていたかもしれないとまで思うようになった。その思いは日がたつにつれて心の中にしっかりと根を張るようになった。
智史の苦しみをよそに、由貴子は日ごとに妖しい美しさをたたえて智史を誘惑するかのように振舞った。負けてはいけない、と思いながらも勝てない自分を感じた智史は、とうとう、ある夜、由貴子の部屋に向かった。
智史は、由貴子の肉体に溺れるか、あるいは、もう一つの行動をとるか、二者選択に迷いながら部屋の前に立ちつくしていた。
もう一つの行動--それはいつの頃からか芽生えた由貴子に対する殺意であった。
闇が濃くなっていった……。
(完)
年下の義母
2012/6/1 電子版発行
著 者 高竜也
発 行 株式会社フランス書院
東京都千代田区飯田橋3-3-1
本データには購買者を特定できる個別のシリアル番号が刻印されています。複製・頒布・転売等、著作権を侵害する行為は法律で禁じられており、違反した場合は刑事罰および民事罰を招来することになります。
(c)2012 Tatsuya Koh, Printed in Japan.
年下の義母 第九章 愉悦に濡れる義母 (6/6)
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