小説『亜由美』第二部 亜由美シリーズ 第3部 (3/5)
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「では、時間がもったいないので、さっそく議題に入りましょう。今日、学生さんたちが、あまりにも派手な格好で練り歩いていましたので、警察まで注意するぐらい、ちょっと困ったことになっています。このままでは、商店街の品位が落ちます。ですが、この商店街は大学があって、学生さんがいるから成り立っている面もありますから、いちいち目くじらを立てて、大学にねじ込んで問題を大きくしようというもの、ちょっと考え物です。ということで、お集まりいただいて、どういう対応をするか、いわばルール作りを考えたいと思ったしだいです」
長崎は低い声だが、わかりやすく話す。
「まずは、言い分を聞こうじゃないですか」と肉屋の二見が言う。
剛介は、亜由美を前に押し出す。
「あっ」
亜由美は声を漏らし、すぐに「すみませんでした」と謝った。素早く頭を働かせて言葉を組み立てる。
「私たち、自主映画のようなものを撮影していまして、私はこういう格好、コスプレが好きなちょっと変わった女性、いわゆる変態の女性という役なので、それが行き過ぎたのかもしれません」
「それは、役なの? それとも、本当に好きなの?」とパブを経営する泉が言う。
「本当に、心の底から、私はこういう格好をするのが好きなのです」
「だよな。だって、その鼻にしてるの、痛そうだもんな」
「はい。とても痛いのですが、これぐらいしなければ、いけないと思いまして……」
「コスプレはいいんだけどさ」
ほかの役員たちも議論をし始める。
酒も入っているからか、あまり深い議論にはならない。
「どうすればいいかな」
役員たちは、剛介に目を向ける。そっちから提案しろ、というのだ。
「二つのことをお願いしたいのですが……」と剛介。
「一つは、これからも商店街で撮影をさせていただきたいと思います。そのたびに、許可をいただくようにしますので、撮影は許してください」
「うん、それはいいけど」と役員たちは納得する。「事前に話があればね、こっちも考えるし、警察の人とも相談できるしね」
「はい。商店街の品位を落とそうなんて思っていません。むしろ、彼女の映像を通じて、商店街に彼女目当てに新しい客が来る、ということもあり得ますから」と剛介。
「そこまでは考えていないよ」と長崎は言うが、まんざらでもないようだ。
「もう一つのお願いは、誠に申し上げにくいことですが……」と剛介はもったいをつける。
役員たちが身を乗り出している。剛介はチラッと岡山を見る。彼とは打ち合わせ済みなのだ。岡山はニヤリと笑う。
「この亜由美は、どんなことでもいたします。みなさんが、ご都合のいいときに、嬲り倒してあげてほしいのです。正真正銘の変態、メス豚なのです。ぼくたちが強要しているわけではないことをわかってほしいんです」
男たちは沈黙する。
剛介が亜由美に合図すると、亜由美は土下座をして頼む。
「どうか、みなさまには、お腹立ちのこともあろうかと思いますが、すべてこの私に責任があります。撮影も、格好も、淫乱な自分がいけないのです。ですから、存分にお嬲りください。気がすむまで……」
役員たちは急に小声になって「なんだか、おれたちが悪者みたいじゃないか」とか「あんまり深入りすると大変なことになるぞ」などと言い合っている。
岡山が、黒いナイロンバッグから紙の箱を取り出し、彼らの前に置いた。
「これは、医療用の指サックです。千個ありますから、ご自由にお使いください」と言った。
そしてローション。さらにコンドーム。そして、白いマスクを六人分取り出した。
プロレス風のマスクで、すっぽりかぶると、目、鼻、口だけしか見えなくなる。
「そっちがコスプレなら、こっちもね」
オヤジたちがそれを被り、お互いを見て笑っている。
「撮影してもいいぞ」
知らされていなかった会員たちは、ためらいながらも、ライトをつけ、カメラを回す。
「まずは、一人ずつ、挨拶だ。あんたの顔をちゃんと覚えておかないといけないからな」
一人が亜由美のところへいき、抱き抱えるようにしてその顔をじっと見る。そして舌をのばし、亜由美の顔を舐める。さらに唇を重ねる。ねろねろと、分厚い唇で思いのままに亜由美の顔を蹂躙していく。
たっぷりとしゃぶりつくす。
鼻フックで潰された鼻も舐め、甘噛みする。耳たぶも噛む。
「あんたみたいな、小娘がねえ。とんでもない変態だなんて」と感想を言う。
「お口をあけてごらん」
亜由美はテラテラの顔で、口を開いた。そこにオヤジが唾液を垂らした。
「飲め」
亜由美はごくりとそれを飲んだ。
濡れティッシュで亜由美の顔が拭かれ、次の覆面男の番だ。
亜由美は六人の男たちに、次々とキスをされ、舐め回され、唾液を飲まされた。
剛介たちは、年季の入った男たちの、執拗で容赦のない嬲り方に魅入っていた。
「次はお尻を見せるんだ」
亜由美はスカートをまくり、傷だらけの尻を見せた。
「あーあ、かわいそうになあ、こんなにされて」
「若い連中は力任せでいかんな」
オヤジたちはそんな話をしている。
剛介はオヤジたちが事前にすっかり打ち合わせていて、すべてを知っていることをバラしそうになっていることにハラハラしていたが、亜由美はそれどころではないようだった。
「どれどれ」
指サックをして、ローションをつけた指が、亜由美のアナルに侵入する。やさしいようだが、途中からはグイッと力を入れて最奥まで指を入れようとする。
「ほう、なかなかいいじゃないか。締め付けてごらん」
亜由美が尻に力を入れると、オヤジがピシャッと尻を平手で叩いた。
「いいか。尻たぶじゃなくて、穴に力を入れるんだよ。ほら、この穴だよ」
激しく指をゆさぶる。
「うひー」と亜由美が低く、泣く。
オヤジが腸内に侵入した指先をさらに激しく動かす。
「そうそう。そうやって締め付けるんだぞ。わかったか」
男たちは次々と亜由美の体に指を入れては、その締め具合、中の感触を確かめていく。
餅でもこねるように、数人が亜由美の尻を囲んで、しつこいほどに責めていく。
指がしだいに一本ずつではなくなっていく。二本、三本と入り、上下、左右に押し広げる。
「今度は親指を入れてやろう」
太い指にサックをつけて、一人がぐいっと穴に差し込んだ。
「ひっ」
男根に似た太さで、これまでの指よりも力強い。
「ほらほら、こうやって押し開いてやるよ」
「あぅぅぅ」
そこにもう一人が人差し指を入れてきて、奥で鈎のようにくいっと曲げた。
「どうだどうだ」とそのまま持ち上げるようにする。
「お、そうはさせねえよ」と親指の男が下に引き下げるように押す。
これまでの拡張で広がった亜由美のアナルが、ぽっかりと口を開いた。
「く、苦しいぃ、裂けちゃう」
「ほれ、少しはでっかくなったかな」
オヤジたちが笑う。
指サックは次々と捨てられ、新しいものが使われて、やがて指先は亜由美の、ふっくらとした恥部へ移っていく。
「すごいね、こんな大きなもの入れて」
巨大タンポンが引きずり出される。まだ生理になっていない。それどころか、ねっとりとした愛液をたっぷり含んで、糸を引いていた。
畳の上に仰向けにされた。
下腹部にある「遠慮なく嬲ってください」の文字が痛々しい。
ローションでべとべとになったスカートの上で、亜由美はオヤジたちに足を抱えられて、下半身を全開にされた。
愛撫の領域を越えて、残酷なほど無遠慮に、敏感な粘膜を男たちは指で陵辱していく。
「年をとるとさ、若いやつみたいに、何発もやりたいって感じじゃないんだよ」
覆面男が剛介に説明する。アダルト店の岡山らしい。
「若い子をこうやって、思う存分、いたぶるなんて、夢のようだ」
オヤジたちはその
剃毛
された部分をこねくり回す。
「あひっ」
亜由美は敏感に反応する。
「男を知ってるって感じが出てきているね」
「いやいや、まだ処女だってウソがつけそうじゃないか」
「ちょっとびらびらに色素が沈着してきましたぞ」
「そんなに広げて……」
「クリちゃんがちょっと小さすぎないかな」
「これから、オジサンたちが大きくしてあげるからね」
一人がズボンを脱いだ。かなり硬くはなっている。それを横になっている亜由美の顔に差し出す。亜由美はそれを手にし、口に含んだ。
「お、いいねえ。上手だね、お嬢ちゃん」
硬くなった男はコンドームをつけて、亜由美の中に挿入する。
「ふぅぅ」
亜由美が深く息を吐く。
次の男が亜由美の口に男根を押しつける。
「こうやって、女子大生を犯すなんて楽しみがあったんだな」
「あぐぅぅ」
亜由美はだらしなく、口に男のものをくわえる。
激しいピストンがはじまる。二番目のオヤジは亜由美のアナルに挿入する。
「ほらほら、入らないじゃないか。ケツをこっちに向けろ、ケツを」
ピシャっと音を立てて亜由美の尻を男が叩く。
体を横にし、最初の男の上に体を預けながら、自らアナルを犯そうとする男の望むところに差し出し、激しい挿入に身を震わせていく。
「お口もちゃんとやれよ」
三人目を口に含む。
「若いから、ちょっとぐらいムリしても平気だろ」
亜由美がそういうことに対して上手になったわけではない、と剛介は思う。オヤジたちが、そうさせているのだ。まるで亜由美が生まれながらの娼婦のように見える。
「あふぅ、あふぅ」
苦しそうに亜由美はあえいでいる。口をふさがれているので、声をはっきり出せない。
それが、剛介たちから見れば、喜悦のあえぎに聞こえる。
目をつむり、眉を寄せ、顔や体のことを一切考えず、ひたすらオヤジたちの性のはけ口になることに集中し、全身を投げ出している。
剛介たちの力任せの陵辱とはひと味もふた味も違う。同じ時間をかけても濃さが違う。
そのせいか、亜由美がまた、本気になってきているのがわかる。
「がうぅぅ」
苦しそうなケモノのような声を漏らしながら、明らかに亜由美は痙攣するように体を震わせていた。
感じているのだ……。
彼女がどれだけ淫乱で、とめどない欲望を持っているのか、剛介は空恐ろしくなってきた。
群がる男たちにもてあそばれているように見えて、実は全員が彼女にもてあそばれているのではないか。そんな気さえする。
「ほらほら、お嬢ちゃん、まだまだですよ」
唾液でたっぷり濡れて光る硬直したものが、いま果てたばかりの男に代わって、アナルに突き立てられる。
「おい、すごいね、今日は二発できそうだぞ」
最初の男がまた勃起し、亜由美の口にねじ込み、硬くさせようとしている。
「おい、こっちの穴が余ってるぞ、誰か来いよ」
「よーし、もう一発やってやるか」
そんな調子で、一人二発以上を亜由美の膣、アナル、そして口に放出していった。
亜由美が汚されていく姿を、剛介たちは見守っていた。
剛介は亜由美が溶けていくように見えた。肌と肌が密着し、粘膜が濡れ、汗がしたたるうちに、その体が溶けて小さくなっていき、やがて消えていくような気がした。
輪姦が終わったあと、オヤジたちは酒を飲み、クールダウンを楽しんでいる。カメラが止まったからか、覆面を外して汗を拭った。
「いい体をしているな、まったく」
「ああ、弾けるようだよ。若鮎とはよく言ったものだぜ」
「もし、この商店街がコスプレで有名になったら、ピチピチした連中がもっと来るかもしれないな」
「もうちょっとオッパイがでかいと、もっといいんだけどな」
「ずいぶん、感じてたよね。ローション、いらないぐらいだな」
「何発やったら気が済むんだ。まったく、ドスケベな女だぜ」
「ケツの穴の締まりもよかったが、まんこの味は格別だったね。タコツボってやつじゃねえか。二段か三段、ぎゅって締まる感じだったぜ」
「ゆるゆるの女房じゃ、おもしろくねえんだろ」
ガハハハと笑っている。
「おい、こっちに来て酌をしろ」
亜由美は体を拭うことも許されず、ビールを注いで回る。
そのたびに、オヤジたちは亜由美の乳房をつかみ、乳首をつまみ、キスをし、口の中でどろどろにした寿司やつまみの菓子などを、亜由美に無理やり食べさせる。
「餌付けだよ」
「そうだ、おれたちの味をしっかり覚えておいてもらわないとな」
そのうちにまた勃起したらしい男が、亜由美の背後にやってきて、アナルに挿入する。亜由美はそれでもなお、キスされ、餌付けされ、体を触りまくられていく……。
「おっといけねえ、こんな時間だ」
オヤジたちは勝手なもので、会合の時間にしては大幅に長引いたことに気づくと、そそくさと帰り支度をはじめた。
「食い物、持って帰っていいぞ」などと言う。
そんな言葉を聞いているのか、いないのか。
ようやく自分の体を取りもどした亜由美は、ティッシュやタオルで体を拭い、コスプレの制服を身にまとった。
「それでは、今後ともよろしくお願いします」
剛介たちが頭を下げる。
「ああ。コスプレやるときは、必ずここに顔を出して、役員の誰かのチェックを受けるんだ。いいな?」
薬局の長崎が言う。
自室に戻り、風呂に入って体をすっかりきれいにしてきた亜由美。
「すみません。お尻が痛いんです」と剛介たちに言う。
「どう、痛いんだ」
「ものすごく、痛いんです。奥のほうまで……」
「どれ、見せてみろ」
裸の亜由美が、剛介たちに自ら尻穴を開く。
「見たところ、なんでもないけどね」
「とにかく、すごく痛いんです。お尻がもげてしまいそうなほど」
「うーん」と剛介がため息をつく。
「明日、医者へ行くしかないな」
「すみません」と亜由美。
「フリースの毛布、用意しておいたから」と会員が彼女に手渡す。
亜由美は誰にも命じられないが、自らテラスのケージに入った。
剛介たちは商店主らからもらったビールやつまみで、飲み食いし、夜半に解散した。
病院
「どうだ」と翌朝、剛介は、朝からやってきた会員二人と亜由美の部屋を訪ねた。
「痛くてよく眠れませんでした」
「しょうがない。医者へ行くぞ」
「それから、生理になったと思います」
男たちとカメラの前で、赤く染まった巨大タンポンを取り替えさせられ、Tシャツとホットパンツ姿になり、タクシーに乗った。カメラを手にした会員二人も一緒だ。
「どこへ行くんですか?」
亜由美は不安になった。タクシーの座席に腰をおろし、振動を感じるだけでも痛みがある。
「ちょっと遠いんだ」
剛介があれから、アダルト店の岡山、薬剤師の長崎に相談した結果、ある町医者を紹介されていた。
「宇辻ってやつでね。まだ若いんだけど、患者に手を出して、それがおっかない組織の女で、脅迫されてさ。ちょっと警察沙汰になってね。医師免許もしばらく停止させられて、奥さんと子どもは出て行って、親の代からの病院を細々とやっている」と言う。
ろくな医者ではないだろう、と剛介は思うが、それは『亜由美の会』にとっても好都合だった。
「ここ、ですか?」
亜由美はタクシーから降ろされて呆然とする。
柵に囲まれた空き地の向こうに住宅地が広がっていた。
その空き地の横、野中の一軒家のように、病院だけがポツンとある。再開発が進もうとして、途中で止まっているようだ。
かつては白かっただろう外壁のモルタルが、真っ黒になっている。
「うつじ内科・消化器化」と褪せた看板。やっているのかいないのか、わからないような状態だ。
「話は通ってるから」
剛介は引き戸をあけて、中に入る。天井の蛍光灯はついておらず、薄暗い。受付があるのに誰もいない。雇えないのである。
「いま行きますから」と奥から男の声がした。
そしてスリッパをペタペタと引きずりながら、白衣の男があらわれた。三十代後半だろうか。まだ若いが、無精髭、腫れぼったい目をし、髪もボサボサだ。タバコ臭い。
「長崎さんから紹介されました」
「わかってる。こっちだよ」
指さす診察室へ、剛介たちが入る。その背後で、医師は面倒臭そうに、亜由美を見つめている。
「じゃあ、さっそく診ようか。裸になって」
「全部ですか?」
「文句言うなら、診ないよ」
そのときになって、ようやく亜由美が、これが普通の医者ではないと理解した。思わず怨みがましい目で剛介を見てしまう。剛介たちはニヤニヤしている。
「先生、ぼくたちも見学していて、いいですか?」
「ああ」
「カメラで撮影してもいいですか?」
「おれを写すなよ」と言いながら、宇辻はマスクをした。
こんなところまで、と亜由美は思う。自分が甘かったのだ。彼らはすべてを撮影するつもりなのだ。
Tシャツを脱ぎ、ホットパンツを降ろす。
「なるほどな。『淫乱メス豚、二十一歳、亜由美、撮影中』か。どれどれ『遠慮なく嬲ってください』。いいね。背中を見せて」
背中のメニューを眺める。
全裸生活/むだ毛全処理/排泄管理/大量浣腸/ケツ穴拡張/首輪/鼻フック/異物挿入/アナルセックス/トリプルプレー/レイプ/緊縛/股縄/ムチ/野外露出……
「どれぐらい、アナルセックスをやってるんだ?」
「ざっと十六人ぐらいだと思います」と剛介。人数は合っているが、回数はそれではすまない。
「何日かけて?」
「一昨日、昨日だから、二日ですね」
「それは大変だ」
亜由美は診察台にうつ伏せになる。お尻を高く突き上げる。通常の診察ではない。
宇辻医師は肛門の周辺を診ながら、ゴム手袋をする。クリームやローション、肛門鏡を用意する。
「周囲は切れたりしていないね。出血は?」
「ないと思います」と亜由美。
少し足を開いているだけだが、連日のセックスによって猥らに開いた性器から、巨大タンポンの先端が顔を出している。卑猥な眺めだ。
医師は触診を始める。直腸に指をぐりぐりと入れていく。
「ここは? 痛い?」などと聞く。
どうやら、粘膜や筋肉が切れるなどして痛いわけではないのだ。鈍痛がしているらしい。
「粘膜が過敏になっているんだろう。荒れているわけだね。しばらく刺激しないほうがいいけどね」
そう言いながら、肛門鏡を取り出し、そこにすべりやすくするためのローションをつけて、「穴がでかいから、大丈夫だろ」と言いながら、ズブッと差し込む。
「あひっ」
医者にまで辱められるとは思ってもみなかった。冷たい金属の筒が指の何倍も奥まで無遠慮に入り込む。
「便秘はないんだろう?」
「はい。毎日、お浣腸をしていますから」
「今日はしていないね」
「はい、まだ」
「大量浣腸って書いてあるけど、いったい、どれぐらいの浣腸をしているんだ」
剛介が「一回に五百CCぐらい。それを何度も」と答える。「グリセリンを水で薄めて」
「ふーん。それじゃ、一度に、どれぐらい入れたことがあるの?」
「それはわかりません。五百CCの缶チューハイを二本、入れたことはありますから、炭酸で膨張したことを考えると、その倍ぐらいは入るはずですけど……」
「一リットルか。それ以上は試したことはないんだな?」
「ええ」
「賢明だよ。そのほうが安全だ。アルコール飲料の浣腸はやめておいたほうがいいぞ」
「はい」
「どうだ、今後のこともあるから、限界を知っておいたほうがいいと思うんだけどね」
「そりゃ、そうですけど……」
「よし。じゃあ、さっそく浣腸をする」
「ひー、それは、それは……」
亜由美は、診察台で自ら肘をつき、高く尻をかかげながら、震えている。
「安全のために、こっちに来なさい」
裸の亜由美は、仕方がなく、医師の言う通りに診察室を出て、奥の部屋に入る。
「い、いや……」
亜由美はそこを見て、逃げようとする。それを剛介たちが取り押さえる。
無機質な灰色のコンクリートの床。コンクリートは床から一メートルほどまで剥き出しで、その上は白いタイルが貼られている。タイルは何枚か剥がれ落ちている。窓は天井近くに明かり取りがあるだけだ。
床は片隅の大きな排水口に向かって、全体に傾斜していた。壁にシャワーや、蛇口があるので、以前は風呂場だったのかもしれないが、浴槽はない。海外のようにここに、バスタブを置いていたのかもしれない。
だが、いまはその中央に、分娩台が置かれている。古いものらしく、剥き出しのパイプ部分がある。ベッドのところに薄いビニールレザーが貼られているものの、頑丈さだけが強調されている。
「さあ、乗りなさい」
亜由美は剛介たちを見て、目でうったえる。お願い、許して、と。
剛介は笑いを浮かべながら、宇辻医師と協力し、亜由美をその台へと追い詰める。亜由美は強制されているわけではないが、もはや逃げることもできず、自ら台に乗った。
「ここを握るんだ、しっかり」
左右に突き出ている棒を握らせて、宇辻は亜由美の乳房の上、乳房の下に黒いベルトをつけて台に固定した。
腹部は左右から突き出ているアームにベルトで留める。握っている手と棒をベルトで結んだ。
「お願い、助けて」
両足を、左右に大きく飛び出している稼働アームにベルトで固定する。
「できるだけたくさん入れるから、楽にしているんだよ」
医者は言いながら、古い機械らしく丸いハンドルを回して、台の高さを調整し、次に上体の傾きを調整する。最後に、足が固定されたアームをハンドルで左右に開いていった。
台の末端部分は、半月型にえぐれていて、お尻がそこに突き出ていた。その下には分娩時には膿盆と呼ばれる蚕豆型の金属のトレイが設置されるが、いまはなにも置かれていない。
部屋の隅にある帽子掛けのような、背の高い金属の脚を亜由美の横に置く。
医者はそれから、別室になにかを取りに行った。
「お願い、なんでもしますから」
亜由美は剛介に小声で言う。
会員たちはそれを冷酷に撮影する。亜由美は必死だった。会員たちに責められるよりも、はるかにおそろしく感じている。
剛介はなにも言わない。
ほどなく、宇辻が戻って来た。白いガラスのイルリガートルを二つ持ってきた。
「二リットル用だ。薬液は使わない。ぬるま湯でいいだろう」
剛介に手伝わせて、そこに蛇口から湯を入れていく。一つだけで二リットル、つまり一升瓶よりも多い液体が入る。それが二本、金属の台にセットされた。
ゴム管は二本のイルリガートルからの流れを、途中で合流させ、一本にしていた。
「全部入ったら、四キロだからな。相当な重さになるぞ」
腸内にそれほどの液体を溜めることができるというのか。
「大腸は一・二メートルぐらいあって、直径三センチぐらいから五センチほどだ。容積を計算すると、十リットル以上あってもおかしくないが、もちろん、ぎっちりなにかを詰め込むわけにはいかないし、十キロのものを支えられるかどうかわからないからね。そんなムリをしてもしょうがない」
宇辻は、管の先端を指でふさぎ、途中の弁を緩めた。指を少しスライドして液体が管に入るようにする。空気が抜けていく。管が液で満たされると、再び弁を閉じた。
「じゃあ、やろうか。言っておくけど、これは医療行為じゃないからね」
ゴム手袋をした医師の手が、亜由美の尻を左右にわけて、管の先端を、すぼまっている肛門につける。
「ああぅ」
亜由美が声を出す。先端が入っていく。力を入れているようでも、拡張されたアナルはほとんど抵抗なく先端部分を受け入れてしまう。
すすっと奥へ入る。五十センチほども入れただろうか。
それから宇辻は台のハンドルを操作して、台をわずかに左へ傾けた。
「便利だろ。最初は左に傾けて下行結腸にたっぷり入れる。それから水平にして横行結腸、最後に右に傾けて上行結腸まで入れてみよう」
弁が外された。
「ひいいい」
亜由美の泣き声が響く。
一本目の二千CCが送り込まれていく。
「おお、けっこう早いな」と会員が思わずつぶやく。
みるみる、薬液が減っていくのがわかる。
「あうぅ、苦しい」
「まだまだ」と宇辻は平然としている。「一リットルなんて軽い軽い」
ハンドルを操作して水平にした。その間におよそ五分が経過している。宇辻は医者らしい手つきで、亜由美の腹部を触る。
「まだ平気だな」
二本目の弁を開けて、間断なく液を注ぎ込む。
「苦しい……。すごく苦しいです」
「そうか?」
宇辻は膨らんできた腹を、強く押した。
「うげっ!」
亜由美が叫ぶ。
「気持ち悪い! 吐きそう!」
台を右に傾けさせ、手で送り込むように腹をマッサージし、腸内のぬるま湯を体の右側にある上行結腸へ染み込ませていく。
「出ちゃう! 出ちゃう!」
「もうちょっとがまんしろ」
「だめぇ!」
浣腸になれているはずの亜由美でも、ガマンの限界を超えていた。
肛門が開いてしまい、大量の水が噴き出す。宇辻や剛介たちは慌てて避ける。
少し引いた位置にいたカメラを持った会員は、むしろ前に出てきて、すかさず噴水のようになっている亜由美のアナルをクローズアップで撮影する。
「だめだなあ。二リットルとちょっとじゃないか」
宇辻は怒っている。
「もう一回やろう。出せるだけ、出しちゃっていいよ」
上体を傾けるように台を操作して、延々と排泄を続けさせる。
透明な液体が、しだいに色がつき、とうとう固形物が混じるようになった。
尿道オナニー
アナルセックスを解禁してまだ二日だが、昨日だけでも十人以上にアナルを犯され、商店街の組合でも、一人二回はしていたと思われる。
そのせいもあって、亜由美の肛門は完全にめくれあがり、延々と排泄を続けている。
「おまえたち、ムチャなことをするなよ。慎重にやらないと、体調や腸内の状態によっては大変なことになるからな」と宇辻は言う。
ようやくほとんどなにも出なくなる。
「もう一度だ」
「いやー、助けてー」
亜由美の絶叫が反射する。
「ケツの穴をしっかり締めてろよ。うまくいくまで、何度でもやるからな」
宇辻は容赦なくぬるま湯をイルリガートルに注ぎ、同じ手順を繰り返し、亜由美の腸内に送り込む。
今度は二本目に入っても、すぐに音を上げることはなかった。
「すごいな。三リットルは入ったぞ」と宇辻。「見てみろ」
三キロの水を含んだ大腸が、ぽっこりと亜由美を膨らませていた。三キロといえば、臨月の妊婦と同じぐらい膨らんでもおかしくはない重さだ。
叫び、えずいている亜由美。なにかを嘔吐しているわけではないが、胃が持ち上げられて、苦しいらしい。
触診していた宇辻が「まあ、こんなものかな」と言う。
「四千はムリだな。三千二百ぐらいか」
突きだした唇のようになっている肛門は、それでも必死に閉じようとしている。
失敗すれば、何度も注入されると宇辻が言うからだ。
ぽっこりを膨らむ腹は、かわいらしくもあった。
「よし、じゃあ、出していいぞ」
亜由美は、「ひーひー」と言いながら、腸内の液体を吐き出す。ほとんど透明な液体になっている。
「通常は、この右側の上行結腸まで入れることはないよ。このあたりだと、まだ便は軟らかいままだしね」
そう言いながら、宇辻は絞り出すように、そのあたりをぐいぐいと指で押してやる。
「異物挿入は、なにを入れてもいいが、腸内が糜爛、つまり爛れてきたら、あとあと面倒だぞ。出血したら要注意だからな。入れるものは慎重に選べよ。排泄できなくなったら、外科手術ってことになるぞ」
すっかり排泄が終わった。
剛介も会員も、ホッとする。
「さて、じゃあ、せっかくだから、ちゃんと診察しよう」
宇辻は部屋を出ると、しばらくして、キャスターのついた装置を押してきた。モニターがついている。電源を入れると、装置から伸びたファイバースコープの先端に明かりが灯る。
「じゃあ、みんなで腸内を見ていこうか」
「うううぅ」
亜由美への責めはまだまだ終わらないのだった。
内視鏡の先端を開ききった肛門に入れていく。先端から空気が出ており、腸を膨らませながら先に進んでいく。モニターには亜由美の肛門、そして直腸が大写しになっていた。
「いいか。異物を入れるのもいいけど、まずは、このお尻の穴の縁に注意してくれよ。尾てい骨の方は硬いんだからね。ここに引っかかると、簡単には出せない。よくやるのは、入りやすいなめらかな方から入れて、角張った底も飲み込んじゃうんだよ。そうすると、簡単には出て来ないよ。外科手術が必要になることもあるぞ。だから、むしろ角張った底から入れるんだ。その部分が入らないなら、入れちゃダメ」
宇辻はそんなことを説明する。
「それから先端の尖ったものも奥まで入れると危険だ。ほら、こんな風に腸は曲がっているんだからね。これを突き抜けたら、腸が破けるわけで大手術になる。もし小さな穴があいているのに気づかなかったら、うんちが内臓に入り込んで大変なことになるぞ。腸が壊死したら、人工肛門になってしまうかもしれないしね」
S字結腸を、ファイバーの先端が腸壁に当たりそうになりながら、曲がっていく。
「空気を出しているからぶつかっていないけど、通常はこのあたりにぶつかる。このあたりは柔らかいからね。おまけにぐっと曲がっているんで、要注意だ」
そして映像は奥へと入り込んでいく。
「うん。いまのところ、痛みの原因になるようなものは発見できないな。もっと奥へ行くぞ」
腹を横切り、再び足の方へ下がってくる。
「きれいなもんだ。まだ若いからな」
そのあたりにくると、まだぬるま湯が残っていた。腸の粘膜が剥がれて溶けている。
「以上、終了。まあ、フツーに健康な大腸に見えるけどね」
宇辻は慎重にチューブを抜いていく。
「うひぃー」と思わず、亜由美が声を上げる。腸が引きずりだされるような感触がしているのだ。
すっかり引き抜くと、宇辻は医者らしく器具をてきぱきと片付けていった。
「はー、はー」
剛介はあえいでいる亜由美の横に行く。
「感じてるのか?」
ぱっくりと開いた膣口。濡れそぼって輝いていた。指をそこに入れていく。
「あっ、ひっ」
亜由美が体を震わせる。
「感じていたんだな?」
指先をぐいっと奥に入れる。
「あうっ」
「感じていたんだろ、このメス豚」
「うひぃ。はい。感じています。ああ、すごく感じています」
「三千CCも浣腸されて、腸の中まですっかりさらけ出して、それで感じているんだな」
「はあ、はあ」
亜由美のあえぐ顔がまぶしい。
「そうです、亜由美は、どうしようもなく感じています」
剛介は巨大なタンポンをつまんで、ずるっと引き出す。経血が漏れてくる。真っ赤に染まったそれを、亜由美に見せる。
「しょうがないな。先生に許可をいただこうか」
「ああ、お願いします」
「自分でお願いしろよ」
宇辻がそこに戻って来た。
「なんだ、生理なのか」と言う。
「先生、お願いです」と亜由美が言う。「こんな生理中ですが、犯してください。どうか、おまんこをぐちゃぐちゃにしてください」
「ふん」と宇辻は軽蔑したように言う。「おれは女には不自由していないんだよ。悪いね。小便臭いおまえみたいな女は嫌いだ」
「お願いです。どうか、助けてください」
「もう十分に診てやったじゃないか。不満なのか」
「感じてしまって、どうしようもないんです」
「自分で処理しなさい」
宇辻は冷淡に、笑い、拘束を解いてやった。
切ない表情をした亜由美は、上体を起こし、足を高く上げて広げたまま、指先でクリトリスを刺激しはじめた。
「ああー、ああー」
「そんなに感じるなら、いいものを貸してやろう。おそらくはじめての経験だぞ」
宇辻は別室からステンレスのケースを持ってきた。それを開くと、細くなめらかな銀色の棒が、細いものから万年筆ぐらいの太さまで、十本ほど並んでいた。
「ブジーだよ。こいつを尿道に入れてやろう」
「ええ!」
亜由美はたじろぐ。
「なにか入れてほしいんだろう?」
「はい。太いものを亜由美に入れて……」
「あいにく、おまえにふさわしいような太いものはないんだよ。これでガマンするんだな」
宇辻は消毒液を亜由美の股間に吹き付けると、もっとも細いものを選んだ。
とろんとした目をしている亜由美は、なにが起こるかわかっていない。
肉ひだを広げて、これまで誰も見向きもしなかったひっそりとした穴を剥き出しにする。そこに金属棒を入れていく。
「痛い!」
「大げさだな。灼熱感はあるだろうけど、この細いやつなら、そんなに痛くはないはずだ」
「あうぅ、熱いです」
二十センチほどのブジーの半分近くまで差し込む。
「ほら、やってみろ、続きを」
亜由美はためらいながらも、片手で体を支え、片手でブジーを持ちながら、同時にクリトリスのあたりを擦り上げる。
「あうっ、ひっ、痛い! 熱い! いや、だめ。感じるぅ」
うるさいほど叫びながら、尿道オナニーをはじめた。
「ひっ、ひっ、ひっ」
甲高い声を上げて、すぐにのぼりつめていく。
「だめぇ、すごいぃ」
ガクッと首をのけぞらせ、全身に力が入る。
いつしか、ブジーは半分以上も奥へ入り込んでいた。
亜由美がそれを引き抜くと、びゅっと勢いよく液体が噴き出した。
亜由美はなおもクリトリスを指で愛撫する。
びゅっ、びゅっと液体が噴き出していく。
「すごい潮吹きだな」と宇辻。
そのあと、小水も噴き出した。
「あれだけぬるま湯を入れたんでね。吸収された水分が膀胱に溜まっていたはずだ」
一部始終を撮影していた会員たちも、あまりの激しさに呆然としていた。
剛介は、つくづく、亜由美の潜在的な欲望の深さに驚いていた。ついに、尿道オナニーで派手なオーガズムまで見せたのだ。
「その道具、譲ってくれませんか?」
剛介が頼んでみる。
「だめだよ。使うなら、ここに来ることだね。これは医療器具だからね。下手なことをしたら大変なことになるから」
それが本当のことなのか、それとも宇辻の単なる亜由美に対する興味のせいなのか、剛介は図りかねた。とりあえずはあきらめることにした。もしかすると、アダルトショップの岡山から手に入るかもしれない。
「そのかわり、処方箋を書いてやるよ。抗生物質とか傷に効くものとか、キシロカイン、痛み止めだな。必要なら長崎の薬局で出せるから」
「お尻が痛いって原因は?」
「過敏になって痛みを感じただけだろう。フツーはいじらない部分だから、過剰に反応したんだと思う。なにかあったらまた来い。特に出血には気をつけろよ。ムチャしないで楽しむことだだな」
剛介は亜由美のサイフから診察料を払い、タクシーを呼んだ。
放心状態の亜由美をタクシーに乗せる。病院だったこともあってか、運転手はなにも疑わず「お大事に」と声をかけた。
剛介は大笑いしそうになったが、「ありがとうございます」と答えておいた。
マンションに戻ると、すでにメールなどで、すごい映像が撮れたことを知っている会員たちが数人、待っていた。
「本格的な医療プレーだぜ」
亜由美の背中に「三リットル浣腸/尿道責め」の文字が加わった。
「背中だけじゃ、足りなくなるかもね」と園田が、さっそく病院での映像をチェックしながら、興奮して言う。
「いいさ。全身に書けばいいよ」と剛介。
気を効かせた会員が買ってきたコンビニ弁当を食べる。
亜由美は巨大なタンポンを装着し、ぐったりしていたが、おにぎりなどを少し食べて、ケージに入って横になった。
いまでは、そこだけが休める場所だった。撮影がはじまってまだ三日しかたっていない。
クリ拡大
亜由美は、ケージの中から、部屋を見ている。剛介はいない。四人の会員たちが、アダルトショップの店主である岡山が置いて行った器具を見ながら、話し合っている。
ときどき、亜由美を見る。
話し合いが終われば、きっと自分はそこに引きずりだされ、また肉体が酷使されるのだろう。なにをするのだろう。なにをされるのだろう。その苦痛はどれほどのものだろう。同時にどれほどの快楽になるのだろう。
いつもはあまり見かけない会員たちばかりだ。
窓が開けられ「来い」と命じられる。
亜由美は部屋に入った。中はとても暖かい。
「座れ」
亜由美は床に尻をつけた。
男たちは、注射器のシリンダー部分だけのような細長い装置を手にしていた。
注射されるのかと、反射的に身がすくんでしまう。だが、先端に針はついていない。
一つを乳首に押しつけた。シリンダーの反対側にゴムのポンプがあり、それを軽く握ると、空気が抜けて乳首が引っ張られていく。
「いっ」と亜由美は声を出した。
「痛い?」
「大丈夫です」
「じゃ、もう一回」
二回ポンプを握られて、シリンダーの中に自分の乳首がぷっくりと大きくなり、引き延ばされた。
「こっちもだよ」
ポンプだけが外れ、シリンダーが乳首を吸い出したまま、くっついている。
両方の乳首が同じように引き出された。
「足を開けよ」
亜由美は股間を彼らにさらした。
「クリちゃんを自分で剥いてみろよ」
細い指先で、皮の間から小さな核を剥き出しにする。
そこにもシリンダーがあてられる。一回、二回と空気が抜けて、クリットが肥大していく。
「あうっ」
それはこれまでにない痛みだった。強く吸われるどころではなく、引きちぎられるようだ。
「まだまだ」
乳首は二回で許してくれた彼らが、三回、四回と亀頭部分を引きずりだす。
充血し、真っ赤になった先端。
「いいねえ。どうもこの小さいところが、画面だと存在感がなくてさ」などと、会員たちが言う。
国内向けにはボカシが入っていると亜由美は聞かされていた。実は海外のサーバーを使う手配をし、運営会社を現地に委託し、ボカシなしのナマナマしい映像をネットで提供されていた。亜由美はそれを知らない。
彼らは部屋の固定カメラに見えるように立ち位置に気を配りながら、亜由美の三つのポイントに貼り付いたシリンダーを引っ張ったり、揺さぶる。
「あひぃ」
「感じるの?」
「は、はい」
「どう感じるの?」
「痛いです、ちぎれそうです」
「痛いだけじゃないよね?」
「あふぅ、そ、それは……」
なにを言わせようというのだろう。亜由美はしだいに体が燃えてくるのがわかった。
あれだけ医者に責められ、尿道オナニーまでして、くたくたなはずなのに。
「ほらほら、こんなに大きくなってるよ」
彼らは散々、からかい、なぶってから、乳首のシリンダーを外した。
すぐには元に戻らず、長く伸びた乳首が赤く充血していた。
「ほらほら、次はこれだよ」
黒い大きなダブルクリップで、乳首をはさむ。
「うひぃー、いっつぅ」
拘束されてはないが、脳に突き刺さるような痛みにもだえながら、耐える。左右の乳首が、ガブリとクリップにかみ砕かれた。その激烈な痛みとともに、彼らがもう一つ、ダブルクリップを手にしているのを見て、次に襲う苦痛に脅えた。
「じゃあ、ここもだよ」
「あっ、そこは、そこは……」
もっとも敏感な部分。
剥き出しの神経。
長年、皮の下に隠れていた小粒の真珠でしかなく、激しく愛撫したことはほとんどなかった器官。亜由美自身、そこを剥き出して直接触ったことはなかった。
シリンダーが外されると、真っ赤になったクリットは男根のように屹立してる。
「ほら、いくよ」
黒い金属のクリップが口を開き、男の指が、熱を帯びた陰核を誘導する。
「だ、だめぇぇ」
亜由美は叫ぶが、体を動かしたりはしない。耐えるのだ。どこまでも、ひたすら……。
男が少しずつクリップを持つ指の力を緩めていく。
「痛いだろうねえ。耐えられるかなあ」
「あぐぅ」
押し潰される感触。ぷちんと音を立てて弾けてしまうのではないか。
だが、充血したその器官は金属にはさまれてもなお、ビクビクと脈打っていた。
「ほらほら、どうかな」
男が完全に指をはなしていた。
「いたぃぃぃ」
意識が遠くなる。
男が再び指に力を入れてクリップを開いた。
「あふぅ」
だが、指をいきなり離した。
「ぐひぃぃ!」
亜由美は体を大きくのけぞらせて、床に倒れた。
男たちが笑う。
「普通のオナニーじゃないんだからね。甘いよ」
身もだえする亜由美を抑え付けて、固くなった男性器を取り出した男が、口元に突き出す。
「しゃぶれ!」
痛みの中で、しゃぶらされる。
その間に、男たちは血を吸った巨大タンポンを引きずりだし、かわりに小さなスポンジタンポンを押し込んだ。
「いいぞ」
クリップをつけられたまま、四人に犯されていくのだ。
彼らは、商店街でオヤジたちがやっていた手際のよさを真似ていた。すでに会員にはそのときの映像が配信されていたのである。
喉の奥まで突き上げて苦しめたあと、性器を犯すのだが、そのときにクリップにはさまれたクリトリスは、激しい振動を受けて激痛をもたらす。
性器でも満足しない男は、アナルも犯す。
そのアナルを犯した男性器が再び、亜由美の口に押し込まれる。
男たちが、二度以上果てて、セックスに飽きたあとも、亜由美は解放されたわけではなかった。
三か所のクリップにヒモをつけて、鉄アレイをつながれ、それを引っ張って床の上を這いずり回ることを命じられた。
「で、できません」
「やれよ」
鞭跡のある尻を平手で叩かれる。
ゆっくり前進してみる。
三か所が限界まで伸びきる。このままでは、引きちぎれてしまう。そう思ったときに、わずかながらも鉄アレイが動いた。
動き出すと、苦痛は続くものの、歩くこともできた。フローリングだけならもっと楽に動かせたはずだが、ビニールを張っているため、抵抗が強いのである。
「ゆ、ゆるしてぇ」
「甘えるな!」
尻を容赦なく足で蹴られる。
「あぎぃ!」
その勢いで体が前のめりになり、ぐいっと強く鉄アレイを引っ張ってしまう。
「ちぎれちゃうぅ」
「大丈夫。ちぎれても、またくっつけてやるよ」
彼らは大声で笑う。演出ではない。本気なのではないか。会員の暴走を誰が止めるのだろう……。
亜由美は不安になった。
夜半に、剛介たちが食事を持って来るまで、四人は亜由美を責め続けた。
最後にクリップを外す前に乳首、クリットともに根本を細いヒモで縛りあげた。
「一晩、そうしておけよ」と言うのだ。
それを剛介たちも笑って了承した。
「いい絵が撮れたな」
最初からそのつもりだったのか。亜由美は限界を見越して仕組まれていたのだと理解した。
ゲームのシナリオでいけば、ソフトな恥辱、陵辱は、いまやハードな調教の前戯にすぎなくなっていた。
それも、今後、さらにハードになっていくに違いなかった。
その先は、シナリオ5「拷問」だ。その拷問までは、もうそれほど段階はないのではないか。
快楽のない苦痛ばかりの責めがいずれ全身をズタズタにしていくのだろう。
肉体をボロボロにした亜由美を待ち受けるのは、さらにおそろしいエンディングだ。
「明日は、講義があるんだから、そのぐらいにしておけよ」
剛介が言う。
まるで亜由美がそそのかしたかのように……。
背中に、新たな文字が刻まれた。「乳首・クリ拡大中」と。
羞恥講義
翌日、生理二日目で、その不快感と痛みは強くなるばかりだった。
亜由美は、早朝に起こされて風呂と浣腸を終えると、ようやく、乳首、クリットのヒモを解かれた。
明らかに伸びて腫れている。陰核は包皮の影に入らなくなっていた。
タンポンを入れ替える。
「覚えているか、あの教授」
剛介の言葉にも、亜由美はピンとこなかった。
「ほら。おまえが商店街でビール浣腸しながら歩いているときだよ」
いつのことか。遙か昔のように感じる。
「末土教授。あだ名はドSだな。本当にSかどうかはわからないが、容赦なく落とすってウワサだ。前にみたいに、ちゃんと講義のノートを取るんだよ。亜由美の大事な仕事なんだ。『亜由美の会』は本来、そのためにあるんだからね」
そうだった、とようやく思い出す。大学の講義など、いまとなってはどうでもいいように思える。
「講義のあとに話があるって言われたんだよね。教授の言うとおりにするんだ。いいね」
「はい」
「ただし、おれたち『亜由美の会』のことは、一切、しゃべっちゃだめだよ。あくまでも、自分で好きでやっているってことにしないとダメだからね」
「わかりました」
「じゃ、支度をしようか」
剛介は細い麻縄を手にしていた。それで乳房が突き出すように縛る。
「せっかく大きくなったから」と、乳首はあらためて細いヒモで縛られる。
「あ、そこは……」
「痛い?」
昨日の虐待で敏感であるはずの乳首に、ずっと鈍い痛みが残っていた。
「痛いです」
「そうかあ。じゃ、大変だね」
剛介はそう言いながら、ギュッと乳首を縛りあげた。
そしてクリットにも指を持っていく。
「そこだけは……」
「ダメなの? 拒否するの?」
「拒否ではありません」
「じゃあ、いいじゃん」
男の無骨な指で、皮から飛び出している腫れた陰核が、乱暴にいじられる。
「いっ……」
痛い、という言葉を亜由美は飲み込んだ。
ぷっくりと肥大させられ、そこにも細いヒモがかけられる。
「つらいです」
「泣き言?」
冷たい剛介の言葉に、亜由美は黙る。なにを言ってもムダなのだ。
一本の麻縄を腰に巻き、そこから股縄にする。そしてクリットを縛りあげたヒモを二本の股縄の間から引き出し、敏感な陰核が縄にはさまれるように固定した。
その上から、ホットパンツとTシャツを着せられる。
「鼻フックはゆるしてやるよ」
少し歩いただけで、乳首の先端はTシャツにこすれ、クリトリスは縄で擦られてしまう。
薄く化粧をする。口紅は薄い桜色で、校則の厳しい大学生のリップ程度。ファンデーションはしない。スキンクリームだけ。眉を整え、バサバサの髪をブラシでなんとか整える。
亜由美自身は見慣れた首輪だが、大多数の人から見れば、それだけで十分に異常だろう。
「ほら、歩いて」
「はい」
亜由美は、よちよちと歩き、マンションから学校まで行く。切なくて仕方がない。ときどき立ち止まって休まなくてはならなかった。
大学を一人で歩くのは久しぶりだった。会員たちもチラホラ歩いている。人気のないはずの早朝の講義だが、今日はこれまでよりは多いようだった。
明らかに会員たちが何人も混ざっていた。
彼らは講義に出ないでノートだけを買うために、「亜由美の会」に入ったはずだが、その彼らが亜由美を見たくて朝から講義に出ているのだ。
講義が終われば、またトイレで輪姦されるのだろうか。
亜由美は漠然と、そんな期待をしていた。この切なさは、どこかで激しく解消されない限り、満たされないだろう。
頭の中で、この数日に受けた痛みが亜由美なりに分類されていた。普通の痛み、きつい痛み、耐えられない痛み。
いまは常に「普通の痛み」を感じていた。鞭による傷はまだ治っていないし、股縄と乳首縛りは、快感ではなく苦痛だった。
これが長く続くと、いじいじとした感覚になっていき、もっと強い痛みが欲しくなってくる。
それが満たされたときに、最初のエクスタシーが得られる。ところが、快楽を得れば得るほど、さらに激しい苦痛が欲しくなってしまうのだ。
苦痛は、肉体的な痛みだけではない。恥辱、羞恥、汚辱など心を引き裂く痛みもある。
それらが重なることで、亜由美は狂ったような快楽に埋もれることができる。
それを身をもって知ってしまったのである。
講堂が変更になっていた。前回はこぢんまりとした部屋だったが、今回は大きな階段教室になっていた。
友だちだと思っていた女子学生たちは、こぞって、犬の首輪をした亜由美を無視した。
それだけではない。あからさまに軽蔑の目で威嚇しさえした。声をかけるどころか、近づくこともできない。
その苦痛が、また亜由美に小さな火を灯すのである。
「嫌われているんだわ」
バカにされ、蔑まされていると思うと、心がギュッと捻れていく。その苦痛もまた、快楽への序章となっていくのだ。
講堂に入ると、前回の二倍以上の学生がいた。
亜由美は目立たないように後方の隅の席に座った。彼女の周辺には不思議と、誰も座らなかった。
みんながなにを知っているのか、亜由美は知りたかったが、素知らぬ顔をしてノートを広げた。
学生である自分が、もはや信じられなかった。淫乱メス豚であり、性奴隷だ。数え切れないほどの回数、男たちを素肌で受け止めた。暴力も受けた。生傷だらけの体になっていた。
私はあなたたちとは違う。だけど、誰も知らない世界を知っている……。
思わず薄笑いが浮かんでしまう。
五分ほど遅れて、末土教授があらわれた。ざわつきが静まる。
「今日は盛況ですね」
かなり遠くから亜由美は教授を見た。よく覚えていないが、確かに商店街でも会った。五十代の男。髪には白いものがまじり、ヒゲも白っぽい。茶色のスーツに茶色いネクタイをしている。
「ゴールデンウィーク前だからですか?」
ピンマイクをつけていた。歩きながら講義をする。
「ぼくの講義は人気がないことで有名ですが、それは出欠を重視しないからでした。これは今後も変わりません。試験は持ち込みもありです。ただしノートだけですが……。おかげで、この中の誰かはノートを売って稼ぐこともできるでしょう」
笑い声が少しだけ起こる。
「ただ、今日から、このスタイルを大きく変えたいと思っています。ぼくは今日、ピンマイクをつけている。教室もここに変更しました。なぜだか、わかりますか?」
小男の末土は黒板の前をうろうろと歩く。
「もはや、ノートさえも取らなくていいことにします。そういうタイプの講義は終わりにしましょう。今回、たくさんの人が参加してくれて、ちょうどよかったです。今日来ていない人は、もうぼくから単位はもらえないんですからね」
あだ名通りのドS宣言をした末土教授は立ち止まり、学生たちを見渡した。
「この中で、カントを読んだ者は何人いるかな? イマヌエル・カントだよ、ドイツ人の。『純粋理性批判』ぐらいは読んでるよね。ミルはどうだろう。ジョン・スチュアート・ミルだ。イギリス人。『自由論』とか読んだかな? 何人かは読んでいるだろう。そういう前提で話すからね。読んでない人は来週までになんとかしないとついてこれないよ」
なにがはじまるのか、学生たちは固唾を呑んで見守っている。
「この講義は、自由とはなにか。道徳とはなにか。道徳に基づく社会的な規制とはなにか。社会的な規制と自由との関係はなにか。そういうことを考えてもらうことになる。その点はこれまでと変わりがない。さて、この中に、道徳を無視して生きている人はいるかな?」
密かな笑い声が起こる。
「道徳に二種類あることはわかっているね? 前回やったからね。日本では宗教の力が弱いから、宗教的な道徳はそれほど大きくはない。でも、みんな道徳を語るよね? または常識とか言うかな? 世間の常識だね。でも、それも道徳と接点があるね。経験主義としての道徳は、基本的に私たちの祖先が、生きていく上で守ったほうがいいと考えるもので、人為的に作られたものだ。一方、生得主義の道徳は、人間が人間である以上、動物ではないから、生まれながらに道徳を備えているという考えだ」
末土は、黒板に「経験主義、生得主義」と書いた。
「この中に、きっといると思うんだが……。どこにいるかなあ。亜由美さん。どこです? 亜由美さんですよ」
亜由美はびっくりしてしまった。自分の名が呼ばれていた。
「亜由美さんというよりも、亜由美と呼んだほうがいいですか? そして、五つ数えるうちに返事をしないと大変なことになるよ、と脅したほうがいいかな?」
頭が真っ白になっていた。
末土教授が自分のことを名指ししている。どういうことなのか。
剛介がこんなことまで仕掛けたはずはない。
三百人分の席がある教室は半分以上埋まっていた。
「一、二、三」と末土が数え始めた。


