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奴隷牧場 男根崇拝 · 第7部分

奴隷牧場 男根崇拝 第7部分 (7/8)
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旅の終わり、乗り継ぎの台湾の空港から羽田空港へ向かうジャンボジェット機の中で、完全に芽生えてしまった「恋心」を、美樹はそのひと言だけに集約する以外なかった。

それとて断られたらどうしよう、いやこの人は断るに違いないと、相当ドキドキしながら勇気を出して言ったのだった。

米倉は、仕事の名刺の裏に自宅の電話番号を書いて渡してくれた。

独身という話に、嘘はないようだった。美樹はそれからその名刺を肌身離さずと言っていいほど大切にしている。

美樹が米倉に電話をしたのは日本に帰ってきてから二ヶ月ほども経ってからだった。

それまで我慢に我慢を重ねたのだ。

その間、色々な思いが渦巻いた。

好きだ、こんなに好きになった初めてと言ってもいい男性だ。

だが、彼は自分のことを清純な女だと思っているかもしれない。

確かに、処女だが、つまり自分の女の部分には男の人のものを受け入れたことはないが、普通の処女のオンナとはだいぶわけが違っている。

いや、わけありなんだろうと指摘されたのだから、むしろ男など何人も知ってる百戦錬磨と思われているのか。

迷惑かもしれない、いや多分迷惑だろう。

でも好きになってしまった。

別に処女を捧げるなどという気持ちは微塵もない。元々が処女のまま肛門でイケる女にしてしまおうという、梅田組組長の意向のもとでこうなっただけの話で、それがそのままズルズル来ているだけだった。

だが、折角今まで「処女」だったのだ。どうせなら最初に自分の女の部分に受け入れる男になってほしい。

でも、迷惑だろう。

忙しいかもしれない、寝ているかもしれない。

様々な感情がより、美樹の彼への思いを掻き立てたかもしれない。

電話をする決意をした翌日に、エスタブリッシュメントグループ総帥の三田村会長と面談をすることになっていた。

既に何回か会ったことはあるが、ふたりきりで会長室で会うとなると、どんなことが起こるかわからなかった。その切迫感がついに美樹に勇気を与えてくれたのだった。

だが、美樹が米倉に実際に再会したのは、この年一九九五年一月の阪神大震災が起きた二週間程後の月末のことだ。

最初に電話をかけてからさらに三年以上もかかったことになる。

美樹は、結局米倉に電話をかけた翌日の三田村会長との面談で、倶楽部の女としてデビューすることを決意する。

君塚を介して三田村のところに世話になった時から、当然美樹の頭にあったことであった。

恋心と現実は別と割り切るしかない、既にそういう立場に美樹はいたのだった。

「君は好きな男がいるかい」

「はい」

三田村の問いに、迷うことなく米倉のことを思い浮かべて美樹は返事をした。

美樹の予測に反して、三田村の隣にはもうひとり若い女が座っていた。

「秘書の牧野君だ」

とだけ紹介された、日本人離れをした美貌のその女性を見て、年齢は自分より少し上くらいだろうかと美樹は思ったが、後で同じ年だと知る。

「それでもうちで、うちの倶楽部の女として働いてもいいというのかね」

「はい」

はっきりと三田村の目を見て美樹は頷いた。

話の展開によっては最初から言うつもりでいたのだが、若い女の視線に少し躊躇しつつ、「好きなひとというのは、君塚先生がこの前ボディガードにつけてくれた方です」

続けて告白してしまった。

「ん。あのふたりのうちのどちらかということか。えっ」

「えっ」

「あ、ああ。君と直接一緒に泊まったとかいう、うちの会計事務所の番頭君のことか」

美樹は頷いた。

「寝たのかね、いやセックスしたのかね」

美樹は首を横に振る。

「帰って来てからも君は」

そう、一度もこのホテルから出てはいない。このホテルの税務会計も米倉が勤めている事務所で見ていると聞いているが、ここには米倉ではなく所長の山浦税理士が直接来ているということは美樹も聞いていたし、当然三田村もわかっているだろう。

残念ながら一度も会ってはいない。

「そうか。まあそれはそれでよかろう。ではこれまで聞いている通り、処女であるというのは間違いないのだね」

「はい」

「ではちょっとそれを見せてもらおうか」

まるで医者が診察しているような口調で言われ、美樹は立ち上がってスカートの中に手を入れると素足に履いていたパンティを下ろし、テーブルに乗って、そのスカートも大きくたくし上げ、裸のお尻をついて膝を立て、手でその部分を拡げて会長に見せた。

梅田組では似たようなことを何度させられたかわからない。処女膜見せというポーズを取らせるのが梅田のお気に入りのひとつだったし、性欲処理をさせられている母親の前で、母親を犯している男に性器を見せるということもしたことがあった。太った女に赤ちゃんのおしっこポーズで抱きかかえられ、自分で性器を拡げてみせた。それを見ながら若い組員はすぐに母の性器に射精をしたのだった。

牧野と紹介された女が立ち上がり、後ろに回って来ると、美樹のセーターの裾を両手で掴んで胸の上までまくり上げる。

ノーブラの乳房が空気に触れて、それがゾクリとした快感を美樹にもたらした。

丸出しにされたふたつの乳房の上でセーターの裾を持つ、女の白い指先に塗られた赤いマニキュアが鮮やかだった。

このことはまあ儀式のようなもので、三田村が見たかったのは美樹の乳や性器ではなく、美樹の行動や覚悟なのだろうな、となんとなく思う。

「きれいなおっぱいね。乳首なんてピンク色で処女みたい」

だから処女なんだってば、と胸の内で呟いた瞬間に、セーターの裾を持っている右手の小指で、その乳首を軽くはじかれ、美樹の身体はピクンと露骨に反応してしまう。

若い女の浅いため息が美樹の耳を擽った。

その翌日から美樹は、ショーに出たり会員の相手をすることになったのだが、三田村の指示でひとつの条件が出された。

それは美樹を処女のままで使うこと、ということだった。

しかも、その部分を見ること見せることも禁じ、まるでポルノ映画の女優のように、「前貼り」というものをさせられることになった。もちろん美樹はポルノ映画を見たことがあったわけではないので、性器の穴から土手にかけてべったりとガムテープを貼られて男の前に出されること、その方法を前貼りと呼ぶのもその時に知ったことだ。

口と肛門だけの女。

女として既にその性感は充分に鍛えられている、敏感なクリトリスもガムテープの下になったため、そこを刺激してもらえることもなかった。

会員に厳重に禁止令が出されていたためで、この禁を破ることは同時に会員にとってはその資格を失い、のみならず何らかの社会的な痛手を負う可能性も覚悟しなければならなかったため、そのことはしっかりと守られ続けた。

そうして、米倉と再会することとなった日まで、美樹は「処女」のままだったのである。

「コート、脱ぎなよ」

電話では時々話をしていたが、三年半ぶりに会う大好きな男は、美樹の記憶の中の米倉隼人の印象よりもさらに大人の男性という感じになっていた。

横に大きくかぶりを振る。

「変な子だ、暑いだろうここの中」

最初の二年は本当に文字通りホテルの建物からただの一度も外に出なかった。別に怯えていたわけでもなんでもないのだが、美樹はその生活がとても気に入っていたのだ。

美樹の場合「客を取る」のは、特に上からの指示はなく、月に二回か三回、それも生理前の自分の欲求も高まる時だけに限定していた。何不自由なく暮らさせてくれている三田村会長に甘えすぎないため、という大義名分のもと自分の性欲、特に生理前になると男の人のそれに貫かれたくなる欲求を昇華しているだけだと、自分でもよくわかっていた。

アナルセックスじゃなくてもよかった。

それを口にして「生奉仕」することだけでも、自分の中の女の部分が生々しくなって皮が一枚めくれる感じ、それがひと月に一度はどうしても必要な気がしたのだ。

「髪、随分と切ったんだな」

米倉は畳んだ自分のコートを横に置くと、テーブルを挟んで座った。

シンガポールや香港でも、子会社の人たちと会う時には、スーツ姿だったが、あの時は少しグリーンがかった色のものを着ていた。今日はダークなグレーのスーツにピンク色のワイシャツ、そしてネクタイは独特の色使い、イタリアの有名なデザイナーのものを付けている。

「その節は、大変お世話になりました」

最初の言葉はあの時のお礼の言葉、と決めていた。

「ん。いやいや、あれから何度も香港もシンガポールもそしてマニラにも行ってるけれど、こんなかわいいお姫様をエスコートしながらなんて、あんな楽しい出張はなかったさ。それにうんとたくさんボーナスも頂いたからね。お礼を言わなければいけないのは、むしろこっちの方だよ」

米倉は真面目な顔をしてそう言った。

「ようやく会えて、嬉しいです」

二番目に言おうと決めていた言葉とは、違う言葉が自分の口から吐き出されたと気づくと同時に、両方の目から涙が溢れてくるのを止めることが出来なくなってしまった。

暖かい店内に入ってきてもその辛子色のコートを脱ぐ間もなく若い娘をいきなり泣かせてしまっているサラリーマン、注文を取りに来た店員が米倉にそういう目を注いでいることに気が付いたものの、美樹はややしばらく涙と小さな嗚咽を止めることができなかった。

「マンデリンとオレンジジュース」

米倉は美樹に聞くことなくオーダーしてくれた。シンガポールや香港のホテルでカフェに入るたび、そして部屋のモーニングサービスにとオレンジジュースをオーダーしていたのを覚えていてくれたのだろう。

飲み物がテーブルに運ばれて来て、ようやく美樹は言葉を発する。

「ハヤトくん」

美樹は、最近になって電話で彼を呼ぶ時の呼び方を変えていた。それまで米倉さんと呼んでいたのだが、仕事の続きみたいだし第一若い君にそう言われるとおじさん臭くて嫌だなあと彼のほうが言ったからだった。

それでも最初は冗談混じりで、そしてその呼び方に一番ドキドキしたのはほかならぬ美樹自身だった。それでも心のなかでは日に幾度も呼びかけているその名前は、思った以上に自然な響きで口から出た。

「お願いがあるんです」

今言わなければ、今日言わなければ、ひょっとしたらこの人とはもう二度と会えないかもしれない、そんな切羽詰まった感覚が美樹にはあった。三年半も待ったのだ。次の三年半はとても待てない。

隼人はまるでわかっているよとばかりに、コーヒーに口をつけながら優しい眼差しで頷く。

美樹は、ここで言おうとしていた言葉がまた変わってしまった。抱いて欲しいんです、と女の子らしく率直に言おうと本当は思っていたのだ。

だが、隼人のゆとりのある表情を見て、それに魅入られたように一歩踏み込んでしまった美樹だった。

「わたし、ちょっとMなんです」

言うと同時に、コートの前ボタンをパチンパチンと外していき、最後にそっと開いて見せる。角度的により自信のある「右のおっぱい」が見えるように。

ぷ、という表情になった米倉は、ゴクリと口にしていたコーヒーを喉を鳴らして飲み込んだ。

だが、その目が美樹の乳房を確認したことは確かだった。

美樹はすぐに他の人に気付かれぬよう、コートの合わせ目を閉じた。

「なので、恋人にして下さいとか、彼女になりたいとか望みませんから、それに今日、一回だけでもいいですから、抱いてくださいませんか」

米倉を見つめつづけることが出来なかったこともあり、心からのお願いの気持ちをこめて美樹は頭を下げた。

「いやいや、ここのコーヒーが少々ぬるくって助かったよ。しかし、川村常務から電話がかかってきて、君と会うようだがもし君が何か願い事をしたら是非叶えてやって欲しいって言われてはいたんだが…」

今日、美樹が米倉と会うのを知っていたのは、乃里子とその母の沙織だけだ。

そして沙織だけには、美樹の思い、そして今日美樹の口から言うかもしれないこのことを話してあった。

「川村さん…」

米倉がどんな顔で自分を見ているのか確認するのが怖くて、顔を下に向けたまま、聞きなれない名前を口にする。

「え。ああ、シンガポールで君も一緒にお昼も食べた社長さんだよ。今は本社の常務さんになって、東京のいくつかの子会社の社長も兼任している」

不思議そうに米倉が説明する。それはそうだろう、その米倉にとって昵懇であろう人が依頼して来たことを、その依頼の内容そのものの本人が「誰ですかそれ」と不思議そうに聞いたわけだから。

沙織は何処までその人に喋ったのだろう。

いや、米倉に予備知識がなかったところをみると、きっとその内容については、何も触れていないのだろう。

美樹は、米倉の反応が怖くて、半分パニックに近いような状況でそんな考えを頭の中でようやく巡らせる。

「じゃあ、行こうか。オレンジジュース飲むなら飲んでおしまい。あ、いやその前にまずそのボタンかけないとな」

言葉の真意がわからず美樹が顔をあげると、コートを手に立ち上がりかけている米倉のやっぱり優しい眼差しにぶつかった。

背の高い米倉が立ち上がってしまうと、座っている美樹からは見上げるばかりだ。

「行くよ」

抱いてもらえるのだ、その思いが美樹を幸せいっぱいの気持ちにした。

米倉の表情を見て確信した。

自らわざわざMだという告白をしたにも関わらず、隼人は落ち着き払っていた。

だが、この男もまた性的にはしっかりサディストであること、処女の美樹を結果的に調教してきた梅田組の組長梅田敏雄などよりもずっとずっと激しいS性を秘めているということを、そしてそのことがやがて自分と、そしてまわりの多くの人の運命も変える、美樹のこの告白が分岐点だったかもしれないということを、慌てて立ち上がるこの時の美樹に想像がつく筈もなかった。

「待って、ハヤトくん」

自分でも声が弾むのがわかる美樹だった。

「サディストさんかもしれません」

倶楽部の女として客の前に立っても、性器をガムテープで封鎖してそこを見ることも触ることも、もちろんそれ以上のことも出来ない、エスタブリッシュメント倶楽部に所属する女達の中では特殊な位置付けの女となっていた美樹には、ひとつ義務があった。

客には口と肛門だけ使えばいい、と言ってくれた三田村会長との間にだ。

自らの意思でそこに男を受け入れた場合は、それを報告することというものだ。

ことさら客に対しては「前は処女だ」と宣伝していたわけではないが、守るべきものがなくなれば報告するのは、当たり前だろうと美樹自身も思ってはいた。会長の庇護の元、自らの意思に反してという可能性は限りなく低くなっていたわけだが、処女がどうのこうのよりも、大好きな男に文字通り「抱いて」もらった時には、梅田組から隔離してくれたこと、その際に米倉に出会わせてくれたこと、そしてその時まで他の男にその部分を使わせずにおいてくれたこと、その全てで三田村会長、そして君塚に感謝をした。

そのふたりが目の前に座っている。

お茶を運んてきた、牧野リサという三田村の秘書もソファに座る。お茶を最初から四つ運んできたところをみると、元々そう言いつけられていたのだろう。

あの日から、三度米倉には抱いてもらっていた。

特に三度目には、米倉の部屋に招いてもらっている。米倉が十日間の東南アジア出張に出かける直前のことだ。

その間に、米倉がメッセージ機能付きのポケットベルを使用していることを知り、美樹も早速同じ会社の最新のものを契約していた。

初回の直後に、三田村会長には電話で直接そのことを報告していたが、震災後のことで色々と忙しいらしく、「後日、詳しい報告はまた聞こう。それまではこれまで通りにしておいていい。いや、倶楽部には全然出なくたって一向に構わないんだ」と言われていた。

初めて好きになった男とのことが叶ったことで幸福感でいっぱいの美樹には、会長のこの言葉はとてもありがたいものだった。

三月に入り、三田村との面談を一度セッティングしてもらったが、先鋭宗教集団が世間を騒がし、警察の強制捜査が噂される中、三田村にも所用が出来たのか一度キャンセルされている。

美樹が隼人の部屋に遊びに行った、その翌日にはさらに陰惨な事件が起きている。

強制捜査を恐れた宗教集団が、操作のかく乱を狙って地下鉄駅などにサリンという猛毒を撒いた事件だ。

延び延びになっていた面談が行われたのは、隼人が成田に戻って来たと連絡が来た翌日のことだった。

弁護士の君塚から昼頃に電話がかかってきて、「その後、米倉君とはどうだね」と問われたのだった。口ぶりから、彼が前日に帰国していることは知っているようだったので、次に会う約束があるのかどうかというのが、君塚の聞きたい趣旨のようだった。

「来週の週末の土日」が約束の日だった。

「ほう」

米倉がサディストかもしれない、そう美樹が言うと、ふたりの目が輝き、三田村コンツェルンの会長とその顧問弁護士は、お互いに顔を合わせて、意味深なアイコンタクトをした。

「どうして、そう思ったのですか」

秘書が言った。美しい顔立ちに似合った澄んだきれいな声だ。

「ええと」

少し言い淀んで、美樹は最初の日のことを思い出す。

「最初の日、部屋に入ると抱き締めてキスしておっぱい触ってくれたんですが、その後すぐに性器を検査するって言われて処女だって見破られてしまったんです」

自分が先にMだと告白したこと、その時にノーブラでコート一枚で会いに行っていたことは伏せて、普通の男ならば初めて抱く女にそんなことは絶対にしないだろうし、性器をちょっと見ただけで処女膜があることがわかるものなのか、と言った趣旨のことを付け加えた。

実際その時、コートの他はパンティ一枚しか脱ぐものがなかったというはしたない格好をしていたわけだし、そもそも自分からマゾだと告白したのだから、相手がそれに呼応して、そういう風にしてくれたのかもしれない。

ただ、美樹には確信のようなものがあった。

「セックスは」

また秘書の牧野リサが、それは自分の役割とばかりに問いかける。

「フェラチオはしたことあるか、ってお聞きになられて、はいともちろん答えると、まずはそれをたっぷりとさせられました。途中から大丈夫と思われたか、喉も突かれたりしましたし、そして処女だと知ったわりには、情け容赦のない動きをされたんです。アレかなり大きい方なのにです」

また、リサが口を開く。

「お尻は」

「お尻はしていません」

「その後も」

「はい、その後も一度もありません。口とあ…、おまんこだけです」

「スキンは」

「いえ、三回ともつけていません。初回の時にしなくて大丈夫と私が言いましたし、その後も…その後も一応安全な日を選んで…、それにお口に出していただいているので」

美樹とリサが会話をしている間、何度も三田村と君塚は頷きあっていた。

「次は来週の週末と言ったね」

君塚がようやく会話に加わってきた。

「はい。土日に横浜のホテルって言われてます。外泊させてもらいます」

三田村が美樹に頷く。

「で、脈はありそうなのか」

その三田村が問う。

「彼女みたいな立場になれているのか、なれる感じなのか、この際結婚して奥さんまで行けそうかって意味よ」

「い…いえそれはまだ」

美樹が米倉のことをサディストかもと思った理由はもうひとつあった。

彼女とかは居ないという話は本人から確認していたが、訪ねた部屋が出張などで忙しい三十歳のサラリーマンの男としてはあまりに整然としていた。そしてそのこともそうだが、何か女の匂いを感じるのだ。

愛してる女は居ない。が、愛玩している女は居るのではないか。恋人は居ないが、支配している例えば奴隷…奴隷は居るのではないか。その女が身の回りの世話もしているのではないのか。

女の勘だったが、当たらずとも遠からず、そんな気がする。

「そうか。では我々も全力でバックアップする。彼女でも、もしその男が本当にSならば願ってもない、奴隷にしてもらうんでもいい。出来れば、出来ればだ、彼を落として結婚まで行くのが理想的だよ」

言ったのは三田村だ。

君塚が言葉を重ねる。

「もし奴隷でも持っていようものならより好都合。いや、オンナが何人居ようと構いやしない。美樹ちゃん、君が彼のとりあえず一番になるように頑張るんだ。私も会長も実は彼にはこれまで一度も直接的には会ってない。途中から敢えてそうしてきたのだ。色々業務上の複雑な事情もある。だが我々も話を聞く限り、彼にはSの素質もあるのではないかと思ってはいた。いやそう希望していたというほうがいいかもしれんがね。そうだ、君の話を聞くと、君の勘は多分正しい、間違いない筈だ」

最後にひとつだけ聞くけどと前置きしてリサが口を開く。

「さっき大きかった、って言ったけど、実際どのくらいなの。彼のものは、男性のモチモノの大きさは」

この綺麗な女が何故そんなことを聞くのか、この時の美樹はまだ知らない。

「かなり大きいと思います。多分今まで見た中では一番大きいかも」

再び、三田村と君塚が目配せをした。

「あなたが今までしゃぶったり、お尻の穴で逝かせて来た人たちのモノよりも大きいと思うわけね」

美樹は頷く。

リサがお茶を啜った。屈んだ瞬間にブラウスの襟元の空間が大きく開き、白い乳房とその頂点にある二つの乳首までもが、くっきりと美樹の目に飛び込んできた。

一九九六年十月 ホテル四八〇五号室 君塚弁護士事務所別室「先生は九州のご出身でしたなあ」

弁護士の君塚が、差し向かいに席に着くなり言った。

新宿エスタブリッシュメントホテルの、いつもの君塚が使用しているスイートルームだ。この部屋で寝泊まりしていてるのか、単にオフィスのひとつとして使っているのか、詳しいことを山浦は知らなかったが、沙織を指名すると彼女との待ち合わせ場所には必ずこの部屋を指定されて、そして君塚も必ず在室していた。

山浦が沙織を指名できるのは、ふた月に一度ほどだが、今ではそれも倶楽部側の特別な配慮だとわかっている。他の会員は、一年に一度の予約すら難しいらしいのだ。

また、君塚とは仕事の様々な案件でクライアントを共有しているわけだから、そういった話もあるので、丁度いいと言えば丁度よかったわけだが。

「ええまあ」

「先生、ご自分のふるさとのために少しお力を貸されてみる気はございませんかな」

「はあ…と、おっしゃいますと」

「実は、次の参議院選挙といいましても、再来年なんですがね、ひとりうちでも懇意にしている代議士の地盤で空きが出るんですよ、引退すると表明したのもつい先ごろなんですがね」

確かに、自分の国許の古参参議院議員が年齢を理由に次期選挙には立たないと表明したばかりだ。

「衆議院の地盤は榎本さん…榎本代議士。まああの方は盤石なんでしょうな」

折しも衆議院も数日前に解散したばかりだ。

まもなく選挙戦に突入するだろうが、榎本があまりに強いため、いつも泡沫候補しか出てこない。しかしこのたびの選挙から制度が大きく変わって、小選挙区というものになったため、さて今回はどうなのだろうか。

「流石はよくご存知でらっしゃいますな。今回もたいした対立候補が出る予定もないようで、仰るとおり自分の心配は全くしていないと思いますね。ところで内緒ですが、その榎本先生も実は倶楽部の会員でしてね。なかなかのやり手らしくて…、まあそちらの方もという意味ですが。あの方もこれからやってくるプリンセスにご執心のひとりですよ。もっとも先生ほどには融通していませんのでね、せいぜい十ヶ月に一度位しか回ってこないらしくて、なんとかならんのかとやんやと言われとるようですが」

来年には学生になるという娘が居る女を、プリンセスと呼んでいいのかどうか、山浦は考えたが、でも確かにそう呼びたくなるのもわかるほど、沙織はますます美しく、裸になってからの淫らさとのギャップはさらに大きくなっていく気がする。美貌には磨きがかかり、マゾっぷりは深くなる一方なのだ。

「まあそんな話は兎も角として、その次の参議院で空きが出る予定のところに、是非山浦先生に立っていただきたいと、そういうことなんですが」

「でも確か秘書をしている息子さんがいらした筈でしたな」

「あれがまたひどいボンクラ息子でしてね。榎本先生からも地元後援会からも失格のでっかい烙印を押されてしまってるんですわ。じゃなければ、当然引退発表と同時に公表しているところです。離合集散を繰り返して、まあまた今年から一応総理大臣を自分のところから出せたものの、ガタガタしてますからなあ。今度の選挙も絶対安泰なんてのは、榎本先生はじめ僅かなもんなんじゃないでしょうかね。まあ、そんなんじゃなければ、ボンクラだろうと昼行灯だろうとなんだっていいんでしょうけどねぇ」

社会主義を標榜してきたかつての野党第一党の党首を総理大臣に迎えて、世間をあっと驚かせた連立政権で与党に返り咲いた民自党は、ようやく今年になって総理を自前で出すには至っているが、かつてのように盤石であるとは到底言い難いようだった。

「しかし、仕事もありますしなあ」

「わはは。随分若手が育って来てらっしゃるようじゃありませんか。三田村のところの社長たちなど、手放しで絶賛しておりますぞ」

「それはありがたいことです。ですが次となると、なにせご存知かどうかうちで番頭している、そうそういつだったやらこの部屋にいらした、なんて言ったかな、ええと美樹という娘さんでしたか。出張先にエスコートしてほしいと先生に依頼された男。あれがさっぱり後継者になるための資格試験を受ける気がなくてね。ほとほと困り果ててるんですわ。これからはコンピューターの時代だとか言って、すっかりそっちの方に走ってまして」

「ほう。先生はやはり彼に譲りたいわけですか」

何故か君塚の発する言葉のトーンが変わったように山浦には思えた。

「まあその下となるとまたかなり若いですしねー。彼より年上の資格者もいるのですが、どうしても見劣りする。どっちみち仮に誰か後継者に譲るにしても、顧問で給料貰う形になると思うわけですよ。そうするとやはり信頼おけるやつ、そうなると今のところ彼しか居ないんですなあ。子供でも居れば世襲するのがまあ普通なんですがねうちの業界も。よっぽどボンクラじゃない限り。いや、政治家さんと違ってそのよっぽどボンクラでもちゃんと世襲してますかな実際のところは」

わはは、と山浦は笑うが、何故か君塚はそれに呼応してはこなかった。

「お待たせして申し訳ありません」

沙織が部屋に入ってきた。このホテルは全体が最先端のカードキーシステムになっているが、沙織はこの君塚の部屋に入るためのカードも持っているようだ。

「では、この話是非前向きにご検討下さいますよう。我々も本気も本気ですので。是非ふるさとのためにひと肌もふた肌もお脱ぎ下さいよ」

今度は君塚も豪快に笑って、沙織にバトンタッチする。

「先生、あれ御存知ですか。経済新聞に連載されている」

「ああ、読んでるよ。いよいよ佳境だねぇ」

「出版されればベストセラー間違いなしと言われてますわね。まだ新聞連載だと読まれてない方のほうが大半でしょうけど、あの本が売れれば、世の中の女性の意識がまたひとつ変化するような気がいたしますわ」

部屋を移るとすぐに、沙織は山浦を立たせたまま上着を預かり、ワイシャツ姿のまま、ズボンそしてトランクスと脱がせていき、力をもたげかけている男根を口に含む。

「というのは」

「妻子のおられる男性との恋とかって、してはいけないものとされてきてましたけど、その意識が揺らぐというのか。思うんですけど、特にマゾの女にとって、独身でかつある程度経験豊富なサディスト様をみつけるのって、相当難しいと思うんですよね」

言葉を発する時は、すかさず手を先端から中程までゆるりゆるりと上下させるなど、片時もそこを遊ばせる時はない。

「先生のように独身のS様っていうのは滅多にいらっしゃらないんですよ。二十代前半とかの若いお嬢さんとかなら別なのかもですけど、こちらが二二十代前半とか三十代になって、二二十代の男性って、恋人ならばともかく、こういう関係だとなかなか難しいじゃないですか。年下の男に跪いてみたいっていうのなくはないかもですけど、それとは、トータルするとちょっと違うと思いますし」

全国紙の経済新聞紙に、大胆な性描写の入った連載小説が掲載され、とかく話題になっているのだった。山浦自身もこういった「話の種」にもなることなので、取り敢えず目は通していた。物語はそろそろ佳境を迎えようとしているところだ。

「どうしたって、いい男ほどいえいいS様ほど三十代前半までには結婚されてしまいますので。でも、実際のハードルが本当に下がるのかどうかはわかりませんけど、女性の側の心理的障壁が低くなるのは、世の殿方たちには良いことなのではないでしょうか。どのみち、男性の側にはそれほど、奥さん以外の方とするのがイケないという意識は薄いわけですし」

そういうと、再び口の中に男根を含む。その時には既に充分な硬度に育っていたため、そこからは無言で、いつものように持てるテクニックを惜しみなく投入してくる沙織だ。

まあ沙織の言うのも一理あるやもしれぬが、沙織とて相手をしている独身じゃない男がここの倶楽部の会員だけだとすると、それもまたかなり偏ったデータだといわねばなるまい。

「先生、実は私、来年結婚することになったんです」

いつもよりさらに濃厚に時間をかけて、手を使いながらの長い時間の玉舐めや尻舐めまで駆使した沙織が、最後はディープスロートで山浦を発射させ、それを飲み込んだ次の瞬間に言った。

「えっ」

山浦は絶句する。絶句するしかなかった。

「あ。でもこの仕事全然辞めませんよ。むしろ毎日お客様取るかもしれません」

立ち上がった沙織は、まだ濃緑色の光沢のある生地のワンピースというよりはドレスに近いようなデザインの洋服を着たままで、様々な体勢で奉仕をした割には、その服装がほとんど乱れていないことに山浦は改めて気が付く。

その服の左の肩は生地で覆われていたが、右側は腋のところまでしかなく、右肩は完全に露出していた。

どんな格好をしていても、エレガントな女だ。

パジャマとか、Tシャツ一枚なんてのでもその根本的な印象は変わらないのではないか。

沙織は右手を左の肩に持って行くと肩の後ろ側のボタンをひとつふたつと外した。

ストンとドレスが足元に突然落ちる。その服の下は完全な裸だった。

そしてその乳房や腰回りには、生々しい鞭の痕が残されていた。

最初の頃と違い、僅かに痕を残した身体の時もこれまで何度かあった沙織だが、これ程までに強烈な責めを彷彿させる痕跡は初めてだった。

「もしそうなったら、先生も毎月、いえよかったら毎週でもご指名くださいませね」

一九九六年十月 梅田「安西組」筆頭若頭補佐私邸「メークドラマ完成じゃ、おい。ウチにとってもドラマチックレインじゃぁ。金が天から降ってくるぞー。賭け事の払いはキャッシュ、それも即払いが相場、明日億単位の札束が本部に届くからな。当然お前が行ってちゃんと監督しといてくれ。で、誰かしっかりしたもんふたりほど、そのうち片手だけでええからこっちへ届けてくれ」

関西の本部から電話をかけてきた梅田の興奮ぶりといったら、過去にないものだった。

数日前からこの調子で、美絵はいささかうんざりしていたが、今夜がその最高潮というわけだ。

「そうじゃ、ついでに葵依も一緒に寄越せ。ご祝儀上納金を人気絶頂ムスメに届けさせて一歩前進じゃあ」

シーズンの前半低迷したプロ野球の老舗球団が、前代未聞の逆転劇で優勝を成し遂げ、その昔の名プレイヤーでその頃から和製英語を連発していたチームの監督が、選手を奮起させようと発したのが「メイクドラマ」という言葉のようだ。

その「ドラマ」が完成間近と、数日前からテレビのニュースなどで何度も繰り返されるので、野球など全く興味のない美絵でも知っていた。

大学野球で始めた野球賭博を梅田はプロ野球にも手を拡げていた。

胴元だけにしておけ、という美絵の助言などやはり耳に入らないようで、自分でも賭けているというわけだ。所詮、賭け事など確実に儲かるのは胴元だけだと言って聞く相手ではないのだ。

「急に言われても、葵依は予定詰まってますよ。純子じゃ駄目なんですか」

「バカ言え。トウが立ちすぎておろうが」

大事な稼ぎ頭をそんなに簡単に動かせる筈もない。

「親分をウチにご招待して、自慢のソープ部屋でご接待申し上げればいいじゃありませんか。それなら日程さえ調整すれば葵依を使えますよ」

プロダクションの社長としては至極真っ当な意見だろうさ、と美絵は思う。

「うるせー、そんなことが出来たらとうにやっとるわい」

上機嫌だったのはどこへやら、ガチャリと電話は切られた。

葵依と純子で出したヘアヌード写真集を大当たりさせてからこっち、梅田組は運に恵まれ続けていた。流石にバラエティ番組などに進出した演歌歌手川越純子こそ飽きられはじめてもいたが、葵依の地位は盤石だった。

ヌード写真を公開したことで、大人の女優としても認められ、役にも演技にも幅は大きく広がって、今では仕事は選び放題という状況だ。

美絵は、この戦略を立てた榎本佐和子という女を改めて見なおしていた。

仕事をしているとわかるが、実際にこの業界内では知らぬものはなく、今だに話題に上るのだ。

業界の中では、失踪した前社長の中澤の居るフィリピンに渡っているのだろうと言われている。社長とマネージャー、マネージャーとタレント、時には社長とタレントが男と女の関係であるなど、業界ではよくある話なのだ。

失踪している中澤と佐和子もそういう関係だったのではないかというわけだ。

一方で、目隠しはされてはいたが、彼女を知るものが見ればまず間違いないだろうとわかる強烈なSMアダルトビデオに主演させられていたのが、足抜けの落とし前だろうと当時密かに噂もされたが、もちろん表立ってそんなことを口にする人間は居なかった。

ましてや、ひょっとしたら殺されているのではないか。

そんな噂は、葵依という人気女優が居る以上、アプリコットプロダクションに対してタブー中のタブーだったからだ。

前の年の阪神大震災の直後から、夫の梅田は本部の若頭補佐という役職に抜擢され、月の大半を関西の本部に詰めていた。

梅田組自体は、二代目梅田組と名前を変え、梅田の下で若頭を務めていた伊勢という今年四十になる男が継いでいる。ただそれも、復興需要を指揮するために、やはり大勢の子分たちを関西に新たに設けた支部事務所に派遣しており、芸能プロダクション中心になった「本部」は組の金庫番を兼ねる先代組長夫人で、上部団体の安西組若頭補佐夫人となった美絵が束ねているという状況だ。

「あれでちんちんも大きければ、いやせめて普通ならねー」

服を脱ぎながら美絵がつい声に出して呟いたのは、新しい組長の伊勢のことだった。

如才もなく、それより何よりもキレ者であった。

梅田は、はっきり言って自分という支えがあって、ここまで来た男なのだが、伊勢はこれからのヤクザとして相応しい経済的な感覚もあれば勉強もしっかりしている。

自分の力だけで、ここまでのし上がってきた男で、当然美絵も一度は夜伽をさせているが、そこだけが残念な男なのだった。

「あるじ様。おちんぽ様いただかせていただきます、失礼いたします」

言葉を発したのは他ならぬ美絵で、主と呼ばれたのは葵依の弟で今は純子のマネージャーを務めている川越そらだった。

事務所の社長である自分が、一社員でそれまで散々と君臨してきた男の子に、立場を逆転して仕える。ある時始めたそんな遊びに美絵はすっかりとハマってしまっていた。

下克上。

と言っても、それを仕掛けたのは自分で、自分の命令でそらがご主人様「あるじ様」という役回りを演じている。

いやそらだけではない。

そのそらには姉の葵依を君臨させていた。ただしその葵依には自分が上に立って、様々な命令をすることもある。

葵依たちの叔母の純子と、母親の瑠美子は敢えて自分と同列にしていた。

ただしこの部屋の中、部屋というよりも巨大な浴室なのだが、この中でだけ成立する特別な関係、美絵の倒錯した性欲が生み出した新たなゲームのようなものだった。

勿論、純子や瑠美子のように若い組員たちの性欲処理専用の穴に自分がなるわけにはいかない。

無類のソープランド好きの梅田が特別に作らせた私邸の中にある高級ソープ部屋に居る時だけ奴隷になり、既に組所有の奴隷そのものである純子や瑠美子と同列に堕ちて遊ぶというわけだ。

それまで自分がマゾだなどと考えたこともなかった美絵だが、いざその立場になってみると、その倒錯感は陶酔そのものに変わった。

そもそも美絵以外の四人は、純子と瑠美子の関係を除けば血の繋がった家族関係だ。

純子と瑠美子とて、学園一年生からの親友と聞いているし、兄の元妻で夫婦が別れていなければ義姉義妹という関係でもある。その倒錯して爛れた関係の中にこの二人の女よりもひとつ年上なだけとはいえ、最年長の自分が奴隷となって入って、最年少で唯一の男、そらに仕える。

こんな倒錯的なことを出来るのは、自分が全体の真の支配者だからで、その思いが美絵をまた燃え上がらせる。

このところの不満は、やはり女が四人も居るのに、男はそらひとり。男根が一本しかないことであった。

梅田に替わってこの中に入るべき立場を獲得していると思えるのは、二代目組長の伊勢だったが、これが到底お仕えしたくなるようなちんぽではなかった。やはり、お仕えしたいおちんぽ様男根様であることが、この場合何よりも重要だった。

二代目組長が駄目と考えた場合に、次に美絵がこの中に呼びたいと考えているのが、その組長夫人のレイコだった。組内の組長以外の男性に、おふざけに過ぎないとはいえ、自分のこんな姿を見せるわけにはまだいかない。

だが、夫がトップの座を掴んだことによって、相対的に地位が向上しているレイコであれば、その価値は十分にある。自分も奴隷としてここでは純子や瑠美子と同列ということになっているわけだが、レイコを例えば瑠美子の奴隷にするのもいいだろう。

ただ、それではちんぽの数という問題は解決しないどころか、ますます女が増えてしまうわけで、それを考えてまだレイコを入れてはいなかった。

そうなると葵依を使ってタレントの男の子でも取り込むか。

それはとても魅力的に思えたが、今のところまだ実現していない。

後ろ手に両手を括られているため、口だけでそらの男根に奉仕をする。

散々舐めねぶった後で、巨大になったそれを思い切って喉奥深くまで咥え込んで、小さなストロークで自らの喉に先端をごんごん当てる。うえっとなりそうになるのも、奴隷らしい奉仕で脳が灼けるような悦びだった。

「ほらもっと、ちゃんと頭上下させておちんぽ愉しませなさい」

そう言って、後ろに立った葵依が美絵の髪の毛を鷲掴みにして、さらに大きなストロークで無理矢理上下させる。

今日はそら様だけではなく葵依様にもお仕えするという設定で、葵依様は早く弟を射精させて、美絵に自分も性器舐め奉仕をさせたいと思っているか、またはある程度美絵に男根奉仕をさせた後で弟に跨るつもりかもしれない。

そら様のおちんぽでオマンコしながら、美絵に肛門舐めをさせて嬌声をあげるのも葵依様が大好きなプレイのひとつだ。

「純子さんとママももっと熱烈にキスしなさいよ。おっぱいももっと揉んで乳首も摘みあいなさい」

葵依は、純子と瑠美子にレズを命じていた。

今日は葵依様がここでの絶対権力者だからどんな命令でもし放題だ。

「そら、だからってあんた、この女の口になんか出したら承知しないよ。縮んだおちんぽに電極付けて電気流してやるからね」

葵依とそらの関係は普遍で、普段は姉として、仕事の時は我儘なタレントと鼻で使われる事務所の一マネージャーの関係で、そしてこの部屋では支配者と奴隷の関係で、明確な上下関係が作り上げられている。

そんな弱っちい男に、自分は跪いて奉仕をするのだ。

立場はどうであれ。男根様がおちんぽ様が立派だから。おちんぽ様の奴隷としておちんぽ様に支配されるのだ。その思いがまた強い陶酔を呼んで、美絵を奉仕に没頭させる。

ドンドンドン。

ドアが激しくノックされた。

状況として一番動きやすい葵依が応対に動いて、僅かの時間で戻ってくる。

「社長、ミサキさんでした。おとうさんからの伝言だそうです」

素早く一所属タレントという立場に戻った葵依が、美絵に告げるがその間も奴隷として男根奉仕を続けていた美絵は、すぐにはその立ち位置に戻れない。

「明日、大阪に人を寄越す際、純子さんでいいので、やっぱり一緒に出して下さいとのことです」

キスをしながら瑠美子と乳房を揉み合っていた、純子がピクリとする。

「向こうの大親分さんのご指名だそうですよ」

美絵と純子の双方を見ながら、葵依が言った。

一九九七年六月 ホテル会長室

美樹が三田村会長と秘書の牧野リサの前で裸になるのは、これで二回目だ。三田村とリサはソファ、美樹は一段高いガラス面のテーブルの上だ。

美樹は、幸福の絶頂と自らの身の程という思いの狭間に居た。

「ちょっとおっぱい大きくなったかしら」

リサの目は、女がマネキンが着ている服を見ている時のような感じで、頭のてっぺんから足の爪先まで、舐めるような視線で美樹の身体をチェックしていた。このリサというエキゾチックな美人の冷たい視線は、服を着ている時でさえ、美樹の身体の芯をゾクゾクとさせる。一方で三田村会長の目は、顔と乳房の上半身だけを往復していた。

三田村と目が合って、美樹は咄嗟に手を頭の後ろで組んだ。昨日の夜沙織から、「会長の前で身体を見ていただく時は、何も言われなくても常に手は頭の後ろに組むのよ」と言われたのを思い出したからだ。

「剃ってないのね」

立ち上がったリサが最初に右手で陰毛を、その感触を確かめるように触り、そのまま股間に潜り込ませてきた。

リサの指先はクリトリスを確認した後、そのままさらに下に降りていき、穴の位置を確認したところで容赦なく突き込まれてくる。すぐに二本目も侵入してきた。

美樹の方も、そっと少しだけ脚を開いて協力する。

「あ…あん」

リサが指先を曲げたり回すような動作をして、内部を確認した後、ゆっくりと抜いてそれを美樹の口元へ持ってくる。当然のように美樹は口を開くと、リサは二本の指を縦位置に上の歯と下の歯に当て、口を最大まで開くように指先で命じてきた。

「いい濡らしっぷりね」

大きく開けた口の中で、その二本の指を今度はくっつけて、指の腹そして裏の爪側と舌になすりつけるように、美樹の愛液を舐め取らせる。

自分よりは随分大人びて見える、今では同じ二十五歳とわかっているこのクォーターの女は、しかしその立ち位置は美樹の反対で、完全に隣に居る三田村の名代として振舞っていた。

「後ろ向きなさい」

手を頭の後ろで組んだままで回れ右をする。

誰も座っていないソファの後ろに設置されている大きな鏡に、自分の身体が映し出される。ダークグリーンのスーツを着たリサが、再び品定めの目で上から下までそしてまた途中まで上がってきてお尻の位置で止まる。

美樹は目を閉じた。

「お尻の穴、会長にお見せして」

この指示があるであろうことも、その場合のポーズも昨日沙織から教わっていた。

素直に脚を開き上半身を前に倒して、手をお尻に持って行き尻たぼをくつろげる。沙織には話さなかったが、美樹はこのポーズを最近ではよく米倉の前でさせられていた。

米倉は、案の定サディストだった。

美樹以上にそのことを聞いて喜んだのが、後ろに居る三田村会長とそして直接報告をした君塚弁護士だった。

米倉は美樹にこのポーズをさせることを好み、しかも十五分でも二十分でも自分はビールを飲みながら続けさせた。

「拡げ方が足りない」

と、よく叱られるため、ここでそのようなことのないよう、美樹はお尻を拡げる指先に初めから力を込めた。二十三歳まで処女だった前の穴とは違い、事情があったこととはいえ肛門は二十一歳から梅田組の組長に使用されていた。

仕組まれた逃走劇の後、こちらにお世話になってからは、倶楽部の会員たちにも提供している。

性器にガムテープを貼る「前貼り」をしての肛門奉仕では、会員相互で何らかの情報を共有していたのか、肛門を使用する客は、判で押したように騎乗位で美樹自身に男根をそこに迎えさせるのが、いくら使われ慣れている穴とはいえ、辛かった。

「全然、綺麗ですね。それ、穴の周りとかは剃ってるの、おまんこやお尻の」

「い…いえ。最初からほとんど生えなくて」

元々陰毛自体がさほど濃い方ではなかった。

「はい、前向いていいわよ」

身体を起こして、回れ右をするとまた三田村と目が合い、慌てて両手を後頭部に持っていく。

「結婚おめでとう」

三田村が初めて口を開いた。

美樹は、満願成就して来週、六月の最後の日曜日、大安の日に米倉隼人と結婚して披露宴をすることになっていた。

米倉のお嫁さんになれる、しかも憧れのジューン・ブライドだ。

幸せ一杯の美樹だった。

ただ、その米倉は部下二人を連れて今は香港に行っていた。

この年の七月一日を持って、香港がイギリスから中国に返還される。返還されるにあたっては、資本主義制度と生活様式は五十年間変えないと中国政府は明言しているが、実際のところなってみないとわからないところ多々だからな、というのが米倉から聞いた話で大方の人も同じような見解だろうとのことだ。

三田村の会社の本部からも、随分と人が行っているらしい。米倉がどのような形でその三田村の香港の会社に関わっているのか詳しいことは全然知らなかったが、コンピューターのシステムなども米倉の仕事になっているようで、どちらかというとその絡みで現地に詰めているようだ。

そのため、結婚式の前日に一度香港から戻り、翌日すぐにまた香港に帰るらしい。香港の空港は引っ越して新しくなったし、この往復はファーストクラスのチケットを買ってもらったしと、結婚式よりもそちらの方が嬉しそうなのが癪に触るが、それも全て三田村と君塚が配慮して子会社に指示したためだと美樹は知っていた。

「新郎君にそんな大金を渡す術がこちら側にないので、支度金というのか持参金というのかわからんが、君の名義の口座を用意して、三千万振り込んである。で、私も君塚先生も一応君の親戚として末席のテーブルにこっそり座ることにしている。席次表で望月太郎、望月三郎となっているのが我々だ」

三田村はその名前が可笑しいのか、苦笑いをした。

「ありがとうございます」

三田村は、それとは別に祝い金として、米倉隼人が仕事で関係している子会社からは全て二十万、そうじゃないところも十万ずつ、本社からは百万包むように指示しているとも告げた。その合計がいくらになるのかは美樹もわからなかったが、それとて自分たちにとってはかなりの大金だろう。

式の会場となるエスタブリッシュメントホテルの使用料も、子会社だからと言って取らない。写真撮って宣伝用のポスターに使うからとかなんとか言って、米倉を納得させたようだ。

奴隷牧場 男根崇拝 第7部分 (7/8)
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