兄嫁は二十八歳 第三章 香わしき淫臭 ~ 第四章 狂おしき媚肉 (2/5)
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第三章 香わしき淫臭
翌朝、大樹が起きだしたのに合わせるように、朝風呂を浴びた志津江と美登利が部屋に入ってきた。時刻は八時になろうとしている。
「おはよう。八時半にお食事よ」
美登利の素顔を見るのは初めてだった。光を放つようなきめ細かい肌は、織りたての絹布のように美しかった。
男性ホルモンをたっぷり吸収したからかも……。
大樹はそんなことを考え、わけもなく顔を赤らめた。
「兄さんは?」
「まだ寝てるわ」
やはりセックスでは女のほうが強いのか。大樹は、昨夜の行為で精魂つきはてた兄の表情が脳裏に浮かび、あわれに思いつつも、嫉妬した。
軽く顔に化粧水を叩きながら、志津江が口を挟んだ。
「疲れてるのよ。仕事づくめなんだもの」
大樹は、母はすべてを承知したうえで弁解しているのではないか、と思った。部屋を二つとると言いだしたのは志津江である。何もかも見抜いているに違いない母の背中を見ながら、大樹は大人の分別をつくづく思い知らされたような気がした。
「美登利さん、このままでいましょうよ」
「ええ、出かけるまでこの格好でのんびりしていたいですわ」
二人が旅館から出された浴衣のことを話している間に、大樹は兄の部屋をのぞいた。そこには特別な匂いがこもっていた。いってみれば、性的な匂いにほかならなかった。
克也は軽いいびきをかいている。大樹は部屋のなかを見まわした。セックスの痕跡が何か残っていないか。あいにくきちんと整頓されている。
そのとき、背後に人の気配がした。振り向くと、美登利が足音を忍ばせて入ってきた。
「まだ眠ってる?……ギリギリまで寝かせておきましょうよ」
「そうだね。よっぽど疲れてるんだ」
大樹は、ある意図をこめて、さりげなく言った。
「そうねえ。帰国する直前までお仕事ですもの」
義弟のあてこすりに気づいたふうもなく、美登利は一足先に出ていった。
ゆらめく腰まわりを見ながら、大樹は勃起した。女の強さを思い知らされたような気がする。忍だって、不満があればどぎついことを平気で言う。男が女を凌駕することは困難なのではないか。
大樹はトイレに入ると、奮い立つペニスをしみじみ眺めた。
苦労するんだよなあ。お前のために……。
右手を添えて何度か往復させる。ペニスはすぐに、呆気なく爆発した。
部屋に戻ると、食事が運びこまれている最中だった。志津江が電話をかけて兄を起こしている。
「早く起きなさい。食事が来たわよ」
五分もしないうちに、よれよれ頭の克也がやって来た。昨夜の姿が嘘のように、元気がない。
「ひどい格好ね」
美登利がすぐ横に座って、甲斐がいしく世話を焼いている。それを見ながら、夫婦はいいもんだなと大樹は思い、二人が全裸で絡み合う昨夜の情景を思い浮かべて、軽い嫉妬の感情を抱いた。
志津江は二人を見るような見ないような不明瞭な態度で箸を運んでいる。
そのとき、電話のベルがけたたましく鳴った。美登利が電話に出て、すぐ克也に代わった。
「……まさか」
克也の声が変調した。全員が、何事かと克也のほうを見た。
すぐに電話を切った克也は、間に合う飛行機で東京に戻るという。
「部長が交通事故で亡くなったんだ。とにかく戻らなきゃ」
協議の結果、克也だけが帰京することにした。
「こうなった以上、仕方がないよ。みんなは、ぼくの分まで楽しんでおいで」
「でも、不謹慎じゃない?」
志津江と美登利はうなずき合って顔を見合わせたが、克也は、「家族と会社は関係ないから」と取り合わなかった。
克也を女満別空港へ見送りに行くことになり、みんなもチャーターしたタクシーに同乗した。帰りに網走へ寄ろうというわけだ。
キャンセルを待つこともなく、克也は機上の人となった。見送った三人は、網走へ向かった。
北の果ての町は静かだった。だが海岸沿いの市場へ行くと、どこから人が集まったのか、人、人、人の波である。
志津江と美登利が、それぞれ世話になった人たちに新鮮なカニや魚を送る手配を決めてから、刑務所跡へ向かった。
敷地は広いが、見学に訪れている人は意外に少ない。
大樹は兄嫁と一緒にいることで、身も心も浮きうきと弾んでいた。
正門前で囚人服を着て記念写真を撮り、それをすぐにテレフォンカードにしてもらった。志津江も美登利も楽しそうに笑っている。克也の会社の部長の死を、三人はいつのまにか忘れていた。
せっかくここまで来たのだからと、三人は新鮮なネタを使う鮨屋に入ることにした。しかし、なにしろ初めての土地なので勝手がわからない。商店街で小物を買ったついでに、志津江が店の人に尋ねると、商店街の路地を入ったところの『中ずし』が美味しいと推奨してくれた。三人は一時を少しまわった時間にその店を探し当てて、のれんをくぐった。
大きな店だった。客は簡易畳を敷いた座敷に二人しかいない。主人らしい男のいるカウンターに座った三人は、初めての店の独特の雰囲気に気押されながら、鮨をそれぞれ勝手に注文した。
「うわぁ……美味しいわ」
食べることに目のない志津江が、ミル貝を頬張った途端、遠慮のない大声をあげた。三十代と思われる主人の目もとに、人なつこい笑みが浮かんだ。
三人は、それこそ競うように食べまくった。東京では絶対に味わえない魚貝類は、またたくまに三人の胃袋を満たした。
軽口は叩かないものの、主人の話しぶりには人のよさと誠意が感じられた。
「夕方まで店を閉めますが、よかったら釣りに行きませんか? 大きいのが面白いように釣れますよ」
主人は三人を誘いたいようだったが、克也からの連絡があるので丁重に断って、三人はサロマ湖へ車を走らせた。
ほとんど人と出会うことがない。雄大な景観に三人は旅情を満喫した。
克也が電話をするという六時半ぎりぎりに、三人は旅館に戻った。浴衣に着替えて一息ついた頃、克也から電話がかかった。
対向車線から飛びだしてきた大型トレーラーに巻きこまれて、部長の乗ったハイヤーが大破したのだという。
「母さんだって久しぶりの旅なんだから、スケジュール通り、のんびりしてきなさいよ」
「そうね。私たち、どうしようもないものね」
三人はそれぞれ電話口に出て、克也のいない残念さを訴えてから電話を切った。
夕食には北海道のワインが出た。志津江はよくしゃべり、よく食べた。
大樹は美登利とワインを飲んだ。二人で今までに、これほど打ち解けて話し合ったことはないような気がした。それは美登利も感じているふうであった。
食事が終わると、三人はショウを上演しているクラブに出かけた。クラブといっても、同じ建物のなかにあるから気楽な格好で行ける。
志津江はさすがに疲れたのか、何度かウトウトしたものの、外人女性のショウがはじまると、眠るようなことはなかった。圧倒的なボディを誇る女性チームの踊りは、観客の目を充分に楽しませた。今にも見えそうなハイレグが、若い大樹を大いに刺激した。
外人女の体に美登利の裸身が重なった。乳房や腰など、女らしい部分が強調された外人女性の体も悪くはないが、美登利のような体形が大樹には性に合っていた。従来の日本女性のような、胴長で貧弱な体形から脱皮して、欧米人に近づきつつある柔軟なプロポーション--それが美登利であった。
ショウが終わると、志津江がまたウトウトしはじめた。大樹は思いきって、美登利を踊りに誘った。大して広くないフロアに、十組ほどのカップルが踊っている。
美登利の体は、大樹のてのひらにピタリとフィットした。腰の上の肉のうねりが、ターンしたりシャッセをすると、もろに伝わってくる。
途中で大樹の肉体に異変が起こった。ペニスが一気に頭をもたげたのである。酔った勢いで、大樹はそれを放置した。
美登利の腰がスーッと後退した。大樹は反射的に押しつけて、兄嫁の腰へまわした手に力をこめた。
耳もとで、美登利の呼吸がせわしなくなった。大樹はそのまま曲が終わるまで踊った。
「お母様が、ほら……」
テーブルのほうを見ると、志津江が手招きしている。
「もう駄目。死にそうに眠いの」
「じゃあ、ぼくたち、もう少し踊ってるよ」
美登利が何か言う前に、大樹は機先を制した。
「そうね。そうしなさい」
志津江の言葉に、美登利の開きかけていた口もとが閉じてしまった。
志津江が去った頃から、クラブの雰囲気は、徐々に艶めいたものになっていった。多くが夫婦か恋人同士であろう。小さな編成のバンド演奏にのって、満足そうに踊っている。
「美登利さん、もう少し飲もうよ」
「でも、私は……」
「兄貴が楽しめと言ったじゃないか」
そう言って大樹は、甘いカクテルを注文した。
「乾盃」
ともかく飲めばよかった。理性などはこの際、捨ててしまうに限ると思った。兄の突然の帰京は、千載一遇の機会を与えてくれたような気がした。
どうかするというのではない。美しい兄嫁と二人きりでいられるだけで大樹は大満足だった。
「さあ、踊ろうよ」
美登利の手をとって立ちあがると、足もとがふらついた。
「あらあら、大丈夫?」
そう言って支えた美登利の足もとも、大樹と同じように不安定だった。
時間が遅くなるにつれて、バンドはムーディな音楽だけを演奏した。踊るカップルのなかには、しっかり抱き合ったまま一カ所にとどまって、動かない者もいた。
大樹は前よりも体をピタリと密着させて、美登利をリードした。
兄嫁のふくよかな恥丘の盛りあがりを、はっきりと感じた。すでに硬くなった一物をその中心に擦りつけても、さっきのように美登利は腰を引いたりしない。そのままチークダンスに移行して、一カ所に固定すると、美登利の体は急に力が抜けたように、頼りなくなった。
大樹は、暴発してしまうかもしれないと思った。ペニスはちょっとした刺激にも耐えられそうもないほど膨張しきっている。
美登利はそれを、はっきりと感じとっていた。しかし今、自分がそのことに気づいて軽蔑するような態度をとったら大樹が傷ついてしまうことを恐れた。
といって、知らぬふりを通すにはあまりにも事態が切迫していた。心のなかの葛藤と闘った末に、やはり気づかぬふりを押し通すことにした。
それでも、酔いが熟れた肉体に微妙な影響を与えた。体が明らかに感じているのだ。意識すると、ますます意地悪く疼きが生じてくる。
その気持ちを読みとったわけではないだろうが、大樹は欲望のおもむくままに、硬くなったペニスを押しつけてくる。
「少し目がまわるわ。酔ったみたい」
美登利はすべてを酔ったせいにしようとした。酔ったから何も覚えていないと言いわけができる。
「ぼくも……でも、楽しいな」
大樹は最後まで兄嫁の体を離したくなかった。バンドは、そろそろラストが近づいたことを示すように、途切れることなくムード音楽を演奏しつづけた。
大樹は美登利の腰に両手をまわし、しっかり引きつけた。美登利は身動きできなくなった。しかし、大樹が力いっぱい抱き締めなくとも、女体は離れることを望まなかったかもしれない。欲情が美登利をすっぽり包みこんで、酔った肉体に悪魔の声を囁いていた。
この秘めやかな楽しみを、存分に享受しなさい……。
美登利の体は、はっきりと性的な欲望を感じて疼いた。パンティの股ぐりが、生ぬるい愛液でじっとりと潤ってくるのがわかった。
恥骨に押しつけられたペニスの、ドクドクする脈動を感じると、美登利は我れを忘れて大樹にすがりついていた。
そのわずかな刺激は、ズボンの下で極限にまで勃起したペニスの表皮を、まるで兄嫁の指先で擦られているかのような錯覚をもたらした。大樹の肉棒は、グーンと衝きあげてくる快感を耐えきれずに、あっというまもなく爆発した。
大樹の全身の小刻みな痙攣が何を意味するのか、六年間の結婚生活を送ってきた美登利にはすぐわかった。ドキンドキンと脈打つ怒張からほとばしる樹液は、薄手の夏用のズボンを染みだして、美登利のワンピースにまで生温かい感触をもたらした。
美登利は何も気づかないように、じっと大樹を抱き締めていた。股間を絶えず圧迫していたペニスが、徐々に小さくなっていくのがわかる。大樹の荒い息がおさまるのを待って、美登利は言った。
「そろそろ戻りましょうか……私、こんなに酔ったのは初めてよ」
美登利は酔ったことで何も気づかないふりをするつもりだった。実際、クラブを出てエレベーターの前にたどり着くまで、足もとがふらついていた。
大樹は部屋の前までひとことも口をきかない。本当に酔っているらしく、目の焦点が定まらない。
「楽しかったわ。おやすみなさい」
美登利は笑顔を作って部屋に入った。
シャワーを浴びようと、浴衣を手にして浴室へ向かいかけた。そのときドアをノックする音がした。
「誰?」
ドアの外に声をかけると、小声で大樹が、「ぼくだよ。ぼく」と言っている。
美登利はドアを開けた。
「どうしたの?」
「お母さんたら、鍵をかけたまま眠っちゃったらしいんだ」
「まあ、困ったわねえ」
「あんまりドアを叩くとまわりの部屋の人に迷惑だし……」
「そうねえ」
だからといって、この部屋で寝なさいとは言えない。
「じゃあ、ここから電話をすればいいわ。眠ってるお母様を起こすのは可哀相だけど、そうするしかないわね」
「そうだね」
大樹は部屋に入った。昨日は二枚敷いてあった布団が、今夜は一つだけになっている。
美登利が電話をかけようと、後ろ向きに電話をとった。何気なく背中を見た大樹は、浮きでたブラジャーとパンティのラインに目を奪われた。
不意に体内を熱い嵐が吹き抜けた。
ダイヤルを途中までしかけた美登利の肩に、自分の意志ではない何かにそそのかされた両手がかかった。
何?……そんな表情で美登利が振りかえった。
目の前に濡れた唇があった。もうとめることはできなかった。大樹は、やにわにそこに唇を押しつけた。
美登利の喉の奥で悲鳴があがった。しかし実際には声にならなかった。
落ちた受話器を大樹は元に戻し、体重をかけてその場に兄嫁を押し倒した。
もがきながら美登利は突き放そうとする。それがかえってスカートをまくれあがらせ、大樹の邪悪な欲望を煽情させる結果となった。
スカートの奥に、大樹の熱い手が侵入した。パンティの中心に手が伸びようとするのを、美登利は腰をひねって拒否した。それがまた、義弟の手を挟む格好となってしまった。
指が湿った股間をこねた。
「ああっ!」
美登利があわてて両脚を開くと、チャンスとばかりに大樹の手が恥丘の上をすっぽり覆った。偶然に、てのひらの分厚い部分が敏感な突起を圧迫した。
美登利は悲鳴を堪えた。大樹の手の動きは嫌悪感ではなく、明らかに性的な快感をもたらしたからである。
「やめて! どうしたの、大樹さん……お願い、やめて!」
大樹は美登利の手を握ると、強引に股間に押しつけた。
「!?…………」
美登利の手は、もう完全に復活したペニスの存在を明確にとらえた。しかもズボンの膨れた部分は、ダンスでの暴発を如実に示すようにベットリと精液が染みでている。ぬるりとした感触は、次にくるべき男と女の性的な関係を具体的に表わしているかのようだった。
美登利は、容易ならざる事態に追いこまれたことを認識した。どんなことがあっても逃げださなければならなかった。夫を愛していないならともかく、新婚のとき以上の愛情を克也に対して抱いている。夫以外の人間との結びつきなど絶対に考えられないことだった。
「お母様を呼びますよ!」
唇が塞がれそうになるのをなんとか避けながら、美登利は本気で訴えた。
「いいよ。呼びなよ。面倒が起きるだけのことだ」
大樹が突っぱねるように言った。もうここまできてしまった以上、中途半端な形で中止するわけにはいかなかった。共通の秘密を持つことこそ最良の方法だと思った。
大樹は兄嫁の美登利を征服するために、全力を傾注した。
ワンピースのベルトを引き千切るようにはずすと、その勢いでスカートが腰までまくれあがった。
大樹は、入浴用のタオルを美登利の口に押しこんだ。これでもうたすけを呼ぼうにも、声を出すことはできない。
美登利は息苦しさと疲労で抵抗力が急激に弱まるのを感じた。大樹の手が乱暴にパンティストッキングとパンティを引き毟ろうとした。最後の力を振りしぼって両脚をバタつかせてみたが、結局は体力を消耗しただけである。
くるくるとパンティストッキングが丸められて、パンティと一緒に足首から引き抜かれた。
大樹はクロッチの部分がじっとりと濡れているのに気づき、その部分を美登利の顔面に突きだした。
「美登利さんだってこんなに濡れてたんだ」
勝ち誇った声に、美登利は反論することもできない。自分の感じやすい体質をまともに見せつけられ、屈辱感に打ちひしがれて、頑なに目を閉じていた。
大樹がそそくさとズボンを脱ぎ捨てた。そこに一瞬の隙を見つけた美登利は、渾身の力を振りしぼって跳ね起きようと試みた。
大樹は、高く跳ねた兄嫁の両脚の付け根に、裂けた肉溝をはっきりと見た。それは、鮮やかな淡紅色と黒い茂みに彩られた女肉の花園であった。
美登利のもくろみは、大樹の素早い対応でもろくも崩れ去った。体をひねってうつ向いたものの、柔道の寝わざのような体勢で大樹にのしかかられ、かえって自由のきかなくなった美登利は、両脚をバタつかせて暴れた。
大樹が、雄大に揺れ動く尻肉のクレヴァスに手を差しこんだ。ぬるついた柔肉と、その奥の深い溝をさぐられた美登利は、息をつめて凝固した。思いがけない快感が脳天に突き抜け、脊椎を痺れさせた。
「うっ……うううっ……」
もうやめてと哀願しようにも、タオルを口に押しこまれているので言葉にならない。全身はボロ布のように疲れきっていた。
大樹の五本の指は、抵抗の弱まった兄嫁の肉裂を、後ろから何度も何度も撫でまわした。美登利の腰がそのたびにピクピクッと震え、ぬめった淫汁が恥ずかしげもなく股間に溢れでた。大樹は時折り会陰部やアヌスの周辺にも指を進め、潤滑油代わりに愛液を塗りたくった。
美登利は完全に抵抗する意志を失ったわけではなかったが、体力を消耗した女体はいうことを聞いてくれない。心のなかで、いやっいやっと義務的に繰りかえすだけだった。
大樹は、兄のように美登利を性的に満足させようなどとは夢にも思っていなかった。ただできるだけ早く、二人が一つになったという既成事実を作ってしまいたかった。だが、いざ美登利の抵抗が目に見えて弱まってくると、男としての別の欲望が首をもたげてきた。それは、ただ体を繋げるだけでなく、女を気持ちよくさせたいという、男なら誰しもが持つ征服者としての本能である。
大樹は美登利の震えるヒップを眺めながら、後ろの谷間から手を差しこみ、中指だけを強引に秘肉の溝に埋めた。
一方の美登利は、ペニスではないにしろ、潤う膣奥に硬い異物が入ってきたことで、女としての本能を目覚めさせてしまった。それでも歓喜の表情を作ることは、絶対に許されない。暴力に屈したか弱い女を演じつづけるために、眉根に皺を寄せ、非常識な男の暴力を我慢しているように装った。
抵抗がやんだことで、大樹は落ち着いて兄嫁の体の愛撫に専念することができた。右手はヒップからクレヴァスに集中させ、左手は背骨や脇腹を優しく撫でまわした。
ときとして、撫でまわすてのひらの下で、兄嫁のしっとり吸いつくような肌が心地よさそうに震えたりする。そんなところまでが性感帯なのだということに、大樹は驚いた。だが、間違いない。なぜなら、右手の中指がそのたびに、膣肉によってキュッと締めつけられるからである。
なんて敏感な体なんだ……。
大樹は、女体の複雑さに改めて感心するとともに、兄嫁への欲望がますます募るのを感じた。
中指が何度も熱い女の蜜液を浴びせられて、ふやけている。その指で膣壁を擦ると、強いざらつきが感じられた。ペニスがここにおさまったときのことを考えると、我慢するのが次第に苦痛に感じられるようになってきた。
大樹は中指をスーッと引き抜こうとした。ところが驚いたことに、膣口の花弁が指を逃がさないように絡んでくる。
未練たっぷりに指を引き抜いた大樹は、用心深く美登利をあお向けに寝かせた。下半身だけを丸出しにされた兄嫁の姿は、全裸よりもかえってなまめかしい。恥丘のふくらみの上に、ひしゃげた恥毛が痛々しく貼りついていた。指でくしけずるようにしながら、包皮を探し当てる。クリトリスはもうすでに頭を出していた。
肉芽を二本の指でつまんだ途端、兄嫁の腰が跳ねた。
大樹は両膝の間に腹這いになると、すぐ目の前で息づく兄嫁の秘めた部分を凝視した。深い感動に包まれて、そげたような下腹から張りだした腰肉、そこでドームのようにこんもりと盛りあがった恥丘や、その下につづく謎めいた亀裂を、飽くことなく観察した。そこは女の完全に独立した部門だった。その小宇宙にすべての男は惑わされ、苦悩し、ときには生命を賭けるのである。
大樹も例外ではなかった。女についての知識がなかった六年前に、嫁入りした美登利を見たとき、どうして今日の事態が予想できたであろう。好きとか愛してるとかいう感情を抱いてきたわけではないだけに、かえって一目惚れの印象は極端で、兄を憎んではいないけれども、美登利を兄だけの女にしておきたくない気持ちは、説明しがたいほど強烈なものがあった。
夫以外には見せてはならない秘肉を義弟の熱い凝視にゆだねながらも、美登利は反撃する意思を忘れてしまったわけではなかった。しかし、どうにも力が湧いてこなかった。それに乗じて大樹が、ダンスによって火照った体内に、強引に指を挿入したものだから、性的な感覚をいやでも思いだしてしまった。それは快感という具体的な形で、意地悪く美登利を呑みこもうとしていた。
大樹がとうとう、ワンピースとブラジャーを取り去った。全裸に剥かれた美登利の上半身に、大樹の舌が這いまわった。
いやっ……ああああっ、やめてェ!……
力なく頭を振ることでしか抗議する手段がない。それなのに乳首がツーンと尖ってしまう。疼きも体のあちこちから突きあげるように湧いてきた。とりわけ気になるのは、秘裂に生温かい蜜がトクトクと溢れてくることだった。強姦同然の愛撫で感じてしまった、動かしがたい証拠である。それが義弟の目にさらされるのは、美登利にとって、死ぬほどの恥ずかしさだ。
大樹は夢でも見ているような気分で兄嫁のスベスベの肌を撫で、豊満な乳房や一段と高くせりだした乳暈と紅梅色の乳頭を、くまなく舐めまわした。
女体にかすかなうねりが生じると、あたりに性臭がたちこめた。
大樹は、兄嫁の股間に濃厚な愛の蜜が満ちみちていることを確信した。甘い匂いを鼻腔いっぱいに吸いこみながら、大樹は体をずりさげた。窪んだ可愛らしいヘソに頬擦りしながらさらにずりさがると、顎の下にサラリとした淡い恥毛が触れた。ふっくら膨らんだヴィーナスの丘に鼻を押しつける。甘酸っぱい匂いがムッと鼻をつく。
美登利の手が遮ろうとした。けれどもそれを振り払い、大樹は長い舌を突きだして恥毛を掃き、ふくらみの下に切れこんだ割れ目をなぞった。
美登利は自分の手で、口につめこまれたタオルを引っぱりだして、志津江の名を呼ぼうとした。しかし兄嫁の口からもれたのは、快感を堪えきれない歓びの呻きでしかなかった。
「あっ……ああン……いや、あああ……」
その甘い響きに、大樹は勝利を予感した。征服することの歓びが体内を突き抜けて走った。
腫れたように膨らんだ恥丘を撫でた手は、その下の疼く柔肉を左右に押しひろげた。
やっぱり!……
大樹の目に飛びこんできたのは、美しい鮮紅色の女肉が大量の肉汁にまみれて熱くとろけている、なまなましい光景だった。突きでた肉芽までもがトロリとした愛蜜をまぶされて、ヒクヒクと蠢いている。切れこんだ秘めたる割れ目を内側から押し開くように、溜まった淫汁が途切れることなく流れだしている。
こんなに濡らして……。
大樹は、ためらいもなく唇を押しつけてすすった。
秘唇が反応して震える。美登利が腰を振動させて嗚咽をもらした。
大樹はここに至って初めて、美登利の口からタオルが引きだされていることに気づいた。なのに美登利はたすけを呼ばない。いや、もう呼べるような状態ではなかった。美登利自身、憎むべき義弟に同化して歓びを甘受し、秘密を共有してしまっていた。
指先で秘肉に触れたとき、大樹は兄嫁の存在がもっとも身近になったのを悟った。兄に対する後ろめたい気持ちは、美登利のすべてを知るという感激の前に、もろくも消滅していた。こみあげてくる歓びに浸りながら、大樹は果肉に湧く媚液をすすり、女陰をくまなく舐めまわした。
とうとう美登利が歓喜の声を放った。それは美登利の口を借りて、女の本能そのものが叫んでいるのだった。
「あうっ……ああっ、もういやっ……変になってしまうわ……駄目っ、いけないわ、そんなことしちゃ……ああああっ、どうしたらいいの、私……ああっ、死んじゃうゥ!」
挑発する声にそそのかされるように、大樹はベトベトに濡れた顔を兄嫁の股間から引き離すと、ふくよかな女体に目を細めながら下腹に貼りつくペニスを右手で剥がすように握った。その刺激だけで、若いエネルギーは爆発しそうだった。そこに焦りが生じた。
早く!……
声なき声にそそのかされ、大樹はあわててペニスの先を、息づく秘口に押しつけた。イソギンチャクのように、果肉の裾がぬめっとひろがって包みこもうとする。痺れが、接触した部分から腰骨を揺るがせて、脳天に突きあげた。
「いやっ……それだけはやめてェ」
消え入りそうな声には義務的な響きしか感じられない。気持ちはともかく、兄嫁の肉体が逞しいペニスを望んでいるのは明白だった。
大樹はこれ以上耐えることはできなかった。腰を押した。
大樹が感じた以上に、美登利の研ぎすまされた性的感覚は、快感を受けとめていた。義弟の動きに合わせて、はしたなく腰がせりあがった。太くて硬い大樹のペニスがザラッと膣壁を擦った。反応した秘肉が肉棒をギュッと絞りあげた。
長い時間、女体を楽しむはずだった大樹は、思わぬ歓迎に戸惑った。
「あっ……美登利さん」
臓器のすべてが肉棒を通り抜けて先端から飛びだしてしまうような、痛みをともなった疼きが一挙に下腹部を震動させた。大樹は弾むような美登利の裸身にすがりついた。五体が痙攣した。
美登利は、相手の急激な変化が何を意味するか、よくわかっていた。取り残されまいとして、思わず義弟の腰を引きつけ、下からヒップを突きあげた。それは、部屋に入って以来、初めて美登利がとった積極的な行為だった。
肉棒は一気に快感と刺激を与えられて、先端から熱液をほとばしらせていた。
「あっ、あああっ……」
歓喜と、早まったことに対する無念さが入り混じり、大樹は奇妙な声をあげて次々と歓びのスペルマを放った。
子宮口がひしゃげるほどの衝撃を感じたものの、美登利は頂上に至ることなく置き去りにされた。それだけに、美登利の後悔の念は想像を絶するほど深いものになって残った。
そんな女心も知らずに、大樹は望みがかなえられたことに満足して、大海に漂う小舟のように、いつまでもゆらゆらと兄嫁のふくよかな裸身の上に身を重ねていた。
第四章 狂おしき媚肉
隣室での忌まわしい二人の結びつきに、志津江は気づかなかった。
大樹は母を起こさず、事情を説明してフロントから合鍵を調達して部屋に入り、朝までぐっすり眠った。
次の日、志津江の発案で三人は旅館を出ると、チャーターしたタクシーで硫黄山へ出かけた。その山は硫黄の噴煙が絶えずあがっていて、近くに行くと強い異臭が鼻をついた。先住民たちはアトサヌプリと呼んで、畏敬の念を抱いていたらしい。
タクシーで女満別空港に乗りつけた一行は、中型ジェット機で札幌に飛んだ。五十分ほどの飛行は快適であったが、美登利だけは気持ちが暗く沈んでいた。
「気分でも悪いの?」
「いいえ」
「克也がいないから、淋しいんじゃないの」
「そんな……お母様」
美登利は志津江に心配をかけまいとして、その会話のあとからはつとめて笑顔を振りまき、何事もないかのように振る舞う努力をした。大樹は昨夜のことが気になった分、かえっていつもよりはしゃいで、明るい雰囲気を作るのに懸命になった。
千歳から札幌へ出た一行は、故郷に眠っている父の墓へお参りをし、そこから一直線に定山溪温泉へ向かった。
克也がいないからと、志津江が大きな和室を頼んで、そこを三人で利用することになった。
美登利と志津江が大浴場へ行くと、大樹は一人で露天風呂に向かった。思ったほど人はいない。
大樹は昨夜の美登利とのかかわりを思い起こした。現実に二人が結ばれたことが不思議でならなかった。
確かにこれが、美登利さんの体内に潜りこんで、何億という精子を注ぎこんだんだ……。
半勃起状態になりかけたペニスを湯のなかで握り締めて、またあの素敵な現実がいつ再現できるのだろうと、そのことばかりを考えていた。
部屋に引きあげると、まだ二人は戻っていない。大樹は浴衣姿のまま旅館の下駄をはいて外に出た。アベックがやたらに多い。若い者から老人まで、ブラブラと散歩をしたり、土産物店をひやかしたりしている。一人で歩いているのは大樹だけだった。
三十分ほどあてもなく歩いて戻ると、フロント横のバーで、志津江と美登利が生ビールの小さなジョッキを傾けている。
「晩御飯まで待てなかったのよ。あなたもどう?」
志津江が赤い顔で、大樹のためにビールを追加注文した。
「おいしいわ……胃のなかに染み通っていく」
美登利が昨日の不本意な出来事など忘れたようにのんびりと言うと、志津江が相づちを打つ。何店もの美容院を経営するかたわら、ヘアデザイナーとしての評判もいい志津江は、いつもは時間に追いまくられて、一日たりとものんびりしたことがない。この数日の休みは何年かぶりかにとったものなので、北海道まで来て飲む本場のビールの味もまた格別なのだろう。
そんな志津江の苦労を知っているだけに、長男の嫁である美登利も、姑のペースにすべてを合わせて行動しているらしかった・風呂あがりで空腹だったから、女二人は頬を桃色に染めて、ふんわりと漂っているように見えた。それを見た大樹の胸のなかに、小さな黒い渦が巻きはじめた……。
部屋に戻ると、ちょうど係の人が食事を運んでいる最中だった。大樹は備えつけの冷蔵庫から冷えた日本酒を出すと、それぞれのグラスに注いでまわった。
「あらあら。そんなに飲んだら酔っぱらってしまうわ」
志津江はそう言ったが、すでに日本酒を飲むつもりでいることは明らかだった。美登利は大抵の場合、姑に逆らうようなことはしない。自分のための旅行を姑がお膳立てしてくれたという負い目があるから、なおさらだった。大樹は巧みにそこに目をつけたのである。
「たまにはいいわね」
志津江は料理を口に運びながら、日本酒の入ったグラスにも手を伸ばす。
大樹はたくらみを悟られないように、自分も日本酒を飲み、グラスが空きそうになると新しい酒を冷蔵庫から取りだしてきては、それぞれのグラスにさりげなく注いでまわった。
二人の女たちは、アルコールに強いわけではない。ただ、開放された旅先なので、つい、いつもより多く、胃のなかに流しこんでいたのである。
料理の量が多いので、長い時間を食事にかけるから、酒の多さも気にならない。食事が終わる頃には三人が三人とも、茹でた蛸のように赤くなっていた。
食事を終えると、志津江はもう眠そうにしている。考えてみれば、川湯温泉を出てから強行軍だったので、無理からぬことだった。
大樹もすごく眠かったが、自分の考えついたことを是非とも実行したかったから、我慢した。
「ねえ。今日は川の字になって早寝しましょうか」
志津江が、汚れ物を廊下に出している美登利に声をかけた。
「そうですねえ。少し疲れましたものね」
大樹は間髪入れずに提案した。
「じゃあ、ぼくが二人にマッサージをプレゼントするよ」
大樹は二人の返事も聞かずにフロントに電話をすると、すぐ布団を敷いてくれるように頼み、ついでにマッサージ師二人の段どりもつけてしまった。
大樹は美登利の身のこなしを、それとなく盗み見ていた。
動作が緩慢である。それに、やはり酔いがまわっているらしく、目がトロンとしている。その風情が、大樹のよこしまな欲情をいたく刺激した。
同じ部屋のなかにいるから、美登利独特の甘い香りがいつも鼻腔をくすぐる。風呂あがりで酒が入っているせいか、その匂いは部屋から消えることはなかった。
係の者が二人やってきて、てきぱきと三人の布団を敷いた。志津江が、当然のように中央の布団を占領した。
大樹は部屋の明かりを暗くした。志津江はともかく、美登利のために暗くしたほうが、気分的に楽になると判断したからである。
テレビをつけて音量を小さくした。時計を見るとやっと九時である。
十分ほどすると、男と女のマッサージ師が連れだってやって来た。志津江は力の強い男性を選んだ。
「眠くなったら、あとはぼくに任せて」
大樹は二人を安心させるためにそう言った。
マッサージ師が仕事にとりかかって十分もすると、志津江は軽い寝息をたてはじめた。体を横向きにしているから、マッサージ師は体の片側だけを揉むことになる。
「お母さん。ほら、反対側だよ」
大樹が声をかけると、半ば眠ったような声で生返事をして、大儀そうに体の位置を変える。
大樹はマッサージ師に、このままの姿勢で時間までゆるやかに揉むように頼んだ。マッサージ師もそのほうが楽なのか、大きくうなずいて、目はテレビに向けている。
美登利は時折り心地よさそうに「フーン」と呻いたりして、うっとり目を閉じている。眠っているのではないが、意識が朦朧とした状態であるのは確かであった。
大樹は時間の経過をひそかに楽しんだ。あれこれ想像すると、何もかもが自分に都合よく運んでくれるような気がしてならない。
大樹自身もかなりの量のアルコールで、陶然と酔っていた。だから女たちだって……そう思うのも当然である。そして、実際に大樹が思っている以上に、志津江も美登利も酔っていた。
志津江は何年かぶりに仕事を離れた開放感から、また美登利は同じ部屋であっても姑と一緒だからという安心感で、いつもより酔いも深く、まわりも早かった。
大樹はそのあたりを計算に入れて、二人に酒をすすめたのである。しかも力をセーブしたマッサージが加わったから、酔いもまわって心身ともにリラックスしていた。二人は何度も睡魔に襲われ、マッサージ師の存在など忘れてしまうこともしばしばだった。
約束の一時間がすぎる頃、大樹は二人のマッサージ師に金を払い、小声で「もう結構です」と告げた。
二人が足音を忍ばせて帰ると、大樹は志津江の寝息をうかがった。よく寝入っている。美登利の枕もとにいざり寄った。こちらも軽い寝息をたてて、あどけない表情で眠っている。
投げだされた二の腕の白さが鮮やかだった。浴衣の襟もとが少し膨らんで開いている。そこから盛りあがった乳房の構造が見えた。
大樹は顔を近づけた。ふわっと胸もとから甘くやるせない匂いがたちのぼってくる。
大樹は枕もとの電気スタンドの常夜灯を点けると、室内のすべての明かりとテレビを消し、冷蔵庫から酒を出して一気に飲んだ。
女の安らかな呼吸音だけが、かすかに聞こえた。薄暗い環境と、すっかりまわった酔いが、大樹を大胆にした。
美登利の外側にまわると、マッサージ師のように薄掛布団の上から、ふくらはぎのあたりを揉んだ。触った瞬間、美登利の体がピクッと固くなった。あとは安心したのか、それとももう完全に眠りの世界に入っているのか、ピクリとも動かない。
母親も一緒に寝ている部屋で、兄嫁を凌辱する!……
大樹は自分の大胆な計画にドキドキした。しかし、その異常な昂りのなかに身を置くと、欲情もいっそう強まって彼をそそのかす。
揉む手を休めずに、薄掛布団を足もとから少しずつまくりあげた。浴衣の裾が乱れて、膝のほうにまでずりあがっている。足首の細さと、キリッと引き締まったふくらはぎの美しさに見とれながら、大樹はじかにその部分に触れて揉んだ。いや、揉むというより愛撫するといったほうが正しいかもしれない。
いい加減なマッサージでも、気持ちいいという感覚には変わりがないらしく、美登利は小さく寝がえりをうっただけで、目を開けることはなかった。
志津江のほうはもう完全に熟睡しているらしく、身動きひとつせずに、規則正しい呼吸を繰りかえしている。
大樹は、寝がえりをうってあお向けになった美登利の布団を、右サイドからゆっくりとめくった。薄掛布団の重みはしれたものである。美登利はまったく気づかなかった。
大樹はマッサージをやめて、彫像のように横たわっている兄嫁の寝姿に見入った。足もとの裾の乱れがなんともいえず挑発的だった。
浴衣の紐は二重に巻きつけてあるので、解くのはかなり難しそうである。だからそれは諦めて、前合わせを左右にゆっくりと開いた。膝から上が露わになってくる。
大理石を思わせる張りのある太腿の付け根までが完全に露出した。鼠蹊部に沿って、パンティの縁がぴっちりと肌に吸いついている。盛りあがった中心には、黒い翳りがうっすらと浮きあがり、後ろに深く切れこんだクロッチに顔を近づけると、生温かくて甘酸っぱい匂いがほんのりと漂っていた。
大樹は、紐の結び目のところまで浴衣をまくった。小さく窪んだへそまでが限界だった。パンティの面積は極端に小さく、恥丘のふくらみを覆っているだけの大胆なものだった。
大樹は太腿の間に手を差しこんだ。温かい肌の触れ合いが、親近感を増幅させた。それに、もう兄嫁のすべてを知っているという自信が、いっそう大胆にさせた。
てのひらを恥丘の上にかぶせた。懐しいぬくもりが指先からジーンと体の隅々にまで染み渡った。
大樹はパンティの縁に手をかけて、ゆっくりと引きおろした。恥毛の上部が見えたとき、腰のまわりの窮屈さにようやく気づいた美登利が、ぼんやり目を開いた。
ほとんど熟睡していた美登利は、夢でも見ているように、間近に男の影を見あげた。その顔がかすかに笑った。記憶のほぐれた糸が、ピーンと張りつめた。
あっ、女の人じゃない!……
マッサージ師が男であることに気づいた美登利は、自分の身に昨夜と同じ危険が差し迫っていることを悟って仰天した。
その驚愕の表情で、大樹は兄嫁が完全に目覚めたことを知った。大樹は咄嗟に人差し指を口に当てて、しゃべるなというゼスチャーをし、隣りに敷かれた布団を見やった。
美登利も口を開くことはしなかった。いや、できなかった。そこには女の計算が働いていた。
姑を起こすことは簡単だが、それは家庭の崩壊を意味する。克也との夫婦生活はうまくいっていたし、実家との間にはトラブルもない。世間で一般に言う「幸せな主婦」以上に、美登利は今の自分が幸福だと思っている。それだけに、この幸せを失いたくなかった。
だが現実には、義弟によって犯されるという大失態を演じていた。不可抗力というにはあまりにも犠牲が大きすぎたし、義弟に抱かれることに関して世間の人たちは、女だから仕方がないという同情的な見方を決してしない。たとえ男に百パーセントの非があったとしても、「女に隙があったから」とか、「その気になれば拒めたはず」とか言って、女を蔑むことが多いのが現実であった。それを美登利は何よりも恐れたのである。
口をきくこともできない状態で、美登利はとにかく大樹を押しのけようとした。しかし、伸縮性の強いパンティはゴム紐のように伸び、ついには鈍い音とともに引き裂けてしまった。
手足をあまりバタつかせたりすれば、すぐ横に寝ている姑を起こしてしまう可能性が高い。最小限の抵抗しかできないことが、義弟の無法を許したも同然となったのである。
大樹は強引に両脚の間にもぐりこむと、両腿を抱えこんで、亀裂にペタリと貼りついた。美登利が腰をひねって少しでも距離をおこうとしたが、実際には役に立たなかった。それどころか、動いたことで、かえって恥ずかしい割れ目を義弟の唇に押しつけるという逆効果を招いてしまった。
大樹は、自分の計算通りに事態が運んだことで気をよくした。兄嫁の抵抗らしい抵抗も感じないまま、柔肉に溢れた女のエキスをすすり、膣の内外をくまなく舐めまわした。
美登利は心と肉体の葛藤に悩まされていた。頭では、感じてはいけない、抵抗しなければならない、と考えているのに、体はそれに反逆して熱く火照り、大樹のさらなる愛撫をねだるように、秘液を次々と湧出させている。
大樹の体が、のしかかったままずりあがってきた。近づいた顔に哀願の目を向けた。だが、義弟はそれを無視して、美登利の紐の結び目を器用に解くと、浴衣の前をすべて開き、そこに若く逞しい男の裸体を重ね合わせた。
硬いペニスが、じかに恥丘に当たった。それをいっそう意識させようとして大樹の腰がいやらしく、「の」の字を描いてまわる。大樹はそうしながら兄嫁の唇を求めた。
美登利は、自分の下半身が吐きだしたぬめりの付着する唇を押しつけられて、初めて独特の匂いを知った。夫の克也は、クンニのあとでキスをすることは決してなかった。大樹のキスは甘く切ない。それに応えてはいけないと思っても、自分の唇が相手の動きに従ってしまう。
いけない……とんでもないことを私はしている……。
美登利は陶酔を振り払うように、激しく頭を打ち振った。そのとき、それまで反対側を向いていた志津江が、呻きながら寝がえりを打ち、二人のほうに顔を向けた。
美登利は、一メートルと離れていないところに姑の顔を見る羽目に陥り、戦慄にも似た悪寒を覚えた。志津江がそのまま目を開けば、義弟との忌まわしい行為が飛びこんでくることになる。
ぞっとしたのは大樹も同じであったが、美登利の観念したような表情を見ると、何もかも自分に都合よく流れていくことに大いに満足した。
荒々しく唇を吸われた美登利はもがく余裕もなかった。大樹の辛抱強いキスに負けそうになるのを必死に堪えても、少しずつ、キスされる歓びに呑みこまれそうな予感が芽生えてくるのを感じていた。
それに、股間に当たるペニスの摩擦感は、女にとって決して悪いものではない。今はただ押し当てられているだけだが、秘めやかな肉の裂け目をズルリと割りこんでくるときの歓びを思うと、思わず自分からも中心を擦りつけてしまいたい誘惑に駆られる。
夫だったら、我慢しきれず、自らの手で掴んで引き入れることができるのに……。
そんな思いがチラリと頭の隅をかすめた。そのとき大樹が少しずりさがり、唇が離れた。空虚になった美登利の唇は物欲しそうに震える。
ああ、なんてはしたない……。
そう思っても、現実に肉体は男の直接の愛撫を求めて疼く。
大樹の唇は、美登利の胸に移動した。温かい舌が、絹のようにきめの細かい円錐形の乳房を這い、充血して大きく膨らんだ乳首を弄んだ。全身に震えが走り、それは鋭い刺すような快感にすり代わって、敏感な肉の裂け目を直撃した。
美登利の怖れていた事態が発生した。子宮をゆさぶるような痺れとともに、男を迎え入れるための女の溶液が、膣奥をいっぱいに満たし、外にまで溢れでてしまった。それはどう抑えようとしても、女の意志では抑えられない皮肉な現象だった。
大樹の舌は左右の乳首を交互にくすぐり、舌の離れたほうの乳首は、指先で強弱をつけてつまんだり揉んだりした。
桜色の乳頭は硬い真珠のように美しく輝いた。けだるい快感と鋭い快感が交互に美登利の全身を包みこんで、官能のまばゆい世界に引きこもうとしていた。
それを大樹は満足げに眺めつつ、飽きることなく舌を駆使し、指先を動員した。
美登利は、自分でも気づかないうちに歓びを表わす喘ぎ声をもらしていた。それは、仕掛けた大樹が心配するほど真実味のこもったものだった。
ここまで追いこまれてしまったら、熟れきった女体は、もはや徹底的に性の歓びに溺れてしまうしかなかった。ただ、被害者である美登利から哀願するわけにはいかない。美登利は三十分以上にわたる義弟の執拗な愛撫を、ただじっと受けとめ、耐えているしかなかった。
それだけに、積もりつもった性の欲望は、もう爆発寸前にまできていた。どうにかしてもらわないことには、亀裂が燃えてしまいそうだった。
大樹の丹念な愛撫は、靴の上から痒いところをかいているようなもどかしさだった。そのやるせなさが、また新たな媚液を噴きあげ、いちじるしく股間を潤すという悪循環をもたらした。
大樹が中腰に構えた。
美登利は気配を察して目を見開いた。中空に、逞しいペニスが揺れている。それは夫のものほど黒ずんでいなかった。年齢にふさわしい色合いと、みなぎる若さではちきれそうになった肉柱に、美登利は圧倒され、見惚れたようにどうしてもそこから視線をはずすことができなかった。
ああ、いけない……。
自分の下心を見抜かれているようでいやだった。けれども、まるで磁石に引きつけられた鉄片のように、大樹のペニスから目が離れない。
大樹がこれ見よがしにペニスを握って、何度か表皮を往復させた。先端から滲んだ露がポタリと尾を引いて陰阜の上に滴ったとき、美登利は思わずその淫露をてのひらで受けとめようとしていた。
大樹はゆっくり前傾姿勢をとると、女のふくらみをやわやわと揉んだ。
美登利は美しい喉をのけ反らせて、かすかに甘い声をもらした。目を閉じて、大樹の姿を瞼の裏から追い払い、愛している克也を思い浮かべた。それがせめてもの罪滅ぼしのような気がした。夫に抱かれるのだと思うことによって、いくらかでも気持ちの負担を軽くしたかった。
だが、硬いペニスが膣口に当てがわれると、そんな固い決意をしたにもかかわらず、夫の姿は消え失せてしまった。美登利はもはや、男に飢えきっている、ただの女でしかなかった。
夫のものではないペニスを、膣は嬉々として迎え入れた。焦らされた肉唇たちは、すっぽりと肉茎を咥えこみ、奥へ奥へと誘った。
大樹は、挿入した瞬間から、長くは保てないと自覚した。美登利の柔肉に優しく包まれ、次第に強い力で締めつけられると、大樹は一緒に昇天したい強い思いに駆られ、指先で恥毛を分けて、尖ったクリトリスを刺激した。昨晩のように、兄嫁を置き去りにして自分一人で先にイッてしまう醜態は繰りかえしたくなかった。
衝きあげる快感を、美登利は必死に堪えた。自分の手を口に押しこんでよがり声を堪える。そうしなければ、すぐ横の志津江が目を覚ましてしまうだろう。なんとか声を押し殺した美登利は、もう我慢できずに腰を下からグイグイと突きあげた。硬い肉茎に膣壁がズルズルと擦れて、たまらなくいい気持ちである。
こんなことをされたんだから感じたって仕方がないのよ……。
完全に開き直ると、急速に快感がせりあがる。
大樹が引き抜いたペニスを再び思いっきり奥に押した。
美登利は子宮がずりさがるのを感じた。
男の熱いほとばしりが、めいっぱい膨らんだ筒先から噴きあがったとき、美登利もまた、媚液をペニスに浴びせかけ、愉悦の渦中に身を投じて、切なさに嗚咽していた。


