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ガエターノ・グアダーニ(Gaetano Guadagni、1729年12月11日 – 1792年10月11日)は、イタリアのカストラート歌手。ヘンデルのオラトリオやグルックのオペラを歌い、とくにグルック『オルフェオとエウリディーチェ』のオルフェオ役で知られる。
生涯
グアダーニの若いころについてはよくわかっていない。ローディあるいはヴィチェンツァの生まれで、1746年にパドヴァのサンタントーニオ・ダ・パードヴァ聖堂でアルト・カストラートとしてデビューした。
1748年からロンドンで歌っていたが、ヘンデルは彼に注目して自らのオラトリオを歌わせた。ヘンデルの1750年のシーズンで初登場し、『メサイア』と『サムソン』(ミカ役)の再演、および『テオドーラ』(ディディマス役)の初演で歌った。
ロンドンでグアダーニはデイヴィッド・ギャリックについて俳優としての演技を学び、演技派の歌手として知られた。1753年にロンドンを去り、リスボンで有名なカストラートのジョアッキーノ・コンティに学んだようである。1754年にはパリのコンセール・スピリチュエルで、さらにヴェルサイユ宮殿でも歌った。1755年にはロンドンに戻り、ギャリックに雇われてドルリー・レーンの劇場で歌った。
1750年代後半にはイタリア各地で歌うだけでなくヨーロッパ中から注文が来る、きわめて有名な歌手であった。ウィーンでは1762年にハッセのオペラ『クレリアの勝利』のホラティウス・コクレス役でデビューし、同年10月にはグルック『オルフェオとエウリディーチェ』のオルフェオ役を演じた。翌1763年にはトラエッタ『タウリスのイフィジェニア』のオレステス、1764年にはハッセ『エジェリア』のメルクリウス、1765年にはガスマン『オリンピーアデ』のメガクレと『愛の勝利』のアポロ、およびグルック『テレマコ』の主人公を演じた。
『オルフェオとエウリディーチェ』はグアダーニがオルフェオを演じることを前提として書かれた作品であり、歌唱と演技を結びつけるグアダーニの能力があってはじめて現在の形にすることが可能であった。オルフェオはグアダーニの当たり役となり、ロンドン(1770年)やミュンヘン(1773年)などの地で『オルフェオとエウリディーチェ』を上演する際にもグアダーニがオルフェオを演じた。
1767年からは主にヴェネツィアとパドヴァに住み、1772年にはヴェネツィアで聖マルコ騎士に叙勲された。同年ザクセン選帝侯フリードリヒ・クリスティアンの未亡人マリア・アントーニアに招かれてミュンヘンに数年間住んだ。晩年に声域はソプラノ・カストラートになっていた。1776年にヴェネツィアの聖ベネデット劇場とポツダムのフリードリヒ2世の前で歌った後、パドヴァに居を定めた。その後も歌手としての活動を続けたが、1785年に脳卒中で倒れた後はほとんど言葉を話すことができなくなり、1792年にパドヴァで没した。
脚注
参考文献
Pini, Andrea (2003), “GUADAGNI, Gaetano”, Dizionario Biografico degli Italiani, 60, https://www.treccani.it/enciclopedia/gaetano-guadagni_(Dizionario-Biografico)
Heartz, Daniel (1995), Haydn, Mozart, and the Viennese School, 1740-1780, W.W. Norton & Company, ISBN 0393037126
三澤寿喜『ヘンデル』音楽之友社〈作曲家 人と作品〉、2007年。ISBN 9784276221710。