『しゅら-縄の姉妹‐』(しゅら なわのしまい)は、2023年公開の日本映画である。伊藤智生ことTOHJIROの監督作で、伊藤名義を含めると第3作。SMの巨匠として知られるTOHJIROの映画監督復帰第2作にあたり、復帰作『劇場版 いたくて、きもちいいこと』で主演した塩見彩を再び起用した。ライフワークである緊縛と、緊縛にまつわる人々が主題になる。約28年間SM作品を撮ってきた監督は、自ら志望して臨む演者に、家庭や境遇の闇を抱える者が多いと語る。「SM・緊縛がないと生きていけない家の話を、映画としてどうしても撮りたかった」というのが、この姉妹の家を撮った理由だ。R18+公開。2023年9月、ドイツのオルデンブルグ国際映画祭ミッドナイト・エクスプレス部門にノミネートされた。
奥村家の姉妹と失踪した縛師
奥村彩(塩見彩)は次女。SMバーの緊縛モデル。縛師と緊縛モデルを両親に持ち、父のアトリエを守り、緊縛の世界へ惹かれてのめり込む。奥村花(神納花)は長女。築150年ともいわれる古民家を守る。幼少期に縛師である父の実験台となり、それを母に見られたことがきっかけで両親を失った。緊縛の過去を封印しているが、スイッチが入るとサディスティックな面を出す。成人した姉妹の現在を軸に、家業としての縄が残した傷を描く。
奥村銀造(佐川銀次)は引退した伝説の縛師で、12年前に失踪している。奥村雪子(里見瑤子)は銀造の妻。銀造と花の近親相姦を知り、うつ病から自殺した。鉄心(堂山鉄心)はSMバーのオーナーで縛師。山田悟(澤地真人)は彩の恋人で中古車の営業。バーで知り合った彩と結婚を約束するが失踪する。ハルキ(叶芽はるき)は彩の親友で、同じバーで接客と緊縛モデルを務める。鏑木満(池島ゆたか、特別出演)はイベントプロデューサー。寿司屋の店員を木村祐一が演じる。失踪する男と、縄から降りられない女と、古民家を守る姉。家族の業が、バーの天井から下がる。
TOHJIROと緊縛総監督
監督はTOHJIRO(伊藤智生)。プロデューサーは三上宗之と今大路英憲、現場プロデューサーは旭正嗣。撮影は森田福男、撮影助手は森川圭。照明は小川満、照明助手は林大樹。録音は岩淵康。メイクは山下夏樹と恵谷祐治。チーフAD・美術は木村祐一。緊縛総監督は鵺神蓮、縛師は堂山鉄心。音楽は今川慎太郎。パッケージカメラマンは石田茂章。美術補佐は川口将広と加藤瑶子。助監督は太田みぎわ、榎本秀樹、荒井佳基、河合寛之。広報は佐野克也。編集は太田みぎわとTOHJIRO。整音はIMAGICA。制作は菊池勇樹。Presented by Ground ZERO。
28年のSM撮影のあと、監督が劇場で撮り直したのは、縄がないと生きていけない家だった。塩見彩の次女、神納花の長女、佐川銀次の失踪した縛師。鵺神蓮が緊縛を総監督し、堂山鉄心が縛師として画面にも出る。伊藤名義を含む第3作、復帰第2作。前作『劇場版 いたくて、きもちいいこと』の主演を、姉妹の次女へスライドさせた。演者が闇を抱えて自ら縄を望む、という現場の実感を、築150年の古民家とアトリエとバーへ移した。オルデンブルグのミッドナイト部門が拾ったのは、責めの技術そのものより、その技術を家業にした家族の傷である。12年前に消えた銀造、自殺した雪子、結婚を約束して消える山田。R18+の緊縛映画として、アトリエと古民家とSMバーを同じ血筋でつないだ。Ground ZERO が Present し、IMAGICA が整音する。2023年のTOHJIROは、ショーの縄ではなく、家の縄を撮った。










