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小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ · 第3部

小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ 第3部 (3/6)
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バウンドしてきたボールに向かってみるが、ガツンと膝に当たって、飛んでいった。痛みだけが残り、ボールは前に落ちたりはしない。

肩から向かっていったが、乳房にボールが当たり、亜由美が倒れたために、ボールは後方へ転がってしまった。

「亜由美、惜しいですねえ! ボールは正面からぶつかりましょう」

ライナーに向かって行くことなどできないので、それを逃すとゴロしかないが、ぬかるんだグランドではボールは転がらない。ほとんどがライナーで飛んでくる。

三球ほどは偶然にグランドにバウンドして手前で勢いを失い、亜由美の得点になった。

だが、二十人が交代で激しく打ってくる球のほとんどを、亜由美は追いつくことなく逃してしまった。

亜由美はぬかるみに崩れ落ちたが、お尻に刺さったバットで、頭から突っ込んでしまった。

「終了!」

無情にも、三球しか得点できなかった。九十四球目を失敗したところでゲームは終了となった。

当初はグランドで輪姦される予定だったが、あまりにもぬかるんでいるため、風呂場での輪姦になった。

人数が増えたため、これまでの三時間が四時間に延長されていることに、亜由美は気づくこともなかった。

深夜まで風呂場では男たちの怒号と、くたくたになった亜由美のときおりあげる悲鳴が響いた。

「どうして参加しないんですか」

壮絶な映像だった。夜中に剛介は、村木、ゲー研の園田らと、撮影された映像をチェックしていた。

村木も園田もゲームに参加して、亜由美を何度も犯して楽しんでいたが、剛介は一度も加わっていなかった。

「そんなことはどうでもいいでしょう。映像はまずまず撮れていますね」

「おかげで、技術も向上していますよ。ライブ映像こそやっていませんが、一部をネットで配信してかなりの反響です」

「明日で終わりだから」

「本当にそれでいいのか」

村木が言う。

「亜由美は全敗する。間違いないだろう。そして次は拷問だ。これだけの女を、そんな地獄に落としていいのか」

「だからこそ、落とさなければいけない」

剛介が言い切った。

「おまえだけの亜由美じゃないぞ」

村木も反論する。

剛介はそこにいる男たちの目を順番に見ていった。

「中途半端なことをしたら、かえって取り返しのつかないことになるんだ。みんなはまだ亜由美のことをわかっていない」

「どういうことだ」

気色ばむ村木を園田がおさえる。

園田が小声で「自殺か?」と言った。

「なんだって?」

「いや、彼女が自分から死ぬことはないと思いたい」

剛介は言う。

「おれは最初から、ここまでやれると思っていたわけじゃない。あの日、村木さんに彼女を紹介した夜。覚えていますか?」

「旧校舎の中で、おまえたちがやっていたときか」

「ええ。あのとき、亜由美は処女だったんですよ」

「ウソだろ。だって、おまえ……」

その直後に村木にも亜由美の肉体を与えた。処女を失ったばかりだというのに。

「気づいていたはずです。わずかですが出血してましたから」

「うん」

村木はうなずいた。

「それが亜由美とぼくの覚悟です。ぼくたちは一心同体なんです。あれからの毎日を通じて、どんどん深くつながっています。でも、妙に気を緩めたら、彼女はどこかとんでもないところへ行ってしまいます。それを止められるのはぼくたちだけなんだ」

男たちは黙った。一人の女性をよってたかって輪姦し、屈辱と恥辱にまみれさせ、人生そのものを変えてしまった自責の念。そこに、亜由美をもし死なせてしまったら、さらに重い枷を負うことになるだろう。

「彼女は今日、潮を吹いたんです。ご覧になったでしょう? あのときの彼女の表情を見たでしょう? あれだけの苦痛、屈辱の中で、死を選ぶのではなく、性を選んでいるんです。これは彼女の本能がそうさせているとしか思えません。彼女の中にあるとてつもないものを、ぼくは今日、ちらっと見たんじゃないかと思うんです」

村木は無言だった。

「あの表情はすごかったよ。たしかに、十八かそこらの女の子じゃないね」

園田は賛同した。

「ぼくたちは、彼女をしっかり見守りながら、つなぎとめてやらないといけません。そのためには、いままで以上に、こっちがしっかりしないと、負けてしまう……」

剛介は、これは勝敗ではないことをわかっていたが、ほかに気持ちを伝える表現が思い浮かばなかったのだ。

亜由美と剛介の勝負。そんなものは最初からないのだが、剛介がそれを意識したとたん、最初からそういう勝ち負けがあったような気もしてきた。

勝ちたいとは思わない。ただ、負けてはいけないと思うだけだ。

「最終日、きっちりやりましょう。予報では快晴ですから」

「わかった」

村木が言った。

「きっちり、亜由美の生きざまを見てやろうじゃないか。おれたちだって、おまえほどじゃないが、亜由美に自分を重ねているんだぜ」

剛介は、うなずきながらも、自分自身、次のステージへ進むのが恐ろしく感じられていた。

次の瞬間に亜由美が見えなくなってしまっても不思議ではない。シャボン玉のように、あっと言う間に消えるような気がしてならない。

なんとかして、つなぎとめておきたい。剛介はその思いをどう表現していいのか、わからなかった。

トライアスロン対決(合宿四日目)

五月三日。合宿の最終日がやってきた。予報通り、快晴だった。

昨夜の野球対決後の四時間にもわたる輪姦でボロ雑巾のようなった亜由美を回復させるため、午後二時まで休みとしていた。

剛介は言葉はかけなかったが、宇辻の治療を受けている亜由美にずっと付き添っていた。亜由美は無口になっていた。目もうつろだ。

内面でいろいろなことを考えているだろう。剛介は推測するだけだったが、昼過ぎになって、亜由美が、「いいお天気」と笑った。

明るい午後の日差しに照らされた窓の外を見ている。

「ねえ、すっごくいい感じよね」

「そうだな」

「合宿に来てよかったなあ」

本心のはずはない。剛介は返す言葉がなかった。

「みんな、楽しんでるんでしょう? 違う? 私、ダメ?」

「ダメなわけないだろう。みんなものすごく喜んでいる」

参加している男たちは、みな亜由美の虜になっていた。

そのため、最後の十番目の対決に参加したいという希望が殺到している。

すでに延べ参加者は百四十八人になっていた。単純計算で、一人二回は亜由美を犯しているから、三日間で二百九十六回以上のセックスをしているはずだ。

通常ではありえない数だろう。

宇辻はそれでも「大丈夫」と言い続けている。本当に冷静に診断しているのかどうか怪しいと剛介は思っている。

「よかったー。これだけやってダメだったら、すごく悲しいもの」

「すばらしいよ。間違いない」

「だったらいいけど……」

亜由美は後頭部を剛介に向けている。

「剛介はどうなの? これでいいと思う?」

「うん。亜由美はかわいいし、きれいだし、すごいよ」

厳しい言葉を投げつけるべきなのだが、剛介はそれが思い浮かばなかった。

背後から優しく抱きしめてあげたくなる。しかし、いまそれをしたら、亜由美が砂の城のように崩れてなくなってしまうような気がした。

「時間だ」

園田がやってきて告げる。

亜由美は点滴を自分で外した。

裸体にクリームを塗る。浣腸はすんでいる。食事らしい食事をしていないので、排泄物はほとんどなかった。

念のため、直前にも宇辻は膣と肛門を検査した。

「問題なし」と診断した。そんなはずはないと、亜由美以外の誰もが思っていることだったが、宇辻は太鼓判を押し続ける。

この合宿で亜由美を性処理道具として使っていないのは、宇辻と剛介だけだった。

亜由美はこれだけ大勢の男たちが自分の体に群がるのに、なぜこの二人は超然としていられるのかと不思議に思った。

どこかで処理をしているのではないか。

残念だが、それが自然なことではないか。宇辻がほかに女がいるのは明らかだが、剛介もだろうか。

そう思うだけで、ギリギリと心が締め付けられる。

彼は亜由美のことだけを見ているようで、ボロボロになっていく亜由美を見捨て、代わりとなる女を育成しているのではないか。

家族からも見放され、会う人はみな陵辱の対象としてか自分を見ていない中で、剛介だけが拠り所なのだ。

それもどんどん遠ざかっていくような気がする。

嫉妬だろうか。寂しさだろうか。剛介との関係を深めるためにはじめたことが、身を汚し、壊し、さらしているうちに正反対に向かっていっているような虚しさがあった。

「十番勝負その九。いよいよ大詰めです。亜由美は一勝できるでしょうか? どうですか、亜由美さん。いまのご気分は!」

食堂に全裸で立たされ、大勢の人たちが見守る中で、亜由美はマイクを持たされてカメラの前に立つ。

背後には「一日目 二敗 二十三人 二日目 三敗 五十七人 三日目 三敗 六十八人」と書いてあった。

「がんばります」

「三日間で、百四十八人にまわされた気分は?」

「最高です! 亜由美は体がぶっ壊れるまで犯されたいです!」

「じゃあ、その犯されまくっているところをカメラに見せて!」

「はい。淫乱メス豚・亜由美のおまんこをごらんください」と言いながら、腫れているようにぷっくりと膨らんでいる陰部を開いて、赤黒く変色している粘膜をカメラに向ける。

ねっとりと濡れている。

「フットファックして潮を吹いたドスケベなまんこです」

亜由美は自分で両手の指をすべて入れて、中の粘膜を剥き出しにする。

「淫乱メス豚・亜由美のアナルもご覧ください」

くるりとうしろを向く。

傷だらけの二つの丘。それを開いて、大きく口をあけ、飛び出している肛門部分を見せる。指を自ら入れて、上下にパックリと拡げていく。

「みなさんにフィストファックしていただいたおかげで、亜由美のアナルはこんなに大きくなりました」

性器で濡れた指を、アナルに入れていく。

肛門が盛り上がり、直腸がぷっくりと表に出てくる。

それを性器と同じように拡げて、黒い穴をはっきりと見せつける。

やらされているわけではないが、だが、やらされているのと同じだった。

やらなくては亜由美ではない。自分がいまこうしているのは自分自身だから。ほかの誰でもない亜由美自身だから……。

「亜由美の穴は今日も全開です。男どものチンポを待って準備OKですね! このヌレヌレの穴を張り切って犯してやりましょう! 最終日。勝負は残り二つです。最初はトライアスロン対決! 参加する男子は三十人です」

これだけ体力を消耗している亜由美に、あまりにも過酷な課題だった。

ルールは、水泳を五十メートル、そのあと自転車で施設の外周を一周。最後にグランドの回りを一周。

もし初日だったら、亜由美は負けることはなかったかもしれないが、回復する間のない苛酷な日程で、蓄積した疲労はピークとなっていた。

「亜由美は、ビリでなければ勝利です! これは初勝利できそうですね」

ハンデはない。全裸である以外に、亜由美になにも課せられてはいない。

そう思われたとき、食堂に一台の自転車が持ち込まれてきた。壊れかけたママチャリである。

「ただし、自転車には一台だけ、こんなのが混ざってます。この自転車、サドルはなくてそこに、ぶっといディルドがついていますよー。これに乗る人は必ずこれを体の中にしっかり埋め込まなくては失格になりますからね。途中で外れたら、一周増えますから。男の選手はケツ穴にしっかり入れてくださいよ。亜由美さんは簡単だと思いますけど……」

それは亜由美のために用意されたものだ。三十人いる選手たちが、それを使うわけがない。彼らは失格になってもどうということはないのだ。

水泳でビリになった者が、必然的にその自転車を使うことになる。

水泳で勝てばいいのだ。

「では、いいですか。よーい、ドン!」

「えっ!」

食堂でいきなりスタートしてしまった。

男たちはみな出口に近いので、殺到していく。カメラの前にいた亜由美は最後尾になってしまう。

慌ててあとからいくが、男たちに突き飛ばされて、部屋を出ることもできない。

またしても……。

参加していない人たちが大笑いしている。ひっくり返っている亜由美を笑っているのだ。

男たちのあとから亜由美は走る。プールに行くスロープも男たちでいっぱいで、亜由美は彼らを追い抜くことができない。先頭集団はプールに飛び込んでいた。

カメラと審判役が随所にいて、目を光らせている。男たちもあからさまな不正はしない。

亜由美が飛び込み、泳ぐ。ただ泳ぐのだが、その水は相変わらず凍える冷たさで、体が重く、思うように進むことができない。

疲労困憊の中、プールをあがったとき、最後尾の男がスロープを上がるところだった。

負けたくない。あの自転車だけはいやだった。

スロープで最後尾の男に追いついた。男はぜーぜーと荒い息だ。その横を潜り抜けた。

残る自転車は二台。まともそうな方に亜由美が手をかけた。

すると、あとから来た男が体をぶつけてきて、亜由美が乗ろうとした自転車をひっくり返した。亜由美も吹っ飛ぶ。

裸の亜由美は地面を転がされるだけで、かなりのダメージだ。

「ひどい!」

反則もなにもない。力ずくで奪うしかない。

男は自転車を立て直している。亜由美が立ち上がったときには、手がわずかに届かないところにいた。そこから加速をはじめる。

亜由美はしばらくそれを追ってしまった。

「待て、このやろう!」

男は振り返ってニヤリと笑った。

亜由美の手は自転車に届かなかった。

肩で激しく息をしながら、まともな自転車が行ってしまったことに絶望する。

残されたディルド自転車に乗るか、あきらめるか。

結果は同じだとしても、このみじめな姿を撮影してもらう必要があった。それが亜由美なのだから。

亜由美は自転車に乗り、男たちに陵辱され続けている秘部に、ディルドを沈めた。

「むぅ」

痛みと悔しさで涙が出る。どれだけ拡張されたとはいえ、敏感な器官が鋼鉄になったわけではない。

異物に貫かれれば、痛いし、つらいのである。

そして漕ぎはじめる。ママチャリはスピードも出ない。

男たちの姿は見えない。

施設の外周へ出る。アスファルトの道だ。一般の車も通る。人里離れた、閉鎖された施設ではあったが、通行する車はあった。

裸の亜由美は、初夏の日差しを浴びながら、秘部を自ら痛め続けて、自転車を漕いだ。

最初は下り坂で楽だったが、ゴール付近になると上り坂になった。ふざけていたのか、数人の男たちがそこに固まっていた。

亜由美は全力を出してその五人ほどの集団を抜き去った。

ゴールしてグランドを一周すれば、ビリではないかもしれない。

はじめて希望を感じた。メス豚亜由美として飼い殺しにしてもらえる。恐ろしい拷問は受けずにすむ。

いや、どうせ、なんだかんだと言って拷問を受けることになるかもしれないが、少しは時間を稼げるかもしれない。

「うおー」

男たちが声を出しながら、猛烈な勢いで追い上げてきた。

抜かれたらオシマイだ。

亜由美はスピードの出ない自転車を必死に漕いだ。

最後の坂を登るところで、立ち漕ぎになっていた。夢中になっていたからか、拡張されて抜けやすくなっていたのか、スポッとディルドが抜けてしまった。

「惜しい! 亜由美、ディルドが抜けてしまいました! もう一周です!」

絶望的だった。もう勝ち目はない。希望は潰えたのだ。

それでも亜由美はもう一周して、グランドに戻ってきた。

男たちは全員ゴールしていた。

「大丈夫か、まんこ、ゆるゆるなんじゃねえのか」

「輪姦してほしくて、わざと負けたんだろ」

彼らのヤジの中、グランドを走った。

「亜由美の負けー。輪姦タイム! 午後四時まで!」

最下位でゴールした亜由美を裸になった男たちが迎える。

好天の下、野外でそのまま輪姦が始まった。

男たちはグランドを連れ回し、亜由美をあらゆる場所で犯して回った。

ベンチに押し倒して。

「ゆるマン亜由美、こっちに来い」

尻を叩かれ、ズボズボと犯される。昨日の状況を男たちは知っているので、アナルに拳を入れたまま性器に挿入する。

サッカーのゴールネットに逆さに縛り付けられて、口で何人もの精液を受けたかと思えば、二つの穴に腕を突っ込まれて潮を吹くまでなぶられる。

「昨日みたいに派手にやれよ」

「おれたちの愛撫じゃ、物足りないのかよ」

「ぎひぃぃ、イキますぅ、イク、イク、イク……」

自ら盛り上げてでも、亜由美は絶頂を迎えなければならなくなっていた。そうしないと男たちがやめないのだ。

用具の入った小屋の中に連れ込まれた。

グランドを整備するトンボと呼ばれる角材を組み合わせた大型の熊手のようなもの。その角材が、二つの穴に突き刺さる。

「ほら、グランド整備をしてみろ」

小屋から重いトンボを引きずって外に出る。

「あー、痛い!」

粘膜をえぐるように、角材が抜け落ちる。

「なにやってんだよ」

小屋に戻されて、男たちに犯される。

走り高跳びのバーを背負わされ、縛り付けられる。

そして赤いパイロンが用意される。小屋の中から、六個のパイロンが並ぶ。

「順番に、まんこ、ケツ穴の順で、三回ずつ入れて、次な」

小屋の中の一つに腰をおろし、性器でその先端を受け入れていく。

「もっとだよ」

男たちは、縛られたバーに手をかけて、亜由美をしゃがませる。

「ひぃぃ、切れる……」

「大丈夫だよ、おまえのガバガバなマンコならさ」

二個目はアナル。やはり上から押さえつけられ、男たちが満足するまで深く突き刺す。

入れれば入れるほど、わずか三回の上下運動でもつらくなる。

「あああ、きつい……」

「うれしいくせに」

三個、四個とパイロンの先端を濡らしながら、グランドに出ていく。

「亜由美、壊れてしまう……」

六個目で上下三回をしたところで、ようやく許された。

その横は水飲み場だった。

水道蛇口が四つ並ぶ。端には一つだけ噴水型の蛇口がある。

「いいものがあるぜ」

「おまえ、こういうの好きだろ」

バーで腕を拡げるように固定されたまま、そこに跨がる。

「うれしいだろ。熱くてどうしようもない穴を冷やしてやる」

男が栓をひねる。

「ひー、だめー」

激しい水流が膣を突き抜け、子宮にぶつかる。亜由美の女性器の中を水でいっぱいにしたあと、激しく逆流をはじめる。

「どうだ、気持ちいいか?」

「お願い、許してください……」

それでも、亜由美が小刻みに震えているのが男たちにもわかる。

「お、感じてきたんじゃないか」

「揉んでやろう」

男たちが乳房を揉みしだく。乳首を吸い、噛む。

「ひぃぃ、ダメです、ダメー」

白目を剥いて亜由美がのけぞる。男たちがそれを支える。

「蛇口の水でイっちゃった!」

男たちが大笑いしている。

「よーし、もっと感じさせてやれ」

水が激しく出たまま、亜由美の体を男たちが持ち上げては落とす。水流と蛇口を体内に入れたり出したりしながら、さらに快楽を増幅させようというのだ。

「ふひー、ゆるしてください」

声が小さくなる。

「失神しろよ」

ガックリと首が折れ曲がる。

「ホントに失神したぜ」

「演技かもしれない。そうだ、ケツ穴に入れてみろよ」

男たちは亜由美の体を持ち上げて、アナルに蛇口をいれていく。

ぐいぐいと水が腸内に入っていく。大腸が痩せた腹部に浮き上がっていくのがわかる。

「破裂しねえか?」

「もう少しぐらい、いいだろう」

「ぎえぇぇぇ」

亜由美が意識を取りもどす。自分の腹部が異様に膨らんでいる。

男たちが蛇口から亜由美を降ろした。

水流と同じような勢いで、肛門から水が噴き出していく。

「立ったままやってやがる」

「歩かせろ。グランドの水まきだ」

むりやり亜由美を歩かせると、水がそのあとにしたたっていく。

「もういっちょやろうぜ」

何回も腸内に水をパンパンに入れられては、グランドを歩かされた。

ようやく許されて、バーが体から外されたが、それからはまた元気を取りもどした男たちに犯されるのだった。

太陽が大きく西に傾くまで、男たちは名残惜しいかのように、亜由美を犯し続けるのだった。

卓球対決

輪姦終了後、風呂に入れられた。

亜由美への監視はさらに強化され、首輪からの鎖を会員が手にしたまま、体を洗い、湯船につかった。

逃げる気力はもうない。自分の運命がどうなるかは漠然とだが、わかっていた。

それでも剛介たちが、なにかを心配しているらしい。それが、ちょっとおかしく思えて、慢性的な苦痛に全身を包まれているというのに、亜由美は微笑みを浮かべていた。

宇辻の診察を受けた。宇辻は子細に粘膜をチェックし、そこにいくつもの傷ができていることを確認しておきながらも、「大丈夫だ」と断言していた。

宇辻はそれでも、ニッコリと笑みを返す亜由美に驚きを隠せない。点滴と注射を繰り返す。

「十番勝負その十。いよいよ最後です。この勝負に負けたら、亜由美は拷問調教を受けることになります。もっとも、すでに百七十八人という豊富な男性経験をお持ちの亜由美にとって、思い残すことはないでしょうね!」

そんなことを言われても、亜由美はどう答えていいのかわからない。

「亜由美! もうあきらめたんですか?」

「いえ。あきらめません。ぜったいに、勝ちます!」

「いいですね、その意気込み! それでは、最後の対決。卓球です!」

食堂に卓球台が用意されていた。

「参加選手は二十三人。亜由美が負けて輪姦となれば、これで、合計二百一人に犯されまくったことになります。ギネスに申請したいぐらいですね!」

最後にしては地味だと亜由美は思う。亜由美の体力が限界にきていることを考慮してのことなのだろう。

「二十三対一で対決です。男たちは勝っても負けてもワンボールで交代です。二十点を先に取った者が勝ちます。ただし!」

普通のルールではないのである。

「亜由美にはラッキーなルールです。亜由美はミスをして負けても、そのボールを体のどこかに入れてしまえば勝ちになります」

男たちがどよめくが、それはわざとらしい演出だ。

「亜由美は、体に入れたボールを試合が終わるまで出してはいけません。出したらその分は無効になりますので、男性のポイントになります」

ラケットを渡されたときに、亜由美は自分が卓球をしたことがないことに気づいた。子どもの頃に遊びでしたことはあったが、試合のようなことはしたことがなく、いま手にしているようなラケットを握った記憶がない。

とても勝ち目はない。

二十個ものボールをすべて体内に入れてしまえば、亜由美の勝ちになる。どう考えても、それはムリだろう。口に一つ、膣に二つか三つ、そしてアナルに。十個以上も入るわけがなかった。もし入るとしても、怖くて自分ではできそうになかった。

「開始」

ろくな練習もさせてもらえず、亜由美はラケットを握った。最初の四人はサービスエースでポイントを取っていった。ラケットにかすりもしない。

「ボールを入れさせてください」

亜由美は頼んだ。

少しは自信のあるアナルに四つのピンポン球を入れた。これぐらいなら、過去に何度もやっていた。フィストを繰り返されたこともあって、思った以上にすんなり、飲み込んでいく。

五人目も負けて、亜由美は性器に入れてみる。男たちの足まで受け入れるほどに拡がっている。指ごと吸い付くように深く入っていく。

自分の体が不思議なものになってしまっている……。

下腹部でごりごりとボールがこすれあい、体を動かすだけでもつらい。

そのせいか六人、七人とまったく動くこともできずに負けてしまった。

前に三つ目のピンポン球をなんとか入れるが、きちんと入っていかない。押さえつけるものはないので、自分で締め付けなければいけない。落ちれば、負けてしまう。

入れやすくなったということは、飛び出しやすくなったのでもあり、いったんは入ったボールが、すぐに顔を出してきてしまう。

「あれ、いやー」

ボールを出し入れしているうちに、妙な気分になってくる。

ぐいっと押し込むと、潮吹きにも似た液体がにじみ出す。

「感じちゃう……」

その場にしゃがみ込む。

「うわ、亜由美が試合中にオナニーをはじめちゃいました! どんだけ淫乱なメス豚なんでしょう」

「いやー、だめー」

声を出すが、止まらない。

指先がクリトリスをこすりあげ、のけぞって絶頂を迎える。

「困ったやつですねえ。まあ、しょうがない。どうしようもない女なんですから、大目に見てやりましょう。とにかく、亜由美はいま、七個のピンポン球を入れているので、〇-七で亜由美が勝っています!」

だが、その後も亜由美は球を返せない。サーブをさせても入らない。なにをしてもダメで、お尻に次々とピンポン球を入れていくが、八個入れたところで、限界がきていた。

少し動くと、腹部で腸内のボールが下腹部を押し上げて、膣から飛び出してしまう。

「あー、亜由美、ポイントを失うか!」

とっさに亜由美はそれを口に入れた。一つぐらいなら口にも入る。

前に三つ、口に一つ、お尻に八つ。十二個が限界のようだった。

その後も負け続け、試合は終わってしまった。

「亜由美、オナニーショーも虚しく、またしても負けました。十番勝負。全敗です! 拷問決定! その前に、お楽しみ輪姦タイム!」

食堂で二十三人に犯される前に、亜由美はテーブルの上でピンポン産みの芸をさせられた。

しゃがみ、すべてをさらけ出す。男たちの好奇の視線を受けながら、「亜由美は、ピンポン球を産みますから、ご覧ください」と言わされる。

とろりと糸を引きながら、性器の奥から次々とボールが現れてはテーブルに落下する。

三つのボールをそれほど苦もなく産み落としてみせた。

「アナルからも産みます!」

いきみ、一つ、また一つと排泄する。腸液にまみれたボールが産み落とされるたびに男たちが喚声をあげる。

「あひぃ、出ない……」

四つまでは順調だったが、五つ目からはなかなか出てこない。

肛門が盛り上がり、脱肛しているように見える。

ほとんど無感覚になりつつあったが、五つ目がぽとりと落ちた。それに続いて六個目も落下する。

しかし八個のうち二つが出て来ない。

「どうしよう……」

男たちはがまんできなくなっていた。

「もういい、やっちゃえ!」

輪姦を開始した。

テーブルから引きずり降ろされると、男たちは亜由美の口、性器、肛門を蹂躙していく。

「もうやめて……」

亜由美は泣きながら犯され続けた。

「うるせえ、どうせ拷問行きだ。そうなったら、二度とこんな風に抱けなくなるかもしれないぞ」

「そうだ、しっかり味わっておこうぜ」

「たっぷり喰らわせてやる!」

体に受ける痛みよりも、すべて負けてしまったこと、そして拷問が決定したことが悲しかった。

四日目の夜も更けていき、深夜にようやく輪姦も終わった。

「みんな、ちょっとだけ待ってくれないか」

男たちの中には、帰宅しようという者もいたが、剛介たちがそれを引き留める。

淫らな臭いに満ちた食堂の窓をあけて、空気を入れ換えながら、ゲー研の園田が残っている者と亜由美に告げる。

「どうだ、亜由美。このまま負けてしまって悔しくないか? このまま拷問でいいのか?」

亜由美は朦朧としていて、言葉がよくわからない。

「みんなもどうなんだ。このまま亜由美の体がズタズタにされてしまうかもしれない。まだまだやりたりないだろう? どうだ?」

男たちが「おー」と答えている。

「亜由美。泣きの一回を頼む気はないか? おれたちだって鬼じゃない。これだけ過酷な十番勝負をやり抜いたんだ。輪姦も延べ二百人超えだ。それに免じて、あと一勝負やらないか?」

「え?」

「それに勝てば、帳消しにしてやる。つまり、拷問はしない。メス豚として飼い殺しにしてあげる」

考える力が出ない。彼らは亜由美をもてあそんでいる。瀕死の虫から、羽や手足をもぐように……。

勝てるわけがないのだが、その言葉にすがるのだった。

「はい、お願いします」

「じゃあ、ちゃんと頼むんだ」

精液だらけの体で、亜由美は土下座し、「お願いします。あと一回だけ、勝負してください」と頼んだ。

「よーし」

園田の態度が一変した。園田が欲しかったのは、亜由美の土下座と懇願だったのだ。

その前の園田の言葉はどうでもよかった。そこは映像としても使うつもりはない。

「亜由美がそう言うなら、やってやってもいいぞ。ただし、泣きの一回は、拷問と同じぐらいきついぞ! それでもいいのか?」

「え?」

園田がそそのかしたはずなのに。

亜由美はそう思うが、もうあとには引けない。

「はい。お願いします」

その言葉に男たちは笑みを浮かべていた。

「お願いします、お願いします」

土下座を続ける亜由美を、撮影し続けた。

サッカー対決

「よし。十番勝負番外編。泣きの一回は、サッカー対決だ。参加したいやつ!」

たちまち食堂は熱気がよみがえる。参加者は三十八人になった。まだ亜由美を犯したりないのである。

剛介がやってきて亜由美の体に縄をかけた。

「ありがとう」

なにをどう勘違いしたのか、亜由美が礼を言うので、剛介はびっくりした。

「縛ってくれてありがとう。私、剛介に縛ってもらうのが、一番好き」

剛介の指先が微かに震えた。

乳房に腕に、股間に縄をかけていく。美しさよりは、苛酷な勝負の仕掛けとして、よりきつく縛っていた。

「すごいわ。体が熱くなる。こんなに苦しいのに……」

語尾が剛介には聞き取れなかった。亜由美もはっきり言わなかった。

それでも二人は同じ言葉をイメージしていた。

うれしい……。

亜由美は喜んでいる。剛介にはそれが、自分で抱えられないほどの重みに感じられた。

だから、受け止めることなく、そのままスルーしてしまう。卑怯だと思うが、剛介にはそれしかできなかった。

グランドに出る。

なま暖かい風。瞬く星。深夜のグランドにサッカーゴールが照らされていた。

ゴールの左ポストの二メートルほど前に一本の支柱が突き刺さっている。

亜由美はそこに縛り付けられた。わずかに頭、両足の膝から先が使える程度の自由しかない。

「いまから三十八人が一球ずつ亜由美にパスをする。それを亜由美はゴールすればいい。簡単だろ? 半分決めたら亜由美の勝ちと言いたいが、これまでの勝負を見てきて、あまりにも亜由美がダメだから、今回は十本でいい」

剛介がじっと見ている。亜由美はなにも聞いていない。言われるままに懇願し、十一番目の勝負まですることになったが、それはなんの意味もないことだとわかっていた。

勝ち目はなく、勝つつもりもなかった。

「それから、三十八人は、とんでもないところに蹴ったらダメです。亜由美がプレーできる球をパスすること。ちゃんと亜由美のところにボールがいくまで蹴っていいことにします。蹴る位置は、ゴールエリアの反対側のラインよりも外からにしてください」

プロの試合を参考に考えると、亜由美のいる位置にパスがわたれば、ほぼ確実にシュートを決めるだろう。キーパーもディフェンダーもいないのである。

クロスパスやセンタリングよりも近いのだから、シロウトでもかなり高い確率でゴールできるはずだ。

もっとも亜由美は自由がない。経験もない。反応することさえ難しいかもしれない。

最初の一球は、地を這うゆるいパスで、亜由美は足を出して角度を変えればゴールできるはずだった。

「いたっ!」

出した足に当たったものの、素足では緩いボールでもうまくコントロールできない。激しく当たっただけで、勢いが削がれることなく、ボールは後方へ転がってしまった。

二球目は亜由美の腹部にめり込むが、もちろんコントールできるわけもなく、点々とゴール前を転がっていってしまった。三球目は太ももにあたって外側に弾かれ、失敗。

ようするに亜由美にボールを当てることが目的になっていた。それも、コントロールしてゴールするには難しい角度、強さで。

ゴールできないのは亜由美の問題というわけだ。

男たちのパスは、手加減がなかった。

「うっ」

ドスッと乳房に食い込むボールの音に続いて、亜由美のうめき声がグランドに何度も響く。

亜由美にボールが当たるまで、やり直しができる。

「ひっ」

顔にも、腹にも容赦なくボールが食い込む。

「ヘディングしろよ!」と怒鳴るヤジ。

「そうだ、飛べよ、飛べって」

縛られているからムリなのだが、周囲はおもしろがっている。

「あぎっ」

膝に当たったボールが偶然顎に入る。

「あぐっ」

地面でバウンドしたボールが股間にぶつかる。

競技というよりもリンチに近い。

白かった肌に、ボールの跡がついていき、黒ずんでいく。

二発ほど偶然にもゴールに入ったが、ほかは亜由美を痛めつけるだけだ。

三十人が蹴った段階で、二発しか成功していない。

「あと一人で亜由美の負けが決定します」

三十一人目が蹴ったボールはふわっと浮いた。亜由美は目をつぶって衝撃に耐えた。当てる気持ちはまったくなかったが、頭の横に当たったボールがそのままゴールネットを揺らす。

「うおー」

思わず男たちから喚声が上がる。

「亜由美、土壇場で最高のシュートを決めました。すばらしい執念です」

頭を打って、亜由美は朦朧としていた。

三十二人目のボールが右の乳房を直撃し、ゴールとは反対の方向へ虚しく転がっていった。

そこでゲームは決着した。残りをすべてゴールしても、亜由美に勝ち目はない。

「あー、残念。泣きの一回も失敗してしまいました。お約束の輪姦タイムです。とうとう拷問を受けることになっちゃった亜由美。これがまともな姿で犯せる最後の機会でしょう。ぜひ、みなさま、ご参加ください。制限時間は夜明けまでといたします」

あっという間に男たちが群がって縄をほどいた。

唇を切って血を流し、全身にボールによる痣ができている亜由美を、獲物のように合宿所に連れ帰っていく。

「なお、この番外編の勝負を含めると、輪姦の延べ参加者は二百三十九人となりました!」

無責任に明るいアナウンスがこだまする。

「やめてー、殺してー」

いつになく、亜由美は抵抗していた。

「だめー、もう、あんたたちなんてうんざり!」

男たちは無視して亜由美にのしかかる。

亜由美が手足をバタバタさせ、それがたまたま男に当たったところで、ほとんど力が入っていないので、痛くはなかった。

「ちくしょう、くやしい! 死にたくない!」

犯され続ける亜由美は、しばらくわめいていた。

剛介と園田はその有様をみていて、微笑んでいた。

「やっと亜由美もホンネを出しているみたいだな」

「そうですね。しぶとかったですねえ。でも『殺して』と言っておきながら『死にたくない』なんて」

園田が声を出して笑う。

「普通の状態じゃないんだから。その迫力がきっと映像にも残されていると思うよ」

「ええ。亜由美はホントに命をかけてやってくれていますね」

「もちろんだ。こっちだって命がけだ。そうだろ?」

「ええ、まあ」

「とことんやるぞ」

剛介が宣言した。

園田は少し声を落として。「ええ」と答えた。

「ここまで来たら、いくしかないですから」

「あたりまえだ。総会を覚えているだろう。あのとき、おれたちは全員で覚悟を決めたんだ。この日が来ることはわかっていたはずだ」

園田は返事をしない。

モニターに映し出されている、泣き叫びながら犯されている亜由美をながめている。

足を限界まで拡げられ、男たちがのしかかる。

「二本、入れてみようぜ」

女性器に二本のペニスを入れてみようとする男たち。

亜由美はもう声も出ず、されるがままになっていた。

あわれで美しい、小さな生き物。

園田は目を背けた。

拷問の日

あまりにも激しい日々だった。

自分の部屋に戻っても、亜由美はしばらくぼんやりしていた。

いつの間にか、部屋は元に戻されていた。ベッドもある。ベランダの小屋はなくなっていた。ライブ用のカメラはまだ一個だけ残っている。

終わったのだろうか。

なにもかも、これで終わったのか。

そんなはずはない、と亜由美は思う。剛介たちに捨てられたのではないか。元に戻す意味がどこにあるというのだろう。もう、後戻りなどできないところまで来ているのに。

陰部も肛門も宇辻がウソの太鼓判を押し続けた結果、痛みが引かず、暴力的な性行為で無数の傷と内出血が残っている。

消毒と痛み止めのクスリでどうにかなる状態を越えているのではないか。

合宿所の後片付けを全員でして、午後にはバスで戻って来た。

亜由美はぐったりとして過ごした。カメラを回す者もいなかった。全員がくたびれ果てていた。

部屋に戻されて、剛介たちは再びどこかへ行き、放っておかれた。

「この部屋はキライ」

最後の思い出は、二人の兄に犯されたことぐらいだ。

剛介たちにオモチャにされた頃が懐かしい。

冷蔵庫に誰が入れたのか、飲み物や果物が入っていた。亜由美は夏みかんを食べ、抹茶のアイスを食べた。まったく現実感が得られない。

抜け殻のようだ。

ふと、ベッドの上に郵便物が大量に置かれているのを見つけた。

ほとんどがDMだった。そこに自分の名が記されているのも、不思議な気がした。

亜由美、という宛名に、現実感がない。それは自分が演じてきた役の名前ではないか。

だとすれば、自分は誰なのか。

一通の白い封筒。手書きの宛名。裏を見ると差出人がない。

いやな予感がして封をちぎった。中からは三枚の紙が出てきた。

一枚目は、亜由美の父親名の手紙だった。短い文面だ。手書きではない。プリントアウトだった。

「自由に生きることを望むとのこと、了解した。以後、当家の娘であると名乗ることを禁じる。私たち夫婦の相続人からも外すように遺言を書き換えている。どこでのたれ死にしてもかまわない。当然、学費、仕送りの送金は打ち切った。無駄になった入学金や前期の学費、敷金を返還しろとまでは言わないが、自分がしていることの償いを自分ですることだ」

二枚目以降に、兄からの手紙があった。どういうわけか、亜由美のしていることが父母にバレて、母親はショックを受けて寝込んでしまった。

父親はいろいろ手をつくして亜由美との縁を切ろうとしたが、実の親子である以上、できることは少なく、亜由美を殺して自分も死ぬとまで言うのを、兄たちが止めた、とある。

「こうなった以上、もうどうにもならない。おれたちから、亜由美に会って話を聞いたということにして、父親には亜由美が自由に生きたいと言っているのだから、好きにさせてあげてくれと頼んだ」とあった。

不思議と、涙は出ず、感情も動かなかった。

「母のことは心配するな。両親にはおれたち兄弟が、遠くからおまえの行動は見張っていると言って安心させている。ただ、許可なく家に帰ってくるのだけはやめてくれ」

それは兄たちも都合が悪いだろう、と亜由美はややひねくれた気持ちになった。

妹を犯していった兄たち。

家族崩壊の儀式はあの夜に終わっていたのだ。

ただ、困ったことに、仕送りもなく、学費も払えない。この部屋の家賃も、だ。

「どうだ、少しは落ち着いた?」

剛介が一人で戻って来た。

「どうした。なにがあったの?」

亜由美は剛介を見たとたん、感情が弾け、涙があふれてきた。

「おい、泣いていたらわからないよ」

手紙を剛介に渡した。剛介はそれを丁寧に読んだ。

「こうなることは、ある程度はわかっていたんだろう?」

亜由美は返事をしなかった。嗚咽するだけだ。

この数日の痛みが、一度に全身に襲いかかってきたようだ。

「大丈夫だよ。おれたちがなんとかする。いや、亜由美自身でなんとかできる」

剛介は尻のポケットから紙を取り出した。

「見ろ。これはおまえの取り分だよ」

亜由美はそれを手にした。英文だ。振込明細。ドル建ての金額。それがどのような意味を持っているのか、まったくわからない。

「大きなスポンサーがついたんだよ。応援してくれている人たちがいる。これはまだ最初にすぎない。これからもっと稼げるはずだ」

ますます非現実的に思えた。

「亜由美が、自分らしく生きる。それだけで、お金になるんだから、すごいよね。ゲームが完成したら、もっとお金になると思う」

「つまり、わたしは、これを続けるしかない?」

「それが亜由美の生き方なんだよ」

そんな風に考えたことはなかった。

「ともかく、心配することはないよ。今回の合宿でも、あれだけのやつらが参加してくれたんだ。これって、スゴイことなんだ」

剛介がどれだけ力説しても、いまの亜由美にあるのは絶望だけだった。自分をいたぶり、辱めるために集まった人たちを、受け止めることなどできない。

「それよりも、どうする? 亜由美に一応、聞いてみようということになったんだけどね」

「え? どういうこと?」

「ゲームづくりに必要な画像はほとんどカバーできた。ゲー研の連中はいま徹夜で作業に入っている。これ以上、素材を増やしても、処理が追いつかない」

「やめるってことですか?」

それで部屋を元に戻したのか。

「ぼくは、彼らとは考え方が違う。追いつかないといったって、いつか作業は終わる。それよりも、いまの亜由美、この状態の亜由美は、この瞬間しか存在しない。間をあけたら、亜由美は別人になってしまうかもしれない。この一連の流れの中で完結させるべきだと思う。亜由美はどう思う?」

「わかりません」

「もっと激しいことをしたいんじゃないの? 毎日輪姦されてきたけど、それって暴力的で激しいものだったとはいえ、セックスには違いないよね。人が長年かけてやる量を短期間にやっただけのことだからね。でも、残されたシナリオはまったく違うよ。亜由美の肉体の限界を試すことになると思う」

亜由美はぼんやりと剛介の言葉を聞いていた。

「正直、ゲー研の連中は亜由美を大切にとっておきたいと思ってるんだ。クリスマスケーキみたいなものさ。だけど、ケーキには賞味期限がある。冷蔵庫に入れておいても、放っておけば、いつかは食べられなくなってしまう。大事に置いておけばいいってわけじゃない。それなら、美味しいときにちゃんと食べてあげるほうがいい」

ひどいことを言っていると、亜由美は思う。自分に賞味期限があり、それが間もなくやってくる……。

それもいいかもしれない。

いっそ、早く期限切れになれば、もっと楽になれるのではないか。

「わかりました。なんでもします。よろしくお願いします」

考えてもしょうがない。

「うん。そう言ってくれると思った。じゃあ、さっそく支度をしよう」

「支度?」

「もうこの部屋に戻ることはない。スーツケースに必要なものを入れるんだ。残りはこっちで処分する。仕送りがなくなったら、家賃も払えないだろう? いまのうちに退去しちゃおうよ」

帰るところも、住む場所も失う……。

それも淫乱メス豚らしいではないか。

「わかりました」

「じゃあ、決まりだね。手伝うよ」

荷造りは簡単だった。部屋にある物には、いまはそれほど興味がない。スーツケースなどいらなかった。ボストンバッグとトートバッグだけで十分だ。しかし、剛介はなぜかスーツケースにこだわり、荷物をそこに詰め込んだ。

素肌の上に黒いワンピースを着た亜由美は、剛介とタクシーに乗った。

「どこへ行くんですか?」

「実はね、亜由美を気に入っているスポンサーが、すてきな場所を用意してくれたんだよ」

大学とは正反対の方向にしばらく行くと、繁華街に出た。雑居ビルに連れていかれた。

剛介は鍵を持っていて、ビルの脇にある鉄のドアを開けた。地下への階段があった。それを降りる。そのドアも剛介が開けた。潰れた飲食店のような印象だ。

中に入り、剛介は電源を入れた。

狭い入り口。仕切りがあり、そこを曲がるとオフィスのようなドアが左右に二つ。そこを無視して奥へ進む。正面のドアも鍵で開ける。

広い部屋があった。中央に風呂のような水槽。床はコンクリートが剥き出しで、わずかに傾斜し、排水口がある。最近、掃除をしたらしく濡れている。壁際には四つの細長い台が並ぶ。防水シートをかけられているので、下になにがあるかはわからない。

剛介は電源のスイッチを入れていく。高い天井から何本ものスポットライト。

壁も天井も黒く塗られている。入り口から入ってすぐ左側の壁だけはアクリルが全面に張られているようで、それが実質的に鏡のように反射している。

おそらくそれはマジックミラーになっていて、向こう側から、この部屋がよく見えるのではないか。

亜由美はぶるっと震えた。

寒いというだけではない。天井には縦横にレールが走り、そこから何本もの太い鎖が下がっていたからだ。

これは拷問の部屋なのだ。

「注意事項はあまりないよ。亜由美はここでしばらく過ごすことになる。普通の生活はできないけどね。それからぼくたちは、あんまり亜由美の前には姿を見せない。ちゃんと見ているから安心していいよ。すべては完璧にコントロールされているんだからね。ここでは、あのバスケットボール対決に参加してくれた外国人たちが、亜由美の面倒を見てくれる。言葉は通じない。彼らは英語も日本語も話せないんだ。もっともかなりのインテリらしいから、英語もフランス語も得意らしいけど、通じないって設定だから……」

いま剛介が言ったことを瞬時に理解することなど、亜由美にはできなかった。言葉の残像だけが脳裏に焼き付いた。

「それじゃ、楽しんでね」

「行っちゃうの?」

「すぐそこにいるよ」

マジックミラーとなっている壁を指さした。

「これは向こうに置いておくから」

剛介は、亜由美のスーツケースを手にして部屋から出ていった。

ドアが閉じ、そこは亜由美にとっての牢獄となった。

剛介は別室から亜由美を見ていた。マジックミラーの向こうにある部屋だ。四台のカメラが三脚にのっている。冷蔵庫、パソコン、ソファーベッドなどが並んでいた。

携帯が鳴った。末土教授が到着したようだ。

しばらくすると、ノックして末土教授が入ってきた。

「間もなく、誰か来るはずだよ」と剛介に言う。

剛介はいまだに末土教授のプランをよくわかっていなかった。場所、機材そしてプロの拷問担当者をスポンサーが用意していた。あとは亜由美の肉体があればいい。

合宿の間に、亜由美の会のメンバーたちが手分けして対応していたのである。

ただ、剛介は亜由美と会話をしたときの末土教授の言葉が気になっていた。

「君はぼくの拷問を受ける気はあるだろうか?」

亜由美にそう言ったのだ。

そこで合宿に入る前から、剛介は末土教授と何度か会って、話をしていた。そして亜由美も知らない裏事情、つまりスポンサーの件などを正直に打ち明けていた。

「じゃあ、今後、ぼくの講義で毎回、恥ずかしい思いをさせるのは困難だね。残念だよ」

「代わりを見つけることはできますよ」

「うん」

小説『亜由美』第三部 亜由美シリーズ 第3部 (3/6)
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