左手の指を片側の内腿にかけ、ひろげるように引っぱった。ふくらみの一方がひきつれて、指の入っている部分が大きく歪んで開いた。開いた個所から美しい露が溢れでた。
素早く中指を抜いた啓太は、すぐさま親指を送りこんだ。他の四本の指が、恥毛やヴィーナスの丘を撫でさすった。
そうしているうちに、V字形に開いた人差し指と中指の間に、ごく自然に尖った肉芽が挟みこまれた。割れ目をうがつ親指とともに、二本の指も上下左右に動く。すると挟まれた突起も歪んだ動きをみせる。
啓太は、この小さな世界のさまざまな変化が楽しくて仕方がない。だから、よけいに夢中になる。なれば陽子が、世にも愛しいよがり声をあげてのた打つ。決してあきることのない遊戯であった。
「いやーッ……あっ……あああー!……」
陽子はいつしか嗚咽をもらし、身悶えた。
「ママ、いいの? ね、言って……ママ、気持ちいいんだろう? ねえったら」
上目づかいに母の顔を見あげたが、揺れる乳房が邪魔をして、よく見えない。啓太は二本の指の間に顔を覗かせているクリトリスに舌を這わせた。
何か変化が起こるだろうという期待は、見事に的中した。
「うわわわッ、そこはいや……あーっ、いいわ……いいの……ママ、変になっちゃう」
矛盾した母の声は、こよなく美しく、歓びに充ちていた。
啓太は顔をびしょびしょに濡らして舌を使い、指を使った。
陽子は自分が何を言っているのか、まるでわからない。だが、声をあげていなければ、奈落の底に沈んでしまいそうな不安に襲われていた。だから、必死でわめきつづけた。
体の奥を揺るがすような何かが、脳天に突き抜けた。
「イッちゃうゥッ」
短く叫んだ陽子の五体が棒状になって、ビリリッと震えた。啓太は、割れ目が強い力で収縮するのをしっかりと受けとめた。ほんの少し浮きあがった腰がガクッと落ちると、陽子はおとなしくなった。
男が射精したのと同じ状態なんだ……。
啓太は啓太なりの解釈をして、じっと母の秘唇を眺めた。
親指は、まだ強い締めつけにあっている。指を引き抜いた。指のあとを追うように、ほんの少し濁った愛液が流れでてくる。
ツーンと酸の匂いがあたりに漂い、啓太は鼻を鳴らして母の匂いを吸いこんだ。今まで体験したことのない、いかにも女っぽい匂いである。
啓太がそっと上半身を起こした。
陽子は眉根に浅く皺を寄せて、少し苦しそうな表情で目を閉じている。だが、決して苦しくてそうしているのではないことを、啓太は知っていた。いや、むしろその逆であることを……。
媚液で濡れた亀裂は、まわりの粘膜の収縮によって、ゆっくり閉じつつあった。啓太は、そこが女の秘められた場所の入口であることを悟った。
上に向いた陰茎をねじ折るようにして下に向け、母の左側に片手をついて体を支えると、一気に腰を押しすすめた。
一瞬、啓太は目がくらみ、体をガクンッと母に預けてしまった。それが幸いした。体重と一緒に、膨張した分身がスッポリと膣内におさまってしまった。
「やめなさい……あっ、いけないわ……駄目、啓太……」
しかし、啓太は母の首筋にしがみついて、離れようとはしなかった。
下手に陽子が動いたのがいけなかった。啓太にいらぬ刺激を与えたものだから、一挙に強烈な快感が彼を見舞った。夢中になって右手を使うときの、あのゴツゴツとした痛い感じではなく、ヌメヌメとしていながら、どこか優しく包んでくれる感じがたまらない。
啓太は恥骨が痛くなるほどグリグリと腰を押しつけた。
「駄目、駄目……ああ、どうしよう……ママ、怖いわ」
肉襞に擦りつけられる息子の熱い肉棒は、陽子に甘美な感覚をもたらした。恥毛が絡み合ったその下で、ツヤツヤと輝いたクリトリスが、擦られる歓びに泣いた。
啓太は深くて甘美な世界に浸りきった。この世のものとも思われない快楽が、啓太を包みこんだ。女体に憧れつづけてきた啓太を、母の体は決して裏切りはしなかった。
「ママッ……」
全身が火花の中で爆ぜる思いである。脳髄が痺れた。背骨が軋んだ音をたてて、砕けたかと思った。
その瞬間、女芯に突き刺さっている砲身が火を噴いた。ドッとばかりに熱い樹液がほとばしり、陽子の子宮を直撃した。
母は我が子の歓びのしるしを、確かなものとして受けとめた。同時に陽子もまた、我が身が中空高く舞いあがるのを感じた。
「ああああ……ママ、イッちゃう!」
ひとつに溶け合ったふたりの粘膜は、そこだけ別の生き物のように、いつまでも絡み合い、ひしめき合い、歓びを分かち合っていた。
このときを境に、二十一歳の多感な少年の心に内に、今までよりいっそう強く、激しく、そして鮮明に、母のすべてが焼きつけられたのである。
第五章 ママよりも肉芽が大きい……
翌朝、啓太が目覚めて階下へ降りていくと、陽子は、すでに出勤していたお手伝いさんと談笑していた。
啓太がまぶしそうに母を見たのに較べて、陽子はまったくいつもと変わりなく、笑顔で我が子を迎えた。
啓太は正直なところ拍子抜けした。そして内心、ほっとした。いつもよりさすがに口数は少なかったが、ともかく啓太もまた、ごく普通に話すことができたのである。
学校へ行くと、啓太は聡一に昨夜のことを話したくてたまらなくなった。しかし、なんとかその誘惑に耐えた。
聡一の場合、相手は血のつながりのない義理の母である。それにひきかえ啓太の相手は、本当の母だ。とにもかくにも、自分を産んでくれた母が相手である。やっぱり話すべきではないと思った。永久に、母と自分だけの秘密にしておこうと心に誓った。
しかし、啓太の態度には、どこかにいつもと違った雰囲気があったのだろう。さすがに仲のいい聡一は学校帰りに啓太に声をかけてきた。心配ごとがあるなら相談に乗るという言い方で。
「別になんでもないよ」
啓太は即座に否定した。しかし、それがかえってぎごちない印象を与えた。
「水くさいな」
聡一は広尾の喫茶店に入ると、少し淋しそうな表情をした。ぼくはなんでも君に話しているのに……。そんな目をして、啓太を見た。
「実は……」
「なんだよ」
聡一が笑顔になって身を乗りだした。
「女のことなんだ」
「それで?……」
やはり、母とのことは口が裂けても言ってはならないことだと、とっさに判断した。
「悪いんだけど、また誰か紹介してくれないか」
「なんだ、そんなことか」
聡一は、今度は白い歯を見せて笑った。こんなときの聡一は、いかにも女の子にもてそうだった。
「今度こそ、うまくやってみようと思うんだ。今までは失敗ばかりだったけどさ」
話しているうちに、啓太は、本当にうまくやっていけそうな気になった。
ひょっとすると、ママとあんなことになって、少しは女について知ったからかもしれない……。
「実は、紹介したい女がいるんだよ。ただ、今までが今までだったから、押しつけるみたいなのは悪いと思ってたんだ」
「どんな女の子?」
「それがさ……」
聡一が紹介したがっているのは、やはり大学二年生で、広尾からそれほど遠くないところにある女子大生である。
「でも、あそこはお嬢さん学校じゃないのかい?」
「世間的にはそうだけど、中にはいろいろな女がいるさ。例えば、我が校のぼくみたいに」
いいや、そんなことはない。君みたいな存在は我が校には貴重だよ……。
啓太はそう言いたかった。だが、口の中に呑みこんだ。いかにもお世辞めいていやだったからだ。
「じゃ、さっそく呼びだしをかけてみる」
聡一は出口に近いところにあるピンク電話に向かった。その間、啓太はぼんやりと昨夜のことを想いだしていた。
すると、たちまち下半身がムズムズと膨らんできた。昨夜、何回も放出したというのに、分身はかえって敏感になっているようだ。ちょっとしたことにもすぐに反応してしまう。
「夕方以降ならいいってさ。だから一応、六時に決めておいたよ」
「今日なのかい?」
「善は急げ。いや、セックスは急げか……」
聡一の秘密めいた言い方に、啓太は少し赤くなった。
啓太はぼくを憐れんで、一刻も早くセックスを体験させようとしているんだ……。
その思いがよくわかっているだけに、啓太は聡一の性急なやり方を非難する気にはなれなかった。
「相手はT学園の二年生で、名前は松平貴美子。エアロビクスのレッスンの帰りになるから、スポーティな格好でくるってさ。目印はミラ・ショーンのショルダーバッグ。ショルダーのベルトに白いリボンをつけてくるから、すぐにわかる。場所は……」
「ちょっと待ってよ」
啓太はあわててさえぎった。
「君も来てくれるんだろう?」
「いや、ママと約束してるから駄目」
「…………」
「明日は休みだから、今夜からドライブさ。行き当たりばったりだけど、おそらく富士五湖方面だと思うよ」
「でも、ぼくひとりじゃ……」
「彼女には、もうそう伝えたよ。彼女は君のことはわからないから、絶対に君から彼女を見つけるんだよ。いいね」
啓太はまだ見ぬ相手に不安を持ったが、聡一によると〝なかなかいい女〟ということだった。それに処女じゃないから、場合によっては今夜中にできるかもしれないという。
家に帰ると、母の陽子はどこかに出かけてしまっていた。
「ママはどこへ行ったの?」
「さあ、何もおっしゃいませんでした」
近くから通ってくるお手伝いさんは、夕食の支度をしながら、見向きもせずに言った。
いつもなら、必ず行き先は言い残していくのに……。
啓太は心に引っかかるものを感じながら、両親の寝室のドアを開けた。きちんと整頓された部屋には、香水の残り香がしていた。
ベッドに引っくりかえると、昨夜のできごとが頭の中に鮮烈に甦ってくる。
「ママ……」
啓太はベッドの上を二転三転しながら、小犬のように鼻を鳴らして、母の匂いを嗅ぎとるのだった。
啓太は、お手伝いさんが作ってくれた夕食をそのままにして家を出た。
「せっかく作りましたのに……」
背中でお手伝いさんのブツブツ言う声が聞こえた。
「小母さんが食べてよ」
帰ってきたら、きっと綺麗に平らげてあるに違いないと思った。
啓太は約束の場所へ五分前に着いた。
六本木といえば、アマンドの前が待ち合わせ場所としては有名である。しかし、聡一は防衛庁前を指定したので、啓太は、いかめしい自衛官が立番をしている正門近くをウロウロする羽目になった。
六時きっかりに、街のどこかで時報を告げる鐘が鳴った。そのとき、正門前の信号を渡ってくる背の高い女の子がいた。
黄色いミニスカートが可愛い。ミラ・ショーンのショルダーかどうかはわからないが、とにかく白いリボンがついている。
不安だったが、啓太はその子に向かって笑顔を投げかけた。
「ああ、あなたが西田さん?」
人なつっこい笑顔で近づいてきたその子は、「松平貴美子です」
と、ていねいに頭をさげた。
確かにいい女である。本当にこんな子がもうバージンを失っているのだろうか……。
啓太は、自分と同じくらいに背の高い貴美子の横顔を盗み見ながら、不遜にもそんなことを考えていた。
ともかく、ふたりともお腹が空いているということでは意見が一致していたので、食事をすることにした。
「私、しゃぶしゃぶが食べたいわ」
貴美子にあどけない顔で言われたとき、啓太は内心ギョッとした。いつだったか、親子三人でしゃぶしゃぶを食べたとき、父の啓造が四万円近い金を支払ってるのを見たことがあるからだ。
「一人二千五百円で食べ放題なの。ケーキからアイスクリームまで面倒見てくれるんだもの、絶対にお得よ。ただし、お肉はそんなによくないけどね」
うんざりするほど食べられるというので、貴美子推奨の店へ行った。
雑居ビルの五階にあるその店は、安いだけに、若者たちでかなり混雑していたが、さいわい空いているテーブルがあり、ふたりはすぐに座れた。
セルフサービスなので、貴美子がてきぱきといっさいの用意をしてくれた。とても気さくそうな女だという啓太の第一印象は、ほぼ当たっていた。
「こういうお店は、アルコール類を注文しないと気の毒なの。だって、そういうものでしか儲けが出ないんだもの」
貴美子はワインを注文するときに、弁解じみたことを言って舌を出した。
「今日は初めて会ったんだから、ワリカンよ」
全部の勘定が七千円ほどだったので、啓太は自分が出すもりでいたが、貴美子はそう提案して、きっちり半分を啓太の前に差しだした。
帰りがけ、エレベーターの中で、啓太の顔を見た貴美子がクスクスと笑った。
「あなた、すごく赤い」
「だって、アルコールなんて飲んだことないから」
「ふふふ、可愛い……」
「生意気言うなよ」
啓太は、初対面の女の子に対して、これほど気持ちが弾んだのは初めてであった。
「ね、私たちのアジトへ寄らない?」
「アジト?」
「秘密の隠れ家……」
啓太は急に興味を持った。
貴美子は電話ボックスに入ってアジトに電話を入れたが、誰も出ない。
「オーケイ、部屋は空いてるみたい」
「共同で借りてるの?」
「そう、三人でね」
いったいどんな生活をしている娘たちだろうと思ったが、聞かないことにした。こういう娘たちに対して、あれこれ詮索するのは賢明でない気がしたからだ。
共同で借りているというマンションの一室は、六本木から青山墓地へ抜ける通りの一角にあった。最上階にある部屋の窓からは六本木の灯が見えたし、裏のバスルームの小窓からは青山墓地の暗がりがひろがっていた。
ベッド以外に家財道具らしいものは見当たらなかったが、すべて壁面にハメこみ式になっている近代的設備の部屋である。いかにも金持ち娘の道楽という気がした。
「ねえ、シャワーを浴びてくれない」
部屋に入ると、啓太はいきなり命令口調で言われて面くらった。そんな必要はないという気がしたが、逆らう気にもならない。
シャワーを浴びていると、いきなり素っ裸で貴美子が入ってきた。
「…………」
あわてて出しっぱなしのシャワーを貴美子に渡して、啓太はバスルームを出ようとした。
「駄目よ、洗ってあげるわ」
貴美子が立ち塞がるように前に立った。啓太はまともに貴美子のすべてを見ざるを得なかった。
胸の隆起はそれほど大きくないものの、いかにも二十一歳の少女らしく初々しい。体はまだ成熟しているというほどではない。それでも、啓太の好奇心を刺激するには充分であった。
啓太の視線が貴美子のもっとも女らしい部分に向けられると、それを隠すためか、いたずらっぽく微笑んで、一歩前に近づいた。乳房が軽く啓太の胸に触れた。
「驚いた?」
「ああ……」
「こうなるの、いや?」
「そんな……」
「じゃあ、よけいなおしゃべりはやめましょう」
貴美子の手が無遠慮に啓太の分身をつかんだ。それはすでに半勃起の状態に立ちあがっていた。触れられたとたん、分身はたちまち力を得て痛いほどに膨張し、貴美子の細くしなやかな五本の指の中で脈動した。
「こんな私が嫌い?」
とんでもないというように、啓太はあわてて首を横に振った。
「誰とでもこんなことをすると思わないでね」
「思わないさ」
「ほんとよ」
貴美子の手が優しくしごきだした。ほんの五、六回しか往復しないのに、啓太の膝ががたついた。
あっという間もなかった。いきりたった肉棒は呆気なく弾け、白い樹液がまともに貴美子の下腹のあたりに飛び散った。
荒い息を吐いて呆然としている啓太の頬にキスをしながら、貴美子は汚れた下腹や啓太の分身を洗い流した。
「少しは落ちついたでしょ」
啓太はうなずくしかない。
「じゃあ、今度は私を愛して」
相手が場馴れしているようで圧倒されたが、啓太は昨夜のことをひとつひとつ想いだしながら、貴美子に接しようと心に決めた。
貴美子の希望どおりに体を拭いているうちに、またまた分身が猛々しく屹立しはじめた。
「ああ……立派ね」
貴美子が目を細めて勃起を眺めやり、呟いた。
このひとことで、啓太は自信を持つことができた。
ベッドに入ると、啓太と貴美子はキスをした。再び大きくなったこわばりを優しく握りしめてもらいたかったが、貴美子は、今度はいっさい手出しをせずに、ただ啓太に全身を委ねて、じっとしているだけだった。
それは貴美子の心づかいであり、戦略でもあった。
性体験の豊富な貴美子は、聡一から啓太の初体験の相手になることを依頼されていた。貴美子は裕福な家の娘であるが、複雑な家庭環境のために、わざと復讐的意味あいをこめて、不特定多数の異性と交渉を持っている。聡一も、かつてはそのうちのひとりだったのだが、いつしか体の縁は切れていた。その聡一に頼まれたから引き受けたのであるが、相手が初体験と聞いて、貴美子は心を動かされた。これまで相手にした男で、童貞は皆無だったからだ。
だから貴美子はバスルームで射精させたのである。どんな男でも最初はガツガツと抱く。たとえかなりの経験者であってもだ。まして童貞となると、まず満足にインサートもできないのではないか、そう貴美子なりに判断した。
ベッドに入ってから、貴美子は、これでよかったんだと自分の判断に満足した。
啓太は、落ちついた雰囲気でキスに応じてくれている。あとは、啓太の好きなようにさせてやろうという気になっていた。
ただ、貴美子も聡一も気づかなかったのは、啓太が前の晩に実の母親と凄絶ともいえる性体験を持ったという事実である。そのたった一回の体験は、啓太にとってすごく貴重なものであった。啓太はその一回の体験で、とことん女体の味わいを知った。それを今、貴美子に対して実行してみようという気になっていた。
母が、どんなことをしたときに歓びの声をあげ、体をしなわせ、わなないたか。すべての光景を頭の中で反芻しながら、成長期の雌鹿のようにしなやかな貴美子の裸身に見入った。
啓太が目を見張ったのは、こんもり盛りあがったヴィーナスの丘を彩る恥毛の、意外な濃さである。それは陽子よりはるかに黒々として、逆巻くように渦を巻いていた。
啓太がもっと性体験を多く積んでいる大人ならば、このタイプの女性が、えてして多淫で性的欲望が強いということに気づいていたかもしれない。しかし、幸か不幸か、啓太の性体験は母と行なった前夜の体験だけである。
啓太はちょっと圧倒される思いで、密生した恥毛の群れを眺めた。
よく見ると、薄い産毛のようなものが細く長くへその下までつづいている。
もちろん、遠目にはわからないが、何しろ三十センチと離れていないところから目をこらして見るのだから、いいところも悪いところもすべてお見通しである。
あお向けになっているせいか、乳房は左右にひろがっているが、そう大きくはないから、形はそのまま保たれている。
母の陽子と大きく異なるのは、乳首の色と形であった。乳暈の色が輝くようなピンク色だ。乳首は小さくて、ピンクにミルクを溶かしたような淡い色あいをしている。全体に色白なため、よけいに恥毛が濃く見える。決して悪い眺めではない。中年男性などは、こういったアンバランスに酔わされ、狂わされてしまうのかもしれない。
啓太は、野放図に横たわっている貴美子の肉体に、どこから手をつけていいのかわからずにまごついた。
貴美子は相変わらず目を閉じたままだ。さあ、どこからでもいらっしゃい。そんな感じである。
結局、啓太は目の前で息づいている乳房から攻めることにした。上半身を覆いかぶせるようにして、貴美子の左側からとりつく。右手で左の乳房を柔らかく揉んだ。
あまりガツガツするとみっともないという気持ちもある。それに、相手はすっかりその気になっているのだらから、あわてる必要はない。
確かに母の場合とは違って、すべて落ち着いた雰囲気のなかで、性行為に熱中することができる。むしろ、初めての女を目の前にして、とかくはやる自分の心との闘いであった。
啓太は何度も心の内で、「落ち着け」という言葉を繰りかえした。不思議なもので、そうしているうちに、貴美子の肉体をひとつの研究材料として見ることができた。
啓太は右の乳房をそっと口に含み、全体を軽く吸いたてながら、舌先でチロチロと乳首をくすぐった。掌の中でも口の中でも、すぐにふたつの乳首は膨らんだ。貴美子の表情をうかがい見ると、さっきまできっちり結んでいた上下の唇が、心もち開いている。
啓太は女の生臭い匂いを敏感に嗅ぎとった。
やったぜ……。
口笛でも吹きたい気分である。この調子でじっくりやればいいんだと思うと、妙な自信も湧いてくる。心なしか、乳房全体も張りだしてきたような気もする。
決してあわてない。無理をしない……。
今度は、交互にこのふたつの言葉を頭の中のスクリーンに映しだした。
「あっ……ハァ……」
軽い貴美子の呻き声は、少年の果てしない探求心を快く刺激した。
乳房を揉む手をそのままにして、唇だけを腋の下に移動させた。さっきシャワーを浴びたばかりなのに、うっすらと汗の匂いがする。でも、不快ではない。啓太は貴美子の腋の下にていねいに舌を這わせた。
皮膚の表面に舌先が触れるか触れないかといった方法で舌を這わせていく。
幼い頃、くすぐりっこをやった人なら誰でも経験があるが、腋の下などは、ゴリゴリくすぐるより撫でるようにくすぐったほうが、はるかに効果は大きい。
啓太は、その経験を思いだしていた。
果たせるかな、その効果は絶大だった。啓太のやり方の妙もあるが、貴美子にとって腋の下は弱点のひとつだった。
「あッ……あああー!……あ、ダメッ……」
言いながらも、貴美子は逃げだそうとせず、むしろ腋の下を舌に押しつけてくる。
そこで、べったり舌を押しつけないところが啓太の上々の判断である。啓太はむしろ舌を遠去けた。
「あ、いやっ……」
言いながら貴美子は身悶える。
新しい発見の歓びに包まれて、啓太は貴美子の反応をじっくり観察しながら、ほどほどに腋の下を刺激した。ふと気づくと、白い裸身にほんのり朱がさしている。すごく綺麗だと思った。
「ねえ、触って……触ってよ」
突然、貴美子がうわごとのように繰りかえした。啓太はとっさに言葉の意味を理解できずに、まごついた。焦れったくてたまらないというように、貴美子が啓太の手をつかんだ。
「触って……あそこに触って」
啓太はようやく納得した。
貴美子の手が途中まで導いてくれる。まず、ごわごわした恥毛を撫でた。
それだけでとてもいいらしく、貴美子は熱い吐息をついて、白い喉をひきつらせた。そうしながら、ゆっくりと両脚を開いていく。
何度か黒い茂みの上を撫でているうちに、不意に貴美子が悲鳴をあげて、腰をはねあげた。啓太は自分の指先に硬い突起状のものをはっきり感じた。そこにしっかりと指を差し向けて、啓太は仰天した。
これがクリトリスだろうか?……
指先がとらえたものは、すごく大きい。大豆ほどの大きさだ。それにとても硬い。
こわごわと、肉の突起を押してみた。
「うううッ……」
弓なりに反りかえった貴美子は、「もっと もっと強くして!」
叫んで腰を振りたてた。
貴美子は典型的なクリトリス派であった。ヴァギナよりもクリトリスのほうが、はるかに強烈な快感を得られるのである。
啓太にはそういうことはわからないが、ともかく豆粒状の突起を押せば、相手が気持ちよくなるということはわかる。言われるとおりに指に力をこめた。明らかにひしゃげた感じが伝わった。
「あっ、それ、いいの! ああ、いいーっ」
のた打ちまわりながら、貴美子が啓太の手に自分の手を重ねた。それだけでも啓太を驚かすのに充分だった。それなのに貴美子は、啓太の倍の力でぐりぐりと回転させてくる。
「わわわッ……イッちゃううゥーッ!」
あっという間である。貴美子の全身がブルブルと震えたかと思うと、「いくゥーッ!」と絶叫して、今までの暴れぶりがまるで嘘のように、静かになってしまった。
しばらくの間、啓太はなす術もなくぼんやりしていた。
「ごめんね……」
貴美子が夢から醒めたように、啓太の勃起を握りしめながら小さく呟いた。
「そんなによかったの?」
聞かずにはいられなかった。
「ええ……私ね、おマメに弱いの」
貴美子は喉の奥で、鳩が啼くような声を出して笑った。屈託ない笑顔につられて、啓太も微笑みかえした。
おマメという言葉が啓太を刺激した。
「ね、もっといろいろしてくれる」
「どんなことを?」
「もちろん、気持ちのいいこと」
「なんでもやってやるよ」
「うれしい! でも、あなただって、そろそろ二回目を出したいんじゃない」
貴美子に言われるまでもないことであったが、啓太は自分自身に我慢を強いていた。心身ともに最高に高まったときに、貴美子と体をつなげてみたかったからである。
「ぼくはあとでいい」
「こんなになってるのに?」
ズリさがった貴美子が、勃起に手を添えると、パクリと口に含んだ。
啓太は呆気にとられ、そして感動した。なにしろ、フェラチオは初めての経験である。
「気持ちいい?」
「とってもいい」
「あとでたっぷりしてあげるからね」
「じゃあ、ぼくはどうすればいいの」
「今みたいにして」
「…………」
「おマメを舐めて欲しいの。でも、ただ舐めるだけじゃ駄目よ。時には吸いたてたり、しゃぶったり……そして……」
恥ずかしそうな表情を見せた貴美子を、啓太はすごく可愛いと思った。
「私が、今よッ、て叫んだら……」
またひと息ついた。
「……そしたら、噛んで……遠慮しないで噛んで欲しいの」
内心びっくりしたが、啓太はできるだけ平静を装って同意した。
開かれた貴美子の両脚の間に腹這いになると、啓太はじっくりと膣口に視線を注いだ。
色白な体にふさわしくない、渋みがかった色をしている。単に色素が濃いというわけではなく、やはり年齢に似合わない荒淫のせいだろう。秘口を覆う陰唇も、枯れ落ちる寸前のしおれた花びらのようである。
ママのはこんな形だったかな?……
啓太は、陽子のとはまるで違った異物を眺めるように、膣口を観察した。
陰唇の襞が妙な具合に収縮し、重なり合って、花弁が割れ目の上部に突きだしている。さらにグロテスクなのは、密生した恥毛を押しわけるように、濡れて輝いたクリトリスが飛びだしていることであった。
「見てるの?」
頭の上で貴美子の声が震えた。
「ああ、見てるよ」
「イヤーン」
ひどく甘ったるい声である。
「変な形でしょう」
「よくわからない」
「私、学生のときから、ひとりでするのが好きだったの。ねえ、どんな格好してる?」
「どんな格好と言われても……」
「言って。思ったとおりに言って」
啓太は少し面くらいながらも、素直に見たままのことを言った。するとどうだろう。貴美子は具体的な言葉のひとつひとつに激しい反応を示しながら、ざっくり割れた肉の裂け目から、匂いたつような媚液を湧出させたのだ。それだけではない。自ら乳房を握りしめて、まるで餅でもこねるように揉みしだいていく。
「ああ、いい。もっともっと、いろいろ言って!」
二十一歳の少女の狂態は、少年の心を大きく揺さぶった。啓太はあらゆるボキャブラリーを思い浮かべて、速射砲のようにまくしたてた。
「ああ、あなた……」
その声は、まるで性の歓びを知った新妻が、堪えきれずに夫を誘う声に似ていた。
啓太は恥毛の間から剥きだしになって震えている突起を舐めた。すでに濡れていた肉芽は、酸っぱい味がした。そんなことにはおかまいなしに舌を這わせ、貴美子の希望どおりに、時には唇をすぼめて、チュウチュウと吸引した。
こんなに大きくなってもいいのかな……。
啓太は銀杏の実ほどに膨張したクリトリスを夢中でねぶった。貴美子の両脚がせわしなくバタつくので、両腕でがっしりと押さえこんだ。
「あーん、いいの……」
貴美子はむずかる幼児のように上半身をくねらせて呻く。
割れ目にぴったり密着した啓太の顎は、溢れる濃厚な蜜でぬるぬるになってしまった。匂いも次第にきつくなっている。
「ああ、いいわ……最高よ! もっと強く吸って! 舐めて!」
とめどなく溢れる愛液と啓太の唾液で、硬い貴美子の恥毛も、まるで糊で張りつけたように恥丘にくっついてしまい、その分だけ、飛びでたクリトリスがよけいに目立った。
ママの何倍、あるだろう?……
啓太が昨夜の記念すべき情事を想い浮かべようとしたとき、貴美子が絶叫した。
「今よ! 早く……今、今よ!」
よし、今だ!……
異常とも思われるほど膨張した肉の突起に、啓太は命ぜられるままに歯をたてた。コリッとして、ほどほどの弾力も備えている。
「うわわわわ--ッ!」
貴美子の五体がピーンと伸びきり、恥丘のふくらみが、内側からせりだすようにいっそう盛りあがる。めくれた陰部に誘いだされるように、奥から快液がこぼれでた。
「強く噛んで。もっと、もっと……」
泣きわめきながら太腿をよじり合わせる。付け根の粘膜が微妙に擦れるせいか、びちゃびちゃっといやらしい音がする。しぶきが散ったような気がした。
啓太は、初めのうちこそ噛む要領がわからなかったが、それにも次第に馴れてきて、貴美子の様子をうかがいながら、強く噛み、軽く歯をたて、ときにはすぼめた唇で思いきり吸いたててもみた。
少し痛いのではないかと思われたが、貴美子にとってはちょうどいいとみえ、その狂態は、同じ年齢の啓太を驚かせるのに充分であった。
啓太はいつしか、自分の気持ちがいじめる歓びに充たされていることに気づいた。そしてまた、貴美子がいじめられるのが好きなのではないかとも思った。
突然、啓太がちぎれるほどに肉芽を噛んだ。銀杏のような肉芽が、今にもつぶれそうに歪んだ。
「いやーッ、痛い!」
「そんなことしたら、またイッちゃう……」
貴美子は泣き叫び、次の瞬間、全身を痙攣させて目を剥いた。
啓太は両手で淫裂を開いてのぞいた。
生きた貝と同じように、内部の肉片がうねり、その奥から噴水のように露が噴いていた。舌を突きだして秘液を吸いとると、貴美子の両脚がスーッと大きく開いた。女は、どんなときにでも貪欲に快感をとりこもうとする。
啓太は、すぐに体をつなげようかとも考えたが、もっと面白いことが期待できそうな気がしたので、じっと貴美子が回復するのを待つことにした。
ふと見ると、こわばりの先から透きとおった露が溢れでて、亀頭の先だけでなく、幹のほうまで濡れている。指先ですくっただけで、肉棒全体がジーンと痺れる。
このままつないでも、きっとまた、すぐに射精してしまうだろうと思うと、とても残念な気がする。貴美子はまだ夢うつつの状態なのか、目を閉じていた。可愛い唇が半分開いていた。
啓太は、貴美子に肉棒を咥えられたときの快さを想いだした。
口の中に発射したら、彼女はどんな顔をするだろう……。
啓太はその場面を想像すると矢も楯もたまらなくなり、貴美子の顔をまたいだ。露が雫になってポタリと頬の上に落ちた。貴美子は気づかない。少し前かがみになると、右手で直立した陰茎を下にねじ曲げた。
痛いが、すごく気持ちがいい。もうそれだけで射精してしまいそうだ。
半開きになっている貴美子の唇を割るようにして、亀頭の先をスッポリと押しこんだ。その分だけ、貴美子の頬が膨れる。
啓太は淫蕩な眺めに酔った。貴美子がちょっと苦しそうに顔を振った。途端に、肉棒に衝撃が走った。
「ウッ……」
あやうく噴出しそうになったが、啓太はかろうじて踏んばった。亀頭の先口から、トロリと何かが出たような気がした。
まだ眠っているはずの貴美子が、肉棒に手を添えた。
性的な意識だけはしっかりしているのだろうか?……
添えた手がゆるゆると上下に動いた。それだけではない。咥えられた亀頭が、柔らかい舌先でチロチロと舐められる。
「あっ……あああ……」
刺激に馴れていない啓太にとっては、我慢の限界をはるかに超えている。あっという間に亀頭の鈴口は全開した。ドバッと樹液が少女の口の中を一瞬のうちに充たした。
貴美子の手が、肉棒の表皮を根元のほうへ引っ張った。キーンと頭の中が痛くなるような快感が、肉塊に生じた。さらに濃い樹液が、ドクドクと噴出していく。
啓太は貴美子が樹液をすべて呑みこむのをはっきりと目撃した。喉が小さく上下している。添えた手で肉茎を絞って中身を押しだす仕草に、啓太は感動した。
アヌスを絞りこむようにして、最後の一滴までも送りこむと、さすがにがっくりした。
啓太は、貴美子の横に並んで寝た。すぐに貴美子の手が縮んだペニスにのびてきた。陰毛をくすぐり、亀頭を撫で、袋まで巧みに撫でてくる。
ものすごく恥ずかしかったが、とにかく気持ちがいい。特に、袋の中のふたつのボールを指先でコロコロ転がされると、不思議なことに、いま萎えたばかりの分身に力がみなぎってくる。
「ああっ……ああ!」
啓太は、まるで女の子のような声をあげて股間を震わせ、すっかり貴美子に身を委ねてしまった。
「いい気持ちでしょう」
袋の裏側を通っている、硬くなりかけの陰茎の延長部分と思われるところまで指を這わせてくすぐる。
「どう?」
「…………」
「ちゃんと言いなさい」
年上の女のような口調で答えを強制させられると、啓太はとても敵わないという気がして、ありのままの状態を率直に言うしかない。
「そう……じゃあ、もっとしてあげる」
啓太は仰天した。貴美子が指を差し向けてきたのは、なんとアヌスである。
「あっ、いやだ……」
またしても女のような声を出して、指先から逃れようとした。
「そう、いやなら無理にとは言わないわ」
実に素っ気なく指を後退させてしまった。それきりどこも触ってくれない。
啓太はこんなはずじゃないと思った。猛りたった分身は、もっと何かをされたくて脈打っている。いいところまでいって、途中で放りだされてしまったのだ。
「もっとしてよ……」
そう言いたいが、恥ずかしさが先に立って、なかなか口に出せない。温かい女体は隣りで息づいている。啓太は自分のほうから手をのばした。
「いやッ!」
手厳しくはねつけられた。
ムッとした。しかし、今ここで怒ったら損な気がした。それに、仲のいい加山聡一が、わざわざ自分のために調達してくれた女である。顔もスタイルもなかなかのものだ。セックスフレンドにしたら最高だと思った。屈辱をこらえて、啓太は細い声を出した。
「ごめん。もう一度やって」
「何を?……」
ぶっきらぼうな貴美子の声にとまどいながらも、頼みこんだ。
「さっきみたいにさ」
「さっきみたい?……どこをどうやればいいの?」
こちら向きになった貴美子が、いたずらっぽく啓太の顔をのぞきこむ。
「だから」
「なァに?」
顔が優しく笑っている。
「意地悪」
「ちゃんと言いなさい」
「お尻……それから、袋……」
「ふふふ、可愛い」
啓太は、してやられたと思ったが、こういう遊びの会話も刺激になって面白いものだという気がした。事実、啓太は全部言うまでには勇気がいったものの、言い終わった瞬間に、今まで感じたことのない興奮を味わっていた。
貴美子が枕を手にして、啓太の両膝の間に座った。こんな形で異性の前に姿をさらしたことのない啓太は、消え入りたいほどの恥ずかしさを覚えたものの、貴美子が自分を見つめる目の妖しい輝きを見ると、さっきの言葉の遊び以上に興奮した。
啓太の興奮の度合いは、すぐにこわばりに現われた。もう二度も放出をすませたというのに、肉茎はギンギンに猛り立ち、天井を向くというよりは下腹に貼りついて、啓太自身の顎のほうに筒先を向けている。貴美子は目の前のペニスの裏側を潤んだ目で見つめ、毒蛇の腹のような皮膚をソフトに撫でた。
掌にひくつきが伝わってくる。下方にだらんとぶらさがった袋までがひくついている。会陰部のほうに硬くなった陰茎の一部がのびている。尻肉が左右からぴったり重なり合っていて、アヌスは判然としない。
貴美子は、今まで経験した男性たちから、アヌス攻撃の要領を教わっていた。
この子は例の手を使ったら、どんなふうになるかしら?……
そう思い描いて、貴美子はいたずらっぽく笑った。
例の手とは、アヌスに人差し指を少し侵入させ、陰茎の延長と思われる部分を刺激する方法である。これは貴美子とつき合っていた遊び好きの男性がソープランドの女から教わったやり方で、こうすると、どんなに萎えたペニスでもすぐに勃起するというのだ。
貴美子は何人かの男に試してみた。確かにそのとおりなのだ。淫乱な貴美子は、それでいつも満足した。
たいていの男は、一度目はすぐに終わる。二度、三度となると長持ちする。しかし、今度は疲れて女を抱く気がしなくなるものとみえる。当然、男性自身はうなだれっぱなしである。こんなとき、貴美子は教えられた例のやり方を男性に施した。どの男もすぐにピンピンになり、挑んできた。無理立ちだから時間が長い。こうして貴美子は、貪欲に性感をとりこんで、満足したのである。
だが、さすがに目の前にいる啓太は若い。二度もたっぷり放出した後だというのに、ちょっと刺激を与えただけで、すっかり回復している。
この子となら、ひょっとして私は長つづきするかもしれない……。
貴美子は心から思った。
貴美子が今までつき合ってきた男たちは、どちらかといえばプレイを楽しむ人種である。貴美子も、プレイは決していやではない。しかしそんな貴美子だから、ときには純情な男ともつき合ってみたいと思うのだ。
貴美子は優しい女になっていた。少しでも啓太に満足を与えたいと思い、気に入られたいと願った。
「ねえ、腰をあげて……」
「どうするの?」
啓太の声はもうかすれていている。それだけ興奮しているのだ。
「いいからさ……」
啓太が腰をあげた。腰の下に枕がさっと差しこまれる。
これじゃ、何もかも剥きだしじゃないか……。
啓太はとても落ちつかない。啓太の腰がもぞもぞと動く。そうすると、貴美子の目の前で露わになったアヌスが妙な形に歪んだ。
腹這いになった貴美子は、陰茎の裏側に唇を押し当てた。先端はもう濡れていて、そこから男の匂いがたち昇っている。
定期的に伝わってくる肉棒の脈動は、貴美子の淫蕩な心をくすぐった。
貴美子は自分のクリトリスの大きさが並外れたものであることに気づいている。半分は生来のもの、半分は貴美子の淫乱な性格がもたらしたものだ。もともと、肉芽は大きめだった。自慰によって、ますますそれを大きくしてしまった。
学生のときから指による快感を知っていた貴美子は、異常なほどセックスに興味を持つ少女だった。勉強もよくできたから、家の者は真面目な娘だと思っていた。誰でも、家族に対しては甘い目を向ける。
貴美子は学生になると、セックスにかけてはいっぱしの女になっていた。性に対する恐れを知らない。妊娠しないことも、貴美子を大胆にしていた。
しかし、貴美子も、ようやく肉体だけのセックスがいかに虚しいかを知るようになった。わずか二十一歳でである。
貴美子は、初対面の啓太がすっかり気に入ってしまった。
袋の中のボールを、ていねいにひとつずつ口に含んでは転がした。啓太の心地よさそうな呻き声を聞くと、ますます貴美子は天使のような優しさで接した。陰毛の一本が舌先にからまったが、なんのためらいもなく呑みこんでしまった。袋を舐めながら指先を唾で濡らし、そっとアヌスにあてがう。ざらついた皺の感触が指先に伝わった。ピクピクッと痙攣している。呻き声も聞こえてくる。
感じているんだわ……。
そう思うと、下半身に疼きが走り、すぐにそこが生温かいもので濡れた。熱くなったふくらみをシーツに擦りつける。ねじれた陰裂から快感が染みでる。シーツが濡れる。
貴美子は、指に代えて舌をアヌスに向けた。
ぬるついた舌の攻撃を受けたとき、ついつい悲鳴をあげてしまった啓太は、肉棒の先口からヌルッと熱いものが出たのも、はっきり感じていた。
恥ずかしいと思ったとき、貴美子の舌がそれをすくった。
「また、出したかったら出してもいいわよ」
そう言うと貴美子の心の内には、もしも啓太が三度目を放出したなら、すぐに例のやり方で、萎えた肉棒に力を与えてやろうと思っていた。
貴美子の舌は啓太のペニスからアヌスまで隈なく這い、ねっとりと舐めあげた。
いかにも少年らしい、しなやかな啓太の裸身が、筋肉を軋ませて右に左に揺れた。
もっとよくしてあげたい……。
その一心で、貴美子は今までにない辛抱強さと忍耐力で奉仕した。
筒先からトロトロと先走りの露が、絶えず流れるようになった。男のきつい匂いを、貴美子は胸いっぱいに吸いこんだ。
「ねえ、出してもいいのよ」
貴美子自身、それを望むかのような聞き方であった。
しかし、啓太はいっこうに爆発しなかった。貴美子の行為は、肉棒に力を与える効果こそあったが、射精させるには至らなかった。やはり二回の噴射のあとだったこともあるし、女性器にインサートしてから噴射したいと思っていたので、自然とコントロールしてしまったのかもしれない。だから筒先から先走りの露を滲ませていたにもかかわらず、射精にはまだほど遠いところにいたのである。
とうとう貴美子のほうが待ちきれなくなってしまった。それは、貴美子本来の姿である。貴美子の性は野放図なのだ。他人に淫乱と見られるのは、そこに原因がある。
「私、したい……したくなっちゃった」
貴美子は欲望に対して、きわめて率直である。
「あなたのことしてあげているうちに、おまんこ、ぐしょぐしょになっちゃった」
啓太は仰天した。聞き違えたのかと思ったほどである。
聡一は、貴美子のことを良家の子女とはっきり言った。かつては華族と言われた一族の系統である。それは、貴美子の姓名からはっきりうかがい知ることができる。昔の大名の名前なのだ。
それが……啓太は妙なことを考えて、思わず噴きだしてしまった。
「何よ、何がおかしいの」
「いや、ちょっとね。ぼくもしたいと思ったからさ」
啓太はとっさに下手な嘘をついたが、本当はこんなことを想像したのである。
時代劇にお姫様が登場する。お姫様は大体がわがままだ。そのお姫様が駄々をこねる。お女中たちに「おまんこがしたい」と言ってきかない。困り果てていると、小姓役の啓太が、やおら大きな一物を取りだしてお姫様を歓ばせ……こう書くとずいぶん長いが、ほんの一瞬の空想である。
啓太はまた笑った。
「いやな人、そんなにおかしい?」
貴美子の声は湿って、甘くなっている。
「あんまり笑ったから、いじめちゃう」
貴美子が上半身を起こして、そのままズリあがった。
「?…………」
どうするのだろうと思っていると、馬にまたがるような格好のまま、自分の手でさっき貴美子自身が口に出して言った、いやらしい四文字の部分を大きく左右にひろげた。いや、ひろげたというよりも、そこの粘膜を思いきり左右に引っ張ったと言ったほうが適切かもしれない。
少し乳白色に濁った愛液が、ポタポタと啓太のおへそのまわりに落ちた。
「ねえ、見える?」
「見えるよ」
「奥まで見える? 子宮のほうまで」
啓太は首を折り曲げるようにして、目をこらした。
「そこまでは見えない。ねえ、見せてよ」
「バカねえ、子宮なんか見えるわけないでしょ。でも、不思議よねえ。ここにアレ入れると、ふたりとも、とっても気持ちよくなるんですもの。そう思わない」
「思うね」
「気持ちよくなるところを、ふたりで見ていましょうよ。あなた、頭の下に枕をふたつ重ねなさいよ」
啓太は命令されたとおりにした。少し首がつらいが、それほど苦にはならない。
「見てるのよ。ちゃんと見ててね」
貴美子がうわずった声を出した。
言われるまでもない。啓太はパックリ割れた女の秘所を見つめた。
その視線を確認するように、貴美子が啓太を見た。そのまま視線を啓太から離そうとしない。啓太の表情を楽しもうという魂胆なのだろう。
両脚をひろげたまま、貴美子がゆっくりと腰を落としていく。
「まっすぐ立てて……」
啓太はあわてて陰茎に手を添え、下腹から引き剥がすように角度をつくった。肉棒は恥毛までぐっしょりと濡れている。先端から滲みでた秘液がとてつもなく多かったということか。
「見てるのよ。ちゃんと見てるの」
うわごとのように繰りかえしながら、めくれあがった花唇を亀頭にあてがう。それだけで五体がジーン熱くなる。淫汁が肉棒の幹を伝わって、流れ落ちていく。
「すごいや……」
うわずった声を啓太があげた。貴美子は、啓太の目の輝きに酔った。
「ねえ。君もほら、見て!」
貴美子の視線が、啓太の顔から自分の割れ目に移動した。ちょうど亀頭の部分がサーモンピンクの粘膜に包まれたところだった。肉唇の間からニョッキリ突きでた幹が、貴美子の淫らごころをくすぐった。
「ああ……」
ふたりは同時に感嘆の声をあげた。
「言って! 何か言って!」
貴美子の声はひからびていた。
「すごいや。すごいや……」
うまい言葉が啓太には言えない。
「もっといやらしいことを言うの。とってもスケベなことを!」
とっさに浮かんだのは、ほんの少し前に美しい少女の口から飛びだした、女性器を表わす四文字の俗称である。
啓太は「すごいや」の上にその俗称をくっつけて、夢中になって叫んだ。叫んでいるうちに、自分もすっかり興奮していった。
もっとすごい反応をみせたのは貴美子である。
「素敵よ、素敵! 私のおまんこがチンチンを食べてる。ほら、食べてる!」
叫ぶなり、ぐんとばかりに腰を沈めた。ズボッと異様な音がして、啓太のこわばりがいっぺんに貴美子の秘唇の間に呑みこまれていた。まさしくそれは、貴美子の言ったように、女のアレに食べられているとしか思えなかった。貴美子はそのままの状態で腰を何度かグラインドさせると、今度はゆっくり腰を持ちあげた。
濡れぬれの陰茎が露出するにつれて、啓太はその部分が冷んやりするのを感じた。
「ああ、なんていやらしいの」
貴美子は呟きながらも、ふたりの粘膜がからみ合っているところから、決して目を離そうとはしなかった。
亀頭のひっかかりのところで、貴美子は引き抜くのをやめた。ほっとひと息つきながら、腰を浮かせたままの格好でじっと見つめている。下腹が大きく波打ち、乳房も赤く充血してせわしなく動いている。
「ほらほら、動いている」
貴美子の声につられるように、啓太は交接している部分を見た。自分の肉棒を咥た粘膜が、まるで生きた貝のようにぬめっと動いている。
啓太は下から腰を押しあげた。ズズズッといった感じで、太い肉棒がのめりこんでいく。
「あーっ、いいっ!」
貴美子がその動きに合わせるように、ストンと腰を落とした。重みに耐えかねて、啓太の腰も沈む。
密着したふたりの性器は、目もくらむ快感をそこから引き起こし、ふたりの体の隅々にまで運んだ。若いふたりには、もう耐えることができない状態にまできていた。
「ああ、いい! 気持ちいいッ!」
貴美子はいっときも黙っていることはなかった。忙しくドスドスとしなやかな腰を上下させ、時には深々と突き刺さった肉棒を軸にして、右に左にと回転させた。
啓太も負けていなかった。わけもわからずに腰を跳ねあげた。亀頭の先に固いものが当たることがあった。そういうときには必ず、貴美子が悲鳴をあげた。
「あなた……ああ……あなた、よくってよ! 貴美子、こんなにいい!」
啓太は必死で耐えた。動くと爆発しそうなので、小休止した。少し長持ちしそうである。
「ああ、気持ちいいッ!」
貴美子は疲れを知らぬ奔馬のように、腰を振りたてている。半球体の乳房がブルンブルンと揺れ、全身にうっすらと汗をかいている。
啓太はまた出しそうになる。
なんとかしなきゃ……。
ただ耐えているだけでは能がない。啓太は揺れ動く乳房をつかんだ。
おマメを強く噛んで……。
そんなことを要求する貴美子だから……と、思いきりふたつの乳房を強く握った。
「ううう……っ!」
いちだんと快感が強まったらしく、貴美子の声が獣じみたものになった。あたりに性臭が漂い、陰裂がズボッ、ズボッと鳴った。
「あああ、イキそうよ! イキそう……貴美子、ひとりじゃ、いや……一緒よ。一緒に出して! 貴美子のおまんこ、イキそう!」
「ぼ、ぼくも……」
もう耐えていられなかった。そのとき貴美子が腰をあげた。恥丘にぴったり貼りついた茂みの中から、大きな肉芽が飛びでている。
これだ!……
啓太は、貴美子がストンと腰を沈める直前に、そこに二本の指の腹を差しだした。ふたりの性器がぴったりからみ合うと、二本の指は重みに圧迫されて、自然と貴美子の肉芽を揉み、押しつける結果となった。
「ヒイーッ! いい!」
声は絶叫に近かった。啓太はここぞとばかりに指を擦りたてた。
「イクわ! 貴美子、イクッ。あああ、ほら、今よ……イク……」
ぴたりと動きがとまった。途端に、目には見えない部分がものすごい勢いで作動した。括約筋である。ギリギリと締めつけられた陰茎に、したたかに熱い愛液が浴びせられた。それを機に啓太の欲望の堰も切れた。ドバッと熱い樹液がほとばしり、子宮を揺るがした。
一方、貴美子は、大きく震えてから、死んだように動かなくなってしまった。
若いふたりは抱き合ったまま、しばらくの間、まどろむのだった。
第六章 ママが姦らせてくれないから……
その日、啓太はあえて聡一に結果を報告しなかった。聡一ならわかってくれるだろうと思ったからだ。ひょっとして、自分からわざわざ知らせなくとも、貴美子によって細かいことを知らされているかもしれない、と思った。
「その気になったら、いつでも電話してね」
別れ際に貴美子は、そう言ってメモをくれた。
「家の人、大丈夫?」


