「ひとりでやったか? 俺の旅行中にやったか?」
「しました……とってもつらかったの……あっ、ああ、いいっ……あなた、ほら、こんなにいいの」
はしたなく両脚をひろげることが、夫により強い刺激を与えると信じている陽子は、極限まで両脚を開き、とうとう突起だけでは足りずに、ぽってりと充血している秘唇をかきむしった。
「ああ、入れて! あなた、イキたいわ……入れて!」
重なり合った肉襞を力強く押しわける肉棒があってこそ、女は真の歓びを感じる。陽子はクリトリスだけで最終的な快楽を得たくはなかった。C感覚とV感覚が溶け合ってこそ、女の歓びが得られると確信している。だからこそ、クリトリスを擦りたてながら、無理を承知で叫んだのだ。
「そんなにイキたいか」
「イキたい! イカせてっ!」
「ずっとしたかったんだな」
「したかった! セックスしたくてたまらなかったの……だから……だから、ほとんど毎日、この指で慰めてたの。オナニーせずにはいられなかったのよ……ほら、こんなふうに……見て!」
「見てるとも」
「早く……早く入れて!」
夫婦の秘めごとを、ドアの陰から覗いているふたつの目があった。ほんの一、二センチの隙間だったが、鍵穴から覗くよりは、はるかによく見えた。夢中になっている父と母は、覗き見されていることにまったく気づいていなかった。
母の悪魔的な仕草は、啓太に激しい動揺を与えた。
あのしとやかで美しい母が、セックスに狂って、凄絶な狂態を演じている。夢ではなく、現実なのだ……。
啓太は圧倒された。圧倒されながら、硬く勃起した肉棒を握りしめていた。
パパがいないときのママは、顔には出さなかったが、そんなにも淋しかったのか。それも、ただの淋しさではない。セックスしたい! そういう思いで、夜ごとひとりで慰めていたのだ。ぼくと同じように、ママもしたくてしたくてたまらなかったんだ……。
そう思うと、なんだか母が急に哀れに感じた。
「あなた、早く……」
母の声にうながされたように、父が片脚をスーッと母の股間にのばした。
何をするんだろう?……
息をつめた啓太が見たものは、母の黒い縁どりに覆われた一条の亀裂に、父の無骨な足の親指が、ググッと差しこまれる光景であった。
「あああ--ッ、いいッ!」
黄色い声をあげた母は、挿入された親指の両側で人差し指と中指をV字形に開き、盛りあがった粘膜をひたすら擦った。父がそれに合わせるように、巧妙に親指を揺さぶる。
「もっと……もっとしてッ!……ああ、イッちゃいそうよ、あなた。すごくいいの! ああ、もう駄目。どうしよう……」
「イクんだ、陽子。思いきりイッていいぞ!」
「イッちゃう……イクわ! あああっ、私、イッてるゥゥゥッ!」
母の体が一本の棒のようにのびきり、全身が小刻みに震動した。
ああ、ママがよくなっている。これがイクということなんだ……。
啓太はこのとき初めて、イクという言葉の実体を、おぼろげながら理解した。
あっ、ぼくもイク……。
パジャマの下で力強く脈動した分身が一挙に解放され、熱いほとばしりがしたたかにぶちまけられたとき、啓太は、母に対する想いがいっそう強くなるのをはっきりと自覚した。
第三章 淋しいからママは一人で……
九月の後半になると記録的な長雨がつづいた。雨があがっても青空を見ることはほとんど不可能で、誰もがどんよりした雲を見あげて、異常気象を恨んだ言葉を挨拶代わりにするようになっていた。
両親の風変わりなセックスを覗き見してからというもの、啓太は夜になると、トイレへ行くふりをして、必ず父と母の寝室の気配をさぐった。
一週間に一度か二度、父と母の性の儀式は行なわれたが、何度か覗き見するうちに、啓太は、父がいわゆる性的不能者であることに気づいた。しかも完全なインポテンツではなく、中途半端なだけに、かえって母はつらいんだということも、ぼんやりと理解しはじめた。
「あなた、もう少しよ……ああ、どうしてもう少し硬くなってくれないの」
父の半勃起の分身を前にして狂おしげに嘆く母を見ると、啓太は宙を向いていなないている自分のこわばりを、父に代わって母の粘膜の間に押しこみたいという衝動に駆られた。
九月の末に、啓造は、かねてから企画中の『世界の動乱諸国を訪ねて』というドキュメンタリー番組の下調べで、ビルマ、アフリカ諸国、そして南米へと向けて出発した。一カ月以上の長期出張のため、当分の間、西田家は陽子、啓太の母子と、通いのお手伝いさんだけとなる。
啓太は母の動向にいつも目を光らせた。なぜなら、いつかの父との会話にあったように、淋しさのあまりひとりで自らを慰めるかもしれない、と期待したからである。
しかし、そんな母の姿を目撃するチャンスには、なかなか恵まれなかった。陽子はいつものように優しい母であったし、礼儀正しく、一家庭人としての毎日を平凡に送っていた。
啓太は肩すかしをくらったように失望した。あげくには母の留守に寝室に行っては、下着を物色し、何か性に関するものがないかと、綿密に調べた。
母がお手伝いさんと一緒に歌舞伎見物に行った夜、啓太はダブルベッドの枕もとの小物入れから、電動式の疑似男根を見つけた。その小物入れの引き出しには、いつも鍵がかかっているが、啓太はその鍵をマットの下から見つけたのである。他に黒いコンドームの包みが数個あった。
スイッチを入れると、二十センチ近くある男根状の本体がくねくねと動く。その本体の根元近くにもうひとつ、幼児の陰茎のような突起が飛びだしていて、それも細かく振動している。
啓太は、疑似男根を使っている母の姿を見たいと思った。
妄想の世界に浸っているうちに、どうにもやりきれなくなり、啓太はすでに硬くなっているペニスを引っぱりだすと、右手で激しく擦った。何秒もしないうちに、勃起の先端にある筒先から白い樹液が飛び散った。
九時を少しまわった頃、電話のベルが鳴った。相手は母の陽子である。お手伝いさんの誕生日だから、ふたりで一緒に食事をして、帰りは遅くなるという。啓太は鮨の出前を取って食事をすませた。
風呂から出ても、母はまだ帰ってこない。ベッドに引っくりかえっているうちにうとうとしてしまった。ふと目が覚めて気がつくと、十二時近くになっていた。
サイドテーブルの上に、クッキーのお土産が置いてある。
明りを消した啓太は、そのままベッドにもぐりこんで眠りかけた。
そのとき、かすかな物音がして、ドアが開いた。廊下から射しこむ光で、母の体のシルエットがぼんやり浮かんでいる。
啓太はドキンッとした。浴室から出てきたばかりらしく、体にはバスタオルが巻きつけてある。啓太の前で母がこんな格好をすることは、今までになかったことだ。啓太の眠気はいっぺんに覚めてしまった。
「よく寝てるわね……おやすみ」
小さく呟くと、母はそっとドアを閉めた。誰にともなく呟いた母の言葉から判断して、少し酔っているようであった。
啓太は妙な胸騒ぎを覚えた。何か妙な予感がした。
啓太は暗い部屋の中で目をこらし、二、三十分ほどじっとしていた。夜になると、かなり涼しさを感じる季節になっていたが、啓太の額や胸もとには、じんわり滲みでた汗が光っていた。
いつものように学校の教科書をカモフラージュに持つこともなく、啓太は裸足で廊下に出た。スリッパだと、どうしてもパタパタと足音がしてしまう。上下のパジャマではなく、ダブダブのワイシャツのようなパジャマを着た。
〝覗き〟という行為の途中で、分身は必ず勃起する。パジャマズボンだと痛くてたまらないが、これだと圧迫されることがない。それに、すぐに右手を使えるという便利さがある。
廊下の片隅に置いてあるいくつかの鉢植えの中で鳴いていた虫が、ピタリと鳴きやんだ。啓太は、そんな小さな音の変化にも胸をドキドキさせた。啓太が通りすぎると、また虫たちが用心深く鳴きだした。西田家の庭は広く、大きな樹木やたくさんの草花があるため、部屋の中にまで虫が侵入するのだ。
寝室のドアの前に立つと、いつもよりは冷静でいられなくなった。それだけ、啓太の心の内で、ある種の期待感が強まっていたことになる。
何かある。いや、あって欲しい……。
ゆっくり膝を折ってかがみこむと、鍵穴に張りついた。何も見えない。だが明りはついている。例によって、ベッドの一部分が見えているにすぎない。
今度は目ではなく、耳を鍵穴に押しつけた。
しばらくすると、ほんのかすかに、母の息づかいが聞こえてきた。それが、少しずつせわしくなっていく。
啓太は、絶対に何かある……と直感した。しかし今、ドアを開けることは危険である。もどかしくてならないが、いつかチャンスがくるだろうと、じっと我慢した。
息づかいの合い間に、小さな喘ぎ声が混じるようになった。
また、そっと鍵穴から、母の寝室の中を覗いた。今度は、ベッドの端に母の白い素脚の一部が見えた。時折り右や左に揺れるかと思うと、足の指先に力が入って、微妙な形に反る。
やっとチャンスが巡ってきたぞ……。
啓太はゆっくりとドアノブに手をかけた。決して冷静ではいられない。早鐘を打つような心臓の音が、鼓膜にまで響いてくる。
カチャッ……。小さな音だったが、啓太の胸は破裂しそうになった。
見つかったらそれまでだ……。
啓太は震えそうになる指先を必死でコントロールしながら、一センチほどドアを開けた。わずかな隙間だが、母の寝室のほとんどが視界の中に飛びこんできた。
ネグリジェの前をすっかりはだけて、母の陽子が、美しく反りかえった指を股間に当てていた。もう一方の手はマシュマロのような乳房を握りしめている。ひしゃげた乳房は、五本の指の間から肉が盛りあがって、とても痛そうに見える。
かなり乱暴な仕草で揉んでいる。それだけ夢中になっていたというわけだ。それに較べると、股間にあてがっている指の動きはかなりデリケートである。中指が何かを軽く押さえて、ゆっくり円を描いていた。
覗いている啓太の位置からはよく見えないが、中指が圧迫していたのは、クリトリスである。肉の芽はもう限界にまで膨張して、痛いほどの鋭い快感を生みだしていた。
「ああっ……あなた……」
陽子が求めている相手は夫というわけではない。痺れるような快感につつまれて、漠然と不特定な相手に向かって呼びかけたにすぎない。陽子の脳裏には、太くて逞しい肉棒がいきいきと躍動していた。剛直に貫かれたときの、背骨が軋むような快感を想い起こし、ひたすら指を使った。
しとどに濡れてぐっしょりとなった薄い粘膜は、指の摩擦によって淫蕩な形に歪み、なんともいえぬいやらしい音を出した。だが、それさえも、今の陽子にとっては快感を高める刺激剤になっていた。
「ああ、なんて気持ちいいの!」
心底から叫ばずにはいられなかった陽子の言葉は、啓太をことのほか興奮させた。いつか父に言っていた、「したくてしたくてたまらないから、オナニーをしているの」という言葉は、やはり本当なんだと思った。そしてすさまじいまでの母の姿に同情した。
ベッドを軋ませて、二転三転しているうちに、陽子の体は位置がずれて、股間がちょうど覗き見している啓太のほうを向いた。啓太にとっては、おあつらえ向きの位置である。
淡く頼りない恥毛に縁どられたサーモンピンクの肉の割れ目を、これほどまともに見たのは、啓太にとって生まれて初めてのことである。ただ、距離が遠すぎた。
啓太は、もっと間近で見たいと思った。母の股間は複雑な感じがするが、詳細な構造ははっきりつかめない。欲求不満が募った。しかし、ともかくまともに見える。
母が中指でしきりにいじっているのは、どうもクリトリスと称するものらしい。一点だけを撫でるように擦っている。とても気持ちがいいとみえて、まろやかな腰が激しく左右に揺れる。ときにはブリッジ状に浮きあがる。
それにしても……。
亀裂の長さには一驚せずにはいられない。極端な言い方をすれば、股間を前から後ろまで切り裂いたようである。ぽってり膨らんだ周囲の肉が、すごくいやらしい色をしている。ツヤツヤと光って見えるのは、濡れているからだろう。
濡れているといえば、中指もびっしょり濡れているし、きっとお尻の穴と思われる、少し赤みがかった花の蕾のようなものまでぬらついている。
そのうちに陽子は、それまで乳房の上に置いていた手を下腹部に移動させた。親指を除いた四本の指を揃え、陰毛をまさぐるようにしていたかと思うと、恥丘を押さえつけるようにして、上方へ引っぱりあげた。
亀裂全体がひきつれたように伸張する。それまではよく見えなかった突起が、大きくせりだした。今にも破れそうに伸びきっている。
陽子は、もう一方の手の人差し指と中指を、吐きだした蜜壷に浸すと、その濡れた指先を突起に撫でつけた。その拍子に、腰がピクッ……ピクッと跳ねあがる。よほどいいものとみえる。
啓太は、この淫猥な光景を、ドアの蔭からまばたきもせずに見つめた。知らぬ間に、勃起を幼児のようにいじくっていた。先口からジクジク滲みでた露で、もう袋の裏までぐっしょり濡れていた。
啓太は、できるだけ爆発しないように、強弱をつけて、ゆっくりと肉棒を握りしめるだけにした。
このままエネルギーを放出したくない。今夜こそは、最後の最後までじっくり見物していたい……。
それにしても……と思った。男は一度精液を放出すると、虚脱したようになってしまい、よほどのことがない限り、快感を持続させることはできない。回復するのに手間どるし、どうしても虚脱感に打ちのめされてしまうからだ。
ところがどうだろう。啓太は母の貪欲な姿に、ただただ呆然とした。とてもかなわないと思った。
初めのうちこそわからなかったが、肢体のさまざまな変化を垣間見ているうちに、母がもうすでに何度かイッているらしいことに気づいたのだ。腰をブリッジ状に持ちあげて、全身を打ち震わせたあのときも、全身を、まるで一本の棒のように硬直させて痙攣したときも、明らかに頂点をきわめた姿に違いないと思った。
女性の快楽の終局は、いったいいつくるのだろう?……
啓太はとことん今の場所にとどまることで、それを見きわめようとした。
「あなた、よくってよ……あああ、いいわッ、すごくいい!」
陽子はまたもや押し寄せてくる快感の波に呑みこまれて、空しい叫び声をあげた。何かにすがりたい。強い力で抱きしめてもらいたい。だが、肝心の相手はいない。
激しく五体を揺さぶらせながら、陽子は何度目かのオルガスムスを味わい、しとどに濃厚な淫汁を溢れさせた。
男の匂いが欲しい!……
陽子は痛切にそう思った。汗くさい匂い。男にしかない独特の体臭。そして、今ではすっかり過去のものとなってしまったあの強烈なザーメンにまみれてみたかった。
男を知った当初は、どうしても好きになれなかった栗の花にも似た匂いが、今では逆に、恋しくてならない。ザーメンをたっぷりと口の中に注いでもらいたいと思った。熱いほとばしりを、疼く子宮にたっぷりと注いでもらいたいと思った。
「欲しいわ! あれをちょうだい!」
何本かの指が狂おしげに剥きだしの女陰をかきむしった。
秘口の内部が火のように熱く燃えている。しかし陽子は、どんなに望んでいても指だけは入れなかった。膣を満たすには、やはり男が必要だ。だが、それはできぬ相談である。
陽子がいつも最後の手段に使う電動バイブレーターが、枕もとの小引き出しの中に入っていた。本物ではないにしろ、太さといい長さといい、本物をうわまわる実感がある。
疼いている肉襞は、バイブレーターの擬似男根がぴっちりおさまることによって、ようやくある程度の満足を得ることができる。しかも、それは男根とちがって、スイッチひとつで微妙にくねり、振動する。足りないのは抱擁感だけである。
オルガスムスの波がゆっくり引いていくと、陽子は濡れた股間をティッシューで綺麗に拭きとった。そのうえで、電動バイブレーターを取りだし、そっと股間にあてがった。
静かに花弁を擦る。肉の花びらは充血して敏感になっている。
遠くへ去ったはずの快感が、またしても湧いてくる。
太い先端を少し強く押してみた。いくら愛液を拭き取ったといっても粘膜そのものが柔軟性に富んでいるから、ヌメッとした感じで、バイブレーターの先端で押された分だけ粘液はひろがる。内部には、当然のことながら、女性特有の湿り気があるから、花蜜が先端に付着する。
陽子はバイブレーターをそっと引きあげ、濡れた先端の部分を、陰唇のまわりに塗りつけた。とたんにチリチリと染みるような快感が生じる。
「ふうーっ」
充足の吐息をつきながら、スイッチを押した。スイッチプレートから伸びた二本の細い電線に電流が通じると、バイブレーター本体が妖しく小刻みに振動した。
陽子は決して強くは押さなかった。バイブレーターと女陰の粘膜の間が、何ミクロンか離れているといった感じで、秘唇を撫でた。振動波だけが伝わってくるような気分である。
この微妙な感触がたまらない。快感を得る直前で耐えているのだ。むず痒いような、切ないような、被虐的な歓びを味わっていた。さんざんこらえたその後で、一気に太いものを秘口に埋めこんだときの愉悦。陽子はそれが欲しくて、自分自身を虐め抜いた。
バイブレーター本体の根元から突きでている鉤形の小指のような突起が恥毛を震わす。これはクリトリス用の振動体なのだが、バイブレーターの本体が外部に露出したままなので、クリトリスよりはるかに遠い位置にある。だが、角度によっては恥毛をくすぐることは可能だ。
恥毛がざわつくと、それに囲まれた肉芽が、もっと強く押してとばかりにせりでてくる。トクトクッと、まるで音をたてるようにして媚液が湧出した。アヌスがキュッと縮むような快さが生じる。
「あーっ、もう駄目。入れて……お願いよ」
目を閉じ、喉を引きつらせながら、三十五歳の女体は悶え狂った。陽子は曖昧な男の影に向かって要請した。
疑似男根が肉の扉を押し分けたとき、スイッチが切り換えられた。それまでの振動がうねりに変わった。バイブレーターは蛇のようにうねりながら、重なり合った肉襞をかき分けた。
太い異物の侵入によって、一度は大きくひろげられた膣口は、すぐに歓びの収縮を開始した。狭い洞穴でバイブレーターと肉がせめぎ合い、ひしめき合った。窮屈な動きを助けるように、肉襞の間から淫汁が噴きこぼれる。ひとつの変化があるたびに、いくつかの甘美な快感が生まれた。
「あーっ、あああ、いいわァーッ」
陽子は、秘唇に突き刺さったままうねる本体の角度をさまざまに変えた。右や左に押し曲げ、ときには抜き差しもする。ブーンという振動音が微妙に変化する。そして、快感もまた、強くなり弱くなった。
深く押すと、鉤形の部分がクリトリスをほどよく刺激し、そこからも瞼の裏が弾けるような快感が生じた。亀裂からダラダラ流れでた媚液は、会陰部はもちろんのこと、アヌスにまで伝わり、ヒップの下のシーツは、性臭にまみれて皺だらけになった。
だが、すでに狂気の狭間に堕ちこんだ陽子には、そんなことはどうでもよかった。ただ、あの甘美な瞬間をきわめたい一心であった。
「きちゃうわ……ああ、なんていいの! ほら、きちゃう!」
しなやかな陽子の体にピリピリと緊張感がみなぎり、全身がピーンと伸びて、樫の棒のように硬直した。乳房を除いた足の指先から顔の表情まで、すべての皮膚が突っ張っていた。ただ形のいい乳房だけが、体の細かい振動に合わせて、ブルン……ブルンッと震えた。
「イクゥ--ッ!」
美しい陽子の口から、獣のような唸り声がもれた。そして、紅色に染まった女体に、最後の快楽の瞬間が訪れた。
陽子は燦然と金色に輝く世界に漂った。だが、そこで陽子は不思議な体験をした。
夢を見ているのだろうか?……
陽子は、次第に鮮明になっていく意識の中で、はっきりと精液の匂いを嗅いだ。それは、先ほどまで一番欲してやまないものであっただけに、夢かな?……という疑念を抱いた。
それでも、特有な匂いは明らかに鼻孔に入りこんでくる。
おや?……っと思った。胸もとが、やけに冷んやりする。
ゆるくなった膣口から、ポロリとバイブレーターが落ちたとき、陽子は胸もとに手をやった。そこはぬるついていた。
夢じゃない!……
掌はおびただしいザーメンで濡れそぼっていた。
パッと目を開けた。
「!…………」
陽子がベッドの脇に見たものは、まぎれもなく我が息子、啓太であった。
第四章 ついにママの中に入った……
「ヒェーッ……」
その声は喉の奥にひっかかって、声にならなかった。悪夢なら覚めて!……と陽子は思った。
「ママ……」
かすれた声は、まさしく現実の我が息子の声に他ならない。
陽子はシーツをたぐり寄せると、我が身を覆って顔をそむけた。
「出てって……早く出てって!」
それだけ言うのがせいいっぱいである。
「ママ、みんな見ちゃった。可哀相なママ……」
ええっ! と思った。啓太は今、「可哀相……」と言った。
なぜ、私が可哀相なの?……
陽子は自問自答した。しかし確かな答えは出てこない。
「ママは淋しいんだね。ひとりで淋しくて仕方がないんだよね」
そうか、この子は私を憐れんで同情してくれているのだ……。
そう思うと、いっそう恥ずかしさが増した。母親として、これほど恥ずべき姿はあるはずがないと思った。
「出てって! お願いよ……」
泣きだしそうな声で、陽子は哀願した。だが、ゆっくりと影が近寄った。
「…………」
ベッドの端に啓太が座った。陽子はシーツをかぶったまま、息をひそめた。いま陽子がなすべきことは、羞じ入ること以外、何もすることがなかった。
「可哀相なママ……」
シーツの上からそっと息子の手が体を撫でる気配がした。
せめて明りでも消えていてくれたら、陽子は羞恥に頬を染めながらでも、何かひとことぐらい言えたかもしれない。しかし、あいにく明りはついていて、すべてがお見通しだ。陽子は心底死んでしまいたかった。
シーツの端がそっとめくられた。陽子は全身を固くした。何しろシーツの下は素っ裸である。
「ママったら……」
熱い手で肩を撫でられた。
小さいとき、自分にすがりついていた可愛い手が、いま大人の雰囲気で自分の肌を撫でている。そう思うと、陽子はひどくちぐはぐな気持ちになり、固く身をこわばらせるしかなかった。
「パパがいけないんだ」
啓太が呟く。陽子はなぜか、このとき涙を流した。
そうよ。一番悪いのはパパなの。もっと大人になったら、あなたもわかってくれると思う。ママは人生で今が盛りのときなの。それなのに……それなのに、パパは私に歓びを与えてくれることができないの。あなたには理解できない大人の歓び……ママはその歓びを得られない苦しさから逃れるために、こんな恥知らずなことをやってしまったの……。
できることなら、陽子はそう我が子に言ってやりたかった。だが、そんな言葉が二十一歳の少年には理解できないことだと、頭から決めこんでいた。
「ママ……」
さっきまでの遠慮深い声ではなかった。後ろを向いていた陽子の肩越しに、息子の顔が近づいてくるようだ。同時に、熱っぽい手がなだらかな陽子の肩を撫でた。
陽子は、悪戯をした子供が大人たちの叱責の声をじっと待ち受けるような気持ちで、じっと黙していた。
二の腕までさがってきた啓太の手が、スーッと前にのびてきた。陽子はドキッとして身構えた。指先が乳房の柔らかいふくらみに触れた。
この子はいったい、何をするつもりかしら?……
思う間もなく、啓太の手には、はっきりした意志が表われた。乳房をしっかりと覆ったのである。
ドキンッとした。それでいながら、明らかに異性の手で触られたときに感じる、あの異様なときめきと興奮が生じた。
「ママ、こっちを向いて」
幼児が甘えるような声だった。
陽子は我が子の意図することを計りかねた。
この子は何を望んでいるのだろう?……
「ママったら、こっちを向いてよ」
無理矢理に、体の向きを変えさせられてしまった。
このときになって、陽子は初めて啓太の顔を遠慮がちに見た。熱に浮かされたような赤い顔が目の前にあった。なんだか大人びて見える。
「ママとぼく、ふたりだけの秘密にしようね」
思わずうなずきそうになって、陽子はあわてて口を開いた。
「忘れてちょうだい……でないと、ママ、死んでしまう」
「大丈夫。ぼくとママだけの秘密。それがいやなら、ぼくもママと同じように秘密を持つことにする」
「?…………」
陽子には理解できない我が子の言葉である。
「ママがひとりでしているのを見ているうちに興奮して、やっぱりぼくも、ひとりでしちゃたんだ」
陽子は胸もとにぶちまけられた白い樹液の冷たさを感じた。
「ぼく、また……その……」
うわずった声を出して、啓太が、ダブダブの頭からかぶるタイプのパジャマの裾をまくりあげた。
そこに陽子が見たものは、若々しい男性の象徴であった。夫が元気だった頃のふてぶてしい大きさにはほど遠かったが、それは明らかに猛々しく宙を向いて、いなないていた。
「啓ちゃん……」
言ったものの、次の言葉が出てこない。
「ママ……これ、ママにあげる!」
突然、シーツが剥がされてしまった。あっという間もなく、啓太が体重を預けるようにして、のしかかってきた。
「何するの!」
そのときだけ陽子は、自分が全裸であることを忘れて、手脚をばたつかせ、我が子を夢中で突き離そうとした。
息子のスリムな体は、思った以上に力強く、陽子は啓太の両腕の中にしっかりと抱きしめられてしまった。一瞬の恐怖感が通りすぎると、陽子は母親らしい気持ちを取り戻し、なんとかしてこの異常な事態から抜けださなければ、と思った。
太腿のあたりには、先ほど見た勃起がゴツゴツと当たる。
「啓ちゃん。馬鹿なことはやめなさい……いやよ。ママ、そんなのいやよ」
しかし、一度欲望に火のついた若い肉体を抑止する効果はなかった。熱い頬が陽子のうなじに押しつけられ、ぬるついたものが唇に当たった。啓太の舌ががむしゃらに唇を割って入りこもうとしていた。
激しく顔を振って拒否したとき、乳房がギュッと鷲づかみにされた。すごく痛かったが、性感を刺激する妙な刺激も伝わってくる。
陽子は狼狽した。こんなはずじゃない……と強く否定し、我が子を突きのけるようにしながら、ベッドからふたりして転げ落ちた。
窮余の一策はうまくいった。陽子が上になり、下になった啓太は、フロアに後頭部をぶつけて、ふっと全身から力を抜いた。この機を逃さずに陽子は飛び起きると、ドアに向かって突進した。いや、突進したつもりだった。
その時、まったく無意識に伸びた啓太の手が、しっかりと陽子の足首に絡みついていた。派手な音をたてて、陽子は前のめりにつんのめった。
ストゥールに腹を打ちつけて、息ができないほど苦しい。
体を上向きに引っくりかえされ、両手を万才の格好にされて、上から押さえつけられた。
怖い啓太の顔が、のしかかるように覗きこんでいる。陽子は、我が子の瞳の奥に、大人の欲情の色を見て戦慄した。
「ママ、ぼく、したい」
きわめて端的な言葉であった。そして言葉とともに、また唇が押しつけられた。
結婚当初の頃は、よく夫から口づけされたものであるが、ここ数年、まったくそんな行為から遠去かっていた。それだけに、少年の甘い匂いは陽子の欲望に火を注がずにはおかなかった。だが、陽子はまだ母親としての自覚を忘れていなかった。
相手の舌が唇を割って入りこもうとしたが、陽子は身をよじり、顔をひねって攻撃から逃れた。それでも、ぴったり重なり合った下半身の恥丘には、啓太の硬い勃起がゴツゴツと当たり、柔らかな乳房は胸板に押されてひしゃげ、切なく疼いていた。
「いけないわ、啓太。どいて……」
「ぼくが助けてやるよ」
助けてやるという言葉を耳にした途端、陽子は忘れかけていた羞恥を思いだして赤く頬を染めた。我が子にあさましい姿を見られたのは、疑いもない事実である。それは、これから先もずっと、陽子の脳裏から離れないだろう。同様に、啓太も決して忘れることはないだろう。
啓太は、私の不幸な身の上に同情して、助けるという言葉を使った……。
陽子はその言葉にこだわった。なんだか負けそうな気がした。
啓太がいっそう強く母にのしかかった。
「ぼく、ママとしたい……ママがあんなことしてるからいけないんだ」
啓太の言葉は、陽子の弱点を見事についていた。それは、陽子にとってアキレス腱のようなものであった。
陽子はひるんだ。その瞬間を啓太は見逃さなかった。今度は唇でなく、魅力に充ちた乳房に舌を差し向けた。
啓太は美しい乳房をたっぷりと鑑賞する前に、甘酸っぱい匂いを吸いこみ、懐かしい乳の香りを味わった。
テクニックなんてものはまるでない。ただひたすら乳首を吸引し、ときには口をいっぱいにひろげて乳房全体を口の中に引っぱりこむようにしながら吸いたてた。まるで無茶なやり方である。
しかし、長い間、本当の性的満足から遠去かっていた陽子には、ひどくこたえた。瞼の裏がはぜるような疼痛が、ほんの一瞬だが、股間の柔肉を揺るがせて通り抜けた。
「あっ……いや、やめて……」
強く拒んだつもりだったが、実際には陽子の言葉は弱々しくはかなかった。
啓太は母の拒否の言動を、すべて無視した。
陽子が拒否の言葉を発した隙に乳房にとりついていた舌が、あっという間に移動して開いた唇の中に押しこまれた。舌の動きも決して規則正しいものではなかった。ただ暴れまわるだけである。
それさえも陽子にはひどくこたえた。ともすれば、自分の舌まで相手の動きに合わせて絡みつこうとする。しかも下半身が密着して、我が子の硬い肉茎が妙な具合に当たるから、疼きが生じ、無意識に擦りつけるような仕草さえしてしまうのだった。
結婚して、ようやく本当のセックスの歓びがわかりはじめた頃、夫の肉棒が秘めやかな股間のぬめった粘膜を擦るたびに、陽子はすぐあとにくるあの歓喜の一瞬を想像して、しとどに割れ目を濡らしたものだ。
いま陽子は、我が息子を相手にしながら、ふとそんな気持ちになりかけていた。
陽子は何しろ素っ裸である。防御するものは何ひとつない。ここにつけ入れられる隙があった。
体に何かをつけていれば、相手はそれを脱がせることに手間どってしまう。それを利用してなんとか逃げる手だても考えられるかもしれない。だが今は、まったくの無防備だ。
啓太も、頭からスッポリかぶるダブダブのパジャマを着ているだけである。早い話が、一枚のパジャマだけが母子ふたりを隔てているにすぎない。啓太がまくりあげてしまえば、母と子の皮膚はぴったり接触する。ただ啓太はキスに夢中になっていたため、その事実に気づかなかった。
むしろ意識したのは母の陽子のほうである。
さんざん電動バイブレーターで体を慰めた直後だったので、敏感な柔肉はすべて充血しきっている。花肉に息子の硬い勃起がゴツゴツと当たるたびに、どうしても気になってしまう。陽子の思考力と判断力は、すっかり鈍化していた。
それに反して肉体は鋭く反応してしまう。下半身に人格はないというが、陽子はかろうじて肉体の欲望に耐えていた。相手が息子でなかったなら、たとえ強姦魔であったとしても、陽子はこの時点で身を任せてしまっただろう。
陽子の反撃する力は、徐々に失われつつあった。挑発的な肉体の疼きだけではなく、疲労度も相当なものだった。
それにひきかえ、息子の啓太は二十一歳という若さに加えて、何よりもセックスに対して興味があった。今や野性を取り戻した野獣のように、性の御馳走を目の前にして、荒んだ気持ちになっている。もうどうにも止まりようがなかったのだ。
啓太はやみくもに母の唇を吸い、乳房を揉みたてた。そのうちに、自分の欲望が限界点に近づいたことを知った。若いから、射精の瞬間は衝撃的に訪れる。あっという間もなかった。腰骨が軋んだかと思うと、とめどなくザーメンが噴きだして、脳天に快感の電流が突き抜けた。
啓太は体をガクガクと震わせて、ほんのいっとき母の体にしがみついていた。
陽子は、我が子が射精したのをすぐに知った。
「ああっ、ママ……」
啓太が小さく呻いたとき、陽子はやはり母親らしく息子を抱きしめたまま、じっと動かなかった。今さら突き離したとしてもどうなるものではない……という強い気持ちが、陽子の心の内で渦巻いていた。
啓太の着ているパジャマを通して、生温かい液体が太腿のあたりに付着した。
陽子は内心、我が子の精力の強さに驚いていた。ほんの少し前、母のあさましい姿を見ながら、おびただしい量のザーメンを吐きだしたばかりのはずである。陽子は三十五歳になっていたが、思春期の男の子のセックスについての知識は皆無といってよかった。それだけに、夫と較べて、息子の精の強さや回復力の早さに目をみはる思いだった。
ふたりは凝固したように動かない。陽子はさすがに冷静さを取り戻していた。
このまま啓太が帰ってくれれば、何事もなくてすむ。少しの間、狂気の時間を共有したと考えればいいのだ……。
そう思い、抱きしめた我が子を解き放って起きあがろうとした。
「ママ、行っちゃ駄目……」
すると、我が子のかすれた声がした。
「さあ、おしまいよ」
あとは自分の恥ずべき姿を見られたことに耐えればいい。ママは淋しいんだね……と啓太は理解を示してくれた。私たちは他人ではない。母と子供なのだ。やがてこの子も大人になれば、私の苦悩を理解してくれるに違いない。そして今日のことも、やがては遠い記憶の彼方に霧散してしまうだろう……。
「もういいでしょう。さあ、どいて」
「ママ……」
「なあに?」
陽子は優しい元の母親の姿に戻っていた。
「ぼく……したいんだよ」
「!…………」
「セックスしたいよォ」
崩れ落ちそうになる気持ちを、なんとか持ちこたえて、陽子は我が子の背中を撫でた。
「今はそんなことを考えるときじゃないわ。あなたならわかるでしょ。それに……私たちは本当の母子なのよ。そんな恐ろしいことを考えるべきじゃないし、絶対に許されないことだわ。お願いだから、さっきのママのあさましい姿は忘れてちょうだい。ママ、どうかしてたの。きっとあなたは傷ついたでしょうね。いずれはわかってくれると思うけど、ママは弁解はしない。謝ります。ごめんなさい。さあ、これで今夜のことは忘れましょう」
だが、誠意をつくした陽子の説得に、啓太は返事をしない。
もう一度、啓太をうながそうと思った陽子は、そのときある異変に気づいて恐怖を感じた。まだ密着したままの下腹部に、ゆっくりと硬いしこりのようなこわばりが、その存在を示しはじめたのだ。
まさか!……否定する陽子の気持ちを裏切るかのように、硬いこわばりは急速に勢いを増して、とうとう恥丘のあたりが痛いほどに圧迫された。
陽子に、もはや言うべき言葉はみつからない。ただこの場をいかに切り抜けるかを、混乱する頭の中で考えた。
抱きついたままの啓太が、再びそろりと乳房に手をのばしてきた。
「啓ちゃん……」
もうやめて……という言葉が喉に絡みついて出てこない。陽子はこの時点で、明らかに圧倒されていた。それは言葉に言い表わせない恐怖感であり、圧迫感であり、敗北感のように思えた。
「もういい加減にしてッ!」
振りしぼるような声が、陽子の美しい唇の間からほとばしり出た。
それが最後の絶叫だったかもしれない。叫んだあとに、陽子は激しい虚脱感に襲われた。
「ママがいけないんだ。あんな格好をして、ぼくを興奮させるから」
追い討ちをかけるような啓太の言葉が、鼓膜に痛く響いた。
それにつづいて、啓太の体が少しズリさがった。股間の近くに当たっていた硬いこわばりの存在は遠のいたものの、形のいい乳房が啓太の好奇に輝く目の前にさらされた。
「ママ……素敵だ」
はしゃぐような息子の声を聞いたとき、陽子は切羽詰まった状況を忘れて、遠い日の、啓太が乳房に吸いついていた頃を想いだした。ふっくらした手で必死に乳房をつかみ、それだけが生き甲斐のようにして母乳を吸いたてていた可愛い啓太……。
だがそんな感傷の時間も、ほんの一瞬でしかなかった。鋭い快感が陽子を現実に引き戻したのだ。
啓太を押しのけようとしたが、どうしても体に力が入らない。自分で、そのもどかしさに狼狽した。
弾けるようなふたつの乳房が、息子の手と舌で愛撫された。支離滅裂な動きが、かえって切ないまでの快感をもたらす。
「あっ……」
陽子は自分自身の反応に驚いて、あわてて口をつぐんだ。しかし、一度感じた鋭い疼きは、これでもかこれでもかというように、次から次へと陽子を襲った。固く閉ざしているはずの唇が、あまりの切なさに、知らぬ間に開いてしまう。
啓太は、母の予期せぬ美しい声を聞いて狂喜した。
同級生の加山聡一が得意げに聞かせてくれたことは真実だったのだ。彼は言った。
--ママはね、ぼくがいろいろなことをしてやると、とってもいい声を出して歓ぶんだ。その声が聞きたくて、ぼくはキスをしたり、おっぱいを揉んだりする。すると、ママはますます大声を出す。その声は男を勇気づけてくれる。興奮させてくれるんだ。その声をたっぷり聞いたあとのセックスは、説明できないくらい素敵なんだ--。
啓太は、まだ愛撫についてのテクニックを知らない。けれど、探求心、好奇心は人一倍旺盛である。
啓太は聡一の言葉を頭の中で何度も繰りかえし想いだしながら、ひたすら愛撫に熱中した。
「啓ちゃん。いや……やめて……」
その声は否定であり拒絶であったが、決して強い調子のものではない。聡明な二十一歳の少年は、その事実に気づいていた。だから陽子の言葉を無視した。
熱心さが加わった分、陽子を襲う快感は増幅された。疼きは確実に股間を刺激した。それを意識すると、さすがに愕然となった。
「いやっ……やめてよ。もう充分でしょう。ママ、もうイヤッ!」
どういうわけか、陽子が体を振ると、啓太は呆気なく横にずり落ちた。
陽子はこの機会を逃さなかった。さっと立ちあがった。ちょっとふらついたが、前のめりになってドアに向かった。
ようやくドアを開けたとき、後ろから羽交い締めにされた。硬い肉棒がパジャマを通してヒップの割れ目を直撃した。肉蕾の周辺が、妙な具合にざわついた。
体から力が抜ける。膝がガクッと折れた。倒れる寸前に、陽子は抱きあげられていた。そのままベッドに運ばれ、横たえられた。
間近で啓太が全身を見つめている。
幼児がイヤイヤをするように、顔を横に振った。うまく言葉が出ない。
目の前で、啓太が裸になった。少し高いところで、若々しい男のシンボルがいなないている。
「ああ……」
母の声は、絶望であり、感嘆の声でもあるように思えた。
「ママ、これをママの中に入れさせて」
陽子は無言で顔を横に振った。
啓太はひざまずくと、母の全身を髪の毛から足の爪先まで、じっくりと観賞した。母が頼りない手つきで股間を覆う素振りをしたが、すぐに啓太は手で払いのけた。
「ママ、すごく綺麗だ。女の人の体がこんなにも素晴らしいなんて……」
このままで終わって欲しい……。
陽子は心の内で神に祈った。
このままなら、神も仏も許してくれる……。
陽子は我が子の燃えるような視線に耐えきれずに目を閉じた。
啓太は、このまま母が許してくれるのかもしれないと思った。だから、母の恥丘に、こわごわと手を伸ばした。
横から見ると、そこは乳房ほどではないにしても、かなりの盛りあがりを見せている。頂きに美しい芝生のアクセサリーが、彩りとして添えられていた。大部分はふんわりと起きあがっていたが、一部は湿り気を帯びているようでもある。
こんなにも少なかったのか……。
そっと触れた。啓太の指も細かく震えていたが、母のそこも、その瞬間だけブルッと震えた。やめて……というように、母の手が啓太の手の上に重なった。だが、啓太の別の手が母の手を遠去けてしまう。
優しくカールした恥毛は、なぜか啓太に安堵感をもたらした。啓太は身を乗りだして、触っている部分の周辺を眺めた。
ぴっちり閉ざされたすべすべの太腿の間から、わずかに色づいた一筋の亀裂が垣間見えた。
ああ、ここに……。
啓太は目眩を起こしそうになった。頭に血が昇っていくのが、とてもよくわかる。心臓の鼓動も、それまでとは違って、今にも破裂しそうに高鳴った。
秘唇を覆っている母の手を横にどかした。押されていた恥毛が、息を吹きかえしたようにフワーッと盛りあがる。
そんな光景にも、啓太は深く感動した。何か言いたくとも声にならない。身を乗りだして、目と鼻の先の距離で眺めた。
これが、今まで夢にまで見た女の正体なのか。いや、この奥にまだ何かある!……
両手で左右の太腿の付け根をわけようとしたが、ずっしりと重いうえに、母が力をこめたので、容易に開かない。指先でそっと短い毛先を撫でた。しっとりと濡れた感じが伝わってくる。何度か指先を往復させるうちに、母が小さな悲鳴をあげて、腰全体をピリリッと痙攣させた。
啓太はもう一度同じ個所をなぞった。
「あーッ」
母の声が明らかに感じていることを、啓太なりに理解した。指先で押してみると、母はまた呻いて腰をよじった。だが、拒む素振りは見せない。
啓太は天にも昇る心地で母の秘唇をまさぐった。
陽子の腰がせりあがり、全身がよじれた。
よほどいいに違いない……。
啓太は指先で恥毛をわけてみた。豆状の小さな突起がツヤツヤと輝いている。ピラミッドのまわりを膨らませたような格好である。裾のほうが薄い皮膚で覆われている。それを静かに引っぱる。
「あーッ、いやよ!」
だが、陽子の体は決していやがっているようには見えなかった。いや、むしろそうされることを喜んでいるかのように、しなやかな腰全体が持ちあがる。
指を肉芽から離してみた。ストンと腰が落ちて、母は急に静かになった。しかし、下腹がせわしなく上下している。呼吸音もすごく荒い。
いくら経験のない啓太にも、母が今どんな状態であるかの見分けはつく。
不思議に思った。さっきまで、あんなにかたくなに閉じられていた太腿が、ほんの少しだが開いている。それだけではない。色づいた割れ目の間から、光った露が一条の筋となって内腿を濡らしていた。
--女は気持ちよくなると、アソコが濡れてくるんだ。硬くなったペニスが入りやすくなるためにね--聡一はそう教えてくれた。
じゃあ、ママはその準備が完了したってことなんだ!……
啓太のこわばりが、その瞬間を期待して、さらにいちだんと硬度を増した。
啓太は、はやる心を必死で抑えながら、無理のないように、人差し指を赤みがかった割れ目の粘膜に差し向けた。
母の体がピクンッと跳ねた途端に、ぬるついた花弁がパクリと指先を咥えこんだ。いや、実際には陽子が身動きしたことで、割れ目がほんの少し指先を押したのだが、啓太には、そこが開いて指先を吸いこんだように思えたのである。
「駄目……」
聞きとれないほど弱々しい母の声がする。啓太はそのまま指を押しこもうとした。だが陽子が腰をひねったので、せっかく入りかけた指先は、外に押しだされてしまった。
啓太はあわててベッドに飛び乗ると、乱暴に陽子の両脚の間に入りこんだ。陽子も太腿を閉じようとしたが、すでに膝の間に啓太が座っていたため、女の部分が丸見えになってしまった。
ゴクリと唾を呑みこんだ啓太は、ズルズルと腹這いなった。またも母が両腿を閉じる素振りをみせたが、それが不可能とわかると、恥毛を両手で覆い隠そうとした。啓太はズリあがると、湿った恥毛の上に顔を押しつけた。
「駄目よ……」
頭の上でかすかに母の声がした。
啓太はわけのわからぬまま、母の秘裂に舌を突きだした。舌先にぬるついたものが触れた。同時に母の短い悲鳴が聞こえ、まるで地殻変動でも起こしたように、腰が躍動した。
強い匂いが鼻をついた。啓太は無我夢中で秘唇に舌を押しつけた。
ぬるついた粘膜が舌の勢いに押されて、左右に開いた。そこはベトベトに濡れていた。かきまわすように舌を動かすと、母の腰が、まるで暴れるように揺れはじめた。
啓太は両手で母の腰全体を押さえ、必死で秘裂を舐めまくった。母の悲鳴が快く耳に達してくる。二度、三度と、母の手が頭を叩いた。痛いとは思わなかった。もっとも、叩く手には少しも力が入っていない。ただ本能的にそうしているらしい。
何度も精を放ったあとであるが、やはり若い啓太は落ちついていられなかった。分身が限界にまで膨張して、キリキリと痛い。
啓太は目の前に開かれている桃源境に、早くこわばりを埋めこみたくなった。上半身を起こすと、下腹に沿うように屹立した分身に手をあてがい、下方に向けた。
母がハッとしたように目を開けた。ふたりの視線が複雑に絡み合う。
「ママ……させて」
上半身を前傾させた啓太は、わけのわからぬまま、恥毛のあたりに勃起を押しつけた。
勃起の先端がグニャッとしたものに当たったが、挿入された感覚はない。泣きたい気持ちで啓太はいったん腰を引くと、また見当をつけて擦りつけていった。
「啓ちゃん、それだけは駄目……ああ、恐ろしいことだわ」
陽子が向きを変えて逃げだす気配をみせた。あわてて押さえこんだ。とてもインサートできる状態ではない。
「ママ、お願いだよ」
「駄目……絶対に駄目」
啓太の声も泣き声になっていた。
どんなに欲情を刺激されても、やはり陽子のほうが正常な感覚を持っていた。いざとなると、陽子は決して結合を許さない姿勢を示した。
啓太は、またも爆発する予感に怯えた。今度それが訪れたなら、しばらく回復しないだろう。だから、今度は是が非でもという気になっていた。どんな方法を用いてでも、己れの猛り立った分身を、母の秘められた柔肉の間に埋めたかった。このチャンスを逃したなら、ひょっとして、もうこんなことは起こり得ないかもしれないと思った。
いきなり啓太は、陽子の両腿を左右に押しひろげた。なかなか結合できない苛立ちがあったから、かなり荒っぽいやり方である。陽子が両腿を閉じようとした。それでも内腿の肉を強くつかんで、抵抗する気力を削いでしまった。
それは偶然の所産であったが、かなりの効果をもたらした。あまりの痛さに、陽子が拒む気配を引っこめてしまったのだ。
啓太は、より開かれた未開の分野に血走った目を向けた。重なり合ったサーモンピンクの肉片が、ほんの少しだが、確かに動いていた。そこだけ、まるで別の生物が棲んでいるかのように蠢いていた。しかも、肉片が微妙に動くたびに、どこからともなく光る露が滲みでて、亀裂周辺の赤みがかった薄い粘膜を濡らす。
これが女の……。
啓太は口の中で、あのいやらしい女性器の名を呟いた。
それは、啓太がかつて想像していたものとはまったく違っていたが、色と形には、すぐに馴染んでしまった。いや、想像していたものよりはるかに複雑でいやらしかったが、かえって女陰は強烈な印象と興奮をもたらした。
母が体をひねろうとしたので、啓太はまったく無意識に、割れ目を指で押した。ズルッと指先が肉の扉を切り裂くようにして、奥へ入りこんでしまう。
「あっ、あああ--っ!」
陽子の体が激しくうねったので、指はさらに奥へとすすみ、何か軟骨のようなものに当たった。一番長い中指が、付け根の部分までスッポリとはまりこんだ。
そのとき気づいたのだが、中に潜って見えない部分が、ひくついた肉で締めつけられている。
いったいどうなっているんだろう?……
好奇心にかられた啓太は、中指の抜き差しを繰りかえしてみた。
「あっ……あっ……あああっ……」
そのたびに、母が動きに合わせて心地よさそうな声をあげる。
いつだったか、路上で犬がつながっているのを啓太は思いだした。後ろからしがみついた雄犬が、さかんに腰を振っていた。
そうか、そのたびに、ペニスは出たり入ったりするんだ……。
啓太は中指の抽送に興味を覚え、それを間断なく繰りかえした。それにつれて、陽子は次第に平常心を失っていった。
駄目ッ。いやッ、よしなさい!……
心の内で叫んでいても、それが実際の声にならない。いつしか陽子は、我が子の激しい指の動きに同化していく自分を感じていた。
まだ、指なら許せる……。
そんな自己弁護の声が、心の片隅で聞こえたような気がした。
たとえ我が子の指であっても、自分の指で得る快感よりは、はるかに強い快感が体じゅうを駆けめぐった。その歓びの証しが、陽子の割れ目にはっきり現われた。
生温かい三十女の愛液は、息子の指だけでなく、掌までぐっしょりと濡らした。真の快楽にありついた肉襞は、しきりに蠢いて、啓太の指を奥へ奥へと誘いこもうとした。
「あーっ、駄目……」
叫んだものの、その声の真意は、急速に盛りあがる快感を、なんとかコントロールしようとする自己規制の声に他ならなかった。陽子の意志はまったく無視され、両方の脚は大きく開く一方だった。
啓太は指の抜き差しをしながら、母の性器の構造を穴のあくほど見つめた。そして、ようやく中指一本だけしか動員していない無駄に気づいた。


