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便所虫の歌 · 第3部

便所虫の歌 第3部 (3/5)
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「保険証がいるよ。それとも保険証は持っていないの?」

「マリカは持っていません」

「じゃあ、全額負担だね。大変だなあ」

「お願いです。助けてください」

「もっといきめよ」

体力の限界がすぐに来てしまうのも、週末だからでしょう。ほとんど休みのない連続の責め……。だから、体力はいつもギリギリです。

「じゃ、こうしてあげようね」

彼はヴァギナにローションをかけると、指を入れてきました。

「こっちから押し出せるかもしれないじゃないか」

「ふぎゅぅぅぅぅう。そんなー。ムリ……」

だけど手を押し込んできました。

「あるある。ここにボールがあるよ」

「ああああああ!」

フィストファックをされるだけではなく、その手が腸内のボールをつかんだのです。それがなにかのスイッチだったようです。

ガクガクと体を震わせて、彼の手をべちょべちょに濡らすぐらい、大量の愛液を噴射しました。

「またイッたの? おまえって壊れてるね、完全に」

白目を剥いているのは、苦しいからであり、痛いからであり、そして感じてしょうがないから……。

「ああっ、また来たあ!」

苦しいまでの絶頂。呼吸が困難になり、脳内の血流が低下していくような恐ろしいまでの快感。

自分がとんでもない窮地にあるのに、この感じよう。医者に頼んでメスで体を裂かなければボールは取り出せないかもしれません。その危機的な事態が、熱くたぎらせてしまうのです。

「お腹を裂いてください」

「バカ言うなよ」

「だって、ムリ。絶対、ムリだから」

土曜日の夜。もはや、なにをされても感じてしまう体になっています。理想のマリカです。いたぶられ、汚され、辱められ、嬲られて、あらぬことを口走り、ムリなことを懇願し、イキまくる……。

脳が溶けていく。

「押し出してみるぞ。おまえもいきめよ」

うまくいくとは思えませんが、やります。

「むぎぃぃぃぃ、痛いぃぃ」

「おっ、出て来たぞ」

何度か、ボールが大きく顔を出しては戻ってしまう。その繰り返し。

「いけっ!」

「ぐえっ、裂けちゃう」

彼が強く押したので、内臓が飛び出すのではないかと思いました。

でも、ポコッとボールが飛び出したのです。

床に落ちてバウンドしている音が聞こえます。

「なんだ。簡単じゃないか。すごく開いちゃったけどさ」

お尻がポッカリと開いたままです。

ヴァギナから抜いた手で、お尻の穴を撫でています。感覚があまりないのですが、簡単に手を受け入れています。腫れて伸びた粘膜に、彼の五本の指をヒタヒタと感じます。

「入れてみるよ」

もう指は入ってしまっています。それがボールのあった場所にすべり込みます。

「うーん。いい感じだな。やっと温まってきたんじゃないのか?」

次はなにを入れるつもりでしょう。

「じゃ、もう一度だ」

「ええ!」

「何回だっていいじゃないか」

腸液でヌルヌルのボールが再び押し込まれます。それでも最後に奥まで入っていくときには、同じように苦しいのです。ボコッと腸が膨らむように受け入れているのがわかります。

なんて体なの。また飲み込んでしまった……。

「ほら、出せ」

お腹に力を入れると、半分ぐらいまで押せるのですが、完全には出ません。

「ダメだな。そうだ。今度はケツ穴に直接、手を入れて、中でボールをつかんでやろうか?」

「え? そんな……」

「マリカの穴の限界を試したいんだよ」

「もう限界です」

「そうかな?」

彼は手を入れてきました。ボールの入ったアヌスに……。

「あああっ、ダメ、ムリ」

「マリカにムリなんて言葉はないんだぜ」

そう。マリカは限界なし。なにをされても、甘んじて受け入れるのです。

ボールが押されて奥へ行こうとします。大腸そのものには痛みなどをはっきりと感じ取る神経はないので、腹膜や筋肉からのぼんやりとした刺激だけですが、そんなに奥へ入ってしまったら、ますます取れなくなりそうです。

「はああ。お願いです。お尻に手を突っ込んでボールをつかみ出してください!」

「やってやるよ」

腸が裂け、肛門が割れたスイカのようになってしまうかも。

彼の指がボールに沿って中まで入り込みます。

「ふふふ、おもしろいね」

じわじわとボールを握ろうとしている五本の指。腸壁とボールはぴったりくっついているのだと思うのですが、隙間をこじあけていく、つまり腸壁を押し拡げていくのです。そこは、痛みの感覚はないのですが、お腹がつれるように圧迫されていきます。

「ああ、入ってくる。あなたの手が……」

「よーし、握ったぞ。ほら」

「あぎっ。マリカの中で、マリカの中で……」

お腹の中でボールを握った彼が、腕を捻るのです。

縛られた手足をバタバタさせてしまいます。また来る……。あれが……。あのとんでもないマリカ・ウェイブ……。

「感じてきたか? マリカの中で、ボールをこねくり回してやってるんだぜ」

鼓動が激しくなって、体が震えてきます。自分がどうなってしまうのか、わかりません。

心臓がバクバクと血液を大量に循環させているのに、むしろ体温は低くなっていくような気がします。

「いくぜ!」

ぐわんぐわんと、彼は腕を捻り、押したり、引いたりしています。それはアナルセックスなどとはまったく違う感覚。拷問そのもの。そして、たぶん、こんな拷問を受けた女はそう多くはないでしょう……。

「ぎゃん!」

ビューッと潮を噴いてしまいました。彼の太い腕に内側から押し出されている性器。そのめくれ上がった粘膜がびちょびちょになっていきます。

「派手にやりやがったな。まだ許さないぜ」

「はあああ、きついぃぃぃぃ」

苦痛と快楽のサンドウィッチ。穴だけを責められていますが、昨日からの苦痛の余韻が積み重なって、たくさんの攻撃を全身に受けているような錯覚。

「沈むぅぅぅぅぅ」

真っ暗になっていくのです。マリカ・ウェイブは、ほとんど失神している状態です。このまま仮死状態になって、なにも感じなくなるかもしれません。

「引き出してやるぞ」

「ふぎぃぃぃぃぃぃ」

痛みが失神から現実に戻します。

ぐいっと腕をひねりながら、引き出そうとしているのです。

直径七センチ以上あるボールをつかんだ手。その拳は十センチ以上になるのではないでしょうか。十二センチそれとも十四センチ?

いくら拡張されているとはいえ、楽な大きさではありません。

「よーし、いいぞ。おまえも力めよ」

力が入りません。

再び、真っ暗になっていきます。今度は快楽抜きでの本当の失神かもしれません。

夜のゲーム

「ふふふふ」

男はドロドロの手とボールをわたしに見せつけます。

「取り出してやった」

「はー、はー、はー」

気が遠くなっています。

「どうなってると思う?」

それはいらない、と思います。

「パックリと開いているからな」

手で触っているようですが、感触がとても遠い。壊れてしまったのでしょうか。

「手が自由に入るようになった」

そうなんだ。フィストは経験がありますが、さらにひと回り大きくなってしまったようです。

「ほら」

「あああ、だめぇぇ」

手をまた戻すというのです。ボールを握った手をそのまま入れる……。

「うぐぐぐぐぐぐ」

飛び出した粘膜ごと、押し込まれます。

「苦しいか。だけど、もう入っちゃってるからね」

ぐりぐりと中で手首を回しています。

「赤ん坊を産むことはあっても、それをまた戻すなんてことはないわけだからな。ハハハ」

ボールはわたしがお尻で産んだ子。母を恨み、再び胎内に戻って中から復讐しようと思っているのです。その子を戻さないで……。

体がヒクヒクと痙攣しはじめました。なにか、感じてしまったようです。

「だめだめだめだめだめだめ」

わけがわからなくなってきました。

「安心しろ。裂けてはいないからさ」

ズボッと彼が手を引き抜きました。

「はーああああ」

切なく、苦しく、つらく、体からいっきになにかが抜け出していくような快楽に、脳髄が麻痺していきます。気絶はしていないのに、無感覚に浮遊しているような……。

よかった。彼は鬼子を引きずり出してくれた。

ぽっかりと肛門も腸内も穴を開けたままになっています。

とうとうこんなところまで来てしまった、という恐ろしさ。

裂けてはいないと言っても、お尻の穴がそんなに大きくなってしまったのでは、日常生活はどうなるのでしょう。

だけど、そんな心配を遥かに越えた愉悦は、マリカだからこそ得られるものです。

「マリカ。おまえのケツをここまでしてやったのは、おれなんだぜ」

「ありがとうございます」

「また、壊してやるから、楽しみにしておけよ。次はここだな」

男が指を性器に入れてきました。煮えたぎったように熱くなっています。そこも拡張しようというのでしょうか。

「待ってろよ」

「え?」

ここで終わりなのでしょうか。

どうやらそうらしいのです。とても不思議なことですが、彼は快楽の中で惚けているわたしを残して、帰り支度をはじめているのです。

一人でシャワーを使いました。手でお尻を確かめますが、鈍い痛みが残っているものの、とっても柔らかくなっていて、指がすんなり入ってしまうことに驚きました。

ぐりっと押し込むと、手首まで入っていました。

セルフアナルフィスト……。できるようになっちゃった。

「あのう」

おそるおそる男に見せようと濡れたまま、部屋に戻りましたが、もう彼はいませんでした。

道具もすべて片付けられて、彼がいた気配もない……。

帰ってしまったんだ……。

すごく不思議な人です。

やりたいことはできたのでしょうか。満足してくれているといいのですけれど。

投げ捨てられたような寂しさがあります。

いえ、捨てられたのです。

マリカはこうして使い捨て。

便所虫ですから。

お尻から手を抜いて、シャワーを浴び直しました。

ホテルから出ると、掲示板をチェックします。もうひと組、予約されていたはずです。

ぽっかりと開いた穴の写真がアップされていました。さっきの人が、もう掲示板に開ききったマリカのお尻の穴を晒していました。

こんなになっちゃったんだ……。赤黒く、ストロボを反射する洞窟。

自分の体じゃないみたい。

予約した人との待ち合わせ場所を確認します。ターミナル駅のバス乗り場。もうバスはないでしょう。深夜ですから。

タクシーでそこへ急ぎます。

ワゴン車が一台、ポツンと止まっていました。どこかへ連れていかれるのでしょうか。

「遅くなりました、マリカです」

窓をノックすると、電動でガラスが下がり「ぜんぜん、大丈夫ですよ」と明るい声とともに、メガネをかけた精悍な中年男性が現れました。スポーツマンなのでしょうか。ポロシャツがよく似合います。

「後ろに乗ってください」

スライドドアも自動で開きました。

「あっ」

後部は座席ではなく荷台でした。窓は黒いシートで塞がれ、パイプが組まれています。そのパイプには、全裸の小柄な女性が縛り付けられていました。

手足を左右に大きく開き、股間をこちらに剥き出しにしているのです。陰毛は剃られ、下腹に「奴隷」という文字が彫り込まれ、男性器の絵柄まで生々しく浮き上がっています。

かわいそう……。

思わずそう思ってしまいます。

いろいろな道具が、パイプや天井から下がっています。工事を請け負う人のように。でもその道具は女を責めるためのものなのです。

「早く乗ってください」

運転席の男に促され、乗り込みました。

スライドドアが閉じます。

「ご紹介します。ぼくの奴隷です。名前なんてありません。名前をつける必要もないですからね」

え!

意表をつかれっぱなしです。

エンジンがかかりました。

「ちょっと移動します」

マリカはなにをされても文句は言いません。どこへ連れていかれても。

奇妙なドライブです。座席がないので、畳まれた毛布に座り、パイプにつかまりました。

「マリカさん。責めてみませんか、こいつを」

「え?」

「あなたのように、週末、欲望の対象としてあらゆることを受け入れてきた女性なら、ぼくなんかとは違う責め方をご存知じゃないかなって」

幼い顔立ちの女は、口いっぱいにボールギャグを頬張り、その穴のあいたボールから涎をだらだらと垂らしています。

車が動き出すとルームライトは消え、街の灯りだけで彼女の輪郭が見てとれます。目は脅えてわたしを見ています。乳房にはいくつか傷があり、乳首にリングが装着されていました。

細く小柄な女性ですが、乳房はわたしよりも豊満で、その先端にある乳首も大きく、五百円玉ぐらいのリングが下がっています。車の振動で、乳房とリングが揺れます。ぶら下がる道具も揺れます。この男にとっては、彼女もアイテムにすぎないのでしょうか。

目はわたしを凝視しています。

この子を虐めるなんてムリだと思います。かわいそうなのです。

疲れもあってうとうとしてきました。彼女の体に寄り添うように肌を合わせていると暖かくて、気持ちがいいのです。

ガチャガチャと鳴る苦痛を与えるギアで埋まった荷台。そこに女の体をはりつけているわけです。この子はどうしてこんな目に遭っているのでしょう。

あんまり遠くに連れていかれると面倒だな、だけどこうして揺られていると気持ちがいい、そんなことを考えていると、車は速度を落とし、左に曲がり、なにかに乗り上げて大きくバウンドしました。

「うぐっ」

彼女がうめきます。

「着きましたよ」

電動のスライドドアが開きました。湿った熱風が入り込みます。

過酷な時間が始まります。夜明けはまだ先のようです。

降りました。昼の暑さがまだ残っているようです。

まわりは六階建てぐらいのビルが建ち並んでいます。さきほどまで走っていた道路は三車線の国道でした。平日の昼間なら、たくさんの車が行き交い、この歩道にはスーツ姿の男女が行き来しているのではないかと思うような場所です。

そのビルの間に残された建物は、二階建ての部分が少しあるものの、ほとんどが平屋です。道路に面したところは広い駐車スペースになって、仮設の柵で囲まれています。

男はエンジンをかけたまま、その柵の端にある南京錠を外し、チェーンを引き抜きました。柵を大きく開きました。

そしてゆっくりと、車ごと中へ入っていきます。わたしはあとに続きます。

「閉めておいてください。内側から南京錠をしてくれませんか」

柵を閉じ、重いチェーンを巻き付け、南京錠をガチャリとはめました。

すぐそこは日常の空間。だけど、この瞬間に、ここは立ち入り禁止の異空間になったのです。

その建物には、錆びた看板がかかっていて、なんとかモータース、という文字が読めています。自動車の修理工場だったようです。

左手は二階建て部分で事務所と居住スペースが少しあるようですが、大半はシャッターが閉じていてる平屋。かつてはそこに何台も車が止められて、ジャッキアップされたり、ボンネットを開けられたり、塗装のために目張りされたりしていたのではないでしょうか。

駐車スペースの隅にある街灯が、投げ込まれた空き缶などのゴミに混じって、古いホイルキャップやタイヤを照らしています。

事務所の横に車を横付けしました。

小走りにそこへ行きます。

女は車から降ろされていました。背がわたしの肩ぐらいしかありません。

「この人、大人ですよね?」

「ふふふ、いくつに見えますか? ご心配はいりません。小柄なんです」

犯罪に荷担するのはマリカとしては避けたいところです。

「映像を掲示板に載せるのも平気ですから。すべて了承済みだと思ってください」

すると彼女はわたしにこっくりとうなずきました。ボールギャグの穴からドロッと唾液が垂れ下がりました。

「楽しみにしていたんですよ。マリカとこうした機会が得られるのを」

詳しいことは聞きたくありません。この場所と男との関係や、男と女との関係についても。

「ありがとうございます。でも、わたしに人を責めることはできません」

「できますよ。マリカさんならではの責め方がね」

「もし、彼女を責めるなら、それ以上の苦痛をわたしは引き受けたいの」

「いいですよ。お互いにやり合えばいいんです」

「だったら、できるかもしれません」

事務室に入り、男は蛍光灯をつけました。ガランとしていました。書類棚と古い金庫が放置されています。金庫の扉は開いていて、引き出しが飛び出していました。

その横からガレージにつながるアルミサッシの引き戸があり、それを全開にしてから、ブレーカーを操作して天井の明かりを灯しました。

引き取り手のない古い機材。タイヤが積まれ、ドラム缶や一斗缶が並び、オイルのニオイがします。

男は内側からシャッターを開けて、車を中に入れ、再びシャッターを閉じました。事務所の電灯も消してしまいました。

これで外から見れば、無人の廃墟ということになるのでしょう。

「ドラム缶をここに運べ」

隅にあるドラム缶をわたしと彼女は、それぞれ一本ずつ、がらんとしたガレージの中央に運びます。中身が入っているので男に手伝ってもらい、少し斜めにしてから転がして移動させました。

男がドラム缶の位置を決めます。

「ここと、そこだ」

二メートルほど離れています。

男は車からロープを持って来ると、それで彼女をドラム缶に縛り付けました。腰に回してしっかり固定します。上半身は自由なままです。足を大きく開かせて、足首につけたロープをドラム缶に回して宙に浮いた形で縛りました。

彼女は小柄なので、ドラム缶の一メートル足らずの高さに下半身だけならきれいに収まります。

「マリカはこっち。彼女以上の苦痛が欲しいんだよね?」

「はい」

「じゃ、ドラム缶を背にして逆立ちをしてみて」

彼の手を借りて、そこで逆立ちをしました。

彼は手早く腰の部分でドラム缶に縛り付けました。

足を折り、足の裏がドラム缶の上の部分を踏むようにし、左右別々に縛られました。

「もっと体を持ち上げて」

彼女よりも背が高いので、足に力を入れて自分を持ち上げます。お尻がほとんどドラム缶の上に飛び出すぐらい。苦しい姿勢です。

その姿で乳房に縄がかけられ、ドラム缶に縛り付けられていきました。頭のてっぺんは地面にあたっています。

膝に縄がかけられ、乳房からの縄とドラム缶の横で結ばれます。足を閉じようとすると、乳房がギュッと縄で締め付けられるのです。乳房を楽にしたかったら、足はできるだけ開いていなければなりません。

彼女に、殺人鬼ジェイソンのような、アイスホッケーのゴールキーパー用フェイスマスクをつけました。

わたしにもつけてくれます。

そして彼女の膣に細いロウソクを差し込みました。

わたしにも。

「じゃ、ゲームをはじめようか」

激痛の応酬

男はわたしたちに長い一本鞭を渡しました。

「お互いを叩くんだよ。交互にね。ロウソクを鞭で落とすんだ。これは勝負じゃない。どっちのロウソクも落ちるまで続くよ。落ちなければあそこが焼けちゃうかもしれない。鞭以外で落ちたらやり直しだから、しっかりあそこを締め付けていないとダメだよ」

激しいビートのヒップホップをカーステレオで流しながら、男はビデオを構えています。

「はじめ!」

彼女は下半身をドラム缶に縛り付けられていますが、上半身は自由なので、思い切り鞭をわたしに振り下ろします。

「ぎゃっ!」

距離があるので、先端部分しか体に当たりません。ですが、その先端は、一番叩きやすい開いた下半身に当たるのです。

「いたいぃぃぃ」

足を思わず閉じますが、そうすると乳房がちぎれそうになるほど絞られます。

当たりそうでロウソクには当たりません。腿に食い込んだ鞭は激痛以外の何者でもないのです「今度はマリカだ」

わたしの場合は逆さにされていますから、ロウソクに焼かれることも怖いけど、頭に血がのぼってしまうので、それも怖いのです。早く終わらせるほうがお互いに苦痛は少ないはず。

びゅっと地を這うように鞭を振りましたが、彼女の膝のあたりに当たっただけでした。

「ぐぅ!」

猿ぐつわをされている彼女の悲鳴は低く押さえつけられています。

なかなか当たるものではないのです。

最初こそ相手に当てるのはかわいそうな気がしてきましたが、途中で、ロウソクを鞭で叩き落としてあげないと大変なことになることも明白になってきて、「お願い、叩き落として」と叫んでいました。

彼女はボールギャグで叫べませんが、あそこから出ているロウソクがどんどん短くなっていき、炎が下腹を照らすほどになっています。

わたしのも短くなっているはずです。逆さになっているおかげで、直接炎を受けることはありませんが、両腿の付け根あたりがチリチリと熱くなってきました。

「おまえたち下手くそだな。もう少し近づけてやろうか」

「お願いします」

「じゃあ、その代わり」

男は分厚い耐熱のグローブをして、細いロウソクを彼女の膣に一本、新たに押し込みます。短くなったロウソクとまだ長いロウソク。太いロウソクを入れるのではなく細いものを入れたのは、あとでこうやって足そうという気があったからでしょう。

わたしにも一本、入れられました。

「がわわわわ」

彼女は熱くてもだえています。鞭を振るどころではないのでしょう。ほとんど外れるようになりました。わたしにも当たらないのです。

「お願い、当てて!」

男は彼女ごとドラム缶を少しずつ動かして、こちらに近づけてきます。

「もう一本、あげよう」

三本になったとき、最初の一本はもうカタチがなくなっていました。彼女は下腹部を焼かれて暴れています。

でも、いっきに半分ぐらいに距離は縮まりました。

短くて軽い一本鞭に取り換えてくれました。

手首だけで振ることができるので、命中度が上がりました。

わたしとしては、彼女のロウソクをまず消してあげないと、彼女が冷静にわたしのロウソクを狙ってくれなくなりますから。

ビシビシと、まともな神経だったら絶対にできないような強さで、彼女の股間や下腹を狙って鞭を打ち下ろしました。いえ、わたしは逆さなので、打ち上げるような形になります。

五発、六発とロウソクに当たるようになり、長いロウソクをとうとう弾き飛ばしました。一緒に短い方も落ちると思ったのに、長いロウソクは途中で折れてしまい、そっちの火は消えたものの短いものは残り、いっそう大きな炎を上げています。

「ぐがあああ」

次を打ったら、運悪く、そけい部に当たり、その激痛の中で彼女は火のついたロウソクを飲み込んでしまいました。

「がげぇぇぇ」

長い悲鳴と激しくみもだえする彼女。かわいそうですが、炎は消えました。

「惜しかったね」

わたしの方はまだ三本とも炎を上げているのですが、彼女は失神したようにぐったりして、鞭を打ち下ろしてくれません。

「お願い、打って! ねえ、しっかりして!」

彼女は気づいて、だるそうに腕を持ち上げて、鞭をわたしの股間に打ち下ろしました。正確にロウソクを直撃しました。真上からの力で、三本目の長いロウソクに斜めに当たり、二番目と最初のロウソクは膣の中にぐさっと深く入り込んでしまいました。

「ぎゃはぁぁー」

なんという熱さでしょう。

短いロウソクをあそこが飲み込んでいきます。熱くて痛いのでぎゅっと膣に力が入り、それが外に出すどころか飲み込んでしまうことになったわけです。

炎はすぐに消えたと思いますが、ドロドロに溶けた蝋を粘膜が握り締めています。

「はふっ、はふっ」

ヒクヒクと体が痙攣します。

焼けた……。あそこが確実に焼けたのです。ゾワッとするほどの痛みにもだえます。

消えたと思ったのに、長いロウソクがまた炎をあげはじめました。芯の部分から斜めに削ぎ落とされています。そのせいかしだいにボウボウと燃え始め、細いロウソクではなく、太いロウソクのように、猛烈な勢いになってきました。

「お願い、助けてー。焼ける、焼けちゃうぅぅぅ」

腿が炙られています。

彼女はもう一度、鞭を振り下ろしてくれました。力が足りませんが、うまくロウソクに巻き付いて、途中で折ってくれました。炎のついたロウソクが顔にぶつかります。ホッケーマスクをしていなかったら、顔も火傷していたかもしれません。

「だめだなあ、おまえたち。どっちもちゃんと鞭で消せなかったから、次のゲームはもっときついものになるぞ」

男は彼女とわたしの股間に冷たい水を浴びせました。

「ひー」

「うぐぅぅ」

女たちの悲鳴が高い天井に反射しています。

彼は楽しそうにそれを聞いています。

火傷をした敏感な部分のことを、彼はまったく気にさえしないのです。

「おまえたち、初対面でも仲がよさそうじゃないか。

同類だからか? 一緒にマンコを焼くなんてな。焼き友だな」

この男は、わたしたちを一緒に廃棄物にしようとでもいうのでしょうか。

「こういうものを作らせたんだ」

彼はプラスチックのケースを開きました。わたしに見せつけるのですが、最初はなんだかわかりませんでした。銀色に光る小さなものがいっぱい。

「なにに見える?」

「針?」

「うん。画鋲を背中あわせに貼り合わせたようなものが欲しくてさ。知り合いに頼んで作ってもらったわけだ。画鋲よりは鋭くて、少し長いんだけどね」

恐ろしいことを考えているようです。

ケースの中にはグレーのスポンジが敷き詰められ、特性の両面画鋲が五十ぐらい並んでいるのです。鋭い針はどちらにも三センチぐらい伸びていて、中央の円盤部分は直径一センチほどです。

「マリカに頼みがあるんだけど、これをあいつに刺してほしい」

「わたしが……」

「もちろん、マリカにはあいつ以上の苦痛を与えてあげるから心配しなくていい」

そう言いながら、男はようやくわたしをドラム缶から降ろしてくれました。頭がボーッとなっています。

床に倒れたままですが、彼はそのケースを押しつけてきます。

「好きなところに刺していいですよ」

画鋲を背中で貼り合わせたようなもの、と男は言いましたが、一つを手にしてみて、そういうものではないと気づきました。

両側を針として尖らせた金属の中心に輪がはめ込まれていてストッパーになっているのです。そして先端部分が、鈎針のようにちょっとだけ折れ曲がっているのです。

「そうだ。気づいたか? 針ってのは、注射針とかを使うこともあるけど、基本的に痛くないように工夫されている。スムーズに刺さるように美しく磨かれているんだよ。だけど、おまえたちのようなやつは、痛いのがいいんだろう? だから考えたのさ。同じ針でも編み棒の針のようになっていれば、刺さりにくいから、刺すときにも痛い。それにわずかに先端が潰れているので、抜くときにはもっと痛い。いい発明だろ?」

震えてしまいます。

「とにかくやってごらん」

一応、彼は消毒液を針に噴霧して、彼女の体にも噴霧しました。わたしの手も。

「あぐあぐあぐ」

「楽しみなんだろう? おまえも初めて見るだろう。わくわくするよな」

両側が針。その意味はわたしにも想像がつきます。彼女以上の苦痛をわたしは受けたい……。

「早くしろ、夜が明けちゃうぞ」

「ごめんね」

わたしは針を手にして彼女に近づきました。この長さのものを、比較的安全に刺せる場所は限られています。彼もそれを期待しているはずです。

乳房に手を触れると、彼女は「ぐが」と言いました。刺してみます。簡単には刺さりません。先端が丸くなっているからです。ねじ込むようにするとようやく皮膚を破りました。

「ぐぎぃ」

乳房を通して彼女の震えが伝わってきて、その苦痛の大きさを知り、脂汗が出てきました。

ですが、わたしも必死なのです。

マリカも早く味わいたいのです。

乳房に一本ずつ植え込みます。乳輪にも植えました。乳首はかわそうでできません。ピアスがついているので、刺しにくいのです。わずかに残された無事な乳首をこのような破壊的な針で犠牲にする勇気はありませんでした。

小柄なのにオッパイはたっぷりとして、うらやましいほどですが、それだけに刺しごたえもあって、美しいものを破壊する悦びもわかるのです。

ぶつっと皮膚を破って肉に入り込む感触。

彼女が壊れていく……。

わたしがもっと美しければ、わたしを破壊する悦びはもっと大きかったかもしれません。彼女のようにかわいく美しかったら……。嫉妬しつつも、自分のことに置き換えてしまうのです。

「がぐぅぅ、がぐぅぅ」

もだえ苦しみ震える彼女。

刺す楽しみと刺される快楽を同時に味わえたらもっといいのに……。

だけど、刺す側は、「これから刺す」ことを知っているわけで。刺される側はどうされるかわからないという点がありますから……。

やっぱりマリカは刺される女でいたいです。

両方の乳房に十四本ずつ、二十八本使いました。汗びっしょりになっています。

まだ二十二本あります。

「残りはここに刺してもらおう」

男は彼女の足をドラム缶から自由にしたあと、その縄を彼女の肩ごしに引き上げていきました。お尻に刺せというのです。

「どうして?」

「いいんだ、それで」

乳房に比べれば、お尻は比較的、刺しやすいのですが、わたしの中では疑問でいっぱいです。もし乳房と下腹部に針を刺せば、わたしは彼女と抱き合うだけで、五十本の針を受けることができるでしょう。

でも、お尻に刺してしまうと、一度には難しいのではないでしょうか。乳房で刺し合ったあと、お尻でも刺し合うというのでしょうか?

不器用な蜂のように、奇妙なダンスを踊ることになりそうです。

ボロボロの乳房

「よーし」

十一本ずつ左右のお尻に打ち込みました。彼女はブルブル震えています。股間から汁と小水が漏れています。

こういう楽しみがあるのだと、改めて思うのです。

こちらにはなんの痛みもありません。不思議なくらい、ただ楽しいだけ。気軽です。男の命令に従っている自分はとても無責任。

乳房とお尻に五十本の針を植えた女ができあがりました。

銀色の先端がキラキラしています。針の中央部分にあるストッパーとしての円盤が、安物の宇宙っぽい衣装にも見えます。なにかの治療をしているようにも見えます。

彼女の欲望を治療しているのでしょうか。それとも男の欲望の治療でしょうか。

「おまえたち、焼けたマンコが痛いだろう。これからもっと痛くなる。だから、それに耐えるには、それを上回る痛みが必要だろう。もっともっと痛くしてほしいって思ってるだろ」

理屈ではないのです。わたしも彼女も、股間にはロウソクが埋まっていて、穴は溶けた蝋で塞がっているのです。いまも燃えているように熱くて、粘膜が溶けていくような痛みが続いています。

「楽しませてあげよう」

男はテコのような器具を使って女ごとドラム缶を倒し、逆さにして立ち上げました。ロープを少し修正し、彼女は頭から背中の中程まで地面につけて仰向けになり、お尻を突き出すように宙に浮かせています。

「マリカ、こっちにおいで」

後ろ手に厳しく縛られました。

「あいつのこと、かわいそうか?」

「はい」

「じゃあ、針を抜いていいぞ。ただし、マリカの尻と乳房を使ってだ。ほかを使って抜いても、やり直しになる」

彼女の上に座れば、彼女の乳房とわたしのお尻が、そしてわたしの乳房と彼女のお尻が接触できます。

「マリカはより多くの苦痛を受け入れると言ったのだから、それを証明してもらおう」

彼女に跨がって、彼女の針山となった乳房にお尻を落とし、同時に彼女の下半身を抱きしめるのです。乳房をその銀色のお尻に押しつけるのです。そうすれば苦痛を味わいながら、彼女の針をわたしに移すことができるかもしれません。

「さっさとしろ!」

ビュンと鞭が頭の上を通過しました。

「はい!」

思わず返事をしていました。

しゃがみ込むようにして、彼女の乳房にお尻をのせていきます。そこにはしっかりと植え込んだ二十八本の針があります。体重をかけて刺すわけなので、彼女を痛めつけることにもなってしまいます。乳房には筋肉らしきものはないから、彼女はいくら力を入れても固くはできません。柔らかなまま。

お尻は筋肉の塊といっていいので、わたしが力を入れてしまうと、むしろ固くなって刺さりにくくなります。

チクチクとした感触だけでは、ちゃんと刺さっていません。彼女が苦しむだけです。

一本ずつなら鋭い針ですが、二十八本となると、面で受け止めることになるので、なかなか刺さらないものです。わたしのお尻の皮がぴーんと張り詰めていきます。やがて、ぐいっと食い込んでくる感触がありました。

「ひぃーーーー」

昨日から痛めつけられているお尻なので、皮が一枚剥けているような感覚ですが、そこに針が一度に突き刺さってきて、古傷に塩をすり込むようです。

「痛いか?」

「はいぃぃぃぃ」

「まだ、ちゃんと刺さっていない!」

バシンと肩から背中にかけて、鞭をあてられました。

「んぐぅぅぅ」

涙を流しながら、お尻を完全に彼女に委ねます。それでもまだちゃんと刺さってはいません。しっかり刺さなければ、彼女から針を抜くことなんてできません。

柔らかなクッションのような彼女の乳房にお尻を落としていくだけでもかわいそうですが、わたしに刺さるようにするにはかなり、しっかりと押しつけなければなりません。

ぐいぐいと痛みの中で夢中になってお尻を自ら傷つけるのです。

「おい、こっちはどうするんだ」

「ああ、いま、いまやります」

乳房を彼女のお尻に近づけていきます。お尻が燃えるように熱い。彼女の上に乗っていることを忘れ、思い切りお尻に胸を押しつけます。ぐいぐいと。彼女は痛みのせいか、お尻を固くしているので、プツプツと皮膚を破って針が突き刺さってきました。

彼女が苦しみの声をずっと上げていたことに、いま気づきました。

「みごとに結合したじゃないか。マゾ虫二匹だな」

男は興奮してわたしの背中に鞭を数発、打ち込みました。

「引き抜いてみろ!」

立ち上がるのです。体が震えて、ガチガチと歯を鳴らしながら、足に力を入れます。お尻がぎゅっと締まります。

「うううん」

彼女からなんとか離れようとします。だけど彼女の乳房がわたしのお尻に、わたしの乳房が彼女のお尻に、引っ張られて伸びます。

「綱引きだ。どっちが勝つかな?」

「うぐぅぅぅぅ」

ゆっくりと離れようとしましたが、つい力が入って勢いがついてしまいました。

結果は、わたしの乳房には十本しか残りませんでした。お尻には十六本。

「二十六対二十四か。いい勝負だったじゃないか」

男は喜んでいます。

「だが、マリカはまだうれしくないよね。どう見ても、苦痛は同じぐらいだものな」

「はい」

「おまえ、まんこを使って残りの針を全部、抜いてあげたらどうだ?」

「ええっ」

気が遠くなりそうな命令です。

あそこにはまだロウソクの残骸が詰まっていて、そのあたりは火傷を負っています。

残りの二十四本をあそこに突き刺す……。

わたしは震えながらしゃがむように、彼女の乳房にそこを押し当てていきました。

「ぎゃああああ」

思った以上。無数のナイフで陰部を切り刻まれるような激痛に、反射的に飛び上がっていました。

「ははは!」

彼は笑っています。

一本も彼女から両面画鋲を引き抜くことはできませんでしたが、あそこにいくつも穴が開いて血が滲んでしまいました。

「ムリかもな。でも、いまはいいよ。次のゲームをやろう」

なにを考えているのでしょう。

彼女の縄を解きました。

「おまえたち、ドラム缶を片付けろ」

鞭をびゅんびゅん振り回します。

「針は?」

「まだ取るな」

取れそうになっているものがあります。それを男はニヤニヤしながら乳房の中へ深く突き刺していきます。

「まだ夜明け前なんだぜ」

鞭を打たれながら、彼女とドラム缶を転がして隅に置きました。

「こっちに来い」

彼女を後ろ手に縛ります。わたしも縛られます。彼女はボールギャグの上からガスマスクをつけられました。わたしも被らされます。

「次の対戦だよ。さっきはマリカの勝ちとしてあげよう。今度はどうかな」

そう言いながら、誕生日のときにケーキに飾るような細くて小さな赤いロウソクを彼女の残された針に立てていくのです。

お尻にも。

二十四本のロウソク。そこに、彼は火をつけていきます。

「いまから何本消せるか。マリカはロウソクを消すんだよ、体を使って。おまえは逃げる。燃え尽きるまで耐えればいい。よーい」

一切の質問を受け付けません。

「スタート」

ロウソクはどんどん短くなるのです。わたしは体当たりをするようにして彼女の乳房のロウソクを消してやろうとしますが、彼女は逃げます。消えたほうが楽だし、火を体で消すわたしの方が大変なのに、彼女は逃げろと命じられているから逃げるのです。

「はははは、いいぞ」

男は笑って喜んでいました。

ガスマスクのせいで、息で吹き消すことはできません。

彼女は素早く体を動かすことでロウソクを振り落とすか、消すかしようとしているようですが、簡単ではないのです。

「ぐぐうぐ」

熱い蝋を浴びて、炎を感じて、苦しんでいます。

彼女が、がっくりと膝をつきました。炎に照らされた華奢な体。乳房もお尻も燃えているようです。

「マリカ、チャンスだぞ」

彼女の火を消すなら、体で消すしかありません。

「地面で消したら、やり直すからな」

彼女の燃える乳房に、わたしは上から自分の乳房をぶつけました。お互いに残った針が、傷つけあい、刺さりますが、同時に炎と蝋を浴びて、歯をくいしばります。

「ぐぅぅう」

「ぎぃぃぃぃ」

二人の悲鳴がこだましています。

ほぼ無傷だった乳房の下の方がぐさぐさに傷つき、火傷を負いました。でも、彼女のロウソクはきれいに消えていました。

「うまいぞ、マリカ。さすがだな」

肩で押すようにして、彼女をうつ伏せに床に押し倒すと、燃えるように熱い乳房で、彼女のお尻の炎を消しました。ぐさっ、ぐさっと針を受けながら。

「ぎひっ、ぎひっ」

奇妙な声を上げながら夢中でやっていました。

「すごいな。血だらけになったね」

ガスマスクを外されました。

「はあー、はあー」

息とあえぎ。壊れたエアコンのよう。

「マリカの連勝だ。おまえは負けたんだ。罰を受けることになる」

これ以上の罰などがあるのでしょうか。

「よくやった」

彼は倒れている彼女の背とお尻に乗って踏みつけながら、わたしから針を抜いていきました。軟膏を乳房とお尻に塗ってくれます。その彼の手がみるみる血で染まっていきます。

「ボロボロだな。大丈夫か?」

「はい」

「もうちょっと付き合ってくれ」

「わかりました」

乳房が猛烈に痛いのですが、軟膏のおかげで少しは和らいでいます。でも彼女には軟膏は与えられていません。男は乱暴に針を抜いていきました。わたしがうつ伏せにしたために、お尻はそれほど酷いことはなかったものの、乳房はわたしよりも酷いことになっています。

うつ伏せになったときに、針が乳房をえぐり、抜け落ちたものもあるのですが、傷を大きくしていました。蝋が飛び散り、火傷もしています。

いく筋も、赤く切れたような傷口ができていて、切り刻まれたように見えます。

「ははは」

男は笑っています。彼女からガスマスクを外します。涙でぐちゃぐちゃの顔。ボールギャグはまだ外しません。

「大丈夫か?」

平手で頬を張り飛ばします。

「ぐっ」

目が開いて、彼を睨みます。

「まだ大丈夫だな」

驚いたことに、こっくりとうなずいたのです。彼女に意思はあり、なおかつ苦痛を受け入れているのです。

「大したものでしょ」

彼は自慢します。

「この程度じゃ、満足しないんですよ、こいつは」

満足とはどういうことなのでしょう。

わたしはこのとき、ハッとしました。毎週、金曜夜から日曜夜まで、知り合いには絶対に言えないようなことをし続けて、わたしは満足しているのでしょうか。その満足とはなんでしょうか。

ゲームオーバー

もしかしたら、金曜の夜。定時で仕事を終えて、飲み会の誘いをいつものように断り、いったん家に戻って、そこでOLとしての自分を終了するまで、ずっと逡巡している自分がいるのではないでしょうか。

「もうやめにしよう」と。

おそらく何度も決めているのです、やめることを。

化粧を落とし、風呂に入り、素に戻ると、いつの間にか忘れているのです。マリカになっているのです。夜の町がわたしを呼んでいるから。

裸で掲示板の「便所虫の歌」を見てしまうのです。リクエストに返事をしていくうちに、夢中になっていきます。

わたしが満足するのは、その瞬間だけかもしれません。マリカになる自分に安堵し、満足するのです。

いつもの部屋に荷物を置き、いろいろな人に出会って苦痛の中に身を委ねている間は、とにかく必死なだけ。考えることはありません。目の前のことに向かって行くのです。マリカがどうなっていくのかを見届けるような気持ちで。

この小柄な彼女もきっとそうなのでしょう。車の荷台に裸で縛り付けられて、男の欲望の捌け口としての道具になりきると決めたとき、最大の満足を感じていたのではないでしょうか。

満足しないのではありません。もう満足してしまっているのです。

報酬はすでにたっぷり受け取っているのです。

そして苦痛の中で、一種の借りを返していくのです。この返済が厳しければ厳しいほど、次回、マリカになるときの満足はより大きくなるのです。

もうやめようと思い、葛藤し、逡巡し、決意しながらも、そうした常識をすべて振り切ってマリカになる。それがわたしの満足です。

来週の金曜日、どれだけの満足を得るのでしょう。

男は彼女を肩に担ぎ、部屋の壁側に運びました。

真新しい木材による筋交い。一般の人から見れば、壁に筋交いがあってもおかしいとは思わないでしょうが、それは彼女を責めるためだけに取り付けられたものです。

「以前のは汚れちゃったから、今回のために新しくしたんですよ」

白っぽい材木。

足首を上にして、逆さに磔にしていきます。手慣れたもので、小柄な女性は人形のように扱われています。

「いい眺めだと思いませんか?」

かわいそうな眺めです。

クリトリスを男が指で荒々しく揉み始めます。そして管をつけてポンプで吸い出していきます。透明な管の中に彼女の敏感な部分が、バラの開花をハイスピードカメラで見るように、満開になっていきます。

針金とペンチを持ってきた男は、針金の先端をペンチで鋭くカットしました。そのまま、小陰唇を引っ張りだしてブスッと刺したのです。薄いとはいえ彼女の肉体の一部です。針のようなきれいな鋭利さではないのですから、強烈な痛みでしょう。

電動ドリルを持ち出しました。

針金を磔の板に回して、木ねじで固定したのです。右、左と二カ所ずつで、彼女の秘部を極限まで開いていきます。

彼女のお腹が大きく波打っています。

「ぐーぐー」と喉を鳴らしています。涎があふれて鼻の横から垂れ下がっていきます。

大工仕事のように男は鼻歌まじりで作業を続けています。

指先でそこにこびりついた蝋涙を剥がします。埋まったロウソクを掘り出します。

ぽっかりと開いた赤い穴。

電動ドリルの先を取り換えました。激しく回転するディルド。ぱっくり開いた膣にそれを当てます。

「おもしろいですよ」

グイーンとモーターがうなり、高速回転するディルドが彼女の焼け爛れた膣壁をえぐります。みもだえしています。

「がががああ」

ドリル以上の悲鳴。ボールギャグをしていても、彼女の叫びがはっきり聞こえてきます。

「マリカもこういうの、好きでしょう」

熱くなっています。

「やってみますか?」

わたしがやられるのではなく、電動ドリルを渡されたのです。

ペッと男は膣にツバをはきかけました。

「いじめ甲斐のある女ですよ。小柄だけどタフですからね」

わたしはドリルのスイッチを入れました。激しい振動。彼女の汁が飛び散ります。たしかに、タフなようです。

「この女は、例の『便所虫の歌』の掲示板で、マリカの週末の報告に興奮して、その通りのことをしてほしいと頼み込んできたのです。あなたのようにはできないが、精一杯、真似をしてきましたよ」

「まあ」

何度も何度も女はドリルに膣壁をえぐられながら、達しているのです。そこは粘液があふれかえって泉のようになっていました。太ももが痙攣しています。

「あなたがしてきたことは、ほぼ全部、その通りに再現してきましたからね」

信じられません。マリカがほかにもいる……。

「そしてとうとう、いま、彼女とあなたは一緒になった。いま、彼女があなたを追い抜いたわけです」

「どういう意味でしょう?」

「この女と同じことをしてあげましょうか?」

わたしは戸惑いました。わたしを追い抜くことなんて、なんの意味もないと思うからです。

でも二人にはそれが重要なことらしいのです。

「はい。マリカはどのようなことでもお受けいたします」

「じゃあ、これを取り付けましょうね」

バチンと男は針金をペンチで切断しました。

自分の小陰唇にそれを突き刺すということです。

「わかりました。お願いします」

わたしは足を広げ、手を頭の後ろで組み、腰を突き出しました。

彼がビラビラをもてあそび、引き伸ばします。

「あれだけのことをしてきたのに、まだきれいじゃないですか」

男はそう言うと、ブスッと針金を突き刺しました。

「うぐっ」

「痛いですか?」

痛くないわけがないのです。

「まだまだ、これからですよ」

四本の針金を突き刺して、ペンチで根元を捻るので、陰唇が巻き込まれて強烈な痛みです。

そしてわたしの中からも、ロウソクを抉るように引き出してくれました。ヒリヒリとした痛みから、そのあたりの粘膜がかなり焼けたことがわかります。

「ここに錘をつけますからね」

針金の先端を曲げて、投げ釣り用の錘を下げていきました。

「ちょっと待っててください」

男は低くロープを張りました。やりたいことはわかります。

「ここがゴールです」

中央部分に赤いハンカチを結びつけました。そこにロープの下から上へ針を突き上げていきます。

中央の一カ所に、五本の針がさまざまな方向に突き出ているのです。

相手より早く中央を越えたほうが勝ち。ただしそこを越えるためには、この針で肉体を引き裂かないとダメなのです。

「地獄の競争をしてもらいましょう。ただし、彼女の方が小柄なので不利ですけどね」

彼女を床に降ろすと、針金に同じような錘をつけて、彼は軽々と担ぎ上げ、ロープのもっとも遠いところに跨がらせました。

クリトリスの吸引ポンプを外すと、真っ赤な親指ほどの大きさになっています。

片方のつま先がかろうじて地面に届いています。

「あっちに跨がって」

わたしは自分の意思でやるのです。

できるでしょうか。あの針を越えることなど。

「競争で勝った方を、これから『便所虫の歌』のマリカということにしませんか?」

わたしの代わりになるというのでしょうか。

「負けたらどうなるのです?」

「そうですね。文字通り、便所虫になってもらいましょう。もう名前なんていらないでしょう? あんな小柄な女性に負けたなら、あなたにはマリカを名乗る資格はないのです」

自分で決めたこと。ただそれをやってきただけ。マリカという名には、なんの意味もないのです。

それでいて、いつの間にか、この男のような考えを持つ者を育ててしまったのでしょう。

マリカを奪われる。そして便所虫になる。

その誘惑。わたしの心を一瞬で捕らえていました。便所虫になりたい。なろう。マリカを捨てよう……。日常をすべて……。

「いいですか。じゃあ、スタート」

男は女の背中に竹刀を打ち込みました。

「がー」

喉を鳴らして、彼女は右、左と体を揺らしながら、ぴょんぴょんと跳ぶようにロープを進んできます。

わたしは両足が地面についているので、彼女よりスムーズに進めますが、彼女が起こす振動によってバランスが崩されそうになります。

「があああああ」

便所虫の歌 第3部 (3/5)
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