しかしそれは私たちにとっては喜びだ。こちらが楽しんでいる以上、奴隷にはなんの文句もあってはならない。
楽しく私たちが奴隷をいたぶること。それだけが奴隷の報酬なのだ。
私は思いきり鞭を振り回し、空気を裂いて鳴らしてみせた。振り向いた珠々華が驚いた表情を見せている。いままで見たこともないほど遠くから、私が大きく足を開いて構えていることに驚いたのだろう。
ピッチャーがサイドスローで投げるように、ビュンとうなりをあげた鞭が飛び、先端部分が珠々華の肩胛骨に当たった。
「あうっ」
悲鳴は大して大きくない。冷たい風にちぎられてしまう。その風のせいもあって、狙いがなかなか定まらない。
二発目は背中の中央部にあたり、先端は乳房の下を舐めた。さっきのはただのショックだったろう。今度のは激痛だったはずだ。
三発目をさらに低く狙う。尻と腿の境目に当たり、先端は回り込んで大陰唇の横を打ったはずだ。
身をよじっている。
「見てきます」
花山は薄笑いを浮かべながら、道路に出た。フェンスと珠々華の身体によって、花山に鞭が当たることはない。彼女は自分が受けた苦痛と同じものを受けている珠々華に興味があるのだ。だから間近で見るつもりなのだろう。
四発目は尻に当たった。見事に横一文字に鞭跡がついた。五発目も同じ場所を狙うが少し上に逸れた。六発、七発と同じ狙いで打ち込む。尻が赤くなっていく。
「ぼくの場所も残してくださいよ」と大木が言う。
「十発交替でやろう」
そうすれば体力の消耗が少なく、なおかつ感触が元に戻ってしまうこともない。感触とは、もちろん鞭を打つ側の感触のことだ。珠々華はただの的にすぎない。彼女がどう感じようと関係ない。
大木は力は強いが、狙い通りにコントロールする技量が足りない。それでも背中から尻にかけて、しだいに鞭の狙いをきちんと揃えることができるようになった。
花山はまるで珠々華の悩みの相談でも受けているようだ。髪を撫でてやり、唇を吸ってやり、涙を舐めてやり、それでいて乳首にクリップをつけ、錘を垂らしていた。鞭打たれて身をよじると、フェンスの向こうに垂れた錘に乳首が強烈に引っ張られる。
股間にもクリップをつけている。小陰唇に左右につけた。思った以上に伸びることがわかった。遠くから見ても、ラビアの存在感がある。思いきり引き伸ばしてやることにしよう。みっともないほど。
五回交替した。尻は血だらけになって、背中も一部は血が滲んでいた。しかし、五十発ぐらいでは、気絶することもない。
「どうだ」
虚ろな目をした珠々華を大木に解放させた。
乳首とラビアが伸びている。
「いいじゃないか。このままにしておこう」
四つの錘をぶら下げたまま、歩かされ、足を洗ってようやく服を着ることを許した。傷ついた背中に花山が薬と包帯をつけてやる。回復が早いほうがいいからであって、珠々華のためだけではない。
「もちろん、これも、全部、入れていくんだよ」
四つのローター。珠々華は目を伏せながら、震える指で濡れそぼつ陰部にローターを押し込んだ。なにもつけなくても、飲み込んでいる。前に二個、後ろに二個入れた。
「はあああ」
がまんしてきたものを吐き出すように妙な声をあげて、逝った。
ひくひくと粘膜が動き、汁を光らせている。
「余裕がありそうだな」
もう二個、渡す。後ろに入れていく。最後の一個は入りきらず、肛門から顔を覗かせたままだ。
「落とすな」
「はい」
従順さ。珠々華はそれだけを記憶してくれればいい。
「五九番は?」
久しぶりにクラブを訪れた。
「間もなくまいります」
珠々華とここに来たのはかなり前のことだ。あのときは、珠々華はまだなにも知らなかった。私を愛することがどういうことか。
「久しぶりですわ」
花山はさらに長期間、ここには来ていない。五九番を失ったときに、彼女はここにいた。五九番がセリ落とされ、新しいオーナーの物になったとき、私を慰めてくれた。
残念だった。彼女は従順なだけではいられなかった。いまは違うようだが、少なくともあの時は。
私を信じなくなった。心が離れた。それでいて被虐の快楽だけは求めた。彼女の被虐願望を満たす道具になるのはゴメンだった。だから名前を捨てさせ、番号で呼ばれる世界に落とした。
ここでは彼女の被虐願望はカネに計算される。そのため所有者は彼女の寿命を延ばそうとする。おざなりな責め。マンネリな苦痛。彼女はそれでもいいのだろう。それでも延びる寿命はそれほどでもないのだ。おそらく珠々華の方が二倍は長生きする。花山はすでに二倍、長生きしているので、この調子なら三倍は長生きするだろう。
カーテンの陰から動くテーブルの五九番がやってきた。
「はっ」
珠々華が声を上げた。
肘から先、膝から先がなく、金具が取り付けられている。肛門は裂けるほど拡張されシャンパンボトルが入っていた。
化粧をしているものの、目はうつろで、はにかんだような笑みを浮かべていた。口を開いたが、舌はなくなっていた。歯も白いゴムにかえられていた。
珠々華と前回来てからのわずかな期間に、そんな姿に改造されたのである。
人体改造がはじまると、寿命はさらに短くなる。最初はおもしろいのだが、生かしておくのにカネがかかるようになるからだ。
五九番は自分の快楽をカネに替えた。だから彼女の寿命はカネで決まる。次のオーナーはどちらだろう。いまより金持ちで五九番の寿命を少し延ばしてくれる。もしくは、それほどの金持ちではなく、見世物としての五九番で稼げるだけ稼いだのちに処分する。
この街にはトーチャー・クラブという秘密組織があり、その会員は拷問要員を会に提供できる。拷問の末に死亡することは多く、使えなくなった身体はどこかに消えていく。一説によれば、薬品で溶かすらしい。それも、聞いた話によると沖合で待つ外国船籍の貨物船に渡し、その船内で処理されて、溶液処理されたのち、溶け残った骨は外洋に投じられるそうだ。
「大して時間はかからないそうですよ。二時間かそこらで十分だそうです」
私に説明してくれた者は言う。リスクは受け渡しの部分だけらしい。
都市伝説のようなものだろうとお互いに笑ったが、自分たちがしていることを考えれば、あながち作り話ではないかもしれない。
目をかけた女が、溶かされて消えていくとしたら、やはり心は痛む。もっと厳しくしてやればよかったと思う。どこかでもっと、教えてあげることがあったのではないかと反省する。
しかし私が求めているものは、教育では得られない。
「おまえの番だよ」
珠々華の首輪を強く引く。
「はい」
花山が珠々華を引き取り、二人で客席の中央に出る。
「今夜は、珠々華さんの訓練をご覧にいれましょう」と店の男が案内する。「彼女は売り物ではありませんので……」
ため息が漏れる。私にとってうれしい瞬間だ。
この店に入るときから、珠々華は全裸である。
傷の癒えた珠々華の身体は美しい。これまでは若さだけを身にまとっていた。そこから、オーラのようなエロティシズムを発散しはじめている。
首輪だけの姿で立っていた。
「古典的な花電車をいくつかご覧にいれます」と花山が言う。ワゴンにタマゴやバナナが置かれている。
このクラブの客からすれば子供の遊びのようなものだ。それでも珠々華は、はじめて見知らぬ人たちの前で披露するのだ。いい練習になる。
「このスケベな奴隷は、下のお口でいろいろなものを盗み食いしますのよ」
花山がそう言いながら、乗馬鞭で軽く尻を叩く。
「あっ」
お尻を叩かれるが、首輪を引っ張られ、腰を突き出すかっこうになる。
「足を開いて、あそこを見せなさい」
「はい」
指で自ら陰唇を左右に分けていく。
「こちらのお客様に見せなさい」
ソファに順番に連れて行き、客たちに性器を見せて歩く。そこからは青いゴルフボールが見えている。
「出してごらん」
お尻を叩かれながら、いきみ、膣の力で大きなゴルフボールを産み落とす。
客が思わず手に取る。どろりとした粘液に包まれている。
「よろしければ差し上げます。不要ならお戻しください」
「いらないよ、こんなもの」
客はそう言うと、珠々華の中に押し戻す。
「うっ」
最初は少し抵抗しても、途中からは吸い込むようにボールが回りながら入っていく。
次のソファでは、肛門を見せる。
乳房を鞭でピタピタと叩かれながら、お尻からも黄色いゴルフボールを産み落とす。肛門が大きく広がっていく。
このクラブの客はそのぐらいのことでは驚かない。腸液で光るボールを、別の客も嫌な顔をして、もう一度、尻の中へ戻す。
「はあああ」
珠々華はこうしたことをされながら、感じている。恐ろしく改造された奴隷のことを頭から払いのけようとしているのかもしれない。
それとも、五九番のような末路を期待しているのだろうか。
あり得ることだ。
残念だが、私との愛より、そういう世界を求める可能性だってある。いじいじとした生殺しのような日々よりも、五九番のような絶望的な世界のほうがマシに見えるかもしれない。
そして、そこから得られる快楽を浴びるほど味わいたいのかもしれない。
各席で、ゴルフボールを出したり入れたりして、最後に、しゃがんで両方からボールを産み落とした。
「ふううう」
下半身だけの運動。
淫
靡
でつらい快楽。
床に引き倒され、自分で足首を持つように命じられる。股間を人々に見えるようにさらしている。そこはボールを出し入れしたために、洪水のように濡れそぼっていた。
珠々華はウェットだ。恐怖に乾いてしまっても不思議ではないのに、少しの刺激で液が滲む。それは、私の好みではないが、花山や大木はうれしいらしい。
花山は鞭の柄で二つの穴を交互に突き刺し、えぐるようにして穴を広げていく。
「タマゴを産ませましょう」
おおぶりの鶏卵を一つ、膣に入れた。二つ目も押し込む。三つ目はなかなか沈みきらない。
「身体の向きをかえてみるのよ」
珠々華は自分で手を離し、膣をまっすぐさせると、ブリッジのように腰を浮かせながら飲み込んでみせた。
まばらな拍手がおこる。
「うしろを向きな」
四つん這いになる。そのお尻に花山はバナナの皮を剥き、突き立てた。
「むっ、はっ、ふっ」
珠々華は呼吸を整えながら、バナナを受け入れていく。
「一本」
皮だけが残り、中身は珠々華の中に入ってしまった。珠々華は続ける。
「二本」
赤く充血した粘膜は、欲張りな動物のように、バナナを飲み込む。練習で、先に入ったバナナを潰さずに腸内に入れていくことを、散々、やらされて珠々華は泣いていた。
目視することもできず、どれだけ集中しても、しっかりとした感触が得られない。
「三本」
ようやく少しは観客も興味を持ってくれたようだ。
「じゃあ、珠々華。バナナ切りをご覧にいれましょうね。私が合図するわ」
花山は女王のように、鎖を手にして横に立ち、乗馬鞭で珠々華の乳房の横を引っぱたいた。バシッと厳しい音がした。
「ひっ」
小さな悲鳴を上げながらも、珠々華はバナナをひり出す。それも途中で肛門を締めて一口サイズに切断しながら……。
バシバシと乳房を叩く音が響く中、それに合わせてリズミカルにバナナ切りをしていく。三本分だ。足元にちぎれたバナナの山ができていく。
どろっとした愛液が膣から垂れ下がる。しかしタマゴはしっかり中にくわえたままだ。
三本分のバナナをちぎったところで、肛門はぱっくりと開ききり、直腸まで見通せるようになった。
「次はタマゴよ」
鎖を引っ張られて、しゃがむ。
「未熟なもので、この姿勢じゃないと産めないのです。申し訳ありません。いずれ逆立ちしてでも産めるようにしてみせますから」
花山はそれをやったことがある。自分ができるのだから、珠々華もできると思っている。勢い、練習はハードになっていく。
だが、花山の花電車は二年ほどかけて習得したもので、数日ではない。泣いて泣いて、涙が涸れるまで練習をさせられたのだ。知り合いを通じて花電車で知られる元ストリッパーに仕込んでもらった。花山はけっして筋がいい方ではなかった。
そもそも珠々華ほど濡れないし、苦痛を快楽と感じる度合いも低かった。
それだけ五九番のような道へ行く恐れは少なかったものの、私の奴隷として役に立つ身体にするためには苦労していた。
どうしてそこまでやるのか、と聞いたことがある。「好きだから」と答えたとき、少女のような恥じらいを浮かべた。
それから私は花山に対する責任をまっとうしてきた。
珠々華はどうだろうか。
パラパラと拍手を貰いながら、一つ、また一つと鶏卵を産んでみせる。けなげな表情。目を細めているが、その瞳が私を見ているのがわかる。涙を滲ませながら、快楽に浸っているのもわかる。
「では、お客様と綱引きしましょうか」
芸をさせ、拡張している穴だが、締め付ける練習も続けている。
穴の開いた五十円硬貨に糸を通したものが用意され、花山がそれを女の粘膜に押し込んでいく。
「さあ、引っ張ってくださいませ」
興に乗った客が立ち上がり、引っ張りにくる。
珠々華は仰向けになって、再び両足首を自分で持ち、股間を挑発的に上に向けている。
「釣れるかな」と中年男が糸を引く。「おっ、大物だよ。すごい引きだ」
客たちが笑う。
簡単には引けない。私も練習で何度も引っ張った。どういうトリックがあるのか、それとも本当に膣圧そのものなのか、わからない。小さな五十円玉が、大の男が引っ張っても、なかなか出てこないのである。
数人が入れ替わり立ち替わり試す。手加減もしているのだろうが、なんとか持ちこたえた。
「じゃあ、緩めてごらん」
花山に命じられる。彼女は指先で糸をからめ、ごく簡単に五十円玉を引っ張り出した。
客も喜んでいた。
「味見したいぞ」とヤジが飛んだ。
「よかったじゃないの。みなさん、あなたの穴に興味津々よ。どう、試していただく?」
珠々華は、優雅に正座し、土下座した。それも奴隷の土下座だ。額を床につけ、両手を大きく前に広げている。
「どうか、珠々華の穴をお試しください」
花山は手を挙げた男たちに避妊具を配る。服を着たままの男たちが、それを装着して珠々華の身体を楽しむ。セックスではない。穴を試す行為。物のように扱われる。
輪姦の相手をさせられる若き美肉への誘惑に、我慢できず大木も加わった。
座席に座ったままの男の上に、自ら沈み、上下する。四つん這いになって後ろから突かれる。ソファに足を開いて浅く腰掛け、男に挿入してもらう。数人に抱えられて、こじ入れられる。さまざまなかっこうをさせられても、珠々華は楽しんでいるように見えた。
私は花山に耳打ちした。
「そうですわね」
八人ほどの男たちが珠々華で射精した。一段落したときに、花山は、乗馬鞭で珠々華の乳房を思いきり打ち据えた。
「ぎゃっ」
床に倒れ込む。
「みなさま。お試しいただきありがとうございました。少々、この珠々華。調子に乗っているようですので、ここで厳しく罰してあげなければなりません。みなさまの大切な男性自身を、自らの汚らわしい快楽に利用していたのでございます」
単なる難癖にすぎないが、こうすることで、このクラブの会員は盛り上がるのだ。
五九番の背中からテーブルを外し、そこに珠々華を仰向けにさせた。珠々華の手を五九番の喉に回して縛る。足を五九番の失われた膝から先のかわりに取り付けられた金具に通した縄で縛り上げる。その上で、両足が大きく開くように金属の棒を取り付けた。五九番の膝の金具はそのためにも便利なものになっていた。
最後に珠々華の顔に硬い革のマスクをつけた。目も隠されて見えない。
「罰するのですから、まずはレディーファーストでいきましょう」
男たちが連れてきた女たち。興味本位の者もいれば、サディスティックな女性もいる。または珠々華のような被虐性癖の持ち主もいる。男たちに促され、ドレスを着た女性たち四人が中央に集まった。
「私も入れて五人ね」
花山は彼女たちに革の房鞭を渡す。
「練習をしてみて」
四人が一斉に仰向けの珠々華の身体に鞭を振り下ろした。バシバシと激しい音が鳴り響く。
「どう? わかりました? 使い方のわからない方は?」
花山が女性たちの鞭扱いを見ながら、スタンスや手の振りなどを修正してやる。
珠々華の肌に赤みがさす。乳房、腹部、腿に鞭の痕が少しずつ浮き出てくる。
十分、いや十五分は続いただろうか。
全身が真っ赤になっていった。房鞭を至近距離から打ち下ろしているので、音は大きいもののダメージはそれほどでもない。
珠々華にはむしろ精神的な罰になっているだろう。望んだ快楽ではないとしても、それに溺れたら罰を受ける。毎日、それを叩き込まれている。いついかなるときも、この矛盾した嗜虐的な者たちの勝手な理屈に、身を犠牲にする。それが珠々華なのだ。
「まだ、やり足りない方はいらっしゃる?」
花山はニコヤカに女性たちに声をかける。これは一種のスポーツなのだ。
「ストレスは解消されまして?」
房鞭を回収する。
「ただ、これでは罰にはまだ甘いですわね。今度はこれを使ってみません?」
赤い棒。手元には黒い握りがある。SF映画に出てくる光る剣を小さく、そして細くしたように見える。
「このスイッチを押して、ランプが赤くなれば、あとはこうするだけですの」
先端を珠々華の乳首につけた。バシッと音がして青白い火花が飛んだ。
「ぎゅぇぇえ」
鞭のときはほとんど聞こえなかった珠々華の悲鳴がはっきり響いた。そこに舌を抜かれた五九番のうめき声も重なる。
「電気ムチですわ」
女性たちが各自、それを持つ。カメラのストロボのように、キュイーンと鳴る。チャージされていく。そして珠々華に軽く触れる。バシッ、バシッと火花が飛ぶ。
「がうっ、ぎぃ、ぐえっ」
身体を合わせているので、五九番にも強烈な電気ショックが流れる。
合わさった二つの奴隷の身体が、獲れたての魚のように跳ねる。
これは女性たちの気に入ったらしく、笑い声もおこる。
「ギー」
「ぐはっ」
悲鳴の二重奏を女性たちは楽しんでる。その様子を男たちも楽しんでいる。先ほどまで楽しませててくれた肉体が、いまはいたぶりの対象となっている。
久しぶりに聞いた五九番の悲鳴が、舌を切られたせいで記憶とあまりにも違っていて、少し残念だった。
彼女が選んだ道はあまりにも過酷で、それを私への当てつけで選んだとしても、驚きはしないが、同情する気にはなれなかった。
珠々華への調教はさらに過激になっていった。
時間がないのだ。
「ムリです。これは……」
朝、会社に来て、残酷な仕打ちに珠々華は泣きを入れてきた。鞭や電気ムチで半死半生の目に遭っても文句を言わなかったのだが、花山の用意した淫具に怯えている。
「これぐらいなによ」
花山が用意したのは、海外の大柄な女性でさえも、飲み込めば危険な巨大なディルドだった。
それがマシンにセットされていた。イスの中央部にそびえたつディルド。大木がそのイスから背の部分を取り外していたので、もはやただの淫具でしかない。
「壊れてしまいます」
「あんた、接待相手に文句を言うつもりなの? そんな大きなチンポだとは思いませんでした、どうか小さいチンポにしてくださいって」
「でも……」
私は花山にかわって、珠々華に告げた。
「いまはグローバル経済なんだよ。私たちのビジネスも各国と対応する。当然、さまざまなお客様と交渉が必要になる。選り好みはできないんだ。珠々華がそれに対応できるようになってくれないと……」
「じゃあ、これを試してみましょうか?」
花山はカチカチと巨大なクスコの嘴を動かして見せる。医療器具として膣を拡げるものだが、それはもはや医療用とは言いがたい。凶器のように大きなもので、人間の体に入るものではない。
「そんな……」
「業務命令なんですけど」と花山は笑いながら、その家畜用のクスコにローションをふりかけた。
「先端部分の幅は六センチ近くあるのよ。通常は四センチ以内だと思うけど。長さも二十センチあるから十分でしょ」
机にお尻をつけて足を自分でつかんで開くポーズをとらせる。この頃、淫らに染まったその表情は、苦痛を期待して歪むときでさえも、妖艶になってきた。
「こわい……」
「馬用なのよね。馬用としては小型だけど」
花山は片手で珠々華の膣口を撫で回す。
「馬とやってみる?」
「そんな……」
私に救いを求めて目を向けた珠々華だが、そこには、むしろやりかねない表情を見つけて目をそらした。
「入るかなあ」
二十四時間、発情状態にされているといっていい。赤い粘膜を指で擦っているだけで愛液がしだいに白くなっていくほどだ。
花電車修業で確実にそこは鍛えられていた。
それでも金属の先端があてられると、とても飲み込めそうもなかった。
「力を抜いてね。ゆっくりやってあげるから」
構造を熟知した花山は、男よりも優しく、それでいて情け容赦がない。
「あっ」
先端部分を押し当ててめり込ませたとき、珠々華は思わず足を離して、前のめりになった。
「縛られたいの? あとでお仕置きよ」
「すみません」
必死に足を開き続ける。
「ここからよ。逃げないようにね」
そうは言っても、腰は引けていく。大木と私で彼女の手足を持ち、下がれないようにした。机の上にはローションと愛液が溜まりはじめていた。
クチュクチュといやらしい音を立てて、セックスでもするかのように器具を行き来させる。
「大丈夫よ。力を抜くのよ」
出産とは逆に巨大なものを押し込むのだ。もっとも珠々華は出産経験もない。
「ほーら、入った」
先端部分が中に入るまで、花山は珠々華を緊張させないために、黙っていたのだ。
「あっ」
珠々華は自分のそこに巨大な器具が突き刺さっているのを、不思議そうに見ている。
「どう? 入ったでしょ?」
事実を知れば、少しは恐怖は遠のくのだろう。
「このままで、少しだけ開いてみるわね」
水道の蛇口のようなコックがあり、花山はそれをゆっくりひねった。
「ああああ」
器具の先端が上下に広がっていく。尿道やクリ、肛門がひしゃげていく。
「見て」
花山はペンライトを私に持たせた。大木と覗き込む。
「よく見えるぞ」と大木が喜んでいる。
「もう少し、開いてみるわね」
ゆっくり拡がりながら、いつしかその巨大な器具の半ば近くまで、彼女の中に入り込んでいた。
「くうううう」
恥ずかしさと痛みに、震えはじめた。
「いったん、閉じるわ」
「はああ」
器具はまだ抜かれていない。しかし閉じただけで、珠々華はホッとしている。紅潮し、肌に汗が滲む。
「珠々華はいつも浣腸しているし、おしっこもさっきしてるから、空っぽでしょ。だからもう少しやれると思うんだなあ」
ローションを足しながら膣鏡をゆっくり動かす。滑らかな金属なので粘膜へのダメージはほとんどない。
花山は珠々華を怯えさせないように、動かしながら徐々にコックを動かして拡げはじめていた。
大木が珠々華の唇を奪い、乳房をやさしく撫でてやっている。ミルク飲み人形のように、男の愛撫に反応していく。
花山が悪魔のような笑顔で私を見る。こんなに開いた、というわけだ。さきほどの比ではない。襞が伸びきって、膣鏡の嘴の間の隙間に盛り上がっていた粘膜までもピーンと伸びていた。
ピンクの膣の底がはっきり見える。
黙って花山はそれを写真に撮った。大木に愛撫されながら、内臓をオフィスの白い明かりにさらしている姿。
「じゃあ、今度はこっちよ」
珠々華が気づかぬうちに引き抜いてやる。
男がやるのとは違う。私は花山に似たような調教をしたとき、いつも震え上がらせて、泣かせていた。そのため、なかなかうまく進まなかった。花山は極度の恥ずかしがり屋で、珠々華がすでにしているような野外調教や、拡張にいくまでに数か月を要した。
あの頃は、私も下手クソだったのだ。なにもかも自分でやろうとしていただけではなく、五九番の件で焦ってもいた。花山は五九番より前から関係を持っていたが、あとから手にいれた五九番に夢中になっていた。まるでついでのように花山を扱っていた。
ときには五九番にやりたくてうまくいかないことを、花山に無理強いさせた。彼女はひどく傷ついたと思う。
しかし結果的に五九番は私のもとを去り、花山は残った。
そして私も成長したのだ。
濡れた股間を機械に装着された巨大なディルドにあてていく珠々華。大木に舐められて顔がべとべとになっているが、自らも涎を垂らしながら、発情した性器をその先端にあてていく。
「入るぅぅぅ」
柔軟になった粘膜が巨大な亀頭部を呑み込んでいく。それが中に完全に入ったのを見て、花山はスイッチを入れた。
「あううううううう」
細かな振動からはじまり、やがてピストンになっていった。
とても座るところまでは入らないので、がに股になってつま先立ちしているのだが、下から突き上げられるたびに、大きくあえぐ。
「どう? これぐらい、受け入れないとやっていけないわよ」
「はいぃぃぃ」
もうイッているのだ。
私のような人間にとって、愛する女が無慈悲ともいえる仕打ちの中で快楽に浸っていく姿を眺めることほどの悦びはない。彼女の中にあった淫らなものを、彼女のすべてにする。表につくられた取り澄ました虚像はガラスのように砕け散り、生身の彼女があらわれる。弱く、柔らかく、脆い。無防備で剥き出しの彼女。
その生傷のような体に塩をすり込み、火で炙る。
「ぐはああああ」
オフィスに珠々華の声が響く。
太いディルドの三分の一まで、体内に入り込んでいた。子宮を突き上げられ、膣を拡げられ、股関節が外れるほどの異物感だろう。
花山は機械の動きを高速にしていく。
「あうあうあうあう」
壊れたように痙攣する珠々華。いつしかほかの部署の男女が見物に来ていた。この部屋の彼女の声はすでに日常になっていたのだが、今日はひときわ異様な声だった。
「見て、あれ」と女性社員が驚く。「あんなの入れたら裂けちゃう」
「感じてるのよ、ホントに珠々華さんはド変態だわ」
男たちも生唾を飲み、見入るしかない。
珠々華は狂おしいまでの痛みと快楽に燃えて、自ら乳房をいじりはじめた。両手で乳房を揉み、片手はその痩せて平らな腹を撫で、クリに到達した。
「ああああんん」
花山は機械をオートに切り替えた。動きがランダムになる。緩慢になったかと思えば突然、人間には不可能な超高速になる。
彼女は汗を飛ばし、巨大ディルドが白くなるほどの淫汁を吹き出していた。
「イクぅぅぅぅ」
そのとき、花山は無情にも彼女のクリにあてていた腕を取り、背中に回した。乳房をいじっていた手も。
「ああっ、ひどいぃぃ」
「おまえに楽しませるための訓練じゃないのよ」
私がかつて花山に言ったことを、いまは彼女が珠々華に言う。
体に快楽を染み込ませる必要はあるが、それは珠々華の自由にはならない。そのことも忘れてはいけない。いま与えられたものだけで快楽をむさぼることだ。通常なら激痛でしかない膣への巨大ディルド責め。そこに快楽を見つけるのかどうか。
「いやああ、つらいぃぃぃ」
声を震わせて泣き叫ぶ。
花山は足をあげて、彼女の背中をヒールで押す。両手を背中にねじあげて、プロレスのサーフボードストレッチになる。
前屈みにならざるをえず、腰を沈めるしかない。
社員たちが彼女の回りにしゃがみ込み、「おお、入ってるぞ」と声をあげている。「うそっ、あんなに奥まで入るなんて」と女子は悲鳴を上げている。
「ぎひぃぃ、イクぅぅぅぅ」
ビュッと潮を噴いたので、眺めていた男たちが慌てて避ける。潮は二発、三発と続いた。
「いいだろう」と私は花山に機械を止めさせた。
「ひいいいいいい」
珠々華はずっと泣いていたのだ。力なく股間に突き刺さったものを眺めている。ほぼ、飲み込んでいた。
「あとちょっとじゃない」
花山と大木が珠々華の両肩に体重をかけ、押し込む。
「ああ、そんな……」
とうとう、ディルドは見えなくなった。珠々華は座っているように見える。
「見て、あのお腹」
食事を厳しく制限しているので、ムダな肉はほとんどない。その下腹にはっきりとディルドの亀頭部分が浮き上がっていた。
大木がマーカーでその形をなぞっていく。ヘソのすぐ下まである。
「抜いていいぞ」
珠々華は自力では立ち上がることもできない。大木や男性社員が手伝って、体ごと持ち上げた。
「うそっ」
くいこんだディルドのせいで、イスそのものが浮き上がりそうになる。しかし重みで床に落ちた。
「がはっ」
抜けたあとの珠々華。大きな穴がぽっかり開いていた。
連日の厳しい特訓。そして今日の拡張で膣の柔軟さな極限まで試されていた。限界を超えてしまっているかもしれない。
そのまま机の上に横たえる。
「あんなになっちゃうの!」
「子供を産んだらああなるんじゃない?」
そんな声が聞こえた。
私は汗だくで半ば失神している珠々華の頬を叩いた。
「ひっ」
「どうだった。感じたか?」
唇を噛み、一瞬、悔しそうな表情になった。ガクガクと歯が鳴った。震えながら口を少しだけ開き「イキました」と言った。
「聞こえないぞ。はっきり言え」とその頬を叩く。
「珠々華はイキました! 化け物のようなディルドで突き刺されて、何度もイキました!」
その赤くなった頬を撫で、私はキスをした。
彼女は私の下で泣きながら、抱擁に応えた。
「大丈夫だ。アナルでもあれが入るようになればね」
唖然としている彼女を突き放し、私はスーツについた彼女の汗をハンカチではらった。
「手当をしてあげてくれ」と花山たちに任せ、私は頭を冷やしに外に出た。
廊下に社長がいた。
「いいものを見せてもらったよ。そろそろ準備は終わったんじゃないか? いつまでもここにいると、いろいろと差し障るからね」
「はい。新しいオフィスに移ります」
「君も、いよいよ社長だな」
皮肉ではなく、そう言われ、私は突き放されたような気持ちになった。
「がんばってくれよ」
社長がエレベーターに乗る。すると取り巻きたちも慌てて乗る。役員のほぼ全員がいたようだった。
ていよく私を放り出したつもりなのだろう。二束三文の資金で「社長」と名乗らせる。社内のライバルを放り出し、スカをつかませ、失敗の汚名の中で抹殺しようというシナリオだろうか。
階段を駆け下りて、外に出た。
叫びたい衝動を抑えた。握り拳をムリに開いた。
その指先を唇にあてる。珠々華の匂い。滅びるときは一緒だ。彼女の覚悟は、私の覚悟だった。
山荘
「今日はおまえの訓練の成果を見せてもらうわ」
花山も気合いが入っている。
「とても重要なお客様の接待なのよ。あの殿山様の紹介ですからね。しくじれば彼の顔を潰すことにもなりかねないし、そうなったら……」
花山は私を見る。珠々華も私を見る。
まだ日は高く、暖かな日差しがたっぷり部屋に注ぎ込んでいた。
黒いイブニングドレスを着て、美容院で髪を盛り上げ、丁寧にメイクされた珠々華。私は思わず一歩踏み出した。彼女はよろけるように腕の中にいた。
香水が鼻をかすめる。
しばらく、彼女を抱きしめてあげた。こんなに小さな体だったのか。
場所は山岳地帯にある山荘だった。車で十五分ほどのゴルフ場に隣接したホテルでケータリングを用意させ、暖炉のある別荘でゆっくりとした週末を過ごしてもらう。
「部長、いえ、社長。私、お役に立ってるのでしょうか?」
細い手首を握ってやる。これから徹底的な奈落の底に落ちていく彼女。これまでのことが、遊びにすぎなかったと思い知ることになる。
「珠々華。私の気持ちはよくわかっているはずだよ」
私は言葉に頼らない。彼女との間には特別の絆がある。それを信じている。だから彼女も信じてほしい。それだけだ。
瞳が潤んでいる。あまり感情的になると、余計に辛くなるだろう。
外で車のエンジン音がし、砂利を噛みしめるタイヤの音が響いた。
花山もよく知っている特別な接待場所。石作りの外壁が物語るように、アルプスあたりの山荘をイメージして大正時代の成金が作った別荘が元になっており、何度か増改築をしてきた。
例のクラブのオーナーを通じてこの別荘の持ち主と知り合った。その持ち主は所有して十年以上になると言い、部屋を大胆に改造していた。
「ここはね」と花山がやんわりと珠々華を私から引き離す。「この居間を『日の部屋』と呼んでいるの。それら隣のダイニングを『火の部屋』、そして地下には『秘の部屋』があるけど、どの部屋にも責め具が家具のようにしつらえてあるのよ」
通常の利用もできるが、それはまるでホラー映画に出てくる古城にいるような雰囲気を楽しむことになる。通常のゲストたちは、そこに展示されている刑具や拷問器具は撮影の小道具だと思う。天井や壁に鎖やフックが見えているのも、中世のようなムードをつくるためだと思っている。
まさかダイニングテーブルや天井から下がるシャンデリアまでも、拷問に利用できるとは思っていない。
「博物館にいるみたい」とか「お化け屋敷にいるようだ」といった声が聞かれる一方、「悪趣味」とも言われる。
いずれにせよ、それらの器具や装置が実際に使われることは、チラッと想像ぐらいはしたとしても信じない。「よく使ってるんですよ」とオーナーが言っても冗談と思うだけだ。
ところが、実際に使っている。
ここにある道具はすべて人間の涙、汗、血、唾液、精液、淫汁を浴びている。そこには花山のものもわずかに残っている。
「着いたようだ」
ドアのベルがおごそかに鳴る。大木が待ち構えていて、のぞき窓から確認し、ドアを開けた。
「あっ」
珠々華は驚きの声をあげた。
ホテルからラフなかっこうでやってきた八人のゲストたち。この山荘は土足のままである。
NBAの選手のような大きな男ばかり。やや屈むようにしてドアを抜けて、入ってきた。褐色の肌。みな若い。
「楽しみにしていました」と私と英語で挨拶をする。彼らの父親、叔父、兄たちもここを知っている。
厳しい調教、訓練の意味を珠々華もいま理解したのではないか。
この一族はある政府を影で操っている。その国は小国ながら先進国を手玉に取って、抜け目なく投資活動で儲けていた。それでいて長者番付や世界の富豪といったリストには誰も出てこない。
その資金量と情報量は、ウォーレン・バフェットも恐れるほどのパワーを持っている。
このルートを作った私は功労者ではあっても、現在の経営陣からは疎ましい存在だ。それだけの資金量を会社では生かし切れていない。そもそも、乗っ取られるのを恐れているのだが、先方はまったく買収には興味がない。経営は嫌いなのだ。
独立起業させて切り離そうと考えたのは、コンプライアンスの点からも当然だろう。このルートはまともなビジネスからすれば、あまりにも際どい。実際この仕事をはじめてから、露骨に私の身辺を調べる者が増えている。いずれは、日本にいられなくなる可能性もある。
その時のためにも、彼らとのルートでビジネスを続けるしかない。そのためには、新鮮な生贄が必要だ。美しく、気高い女性。
彼らは中央に立つ珠々華にすぐ目をつけ、彼女を囲んだ。
怯えていた珠々華だが、必死に笑顔をつくろうとしていた。桜色の着物を思わせるドレスをまとう花山もそこに加わると、彼らは笑顔になり握手を求めていた。花山のことを誰かから聞いているのだ。
「記念写真を撮りましょう」
珠々華を真ん中に、横に花山。八人のゲストがそれを囲み、端に私が入る。
「三日間、お楽しみください」と私は宣言した。
三日後にはまったく違う記念写真を撮ることになるだろう。
彼らはその写真を見せてもらっているに違いない。
「ところで……」
私は珠々華の二の腕をつかんで自分の前に立たせた。顎を上に向かせ、その顎から喉、胸元へと手をすべらせる。
ニヤニヤしていたゲストたちの目が光った。生贄を確認し、気に入っているらしいことがわかる。
「すばらしい」「なんてうまそうなんだ」と男たちが母国語でつぶやく。長い付き合いなので、褒め言葉と罵る言葉ぐらいは私も覚えた。英語しかできないフリをしているが。
珠々華の体を見せつけることだけが狙いではない。私の手は彼女の腹部で止まり、そこを撫でた。ポッコリと膨らんでいる。
「みなさんのリクエストにお応えして、この女は六日間、排便をさせていません」
女。そう呼ばれたことに珠々華は過剰に反応していた。彼女は私のものではない。誰のものでもない。
「健康な成人の一回の排泄は約二百グラムだそうですから、この中に一・二キロの便が溜まっている」
毎日浣腸をし、アヌスの拡張もしてきた珠々華だが、体力強化を含めてこの六日間は多めに食べさせてきた。大量浣腸の連続で腸も大きくなっている可能性はあるが、体重計で確認できるほど便が溜まっているのは確かだ。
「いかがですか。お望みの自然排便からお楽しみいただくというのは?」
珠々華が反射的に逃げようとした。覚悟はできていたはずだ。ただそれは輪姦されたり鞭で叩かれるといった覚悟だろう。浣腸も当然されることはわかっていたはずだ。
「なんだ。不満なのか? 苦しいだろう?」
私は冷酷にその腹部を強く揉んだ。
「うっ」
「出したくてしょうがないんじゃないか?」
実際、この二日ほど排泄を懇願し続けていた。だが、無理やり彼女に食べさせるばかり。最後は強制的に喉に流し込んだ。
花山が首輪をゲストに渡した。
「かわいい」と言いながら大柄な男が、珠々華の首にそれをつけた。彼らの大きさに彼女は圧倒されている。
首輪に鎖をつけた。ゲストに持たせた。
「では、行きましょうか」
「えっ」
「あたりまえだろう。この部屋を汚すわけにはいかないんだ」
ゲストたちはそのままのかっこうで、外に出る。
軽く吹く風にドレスの裾が揺れる。イブニングドレス。周囲は岩や砂利道。背後は森だ。小高いこの地は駐車場の外れから、眼下に広がる集落が見渡せた。
大きな岩を駐車場の外側に並べてある。そこに珠々華をのぼらせる。
お尻をこちらに向けてしゃがむ。
ゲストたちが興奮している。ドレスをまくりあげると、剥き出しの臀部だったからだ。しかも双丘の間から無骨な金属が突き出ていた。
「ロックを解除して、ハンドルを左に回していけば、外れますよ」
排泄を管理するためと、せっかく拡張した粘膜を維持するために、大きなプラグを埋め込んでいた。内部は空気で膨らむゴムだが、根元は頑丈な金属でロックされている。花山がカギで解除した。
ゲストが手を伸ばし、ハンドルを左に回すと、シュッと空気が抜けていった。
「はあっ」と珠々華が声をあげた。
男の手でプラグが引き抜かれていく。赤い粘膜が剥き出しになる。
大きなゴムの部分が抜けると、ぽっかりと口が開いたままになった。直腸をプラグで埋め尽くしていたので、便はもっと奥にある。それを出すには珠々華が自らいきむしかない。
「むはっ」
男に鎖を引っ張られて、言われなくてもすべきことはわかっている彼女は、腹部に力を入れはじめた。
先に小便が漏れ、岩の濡らした。
連日の調教によって彼女なりに、腸や肛門を動かすことができるようになっていた。バナナを三本も飲み込んで切りながら出せるのだから。
しばらく私たちにパクパクとあえぐ尻穴を見せていたが、彼女の声が重くなり、ついに固形物が顔を出す。
するとゲストたちは子供のようにワイワイと騒ぎながら楽しんでいる。
「相変わらずですね」と花山が小声で私の耳元に囁いた。
彼らは国としても若いが、精神的にも若く、私たちがとっくに失ってしまったような無邪気な楽しみに興じる。ほとんど酒は飲まず、甘いものには目がなく、それ以上に女やカロリーの高い食べ物が大好きだ。
体は巨大だが、心は子供なのである。
それだけに、彼らの欲望は剥き出しで、残酷だ。
彼らが待ちきれなくなっている。
身動きができない珠々華を岩にのった男たちが囲む。出はじめた物体が次々と落下しているというのに、男たちはドレスの裾を手にすると上に引っ張った。
「あっ、だめ、いやっ」
巾着にされてしまう。
山からの冷たい風に、生身をさらして震えている。そしてお尻からは汚物が次々と顔を出しては落下する。広げられ続けたアヌスのせいか、どれも巨大で、男たちはそれを見て笑っている。
四人ぐらいならこちらでコントロールできるが、八人の、それもガタイのいい連中を私たちで誘導するのはムリだ。
彼らは望んでいることをするだろう。
ドレスの裾を頭の上まで引き上げ、男が足を持って抱え上げた。
「こわい! たすけて!」と珠々華の声がする。
どれだけ叫んでも、ここにいる者以外には届かない。
もう一人が縄を手にすると頭の上でドレスをしっかり縛り、さらに縄でその中の顔や腕を乱暴に縛り付けていく。
乳房の上は、タマネギのような奇妙な布のオブジェになってしまった。
男は彼女を抱えたまま岩から飛び降りた。その勢いでまた糞便が落下した。
私たちが用意した道具から、一リットルのオイルチェンジャーガンを手にした。粘度の高いオイルを注入する力があるので、グリセリンの原液を注入するのも簡単だ。
ビニールホースを先端につけてある。それをまだ完全には終わっていない珠々華の肛門に突き刺した。
「ぎゃー、なにしてるの!」
腸内には便が詰まっているはずだが、彼らは力ずくでホースを押し込む。そしてグリセリンを注入しはじめた。
「いやー、だめー」
足をばたつかせようとしても、男たちが掴んでいるので大して動かせない。それに彼らは珠々華の膝蹴りぐらい、痛くもなんともないのだ。
高く肩に彼女を抱え上げたまま、男たちは大量のグリセリンを押し込んだ。
ガマンができるはずもなく、すぐに排泄がはじまる。男たちは笑いながらそれを見ている。担いでいる男はおどけて、ぐるぐる回ってみせる。
私たちだけが、むっつりとしているわけにはいかない。これは接待である。大木も花子も、愛想笑いをしながら、拍手をまじえて、遠巻きに眺めている。
ときどき彼らは私を見る。彼らが珠々華をどう扱おうと、私は問題のないことを態度で示し続ける。
彼らの性格はこれまでの付き合いからわかっている。今回は最も若い連中だけに、より無邪気なのだ。
担いでいた男がよろけてバランスを崩した。珠々華は落ちそうになるが、足を持っている男たちがそのまま左右から支えたので、逆さになってしまった。足を膝で折って肩にかけている二人の男の間に、茶巾を下にして体をさらしている。
その二人がじりじりと離れていく。股間がYの字に開いていく。そしてふたたびグリセリンをぶち込んでいく。
珠々華の悲鳴は布と縄でこもっている。
一リットルを入れきった。
裸の尻から次々と流れ出す汚物。股間も背中もドレスも汚れていく。
再び立たせると、彼らは茶巾の上を掴んで、珠々華を引きずり回しはじめた。道は眼下の田畑や集落の方向までくねりながら下っている。その道を大騒ぎしながら、引っ張って行く。
「ひー、だめー、ゆるしてー」
バランスを崩しそうになっても、上でがっちり掴んでいるから倒れることはない。しかし、激しい排泄をしながらよたよたと歩かされる。拾った枝を笞にして、ところかまわず叩く。
珠々華はきっと恐怖でパニックになっているだろう。彼女がこれまで相手にしてきた者たちは、基本的にはセックスを求めてきた。
しかしこの連中は違う。
根本から嗜好が違うのである。私にもわからないのだ。何年も彼らを接待してきたが、いったいなにがしたいのか。
「きゃー」
悲鳴が一段と大きくなった。
「社長」と花山が私に青ざめた顔を向けた。
坂を下ったところに山からの湧き水を田畑へ流すための用水路があり、珠々華はそこに落とされていた。
冷たい水の中で、茶巾の上だけを男たちが掴んで沈めている。
「やめさせて」と花山。「死んじゃう」
「大丈夫だ」
私は静観した。
「だって……」
なにをしてもいいオモチャを与えられた子供は、目の前でそれをぶっ壊すかもしれない。その理由は単純で、与えた側の反応を見るためだ。こちらが珠々華を本気で彼らに与えたのか。なにをしてもいいのか。試している。
実際、遠くの彼らが、チラチラとこちらを見ては低い声でなにかを話しているのが見えている。
こちらが追いついたとき、彼らは足で珠々華の頭を押して、沈めようとしていた。
珠々華は足をばたつかせて水しぶきを上げている。
幸い、水量が少ない時期だった。身を切るように冷たいだろうが、お尻は底についていた。
男たちはズボンを膝までまくって「冷たい」と言いながらも、バシャバシャと用水に入り、彼女の足を持って水の中を引きずる。かろうじて頭が水面から出ているが、遠くから見ればもはや死体のようだった。
大笑いしている彼らは、しばらくそうしていたが、ぐったりした珠々華を持ち上げてコンクリートの上に横たえた。縄を解き、水びたしのドレスを引き抜いた。
生白い肌は青ざめて見えた。
駆け寄ろうとする花山の手を掴んで止めた。
男たちは濡れたズボンを脱いでブリーフになっていた。全員が大きく勃起しているのがわかった。
「はっ」と花山が息を飲んでいる。
冷酷な拡張訓練を珠々華に課したのだが、八人が八人ともそれほど大きなものを持っているとは彼女も思わなかったのだろう。
花山が相手をした彼らの父親や叔父、兄たちにも巨根はいた。花山はそれを経験している。しかし、本当に大きなものを持っている者は一人か二人だった。
「壊れちゃう」
半死半生の珠々華を男たちは立たせると、囲んで突き飛ばしながら触る。びしょ濡れの彼女は立っているだけでやっとなのだ。男たちの手から手へ、体がボールのように渡っていく。
彼らは楽しんでいた。
やがて大きな喚声をあげて、両手をあげた。
どうやら最初に誰がやるのかを、さっきの突き飛ばしの間に決めたらしかった。
ちょっとしたゲームだったのだ。
勝った男がブリーフを脱いだ。ボロンと腕のようなペニスが露わになった。ほかのものが珠々華をかかえあげ、股間を割って彼に向ける。
両手にツバをつけた男が自分のものをしごく。極めて粗暴なやり方だ。
指を珠々華の中に入れた。一本だけで激しく擦りつけたあと、引き抜くとみんなに見せている。笑い声が起こる。
太陽に照らされて彼の指が光っていた。
二本入れてぐりぐりとひねると、珠々華が「うううっ」と声をあげた。
その指ですくいあげた愛液をペニスの先端に塗ると、膣口に押し当てた。
「ひっ、あっ」
珠々華が目を開けた。
「いやー」
暴れようとしても、男たちに手足を掴まれて、宙に浮いている。巨大な亀頭部が押し込まれていく。
「なんの準備もなく……」と花山。「壊れちゃう……」
覚悟しなければならない。生贄の体を心配しても意味はない。もう捧げてしまったのだから。
「ひぃぃぃぃ」
か細い悲鳴。半分以上が押し込まれている。男は太い指でクリトリスをつまみあげるように擦りはじめた。
「うぎぃ、だめぇぇぇ、いたい!」
どれだけ泣き叫んでも助けはこない。男たちの笑いを誘うだけだった。
彼らはおしゃべりだ。そしてよく笑う。
無邪気に珠々華の膣を引き裂いている。ぐいぐいと腰をふって、なおも奥に入れようとしている。
彼女をかかえている男たちも協力し、体を押しつける。
「ぐひぃぃぃ、裂けるぅ」
恐怖に体が縮こまれば、よけに苦しいだろう。膣痙攣を起こすかもしれない。
はじめて男は腰を引いた。珠々華の体から肉棒があらわれた。性器が開ききっていた。擦られ、つねられた肉芽が真っ赤になっている。
そしてまたいっきに突き入れた。
「ぎゃはっ」
そこから男の動きがしだいに速度を増していった。
「ひぃひぃひぃ」と彼女は細かく悲鳴を上げ続けている。しかし、次の瞬間、「あー」と叫んだ。
花山が私の肘を握った。「
逝
くみたい」
暴れているのではなく、身を震わせているのだ。つま先までピクピクと痙攣している。
「どうだ、すごいだろ」と彼らがなまりの強い英語で言う。
「まだだぜ」
ぐったりした珠々華をそのまま挿入している男に抱かせる。彼女の手が彼の肩からまっすぐ突き出している。彼の手は、珠々華の尻を左右に割っている。
「うそでしょ」
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