新妻肛虐生活 第一章 屈辱の囮作戦 · 2 (2/10)
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男は初美の耳もとでボソボソと囁いた。
初美の美貌が恐怖にひきつり、血の気を失って蒼白になった。
「フフフ、さっきはとんだ邪魔が入ったからよ。今度は絶対に邪魔の入らねえところへ連れてって、可愛がってやるぜ」
男はガムテープで猿轡をし、後ろ手に縛った初美を抱きあげると、荷物のように肩にかついだ。
いやあッ、助けてッ……正幸……。
初美は男の肩の上で必死にもがいた。このまま夜の山中へ連れこまれたら、今度こそ助からない。
正幸ッ、気がついてッ……。
だが弟はぐっすり寝こんでいて、まるで気がつく様子はなかった。
男は肩にかついだ初美の太腿を抱き押さえ、ムチッと張った双臀を撫でまわした。そのまま足音を忍ばせて部屋から庭へ出た。
助けて、助けてッ……。
初美は泣きだした。泣き声をガムテープにくぐもらせながら、振りたてる顔に涙を流した。恐怖と絶望に気が遠くなる。
「泣くのはまだ早いぜ。フフフ、すぐにいやでもいい声で泣かせてやる」
男はうれしそうに言って低く笑った。
初美を肩にかついだまま、庭を横切って寺の門へ向かうと、男はそこから杉林へ入った。道なき斜面を少し下って、けもの道に出た。その先に古びた炭焼き小屋があった。今はもう使われていず、知る人すらほとんどいない小屋だ。
「ここなら誰も来ねえだろう。いくらわめいても沢の音が消してくれるからよ。フフフ、じっくり楽しめるってもんだぜ」
男は勝ち誇ったように言って、初美を小屋のなかへ連れこむのだった。
5
炭焼き小屋のなかは、ほこりにまみれた食器や瓶がころがり、崩れた炭がちらばって荒れ放題だった。小屋の真んなかに大きなテーブルが据えられてある。その上の物を払い落とすと、ムシロを敷いて初美をあお向けに横たえた。
「林のなかでの時と同じ格好じゃおもしろくねえからな。今度はアクロバットスタイルといくぜ。フフフ」
男はそんなことを言いながら、炭を束ねるのに使っていた荒縄を取りあげると、天井の桟に引っかけた。天井はいたるところのハメ板がはずれ、桟が剥きだしになっている。その桟の左端と右端にそれぞれ荒縄を引っかけ、初美の左足首には左の荒縄を、右足首には右の荒縄を縛りつける。
「う、うむ……うむッ……」
初美はガムテープの猿轡の下で泣き叫んだ。白桃のような瑞々しい乳房をゆすり、官能美あふれる太腿を悶えさせた。だが、いくらもがいても抗う術はなかった。後ろ手に縛られた裸身をテーブルのムシロの上にあお向けに寝かされ、優美な両脚を扇のように左右へ開かれ、天井に向けてほとんど直角に、高々と荒縄で吊りあげられてしまった。それが女としてどれだけ恥ずかしくあさましい格好か……思うだけでも初美は気も遠くなりそうだった。
「せっかくいい格好しても、よく見えなきゃ話にならねえぜ」
男は大きなロウソクがころがっているのに気づくと、それに火をともしてテーブルの四隅に立てた。初美の大胆きわまりない裸身がロウソクの明かりに白く浮かびあがり、男は声を失ってしばし見とれていた。
「ちくしょう。いい身体しやがって……フフフ、極上の眺めだぜ」
男はゴクリと生唾を呑んで、さかんに舌なめずりした。さらにボロボロに破れた座ブトンを取りあげると、それを二つ折りにして初美の双臀の下に差し入れる。
「フフフ、いい声で泣くんだぜ」
男がガムテープを初美の口から引き剥がすなり、わあっと号泣が噴きこぼれた。扇のように開いて吊りあげられている両脚が、号泣とともに激しくゆさぶりたてられる。
「いや、いやッ……ああ、助けてッ……」
「フフフ、オマ×コも尻の穴も剥きだしにしちゃってよ。そそられるぜ」
逃げも隠れもできず、露わにさらけだされた女の秘められた部分を、男は好奇の眼でくい入るように賞味する。
幾重にも折りこまれたような繊細な肉層を見せている花園、そのわずか下に可憐にすぼまっている禁断の蕾……それらがロウソクの明かりに妖しくぬらめいた。
男は欲望のおもむくままに、とろけるように柔らかい初美の乳房をゆっくりと手のひらで揉みあげ、その頂点の乳首をつまんでいびりはじめた。もう一方の手は内腿を撫で、女の茂みをいじくりまわし、媚肉の合わせ目に指先を分け入らせる。
「ああッ……いやッ、ああッ……」
初美は恐怖と羞恥、汚辱に激しく泣き顔を振り、割り裂かれて吊られている官能的な太腿をうねらせ、痙攣させるのだった。一度は救われた身を再び恐怖と絶望のドン底に突き落とされ、それだけにいっそう生きた心地もなかった。
「ゆ、ゆるして……」
「フフフ、俺のをぶちこんでやる前に、こいつでいじめてやるぜ」
男はポケットから何か取りだして初美に見せた。男の肉そのものをかたどったグロテスクな張型が、ブーンと不気味なモーター音とともにクネクネとうねっていた。
初美は眼がひきつり、息を呑んだ。
「そ、そんなもの、いやあッ!……」
「こいつより俺の生身で早く犯られてえというのか?」
「いやッ、いやッ!」
「どっちもいやってえのか。フフフ、だがよ、俺はどっちも使いてえんだ。こいつでオマ×コをとろかせといてから、生身で味わうってわけだぜ」
そう言うなり男は、張型の先を初美の乳首に押し当てた。ジーと振動が乳首を舐めまわしていく。
弾けるように、初美はつんざくような悲鳴を噴きあげた。それが乳首から下腹へと這いおり、女の茂みや内腿をなぞるたびに、初美は悲鳴をあげ、悶え狂った。
「どうだ。オマ×コを舐めまわされるのもいいが、こいつもいいもんだろ」
「いやッ……ああ、やめてッ……」
「やめねえよ、ほれ……ほれ……」
男は張型の先で媚肉の合わせ目をなぞってから、ゆっくりと分け入れて沈める。
ひいッ……と初美は激しくのけぞった。おぞましい振動に引き裂かれるようだ。
「ひッ、ひッ……うむ、ううむ……」
いくら拒もうとしても、それはジワジワと女の最奥を押しひろげながら、肉襞を巻きこむようにして入ってきた。張型などというおぞましい道具を使っていたぶられても、初美はただうめき泣き、腰をよじって吊られた両脚をうねらせることしかできない。身体中に脂汗がじっとりと噴きだしてくる。
「あ、ああ……かんにんして……いや……」
衝撃から立ち直れないままに、初美は泣いた。
ズンという感じで張型の先が初美の子宮口に達した。淫らな振動が子宮口をジジーと舐めまわしていく。
「あ……ああ……」
初美は頭のなかがカアッと灼け、眼の前が暗くなった。うつろになっていく意識のなかで、肉に深く打ちこまれた振動だけがいっそう敏感に感じとれる。
「気持ちいいんだろ。遠慮せずにうんと気分出しな、フフフ」
男はゆっくりと張型をあやつって、初美を責めた。
はじめは泣きじゃくっていたが、それも急速に力を失い、やがて初美はブルブル震えながらすすり泣くばかりになった。昏迷に初美の思考もうつろになる。半ば気を失ったようになりながらも、身体だけは張型の動きにビクビクと反応した。身体の奥底から激しい痺れが走る。
「あ……あ、ああ……」
初美はあえぎを必死に殺して唇を噛み、かぶりを振った。だが、この一年間夫との愛の生活でつちかわれた人妻の敏感な性が、勝手に反応してしまうのだ。痺れは妖しい疼きとなって熱を生んだ。その熱がジクジクと身体の奥から溢れだす。
「フフフ、濡れてきやがった」
男は欲情の笑いをこぼしながら、張型をあやつりつづける。深く浅く、強く弱く、そして円を描くようにと、自在に初美を責める。
初美は時折り悲鳴やあえぎを交えながらも、すすり泣くばかりだ。もう抗うこともしないが、かといって自分から応えることもしなかった。
「どうだ、気持ちいいか」
男に聞かれても、初美はすすり泣くだけで答えなかった。誰ともわからぬ他人に襲われ、道具で責められて気持ちいいわけなどない。あるのは気も狂うような恐怖と絶望、汚辱感だけだ。それでいて、身体はジクジクと蜜を吐きだす。哀しいまでの人妻の性である。
男は張型をいきなり引き抜くと、指を二本そろえて媚肉のなかへ沈めた。なかは灼けるように熱くたぎっていた。それが妖美に指にからみついてくる。
「いい感じだぜ。フフフ、そろそろ食いごろってところだな」
男はニンマリとマスクの下で笑うと、扇のように開いて吊りあげられている初美の両脚の間に、腰を乗り入れてきた。
「ひいッ!」
初美は悲鳴をあげてのけぞり、腰をよじりたてた。狂ったように黒髪を振りたくる。いよいよこの男に……そう思うと、初美は泣き叫ばずにはいられなかった。
「いや、それだけはッ……いやあッ……」
「ジタバタするんじゃねえ。生娘じゃあるまいしよ、フフフ」
「いや、いやあッ……助けて! あなた、あなた!」
いるはずもない夫の名を呼んで、初美は必死に救いを求めた。腰を振り、よじって押しつけられてくるものを避けようとする。
そんな初美の抗いを心地よく感じながら、悩乱の美貌を見おろしつつ、男はゆっくりと腰を突きだした。ジワジワと初美を串刺しにしていく。
「ひいッ! ひッ……あなたッ……」
初美は苦悶の表情をさらして大きくのけぞった。夫の面影が脳裡に浮かび、それは真っ赤に灼けて砕けていく。
「う……う、うむッ……けだものッ……」
身体が引き裂かれていく。夫ある身を犯される恐怖が、裂かれるような苦痛を感じさせる。初美はのけぞりっぱなしでうめき、吊りあげられた両脚をゆすりたて、突っぱらせた。
「できるだけ深く入れてやるからな。フフフ、そのほうが楽しめるってもんだ」
「うむ……い、いやあ、ああッ……」
「ほれ、ほれ」
男はさらにジワジワと沈め、その先を初美の子宮口に届かせた。抉るように押しあげる。
初美は絶息せんばかりに声を絞った。
あ、あなた……。
初美は身体をゆさぶられながら、何度も脳裡に夫の面影を求め、求めては消えた。そのまま意識が暗い闇の底へ吸いこまれそうになった。
「フフフ、とうとう俺とつながったな」
男はニヤニヤと初美の美貌を覗きこみながら、ゆっくりと味わうように突きあげた。今にも失神しそうになりながら、必死に唇をくいしばるのだが、それもすぐに開いてハアハアとあえぐ……そんな初美の表情がたまらない。
「もっとよくしてやるからな。フフフ」
男はテーブルの四隅に立てられたロウソクのひとつを取りあげると、初美の乳房の上で傾けた。ゆっくりと突きあげる男の動きに、熱ロウがポタポタと初美の乳房の上へ垂れる。
「ひいッ!……熱いッ!……ひッ、ひッ……」
ビクッと初美はのけぞって泣き叫んだ。その瞬間、男はキリキリとくいちぎらんばかりの収縮を感じ、それがこたえられない。
「よく締まりやがる。フフフ、ほれ、もっと泣け。悶えろ」
男は鬼のようになって、ロウソクを傾けつつ、グイグイと初美を抉りあげた。
6
自分がいったい何をしたというのだ。どうしてこんなひどい目にあわねばならないのか。初美が美しすぎるというのであれば、それはあまりにも残酷すぎる。
「いやッ! も、もういやあ!」
初美は悲鳴をあげてはね起きた。
「姉さん、どうしたんだい?」
隣りの弟がびっくりして、ガバッと起きあがった。
いつの間にか寺のなかへ連れ戻されていた。浴衣もきちんと着せられている。そして、閉められている障子の外は、すっかり明るくなっていた。
「ああ……」
初美は弟の正幸にしがみつくと、わあッと泣き崩れた。
「どうしたんだい、姉さん。昨日あんなことがあったんで、こわい夢でも見たのかい」
弟はぐっすり寝こんでしまって、まるで気づいていないようだ。夢なんかではない。初美は男に連れだされ、さんざんおもちゃにされた。まだ身体の奥深いところに張り裂けるような拡張感が残り、熱ロウに灼かれた乳房がヒリヒリした。足首にもうっすらと縄目のあとが残っている。
「大丈夫だよ、姉さん。僕がついてるから。ほら、黒岩さんだって心配してきたよ」
「戸倉君、どうしたんだ。大丈夫かい」
障子の向こうから黒岩が心配そうに声をかけてきた。
「心配かけてすみません。姉はこわい夢を見てうなされたようです」
初美は弱々しくかぶりを振った。だが言うことはできなかった。あんな辱しめを受け、それを夫に知られるのがにわかに恐ろしくなってきたのだ。弟にも黒岩にも知られていないということが、初美を弱気にする。もし夫に知られて、それが原因で離婚ということにでもなれば、初美は生きていられない。今の初美には夫のいない生活など考えられなかった。
初美はしばし弟の胸で泣いてから、涙をぬぐって顔をあげた。
「ご、ごめんなさい……もう大丈夫よ……」
初美は哀しみのこもった声で、小さく言った。衝撃に打ちのめされている風情だ。
初美の動揺が大きいので、誰か初美を家まで送っていくことになった。正幸は研修中でもあり、ちょうど東京本社に用のある黒岩が送ることになった。
途中、黒岩は親切で、初美を元気づけようといろいろ気をつかってくれたが、初美は深く沈んだままだった。そのうえ初美はワンピースの下は素肌で、そのことがいっそう初美を不安にしていた。
ようやく我が家へ戻ると、初美はしばし放心したように座りこんでいたが、フラフラと起きあがって風呂を焚いた。汚れきった身体をいっときも早く清めたい。身体中に吐気をもよおすような男の匂いがしみこんでいる気がした。
もしもこのまま妊娠でもしたら……。
そう思うと、初美はあまりの恐ろしさにめまいを覚えた。
壁に手をついて身体を支えながらワンピースを脱ぐと、浴室へ入った。
湯の温もりが肌にしみるにつれ、それまでの緊張が切れたように、初美はうめくように泣きだした。
「う、ううッ」
熱ロウに責められた乳房が湯にしみ、股間もヒリヒリ疼いた。それが弄ばれた我が身を感じさせる。
「あ、あなた、ゆるして……」
初美は悶えるように泣いた。
身体にバスタオルを巻いて風呂から出ると、居間で電話が鳴っていた。
「初美さん、帰っていらしたのね。弟さんには会えたようね」
電話は探偵社の専務の金井からであった。
相変わらずねちっこい女言葉である。
凌辱されて打ちひしがれている初美に、そんな女言葉はゾッと虫酸が走った。
「な、なんのご用ですか?」
「今夜あたり、一緒にお食事なんてどう?」
金井はこりもせず、またしつこく初美を誘ってきた。
「お断りします。もう電話はなさらないでください」
はっきり言って初美は電話を切った。
すぐにまた電話が鳴りだしたが、それをあえて無視し、初美は寝室へあがった。そのままベッドへもぐりこむ。何もかも忘れて眠りたかった。
結局、初美は夫に何も言うことができなかった。日がたつにつれてますます言えなくなり、自分の胸の奥深くに秘めた。
無理やりとはいえ、夫以外の男に身体を汚された後ろめたさに、暗雲が心の底にわだかまった。だが、自分一人の胸のうちにしまいこんでおく限り、今の幸福を守りつづけられるのだと、自分自身に言いきかせた。
そして一週間がたった。その間、時折り金井からしつこい誘いの電話が入ってくることをのぞけば、これといって変わったこともなかった。
初美が他人に凌辱されたなど、夫は夢にも思わないようで、いつもと変わらぬやさしさと愛で初美をつつんでくれた。弟の正幸も研修を終え、探偵の卵として働きはじめた。
このまますべてが平穏にいくかと思われたある日の昼さがり、居間の電話が鳴りだした。また金井からの誘いの電話かと、警戒しながら初美は電話に出た。
「はい、川野ですが……」
「フフフ、奥さん、いい味してたぜ」
一瞬にして初美の全身が凍りついた。聞き間違えるはずがない。初美を山のなかで襲い、炭焼き小屋で弄んだ男の、低くドスのきいた声だった。
「奥さんの身体が忘れられなくてな。フフフ。まったくいい身体してやがるからな。そのうえ、味も特上ときてやがる」
「…………」
初美は顔を蒼白にしてひきつらせ、ワナワナと震える唇は言葉を失っていた。
「そのうちまたごちそうになりに行くからよ。楽しみに待ってな。川野初美さんよ」
それだけで電話は切れた。
受話器を持ったまま、初美はガタガタ震えながら、その場にしばし立ちつくした。そして、その場にへなへなと崩れ落ちた。
あの男が初美の家にまで電話してきた。一週間かけて初美のことを探し当てたのだろうか。それともはじめから自分を狙っていて、この一週間、様子をうかがっていたのだろうか。初美は眼の前が暗くなった。
ど、どうしたらいいの……。
ガタガタと身体の震えがとまらなかった。もう少し早く男が脅してくれば、夫にすべてを打ち明けられたかもしれないが、今となっては……。
そのうちごちそうになりに行く……男はそう言った。いつのことなのか。
初美はハッとした。三日後に夫はまた出張なのだ。しかも今度は十日間の海外出張である。その間を狙っているにちがいない。
どう、どうすればいいの……ああ、いや、あんなけだものの嬲りものにされるのは、二度といや……。
初美はうろたえ、めまいにフラッとした。
突然、玄関のチャイムが鳴って、初美は心臓がとまるかと思うほど驚いた。
あのけだものがやってきたのでは……。
恐るおそる覗く。生きた心地もなかった。
「く、黒岩さん……」
「どうしたんです、初美さん。顔が真っ青ですよ」
玄関に立っていたのは黒岩だった。
ホッとしたとたん、初美はまたフラついた。それを支えるようにして、黒岩は応接間へあがった。コップに水をくんできて初美に飲ませる。
「ごめんなさいね。ちょっとめまいがしたもんですから」
「大丈夫ですか。初美さんに話があってうかがったんですが、また別の機会にしたほうがよさそうですね」
「もう大丈夫よ。どんなご用かしら」
初美は帰ろうとする黒岩を引きとめた。一人になるのがこわいのだ。その点、黒岩は探偵のベテランであり、親切で頼りになる男だった。
「実は……まことに言いにくいことなんですが……」
黒岩は話しはじめた。今、黒岩は蒸発した令嬢の捜索を依頼されているという。その調査の過程である女衒が浮かびあがり、背後には人身売買組織があることが判明したという。そして、その女衒を追っているうちに、何枚かの写真を手に入れたと言った。
「これがその写真です」
黒岩はテーブルの上に三枚の写真を並べてみせた。
それに眼をやったとたん、「ああッ」と初美は悲鳴をあげた。蒼白な美貌が驚愕と戦慄にひきつり、唇がワナワナと震えた。
テーブルの上にあお向けにされ、両脚を扇のように開いて天井から吊られ、張型で責められている全裸の女が写真に写っていたのである。それはまぎれもなく初美であった。あの時は恐ろしさにわけもわからなかったが、けだものは隠しカメラか何かで撮ったにちがいない。
「よく似ているとは思っていましたが、やはり初美さんでしたか」
黒岩は重苦しい口調で言った。恐れていたことが現実となったのだ。沈痛な空気が重く流れた。
初美はワナワナと震えていたが、肩を震わせるようにしてむせび泣きはじめた。
「こうなったらすべて話してください。初美さんの力になりますよ。私は探偵ですから」
黒岩がむせび泣く初美の肩に手をかけて言った。こうなった以上、初美は黒岩を信頼してすべてを話し、頼るしか、道はなかった。
「そういうことですか……まだご主人には何も話してないんですね。大丈夫、私の口からご主人に話すようなことはしません」
「もう、どうしていいかわからなくて……黒岩さんだけが頼りなんです」
初美は必死に黒岩にすがった。
「このことについては私にも責任がありますから、できるだけ力になりますよ、初美さん。なんといっても、この写真のネガを取り戻さなくては。ネガがあるから男は初美さんを脅迫してくるんです」
「どうすればネガを取り戻せるんですか」
「方法はないわけではないんですが……いや、危険すぎる」
黒岩は頭を振った。
黒岩の考えはこうだった。相手が女衒や人身売買組織である以上、男の自分では近づく限度がある。そこで初美を囮にしてなかへもぐりこませ、初美を犯した男をつきとめ、ネガを取り戻すというのだ。
「黒岩さん、やらせてください」
「だめです。初美さんを危険な目にあわせるなんてできません。私はあくまでひとつの案を言っただけですから」
「お願い、どんな危険なことでもやります……このままでは私……ああ、やらせて」
初美は必死だった。
はじめは渋っていた黒岩も、初美の必死の訴えにとうとう折れた。
7
昼すぎ、初美が出張する夫を送りだしたあと、黒岩が訪ねてきた。
「初美さん、いよいよ囮作戦を実行します。相当恥ずかしい思いや、つらい思いをするかもしれませんが、本当にいいんですね」
黒岩はもう一度念を押した。初美は黙ってうなずいた。どんなことをしても、おぞましいネガを取り戻さなくてはならない。そうでないと身の破滅だ。
「それじゃ、もう一度打ち合わせをしておきましょう。初美さん」
黒岩は慎重な口調で言った。
まず黒岩は良家の人妻の初美にとりついたヒモになりすまし、初美を売りこむ。そうすれば必ず初美の美貌に眼をつけた女衒たちが現われるはずだ。そして初美が自分を犯した男を見つけ、ネガを探しだしたところで黒岩たちがいっせいに踏みこむ、という筋書きだ。
「いいですね。これだけは決して身から離さないでください。初美さんの命綱ですよ」
黒岩は初美に二つの小道具を渡していた。ひとつはペンダントで発信機が内蔵され、もうひとつは初美が危険に陥った時や、ネガを発見して踏みこむ時の合図をするポケットベルだった。
「あとは服装ですが、できるだけ派手なのを着てください。ヒモにつけこまれる油断を見せる、そんな感じです」
「は、はい」
初美は真っ黒なワンピースを身に着けた。身体の線がはっきりとわかるピチッとしたもので、タイトスカートになっている部分には、深いスリットがあった。下着もパンティストッキングも黒にした。そして、化粧はいつもより少し濃いめにして、黒髪をアップにセットした。
「上出来です。私が見てもまぶしい。すぐに女衒が眼をつけてきますよ」
さすがの黒岩も初美の美しさに見とれるようだった。
いつもはダークスーツにピシッと身をかためている黒岩も、今日は遊び人のヒモみたいに派手なピンクのズボンをはき、ノーネクタイのくだけた格好だった。
「では行きますか」
黒岩は初美を車に乗せると、最大の歓楽街といわれている新宿歌舞伎町へ向かった。薄暗くなりはじめた空に、おびただしい数のネオンが点滅している。
そのうちのひとつ、ソープランドからまずはじめることにした。
初美は緊張に膝がガクガク震えた。大きく呼吸して、気持ちを落ち着かせようとする。
「今からやめてもいいんですよ、初美さん」
「……いえ、やります……どうしてもやらなければ……」
初美は自身に言いきかせるように言った。
黒岩はサングラスをかけ、いかにも遊び人をよそおって初美の手を引き、ソープランドに入った。事務室へ向かう。
事務室には、いかにもヤクザといった男たちが三人、花札を引いていた。
「なんだ、おめえは」
ヤクザはするどい眼で黒岩を見た。
「そうこわい顔するなよ。上玉を連れてきたんだからよ。フフフ、この女を売りてえんだ」
黒岩は初美をヤクザたちの前へさらした。ヤクザの顔色が変わり、眼がギラッと光った。
「すげえべっぴんじゃねえか」
ヤクザたちは初美を眺めながら、ゆっくりとまわりをまわった。
初美は生きた心地もなく、身体を硬直させた。逃げて帰りたくなるのを、唇を噛みしめて必死にこらえた。
「確かに上玉だ。本気で売る気か」
「本気だ。これだけいい女は、このあたりでもまずいねえと思うぜ」
黒岩はよたるように足をゆすって言い、タバコを咥え、スパスパと吸った。ベテラン探偵だけに、さすがにチンピラの真似もうまい。
「脚を見せろ。ほれ、スカートをまくれってんだよ」
ヤクザの一人が初美に向かって言った。初美はすがりつくような眼で黒岩を見た。
がんばるんだ、初美さん。やれるところまでやるしかないんだ……。
黒岩の眼はそう言っていた。
初美は唇を噛んだまま、震える手で黒いタイトスカートを持ちあげた。黒いストッキングにつつまれた官能的な太腿が、ムッチリと露わに剥きだされる。
「もっとまくれ!」
容赦のない声が飛ぶ。初美はパンティが見えないギリギリのところまで、スカートをズリあげた。
「色っぽい脚をしてやがる。へへへ、気に入ったぜ」
「おっぱいも大きいな」
「尻もムチムチだぜ。へへへ、こいつは客が喜びそうだ」
左右からいきなり乳房と双臀をゴツゴツした手でわしづかみにされ、初美はあわてて身をよじった。悲鳴をあげそうになるのを、必死に歯をくいしばってこらえた。
「いくらだ、この上玉」
「高いぜ、フフフ」
黒岩は笑ってから、もったいぶったように間を置いて、「あんたらじゃ手が出ねえよ。なにしろこれだけの上玉だからな。フフフ、バイヤーがいるだろ。呼べよ」
「バイヤーのこと知ってんのか。おめえはただのチンピラじゃねえらしいな」
ヤクザは電話に手をのばすと、どこかへかけた。ボソボソとわずかに話しただけで、すぐに電話は切られた。
「この先の角にあるノーパン喫茶に行きな。そこが取り引き場所だ」
ヤクザはそう言った。
黒岩は初美の手を取ってソープランドを出た。ヤクザはついてこなかった。
「大丈夫ですか、初美さん」
「ええ、大丈夫」
うなずいたものの、初美の胸はまだドキドキしていた。そこは初美がまったく知らない別世界。いよいよその別世界へ深く入りこむのだ。
「これからですよ、初美さん。さっそく向こうさんが網に引っかかってきましたからね」
黒岩は初美をはげますように言うと、百メートルほど先の道路の角にある雑居ビルへ向かった。そのビルの地下にノーパン喫茶はあった。
「いいですね。勇気を出して」
黒岩につづいて初美はなかへ入った。
広いフロアに十人近い女性がいて、皆エプロンを巻いただけの、ほとんど全裸だった。それを席についた男性客がニヤニヤと見ている。客席は満員に近かった。気に入った女性がいれば指名して、奥の個室で楽しめるしかけになっていた。
そこもまた、初美にとっては信じられない別世界だった。惜しみなく若い女性が裸身をさらし、公然と売春しているなど、初美には信じられない。
初美は本能的に黒岩の腕にすがりついていた。膝がガクガク震え、ハイヒールが崩れそうだった。
「おい、こっちだ。ついてきな」
若い男が一人近寄ってきて、黒岩に向かって小さな声で言った。
支配人室というところへ案内された。ヤクザらしい男が五人待っていた。
初美さん、このなかにあの男はいますか?……
黒岩が眼で聞いた。
初美は小さくかぶりを振った。初美を襲った男は、マスクで顔はわからなかったが、黒岩のようにもっとがっしりした体格をしているのだ。
「売りてえってのは、その女か?」
ボス格らしい男が言った。
「そうだが、あんたがバイヤーか」
黒岩が聞いても男はニヤリと笑っただけで答えず、ジロジロと初美を見て、「なるほど、こいつは上玉だ。フフフ、べっぴんで色気もある。人妻か?」
「そうだ。結婚一年っていうれっきとした人妻だ。しかもこの道はトウシロだぜ」
「いくらで売る気だ」
「三百万だ」
「安いな」
と男は言い、もう一人の男が現金三百万を持ちだしてきた。テーブルの上に置いた。
「品物を調べさせてもらうぜ。そのうえで取り引きだ」
男がそう言うなり、別の二人が左右から初美の身体に手をのばした。何をされると思う間もなく、背中のファスナーを引きおろされた。ワンピースの襟が肩先まで剥ぎおろされ、そのままズリさげられはじめた。
「ああ……」
初美は裸にされると知って悲鳴をあげた。必死にズリさげられるワンピースを押さえようともがいた。
「おとなしくするんだ、奥さん」
黒岩がきつい口調で言った。
我慢するんです、初美さん。ここまで来たら引きかえせない。ネガを取り戻すまでのしんぼうですよ……。
黒岩の眼が必死に訴えている。
ああ……こんな……。
初美は唇を噛みしばって耐えた。身体から力が抜けていく。
「裸になるくらいで恥ずかしがってちゃ、しようがねえぜ、奥さん」
「もっともそのウブなところがたまらねえんだがよ」
男たちは笑いながら初美のワンピースを足もとへすべらせた。スリップが引き裂かれる。
「これからはもう下着は用がなくなるからよ。素っ裸か、ノーパン、ノーブラでいるってわけだぜ。フフフ」
さらにブラジャーがむしり取られた。ブルンと形のいい乳房が剥きだしになった。
「へへへ、こりゃいいおっぱいしてやがる。まるでバージンじゃねえか」
「あ……いや……ああ……」
反射的に両手で乳房を隠してしゃがみこもうとするのを、左右から引き起こされて、手をどかされてしまう。
男は初美の乳房に手をのばし、その弾力を確かめるように指をくいこませて揉みこんだ。さらに下からすくいあげるようにしてゆさぶる。
「へへへ、八十八センチってとこだぜ」
「下のほうはどうかな」
不意に黒のパンティストッキングが、パンティもろとも引きおろされた。
「ああ……」
初美は身を揉んでのけぞった。露わな部分に男たちの視線が突き刺さってくるのが痛いまでに感じとれた。それは女を物か肉の塊りとしか見ないヤクザの冷たい眼だ。
パンティとパンティストッキングの塊りが足首から抜き取られると、左右から腕を取られ、まっすぐ立たされ、裸身をさらされた。文字通りの一糸まとわぬ全裸だった。
「こいつはいいぜ。まったくいい身体をしてやがる。これだけべっぴんで身体もいい女はめずらしいぜ。へへへ」
ボス格の男が手放しで初美をほめた。
初美はもう両眼を固く閉じたまま、唇を噛みしめて必死に耐えていた。それでも白い肌がブルブルと震え、「あ、あッ」と声がもれてしまう。ネガを取り戻すため……そうでなければ、どうしてこんな辱しめに耐えられよう。
「道具も見せろ。一番肝心なところだからな」
男の声に初美の両脚が左右に割り開かれはじめた。
「ああ、そんな……かんにんしてッ……」
耐えきれずに初美はのけぞり、狂ったように頭を振った。
だが、男たちはゲラゲラ笑うばかりで、かがみこんで初美の割り開かれた太腿の間を覗きこむ。それに合わせて、左右から初美の両脚を割っている男が、初美の上体を後ろへ反らして、下腹をいっそう前へ突きださせた。
「あ、ああッ……」
初美は真っ赤に灼けた、気も狂うような羞恥とともに、炭焼き小屋で犯された時の恐怖が甦った。
「手を触れるのは取り引きが終わってからにしてもらいたいな」
黒岩がうわずるような声で言った。黒岩にしてみれば、そう言うのがやっとだった。
男たちはのばしかけた手を引いて、ニガ笑いしながらさらに覗きこむ。初美の女の道具が少しも崩れていず、極上なのは見ただけでもわかった。
初美の媚肉の合わせ目はひっそりと閉じ合わさって、色といい形といい妖しいまでの美しさだ。結婚一年で、まだあまり使いこまれていない。そして、時折りわずかにのぞく肉襞は、綺麗なピンクでしっとりと初々しい色をしていた。それがムチムチした肉づきに、アンバランスにも思える。
「いいオマ×コだ。見事というほかねえぜ。フフフ、よし、次は尻を見せろ」
初美の身体が後ろ向きにされ、今度はムチッと張った双臀を男たちの前へ突きだされる。
臀丘が割り開かれた。
「そんなところまで……ああ、いやッ!」
「こっちにとっては尻の穴も、立派な商売道具なんだぜ、奥さん」
まともに他人の眼に触れさせたことのない初美の肛門が、男たちの眼の前にさらけだされた。それはいじらしいまでに必死にすぼまっていた。
ああ、そんなおぞましいところまで……こ、これが売られるということなのか……。
初美は唇を噛みしばったまま、すすり泣きだした。気を失わないのが不思議なくらいだった。
「フフフ、どこもかしこも気に入った。買ったぜ、この上玉」
ようやく立ちあがった男は、黒岩の顔を見てニンマリと笑った。
三百万の現金が黒岩に手渡されると同時に、初美は男たちの手で奥の部屋へと引きずられていく。
「あ、ああ……」
初美は泣きながら引きずられていった。
助けて、黒岩さんッ……こわい、こわいわ……。
胸のうちでは狂おしいまでに叫びながらも、初美は何も言わず、ただ泣くばかりだった。
これで囮としてもぐりこむことができた。だが、こんな男たちに買われてどうされるのか……これから先のことを思うと、初美は恐怖に眼の前が暗くなるのだった。


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