柄も長く鞭の長さも一メートル以上ある拷問用のバラ鞭が一振りで右の乳房の洗濯バサミを全て払い落とした。
「おお、見事」
一回で全てを払い落とすには、それなりに鞭の扱いに慣れていなければならない。
うぎゃーーっという悲鳴をあげて、麻美はがくがくと宙吊りの体を揺すりたてた。
目からは大粒の涙。
「左」
バシーーッ、音をたてて鞭が乳房を襲う。
今度も一度で全てが落ちた。
大きな膨らみに見事に鞭痕がつき、洗濯バサミの噛んでいた場所数カ所から血がうっすらとにじんでくる。
「どうだ話す気になったか」
「ごめんなさい」
「では仕方ない、もう少しおっぱいの鞭責めを楽しませて貰うとするか」
「はい、お願いします」
なんだかんだ言っても気丈な女だ。麻美といい沙織といいそしてその娘の乃里子といい、寒河江の調教には舌を巻いてしまう。
男は案の定、一本鞭を手にした。
長さが二メートルのもの。この部屋に備え付けの一本鞭は、材質は一緒だが長さによって色分けをしてある。
「顔あげろ」
言うと同時に横一線に鞭がはらわれる。
「いやーーー」
直後、空気を切り裂く音。
鞭が麻美の巨乳を一閃すると同時に「ぎゃーーっ」という悲鳴。
さきほどの洗濯バサミ落としでついた傷よりもはるかに鮮明な蚯蚓腫れが左胸の上から右の乳首のすぐ下まで鮮やかな赤色で斜めに走った。
「もうひとーつ」
今度は体勢を入れ替えてその逆に傷跡をつける。
鞭が入った瞬間、今度は「ぐっ…」と息を止めて宙に浮いた左足を一瞬膝のところで曲げて、懸命に痛みを堪える麻美に、休む間もなく尻を巻くように二メートルの鞭が炸裂した。
続けて、二発、三発と尻から腿にかけて一本鞭が音をたてて叩き付けられる。
麻美は声を出すこともできなくなって、ただ宙を舞っていた。
十発目を終えた時にはまだらな蚯蚓腫れが見事に尻と腿に走っていたが、呼吸を整えた麻美は「私からはお話しできません。お仕置きをもっとお願いします」と、哀願するのだった。
「そうか、俺をもっと楽しませてくれるというわけだな、では遠慮なくこれでそのデカパイにさらに模様をつけてやろう」
体の前面に横薙ぎに一本鞭が、すでに赤から薄紫の傷跡が走る乳房に見舞われる。
二十発の両乳への鞭の間中、麻美は泣き声ともうめき声ともつかぬ声を上げていた。
「あれで宙吊りじゃなければ結構楽しむんだがな、あいつも」
寒河江はいたって冷静に画面をみつめていた。
鞭を置くと、麻美の背後に回った男は自らの手でトランクスを脱ぎおろし、そのいきり立ったものを生贄の腿にこすりつけながら、滑車の鎖を引き、吊りの高さを調節して、ぎりぎりつま先立ちのところまで下ろした。
このギリギリの加減がなかなかやるわいと米倉は思った。
「どっちに入れて欲しい」
「ま、前にお願いします」
バチーーンという音で男の大きな平手が尻を叩く。
「快楽以外であいつにマンコだチンポだと言わせるのは大変だぞ」
責めが一段落したと見たのか、寒河江はにやけていた。
「前とはどこだ、そんな躾もされてないのか、お前は」
「恥ずかしいこと言わせるくらいなら、いっそ鞭をください」
「ほう」
男はいきなり腰を入れて突き入れた。
「あーーーーーいいっ」
「なんだこの濡らしようは。さっきよりひどくなってるじゃないか。鞭だけでこんなになるのか」
「さきほどからずっとオマンコの調教受けていたからですぅ。その後すぐお仕置きされたらヌレヌレになっちゃうんです。いいっ」
「言えるじゃないか、ちゃんと」
「言います。たくさん言います。おまんこ気持ちいい、いいっ。ありがとうございます。麻美はオマンコ奴隷です。御主人様方のおちんぽ様にお仕えすることが大好きなんです」
「仕置きは嫌いか」
「お仕置きも好きですぅ。こんな格好でこんな服で痛めつけられておまんこが熱くなっておちんぽ様が欲しくてべちやべちゃに濡らす悪い奴隷をもっともっと折檻して下さい」
一気に淫らになった麻美は、次々に恥ずかしい言葉を自ら口にし、やがて男の腰のスピードが速くなると「イクーーーっ」とつま先立ちの、そこだけは無傷の白い背中を反らせた。
「ほら、中出しだぁ」
「うれしい、おまんこにいっぱいください」
「麻美は麻美で初対面の男にイクの早すぎ。男は及第点やるのはかまわんが、やはりセックスに入ってからが早すぎだな」
「あははは。外人のガキばかり相手にしてた大使様には大和撫子の淫乱ぶりとあそこの具合がことのほかよかったんじゃありませんか」
調教は、性器と肛門にバイヴを埋められたままで、前をふたたび合わせ、上半身軍服下半身裸という格好で一時間ほどの口奉仕。二度目の吐精、精飲、最後に小便で口をすすがせてそれを飲ませたところで「ごちそうさまでした。ご調教ありがとうございました。ぜひ会員になられてまた私を調教くださいませ」と挨拶をさせて終了した。
「せっかく巨乳を希望して、しかも鞭でずたずたにしておきながら、それを隠して奉仕させると言うのは俺のポリシーには合わんが…」
「まあスタイルは色々ですよ先輩。俺は軍服ちょっと感じたなぁ、どこの国のなんだろ。今度リサあたりにでも着せてみたいですねぇ」
それには答えず、「まぁ合格でいいか。代議士先生もお困りのようだし」
と、寒河江はつぶやいた。
なんだかんだ言って自宅に戻るとすでに深夜近かった。
米倉は寝室に直行し、タイだけをゆるめ着替えもせずにマッキントッシュの前に座り、マウスを動かしキィボードを叩く。
最近になって急速に普及をはじめたらしいADSLという接続方法の、数倍の速度と品質が約束された光接続によるインターネットを通して作戦室のパソコンにアクセスし、『認証完了』のメッセージを待って、早速自分のフォルダーを開けてみる。
新たな音声ファィルがふたつ。
『おつかれさまです。隼人、早速カモから返事が来たわ。もうこのまま私の線で進めて大丈夫と思うけれど、どうする。とりあえず次のファイルにコピーしておくから聞いてみて。御主人様の声も聞きたいとか言ってるし、もうこのままの役で登場してよ。じゃあよろしく。どっちにしても教えてね』
マウスを操作して次のファイルを選択する。瑞花のフォルダーにアクセスすることは不可能なので、こちらにコピーをしてくれたものだ。
『瑞花様、お返事いただきありがとうございました。とてもうれしく、何度も繰り返して聞かせていただきました。いくつかご質問がございましたので、そちらに先に答えさせていただきます。まず私は今、いわゆる東京都下と言われる二十三区ではない東京都に住んでおります。離婚に当たって夫が小さなマンションをひとつ買い与えてくれまして、でもこのマンションに住み続けるもよし、売って現金に換えてもよいということになっております。私としましては、このままここに普通に住みながらどこかに出向いて調教をお受けするのが良いのか、瑞花様のおっしゃるようにどちらかで完全に奴隷として飼っていただくのがよいのか、はたまたこの部屋を、私を責めていただくための部屋に改造するのがよいのか、全く何も決めることができずにおります。何しろ今日初めて寝泊まりする部屋なのです。私の意志よりも、私を支配して下さる方の意のままと言う方が気楽な気がいたします。次に、お尻についてのご質問ですが、現在もお浣腸には頼っております。一度そのような体にされてしまったため、どうしても使用しないと極端な便秘状態になってしまいます。そのためほぼ毎日、生理用品と一緒に買い求め主人の目に触れぬよう隠してあったイチジク浣腸を使って排泄しておりました。お尻でのセックスは調教を受けていた当時はほとんど毎日されており、お尻だけでもイクように訓練されておりました。三人とも別れた主人に比べれば大きかったと思いますけれど、すごく大きいほうだったのかどうかはよくわからないので少し心配です。でも早速拡げるように努力しようと思いますが、以前使用していたようなプラグもありませんし、どうしたらよいかと考えております。あと肉体改造についてのご質問ですが、実は三人の御主人様方のもとを逃げ出して一度は普通の女の普通の結婚を目指しましたのも、ピアス、刺青に続いて、豊胸という話が現実味を帯びてきたからでした。一度は私も了承したのですが最後は恐くなってしまったのです。女性の同僚などと一緒に温泉などに行ってもみんなにきれいな胸だと言われておりましたし、自分でも形とか自信もありましたので、奴隷としては小さいという理由だけで決定が下ってしまい当時とても悩みました。でも今はあらゆる覚悟があると思っていただいて構いません。私を完全に支配して下さる御主人様や女王様、先輩の奴隷様の最下等の奴隷として、快楽の道具として、そして便器としてお使いいただくことが、私の望みでございますので、道具や便器としての肉体改造であればいさぎよくお受けしたいと存じます。私の伝言の内容がわりと重かったせいだと思うのですが、他におふた方の伝言があっただけですし、瑞花様以外はあまり私の心を惹くものはありませんでした。いきなり殿方にお会いするよりも瑞花様にお会いするか、もしくはお立ち会いいただくという形での方が覚悟も決めやすいですし、私としては一日でも早い方がいいので、あとは、実際にお会いする前に一度だけでそして簡単で構いませんので、御主人様のお声を聞かせていただけたらと願っております。瑞花様がいらっしゃるのに大変失礼とは存じますが、その責めはお会いした折にお受けいたしますのでどうかよろしくお願いいたします。瑞花様、それからご主人様からのお言葉を心よりお待ち申し上げております。それでは失礼いたします』
米倉はこのメッセージを、二度繰り返して聞いて、今回は瑞花に乗って花を持たせるか、それともこれだけのおいしいタマを万が一逃しては一大事と考えて、自分は自分で独自のサディスト像でアプローチをかけるか、判断をつけかねていた。
『3369』の彼女のフォルダーを確認すると、昼間に聞いた瑞花の伝言の他にふたり、もちろんそれはわざとなのだが、『三十六歳のSです。携帯の番号入れておくので電話下さい。番号は090の…』というのと『君と同じ三十四歳です。都内に住んでいる既婚者ですが、女房はSMには全く興味を示さないどころか嫌悪感さえ示すため、まだSMの調教を実際にした経験はないのです。ですがハードな調教であなたのような女性を奴隷にすることに、大変興味があります。身長は百七十三センチ…』と、あえて返事をしたくならないようなメッセージが録音されていた。
瑞花はなんとしても米倉と自分の手でと思っているのであろう。
後輩たちを見事に協力者として引き立て役に使っている。
「まあ仕方がないか」
バーボンウイスキーのロックを一杯空にする間にようやく決断をして、今度は電話機をとって、所定のプッシュボタンを押した。
『私の奴隷、瑞花へ返事をいただきどうもありがとう。あなたの最初のメッセージ、そして今夜の瑞花への返事を先ほど一緒に聞き、ぜひお会いしてみたいと思い、あなたの要望でもあることですから、私からメッセージを入れておきます。簡単な自己紹介をすると、三十七歳、都内で小さな会社を経営しており、奴隷は現在、瑞花の他に普段は私の秘書をしている女がおり、こちらはまだ二十二歳と若いのですが、あなた同様かなりハードな調教をしている真性のマゾ女です。あなたの要望通り、そのあなたよりずっと年下の奴隷よりもさらに下の身分で私の、そして最近レズではすっかりSの資質を磨いている瑞花の奴隷としたいと思います。一回の調教で、奴隷になれる覚悟ができるかどうか、つまり私たちがあなたの主として合うかどうかというのは、絶対とは言えないわけだし、その点不安もあるとは思いますが、それなりの覚悟はしてきて欲しいと思います。そういった不安な点や質問、絶対にこれは無理と思うことがあるのならそのことなどを先に瑞花に伝え、話し合った上で初回の日時を決めて下さい。私たちはできるだけあなたの都合に合わせます。なんならば私に奴隷として跪く前に、瑞花に先に会ってみるのでもいい。瑞花の手で私の前に引き出された時には、すぐにすっ裸で性器検査を含む奴隷としての身体検査をします。性器検査をする以上は剃毛もあるという覚悟もしてきなさい。別の主を探すにせよ、いずれは剃られてしまうのだし、普通の男と普通のセックスするなどという可能性などないのでしょうからね。また、奴隷の身体検査である以上は、感度や口の使い方、女性器の具合、肛門の受け入れ具合なども検査の対象です。一回で私の奴隷になりきれるよう、こちらも調教の準備をしておくことにしよう。あとはまた瑞花と連絡をとってください』
何しろ、この伝言ゲームには競争相手は居ないのだから。
似たようなメッセージの中から、自分に一番合いそうなのはと物色する機会を女から奪って自分たちの獲物にして、これまで数十人の奴隷を組織に送り込んできた米倉たちであった。
翌日は、朝からインターネットで「ピンサロ」の情報集めだった。三田村には自分ではやらないと言ったものの、米倉はこういうことには実はマメな男だ。
三田村から渡された、大野という四十をいくつか回った男で、米倉より随分前から三田村に仕えている男が作ったメモは、店の名前と最寄りの駅、データとして「単」とか「花二」「花三ABA」などと、そしてその横にはその店に所属するひとりふたりの女の名前、いわゆる源氏名。そのうち半分程度には、名前の後ろに「乳」「尺特」「玉」などと書かれていた。
これは推定するに、店のデータの方は女の子が一回のセットに何人つくのか、二人以上の場合の女の子の回し方、源氏名のほうは乳が大きい、フェラチオがうまい、玉なめまであった、といったデータを大野自らかもしくはなんらかの方法で調べたものであろう。
性感ヘルスやソープランドなどは時々その店自身でホームページを持っているケースがちらほらと見受けられるようになってきたが、さすがにピンクサロンの自前のページは検索してもほとんど出てはこなかった。そうなると風俗情報を掲示板形式で集めているページなどを探すのが最短コースになると思ったが、そういったところではほとんどの情報は女の名前をアルファベット文字であらわしていて、情報としてはいまひとつに思える。
パソコン通信の時代はマニアックな情報が実名で飛び交ったものだが、インターネットの時代に入って、情報量は数十倍と豊富になったが、かえって本当にいい情報には触れられなくなってしまったなあ、と米倉は改めて思った。
最初の
1
軒目は、結局は大野の作ったメモから選んだ。
昼もやっていて、女の子が三人違う子がつくという意味らしきメモのついた店だ。
「いらっしゃいませぇ」
店に入ると、指名の有無を聞かれ、まぁ最初の偵察なので「指名なしで」と言うと、待たされることもなく細長い店内に二列に椅子が並んだ左手後方の席に通され、案内した男が立ち去るとすぐに入れ替わりで、席の通路に片膝をついて若い女が手に持ったおしぼりを差し出してきた。
米倉がそれを受け取ると、女はすぐに横に座り、レモン色のドレスの首のあたりに手をやってはらりとそれを脱ぎ落とし、靴を脱いで、ソファの上に半立ちになりながら膝から抜いて、いきなりすっぽんぽんになった。
それに合わせた訳ではなかろうが、店内の音楽がバラード調の曲からいきなりビートの速いロックに変わる。
裸になった女は米倉の膝の上に抱きつくようにして座り、耳元に口を寄せ、「お客さん、こちらははじめてですか」
うなずくと、「うちはね、花びら回転といって女の子が四十分の間に三人付くの。いっぱい気持ちよくなってスッキリして帰ってくださいね」
話しながらもベルトに手をかけ、腰をあげるようにうながし、膝元までトランクスごとズボンをおろしていった。
口唇を近づけてきていきなりのディープキス。
おっ、と思ったけれど拒む間もなく舌を差し入れ、片手は首に回し、もう片方の手は下半身に伸びてきて、そっと玉袋の部分を包むようにしてきた。
「サービスするね。楽しんでね」
シートに裸の体を横たえると、手にした別のおしぼりで軽く拭った程度で、いきなりパクリと女はくわえこんできた。
女がかがみ込んだおかげで、やっと周囲を見渡すことも可能になり、一番後ろの席というのはラッキーだったかもと思いつつ、観察して見ると、通路を挟んだ隣も前方の席もひらひらしたドレスが椅子の背もたれにかけられており、白い足がのぞいていたり、隣の席にいたっては、女が男根を含む口元から、片足を椅子の背にかけて白い尻の間から性器をまさぐらせているのまで丸見えであった。
もう少し薄暗いものと想像していただけに、こうまであけすけだとはとかなり驚きもした。
サービスを始めた女のテクニックはなかなかのもので、大きくする術を身につけている感じだった。ショートカットの横顔を見つめていると、閉じていた目を開いた女が、硬度を増してきたものを一度口から出して舌を下の方へと這わせながら妖艶に見つめ返してきて、その色気に最初に感じたより年齢は上なのか、マゾとして仕込んだらいい表情をするだろうなどと思っていると、女の手が伸びてきて、米倉の右手を性器へと導き触ることを促してきた。
米倉に股間を自由にさせつつ、女は男根そのものから玉舐め、そしてそこまで降りていったついでとでもいうように尻の方まで舌を伸ばしてくる。
ほう、これでは一般風俗とはいえ奴隷の奉仕だ、多少のM気でもないとやれないのではないかとさえ思った。
舐めながらまた徐々に上へ上がってきて、ふたたびペニスの根元まで口に含んだ女はゆっくりと引き抜くと、そこからいきなり攻めの体勢に入り、ストロークのピッチを速めて、片手を玉袋から尻、そしてペニス全体を包んでしごくなどと、縦横無尽に技を繰り出してきた。
百戦錬磨の米倉を一気に登り詰めさせると、発射の瞬間喉の奥深くまでくわえこみ、口腔の奥と喉で短いストロークを加えるという高等技術で男のエクスタシーの瞬間を高度に迎え撃った。さすがの米倉も、たかだか六千円の風俗のそれも三人サービスするうちの一人かよこれが、と舌を巻かずにはいられなかった。
その後の「後処理」も舌と口唇を丁寧に使ってのもので、究極の奉仕風俗だなこれは、と感心するばかりであった。
「由香です、よろしくお願いします」
小柄ながら、見るからに豊かそうな胸元の谷間をのぞかせてバスタオルを巻いた女が、ほどなくしてやってきた。
大野のメモにリストアップされていた女だ。
「お飲物お替わりは。ビールとかもありますよ」
と書かれていた女は、あどけない顔立ちに微妙な色気、それは本質的にこの娘の持つマゾ性からにじみ出ているもの、女のマゾ性を見抜くことでは天下一品の米倉は、隣に座った女の横顔、声、仕草から即座にそう判断していた。
「だったらビールでももらうか」
百円ライターを手に、ボーイに合図を送る様子は昨日今日この業界に入ったわけではないとすぐにわかる。
「年、いくつなの」
こんなところで年齢を尋ねることに意味はないとわかっていながら、少女と女の生々しさが同居した不思議な雰囲気に聞かずにはいられなかった。
「来週でね、二十一歳になるの。ところでもうがんばっちゃったの」
そう言いつつ返事を待たずにバスタオルをはずす。
当たり。
あばらが見えるほどしまった体に見事な巨乳。
サービスをさせずとも、この体にこの雰囲気だけで自らがスカウトしたくなるような女だ。
「ああ。はじめてピンサロなるところに来たのだが、フェラチオがあんなに気持ちいいものだとは知らなかったくらいだよ」
ビールを一口飲みながらそう答える米倉ににっこりと笑って、「リョウコさんのフェラはみんなうまいって言うわ。でもでも、由香にはみんな由香ちゃんと同じくらいとか由香ちゃんの次にって言うわよ、早速試してみる」
娘の醸す雰囲気と、ほの明るい店内で視界に入る他の女たちの全裸姿、一種特殊な空間の中ですでに再び硬度を増しているものから、かけられたおしぼりをはずして、由香という娘はその小さな手に少し力を込めて握ってきた。
膝の上に跨がって抱きついてきた女に、今度は積極的にキスに応じてやる。
「時間少ないからもうしゃぶらせて。この立派なおちんちん」
乳房を揉む手を上から包むようにして体を横たえる女。
「もう少し前に来て脚広げてくれる」
言われた通り、浅く腰かけ直すと、女は顔をいきなり股間に割り入れ、最初に米倉の尻へと舌を伸ばしてくる。
おいおい拭きもしないのかよ、さっきの女がそうしたかどうかわからんだろうに、と思ったがされるがままにさせていた。
病気になる前にうちで貰い受けないといかん、などと考える余裕があったのは最初だけで、玉舐め、完全に硬くなったものを口にされた瞬間のわずかにひんやりした感覚から徐々に適温になっていく口内温度、包み込まれる柔らかさ。
いつの間にか小さな氷を口に含んでいたのであろうことはわかったが、ほんの数秒で女の体温と自分の熱くなったものが融合していく感覚。
奴隷にした女を含めて百人以上の女にフェラチオという行為をさせてきたが、これほどまでに体温を意識したのははじめてのことだった。
それはフェラチオするためにある口。まるで性器そのもの。
男の性欲処理のために作られた絶妙の粘膜。
そして唾を口の中にためてしゃぶることでわざと音をたてるこの女の尺八は、大野の評価が伊達ではないことを物語っていた。
結構面倒だし、下手に病気でももらったら仕事に障るなどと、この仕事を命じられた昨日は考えなかったわけでもなかったが、あっと言う間にそんな思いは吹き飛んでしまった。
約十分間、無理に性感を高めていかせようとする感じではなかった。
しかし自ら言うようにその口唇、舌、喉の使い方から、常時玉袋に微妙なタッチで刺激を与えてくるやり方まで、女のそれは自信たっぷりという様子だった。
『七番テーブル、由香さん、七番テーブル由香さん』
店内放送が交替のコールを告げると、ちょっとだけスピードと喉の締め上げを強めるという技を見せた上で、そっと口から出した先端にキスをするという芸当まで見せて、にっこりと米倉を見上げた。
「すごーい立派なおちんちんですね。お口いっぱいいっぱいになって感じちゃいました由香」
新たなおしぼりの封を切りながら娘が言う。
「でね、よかったら次の子が終わったら指名してほしいの。もう時間ないかしら、帰っちゃう。指名だと最初と最後に二回してあげられるの。もっとおしゃぶりしたい、もっといっぱい由香のお口味わって帰って。そのために余力残したんだから、次の子にKOされないでね」
言葉の途中で米倉の返事がOKだと感じ取った娘がそう言い残して立ち去ると、すかさず次の女がやってきた。
今度はすらりとした、身長百七十センチはあるかなという髪の長い女。
テーブルにつくと、置かれた伝票を手にして目をやり、「お客さん、今日はじめてね。でも身なりかな、お店にとってはいい客、つまりまた来てほしい通ってほしいお客と思われたのよ」
ん、という顔をした米倉に、「リョウコ、由香ちゃん、両方ともご指名のお客さんだけで十分回るから、お店が一見さんにつけるというのはそういうことなの。ふたりとも上手だったでしょう。かわいいし特に由香ちゃんなんてお人形さんみたいだもんね。そのくせスケべで殿方には最高なんじゃない。あ、わたしシズカですよろしく」
リストされていたもうひとりの女だった。
「まぁ立派。由香ちゃん喜んだでしょう。おっきいの好きだからあの子。技の見せ所って言ってなかった。続きのおねだりされたでしょう、指名してって。悔しいから私でいかせちゃおうかなぁ。でもうらまれちゃうから、中継ぎ投手に徹してあげるね。その替わり私のこといっぱい触って気持ちよくさせてね」
由香という娘のおねだりに答えてやる形で、延長をし、そして今度は本人の言う通り、一回目と最後に彼女はやって来て、しかも米倉は二度とも見事にKOされ、その高等テクニックに圧倒されて店を出た。
即座に店名とリョウコ、シズカというふたりの女の名を電話で告げた。
由香は自分の手で落として、三田村の考える新しい形態の店ではなく、自分の奴隷としてマゾ性を伸ばす調教にかけよう、これはここには少し通うことになりそうだ、と米倉は思った。
結局、夜までに他に二軒の店を回ったが、最初の印象が強烈であったためかその後はあまりパッとした成果は得られなかった。
『出勤したら四十六階のモニタールームに寄ってください』
翌日の午前十一時。ちょうど米倉がオフィスのあるホテルの一階のドアをくぐったのを見ていたかのように、瑞花から携帯電話にメールが届いた。
エレベーターに乗り込むと、階数ボタンのすぐ下にあるセンサーに、自分専用の白いカードをかざし、例の女の成果が出た話なら彼らの実質的なオフィスである「作戦室」の方がよかろうにと考えつつ〈46〉のボタンを押す。
一般客もフロントでチェックインして、宿泊する部屋の鍵になっているカードをもらわなければ、エレベーターを動かし、四十五階より下の通常のホテルフロアにさえ行くことは出来ない。セキュリティー重視のこの建物の中で、米倉を含め三田村会長などごく数人しか持っていないこのまっ白なカードは、ホテル内のあらゆるセンサーにも通用する万能なものだった。
少なくとも部屋を出るまでには、米倉のメッセージボックスに、新たな伝言は入ってはいなかったから、別件かもしれない。
再びカードを使ってモニタールームと呼んでいる室内に入ると、全裸で椅子に座った瑞花が今日も米倉の妻美樹を開いた脚の間に座らせて性器への奉仕をさせ、上気した表情で米倉に軽く合図を送って来た。美樹の方は逆に朝出がけに着て行った普段着のニット地のモスグリーンのワンピースのままだ。
「お前の裸を見るのも久しぶりだなぁ。しかし美樹も最近すっかりお前さんのもんだ。そんなにお気に入りかね」
「そうよ…。今日はね、ちゃんとおっぱいから舐めさせたの。女の体への奉仕の方が好きだそうよ、隼人のかわいい奥様は。そんなこと聞いたら、嘆くのは隼人よりも会長でしょうけど」
「まぁ続けながらでいいや、こんなとこへのお呼び出しとはまたどういったわけだい。例の女はフェードアウト…、というのはあんまり考えられんよな。せっかくお前に手柄譲ったんだし」
「うん加奈ちゃんね。ええと加えるに奈良の奈だそうよ、本名だって。面接の時にちゃんと免許書とかも持ってくるから、そういう覚悟ですからって、自分から言ってた。昨日電話で話したの。電話番号入れたら一時間もしないうちにかけてきたわ。で、その件は急だけど今日の夜でもいいかしら」
「ああ、俺の立ち会いも最初からでいいのか」
「ええ。ぜひそうして欲しいそうよ。覚悟は十分あるので最初からご主人様と一緒に面接も検査もして、合格だったら即座に奴隷として扱って欲しいって。ところで今ここにね来てもらったのは、とっても面白いものが手に入ったので一緒に見ようかなって思って。今晩隼人があまりはりきりすぎないようにウォーミングアップかな。かえって逆効果の可能性もあるけれど…」
リモコンのスイッチを押して、一番大きいメインのモニターに電源を入れた瑞花は、「昨日ね撮りたてらしいんだけど、乃里子ちゃんのほとんどノーカットの調教のビデオ。ノーカットって言ってもそっちの意味じゃなくて、というか会員さんには修正したりしないのはもちろんなんだけど、この前会員になった例のあの映画監督が二時間連続ドキュメント形式で撮ったものを時間的な短縮ほとんどなしで売るんだって。そのつもりで準備して撮ってるから凄いものが出来たって会長が早速コピーをリサに届けさせてくれたの。で、隼人と美樹ちゃんと一緒に見ようかなと。あと隼人は当の本人の乃里子ちゃんか沙織にご奉仕させながら見たらいいわ。夕方まではふたりとも空いてるの確認済みよ」
と言い、美樹ちゃん旦那様のご奉仕奴隷のリクエスト聞いてあげて、と美樹のあごに手をかけて、上を向かせて、唇に指を差し出し舐めさせながら、米倉の返事を待った。
「そうか、では沙織をすぐに呼んでくれ」
あえて本人ではなく母親を選ぶ。
美樹がドアを開けて出て行くと、「今夜の獲物は本当に楽しみね。ビデオ見た後、お昼シャンパンでも飲みながらゆっくりその打ち合わせして、夕方まではお昼寝でもしよう。たまには私の添い寝なんかどう」
欲情に目を潤ませながら瑞花は隼人のペニスに手を伸ばして来た。
タイトルもなくいきなり画面に映し出されたのは、卒業証書だった。
寒河江乃里子。平成十三年三月十五日卒業とある。
横浜市にある学校から短大まであるミッション系の女子大学、昨年の春卒業したばかりだ。
成績は相当優秀だったと聞くが進学はしなかった。
十五秒ほどの後、カメラはゆっくりと引かれて行き、卒業証書を胸の前でカメラに向かって差し出している両手が映り、やがて当時の制服をつけた乃里子が見え、そしてそれはその女子大学の校門の前で撮ったものであることがあきらかになる。
ゆっくりとカメラが回り、学校名が書かれた看板がアップになり、次にカメラが左に動いて新たに捉えた乃里子は、後ろを向いてスカートを傍らの大人っぽいスーツを着込んだ女、リサによって腰の上までまくり上げられ、白いお尻を丸出しにされていた。
カメラが寄って行くと、無情にもリサの手で尻の谷間を広げられ肛門とわずかに開いた性器が映し出される。太陽の明るい光の中、セピア色とサーモンピンクのコントラストが鮮やかだった。
瑞花の手で強く握られた米倉のペニスは画面の中の娘が見慣れた女であるにも関わらず、トランクスの下でビンビンに硬くなっていた。
「こんだけ出来が良ければあそこにモザイク入れて、覆面監督で普通のアダルト市場に出すか、って会長は言ったそうよ」
ドアが開き、赤いIDカードを持った美樹に連れられ、乃里子の母親が入って来た。
「おはようございます」
沙織の挨拶に、「すっ裸」
と即座に米倉は命じる。
沙織はすぐさま薄い黄色の袖無しワンピースの首元のリボンをほどき、するりと下に落ちた洋服から脚を抜いて、手を頭の後ろに回した服従の姿勢を取る。もちろん下着はつけておらず、ワンピースが落ちた瞬間にすっ裸だ。
美樹は美樹ですぐに瑞花の足下に這いつくばっていた。
「ほう、昨日もずいぶん厳しい調教受けたようだな」
「はい。昨日のお客様は一本鞭と針責めとお浣腸責めだけでご奉仕とか一切なしの四時間で、とてもとても辛うございました」
画面の中の娘を産んだとは思えないくらい未だ形を保った乳房にも無惨な鞭痕が、腹から腿にかけても、黄色くなりかけた数日前に米倉がつけたものを打ち消すように鮮明な赤と青の鞭による傷跡がついていた。
画面では、車の後部座席中央に乗せられた乃里子が、制服のブラウスを左右に広げられて、左に座ったリサと、白衣を着てナースキャップをかぶって奥に座っている麻美に両方の乳房を同時に揉みたてられていた。
「お前のかわいいかわいい娘主演のビデオだ。いよいよ本格デビューだなぁ。会員全員に配るどころか会長は一般販売も考えてるらしいぞ。会長の機嫌を損ねて、ついでに裏ビデオの市場にでも流されたりせんように、お前はますますしっかり奴隷を務めろよ」
瑞花の隣のソファに浅く座った米倉の前に、沙織は跪き「失礼します」と言ってトランクスを下ろし、ペニスを軽く持ち最初に玉袋にその舌先をのばした。
画面が替わり、どこかの公園の公衆トイレの前。
乃里子は、いつの間にか白衣に着替えたリサに、腕を取られ、男性と書かれた方にさも当然のように連れて行かれる。その後ろには小さなバケツに薬液の瓶とぬるま湯が入ってると想像できるポットを入れて持った麻美が続いた。
「便器の前に立って脚大きく開いて手で便器の両側もってお尻突き出しなさい」
乃里子は男性用の小便器の前でリサに命じられる。
床にしゃがんだ麻美はカメラの前にグリセリンと書かれた薬瓶のラベルを見せ、その透明な液体を無造作にバケツに注ぐ。瓶の中身が全てバケツに移ると、次いでポットの中のものをどくどくと音を立てて注いで、最後に白衣のポケットから百CCの浣腸器を取り出し、それでバケツの中をぐるぐるとかき回した。
前屈みで尻を大きく突き出すという浣腸刑の姿勢を取った乃里子のスカートをリサがまくり上げて白い尻を再び剥き出しにする。
「カメラを見なさい。目を背けたらとても新宿のホテルまでは我慢できない量に追加するからね、車の中にはまだ何本もお薬積んでるんだから」
リサの言う通り、画面の中には、乃里子の表情を映す二台目のカメラが登場していた。後で編集するつもりか、もしくは製品版は画面を分割して乃里子の表情と薬液を注腸される尻を同時に映し出すのかもしれない。残念ながらこちらのカメラからは乃里子の表情の変化までは見て取れない。わずかに顔を斜め上にあげてカメラにそのまだ幼さの残る顔を晒した横顔がわかる程度だ。
これはぜひ編集を終えた製品版も見なくてはと米倉は思った。
「初めてじゃないんだから入れてる最中に漏らすなんてことはないだろうけれど、こっから新宿のホテルまで約一時間、何が何でも我慢するのよ。うんちは何日させてもらってないの」
「三日です」
「そう。じゃあ全然我慢できる。あんたのお母さんなんて一週間分のうんちに一リットルの濃いグリセリンされて無理矢理二時間街を連れ歩かれたこともあるのよ。あなたはほとんどの時間電車で動かずに立ってるか運が良ければ座れるんだから」
自分の話題にピクリと沙織は反応するが、すぐにまたペニスへの奉仕に没頭する。
リサが両手で尻たぼを開いて肛門を剥き出しにし、百CCたっぷりの浣腸器を麻美がそこへ突き立てた。
「どう、たまにはする側もいいでしょう、麻美ちゃん」
麻美はにっこりと笑って、ピストンを押し一気に薬液を注入すると「ああぁ」という小さく短い悲鳴が乃里子の喉から漏れた。
「ほら、一本目入ったわよ。ちゃんと目を開けてカメラ見て」
すかさずバケツから二本目が吸い上げられる。
「今度はゆうっくりと入れてあげて」
リサは容赦なく尻たぼを拡げたままなので、浣腸経験のあまりない女だとこの状態で肛門を窄めていることすら出来ず、漏らしてしまうだろう。
「全部で十本ね。そんなに濃いのじゃないから大丈夫よ」
約一リットルの薬液を注入されたところでスカートを下ろされた乃里子はリサに促されて公衆便所を出て、かなりぎこちない動作で歩き始めた。
五分ほどで駅。
その間、カメラはずっと数メートル後ろから乃里子の姿を追っていた。
自動改札を白衣姿の二人に挟まれる形で通過するのを、電車から降りて来て帰宅するサラリーマンたちが一様に不思議そうな顔をして見るが、その少し後ろのカメラに気がつくと、あわてて視線をそらし足早に立ち去る。
階段を上りホームへとでると、すぐに銀色に青いラインの電車が入線して来た。
通勤と逆コースのためそれほど混んでもいないがさすがに座ることはできなかった。
「横浜で乗り換えだから」
リサが乃里子にそれまではドアのそばに立っているように命じる。
カメラはすでに時々眉をしかめる乃里子の表情をずっと追っている。
やはり、電車の中では注目の的だろう。
「浣腸して外に連れ出されたのははじめて」
リサが問う声は他の乗客にも聞こえているかもしれない。
乃里子は首を横に振り、「前にお客さんに。でもあんなに多くじゃない」と、か細い声で答えた。
途中駅に三度ほど停車し、車内アナウンスが次は横浜であることを告げる。
電車に乗った時には羞恥のためか上気して赤い顔をしていたのが、すでに青ざめてきている。
排泄感は断続的に襲ってくるようで、これで一度乗り換えのために階段を歩かされるのはかなり辛いだろう。
「あんまり意味はないだろうけど、栓入れてほしい」
ドアの外でリサが問うと、すかさず首を二度も三度も縦に振るが、当然次にくるのは「どこで」という疑問だろう。「でもなくても我慢できます」とあわてて否定する。
「大丈夫よ、さすがにこんなに人の多いホームでお尻剥き出しにさせたりしやしないから。あなただけならまだしも私たちまで捕まっちゃうじゃない」
階段をのろのろと降りて、改札内のトイレに連れ込まれる。
さすがに今度は女子トイレ。
「監督さんもカメラさんも入れないので、今だけ麻美が撮りまーす」
普段のマゾぶりはどこかに置いて来たような楽しそうな声で麻美がそう告げた。
洗面台のところにひとり居た婦人は、カメラを一瞬見たが、顔をしかめて慌てて出て行く。
一番奥の個室に入れられて、しかし撮影のためにドアは開けたままで立ったままスカートを捲り上げられる。
「トイレに入って、うんちできないなんて地獄のようね。こんなにお腹ごろごろ言わせてるのにね。ええと、お尻にも入れてあげる替わりにおまんこもね」
リサはポケットから極太のアヌス栓と青い色のローターを取り出し、先に突き出させた尻に栓をし、そのまま後ろから性器にもローターを挿入した。
「まあ濡れ濡れ。マゾね」
リサとてすっかりS役が板についているとはいえ、もともとはMの素質十分の女だ。この辛さがどれだけマゾ娘の心に響くか重々承知しているのだろう。
いくら母親の影響や、また義理の父親に学生の頃から調教を受けて来たとはいえ、乃里子のマゾとしての成長ぶりには、米倉も驚いていた。
「ああ急がないと。湘南新宿ラインって乗り遅れちゃうと次がいつ来るかわかんない」
個室から出されると、リサに手をとられ早足で女子トイレを後にする。
カメラマンにカメラを返す余裕もなかったのだろうか。駆け足で階段をひきずられるように上って行くふたりを不慣れに上下にぶれた映像で後ろから追っていき、ホームにたどり着いてもまだカメラは固定されずにいたが、電車の入ってくるところが映しだされたところで突然安定して元の持ち主に戻されたことがわかる。
銀のステンレスにオレンジとグリーンのラインが入った電車は、神奈川の地方都市から渋谷新宿池袋を通って埼玉県や栃木県まで足を伸ばしている。
「よかったわね、座れそうよ」
リサの言うとおり、ガラガラと言ってもいい空き具合だった。
またしても女子大生姿の乃里子を挟んで白衣の二人が席に着く。そのうち麻美はナースキャップをかぶったままで看護婦とするならば、リサは冷酷な女医といったところか。いずれにしても異様な光景だろう。
カメラマンも向かい側の席に座ったようで、目線の高さが座った乗客のそれになる。
ゆっくりとカメラが乃里子の顔をアップにしていくと、栓をされたとはいえ、排泄そのものは自分の肛門の力で我慢しなければならない娘は、走らされたり階段を駆け上がらされたりしたせいか、ますます青ざめ、額に脂汗を浮かべていた。
電車が静かに動き出して、車内アナウンスで新宿駅の到着時刻などが告げられる。
カメラはその間もしばらく乃里子の表情を映していたが、突然、ピクリと体ごと顔も動いた。
カメラが引くと、乃里子の性器に挿入されたローターを動かす水色のリモコンを手にしてカメラに向かって麻美が微笑んでいた。稼働中であることを示す赤いランプが灯っている。
乃里子はうつむき首を力なく横に振るが、リサに髪の毛を掴まれて、無理矢理顔を上に向かされて、カメラにその表情をまた晒される。口唇が「とめて」と動いたのがわかった。
しばらく髪の毛を掴んでいたリサが手を離すと、乃里子は引き寄せられるようにリサにもたれかかってしまった。それを見て麻美がローターのスイッチを切るのが映し出される。
やっと体を起こした乃里子の耳元にリサが何かをささやくと、うんうんと首を縦に振った。
リサが今度は麻美に何かを告げると、麻美はカメラに向かってリモコンを突き出し、スイッチを入れて三秒ほどですぐにオフにして、自分のその操作にしっかりと乃里子が反応したのを見届け、満足そうにそれを白衣のポケットにしまった。
浣腸責めで一時間程度の我慢の経験は何度もあるであろう乃里子にも、電車の振動とビデオカメラとそして何も知らない他の乗客の視線と言うのは地獄の一時間であろう。
カメラは引くでもアップにするでもなく、淡々と乃里子をはさんだ三人の姿を捉え続けた。
電車が駅に停まり走り出す時に一瞬リサの手を握り思い切り顔をしかめたり、崩壊寸前になりながらもその波を超えたということがわかる瞬間など、これは見るものを充分に愉しませるだろうと米倉は思った。
時々立ち止まりながらよたよたと駅の構内を抜け、新宿駅の地下西口に待っていたタクシーに乗り込む。相変わらず乃里子はリサと麻美に挟まれて。ビデオカメラは直前でカメラマンから監督に手渡されて、助手席に乗り込んだ。
乃里子はもう脂汗で病人のような状況だ。
「えっ、ニシノ監督じゃないすか。新しい映画かなんかすか、光栄だなあ」
「ごめんなさい、運転手さん。まだ作品として公開されるかどうか決まっていない撮影なの。エスタブリッシュメントホテルまでお願いできるかしら。カットできないのでお声が入らないようにお願いしますね」
リサの言葉にうなずくと、運転手は車を発進させた。
「お姉様、もう駄目」
「もう少しよ、我慢できるでしょホテルではもう部屋に準備万端だから、もうちょっとがんばりなさい」
準備万端という言葉に乃里子は一瞬怯えるような目をしたが、また波が襲って来たのか目を硬く閉じてしまう。
しかし残忍なことにその横で麻美が例のリモコンを取り出していた。
「あーーんっ」
全身をびくりとさせて乃里子が悲鳴をあげる。
運転手はさぞや後ろが気にかかることだろう。
五分とかからずに車はホテルのエントランスに横付けされた。
車を降りたところで乃里子はしゃがみ込んでしまい、あわててドアボーイが飛んできた。先に降りていた麻美がそれを制し、腕を掴んで立ち上がらせてやる。
「バイブ…、止めて。とても歩けない」
麻美がリモコンを出してカメラの前でスイッチをオフにする。
「リサです、着きました」
支払を済ませてタクシーを降りたリサがすかさず携帯で連絡をとっている。
両腕をふたりに支えられて引きずられるようにエレベーターに乗せられて、四十六階に着くと、今米倉たちの居るモニタールームのある部屋のドアの中にある専用エレベーターに乗り込む。
リサもまた特別スタッフ用の白いIDカードを持っていた。
四十七階のその部屋は、この秘密クラブ用に改装した部屋の中でもさらに異彩を放っている部屋だった。
すでに十数人の観客、エスタブリッシュメントクラブの会員たちが一行の到着を待ちわびていた。
乃里子はその部屋の一番奥、元々はロイヤルスイートルームの広くて豪華なバスルームだったところへと連れて行かれる。すでに部屋に入ったところからは、自力ではなくひとりの体格のいい男に抱きかかえられてだ。
その場所は、縦四メートル、横二メートルの透明なアクリルガラスの壁に囲まれていた。
中央に「浣腸台」と呼んでいる、女をあらゆるポーズで拘束し、性器と肛門を剥き出しにするための装置の付いたいわば浣腸拷問のための台が置かれている。当然、そこで排泄させた場合のために、天井から特殊なノズルで四方八方を洗い流せるようになっていた。
もちろんガラス張りなのは見学者のためだ。
ドアの前で男に下ろされた乃里子は、リサと麻美の手であっという間に全裸にされた。「乃里子、あのお部屋初めて入ったそうですわ。あんなお部屋があったなんてと夜もまだ怯えていましたもの」
画面を直接は見ていないものの音声で状況を把握した沙織が、米倉のペニスから口を離してそう説明した。
乃里子は呆然としている。
こんな場所でこんな大勢の観客の前で排泄ショーを演じるとは思ってもいなかったのだろう。
「バイヴは入れたままでいいわ、麻美ちゃん」
全裸に剥かれても、その幼い顔立ちに似合わぬたわわな乳房や無毛の性器を隠すゆとりもなく、小刻みに体を震わせていた。
「おいで。まだ我慢できる」
リサの問いに力なく首を横に振る。
すでに扉は閉められ、カメラもガラスケージの外である。
どのみちここで行われる排泄ショーは、ケージ内三カ所に据え付けられたビデオカメラも捉えることになる。
台の両側からの視線を浴びながら、リサと麻美によって排泄を見せるための台に仰向けに横たわらされる。
「いやーーーっ」
叫んだのは、手首を万歳の形で拘束された後、白衣を着たふたりにそれぞれの足を大きく開いてふたつ折りにされる、いわゆるまんぐり返しの形に折り曲げられたからである。
栓をされた肛門が天井を向く。
台にはその形に足首を固定する装置がもちろんついていた。
何人かの見物人のカメラから一斉にフラッシュが焚かれる。
「お願い、許して」
悲鳴とは反して限界をさとっているか細い声だった。
「よくここまで我慢したわね。いい子よ。最後に思い切り出して、こうして待っていて下さったみなさんに惨めな姿を晒すのよ」
リサが横から唇に軽くキスをしてやり足下の後方へ下がると、それを待って麻美が「抜くわよ」と言いざま、深く突き刺さったアヌス栓を真上に一気に引き抜いた。
麻美が慌てて後ろに下がるよりも、茶色い噴水が吹き出すのが先だった。
四方から焚かれるフラッシュの中、三日分の固形物と液体が混じりあったシャワーはその大半が、台に固定された乃里子の顔、髪、そして白い乳房へと一斉に降り注いだ。
それも一度や二度ではなく何度も何度も断続的に。
米倉も同時に沙織の口に精を放っていた。
「お前の時は、口も開口具で開かされてたよな。ま、乃里子は初めてだからこんなもんかな」
最後の一滴まで首を振り立て喉を締め付けて絞りとった沙織が、精液を口に含んだままで、はじめて振り返ってモニター画面を見た。
すでにかわいい娘は、その美しい顔は自らの排泄物で茶色く染まっていた。
女としてもっとも恥ずかしいポーズをたくさんの男たちの前でとらされた上で、もっとも恥ずかしい排便という行為をもっとも惨い方法で強制された、まだ十九になったばかりの娘の姿だった。
「飲め」
口に放たれたものも、命令がなければ飲み込むことさえできない、そんな躾を受け続けてきた母と、そして娘である。
昼食にはモニタールームの隣のダイニングに乃里子も呼んで、ホテルの地下一階の高級鉄板焼店から極上のフィレステーキを取り寄せた。
ビデオが終わって、ホテル内の母娘が暮らす部屋に戻ってからの昨夜の乃里子の様子を聞くと、気丈にはしているものの相当のショックを受けているのが見て取れたというので、それでは少しは元気づけもしてやるのが調教師たる俺たちの仕事か、と瑞花と軽口を交わしてのことであった。
しかし、呼び出されてやって来た当の本人は、その場に居た全員が拍子抜けするほど元気な声で「失礼しまぁす」とにっこり笑って部屋に入って来た。
ステーキうれしい、とはしゃぐ姿はとても昨日強要された排泄ショーで、みじめな姿を大勢の男たちに晒した同じ少女とは思えないくらいだった。
「先生、私もお洋服脱ぎますか」
相変わらず全裸の自分の母と、バスローブをはおっただけの瑞花を見て乃里子はそう訊いて来たが、普段着のワンピースのまま席に着かせた。
ほんのりと焦げ目をつけただけのベリーレアの肉はとろけるようで、米倉の隣に座って食欲旺盛にフォークを動かす娘には「乃里ちゃん、そんなに食べると今夜もお浣腸責めされて辛い目にあうわよ」と沙織が注意したほどだった。


