鼻フック(はなフック)は、鼻に引っかけてブタのような鼻にする道具であり、その行為そのものも指す。行為の総称はもともと「鼻責め」で、鼻フックはその一種にすぎない。専用の金具で鼻翼を吊り上げ、顔のラインを崩す。痛さと、元の顔との落差と、ブタ扱いされる羞恥が同時に乗る。フックは鼻責めの一種であって、鼻責めそのものではない。にらめっこの変顔としても、SMの家畜化としても、同じ顔の変形が使われる。
にらめっこからAV、罰ゲームへ
他人の鼻をブタのように変形させること自体は、子どものにらめっこと同じく、滑稽な顔を面白がる行為だ、というのが一般的な理解である。ただし異性の崩れた顔に性的興奮を覚える人もおり、SMプレイでは相手を「豚」と揶揄し、豚鼻にして貶める使い方が定着している。性的な意味と、ただの変顔いじりが、同じ道具の上に重なっている。
1980年代以降のSM系アダルトビデオでよく見られるようになった。相手を豚と呼び、鼻を吊り上げて貶めるショットが、SMものの定番のひとつになる。1990年代からは、逆にAVに触発されたテレビのバラエティが、性的な意味を外して、鼻の痛みと間抜けな顔を罰ゲームとして使うようになる。SMの辱めが先に映像で広がり、お笑いと罰ゲームが後から乗ってきた、という順番だ。道具の名前より先に、ブタ顔そのものが映像で流通した。
初期にはカーテンフックや針金で自作したものも使われた。いまはアダルトショップなどで売っている専用の鼻フックが主流である。道具が市販化されたあとも、痛さと羞恥の設計は変わっていない。行為そのものの名前は鼻責めであり、フックはそのための器具、あるいはその器具を使った責め方の呼び名だ。
痛さとブタ顔のギャップ
性的な意味がある場合もない場合も、狙いはだいたい同じだ。肉体的な痛さ、ブタのように醜くなった顔と元の顔のギャップ、醜い顔にされる羞恥心を刺激すること。自分の顔にプライドがある人には、裸を見られるより恥ずかしい、という声もある。逆に、顔の変形に羞恥を感じない人には、あまり効かない。
変顔が流行して以後、SMプレイとしてより、お笑い芸や罰ゲームの一種として語られることも増えた。テレビでは性的な意味を外し、肉体的な鼻の苦痛と滑稽な顔だけを楽しむ罰ゲームとして定着した。それでもSMものをはじめ、数多くのAV作品ではいまも使われている。芸能人では、松本人志(ダウンタウン)、大槻ケンヂなどが、SMプレイとしての鼻フックを好むと公言している。バラエティで見たことのある人でも、SM映像のなかの鼻フックは、罰ゲームではなく、相手を豚と呼び、顔を崩して貶める家畜化と辱めの側にある。顔にプライドがある人ほど効き、羞恥を感じない人にはほとんど意味がない、という点は、性的な場でも罰ゲームでも共通する。














