『キックハート』は、原作・監督湯浅政明、監修押井守、制作 Production I.G の日本のオリジナル短編アニメーションである。プロレスを舞台にした約12分のショートフィルムで、日本のアニメとしてクラウドファンディングを本格活用した最初の作品として知られる。売れないレスラー・マスクマンMと人気レスラー・レディSがリングの上で愛をぶつけ合う。名前のMとSは、マゾヒストとサディストの頭文字としても読める。声は、マスクマンMが鈴木達央、レディSが本田貴子。主人公は、めげることなく打たれ強いキャラクターとして設定された。湯浅はインタビューで、マゾヒストのレスラーがいたら面白く、それをファンタジックなコメディにしたら自分も視聴者も楽しめるのではないか、と話している。『タイガーマスク』の影響を認めており、孤児院出身という設定などを洒落として入れた、とも語っている。売れないレスラーは絶頂を求めて日々を過ごしていたところ、人気レスラーと出会う。
約10分の短編であることと、普通とは違う枠組みで作りたいという湯浅の意向から、できるだけ少人数で制作する方針が取られた。最初に、湯浅作品によく参加するアニメーターの三原三千夫が起用され、次に本作が初めてのアニメ参加となるオオルタイチが起用された。湯浅はこのスタッフィングで作品の雰囲気が明るい方向へ変わり、テーマが見えてきた、と振り返っている。2012年の制作発表後、Kickstarter で世界中から出資を募り、1か月で全世界3000人以上から、目標を大きく上回る20万ドル(約2500万円)超の支援を集めた。
2013年5月26日、六本木の完成発表イベント「Kick-Heart 覆面舞踏会」で初披露。同年6月のショートショート フィルムフェスティバル、フランス・アヌシー国際アニメーション映画祭で特別上映され、翌月には Anime Expo で米国プレミアが行われた。同年12月27日にBD版が発売され、特典ディスクには湯浅が1999年に初めて監督したパイロットフィルム『なんちゃってバンパイヤン』が収録された。国内初配信としてアニメアプリ『アニメビーンズ』で2018年11月9日から配信された。キャラクターデザイン・作画監督は三原三千夫。副監督・カラーコーディネートは EunYoung Choi。美術・カラースクリプトは Aymeric Kevin。音楽・音響監督はオオルタイチ。エグゼクティブプロデューサーは石川光久。プロデューサーは寺川英和。
2013年モントリオール・ファンタジア国際映画祭で最優秀短編アニメーション賞。ファンタスティック・フェスト2013短編アニメーション部門優秀賞。第37回アヌシー国際アニメーション映画祭短編コンペティション部門ノミネート。2013年オタワ国際アニメーション映画祭短編コンペティションノミネート。第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員推薦作品。


