SMクラブは、サドやマゾのSM嬢がSMサービスを提供する性風俗店である。客として想定されているのは主に男性だ。責める側は一般に女王様と呼ばれるサディスト役。受ける側はM嬢、M女性、M子などと呼ばれるマゾヒスト役。イメージクラブやファッションヘルスが「ごっこの空気」を売るのに対し、こちらは緊縛と打撃と羞恥を商品にする。性的ロールプレイの店として、カウンセリングからプレイが始まる。
大多数の店では、プレイの前に客が店舗ないしSM嬢へ、希望するプレイと希望しないプレイ(NG)を伝える。口頭のカウンセリング、インタビュー、書面のいずれか、あるいはその組み合わせだ。プレイ時間は60分以上が基本で、準備・本番・後片付けを入れると数時間以上になることもある。いわゆる真性マゾヒストは、同意の形成過程を放棄してSM嬢に一任する。その場合、時間以外は嬢の裁量になる。
日本では一般に、風適法に定める無店舗型性風俗特殊営業の形態の一つに当たる。2005年の風適法改正で、プレイ用の設備と空間を店内に備えた店舗型性風俗特殊営業としてのSMクラブは、事実上消滅した。いま残っている商業の場は、出張や無店舗の枠で動く側が中心になる。福岡女子大学の河原梓水は、商業的なBDSMコミュニティであるSMクラブの興隆が、1970年以降にプライベートのBDSMコミュニティを衰退させる一因だったと指摘している。河原はまた、女王様と顧客の関係が、取引関係であると同時にBDSMの文脈における主従関係にもなりうると報告している。論考「現代日本のSMクラブにおける「暴力的」な実践」(『臨床哲学ニューズレター』3、2021年)は、完全奴隷プレイをその具体例として扱っている。
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