調教豪華客船 女子大生陵辱クルーズ 第四章 洋上の媚薬脱出ゲーム (4/6)
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第四章 洋上の媚薬脱出ゲーム
由依は何度テレビを消そうとしてもできずに、最後まで愛美の恥態を見ることになった。
愛美を犯していた中年男は自分の行為に満足すると、事後におしゃべりもなにもしないで、さっさとひとりで船室を出て行った。画面には、リビングにひとり残された愛美が鎖と手枷で吊られて、振り子のように揺れている姿が映っている。
「ひどい! あんな状態で放っておくなんて!」
由依の処女を奪った篠沢は、行為の後もいっしょに食事をして、いろいろとおしゃべりをしてきた。そのことで篠沢をいい人間だとするつもりはないが、愛美の相手よりはましに思える。
ふいにドアがノックされた。由依が答える前に開いて、船長が顔を見せた。
「由依に、愛美の様子をみてほしい。今から向こうの船室まで連れて行く」
「早く愛美のところへ連れて行って!」
船長の前へ駆け寄ると、右手をつかまれた。そのまま船長が廊下を歩きだす。
由依は船長のゆったりした歩き方に我慢できず、何度も急いでと叫び、走りだそうと暴れた。しかし船長に許されなかった。手を強く握られたまま、船長の歩調に合わせることを強要されてしまう。
船長に連れられて廊下を渡り、階段を上がって別のデッキに出た。並ぶドアのひとつが開けられると、由依は船長の脇を駆けぬけて、部屋の中に入ると同時に叫んだ。
「愛美!」
部屋の中央に吊られる愛美に取りつき、黒革の手枷の留め具をはずした。床に倒れそうになる裸身を、しっかりと受け止める。
愛美は顔を上げて、バレーボールの激戦後のようににっこりと笑った。
「シャワーを浴びたい」
「すぐに身体を洗ってあげる」
由依は親友をお姫様抱っこしようと両手をまわした。
「大丈夫よ。自分で歩ける」
立ち上がった愛美に、由依は肩を貸していっしょにバスルームへ入った。
由依はシャワーヘッドをつかむと、自分の着衣が濡れることを意に介さずに愛美に湯をかけて、スポンジで裸身を洗う。
「ありがとう」
愛美は心地よさに目を子犬のように細くして、親友の手に身体をあずけた。由依の手が胸に触れ、乳首をこすると、愛美は身体をピクンと震わせて声を洩らした。
「あん……はああ……」
親友の妖しい反応に気づいて、由依はついたずねてしまう。
「愛美、本当に大丈夫なの?」
「うん。大丈夫……ううん。大丈夫じゃないと思う」
あやふやな答えが、由依の不安を大きくかきたてる。
「じゃないって、どういうこと!?」
顔をこわばらせた由依の手からシャワーを浴びながら、愛美は自分の手で腹をなでまわした。
「たった二日間で、わたしは変わったの。普通の処女を奪われて、お尻の処女も奪われて、恐ろしいほど気持ちよくて、何度もイッちゃった。そんなの、どう考えてもまともじゃないよ」
「なにを言ってるの! まともじゃないのはこの狂った船なんだから。愛美はまともだよ。二人でこの船から脱出する方法を考えよう」
「でも、わたしは」
「必ず逃げるチャンスはある!」
「オーシャンヘヴン号の責任者の前で、よくも堂々とそんなことを話せるな」
バスルームの曇りガラスのドアが開いて、船長が顔を覗かせた。
由依は眉を吊り上げて、けわしい怒声を船長へぶつけた。
「入ってこないで!」
怒りの咆哮は、なんの力もなかった。船長はずかずかとバスルームに入ってくる。由依はとっさに手にしたシャワーヘッドを船長へ向けて、顔から湯を浴びせて立派な制服をびしょ濡れにしたが、やはり効果がなかった。
「これでも海の男なんでね。濡れるのは平気だ」
「出てけ!」
叫ぶ由依を無視して、船長が愛美に濡れた顔を向ける。
「愛美は本当に、私のオーシャンヘヴン号から下船したいのかな?」
問いかけとともに、船長の右手が伸びて愛美の乳房をつかんだ。
「あはあ!」
悲鳴ではない、と由依にもはっきりとわかった。まぎれもなく歓喜の声。
(愛美は悦んでる!)
愕然とする由依の目の前で、船長の手が濡れた腹を滑り下りて、太腿の狭間に潜りこむ。愛美はいやがる素振りを見せず、自分から恥丘を船長の指に押しつけていく。
閉じた肉唇が簡単に割れて、指先を内側へ誘いこんだ。
由依の耳にも音色が聞こえた。シャワーの水音を圧して、ぬめつく肉襞をかき混ぜるクチュクチュという音色。つづけてバスルームに甘いよがり声が何度も反響する。
「あくっ! あう、うっんんん……」
「愛美!」
「もう一度聞く。愛美は本当に、私のオーシャンヘヴン号から下船したいのか?」
「愛美……」
由依の親友の両腕が、船長のぐっしょりと湯を吸った制服にしがみついた。自分から乳首を濡れた布にこすりつけ、乳房を押しつけてひしゃげさせる。秘唇の中に指をさらに深く咥えて、新たな粘つく摩擦音をたてた。
愛美は船長の胸に顔を埋めて、湿った声を出した。
「由依、ごめんね。はああ、今は船長さんが欲しいの」
「どうして! 意味がわからない!」
「わたしにだって、わからないよ……」
「愛美、どうしてよ!?」
親友の返答はなかった。
答えたのは船長だった。
「由依にチャンスをやろう。逃げる機会を与えてやる」
「えっ!?」
由依の驚きの声も、愛美の高く甘く反響する嬌声にかき消された。
*
由依は船長に連れられてバスルームを出ると、別の部屋で濡れたワンピースを着替えさせられた。
上は白い女性用の船員服、つまりはセーラー服。作りが特殊で、バストのふくらみがやたらと目立ってしまう。
下は白いショートパンツ。裾がごく短く、尻の丸みが終わる位置までしかない。昔ならホットパンツと呼ばれるサイズだ。
こちらはセーラー服以上に下半身にぴっちりと密着する作りで、由依の鍛えた尻の形がはっきりと浮き出ている。女子バレーボール部のOGに見せられた昭和の試合の記録映像で躍動するブルマと変わらない。
セーラー服にもショートパンツにも下着のラインは浮かんでいない。ブラジャーとショーツを着けることは許されなかった。少しでも汗をかけば、肌の色が透けるに違いない。
靴下と靴も与えられなくて、裸足。由依の長い脚は裸足がよく似合う、と船長に言われた。
部屋にある姿見の鏡に映る自分が、アメリカの戦闘機などに描かれるセクシーなイラストから飛び出してきたように見えて、たまらなく恥ずかしい。
(どれほど大勢に裸の奥まで見られても、処女を奪われても、羞恥心は全然なくならないのね……)不本意なセクシーセーラースタイルでエレベーターに乗せられ、上昇し、扉の外へ押し出されると、潮の薫りのする風に髪を乱される。昨日の昼に響子先輩のヨットでオーシャンヘヴン号に運びこまれて以来、はじめて外の空気に触れた。
「ようこそ。オーシャンヘヴン号の最上階デッキへ」
船長の言葉通りの光景に、由依は目を見張った。
由依が立っているのは、海面にそびえる高層ビルという形容がふさわしい巨大客船の、いわば屋上だ。
頭上は気持ちよく晴れ渡った真夏の青空。
見まわせばどちらへ向いても、水平線までつづく海。実際には、最上階デッキから海面までは何十メートルもある。どこにも陸地の影も形も見えず、オーシャンヘヴン号は外洋に出ているのだとわかった。
由依の前に広がるデッキには、大きなプールがあり、まわりに多数の優雅なデッキチェアが並んでいる。
しかし水遊びをしている人も、椅子に寝そべる人もいない。最上階デッキに船客の姿はなかった。いるのは由依と船長、そして二人にビデオカメラのレンズを向けている数人の船員だけ。ゴージャスなリゾートの光景だけにものさびしい。
「船客たちは船内にある映画館に集まって、スクリーンに映る私と由依の姿を観賞している。これからはじまるゲームを、全員が楽しむためだ」
船長が船員から手渡されたタブレットを見せた。画面には、船客と女たちが客席に座っている映像が映る。正面には大きなスクリーンがあり、由依にはどこからどう見ても普通の、いや普通のシネコン以上に立派な映画館に思える。今まで以上に船の中の施設とは信じられない。
船内映画館のスクリーンには、今まさに最上階デッキで向かい合ってタブレットを覗きこむ由依と船長の姿が上映されている。由依が顔を上げて、ビデオカメラを向けている船員たちをにらむと、スクリーンの中で由依の正面顔がアップになり、観客たちをにらみつけた。
「今流行のライブビューイングというわけだ。ゲームのルールを説明しよう。当然のことだがオーシャンヘヴン号は多数の救命ボートを積んでいる。由依はここ最上階デッキからエレベーターを使わずに下のデッキへ向かい、救命ボートを探し出して乗れ。成功すれば、その救命ボートで陸地まで帰してやる。ボートには自動操縦がプログラムしてあるから、由依ひとりで戻れるぞ」
由依は即座に頭の中で、上陸した後の行動を考える。
見透かしたように船長がつづけた。
「陸にもどった由依に、われわれはなにもしない。警察に通報してもかまわないぞ。オーシャンヘヴン号の顧客には、警察は手を出せない。マスコミも同様。ネットも監視されて、オーシャンヘヴン号のことを書きこむのすら不可能だ。これもまた陳腐な話だが、そういう世界なんだよ」
「本当に約束を守ってくれるの」
「ゲームクリアには条件がある。志願した船客がゲームに参加して、由依を妨害する。救命ボートに到着する前に船客につかまって、ホットパンツを奪われたら、由依の負けだ。陸に帰ることはできない。ゲーム中はカメラを持った船員が由依を撮影するが、干渉はしない」
「そんな条件は」
「ゲーム開始だ」
船長が制服の懐からピストルを出して、銃口を空へ向けた。陸上競技のスタートの合図が、最上階デッキに鳴り響く。映画館にも銃声が生中継された。
「くっ」
由依は全力でダッシュした。目の前にあるエレベーターが使えないなら、広い最上階デッキのどこかに階段があるはず。後ろから足音が聞こえるので、首をまわすと、船員たちがカメラを向けて追ってくる。
(絶対に逃げてやる!)
はたして船長は約束を守るだろうか? 船客たちの傲慢な態度を見れば、どいつもこいつもプライドが高そうだ。そんな連中なら約束を守るはず。それが自分の希望まじりの想像だとしても、今は賭けるしかない。
目に入った階段の入口の壁に、緊急時の避難ルートを図示するプレートがあった。救命ボートは六階下のデッキにある。大学時代の毎日の練習量を思えば、たいした距離でもない。
二段飛ばしで階段を下りていくと、一階下のデッキの廊下で待ちかまえている人影が目に入った。男が両手を広げて迎え入れるポーズを作る。
「やあ、由依さん」
(あいつ!)
髭の生えた丸顔。タキシードに包んだぽっちゃり体形。名前は知らないが、間違いなくテレビの向こうで愛美の肛門の処女を奪い、さっさと姿を消したろくでもない男。
「愛美さんにつづいて、親友の由依さんのお尻の処女も、このぼく岸田がもらってあげるよ! さあ、おいで!」
ついさっき愛美をムチャクチャにしたのに、また自分の相手に志願したことにも、由依の怒りの炎が高々と噴き上がる。
「バレーボールを舐めるな!」
由依は目測で割り出した位置で、階段を蹴った。バレーコートで鍛えに鍛えたジャンプ力を発揮して、白いセーラー服とホットパンツが空中を翔ける。
「スパイク!」
由依のポジションはトスを上げるセッターだったが、試合ではスパイクもしなくてはならない。大学を卒業するまで、数えきれないほどボールを打ち、対戦相手のコートに叩きこんだ右の手のひらが、猛烈なスピードで振り下ろされる。事態を把握できなくて、今も朗らかに笑っている岸田の左側頭部へ向かって。
凄まじい打撃を受けた頭蓋骨の中で、岸田の脳が激しくシェイクされた。
太り気味のタキシード姿が右に傾き、ヘナヘナと床に崩れる。意識を失っていないが、声を出すことも手足を動かすこともできない。
脱力して横たわる岸田のまわりに、カメラを持つ船員が立っていることに気づいた。撮影するだけで、岸田に触れようともしない。ゲーム中に船員が干渉しないというルールは守られているようだ。
由依はカメラから目を離すと、再び廊下を走った。頭に入れた避難ルートは、先にある階段のほうが近道だ。
*
スクリーンに岸田の頭にスパイクが決まった瞬間に、映画館の客席がドドッ! と沸いた。由依の強烈なアタックに拍手喝采するとともに、岸田の情けない姿に爆笑が上がる。
「岸田さん、欲張るからだよ」
「さすがバレーボール選手。あれこそまさに殺人スパイクというやつですな」
「それはネタが古い」
一瞬の攻防に沸いた観客たちも、走る由依の後ろ姿がスクリーン全面にアップになると息を呑んで静まりかえる。
ホットパンツの白い尻が大きく躍動している。左右の尻たぶが互い違いに踊りつづけて、今にも密着する白い布を突き破りそうだ。
レッグホールから伸びる二本の太腿に浮き上がる筋肉の力強さも、スクリーンに投影されると不思議に艶めかしい。
全力疾走する由依の身体はすでに汗をかき、セーラー服もホットパンツも濡れて、胸も腹も尻も透けはじめていた。
男たちだけでなく女の観客たちも、由依の疾走する姿に魅せられて、大画面に没入していた。
*
次の階段の前には、由依がまったく知らない男が立っていた。
タキシードではなく、夏のリゾートらしい極彩色のアロハシャツとバミューダパンツがよく目立つ。
年齢は二十代後半か。後頭部でひとつにまとめた長い髪も、日焼けしたにやけ顔も、絵に描いたようにチャラチャラしている。長身は痩せてはいないが、鍛えているというふうでもなかった。
「由依ちゃーん。さっきのスパイクをタブレットで見たよン。すごかったねええ」
声までチャラチャラしている。由依の一番いけ好かないタイプの男が、警察をも動かす力を持っていると思うと、ますます憤怒の燃料が増量される。
由依はチャラ男へまっすぐに突っこんでいき、両膝を曲げた。
またジャンプしてスパイクだとチャラ男が予想して、顔の前に両手を上げて防御態勢になる。
由依は身体を低くしたまま男の懐に入り、両手をひとつにまとめて勢いよくはね上げた。
「レシーブ!」
ひとつの塊になった両手が、アロハシャツの鳩尾にめりこむ。
「ぐぼ!」
チャラ男はうめいて膝をついた。大きく開いた口から胃の内容物を噴水のように吐き飛ばす。
「ぐふぇえええええ……」
自分がもどした昼食の上に、顔面から倒れた。
そのときには、由依は身体を伸ばして、階段を駆け下りていた。映画館では自分のバレーボール技がまたも大受けして、歓声を浴びているとは考えもしないで、ひたすら階段を走り抜ける。
下のデッキに来ると、二度と見たくもないスポーツ刈りが待ち受けていた。精悍でさわやかな笑顔に、わざとらしいほど白い歯が光っている。
今回はおしゃれなブランド物のスポーツシャツとスポーツパンツを着ているので、マッチョな体形がよく目立つ。
由依は口にしたくない名前をつい発していた。
「篠沢っ!」
これまでの二人の船客と違い、篠沢は自分から突撃してきた。アメリカンフットボールのタックルのように姿勢を低くして、肩から突っこんでくる。
「ああっ!」
由依は思わず怯んで勢いを落としてしまった。そこを狙って、篠沢の両腕が伸び、がっちりと抱きしめられる。
「ほーら、つかまえた!」
「この! 離せ! 離せってば!」
渾身の力をこめても、由依は腕を動かすこともできない。篠沢の腕力は強烈で、巨大な万力に挟まれたようだ。
目の前で、日焼けした顔がギラギラと白い歯を輝かせる。
「自慢だけど、俺の剛腕を女の力でほどくのは無理だよ。由依ちゃんがすごいバレーボール選手でもね。さあ、ホットパンツを脱がせてあげるよ」
由依を抱きしめる腕がずり下がり、ホットパンツの尻をなでまわして、左右のレッグホールに指先を強引にねじ入れてきた。指の圧力だけで、布のどこかが破れた音が聞こえる。
「ホットパンツを奪いやすいように、かなり弱く作ってあるそうだよ。さすが船長の細かい気配りがグキャッ!」
篠沢が白目を剥き、顔の筋肉をきつく引きつらせた。
由依の右膝が、篠沢のスポーツパンツの股間を蹴り上げている。
二人をかこんで撮影している船員たちがいっせいに共感の声を洩らした。
「うわあ」
「ひやあ」
「ひええ……」
由依が両手でスポーツシャツを盛り上げる大胸筋を押すと、悶絶中の篠沢がバランスを崩したマネキンのように転倒する。
「このっ!」
仰向けに横たわる篠沢の脇腹に、由依は踵を落とした。
「ゲキュ……」
「このっ! このこのこのっ!」
連続して男の下腹部を踏みつける。篠沢は身体をビクンビクンと動かすだけで、声を出さなくなった。代わりに船員たちが悲鳴を上げながら撮影をつづけている。
「今のバレーボールは、ボールを蹴ってもいいルールなんだっ! 覚えとけ!」
由依は気絶した岸田へ向かって言い捨てると、さらに階段を走り下りていく。船員たちが心なしか内股で主演女優を追う。
「えっ!?」
階段の途中でふいに異変を感じて、由依は足がもつれ、身体が前へ傾いた。とっさに持ち前の反射神経を発揮して、手すりにしがみつき、斜めになった身体を支えた。
背後へ向けて突き出す姿勢になったホットパンツの尻が、無意識にブルッと揺れる。
「あああ」
手すりを支えにして身体を斜めにした不自然な姿勢のまま、由依は動けなかった。下半身にチリチリと火がついたように感じる。
(な、なんなの、これ!?)
ふりかえると、いくつものカメラがホットパンツの尻に焦点を合わせていた。
「くうっ」
あわてて上体を上げてまっすぐに立った由依のまわりを、カメラ船員たちが包囲する。由依の動きをじゃまするほどではないが、今までよりも撮影に熱意がこもったようだ。疑問が湧き起こり、つい怒鳴った。
「どういうつもりなの!」
船員たちは無言のままでカメラを向けつづける。代わりに階段に船長の声が響いた。
『ここからがゲームの本番ということだ。ようやく効いてきたな』
船員のひとりが由依へ向けて差し出したタブレットに、船長の顔がアップで映り、巨大客船の指導者にふさわしい頼りがいのある笑みを見せた。
しかし由依にとっては、獲物を睥睨する傲慢な顔つきに他ならなかった。
『由依の今日の食事には、薬品が混ぜてあった。アナルセックス用の尻を疼かせる薬だ。一般には出まわっていない特製品だよ。心配はいらない。プレイヤーに多少のハンディが負わせられただけで、最初に言ったルールも約束も変わっていない』
「卑怯よ!」
由依は頬をきつくこわばらせ、無意識に両手を背後にまわして、自分の尻に触れていた。薄いホットパンツの布を通して伝わる尻たぶの体温が、心なしか上昇した気がしてならない。
『なかなかセクシーなポーズだ。由依も観客の目を楽しませるやり方を心得ているな』
指摘されて、あわてて両手を身体の前にもどした。背後に顔を向けると、やはり船員のカメラがあり、由依の一連の動作が撮影されている。
「違う! これは」
『薬の効果はどんどん強くなっていくぞ』
由依は感じた。船長のなめらかな低音の声が身体に巻きついて、ホットパンツの表面から尻や股間の肌に染みこんでくる。凶悪な言葉通りに、疼きがじわじわと大きくなっていく。ひとりでに尻がピクンピクンと不規則なリズムを刻んだ。
『そのうち、尻が疼いて、まともに立っていることもできなくなるかもな』
船長の言葉に引きずられて、階段に立つ両脚がわなないた。
「黙れ!」
『急げ』
タブレットの画面から船長の顔が消えた。
「ちくしょうっ!」
由依は吐き捨てて、大きく跳躍した。残りの段をすべて跳び越して、下のデッキの床に着地する。裸足に衝撃が伝わり、両脚がビリビリと振動した。
「あうっ、あああ……」
脚の振動が尻に到達して、より大きな甘い疼きが発生させる。下半身から筋肉の力が抜けてへたりこみそうになるのを、意志の力で押しとどめた。
(負けるものか!)
顔を上げて周囲を見まわすと、やはり船員たちが円陣を組んで、カメラの集中砲火を向けてくる。たった今の動けなくなった姿も逐一撮影されて、船客たちに見物されていると思うと、身体の中で羞恥と怒りが暴れた。
カメラへ向けて、普段は口にしない汚い言葉をぶつけてやる。
「くそったれ! くたばれ、蛆虫ども!」
疼きを抱えながら、由依はまた走りだした。素足が廊下の床を踏むたびに、わずかな衝撃が伝わり、股間や尻の奥で何倍もの疼きへ増幅される。
「あう、んんっ、くふ、はあっ」
呼吸が荒くなり、様々な音色となってあふれた。聞いているだけで自分自身の弱さを突きつけられ、情けなくなってしまう。
*
篠沢の後は、船客にぶつからなかった。いっしょに進む船員のひとりから、残りの参加者が篠沢の惨状を見て、ゲームから下りてしまった、と教えられた。
(情けないやつらね)
と、カメラに向かって言ってやろうとも思ったが、挑発して出てこられたら面倒だと考えて無言で階段を下った。
そもそも実際には船客を挑発する余裕など、由依にはなかった。船長が言った通り、疼きが大きくなり、神経がほとんど股間に集中する。
無意識に脚が内股になり、足を前に出すたびに密着した太腿をこすり合わせていた。太腿の皮膚と筋肉がこすれると、恥丘の内側でも敏感な部分がこすり合うように感じて、わずかな疼きが癒される気がした。
しかし、あまりにわずかだ。癒されたと感じた直後により大きな疼きに呑まれて、居ても立ってもいられないほど切なくなる。
一昨日までの自慰しか知らない身体だったなら、耐えられたかもしれない。酷い状況とはいえ処女を失い、女そのものを男の指やペニスで埋められる快感を知った肉体は、飢えた野獣のごとく欲望を訴えてくる。
足を動かすたびにねっとりと肌に貼りつくホットパンツが気になって、下半身に目を落とすと、股間の白い布に透明な染みがべっとりと広がっていた。下着を穿いていないために、恥丘全体の肌の色が透けて見えて、中心に刻まれた縦の溝までくっきりと浮き出ている。
(あああ、こんな恥ずかしすぎる姿を撮影されていたなんて!)頭の中に、いやらしい体液で濡れたホットパンツが、映画館の大きなスクリーンにクローズアップされている光景が浮かび、恥辱に身悶えしそうになる。それでなくともパンパンに張りつめたホットパンツの尻がくねり、撮影されているのだ。
(今は恥をかいても、船から脱出さえできれば……)廊下を曲がると、瞳に青空が映った。巨大な客船に慣れない由依の目には、ビルの廊下からベランダを見つけた印象。頭に入れたオーシャンヘヴン号の構造図によれば、他のデッキと違い、このデッキはビルのような船体の外側を廊下がかこんでいて、左右の側面にいくつもの救命ボートがフックに吊るされている。
由依の瞳にも、陽光に輝く純白の救命ボートがたのもしく映った。
「あった!」
よろこびのあまり、大きく足を出してしまった。勢いをつけた足が床を踏むと、ズンッと下腹部と尻が揺さぶられて、切ない疼きが吹きすさぶ。
「はううっ! あんんん……」
腰が痺れて、足を動かせなくなる。立ち止まって廊下の壁にもたれかかり、肩を大きく上下させた。
(妨害する男はいないのだから、ああ、ゆっくり進めばいい……)ゆっくりと足を前に差し出す。
ゆっくり。一歩。一歩。慎重に、着実に。これ以上、疼きを刺激して大きくしないように。
あと数歩進めば、伸ばした手が救命ボートに届く。解放はすぐそこまで近づいた。
「これで自由よ!」
パンッ! と軽快な打撃音が鳴り響いた。
尻に熱い痛みが走り、即座に熱い快感になる。
「ああっひいいいっ!」
全身から力が抜け、ホットパンツの尻がストンと落ちて、濡れた股間がぺったりとデッキの床についた。救命ボートを目の前にして、その場にへたりこみ、動けなくなってしまう。
「あああ……」
突然のショックに呆然とする由依の尻が、またパンッ! と軽快な音をたてた。
「きゃひいいっ!」
ホットパンツの尻が、炎を押しつけられたように高く跳ね上がる。空中でぷるぷると震える尻の中で、痛みから変化した快感が苛烈に渦巻く。
「はあああ……おんんん……」
喘ぎながら背後へ顔を向けると、尻のすぐ後ろに船員のひとりが片膝をついていた。顔の前に左手で持ったカメラを構え、右手の指を開いて頭上に掲げたポーズ。今にも右手をホットパンツへ向かって振り下ろしそうだ。他の船員は離れた位置に立って、カメラを向けてくる。
「ルール違反よ! 船員は手を出さない決まりなのに」
「ルールは破っていない。わしは船員じゃあないからな」
顔の前からカメラを投げ捨てると、他の船員に比べて皺が目立つ顔が現れる。おそらく五十代だろう。オールバックになでつけた髪にも白髪が多い。
「わしは杉森という船客だ。船員の制服を借りて、まぎれこんでいた」
由依はまったく気づいていなかった。船員は手出しをしないという言葉に安心して、白い制服を着た者を警戒しなかった。
「卑怯すぎる!」
「老獪だと言ってくれ。わしはこのゲームに何度も参加している。攻略方法はよくわかっておるよ。ゲームの参加者が下りた、と教えたのもわしだ。情報操作戦略だな」
「こんなことで負けない!」
由依は膝をつき、立ち上がって前へ進もうとする。そこを狙って、杉森の手のひらが叩きつけられる。
「きゃおおうっ!」
尻を打たれた勢いで、由依の身体が前へ倒れ、胸と腹を床にぶつけた。
「あ、あくううう……」
床でのたうつ由依の両足首を杉森に握られて、ズルズルと後ろへ引きずられる。すぐ目の前にあった救命ボートからどんどん離されていった。抵抗しようにも、床には指をひっかける場所がない。
「あああ、だめっ! だめええっ!」
ボートへ向かって両手を伸ばすが、届くはずがない。実際にはほんの数メートル先にある自由が、由依にははるか彼方へ遠ざかったように映る。
「さあ、由依の尻をわしに捧げろ」
由依の腰に杉森の腕がまわって、年齢に似合わない剛力で下半身を抱え起こされた。胸や顎が床についたまま、膝を立てて尻を掲げる姿勢を強制されてしまう。杉森の言葉通り、男に尻を差し出すポーズ。
屈辱の体勢から逃れようと胴体をくねらせ、手足をばたつかせるが、腰をつかむ強靭な片腕から逃れられない。杉森はどういう鍛錬をしているのか、若いマッチョの篠沢よりも力が強い。
「由依が飲まされた媚薬の特性もよく知っている。女の前の穴よりも、尻のほうに大きな効果があるものだ。だから、お尻ペンペンがよく効く」
杉森が左手で由依の腰をつかんだまま、右手でホットパンツの尻を叩いた。
「くひいいいっ!」
由依は悲鳴を上げて、掲げた尻を上下左右にうねうねとくねらせる。
女の尻を叩き慣れているのか、杉森の平手打ちは絶妙な強さ。猛烈に痛いわけではなく、由依が現役バレーボール選手だったときに気合いを入れるために自分で頬や太腿をピシャッとやるときに似ている。
しかし今は媚薬に侵されて、由依の尻はとても敏感で貪欲になっていた。軽い打撃も尻の中で大きく反響して、疼きを癒す悦びの波動となって広がる。
(気持ちいい!)
由依は尻を躍らせながら、つい胸の内で言葉にしてしまう。そしてすぐに声に出して強く否定する。
「違う!」
「なにが違うと言うのだ。尻を叩かれて、気持ちいいのだろう。そらっ!」
また尻が手のひらで叩かれ、ホットパンツに包まれた肉が高らかに鳴る。
「はひいいっ!」
大臀筋がキュッと収縮してこわばり、ホットパンツの表面に皺が走る。尻から脳まで快感の槍で貫かれた。
「あおんっ! うっんんん……」
熱い吐息とともに、大臀筋が蕩けるように弛緩して、ホットパンツがわななく。
尻を叩かれるたびに華々しい肉悦の爆発が生み出されるが、すぐにより媚薬の疼きが大きくなって襲ってくる。そこへ次の打撃が飛来して、新たな愉楽を盛大に爆ぜさせる。
「はっおおう! やめてっ! ああああ!」
「由依の身体が望んでいることだ。わしの手が痛いなどは気にせずに、好きなだけお仕置きを受けるがいい」
平手が雨あられと降りそそぎ、ドラムの連打さながらに尻肉がリズムを刻む。自身の肉体が奏でる音楽に煽られて、歓喜の大波が何度も何度も押し寄せてくる。
「ああっ! ひおう! くひい! はっあああああ!」
「とどめだ!」
ひときわ強い一打が、ホットパンツに食い入った。杉森が計算していたように、その一撃で由依の肉体は限界を突破する。
「嘘っ! こんなことって、嘘嘘うそうそうそうそあああっ!」
ただひたすら尻を叩かれるだけで、絶頂を迎えるはずがない。由依の意識は否定した。しかし喉が勝手に振動して屈服の言葉を紡いでしまう。
「イクッ!!」
由依の身体が陸に上げられた魚のように跳ねた。上下する視界に、自分を見つめるいくつものカメラが入る。
(撮られてる! ああ、わたしがお尻を叩かれてイク姿を撮られて、大勢に見られてる!)自分の恥態の極みを撮影されて、大きなスクリーンに上映されて、多数の男女に観賞されている光景が脳裏に浮かぶと、さらに羞恥が爆発的に膨れ上がり、いっそう絶頂の快感が鮮烈になる。どうしてそうなるのか、まったく理解できないけれど、勝手に大きな声が出てしまう。
「イクッ! あっおおおおおううう、イッちゃううううッッ!!」
船内映画館の最新音響システムから由依の叫びが立体的に響き渡ると同時に、ホットパンツの股間部分に浮き出る肉唇の中心から、透明な体液がどっと滴り落ちる。
床についた両膝の間に、恥ずかしい水たまりができる様子が、克明に撮影された。
「ああああ、イッてるうぅぅ…………」
処女を奪われたときに膣の奥で感じた凄絶な絶頂に比べれば、尻叩きで得たのは小規模なもの。それでも絶頂には変わりない。官能の熱でグツグツと煮られる頭の中で、由依は困惑の言葉を渦巻かせた。
(ど、どうして、お尻を叩かれているだけなのに、こんな、こんなあ……)「言っただろう。わしはこのゲームに何度も参加した。この媚薬にはスパンキングがじつに効果的だ」
スパンキングという言葉を由依ははじめて聞いたが、尻を叩くことだと身体が理解した。
「映画館では船客たちが由依の尻打ち絶頂を見物して、拍手喝采して盛り上がっているところだろうな」
杉森の手がホットパンツにかかった。由依はハッとして逃げようとするが、まだ手足が脱力していて、のろのろとしか動かせない。
「ゲームは由依の負けだ」
ビリビリと音が鳴り、薄い白布が引き裂かれた。下半身からホットパンツが剥ぎ取られ、遠くへ投げ捨てられる。
由依は上半身に白いセーラー服を着て、下半身は一糸まとわぬ姿にされてしまった。現れた尻は、連続平手打ちを受けて、赤く染まっている。エクスタシーの汗に濡れて、熟れた果実のよう。
「魅力的な若い尻だな。オーシャンヘヴン号の女たちのなかでも極上品だろう。さあ、立て」
返事を待たずに、由依の身体が抱え上げられる。そのまま運ばれて、救命ボートがフックで固定された渡り廊下の手すりの前に立たされた。由依の背後にぴったりと杉森が立ち、腹に両腕をまわされている。舳先ではないが、格好だけなら『タイタニック』の名場面を再現している年齢差カップルだ。ただし女のほうが下半身を露出して、男がズボンの股間を裸の女尻に押しつけているが。
由依が立たされたのは、ちょうど二艘の救命ボートの舳先と船尾の間の位置。由依が両手を伸ばせば、二艘に同時に触れられる。
「今からボートに乗りこもうとしても無駄だ。由依が負けた時点で、ボートを海に下ろす鎖はロックされた」
背後からそそがれる声の通り、由依が熱望していた自由への道が目の前にありながら、すべてが海の藻屑と化した。
手すりの向こう側、救命ボートの間からは、おだやかな青い海面が水平線まで広がっている。陸地や他の船舶はどこにも見当たらない。自由を象徴するように美しく広大な大海原が、由依には自分を日常から隔絶する巨大な檻に見えた。
「ひゃう!」
いきなり尻に異物を感じて、悲鳴を海へ向かって飛ばした。
直接は目視できないが、感触だけで尻の谷間に指を突っこまれたとわかった。反射的に目の前の手すりを両手で強く握って、懸命に身体を支える。同時に、意識の外に出ていた媚薬の疼きが猛々しく牙を剥いてくる。一度軽い絶頂を迎えたために、肉体の欲望は何倍にも苛烈になった。
「あっ! んんっ、くあああ……」
由依は腹を杉森の左腕で押さえられて逃れられない。尻たぶの間に男の指を挟んだまま、大きく尻をくねらせることしかできなくて、かえって指の存在感を増してしまう。
「やっ、あ、んんう……」
「たまらないだろう。一度果てたくらいでは、その媚薬の効果は解消されない。逆に効き目が強くなって、男のモノなしではおかしくなってしまうぞ。さあ、由依の尻の穴を犯してください、と頼むのだ」
(お尻を!)
由依の脳裏に、テレビに映っていた愛美の恐ろしい姿が再現される。はじめて遭遇する見知らぬ男に両手を拘束され、鎖で吊るされた凄惨な状態で、尻にペニスをねじこまれている親友の姿。
なにより恐ろしいのは、愛美が尻の奥に射精されて絶頂を迎えたこと。信じたくなかったが、愛美が悦んで尻を振っているとしか見えなかったこと。由依が持っていた性の常識を完膚なきまでに破壊される映像が、脳内で何度も何度もループしつづける。
(わたしも、愛美みたいになるなんて!)
「絶対にいやっ!」
「強情な女だ。こうされたら、どうだ」
いかにも慣れた動きで、杉森の人差し指が谷間の奥へ進み、細密な皺の中心をつついた。
「あうっ!」
容赦なく指先がすぼまりを押し開き、中へ押し入ってくる。
「ひいいっ!」
下半身に痛みが走った。体内から排泄物を外へ出すのが専門の器官に、ありえない異物を無理やり押しこまれたのだ。痛いに決まっている。この痛みこそ、自分が正常な証明だ、と安堵する。
だが、すぐに安堵は蝕まれた。人差し指が第一関節から第二関節と侵入してくると、痛みが反転して快感に変貌した。
「おあっ! ひっ、ひう!」
人差し指が付け根まで尻の中に埋まり、握った他の指が肛門に押しつけられる。
はじめて異物を入れられた肛門と腸の粘膜が、必死に指を排出しようと収縮した。その反射的な動きがより強く指を締めつけて、いっそう大きな悦楽を引き出してしまい、由依を懊悩させた。
「由依はどんな気分だ。尻の穴でわしの指を呑みこむのは」
口を開けばあさましい言葉を出してしまう気がして、由依は左右に首を振りたくった。自分では否定の意思表示のつもりだが、まわりから撮影するカメラの向こうのスクリーンを見ている男たちには、由依がよがり悶えているとしか映らない。
「もっとすごいことをしてやろう」
尻の中で指の第一関節が上に曲がった。それだけで由依は尻全体が上へ吊り上げられたように感じる。両足がつま先立ちになり、プルプルと震えた。
「お尻が、お尻がああっ!」
「もっと感じて歓喜の叫びを上げろ」
人差し指の先端が曲がり、右にねじられる。由依は水を搾るタオルのように腸がよじれたと感じて、どうしようもなく腰を大きく右へひねり、尻を回転させる。すぐに指が左へまわり、後を追って尻が逆回転した。
「あおおおお……」
たった指一本に操作されて、由依は連続して尻を上下に弾ませ、右に左にまわす。陵辱者の完全な操り人形と化した由依の体内で、快楽の嵐が大きく荒れ狂った。
「こんなことって! こんなことって! 許さない! 絶対に許さないっ!」
快楽を拒む言葉を叫んだ直後に、杉森が高笑いして右手を強く上げた。衝撃で由依の尻が勢いよく跳ね上がる。
「はひいいいっ!」
今度こそ本当に由依の両足が床から離れた。腹にまわった杉森の左腕で体重を支えられて、左右の伸びきったつま先がバタバタと空を掻く。両手の指に手すりを握りつぶすばかりの力をこめて、由依は水平線へ向けて熱い声を放った。
「ひいいいいっ、イクッ!!」
生まれてはじめて味わう肛門内の絶頂で、浮き上がった尻が小刻みに痙攣する。
「イッちゃうう! いやあ、お尻でイクうううッッ!!」
「ははっ!」
笑う杉森の指が、尻からサッとすばやく抜かれた。
「ひいっ、おおおおううう!」
指で処女を奪われたばかりの尻の蕾が、名残を惜しむようにヒクヒクと開閉をくりかえす。触れられていない秘唇の中からも透明な体液があふれて、左右の内腿を伝って流れ落ち、浮いた親指の先からポタポタと滴った。
「ふああぁぁぁ……んんん…………!」
「さあ、言え。由依の尻を男根で貫いてください、腸の中に射精してください、とお願いしたまえ」
(いやっ)
由依の頭の奥で拒絶の言葉が瞬く。その言葉は小さく、か細い。全身に充満する喜悦の大渦に呑みこまれて、かき消されてしまう。
口を開いても、喉を上ってくるのは、熱した喘ぎだけになる。
「あ、あああ……うん、んふんん……」
「懇願の言葉も出せないほど、感じているのか。ならば」
杉森がすばやく船員用のズボンを脱ぎ捨てて、裸の下半身をあらわにした。大きな年齢差のある男女が二人して、上は純白の着衣のまま下を露出するおそろいのスタイルになる。
年齢に似合わないみっしりとした筋肉が盛り上がる両脚の中心からは、男のシンボルがほぼ垂直に勃起した。上半身に残したままの船員の白い制服に、力強い亀頭が触れそうだ。
「望み通りに、由依の尻をわしの槍でえぐってやろう」
由依の意識が反応する前に、尻に指より太い肉塊が突入してきた。果てたばかりの肛門も腸壁も由依の意志を無視して、喜々として新たな侵入物を受け入れる。
背後で、杉森が傲然と勝鬨を上げた。
「喜べ。わしの男根が、由依の尻に入ったぞ!」
「あっ、あおおおお」
由依は頭をのけぞらせて、夏の蒼空へ向かって甲高い声を放ち、途中で喉をつまらせた。
「おおぉぉぉ………………」
人体の摂理を無視して自分の中に入ってきた亀頭は、体感では人差し指の何倍も太い。ドリルが岩盤を掘削するように、男の凶器が尻の内側の肉を削って進んでくるイメージが、脳内を埋めつくす。
凄惨なイメージを抱きながら、甘美な愉悦が尻からあふれかえる。全身が焼けつき、高熱で融解するような、由依が知る言葉では表現不可能な感覚。
ただひとつの言葉が意識に煌めいた。
(気持ちいい!)
媚薬に侵された疼きが、男そのモノを埋めこまれて、はじめて完全に癒やされた。頭のどこかの片隅で、そんなものは気のせい、たぶらかされるな、と声がしていたが、すぐに愉楽の大波に沈んで消滅した。
つまっていた喉がゆるんで、また熱い喘ぎ声があふれる。
「…………あはあああ……くふううう……うんんん」
杉森は動かなかった。両手で由依の尻をつかみ、肛門にペニスを根もとまで埋めたままじっと立っている。今まで由依の言葉を無視して、好きなように尻を責めていたのに、急に彫像と化したようだ。
(どうして)
と、由依の中に疑問が浮かぶ。今でも癒やされ、満たされているが、肉棒が動けば、もっと大きな快楽を得られるのは確実だ。そう想像した途端に、一度は満たされたと感じたものが物足りなくなってしまう。尻が子犬のようにキュウキュウと鳴いて、もっと気持ちよくなりたい、もっと悦びを欲しい、と訴えてくる。そもそも、そのために杉森は由依を貫いているはずなのに。
こんなあさましい思いを、自分を犯す男に言えるわけがない。散々拒否したものを、自分から求めるなど、できるはずがない。
(どうして)
「今、由依がなにを考えているのか、手に取るようにわかるぞ。わしの槍を動かして、尻をえぐって欲しいのだろう」
由依は背後へ顔を向けた。杉森の年季の入った強欲な顔に、欲望にぎらつく笑みが浮かんでいる。女を焦らして苦しませることで、おのれの淫欲を満たす表情だ。
「いい顔だ。気づいているか。今の由依はおそろしくうらめしい顔つきで、わしをにらんでいるぞ」
顔だけでなく半裸の全身から放出される憔悴を、杉森が喜々として咀嚼し、美味として飲み下している。
「もっと快楽が欲しければ、自分から尻を振りたくれ」
「そ、そんな!」
「できないか。きっかけをくれてやる」
杉森の右手が、ピシャリと尻たぶを叩いた。新たなスパンキングを喰らって、由依は絶叫する。
「きゃひいいいいっ!」
同時に尻が跳ね上がった。中に潜りこんだ肉棒の角度が変わり、新たな刺激が新たな快感を爆ぜさせる。
「はっああああ!」
一度尻を振ると、肉体はさらに貪欲になった。もっと欲しい、と尻が叫ぶ。もっと感じたい、と全身が吠える。
肉体の訴えに理性が完全に押しつぶされて、由依は尻の動きを止められなくなった。握った手すりを支えにして、自分から尻を躍動させている。
(動いてる! 動かしてる! わたしが自分でお尻を振ってる!)そう確信すると、由依は悲鳴を上げた。
「だめ! あああ、だめっ! あおおおう、だめだめだめえっ!」
何度もだめと声に出しながら、由依は手すりをつかむ両腕に力をこめて、両脚を交互に屈伸させて、尻を波のようにうねらせつづける。尻が踊るたびに、肉棒を呑んだ肛門が引きつれ、腸粘膜がよじられ、突かれ、えぐられ、続々と鮮烈な快楽と歓喜があふれる。
(わたしが、あああ、わたしが自分で尻を振ってる!)意識の中の叫びは、すぐに現実の声となって口から飛び出した。
「いやらしい! いやらしすぎる! わたしはいやらしすぎるううっ!」
自分の行為を認めると、さらに快感は上昇する。汗に濡れたセーラー服が胴体に貼りついて、乳首の桜色をくっきりと透かした。
左右の瞳から随喜の涙を流して、由依は親友に許しを請う。
「ごめんね、愛美! はっああ、お尻の穴はこんなに気持ちいいんだもの! あひいっ、 おかしくなってもしょうがないよう!」
「その通りだ。由依もわかってきたな」
力強い言葉とは裏腹に、杉森はあいかわらず直立不動のまま。自分から動こうとしない。
杉森の雄姿をながめる船内映画館の観客たちからは、感心とくすくす笑いが混ざった反応が起きていた。
「杉森先生、またやってる」
「じいさん、自分からは動かないで、女に踊らせるのが、本当に好きなんだな」
「女を調教するには、いいやり方かもね。大暴れして三人も倒した由依ちゃんが、あんなに尻を振って泣き叫んでるよ」
スクリーンには、アップになった由依の美貌が輝いている。汗と涙、さらによがり声を上げる口から涎が垂れて、さえぎるもののない洋上の太陽の光をキラキラと反射した。
「愛美! 愛美い! わたしぃ! わたしも、あおおお、わたしもうっ!」
「よし、わしの精液を飲ませてやる。射精を浴びてイケっ!」
はじめて男根が動いた。それが最初で最後のひと突きになった。
男根の勢いで由依の身体が浮き上がり、セーラー服の胸が手すりに押しつけられる。乳房に硬い横棒がめりこみ、左右の乳球が上下に分断される。白い布に浮いた桃色の勃起乳首が押し倒され、新たな快楽の火花を咲かせた。
「あひいいいいっ!」
爆発が、尻の奥で起きた。熱い猛毒を尻から腹へどくどくと注入されるイメージが、全身に湧き起こる。男の猛毒に冒されて、自分も、愛美も、別のものに造り変えられてしまう。異常な妄想の暴走が、由依を絶頂へと飛翔させた。
「イクッ!」
絶望と喜悦が混濁した叫びが、広い海と空の彼方へ飛んでいく。まぶしい太陽。抜けるような蒼天。どこまでも青い大海原。普通ならながめているだけで気分爽快になる環境の中で、見知らぬ男に捕まり、肛門を貫かれて、精液を腹にぶちまけられる。
あまりにアンバランスな世界が、由依のエクスタシーをより高く、より深く、加速させる。
「愛美いい! わたしもお尻でイッちゃうう! これで同じよおおおっ! イックうううううッッ!!」
痙攣する身体を、女優の見せ場とばかりにいくつものカメラがかこんで撮影していた。弛緩して蕩けきった美貌がスクリーンに大写しになると、最大の歓声が沸き上がり、由依の名をスターのように呼ぶ。
杉森が背後へ下がると、肛門をめくってペニスが抜かれた。支えを失った由依の身体が床に崩れる。
顔面をぶつける直前に、力強い腕が抱き止めて、ふわりと持ち上げられた。
「はあああ……」
うめきながら顔を動かすと、焦点の合わない目の前に船長の顔がある。ぼんやりしているが、なんとなく優しげに見えた。
「尻の処女を卒業するのは、気持ちよかったか」
そう言われて、由依は自分が船長にお姫様抱っこをされていると気づいた。きれいにクリーニングされたばかりの制服に、汗だけでなく、尻から滴る精液までべっとりとついてしまう。
「さあ、舞台挨拶に行くぞ」
「……え、ええ?」
絶頂の余韻に惑溺する由依でなくても、言葉の意味を理解するのは無理だった。
*
船長に抱き上げられて、由依はステージの袖に運ばれた。
大学の体育館にあるステージには何度も上がったことがあるが、規模の大きさがまったく違う。タブレットの映像でも豪華な映画館だと見えたが、実際に袖に立ってステージを見ると、スクリーンのサイズも、その前のステージの広さも、一流芸能人が立つにふさわしい場所だと実感する。
「こんな場所に、こんな情けない格好で出るなんてできない」
「今の由依こそ、オーシャンヘヴン号のステージに立つのにふさわしい。私の船はそういう船だ」
二日前なら、由依は抵抗して暴れていただろう。昨日でも、ゲームがはじまる前でも、暴れた。しかし今の由依には船長に抗う意志を生み出すことができない。大学二年の県大会で、確実に勝てるとにらんでいたチームにストレート負けしたときの無力感に似ている気がする。
船長が堂々たる歩調で袖からステージへ進むにまかせて、ただ運搬された。
ステージに出た途端、スポットライトで照らされて全身の汗が妖しく輝く。同時に拍手と歓声がどっと押し寄せてきて、剥き出しの尻や太腿の肌がビリビリと震動した。
船長が船客たちの大騒ぎに対抗して、マイクを使わずに、美声を映画館全体に届かせた。
「由依は三人の参加者を撃破しました。このゲーム史上、二位の記録です。なお篠沢様の男性部分に支障はありませんのでご安心を」
オーウというわざとらしい苦痛のうめきと笑い声が同時に上がった。ざわめきのなかで、由依はステージの床に下ろされる。今までは身体を横向きにして抱えられていたので、観客から見られていたのは裸の尻や脚の側面だけ。
(正面を向いたら、恥ずかしい液体で濡れた女性器を見られてしまう)そう思うと、脚から力が抜ける。
「ああっ!」
倒れかかる由依の身体を、背後から伸びた四本の手が支えた。
「しっかりして、由依ちゃん」
「由依、おつかれさま」
由依の右側に夏目響子。左側に佐野愛美。身体の両側から先輩と親友に腕を組まれて、由依はどうにか立つことができた。とはいえ両腕を取られているので、股間を隠すこともできない。愛液でべっとりと濡れている下半身に、客席からそそがれる多数の視線を痛いほど感じて、無意識に腰を動かしてしまう。
女の秘部をさらす由依とは対照的に、響子は外国のスターがレッドカーペットでカメラに見せびらかすような、真紅のドレスで着飾っている。
赤い裾でくるぶしまで隠すロングドレスだが、衿ぐりは大きく開いて、豊かな胸の乳輪がギリギリ隠れるほど。さらに胴体の前面が薄いメッシュになっていて、鳩尾からへその下まで透けて見えた。
愛美はチャイナドレス。光沢のあるエメラルド色の布が、全身にぴったりと貼りついて、身体の輪郭を描き出している。胸には丸い穴が開いて、バストのかなりの部分が覗く。
(愛美まで、そんな格好をしてステージに出てくるなんて、いったいどうして?)由依は疑問に思ったが、言葉にする気力が出なかった。身も心も混乱した今は、二人にされるがままでいることしかできない。
響子と愛美の手で、由依の半裸身の向きを変えられた。客席に身体の側面を向けられ、響子が由依の背後にひざまずく。由依の裸の尻の位置に、ちょうど先輩の顔が来る。
尻たぶを両手でつかまれ、谷間を広げられた。さすがに驚きの声を上げてしまう。
「響子先輩、なにをするんですか。あっ、ああ!」
由依のあらわにされた尻の谷間に、響子が顔を押しつけた。今も敏感なままの肛門に、やわらかい唇が密着するのがはっきりとわかる。
「そこは、ひいいっ!」
吸われた。有名なおっぱい型ゴム風船に入ったアイスクリームを吸い出すように、響子の口が強く肛門を吸引すると、もともとゆるんでいた括約筋が開いて、中にあるものがチュルチュルと吸い出されていく。
「やっ、やああ、ふああああ!」
指やペニスを出し入れされるのとも異なる不思議な感覚に襲われて、由依は熱い声を上げて、尻を振りたてる。響子が巧みに顔を動かし、尻のダンスについてきた。
「吸われてます! 響子先輩になにか、吸われてます!」
自分の肛門から先輩が吸い出しているものの正体に気づいた。
(お尻に射精された精液を、響子先輩が口ですすってる! 信じられない!)愕然とする由依の顔の前に、響子が立ち上がり、正面から口を開いて見せてくる。
舌の上に、どろりとした白い粘液が載っていた。
「そ、それ、あの男の、わたしのお尻の……」
それ以上は言葉が出ない。あまりに異常な状況に理性も感情もグチャグチャに乱れて、なにを言えばいいのかも判断できなかった。
棒立ちになる由依の背後の大スクリーンに、響子の顔が大写しになり、精液にまみれた舌が観客にも披露された。ステージに控えていた船員がカメラを向けて撮影している。
船客たちがどっと沸いた。オーシャンヘヴン号では以前にもあったことらしく、客席のあちこちからステージへ向かって『早くやれ、早くしろ』と声がかけられる。
「由依ちゃん、せっかく射精していただいた杉森様の精液を、口でも味わわせてもらいなさい」
「えっ、ええ!?」
由依の頭が、響子の両手でつかまれた。固定された顔に、先輩の顔が迫ってくる。逃げる間もなく、口に口が押しつけられた。大スクリーンに強引なキスシーンが投影される。
「うんんっ!」
どろりとしたものが、口内に流しこまれてくる。
「んぐうううっ!」
温かい粘液が舌の上に広がり、生臭い匂いと味が口いっぱいに充満して、鼻腔から肺へと染みこんだ。自分の尻に射精された精液を、響子先輩が口で吸い出し、さらに自分へ口移しされた。
(狂ってる! あああ、こんなこと、狂ってるわ!)響子の唇が離れて、口内に唾液混じりの精液が残される。
「はあああ」
と、息を吐く間もほとんどなく、唇に新たな唇が押しつけられた。
(愛美!)
響子と入れ替わってキスを重ねた愛美が、クチュクチユと音をたてて息を吸った。今度は口の中から精液が吸い出される。由依と響子の唾液が混ざった精液が、親友の口へ入っていく。
「んっむうううッッ!」
うめきを洩らす由依から、愛美が唇を離して、口を開いて中を見せた。ついさっきの響子と同じ光景が現れる。由依の瞳と大スクリーンに、白い精液に浮かぶ舌と歯が映る。三人分の女の唾液と混じって、色が薄くなっていた。
(わたしのお尻の中の精液を響子先輩が口で吸い出し、わたしに口移しして、それを愛美に口移しされた…………)「あは」
由依は吹き出した。頭の中で三人の口から口へグルグルと精液が移動する場面が閃き、自然と笑いだしてしまった。
「あはははははは」
この異常で、アブノーマルで、イカレた世界を前にして、由依は笑うしかなかった。
「あはっははははははははははは」
*
「あれ?」
気がつくと、由依ははじめて見る船室の座椅子に腰かけていた。
記憶にある白いセーラー服の上だけの半裸スタイルではなく、簡素なデザインのゆったりした白いワンピースを着ていた。ブラジャーとショーツを着けている感触もある。
なにより全身から、上品なボディソープの残り香がした。髪も身体も、そして口の中も、きれいに洗われてさっぱりしている。
由依の前の二脚の座椅子に、響子と愛美が座っていた。二人ともステージ上でのセクシーな真紅のロングドレスとエメラルド色のチャイナドレスではなかった。
響子はゆったりした青地にトロピカルな模様をちりばめたムームー。
愛美は、由依とおそろいの白いゆったりワンピース。
見まわすと、部屋の作りは由依に与えられた船室とは大きく違う。広々とした床全体がフローリングで、いろんなデザインのクッションが並べてある。壁には装飾がなく、由依の実家にもあるような冷蔵庫や食器棚やカラーボックスがあるだけ。今まで由依が目にしてきたなにもかもがゴージャスな豪華客船には似つかわしくない内装だ。
由依はもう一度言った。
「あれ? ステージは? どうして、この部屋にいるの?」
響子は微笑んで、両手で室内を示した。
「ここはオーシャンヘヴン号の女がくつろぐための遊戯室よ。根っから大金持ちの船客たちと違って、わたしたち庶民にはこういう部屋がないと落ち着かないのよね」
「由依はなにも覚えてないの?」
愛美の逆質問に、由依は頬を赤く染めた。
「あの、ステージで愛美にキスされた後は、なんだかぼんやりしていて」
響子がうんうんとうなずく。
「そういう女の子も多いのよ。オーシャンヘヴン号に来てから最初の数日で、記憶が飛んじゃうの。わたしはなかったわ」
「わたしも記憶はちゃんとしてるよ」
普通に語る愛美に向かって、由依が身を乗り出した。意識しないで両手を床に叩きつけて、ドンと鳴らしてしまう。
「愛美はどうして平気なの!? あんな酷い目に会ったのに、ステージで平気であんなことをするなんて!」
「だって……」
愛美は口ごもり、一度は目をそらしてから、正面から由依の顔を受け止めた。
「わたしはオーシャンヘヴン号と船長さんを気に入ったの。オーシャンヘヴン号で船長さんに身をゆだねたい」
「馬鹿な!」
「わたしたちは小さいころからバレーボールだけだったじゃない。男の人とまともにつきあったこともなかった。クラブを引退しても、大学生になっても、恋人を作れなかった」
「愛美、そんなことを考えていたの! わたしたちは拉致監禁されているのよ! 恋人なんて関係ない」
「わたしは船長さんに身をゆだねると決めたの!」
「さっきのは? さっきのステージで、わたしにキスして、口から男のものを吸い出したわ。どうして、あんなことをしたのよ!」
「それは、響子先輩に指示されたから。それに、わたしもスクリーンで由依がお尻をされるのを見ていて、今の由依ならキスくらいしてもいいかなって思えて」
「そんな…………」
親友に対して言うべき言葉が見つからず、口をよどませる由依の耳にチャイムが聞こえた。響子の背後のドアにあるインターホンから女の声がする。
「みんな来たわよ」
響子が立ち上がり、インターホンに返事をして、ドアを開けた。大勢の女たちが続々とリビングに入ってくる。
総勢四十人ほどの女たちは、ひとりひとり年齢やタイプは違うが、全員が美人。ボールルームや映画館の観客席にいた女たちだ。ただし身に着けているのは高価なセクシードレスではなく、ワンピースやTシャツやムームーといった気軽な服装ばかり。
それぞれの手にコンビニやスーパーで普通に売っているお菓子やペットボトル飲料を持って、クッションに座っていく。食器棚からトレイや大皿を出して床に置き、チョコレートやポテトチップやクッキーやアイスクリーム、コーラやカルピスやジュースや烏龍茶を並べる。
たちまち気楽なホームパーティーという雰囲気ができあがった。
響子が立ち上がり、大きな声を上げた。
「新しくオーシャンヘヴン号の仲間になった由依ちゃんと愛美ちゃんの歓迎パーティーを開催しますっ!」
「え、ええ?」
困惑する由依の前で、女たちが次々に自己紹介をしていった。といってもオーシャンヘヴン号の先輩たちは名前を言うだけで、年齢も出身地も普段の生活も語らない。
響子も、自分と由依と愛美が同じ大学のバレーボール部に所属していた親しい先輩後輩ということしか説明しなかった。
その後は、ただお菓子をつまんで、なごやかなおしゃべりがつづいた。人数は少し多いが、ただの女子会だ。
由依は次々と親しげに話しかけてくる美女たちに、それなりに挨拶して、言葉を返しながら、内心で首をかしげるしかなかった。
(とても拉致監禁されてる人たちとは思えない。わたしもこの船にいたら、この人たちみたいになってしまうの?)*翌朝、由依は自分の船室のベットルームで目を覚ました。
結局昨日はパーティーが終わった後に、自分の船室にもどって、ひとりで寝た。女だけのパーティーは盛り上がり、由依もそれなりに楽しかったが、遊戯室から廊下へ出ると、船員が見張っていた。女たちからけっこう自由に船内を歩けると聞かされたが、自分は籠の鳥、いや、水槽の魚なのだ、とあらためて思い知らされてしまう。
今も自分の船室の外には船員が見張っているのだろう。
とりあえずベッドから出て、バスルームでシャワーを浴びて、裸のまま歯と顔を洗った。下着をつけていると、いきなり船長が入ってきた。
「下着をつけなくていい。今日はこれを着て、アスレチックルームへ行け。そこで今日の相手が待っている」
手渡されたのは、薄手の白いレオタード。
下着なしで着たら、確実に乳首も秘唇も透けて、浮き出してしまう。
もちろん拒否することは不可能な空気が、船長のたくましい全身から出ている。由依は裸にレオタードを着て、オーシャンヘヴン号のアスレチックルームへ連れて行かれた。
あいかわらず船の中とは思えない本格的なアスレチックルームのランニングマシンの上で、黄色いランニングシャツとショートパンツという陸上選手スタイルの船客が待っていた。
西岡と名乗った中年男が、期待で顔を輝かせ、ショートパンツの薄い股間をふくらませて、注文した。
「由依ちゃん。ぼくと並んでランニングマシンで走ろう。いっしょにいっぱい汗をかくんだ」
由依は頬を引きつらせて、レオタードの胸の奥で叫んだ。
(へ、変態! 今までで一番の変態だよ!)
しかたなくリクエストに従ってランニングマシンの回転するベルトの上で走りだすと、西岡もとなりのマシンで走りながら、由依の白いレオタードに包まれた尻たぶがぷりぷりと互い違いに動くさまをじっと見つめてきた。
早くも汗で透けはじめた尻に強烈な視線を感じて、由依はまた内心で叫ぶ。
(やっぱり変態だっ!)


