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甘い鞭:大石圭と壇蜜、SMクラブのM嬢

『甘い鞭』は、大石圭が2009年に発表した官能ホラー小説である。2013年、石井隆監督により映画化された。小説を原作とする同名のコミカライズもある。不妊治療医とSMクラブのM嬢を一人の女に重ねる。BDSM映画・小説として読むなら、治療室の白衣より、セリカという名前で跪く夜のほうが本題だ。

岬奈緒子は、美しき不妊治療医として活躍する一方で、SMクラブのM嬢「セリカ」としての顔を持つ。奈緒子を慕う患者に対しては聖母のように、セリカを求める男たちに対しては嗜虐心をかりたてる生粋のM嬢として接する。その二重生活の始まりは、十七歳の頃に遭遇したある凄惨な事件だった。隣家の男に拉致監禁される暴力犯罪に遭い、男を殺害して辛うじて生還する。性の詳細はここでは書かない。凄絶なトラウマを抱えたまま成長し、医師として評価を得る一方、売れっ子M嬢としても立つ。合意なき監禁が、のちの合意あるM嬢稼業の起源になる——そのねじれが、この作品を単なる凌辱ものから引き離す。

映画版では三十二歳の奈緒子を壇蜜、十七歳の奈緒子を間宮夕貴が演じ分ける。藤田赳夫(中野剛)は十七歳の奈緒子を誘拐した隣家の男で、最終的には奈緒子に殺害される。母の岬加代子(中島ひろ子)。木下景子(屋敷紘子)はSMクラブのオーナーで、自身もS嬢として勤務する。鳴海(中山峻)はクラブの用心棒。醍醐(竹中直人)は上客で、M嬢とS嬢の立場転換プレイを提案する。神山(伊藤洋三郎)は「真性のM嬢」というオーダーを提示する。緊縛師の男は有末剛。実際の縄の専門家をそのまま配した点が、この映画のSM描写を虚構の小道具で終わらせない。

原作は角川ホラー文庫、2009年5月23日、ISBN 978-4-04-357219-9。映画は2013年9月21日公開、R18+指定。監督・脚本は石井隆。壇蜜は第37回日本アカデミー賞で新人俳優賞を受けた。映像ソフトは2014年2月28日。艶々の漫画化が『別冊漫画ゴラク』2012年12月号から2014年4月号まで連載された。ニチブンコミックスは第1巻のみ(2013年9月、ISBN 978-4-537-13072-0)で、不健全図書に指定され、第2巻は未刊。2015年5月16日、『甘い鞭 完全版』(上下)がエンジェル出版から出た。

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